【今週の「犬夜叉」!】…毎週更新。
ここでは週刊少年サンデーに連載中の『犬夜叉』について、毎週1回、主な内容と展開を追跡し、コメントをつけていきます。
なお、ゲストの方のコメントはこちらです(^_^)。
週刊少年サンデー4&5合併号掲載・第487話「生き方」
珊瑚は亡き父から飛来骨を武器として授けられた時のことを回想。退治屋が倒した妖怪達の邪気を清め恨みを鎮めた骨を固めた飛来骨は、ともに戦う仲間だと思うことが妖怪達への供養になる…戦いの中で心が通じ合うようになったと思っていた珊瑚は、我らに毒を塗ったとの妖怪群の攻め言葉に涙を流す。薬老毒仙は弥勒に向かい、この薬を飲めばいかに多くの瘴気や毒を吸っても苦しみを感じなくなると言う。鼻をひくつかせて目を覚ました犬夜叉は、話す二人の中へ割って入り、椀に入った液を嗅ぐと毒だと看破。苦しみを感じないままに戦い続けることはできるが瘴気の傷は広がり続けいずれは命を落とす…薬老毒仙に怒る犬夜叉を制し、弥勒は覚悟の上で飲むと言う。お前が死んだら珊瑚はどうなると苦言を呈する犬夜叉。瓶の中で珊瑚は妖怪達の体当たりを甘んじて受け続ける。刀を手放して両手を広げ、もう一度お前達とともに戦いたいと語りかける珊瑚に、妖怪群は二度と裏切らないと約束せよと答える。人間の男を守るために我らに毒を塗るような真似を二度と繰り返さないと誓うなら飛来骨として甦ると言う妖怪達だが、珊瑚は約束はできないと答える。その男が死んだら自分は生きていけないと。
これを飲めば風穴を開き死期を早めるだけだと言う犬夜叉に、弥勒は戦わずに珊瑚に守られ続けるのは負担をかけることだと返す。自分は死に急ぐのではなく、生き方を選ぶのだと。戦って生き、珊瑚を守るのが自分の望みだと強い意志で語る弥勒をじっと見据えた犬夜叉は、珊瑚やかごめには知らせるなという言葉に頷きながらも、命を粗末にしたら自分が許さないと釘を差す。微笑して毒薬を飲み始める弥勒。人間の男のために捨てる命ならこの場で絶つ、と珊瑚に襲いかかる妖怪群…以下次号。
今週ほどミロサンの仲を深く掘り下げ、その絆の強さと悲痛なまでの相手を想う心を直接描いたのは初めてです。戦いの相棒・飛来骨は人間の男のために我らを裏切ったと容赦なく攻める。それを悲しみ、反撃しない珊瑚はそれでも約束はできないと…弥勒の命は自分の命。それほどまでに大きな存在になっていたのか(;_;)。
なぜ薬が毒なのか、それは苦しみを感じなくなるがゆえの副作用。この重い選択を、生き方を選ぶのだと断言する弥勒、大した男だ。『俺が気付いてねえとでも思ってたのか? お前の体、瘴気の臭いがどんどん強くなってきている。お前が死んだら、珊瑚はどうなる』と語る犬夜叉の横顔には、戦友をよく知る彼らしさが象徴的に表れてます。『これを飲むか飲まないか、それは生き方を選べるということだ。私は闘って生きて、珊瑚を守りたい』こう語る弥勒と犬夜叉の半分ずつの表情アップ並列が絶妙です。こんな顔をするあたりが、この作品の長い長い人気の源なんですね。『命を粗末にしやがったら…たとえ珊瑚が許したって俺が許さねえぞ』…それでこそ主人公、それでこそその相棒。マジ話になってくると着実に顔から酔いも引くあたりがさすがだ。自分達よりも人間の男が大事なら殺すまで、と牙をむく妖怪達に珊瑚は無抵抗を貫くのか。自分のすべてである男を想う心は、彼らを鎮めて再び仲間とできるのか。高橋先生入魂のメッセージ、どんな形で出てくるのかを想像しながら当サイト5回目の年を越します。
かごめ贔屓としては、今週はわずか6コマながら悪酔いして吐く七宝を介抱する場面に一票。『バカねー、お酒なんか飲むから』の女の子座りが可愛い。今は伝えられなくとも、いずれミロサンのこれほどの仲をきっと知る時が来る。ヒロインは誰よりもそこをわかってあげられる娘でいてほしいです。
週刊少年サンデー2&3合併号掲載・第486話「瓶の中」
珊瑚は刀を抜いて妖怪群に立ち向かうが、その体は実に固くて苦戦。心配して瓶を覗き込む犬夜叉達だが中は見えない。薬老毒仙が腕を伸ばして犬夜叉を別の酒瓶に放り込む。冥加は酒の中で酔いながら珊瑚を見守っていると言い、七宝まで酒を飲んで酔っぱらう有様。瓶から顔を出した犬夜叉も、酔いつつ確かに見えると語る。弥勒は妖の酒なら見えても不思議はないと犬夜叉に珊瑚の安否を問う。
珊瑚は向かってはくるがそれ以上の攻撃を仕掛けない妖怪群から、奇妙な怒りの感情を感じて戸惑っていた。毒で溶け続ける飛来骨を危惧して珊瑚の入った瓶に近づいた弥勒に、薬老毒仙は加勢しようとしても無駄だと言う。瓶から出てきて酔いどれになった犬夜叉を別の瓶に放り込むと、また別の瓶から顔が出る…それに舌で弥勒の顔を一舐めして錫杖でこづかれながらも、毒に蝕まれているなと見抜く薬老毒仙。弥勒は犬夜叉とかごめから離れ、皆には内密にしてほしいと頼む。右腕を見せると瘴気の傷は肘まで達していた。珊瑚が飛来骨に溶毒を塗ったのは自分を助けるためだったと語る弥勒に、薬老毒仙は薬を飲んでみるかと提案。今のままでは珊瑚は飛来骨が直っても同じ事をするだろうというのだ。
妖怪群は珊瑚に、なぜ我らに毒を塗ったと問いかける。衝撃を受ける珊瑚。彼らは飛来骨を形成する骨の元となった妖怪達の魂だったのだ。薬老毒仙はそれを聞いて驚いた弥勒に、おとなしくさせろと言ったろと返す。鎮めろということかと悟った弥勒。薬老毒仙はまた別の瓶をたぐり寄せ、椀に一杯酒をすくって杖で突くと変色。これは薬だが同時に強い毒でもある、それでも飲むかと弥勒に問い…以下次号。
うーむー…深い。飛来骨として、共に戦ってきた使い手の珊瑚に怒りを見せても殺す気になれないのが骨の元である妖怪達の魂なのか。お前たちは…飛来骨!? と独白した時の珊瑚の表情が秀逸です。これはあまりに辛く悲しい試練になりました。戦うどころか悔恨と苦しみの波になる。彼らを鎮める術はあるのか。薬は毒でもある。毒になるか薬になるかは、飲んだ者自身の力だということですか、薬老毒仙様。かけがえのない仲間であり戦友であり許嫁である珊瑚を想う弥勒の心は、毒を薬に変えることができるのか。ミロサンの絆は、意外な形で試されることになりそうです。
さてそうした緊迫の隣で今週は完全にお笑い立ち回りの犬夜叉。そうかこいつはこういう酔い方をするのか…『酔ってねーよ。なんでかごめが二人いるんだ?』(^^;)。ある意味、酒瓶に浸かって全身で飲むというのは酒好きには極楽感覚かもしれない。少年誌ではありますが、こういう表現だとそう文句も出ないでしょう。七宝は『本当ら〜見える〜』。
かごめ贔屓としては、今週は犬夜叉に『ねえ…それ幻覚なんじゃ?』の横顔もいいんですがなんといってもこれこれ。『酔ってねーよ。なんで三人に増えた?』『あーはいはい。』わっはっはっはっは(^o^)! いやあの、ミロサンの事を考えると笑ってる場合じゃないんですがどうしても笑えてしまう。もうすっかり世話女房ですなこりゃ。『ダメでしょ〜子供がお酒なんか…』と言うように、中学生である以上ヒロインだけは飲まないでしょうけど、彼女はどんな酔い方をするのか見てみたい気もしますってところで次週はお休みです。
週刊少年サンデー1号掲載・第485話「薬老毒仙」
犬夜叉は刀々斎の山へ出向いて麓に彼を呼び出し、二つに折れた飛来骨を直せと言うが、刀々斎は無理だと断る。こうなることは覚悟の上だったと話す珊瑚。新しい武器がいると呟く犬夜叉に、長年慣れ親しんだ武器に勝るものはそうないと語る刀々斎。直せないんだろうと文句を言うと冥加が現れ、薬老毒仙という薬と毒を司る妖怪仙人の所へ案内すると申し出る。毒にまみれた飛来骨では刀々斎が打ち直しても脆くなるというのだ。
薬老毒仙の住処は酒の滝の真下だった。冥加の言葉に従って無数に並んだ酒瓶の一つを取り出し、中身をざばんとあけると猛烈に長い髭の老人が出てくる。二日酔い状態の薬老毒仙だ。蹴り起こして事情を話し、毒を抜いてほしいと飛来骨を差し出すと、長い舌で一舐めした薬老毒仙は溶毒と見抜き、これだけ長い間使い込んだ武器に猛毒を塗るような奴は気に入らない、直せても断ると返す。怒った犬夜叉が髭を引っ張ると二日酔いで吐く有様。珊瑚は仙人様の言うとおりで返す言葉はないと話すが、その容姿を見た途端に掌を返して直すと言い出す薬老毒仙。手を見る、腰を触る、珊瑚に蹴られて弥勒に錫杖で突かれてもへらず口…しかし直すには使い手自身が戦わねばならないという。延びる腕で二つの酒瓶をたぐり寄せ、その片方に飛来骨を漬けると泡が出て溶け始める。驚く犬夜叉達に毒だから当然と言い、これが薬に変わった時に直ると語る薬老毒仙は、珊瑚にもう一方の瓶の中で妖怪退治をせよと命じる。中にいる妖怪をおとなしくさせれば毒は薬に変わるが、退治できなかった時は飛来骨が溶けてなくなるのみ…心配する弥勒達を制して珊瑚は瓶に飛び込む。液体の中でも息はできるが、珊瑚の眼前に妖怪群が出現。全部退治すると珊瑚は決意し…以下次号。
武器打ちの名人を遠慮なく足蹴にする無礼者の犬夜叉ですが、毒は専門外だというのが刀々斎の弁でごもっとも。自分を守るために大事な武器を犠牲にさせたことを悔やむ弥勒に、命懸けで風穴を開いたんだからお互い様だよと返す珊瑚が痛々しくも優しい表情です。七宝の言うとおり久しぶり登場の冥加、今度の人脈…いや妖脈か、は薬と毒のプロですか。人見知りするお方だといいますが、まさに住処は“養老の滝”。酒瓶の中で寝てるというところにるーみっくわーるどらしいおチャラ気がある(^^;)。でも舌でちょいと触れれば毒を言い当て、飛来骨の年季と猛毒の取り合わせがお気に召さないあたりは流石。なおかつ『美しい。気に入った。』犬夜叉がなぜいきなり掌を返すと抗議すると『お前の武器だと思ってたから。』と言うあたりが爆笑。うーむ美的感覚は人間と妖怪も共通なのか?
『ふざけていただいては困りますな。』弥勒は嫉妬すると笑いながらごりごりやるから怖い…。『足腰の強さを点検したんだってば。』この妖怪仙人も、きっと元は人間だったんだろうなあ(^^;)。それでもマジになるとやはり課すのは厳しい試練。犬夜叉、かごめ、殺生丸に続いて珊瑚の番がやってきました。単に退治すればいいのか、おとなしくさせるという意味は何なのか。『なんでもやってやる。もう一度飛来骨が戻るなら…』健気な決意で瓶の中に入った彼女、今の武器は脇差し一振りのみか。頑張れ珊瑚!
かごめ贔屓としては、今週は『よかった、女の子に優しい仙人さんで』の手合わせポーズでしょう。次週はこの時代でできた大切な友人の戦いを見守るのみです。
週刊少年サンデー52号掲載・第484話「溶毒」
骨妖怪の口で軋む骨の檻の中から脱出すべく、弥勒は強引に風穴を開く。内側から吸われ始めたことに驚いた妖怪は毒を吐き、これが右手に達して大ダメージを受ける弥勒。珊瑚は弥勒の風穴を閉じると崩れた檻から体当たりで脱出。気を失った弥勒の背後で骨妖怪は右目から下を失って倒れたが、その娘が薄笑いで左手を上げると人骨が次々と舞い上がり、欠けた部分を修復して再び起きあがる。飛来骨を差し出せと迫る骨妖怪父娘に、弥勒の命は助けるように願い出る珊瑚。
床下の骨の山に埋もれたかごめを狐妖術でなんとか掘り出した七宝だったが、犬夜叉の方がまだ人間のままでがっくり。珊瑚の申し出を笑止と一蹴し、二人とも死ぬとの妖怪娘の返答に、珊瑚は覚悟を決めて左腕の肘に仕込んでいた貝殻を開く。飛来骨でさえ溶かしてしまう妖怪退治の猛毒・溶毒…これを砕き塗った飛来骨を口の中に叩き込まれた骨妖怪は、凄まじい勢いで泡となって溶けていく。怒り狂った妖怪娘が左腕を動かすと、半分になった骨妖怪の顔がなおも浮き上がるが既に屍。一緒に溶けて消えろと叫ぶ妖怪娘と、弥勒に肩を貸して逃げようとする珊瑚の間に半妖に戻った犬夜叉が飛び込み、金剛槍破で骨妖怪の屍を粉砕。金剛槍が突き破った屋敷の穴から降り注いだ夜明けの光を浴び、妖怪娘の体も一気に朽ち果てて崩れ落ちる。
振り向いた犬夜叉、気付いた弥勒、駆けつけたかごめと七宝の目に映ったのは原型をとどめなくなるまで溶けている飛来骨。珊瑚は切なげに自分の武器に詫びる…以下次号。
いかに自らの体に害であっても風穴を使わざるを得なかった弥勒。膨大な人骨でその体を構成していたのかこの妖怪父娘…病とやらが完治したらどういう姿になったんですかね。七宝の狐妖術つぶしゴマ、久々に活躍して骨の山を壊しかごめを救出。偉い偉い。幻術が解けると犬夜叉の頭の上で回ってるコマといい、『まだ人間か…』『なんでいその思いっきりガッカリしたツラはっ!』のやりとりといい、笑いをとるコマが混じるところがこの作品のよさなんです。
瀕死の弥勒の顔を見た珊瑚の選択は最終兵器の発動でした。これを使う時は共に戦ってきた相棒である飛来骨との別れの時。さしもの骨妖怪もこの猛毒にはたまらず声も出せずに泡と化しました。闇でしか生きられないのは妖父娘の定めだったのか。土壇場で復活乱入して敵を一撃で倒す犬夜叉も今回は完全に脇役。ラストのコマで飛来骨にごめんねと語りかける珊瑚の表情が絶妙です。彼女の代名詞でもあったこの武器は犬夜叉にとっての鉄砕牙。これではたとえ刀々斎でも修復は不可能か。飛来骨のない珊瑚を想像するのは至難の技です。奈落との最終戦に向けて、どうするミロサン…。
かごめ贔屓としては、今週はまだ人間のままの犬夜叉を見た時の横顔でしょう。『あれ?』これこれ、こういう顔をできるヒロインだからいいんだよなあ(^^;)。七宝を交えた連載初期の頃の三人のムードがまだ残ってたのが嬉しい。しかし自らの分身のような武器を代償にした珊瑚の胸中を、きっと痛いほどわかってやれる娘なのです。
週刊少年サンデー51号掲載・第483話「骨の檻」
屋敷の中に閉じ込められた弥勒と珊瑚は脱出を図るが果たせず、毒の気と共に刀を振って襲ってくる人骨の群れに苦戦。骨を操る妖怪娘は飛来骨を投げさせようと挑発するが、怒る珊瑚を弥勒は諭す。毒が屋敷に満ちればお前達は死ぬ、と妖怪娘が嘲笑った時、雲母に乗って駆けつけたかごめの矢が屋敷の結界を揺るがす。第二の矢で戸が倒れると、人間化している犬夜叉も突入。襲ってくる人骨の群れを素手でぶん殴って壊す犬夜叉だが、毒気が寄ってくるとかごめが矢で浄化。
新手の乱入にも余裕を崩さない妖怪娘。夜明け前ではまだ犬夜叉の妖力は戻っていないと危惧する弥勒と珊瑚を、側面に崩れ出てきた人骨の山が取り囲んで球体を形成し、骨の檻となって閉じ込める。犬夜叉達が部屋の中を次々と確かめていると女が倒れており、かごめが駆け寄ると妖怪娘の右手が伸びる。咄嗟に間に飛び込んでその右手を咬みちぎる雲母。骨と化した右手を見たかごめが正体に気付いて矢を構えた途端に床が抜け、犬夜叉、かごめ、雲母は骨の山の中に落ち込んでいく。
弥勒は破魔の札を使うが骨の檻を内側から破れない。真っ青な顔を見て毒のために法力が弱っているのかと心配する珊瑚。ジリジリと移動する骨の檻は骨妖怪の父に近づき、妖怪は檻ごと巨大な口で囓って喰い始める…以下次号。
骨を自在に操る妖怪父娘の能力は厄介です。飛来骨を手から離せば思うツボだと見抜いた弥勒も毒のために体調不良の極致では苦しい。救援に来た犬夜叉、妖力がなくても無鉄砲さは相変わらずで素手で乱入。ただではすまない朔の夜は今回も定番でした。『や、やむを得ん。なにかあったらおらにまかせろ』と強がる七宝も骨の群れを見てビビリまくり(いつものことだがお前、本当に妖怪なのか?)。それにしても骨の山を固めて球体の檻とは悪趣味な…しかもかごめの骨を抜こうとは不届き千万、無礼者!とばかりに雲母が飛び込んで危機を救う。お見事忠犬、いや忠猫か。それにしても床下まで骨まみれかよこの館は。七宝、ビビってばかりいないでなにかやれ。まやかしでも狐火は案外効くかもしれんぞ。弥勒は瘴気の傷のダメージで不本意そのものの苦戦ぶり。今度ばかりは本当の体の状態を珊瑚に隠せなくなるかもしれません。骨妖怪の親、その口の中から反撃する術はありますか。
かごめ贔屓としては、今週はトビラ頁で雲母の背に座って救援に向かう表情がいい。人間化している犬夜叉はいつもと逆でその後ろなんですが、手の位置手の位置。ヒロインの腰に触れるのはまさに主人公の特権(^^;)。桔梗の遺産・梓山の弓は骨妖怪の結界を二矢で突き破る。毒もすかさず浄化、と今週はハッスルで嬉しい。雲母も名ガードぶりを発揮、偉いっ。ただ骨の山の中にうずもれるのは痛々しいので、早く朔の夜が明けてくれ。
週刊少年サンデー50号掲載・第482話「狙われた飛来骨」
帰りの遅い弥勒と珊瑚を気遣う犬夜叉達。骨の欠片は屋敷の入り口から中へと続いて落ちていた。誘い込む意図は明らかだったが、気負い込んで踏み込むと美女が正座でお出迎え。早速その手を握る弥勒と前につんのめる珊瑚。荒れ野で骨を抜き取ったのは自分の姿を借りた妖怪だと女は話す。屋敷は骨の妖怪に乗っ取られ、両親も使用人も皆骨を抜かれてしまい、自分だけが残っているという。弥勒は隣の部屋に妖怪の気配を察し、襖が倒れるとそこにいたのは人骨の山の上に居座るやはり頭蓋骨と前足、肋骨だけの妖怪。その吐く息は毒気を伴い、人骨を巻き上げて飛んでくる。珊瑚は正面から飛来骨を投げて妖怪の口に命中させるが、極上の骨だという声とともに妖怪は飛来骨を食おうとする。弥勒は風穴を開いて毒気もろとも骨を吸い、妖怪の口から飛来骨が外れたところで閉じるが、珊瑚が拾うと囓られた部分が欠けていた。
弥勒は膝をついてしまい、こんな雑魚の毒でも痛手を受けるのかと舌打ち。顔が真っ青だと言いつつ、屋敷の女が弥勒の顔の前に手をかざす。珊瑚が危ないと叫ぶと女の掌の前で火花が散り、その手は骨に。弥勒が口に清めの塩を含んだのだ。人間に化けて屋敷に引き込んだ理由を問う弥勒に、女は骨妖怪と自分は父娘だと語り、病に伏せる父の快復のためには良質の骨がいると言う。数多の妖怪の骨を固めた飛来骨は極上の薬だと笑う骨妖怪。挑発されても投げれば喰われるのでは攻撃できない。弥勒は護符を飛ばして一時撤退。女の目は骨妖怪と同じ不気味な眼と化し、屋敷の外には出られぬ、飛来骨を喰って二人の骨も抜いてやると嘲笑う。雲母は犬夜叉とかごめのところへ戻ってくる。何かあったのかと慌てる二人…以下次号。
『弥勒が女妖怪の色香に惑わされているのではないか?』『…ならいいけどな』『いいんだ?』いきなり七宝と犬かごが笑わせるやりとり(^^;)。文字通り骨抜きにされかねないんだから、と言った矢先に弥勒が美女の手を握るんじゃあ、珊瑚も殴りたくなるわな。しかし頭蓋骨と前足と肋骨だけの姿でなぜ死んでいないのかと思いますが、そこが妖怪たる所以か。弥勒の体に巣くう瘴気の傷は、わずかの毒でも吸えばダメージを与える。飛来骨を極上の薬だという相手では分が悪すぎ。美女相手でも妖しい雰囲気を感じれば油断なく手を打つあたり弥勒は流石ですが、『見てのとおり父は病に伏せっておる』に『見てのとおりと言われても…』で白けるところが笑いを忘れないツボです。
この骨妖怪、自身は移動できないとすると直接の相手は娘の方ということになりますが、飛来骨も風穴も封じられてどう戦うミロサン。朔の日の人間化した犬夜叉は必ず血を見る羽目になるんですが、今回も無事じゃすまない夜になりますか。
かごめ贔屓としては、今週は七宝が眠ってて二人きりでも健全そのものの犬夜叉との仲に感心…いやいや、巻頭カラーでセーラー服を見るとそうだよな緑色なんだよな。さて連載10周年記念ということで原作者チョイスの原画10枚セットプレゼント広告。第1話の犬かごの出会いや最近の犬桔の別れの口づけ場面がありましたが、改めて思うのは「ヒロインの髪の毛、増えたり減ったり…」だったりします(^^;)。高橋先生のコメントによると「大詰めですがまだ解決すべき問題が山積み」だそうなので、あと半年くらいは連載が続きそうですね。
週刊少年サンデー49号掲載・第481話「骨」
闇夜、商人を斬殺して金を奪った野盗に、薄絹をまとった女が声をかける。立派な骨をお持ちなのでしょうという言葉とともに女が右手を野盗の口の前にかざすと、たちまち口の中から音を立てて何かが引き出され始める。翌日、その場に来た犬夜叉達は肉と皮だけになった死体を発見。抜け殻のように骨だけが抜き取られていたのだ。村人の話では十人近くが似たような死体にされているという。妖怪の仕業だと睨む一行だが、逃げ帰った者の話では妖怪が美しい女の姿だったと聞いた途端、自分が会ってくると言い出す弥勒。会ってどうすると凄む珊瑚、鉄砕牙の直り具合を試すためにその妖怪を斬ると言う犬夜叉。しかしこの日は朔の日で、人間化して妖力をなくした犬夜叉はかごめと留守番。妖怪退治には弥勒と珊瑚が出向く。風穴の開き過ぎで危険が増している弥勒の体を危惧する犬夜叉。
荒れ野で待つ弥勒と珊瑚。帰って休めという弥勒の言葉を珊瑚は拒否。妖怪に言い寄ると思うのかと弥勒が言うと、体の具合はどうか、無理していないかと珊瑚が問う。瘴気の傷が風穴を使うたびに広がり、心臓に達すれば命を失うという桔梗の言葉…本当のことを言ってほしいと願う珊瑚を弥勒は優しいなと抱きしめるものの、頬ずりしてこのように元気だと笑うしかない。そこへ人骨の山を骨の牛に引かせた女が出現。眼前に現れた野犬も、噛み付こうと飛びかかれば即座に女の右手で骨を抜き取られる。珊瑚が投げた飛来骨が女の脳天を直撃したが、近寄ると絹の衣だけが残され骨の牛も崩れ落ちる。骨が点々と落ち、逃がしたと後を追う二人。走りながら飛来骨とは極上の骨だと女が呟き…以下次号。
今度の敵は「骨抜き女」? なにかこう言葉的に暗示っぽいですね。この世のものとも思われぬ美しい女の姿…とまで聞いたところで二重瞼になる犬夜叉が可笑しい。私が会ってまいりましょう、と弥勒が言い出すのが目に見えたんでしょうな。『会ってどうするつもりよ』でんでろでろでろでろ…の顔面巨大化は前作【らんま】以来のるーみっく女性キャラのお家芸(^^;)。さて今回で何回目の朔の日だっけ。あまり深く考えるべきではなさそうだ。しかし不機嫌ながらも弥勒の体調を案ずるあたりが犬夜叉の本性なんですね。
弥勒の体のことを心配するのは勿論珊瑚の方がより大きい。『体の具合どうなの? 無理してないだろうね? 私には…本当のことを言って。』という顔は退治屋とは違う少女らしさに満ちています。抱擁するのも頬ずりするのも、弥勒という男は本性には違いないが深刻さを隠すためのポーズになっている。ミロサンベタ^2モードになりかけても珊瑚の顔からは不安が消えない。骨をかき集めるこの女妖怪、目的は何なのか。飛来骨の材質に比べれば人間や犬の骨など屑同然? この敵が弥勒と珊瑚の行方に大変な変化をもたらすのでしょうか。タイミングがタイミングだけにいささか不安なムードです。
かごめ贔屓としては、今週は『珊瑚ちゃんもたまには弥勒さまと二人っきりになりたいんじゃない?』の脳天気さでしょうか。色々な顔をするヒロインも普段は平和な中学三年生(が、さすがにもう受験までわずかじゃないのか…)。妖力を失っている犬夜叉と家屋で二人きり、といえばアレですが七宝はちゃんとこっちにいるあたりが良心的か。次週はついに連載10周年の巻頭カラー、ミロサン主役か犬かご乱入か?
週刊少年サンデー48号掲載・第480話「最後の言葉」
犬夜叉は鉄砕牙の金剛槍化ができることを確かめ、元に戻ったと呟く。その刃を神無に向けるものの、そのまま鞘に収めて失せろと一言。斬っても寝覚めが悪いと言う犬夜叉に、弥勒と珊瑚もこれ以上の戦いは無益だし奈落も神無に未練はないだろうと助言。かごめのもう終わったという言葉を神無は聞くが、奈落は最猛勝を通じて犬夜叉達を道連れに自爆しろと指示する。再度神無にあなたはもう自由だと告げるかごめ。しかし奈落の命令が響いて神無と鏡の妖の体に一斉にヒビが入り、粉々に爆発する。
猛烈な破片の雨から鉄砕牙でかごめを守る犬夜叉だが、最後の神無の顔を見たかごめの右目に小さな破片が入る。その脳裏に響く神無の声。「光が奈落を殺す」…そしてかごめの右目に見えたのは、真っ黒に汚されながらも中心部に一筋の光が残る四魂の玉だった。珊瑚も飛来骨をかざして弥勒と七宝の身を守ったが、神無の立っていた位置は大きい窪みを残し、跡形もない。奈落は冷てえなと呟いて折り鶴で去る白夜。最後まで何も感じなかったかと嘯く奈落。
窪みの底には壊れた鏡の枠だけが残されていた。バカ野郎と悲しげに持ち上げる犬夜叉。神無は本当は死にたくなかったのだと語るかごめの右目から、涙とともに破片が落ちる。最後の言葉、神無の心は自分が受け取ったと強い目で独白するかごめ…以下次号。
この作品で、奈落とかごめは常に対極の存在として描かれています。神無は心を持たぬと決めつけていた奈落。心を受け取ったと独白したかごめ。自爆「させられた」最後の神無の顔には、間違いなく悲しみと怖れがありました。無より生み出され無に返った神無。しかし自由という言葉を聞いたその脳裏には、自我が芽生えたはずです。『光が奈落を殺す』…最後の声はその無念の心です。桔梗が命を引き替えに仕掛けた反撃の芽を、神無が遺言で確信に変えたのです。
『きさまらの善人面には反吐が出る。』結局のところ奈落は妖怪になりきれない。半妖のまま人間の醜い部分の感情を残している。負の心を蜘蛛の形で体内に戻したこともあるでしょうが、ベースはやはり人間なのです。だからこそこの悪役には存在感がある。あーあ可哀想に、冷てえな奈落も、と呟いて去った白夜、どこまで本心なのかわかりませんが、こいつの体はもしかすると奈落の「非常事態時の避難先」なのかもしれない。
かごめ贔屓としては、今週は押さえた右目から流れた涙とラストの表情です。『神無は本当は…死にたくなかったのよ』と皆に告げ、強い怒りを眉に表す。こんな顔をするからこそ、このヒロインの強さと優しさが際立つのです。神楽、桔梗に続いて神無…犬夜叉とかごめが背負うものは次々と重くなっていきますが、退場していくサブキャラ達の心と思いを受け継ぎ、最終回へのスパイラルが始まります。
週刊少年サンデー47号掲載・第479話「無」
鉄砕牙のヒビが進むとともに、神無の体の亀裂もどんどん増える。これで死ぬ、お役御免かと独白する白夜。かごめは攻撃をやめろ、宙の穴を撃つと叫び弓矢を向ける。矢を放つと神無は両手を胸の前で交差させて穴を閉じる。同時に犬夜叉をとらえていた鏡の影が消えるが、すかさず鏡の妖が持つコピー鉄砕牙から風の傷が飛んでくる。結界だけ働く元の鉄砕牙だが、これ以上の攻撃を受けると折れてしまう。犬夜叉は跳躍し、コピー鉄砕牙を斬ることで妖力の還元を狙うが神無が左手をかざして妨害。鏡の妖の左手とともに神無の左手も斬れて落ちる。お前の命を取っても無意味だと怒鳴る犬夜叉。かごめや犬夜叉の警告つき攻撃を変な連中だと評する白夜。
奈落は、神無には痛みも恐れも悲しみも情の意味もわかりはしないと嘯く。再度刃を斬るべく振り下ろした犬夜叉の鉄砕牙を、今度は右肩で受け止める妖と神無。鉄砕牙は妖の右腕を砕いてついにコピー鉄砕牙に食い込み、神無の右腕も同時に砕ける。バカ野郎、と神無を睨む犬夜叉の鉄砕牙に妖力が逆流。鏡の妖が持つコピー鉄砕牙は消滅し、吹き飛ばされた犬夜叉にかごめが駆け寄ると、顔が元の半妖に戻っていた。鉄砕牙のヒビは消え、妖力が戻ったのかと考える犬夜叉とかごめの前に近寄る神無と妖。無表情のままの神無は…以下次号。
『神無はなにも感じない。痛みも恐れも悲しみも…ましてや情けなどかけたところで、その意味すらわからない』。おい奈落、思い上がるのもいい加減にしろ。神楽と違って心臓を掴んでいるわけではなさそうだが、神無は自分の命令どおりに動く人形のままだというのか? かつて赤子が分断された時に神無が『いずれこうなるべきだった』と言ったのも、一方が白童子になって奈落に逆らい、独自の鎧を作ろうとするのを見越していたというつもりか? 右目も左手首も右腕も失い、歩くだけの姿になった神無はまだ戦うつもりなのか。妖力が戻ったかに見えた鉄砕牙、妖怪化が解けた犬夜叉…もしやこれは最初で最後の、神無の奈落への反抗であり遺言になるのではないでしょうか。
『殺す気はないんだとよ。さっきのかごめにしたって、いきなり空の穴に破魔の矢を撃ちこめば良かったものを、わざわざ一声かけて…ったくヘンな連中だぜ。』とさも嫌そうな目線で言う白夜、お前はどうなんだ? 単にそういう犬夜叉達の行動が理解できないだけの存在なのか? 鉄砕牙は斬った物の妖力を取り込む刀。『すげえ力が流れ込んできた…』と呟いた犬夜叉の前に神無が妖を連れて立つ。以前の金禍の行動が連想されます。何かを言葉で語るのか、神無よ。
かごめ贔屓としては、今週は『攻撃をやめなさい! 穴を撃つわよ!』で矢を放ったところでしょう。初対決時、神無の鏡でも吸いきれなかったかごめの魂。そのヒロインが撃った矢は、鏡の影を消すという犬夜叉への好アシスト。やっぱり大きな働きをしてくれて嬉しい。右腕まで犠牲にした神無に『どうしてここまで…』の表情も印象的でした。ラストのコマで神無の痛々しい姿を犬夜叉と並んで見る二人の顔も本当によく似ています。
週刊少年サンデー46号掲載・第478話「鏡の影」
鏡の妖の顔面に食い込む鉄砕牙…しかし飛び退いた犬夜叉の前でまたしても傷が修復される。洞穴の外にいる神無の右目と顔に亀裂が入った様子を見た犬夜叉達は、妖が受けた攻撃を神無が代わって受けていることに気付き、かごめはもうやめろと忠告。次の一撃でお前が壊れるぞとの犬夜叉の怒鳴り声にも構わず、神無は妖を動かして攻撃続行。今度は妖の巨大な鏡が犬夜叉の周囲に影を作り、空から強烈な衝撃波をぶつけてくる。体を切り刻まれて倒れ込む犬夜叉。妖の胸にある鏡と同じ模様が宙に浮かぶ。弥勒がかわせと叫び、犬夜叉が移動しても鏡の影が追ってきて第二波をくらう。妖に斬りかかると即座に影が正面に移動。跳ね返されて弾き飛ばされる犬夜叉。
白夜は自分なら妖と繋がっていることがわかった時点で神無を狙うと一言。隣の神無が怒るかと見ても無反応。妖力を奪われている鉄砕牙だから、むしろ犬夜叉が受けた反射攻撃のダメージは軽減されていたのだ。弥勒は風穴で妖を吸い込めば鉄砕牙の妖力ごと消失させてしまうため歯軋り。苦戦する犬夜叉の頭上から妖の第三波が来て、鉄砕牙で受け止めると結界は機能。神無の胸に大きな傷が入る。それでも第四波。懸命に受け止めた鉄砕牙にはついにヒビが入る。同じように亀裂が深まっていく神無の体。
奈落は神無に鉄砕牙が折れるまで攻撃を緩めるなと指示。それが神無が生まれてきた意味だというのだ。相打ちさせる気だとかごめは気付くが…以下次号。
やっぱり特攻指令だったか。奈落にとっては自らの分身は単に使い捨ての駒でしかない。何も言わずに皆無の目で攻撃を続ける神無の心中は、一瞬だけ自由を得た妹・神楽への鎮魂なのか。鏡の妖は敵の能力のコピーだけでなくオリジナル技も強力。標的をとらえると影のようにつきまとい襲ってくる。弥勒が風穴を使えば鉄砕牙の妖力も一緒に消失する。どう転んでも犬夜叉の武器を葬り去れるという、計算づくの戦法が憎たらしい。しかしここに至るまでこの手を使わなかった以上、何らかのリスクが奈落の方にもあるはずなんですが。
『おっと怒るなよ。俺が敵だったらの話だ』と白夜がフォローしても神無は無反応。こいつ本当に何も感じてねえのか…とは白夜、貴様にも言えることだと思うが。体が防衛反応で妖怪化していることと、鉄砕牙の妖力が奪い取られていることが反射のダメージに耐えられた理由。妖怪顔でも犬夜叉はその事実を正確に把握していますが、防戦一方に追い込まれた。
かごめ贔屓としては、今週は『このまま攻撃を続けていたらあんたが死んじゃうんじゃないの!?』の表情でしょう。神無が鉄砕牙の結界によって衝撃波のリバウンドを受ける様子を見た時の顔にも悲しみが浮かぶ。ラストのコマで奈落の狙いに気付いたヒロイン、次週は何かやってくれそうです。
週刊少年サンデー45号掲載・第477話「犬夜叉の妖力」
鏡の妖に振り飛ばされた犬夜叉だったが、金剛槍は弥勒達の周囲に散る。鉄砕牙が持つ守護結界が作用したのだ。抜け殻ではない…駆け寄ったかごめが見た犬夜叉の横顔は妖怪化していた。命の危険が迫ったために妖怪の血が抑えられなくなったのかと危惧する弥勒に、頭ははっきりしていると返す犬夜叉。鉄砕牙は自分の妖力を求め、自分と一緒に闘おうとしている。妖の二発目の金剛槍破を正面から受けて弾き飛ばした犬夜叉は跳躍して鏡の妖の左肩に一撃。ありったけの力を加えて妖はグラつくが、その体には傷がつかない。洞穴の外から様子を伺う白夜は犬夜叉の顔の変化を訝しむが、隣の神無の左肩に大きな傷が入る。妖の受ける衝撃を全部引き受けているのか、と呟く白夜。
噴火口に隠れる奈落は状況を把握していた。命惜しさに妖怪化したか、と独白した奈落は鏡の妖が持つ鉄砕牙の竜鱗を発動させる。妖穴を斬る気かと悟る弥勒。自分で育てた刀に斬り捨てられよ、と神無を通じて妖を動かす奈落。鉄砕牙はお前に使いこなせる代物じゃない、と犬夜叉は妖穴ごと跳躍。敵に近づかねば妖穴は斬れない、素早さなら犬夜叉が上だと叫ぶ七宝。犬夜叉は妖の太刀筋をかわし、正面からその顔面に力づくの一撃を加えるが…以下次号。
犬夜叉は段階を踏んで着実に成長を続けます。妖怪の血が前面に出てきても、それを統御するだけの強い自我を身につけていました。数多くの経験と仲間から得たものを力に変え、唯一無二の鉄砕牙の使い手になったのです。彼が自らの血の暴走を抑え込み、半妖であるがゆえのコンプレックスを払拭して人格を確立できれば、きっと桔梗も浮かばれます。それはともかく七宝の「解説」がえらく的確だよなあ今週は。
奈落の目、直接的には最猛勝なんでしょうが事実上は神無の体を楯にしているのが明白。どこまでも悪役らしい悪役です。やってきた数々の謀略は結果的に主人公の成長を促し、仲間達との絆を強化してきたというのも王道ですね(^^;)。神楽とも神無とも、当然ながら悟心鬼や獣郎丸や魍魎丸とも異なるタイプの分身・白夜は、楯にされる神無を目の当たりにして何を思うでしょうか。彼が奈落に対して何らかのアクションを起こした時が最終シリーズの幕開けかもしれません。神無はもはや生還を期していない覚悟なのか、捨て石にされることを承知で鏡の妖を動かすのか。
かごめ贔屓としては、今週は『犬夜叉、わかるの? 私達のことが…』の表情でしょう。彼女がその心を支えてきた主人公は確実にステップアップしていきます。鏡の妖を撃退できたら、彼の成長を喜ぶ顔を見せてほしい。
週刊少年サンデー44号掲載・第476話「敵は鉄砕牙」
弥勒は神無の鏡が変化した妖なら、右手に出現した鉄砕牙にも何かあると警告。犬夜叉は幻に惑わされるかと金剛槍破を撃つがやはり何も起こらない。神無の右手の動きに連動して鏡の妖は鉄砕牙を振りかぶる。振り下ろした先から出たのはまぎれもなく風の傷。咄嗟に雲母と風船玉変化の七宝が皆を背負って上に逃げる。姿だけでなく妖力まで、と衝撃を受ける犬夜叉。
山中の洞穴に身を隠し結界を施す弥勒。鉄砕牙は妖力ごと鏡の能力で写し取られ、犬夜叉が持つのは抜け殻なのか。鏡の妖を倒して妖力を取り戻すためには、鉄砕牙と戦うことになる。ビビる七宝に憎まれ口の犬夜叉。最猛勝数匹に続いて鏡の妖が洞穴の外に出現。手に持つ鉄砕牙が赤く変化。結界破りの能力で弥勒の施した結界は切り裂かれる。珊瑚が飛来骨を飛ばして妖の頭上の岩を砕く。落下する岩塊で妖の動きが鈍ったところにかごめが矢を撃ち込むが、喉元に突き立ったはずの矢は消滅。しかし外で様子を伺う白夜の隣にいる神無の首に傷跡とヒビが生じる。どうしたと聞く白夜を無視して神無は右手を伸ばし攻撃続行。今度は鉄砕牙が金剛槍に変化。犬夜叉は振り切らせまいと、止める弥勒と七宝に構わず飛び出して鏡の妖の鉄砕牙を自分の鉄砕牙で止める。金剛槍が無数に飛び出すが…以下次号。
単に相手の武器をコピーするだけでなく、能力を奪い取るとは恐るべき力。無言で妖を動かす神無の表情には、何か自らの死を覚悟しているかのような雰囲気があります。鏡を開放するというのはいわば特攻指令を意味するのでしょう。かごめの矢は妖本体が無傷に見えても神無の首にダメージを与える…こりゃまるで以前少○ジ○ン○誌で長期連載になった「○O○Oの○妙○冒○」の「ス○ン○」じゃないか。鏡の妖も神無も、感情を持たない人形のような目をしてて喋りもしないから怖い。間違いなく消耗戦になるでしょう。
『やつと闘うということはつまり…』『鉄砕牙と闘わねばならないということだ』『なんでい七宝、こわいのか? おめーもちっとはおれのすごさがわかってきたみてーだな。』『アホーっ、なに呑気なこと言っとんじゃい!』…これだけ緊迫している時でもへらず口の犬夜叉も、笑いを忘れない原作者も凄い(^^;)。しかし特攻的な闘いといえば犬夜叉が本家本元。仲間を守るためにはどんなに不利だろうが危険だろうが身を挺して立ち向かうからこそ主人公なのです。
かごめ贔屓としては、今週は珊瑚が敵の動きを止めたところにすかさず矢を撃つ連携プレーがヒット。梓山の弓は大型ゆえに、以前に比べてコマの中でも目立ってるように感じます。力技バトルになるとどうしても脇役になりがちですが、チャンスはあるぞ。
週刊少年サンデー43号掲載・第475話「鏡」
火山の噴火口の中に身を潜める奈落だが、右手の中にある四魂の玉に一点だけ残った清浄さがどうしても消えない。その光に桔梗の霊力と我が身への脅威を感じた奈落は、最猛勝数匹に見張られる神無のところに白夜をやり、犬夜叉達のところに行って鏡を開放しろと命ずる。
日暮れに山の中でおかしな光が続くという話を聞いた犬夜叉達はその場に向かう。光はあっても妖気を感じない弥勒。山中の湖で光っていたのは神無の鏡。その中から奈落の金剛触手のようなものが出てきて、人型の体と化す。これは鏡の妖…向こう岸に立つ神無の姿を見た犬夜叉が鉄砕牙を抜くと、神無は黙ってそれを指さす。鏡の妖の黒い目が光り、犬夜叉が風の傷を放つがいつもの衝撃波が出ない。驚くかごめ達の前で鏡の妖の右腕にもう一本の鉄砕牙が出現して…以下次号。
灼熱の火山の中に隠れるとは奈落もさるものだ。死してもなお自らの命を脅かす桔梗の霊力が、四魂の玉の中に一点の清浄さとなって残る。どこまでいっても天敵との縁は複雑に絡む。ゴッと吹いた風に一瞬神楽のことをを思い出す神無。感情らしきものを出さない彼女も、妹への想いはやはりあった。生まれたのが一番後の分身ながら、白夜は神楽の能力と雰囲気を受け継いでいるのかもしれません。鏡を開放すると、相手の武器をコピーできるということか。これほどの力があるのならなぜ今まで使わなかったのかと思いますが、おそらく奈落の方にもかなりのリスクがある最終手段なのでしょう。それだけ危機感が強いということです。鏡を背負うこの妖、能力はどれだけ持続するのか?
人助けには反対するはずの犬夜叉が文句を言わないのを不思議がる七宝。憎まれ口で返す犬夜叉を、だいぶ元に戻ってきたと評する珊瑚。こうでなきゃ皆も調子が狂いますからね。見た物を複製する力を持つ敵では迂闊に武器を使えない。ここは弥勒の頭脳で切り抜ける必要があるか。
かごめ贔屓としては、今週は『なにかしてないと不安なのよ。みんな同じでしょ』に俺は不安じゃねえと犬夜叉が反論すると『はいはいそうね。』ですね(^^;)。あやし方もすっかり板につきました。
週刊少年サンデー42号掲載・第474話「傷ついた心」
心臓を掴みだしてやる、と花皇が犬夜叉をたぐり寄せると、数珠のかかったかごめの矢が飛んできて蔓の束を粉砕。ちぎれた花皇の頭部は花の中に潜り込む。柱に突き立った矢を見て犬夜叉が屋敷の外に飛び出すと、蔓に体を巻き取られるかごめが。抱き起こしたところへ、この娘の傷ついた魂はより美味だと花皇の声。悲しませているのは…と声が響いたところで目を覚ましたかごめは屋敷の奥を睨みつけ、覚悟しろと啖呵を切って第二矢を放ち花の群れを浄化。三発目の矢で屋敷の中から花が消えると犬夜叉は庭を見回し、地中からかごめの背後に蔓ごと出てきた花皇の頭部を鉄砕牙で横凪ぎに切断。これで花皇は滅び無数の花も次々と消失していく。安堵する弥勒達。
血の涙の跡を見たかごめは油断したと自嘲する犬夜叉を気遣う。桔梗の夢を見た、一緒に行こうと言われたがかごめの声で目が覚めた、桔梗を死なせた苦しさがあっても辛いと言えなかった、自分のことばかりでかごめの辛さに気付かなかった、と詫びる犬夜叉。かごめは、戻ってきてくれただけでいい、桔梗の事は皆の痛みだが一番苦しんでいたのは犬夜叉だと答える。おまえはなぜそんなに強いと問われて、強くなんかない、と一喝するかごめ。
クシャミと鼻水は自分だけかと言う七宝に、バカで悩みがないからだろと犬夜叉はへらず口。犬夜叉が暗いから気遣っていたのだと珊瑚がフォロー。悪かったなと嘯きながらも、もう大丈夫だと独白する犬夜叉の横顔をかごめが見つめて…以下次号。
今回もかごめ贔屓視点で書けることに大感謝。どうだ見たか! 彼女を本気で怒らせたらこうなるのだ。『…黙ったわね。今私が何を考えてるかわかってるのね? 花皇! だったら覚悟を決めなさい!』『人の心をのぞいて発表して面白い!? 私が何に傷ついていようが、あんたに喰わせる不幸はないわ!』…よくぞ言ってくれました。スカっとしたよ。梓山の弓から放たれる破魔の矢の威力は明らかに強化してますが、まだまだ潜在能力がありそうです。犬夜叉が怒りを覚えるもの、それと同じものにかごめも怒る。偽善まみれの下衆妖怪が見たものは、邪悪なるものを跳ね返すヒロインの強靱な自我。頭だけが人型だったらしい花皇は司令部をぶった斬られて消滅。仕留めたのは犬夜叉でも、実質はかごめの勝利でした。
桔梗を死なせてしまった自責の念を抱え込んでいた犬夜叉。辛いと言えなかったのも彼の底なしの優しさとトラウマゆえでしょう。夢で一緒に行こうと言われたと聞き『行きたかった?』と尋ねるかごめの顔が痛々しい。『いい…犬夜叉が戻って来てくれたから…』と『強くなんかないわよバカっ!』と『…どうしてそんなに優しいんだ。でしょ?』の表情のコントラストが素晴らしい。あの犬夜叉が『優しいのか?』とビクつく様が実にコミカルで可笑しいんですけど、かごめの最大の魅力はこうして犬夜叉と仲間達に“いつもの風景”を取り戻させるところなのです。時々叱咤激励する姉になり、自分以上に彼の身を案ずる母になり、なにより大事な友人になる。そのへんの浮ついたカップルには絶対マネできない、なにかを持ってます。
締めの1ページ、七宝のツッコミに憎まれ口で返す犬夜叉が戻ってきました。すぐにふっきれるものではなくても、一度は自覚して伝えておかなければならなかった桔梗への痛み。もう大丈夫だ…という犬夜叉の心の声が穏やかにかごめと視線を交わす。さて次週からいよいよ最終章でしょうか(って、こう書くのもう何回目だっけ^^;)。
週刊少年サンデー41号掲載・第473話「血の涙」
花皇は犬夜叉が抱える心の傷をえぐり始める。この世で一番愛していた女が死んでしまった。その後を追って死んでしまいたいくらいに悲しい…激怒する犬夜叉を無数の花の蔓が絡みとり、花に覆われた地面の中に引きずり込む。同時に花皇の姿も消え、残されたかごめに近づく花の蔓は、弥勒が渡した魔除けの数珠によって遮断される。花皇の言葉を反芻し、悲しみで涙を滲ませるかごめ。
犬夜叉の周りに無数の花。甘い香りで覆われたその先に桔梗がいる。振り返り、一緒に行こうと手を差し伸べてくる桔梗…蔓に全身を巻き取られ、屋敷の中の柱に縛られた犬夜叉は血の涙を流していた。泣きながら犬夜叉の名を叫び走り出すかごめは屋敷を覆う結界に弾き飛ばされる。弓を引き、矢を放っても結界は揺らぎはするが破れない。安らぎの涙を流し尽くして幸せな土になるのだ、と花皇が満足そうに言った時、かごめの声が耳に届いた犬夜叉の指が動いて拳を作ると、蔓を引きちぎって花皇の顔面に強烈な一撃をくらわす。凹んだ頬で戸惑う花皇を怒りの形相で睨みつける犬夜叉。あなたの望む夢を見せただけだ、と呟く花皇の胸に二発目のストレートをぶち込むと、その体は蔓の集合体だった。そのまま犬夜叉の拳を捕らえ、正体を現して口が裂けると舌も無数の蔓の束と化し、犬夜叉の胸を突く花皇。かごめは結界を破るべく、護身の数珠を矢尻にかけて再度矢を放つが…以下次号。
『死んでしまったのですね。この世で一番愛していた女が…悲しいのですね。その女の後を追って死にたいくらいに…』これほど犬夜叉の心を逆撫でする言葉はない。彼の心の痛みを共有するかごめも、二重の意味で悲しませる。これは奈落以上にムカつく敵です。花皇の本体は蔓そのものなのか。表層を美しい花で覆い、甘い香りを漂わせ、ご丁寧にも育ちのいい貴族風の姿で人を幻惑し、すべての養分を吸い取って土に変え、自らの肥やしにしてしまう。しかも幸せにしてやるのだとぬかす…不快感は頂点だ。
桔梗の存在がどんなに犬夜叉の中で大きいものであるか、二度目の死を経て天に還った後もこれほどまでに強調されるとは。高橋先生が描く今週の犬夜叉は、あまりにも純粋で熱愛体質であるがゆえに“悲痛”そのものです。花皇をぶん殴って『てめえ…ごちゃごちゃうるせえ…』と血の涙で睨んだ表情が凄まじい。何が望む夢だ胸糞悪い。竜の逆鱗に触れた薄汚い妖怪の末路がどうなるか、思い知るがいい。
かごめ贔屓としては、今週は犬夜叉と同じでひたすら悲痛です。『花は…私の心に触れないんだ。だから…悲しいままなんだ。』の横顔。『一緒に死にたいなんて…そんなのだめよ。犬夜叉…どこにいるの!?』の泣き叫ぶ表情。結界に矢を撃ち込み、犬夜叉の名を叫ぶところ。護身の数珠を手放してでも結界を破ろうとする捨て身の行動。花の蔓はかごめの足に絡みつく。ヒロインの想いは主人公に必ず届く。次週は巻頭カラー、蔓風情がかごめの心の傷を吸おうとするなら、二人で百倍返しにしてやれっ!
週刊少年サンデー40号掲載・第472話「花皇」
皆が床についた後も、犬夜叉は一人嫌な花の香りに眉をひそめる。心が逆撫でされるような甘さ。かごめは桔梗が消えたあの日から眠っていない犬夜叉を案じる。クシャミして目の痒みを訴える七宝。豊かそうでもないのに旅人用の宿まである村、その花はやはり妙だ。外に出てきた数人の村人達。その足下から花の蔓が伸びて彼らの体につく。恍惚となりながら血の涙を流すその姿にかごめが驚いた時、弥勒は捨て置けないと護符を飛ばして花を消す。倒れ伏した人々の元に駆け寄ると、どういうわけか人の形をした土の群れができていた。花の苗床だという声とともに花皇が姿を現す。起きあがった村人達は、土になりそこねたと口々に話す。妖怪だなと睨む犬夜叉だが、花皇にも周囲にも妖気をまったく感じない。貴方達の感じるものは安らぎのはずと語る花皇。花の匂いを嗅ぐなと叫ぶ犬夜叉。気を失って倒れた珊瑚を、行方知れずの弟のせいで不幸だと憐れむ花皇。伸びてくる蔓を護符ごと錫杖で突いた弥勒には、体の悩みで死ぬのが怖いかと語りかける。花に身を委ねれば幸せになれる、と妖しげに話す花皇に犬夜叉は風の傷を一閃。
姿は消えたが血痕が一つ。手傷は負わせたと臭いを追おうとする犬夜叉だが、かごめは弓を持ち出して一緒に行くと言う。珊瑚を抱き起こし、人の悲しみや苦しみの心を養分にしている相手だと危惧する弥勒は、かごめに魔除けの数珠を渡す。犬夜叉は、俺は人間ほど神経が細くないと強がって駆け、臭いを辿って花皇の館に踏み込む。余裕で歓迎する花皇は傷一つ負っていない、血は招待状代わりと嘯く。犬夜叉の足下の花は血の色のように真っ赤に染まる。背後で驚くかごめ。犬夜叉の体が動かなくなり…以下次号。
あからさまな暴力を振るってくる敵よりも、甘ったるい快楽で心をとろけさせる敵の方がある意味物騒で怖ろしいものです。『ああ、幸せじゃ…心が楽になる…』と呟きながら花に何かを吸い取られる村人達が目から血を流す光景は何の暗示なんでしょうか。苗床とはどういう意味か。無数の花は人間を土に変えて養分にし続ける。花皇と名乗るこの男、妖怪ならば本体はどこだ。その姿からも花からも妖気が発せられないとすれば、あの沼渡のように村の土地全体が体なのか。
いちいち心の中身を見透かされることほど不愉快なものはない。桔梗を失った悲しみと苦悩を引きずる犬夜叉は、花皇にとっては絶好のカモ。足下の深紅の花は明らかに犬夜叉の心を縛る。強がれば強がるほどやられるぞ。突破するにはかごめの力がいる。心の支えとは何であるのか、きっと描いてくれます。
かごめ贔屓としては、今週はクシャミの七宝にティッシュあてて『ハナかんで』、その症状に『花粉症?』(犬夜叉は『なんじゃそりゃ』…当然だわな^^;)のコマですね。梓山の弓は大型ゆえに持ち歩く姿に変化を与えています。その真価が試される時が来ました。花皇の本体をつきとめろ。どこかに必ずヒントと隠した尻尾があるはずだ。ヒロインに見えるのは、四魂の欠片だけではないことを示してください。
週刊少年サンデー39号掲載・第471話「慈悲の心」
横たわるりんを本当に死んでしまったのかと見下ろす琥珀と邪見。りんがこうなることを知っていたのかと睨む殺生丸に対して、母は父の言葉を語り始める。天生牙で死人を呼び戻せるのは一度限り。本来限りあるものを何度も救えるような軽々しいものではない。使い手が知るべきものは愛しき命を救おうとする心と同時に、それを失う悲しみと恐れ。癒しの刀である天生牙は、武器として振るう時も命の重さを知り慈悲の心を持って敵を葬る、それが使い手の資格なのだ。邪見は慈悲の心を知るためにりんが死なねばならなかったのか、と涙を流す。仕える主人が泣かぬ気性ゆえに自分が代わりに泣くのだと言う邪見るを見た殺生丸の母は、二度目はないと思えと言いつつ冥道石をりんの首にかける。冥道石からあふれ出したのは冥界に置き去られていたりんの命…やがて心臓が動き出し、りんはゆっくりと目を開ける。息を吸い込んで咳き込むりんの頬に静かに手をあて、もう大丈夫だと囁く殺生丸。主人に代わり礼を述べる邪見に、変なところが父親に似たものだと語る母。
奈落を滅することができるのは殺生丸だと確信してついて行こうと決める琥珀。去り際、殺生丸の母は琥珀に声をかける。生身の人間なら冥界の中で生きられるはずがない…四魂の欠片で命を繋いでいるという琥珀の言葉に、お前も天生牙では救われない命だと覚えておけと返す母。
旅を再開した犬夜叉一行に不思議な香りが届く。花に取り囲まれた村だ。かごめや珊瑚にはいい香りだが、犬夜叉と七宝は甘ったるいと不快感。旅の途中なら泊まっていけと明るく声をかける村人が、旅人専用に建てた家に案内。じっとしている方が辛いと呟く犬夜叉を、まだ桔梗の死から立ち直っていないと見つめるかごめ。新たな旅人を泊めたと報告を受けた花皇と呼ばれる貴族風の男が、傷ついた魂のいい香りだと妖しく呟き…以下次号。
やはり犬兄弟の父は偉大な妖怪でした。冷徹な心を持つ殺生丸は、天生牙を二つの側面で使いこなす必要があった。限りある命は何度も都合によって左右できるものではない。『そなた、神にでもなったつもりだったのか? 天生牙さえあれば、死など恐るるに足りぬと』。この母の言葉は、我々読者にも痛烈に響きます。悲しみと恐れを知り、命の重さを知り、怒りのみならず慈悲の心を持って敵を葬れ…偉大な遺言です。殺生丸の母はやはりすべてを承知のうえで、冥道石から冥界の犬を呼びだしたのです。口で言って納得する気性でない息子には皮膚感覚で悟らせるしかない。おそらくりんの命は一時的に冥道石の中に留められていたのでしょう。冥道の月は慈悲の心によって広がる。真の円になる時は、殺生丸がもっと悟りを開いた時なのでしょうか。
りんのために泣いた邪見、『殺生丸様はどんな時でも涙を見せぬご気性ゆえ、この邪見がかわりに…』長く行動を共にするうちに身内意識が出てたんですねえ。邪見は七宝と同じで、凄く人間に近い妖怪なんじゃなかろうか。『悲しいか?』『喜んでいるのか?』と母がわざわざ聞かねばならないほど表情を変えない殺生丸ですが、息を吹き返して咳き込むりんに手をあてる彼の目には、間違いなく優しい光が宿る。ほー…と息を吐くりんの目がまた可愛い。『人間の小娘一匹にこの騒ぎ…変な所が父親に似てしまったな』の言葉に、生前の父とこの母の大妖怪ゆえの仲、感情の幅広さが漂います。人間である犬夜叉の母への感情は、戦国大名の正妻と側室みたいなものだったんだろうか? 琥珀もまた天生牙では救われぬ命…死んでから時間が経ちすぎたのか。耳にした殺生丸は何を感じたか。『覚えておきます』と答えたこの珊瑚の弟は、最終回でどういう運命を辿るのでしょうか。
久々に主人公の顔を見ました。『甘ったるくてクラクラするぜ』とはまた何やら暗示的なセリフです(^^;)。花皇と呼ばれる男の正体は妖怪っぽい。甘い香りで人間を幻惑し、魂を吸う類の妖なのか。今度はどんなメッセージが込められるエピソードでしょうか。
かごめ贔屓としては、今週は珊瑚におすわりはと問われて『…やめとく』の一コマですね(びく、となった犬夜叉の顔がいい)。桔梗の死はそう簡単に割り切れるものじゃない。今度の敵が魂の傷を食い物にする奴だとしたら、ヒロインの役割に期待します。
週刊少年サンデー38号掲載・第470話「帰還」
殺生丸は天生牙を抜いてりんの体を握る冥界の主の右腕を両断。消滅していく腕ごとりんを抱き留めた殺生丸はりんに起きろと呼びかける。この様子を冥道石で眺める殺生丸の母は、主を斬ったのに生き返らないということは、あの娘が一度蘇生しているのかと邪見に問う。名前を覚えてもらえないことに不満な邪見が肯定すると、天生牙で命を呼び戻せるのは一度だけだ、と言葉が返る。
りんは目を覚まさない。殺生丸の手から天生牙が落ちる。救えないのか、こんな物のためにりんを死なせたのか、と激しい怒りを感じる殺生丸。天生牙が緩やかに光を放ち、死人の山が崩れるように殺生丸とりんの周囲を取り囲む。驚く琥珀が見たのは地に突き立った天生牙に縋り付くように集まる無数の死人達…救われたいのか、と殺生丸は再び天生牙を手に取り顔面にかざす。脈打った天生牙は死人の山を次々と浄化していく。冥道石を通じてこれを見つめる母。すると殺生丸とその母の眼前に巨大な穴が出現する。冥道が内側から開いたのだ。りんを抱き、琥珀を連れてそこから出てきた殺生丸を邪見が涙目で出迎え、母は戻ったかと一言…以下次号。
『そこへは行かせん! 連れて帰る!』『りん…起きろ!』『救えんのか! なんの価値がある!? 天生牙…こんな物のためにりん…おまえを死なせてしまった。りんの命と引き替えに得るものなど…なにもない!!』…なにが驚きといって、これほどまでにあの殺生丸が感情を露わにするとは! あの殺生丸が刀を取り落とすとは! りんという一人の人間の少女の存在がこれほどまでに大きなものだとは…彼の自らへの怒りと底知れぬ哀しみが天生牙を覚醒させる。父が刀々斎を通じて息子に与えたこの刀は、彼の真の力を引き出す素材だったのです。縋り付く死人達に示した殺生丸の慈悲の心が冥道を開く。りんを抱きかかえて天生牙をかざす殺生丸の目には、これまでになかった優しさが宿っています。…凄い。やっぱり素晴らしい作品です【犬夜叉】は。今更ながらこの作品をこうして毎週追い続けられることを誇りに思います。
『小妖怪』『邪見でございますが…覚える気ないんですなあ…』この笑いを誘う二人の会話も、殺生丸がりんと琥珀を名前で呼ぶことの重みを伝えるエッセンスになってるんですね。ケロリとして『戻ったか…』と呟く母の真意はいかに。りんはもう目を覚ますことがないのでしょうか。大きすぎた代償を殺生丸はどう受け止めるのか。桔梗に続いてりんも退場ならば、いよいよ物語は最終章突入です。
週刊少年サンデー36&37合併号掲載・第469話「冥界の主」
りんの体が冷たくなっていると話す琥珀。殺生丸はりんを降ろせと命じて天生牙を抜くが、あの世の使い達が見えない。斬る相手がいないのでは娘は死ぬしかない、と言い放つ殺生丸の母。殺生丸は心中で天生牙になぜだ答えろ、と怒る。この娘を連れてくるべきではなかった。最初に天生牙を使った時に人里に残しておけば、とさすがの殺生丸も悔やんだ時、背後の闇が不気味に膨らんで三人を覆う。音が響いてりんの体が消え、ついに殺生丸は闇に踏み込み、琥珀も後を追う。泣き叫ぶ邪見に殺生丸の母は、息子が刀の修行で命を落とすのも無念だとして冥道石をかざし、冥界の中に外界への道を開く。
母は息子に、まっすぐ進めば出てこれるが、この道が閉ざされれば二度とこの世には戻れぬと忠告。殺生丸は琥珀にこの道を行けと命じて自らは踵を返し、りんの匂いを辿って別の道へ進む。琥珀は自分も行くと殺生丸についていく。母はこれを見て、可愛げがない、戻ってこなくていいと捨てゼリフ。邪見はひたすら涙。殺生丸と琥珀の先には死体が腐った臭いが漂う。りんを右手で掴んだ闇の巨人がゆっくりと歩き、その先には死体の山が…この巨人が冥界の主なのか。殺生丸はりんを連れて帰る、と断言し…以下次号。
冥界ではわざわざあの世からの使いがやってこないのか、それとも天生牙はまだ何かを伝えようというのか。自分がついていながらと詫びる琥珀に『黙れ』と一言の殺生丸。彼はあくまで辛辣ですが、この威厳は誰をも寄せ付けません。りんが姿を消すやいなや、その方向を睨みつけて進む表情がこれまた恰好いい。
邪見を名前で呼ばずに「小妖怪」と呼ぶ殺生丸の母。おそらくこの母子、名前を呼ぶのは自分がその存在の価値を認めた相手だけなのでしょうね。冥道から抜け出す道を開いてやるのも試しの内なのか、『あんなやつ戻って来なければいい。母の親切を無視しおって。まったく可愛げがない』と冷徹に言い放つこの母上、やっぱり凄いわ。そして琥珀もまた殺生丸に名前で呼ばれた。これは大きな意味を持ちますよ。かごめも弥勒も珊瑚も、彼に名前で呼ばれたことはないんですから。
冥界の主は自らりんを連れて行くのか。あの世から呼び戻した時に人里に返すべきだったとまで悔やんだ殺生丸が、最後のコマで『連れて帰る!』と独白した表情の凄まじいことといったらないです。これは彼の誇り、父の血統の気高さ、そして人間の感情で語ろうとすると安っぽく感じてしまうほどの、りんという少女への底知れぬ優しさ。さすがは主人公の兄、身が引き締まる思いをしましたよ。いいところで次週はお休みです。
週刊少年サンデー35号掲載・第468話「冥界の闇」
冥界の犬の腹の中に見える琥珀とりん。その近くにやってくるのはあの世からの使い達。殺生丸は天生牙を抜いて彼らごと犬の体を斬る。真っ二つになった体の中から琥珀とりんの体が出てくる。りんにまだ息があることを確かめて安堵する殺生丸。
冥道石によってその事態を見続ける殺生丸の母から、冥界の妖を天生牙で斬ったことを告げられた邪見は、りんの命に関わることがあったのかとどぎまぎ。あの人間の娘は何だと訊かれても、長年仕える自分よりも優遇されていることしかわからないと答える。殺生丸の母は、小娘は死ぬと冷徹に言い放つ。冥道を抜け出さなければ殺生丸も同じだと。
気が付いた琥珀はりんを見下ろす。四魂の欠片の力でここでも動けるか、と一言の殺生丸は、背後の道が崩れて上空と崖下から襲ってくる冥界の妖達を次々と撃退しつつ、琥珀にりんを連れて走れと命ずる。一本道が崩される中で琥珀とりんを抱えて跳ぶと、手間をかけさせるなと叱責。進むほどに背後の道は崩れ、妖達が襲ってこなくなる。この先に冥道残月破を育てる何かがあると感じる殺生丸。
しかし殺生丸の母が言うには、進むほどに戻る道は崩れて行き着く先は冥界であり、何もありはしない、冥界の真の闇に踏み込めば二度と戻ってはこられぬと。琥珀はりんが息をしていないと呟き、殺生丸の顔色が変わる。真の闇は殺生丸の目の前に来ている、と母が独白して…以下次号。
冥界で癒しの天生牙は強力な力を発揮。冥道残月破ではびくともしなかった犬が真っ二つです。それにしてもこの母君、あくまで冷静沈着に息子の所業を観察し続ける。これは亡き父の遺言なのか、それとも…。冥界でも動けるとはさすが四魂の欠片の力。琥珀は忠実に殺生丸の言葉に従う。上空からは父の墓に飛んでいた骨の鳥、崖下からはやはり目のない海蛇が襲いかかる。わざわざ道を壊すために。退路が次々と崩れていくなら進むしかないわけです。『この腕は…刀を振るうためのものだ』隻腕の殺生丸の一言は実に重い。人間の子供の命など、冥道を一歩進めば風の前の蝋燭の火のようなもの。りんの呼吸が止まっているとの琥珀の言葉に殺生丸は立ち尽くす。すぐ眼前には真の闇。踏み込めば二度と戻れぬ冥界の闇。
殺生丸の父はこの試練で何を試しているのでしょうか。神楽の死を見届けて殺生丸は他の者のために怒ることを覚えた。天生牙を真に使いこなすためには、彼にあと何が必要なのか。父の墓守・宝仙鬼は金剛槍破を犬夜叉に与えた時、刀の強化だけに固執していればお前の命は断たれていたと語っています。あの時その場にいた殺生丸は、奈落の瘴気がかごめ達に降り注ぐことを承知のうえで平然と闘鬼神を振るったわけですが、立場が変わって自らにその局面が来たのです。父が息子の生死を賭けて伝えようとするのは“哀しみを知ること”なのでは…。
週刊少年サンデー34号掲載・第467話「冥道」
弥勒と珊瑚に桔梗の遺言を話すかごめ。「琥珀の光を守れ」とは最後の四魂の欠片が清浄であれば奈落を倒す武器になるということなのか。犬夜叉は空を見上げて殺生丸ともう一匹の妖怪の臭いを嗅ぎ取る。
殺生丸は雲の上で母の宮殿に出向いていた。人間嫌いの息子が人間の子供を二人も連れていることを揶揄する母に、殺生丸は天生牙の冥道を広げる方法を問い質す。母は息子が尋ねてきたら冥道石を使え、使えば殺生丸が危ない目にあうが恐れたり悲しんだりしてはならぬという父親の言葉を伝える。心配だと言う母に殺生丸が冷めた目で言い返すと、冥道石が光って巨大な黒い犬が飛び出してくる。冥道残月破で斬る殺生丸だが犬はびくともせず、母は円にはほど遠い、冥界の犬には毒にも薬にもならんと一言。犬は琥珀とりんを瞬時にさらって冥道の中に飛び込む。後を追おうとする殺生丸を、人間を救うために冥道に踏み込むとは優しくなったものだ睨む母。犬を斬りにいくだけだと一言残して殺生丸は冥道とともに消える。閉じれば生きて戻っては来られないのにと嘆いてみせる母に邪見は右往左往。
真っ暗な冥界に一本道。そこを走る犬に殺生丸は毒華爪で一撃するが、道が砕けたのみ。目のない犬の体に気を失った琥珀とりんの姿が浮かび上がる。殺生丸の身を案じて泣きわめく邪見に、刀の成長に犠牲は当然だと嘯く殺生丸の母…以下次号。
琥珀の最後の欠片にはどんな切り札が隠されているのでしょうか。ともかく一行の次の行動は決まりましたがまさかその琥珀が雲の上とは。『人間の子供を二人も連れて…エサにでもするつもりか?』『どうする殺生丸? 母は不安でならぬ』『ならば、楽しませてもらおうか』『殺生丸、どうやらそなたの刀は毒にも薬にもならないようだな』『人間を救うために…ずいぶんと優しくなったものだな』『冥道が閉じたら最後、生きて戻っては来られない。ああ、だから行くなと言ったのに』『泣くなうるさい。刀の成長に多少の犠牲は仕方ないだろう』…どれをとっても普通じゃないこの母上。冷徹なのか極端に誇り高いのか、ある意味さすが彼の母というべきか。とにかくいろんな意味で凄いキャラです。
冥界には一本だけ道があるわけですか。琥珀とりんは喰われたのか単に背中に乗っかっているのか不明です。この冥界の犬とやらには実体がないのでは? 目がないのがまた不気味。りんを庇った琥珀の左手の位置がちょっと際どいのですが(^^;)、二人の間にある三日月型の裂け目は何だ? ただならぬ事態になっていそうな感じです。
かごめ贔屓としては、今週は『わからない…桔梗がなにを望んでいたのか…』の横顔ですね。梓山で受け取った長い弓を持つ姿がサマになってます。琥珀を捜そうと皆に提案したけれど、その彼は冥界にいる。ここは兄上の力を信じましょう。
週刊少年サンデー33号掲載・第466話「別れの想い」
一夜明けて、弥勒と珊瑚は鋼牙の手下二人に一部始終を話す。鋼牙はかごめに、四魂の欠片をとられて足が鉛のように重くなり、生き残った自分を自嘲的に語る。生きていてくれたことで私達は救われたと独白するかごめ。鋼牙は犬夜叉の後頭部に蹴りを入れると、足手まといにはなるのは嫌なので去ると告げる。ふぬけた表情の犬夜叉に歯軋りしつつ、辛いのはてめえだけかと強烈な頭突きを見舞う鋼牙。見守る皆はハラハラするが、犬夜叉が素直すぎる反応なので鋼牙はオマケの二発。これでようやくいつもの顔と右フックが戻ってくると、鋼牙は元に戻るまで相当かかりそうだから側にいてやれとかごめに言う。感謝して詫びるかごめの髪を軽く撫でてやり、皆に別れを告げて去っていく鋼牙に、犬夜叉は気持ちを無駄にしねえと一言。憎まれ口を叩きながらも走り去る鋼牙と手下二人を、寂しげな表情で一行は見送る。
小さく脈打つ天生牙を小脇に差して空を見上げる殺生丸。何かを探している様子だと見守る邪見とりん。最後の四魂の欠片を首筋に持つ琥珀は、昨夜見た光が桔梗の魂だったことに思いを馳せ、連れて行ってあげられなかったと詫びるりんに自分がもっと強ければ…、と寂しく語る。雲の上に長い耳の犬の影が映り、琥珀達が驚くと殺生丸が跳躍し、そのまま変化して本来の犬の姿になりしばし併走する。二匹は地上に降り立ち、共に人型になる。殺生丸を呼び捨てにした女妖怪は、母を尋ねて来たということは天生牙の話だろうと一言。驚く邪見とりん…以下次号。
鋼牙もまた犬夜叉達と出会って桔梗の最期を見届ける過程で大きく変わりました。生き残った自分への自嘲的な物言いは、悪友となった犬夜叉への彼なりの叱咤激励に表れる。『辛いのはてめえだけか!?ああ!?』の頭突きも『うん、とか素直に言うな、気持ち悪い!』のゲンコツも、実に彼らしいエールです。『かごめ…おまえがそばにいてやるしかねえみてえだな』は事実上身を引く宣言。あばよの言葉で去っていく狼は、『愛想が尽きたらいつでもおれんとこに来いよ』付きでも潔く恰好いい。『無駄にはしねえ。おまえの気持ちも…今まで奈落と闘って来たことも…』今週の犬夜叉が唯一見せた勇ましい表情がこの言葉。神速だった走る速さが普通の馬並みに下がっても、手下はやっぱり追いかけるのに一苦労するようで。性格的に人間のような哀しみを出さずとも、鋼牙という重要なサブキャラはこれからも妖狼族の若頭としての立場を全うしていくでしょう。
桔梗を助けられなかった自分の力不足を悔やむ琥珀。しかし君が生き延びることことが恩返しになるはず。ここで新キャラ登場と見てみたら殺生丸の母親とは虚を突かれました。とっくの昔に亡くなっているものと思ってた…殺生丸の犬変化は実にコミックス第2巻以来のことで、真の姿で併走すると迫力あるなあ。眉間に三日月を持つのは犬妖怪一族の正当な血筋の証? 天生牙の由来と犬兄弟の父のことが明かされる時がやってきたのか。
かごめ贔屓としては、今週は生き残った鋼牙への感謝の表情でしょう。『ありがとう。ごめんね、心配かけて…さよなら…』元気になるまではまだしばしの時間がかかりそうですが、傍若無人の荒くれ集団である妖狼族にヒロインが“姉御”として与えた影響も大きかったと思います(本人は心外だったけど^^;)。桔梗の遺言に加えて鋼牙と妖狼族の意思も背負うことになった主人公とヒロイン。最終章はどんな展開を見せるのでしょうか。
週刊少年サンデー32号掲載・第465話「光」
日は暮れて周囲を闇が覆う。弥勒は犬夜叉と桔梗の後ろ姿を見やりながら、自分が死を怖れて風穴を開くのをためらっていなければ桔梗を助けることができたと悔やむ。珊瑚は私のために桔梗が命を削って弥勒の命を救おうとしたのだと慰めつつ、鋼牙を助け出そうとする桔梗の行動を見て、琥珀もまた守ろうとしていたのではないかと涙する。鋼牙は四魂の欠片がなくなった足を見ながら、まだ自分が生きていることと桔梗の言葉を重ね合わせる。かごめは自らの力不足を悔やみ、ひたすら泣き続ける。奈落は桔梗と犬夜叉を会わせたくなかったのだろうが、間に合ったんだと鋼牙が一言。
動くのは口だけの状態で、桔梗は語る。昔、四魂の玉を使って人間になれと誘ったことを。お前はどうなると問われて、玉がなくなればただの女になると答えたことを。忘れはしないと答えて抱きしめる犬夜叉の腕の中で、やっとただの女になれたと桔梗は笑みを浮かべる。生まれて初めて好きになった女なのに、なにもしてやれなかったと犬夜叉は涙を落とす。そんな顔をして泣くのかと語りつつ、来てくれただけでいいと微笑む桔梗。犬夜叉が涙で口づけすると、桔梗の体は光に包まれて消えていく。弥勒達が驚いて立ち上がった間に飛んでくる五匹の死魂虫。光の中から魂を抱えた死魂虫達は、弥勒達の周囲を舞う。挨拶しているみたいだとつぶやく七宝。暖かいと感じるかごめ。死魂虫達はそのまま星空に向かって飛んで行く。消えた空を見上げながら犬夜叉が桔梗の遺言を呟く。もう悲しむな、ずっと守っていると…以下次号。
桔梗、あなたは知っていたのか。いつかこの日が来ることを。二度と目覚めるつもりはなかった、と苦しげに語った復活の日から。悲しみの魂は、その怨念の部分のみが墓土から作られたまがいものの体に馴染んでしまい、くしくも数ヶ月の間自分の意思のままに動くようになった。愛した少年に裏切られたと思い込んでいた悲しみと怒りは、彼を道連れに心中することでしか癒せない…その哀れな行動は、自らが転生した少女によって阻止され、不可思議な三角関係が続いた。でも少年は自分から逃げることなく、正面から受け止めようとしてくれた。少女は対立を続けながらも、砕かれかけた自分を身を挺して救い、自分に代わって霊力と加護の力を身につけるまでに成長していった。次第にあなたは生前の誇りと優しさを取り戻し、真の仇であり人々に災いをもたらす闇の住人・奈落を滅すべく戦い続けた…。
安息の時が五十年遅れてやっと来たのです。『やっと…ただの女になれた…』桔梗のこの安堵の笑み。『おまえは来てくれた…それだけでいい…』微笑んだ顔も、涙を流した顔も、初めて読者に見せてくれました。十数年の短い生涯に不思議な数ヶ月が加わって、彼女は初恋の少年に口づけを受けて抱かれながら光に還っていく。律儀にも仲間達の周囲に別れの挨拶をして星空に昇っていく。辛かったでしょう。寂しかったでしょう。この最期の一時が桔梗を幸せにできたかどうかはわからない。しかしあの無骨者で恥ずかしがり屋の犬夜叉が『おまえは生まれて初めて好きになった大切な女だ』と明言して自分から唇を重ねた。最大のはなむけだったと思います。主人公に遺された桔梗の供養は、奈落を斬り、琥珀の命を救い、四魂の玉を消し去ること。もう一人のヒロインが静かに退場して、長かった物語はいよいよ最終章を迎えます。
かごめ贔屓としては、先週から引き続いてずっと桔梗のために泣き続けたことにただもらい泣き(/_;)。『私にもっと力があったら…』いや、それは決して遅かったわけじゃない。かごめは立派に悲劇の仲であった犬桔を修復した。かごめがこの時代にやってきたからこそ、桔梗の悲しき魂は恨みを浄化され、微笑んで昇天したのだから。桔梗はわかってくれたはずです。なぜ自分がかごめに転生したのかを。同じ少年を好きになったことを誇りに思えばいい。涙をふこう。琥珀の命を救う役目が待ってる。梓山の弓は君にとっての鉄砕牙なのだ。犬夜叉の背中に乗って走れ! 奈落を消し去れ!
週刊少年サンデー31号掲載・第464話「落日」
四魂の玉の中で霊気と邪気は激しく押し合い、さすがの奈落も苦悶の表情を浮かべる。桔梗の傍らにいるかごめは、あとはおまえが…という呟きを耳にする。玉の中では次第に邪気が勝り始め、奈落がニヤリと笑うと玉に突き立った矢は消滅。驚く弥勒達。桔梗はかごめに琥珀の欠片と光を守れと語る。弓で撃てば傷は浄化できるはずだったのにと懸命に訴えるかごめ。奈落は桔梗の負けだと勝ち誇って触手を突き下ろす。桔梗の体に覆い被さって庇うかごめ。私が負けたかどうかはお前が死ぬ時にわかる、と独白する桔梗。犬夜叉が触手を両断するが、奈落は桔梗なしで貴様がどう闘うか見届けてやると捨て科白を残し瘴気に身を変えて逃走する。呆然とする犬夜叉。桔梗はかごめの手を握り、梓山の弓をかごめに託す。
最後の四魂の欠片を持つ琥珀は、りんの制止を振り切って桔梗のところに戻ろうとする。邪見が殺生丸様の手を煩わせるなと釘を刺すが、その殺生丸は風の匂いが変わったことに気付き、手遅れだと一言。驚く琥珀。桔梗の故郷の村でも、実妹の楓が血のように赤い夕焼けに何かを感じ取っていた。もう動かなくなった桔梗の体を抱き上げる犬夜叉。救えなかったと涙を流すかごめ。皆が黙り込む中、犬夜叉は二人だけにしてくれ、と呟いて歩き出す。顔を覆って詫びるかごめ。私の魂は救われたと独白する桔梗…以下次号。
ダメージが蓄積していた桔梗の霊力では、魍魎丸まで吸収して強大化していた奈落の邪気に勝てなかったのか…四魂の玉の中の光は矢もろとも消えた。言葉を発するだけで精一杯の桔梗、奈落が死ぬ時に勝敗がわかるとの言葉の意味は一体…彼女の霊力は玉の中に宿ったはず。きっかけが与えられれば、必ず奈落を仕留める!
何もできなかった恰好の犬夜叉が正直歯がゆかったですね。桔梗がいなくなれば犬夜叉も終わりだとでも言う気か奈落。遠く離れた場所での殺生丸の一言が、読者にもう一人のヒロインが退場することを告げる。墓土から蘇ってどれくらいの時間が流れたのか、血が出ることのない体の桔梗の最期を、夕焼けが代わりに真っ赤に染めるとは…姉の四倍近く生きた妹・楓は何を思う。
『泣くなかごめ…私の魂は救われた…』桔梗にこう独白させたものは、命を捨てる覚悟で自分の欠片を使えとやってきた琥珀、たった一人の肉親としてその命が助かることを願う珊瑚、彼を助けるために命がけで風穴を開いた弥勒、仲間の復讐のために奈落に立ち向かう鋼牙、皆を守るべく必死に戦う犬夜叉、そして悪意の糸を断ち切って梓山から弓を持ち帰ったかごめの頑張り。皆の行動なのです。もう一人のヒロイン・悲劇の巫女が、唯一心を寄せた半妖の少年の腕の中で土に還っていく。最期に何を言い残すのか、それとも今回のコマが最期なのか。高橋先生が【犬夜叉】に賭けてきた遠大なテーマが表れるはずです。
かごめ贔屓としては、今週は感無量です。『最後のかけら…琥珀の光を守れ。かごめ…おまえにしか…できない事だ…』『弓…もう…おまえの物だ』これは桔梗が残してくれた最大の讃辞であり、遺言です。『ごめんなさい桔梗、ごめんなさい…』と泣きじゃくるかごめ。君のせいじゃない。対立と確執と自覚と悟りを経て、前世である桔梗は大切な使命を託してくれた。巫女の誇りと魂を受け継ぎ、時を越えてできた親友・珊瑚の弟である琥珀の命を救うこと。これがヒロインの役割なのです。かごめが桔梗のために流した涙が、もう一人のヒロインの魂を救ったのです。
週刊少年サンデー30号掲載・第463話「浄化の矢」
かごめは奈落が四魂の玉を桔梗の体の中に隠したと気付く。玉は黒く汚れ、桔梗はこれを浄化できないほど弱っているのだ。空から舞い降りてくる死魂虫の群れが桔梗に向かうと、彼女の目がかごめに矢を撃てと伝える。弓を引くかごめの足場を奈落の金剛触手が砕くが、死魂虫の群れがかごめの体を支えてそのまま降下。奈落は玉を取り戻そうと触手を桔梗に向ける。その先端が届く一瞬先にかごめの矢が桔梗の胸元の玉に命中し、桔梗の霊力による玉の浄化が始まる。奈落の触手の先端が溶け、矢が突き立った玉が奈落に向かって飛ぶ。桔梗の猛反撃に奈落は瘴気の幕を張って対抗。矢を取り巻く死魂虫は瘴気に溶かされ、矢の先端の玉に汚れが入る。瀕死の霊力など玉ごと喰ってやると力む奈落だが、矢がそのまま体に当たると右腕の金剛槍が次々と崩壊。霊力が奈落の体を壊し始めたのだ。
鋼牙の足が奈落から抜け、犬夜叉が鋼牙を抱えて脱出するが、奈落は触手で離れざまにその両足から四魂の欠片二つを奪う。桔梗の傍らからこれを見るかごめの目に、奈落の胸元にある四魂の玉の中で霊気と邪気が闘う様子が映り…以下次号。
ついに実現した二人のヒロインの連携プレー。感慨深いです。いつものことですが私の解釈は早とちりが多くてお恥ずかしい…稀代の霊力を持つ巫女である桔梗は、破魔の矢で撃たれてもそれを自らの霊力で受けて四魂の玉ごと奈落に撃ち返す。手足も体も動けず、言葉さえ発しない状態でありながら全力を挙げて奈落に反撃する桔梗の表情にこそ、巫女の誇りと矜持があります。理屈抜きに格好いい。
『わしを玉ごと浄化する気か!』と察した奈落は瘴気で防戦し、霊気と邪気が激突。これが吸収されかけた鋼牙を救うもののその欠片は取られた。琥珀の体にある最後の一つを除いて四魂の玉は復元したのか。翠子と妖怪集団の戦いが50年の時を経て再び桔梗と奈落とで再現されますが、これは膠着状態に陥るか。今だ犬夜叉、鉄砕牙で奈落の体をぶった斬れ!
かごめ贔屓としては、桔梗との“眼光の会話”で『今なのね!? 今、撃つのね!?』と迷いなく弓を引いた姿、かつてはその身の自由を奪われた死魂虫の群れに支えられながら、桔梗の胸元の玉に矢を放った表情に感激しました。これはまぎれもなく梓山の一件での彼女の成長がもたらしたものです。かごめが撃った矢によって玉の汚れが浄化され、桔梗がさらに奈落を撃つ。これが高橋先生の哲学だったのです。
週刊少年サンデー29号掲載・第462話「玉の行方」
鋼牙の手下二人は灰を妖狼族の群れに送り届けた後、奈落の臭いを嗅ぎつけて震えながらもその方向へ向かう。かごめの叫び声に鋼牙が振り向いた瞬間、奈落は闇の体内から触手を出して鋼牙を捕らえる。弥勒に四魂の玉の気配が奈落から消えたことを伝えるかごめ。このままでは逆に鋼牙の足の欠片が汚されて奈落に取り込まれてしまう。瀕死の桔梗は犬夜叉に、鋼牙を救え、早く行けと弱々しく話す。五雷指で触手に抵抗する鋼牙の足に触れた部分は浄化されるものの、膨大な瘴気が吹き出すと呼吸困難に。金剛槍の束で鋼牙の姿が覆われると、雲母に乗った弥勒が上空から右手を向ける。瘴気を吸って血反吐を吐くだけだとせせら笑う奈落だが、弥勒はかまわず風穴を開く。左腕を崖にひっかけ、吸っているのは瘴気だけだとにやつく奈落だったが、周囲の瘴気が吸い出された鋼牙は五雷指で金剛槍の束の一部を内側から破壊。
ここで犬夜叉が奈落の右腕に一撃して鋼牙のところに近寄るが、生きてたなら出てこいと怒鳴っても鋼牙は動けない。既に両足が奈落の体に同化しかけていたのだ。その欠片が黒くなったのを感じ取ったかごめは時間がないと焦る。奈落の体には四魂の玉の気配がない。自分の力では見つけられないと桔梗の方を見たかごめが、その桔梗の胸元に玉の気配を感じて…以下次号。
死闘の場にガタガタ震えながらも向かう鋼牙の手下二人はどんな局面を見いだすでしょうか。奈落は戦法を変えて四魂の玉を体外に出した。玉本体に触れさせなければ、膨大な瘴気の闇である自らの体内に鋼牙を引き込んで二つの欠片を汚すのは簡単だということか。瀕死の桔梗はそれでも鋼牙を救うために行け、と犬夜叉に伝える。どこまで痛々しい宿命なのか。
背後の珊瑚に支えていてくれと伝えて風穴を開く弥勒。その狙いは瘴気を吸い出して鋼牙を救うこと。これに応えて動く右腕一本で金剛槍の束を砕く鋼牙。まさに決死の連携です。また傷が広がったと体感しながらも、心配でたまらない珊瑚に大丈夫だと返す弥勒は男だ。鋼牙の足の先はもう奈落に吸収され始め、二つの欠片は汚されてしまった。かごめの矢で玉本体を射るしか反撃の方法がないのに、狡猾な奈落は桔梗の喉元に隠しやがったのか。これを撃つということは桔梗の命を絶つことを意味する…? どっちに転んでも奈落の目的が達せられてしまう。
かごめ贔屓としては、これは重大な岐路に立たされました。桔梗は奈落の思惑を承知のうえで、あえて犬夜叉を遠ざけたのか。前回まだ射るなと目で制しておいてこの展開は、私ごと撃てとかごめに命ずるつもりなのか。自らの心の中にいた怖くて嫌な桔梗を蜘蛛の糸とともに断ち切ったかごめ。やっと本当の意味で同じ立場に立てるかもしれないのに、心が通じ合うこともなくもう一人のヒロインは自らを消せというのでしょうか。犬夜叉、なんとかしろ! 鉄砕牙を最終進化させるべき時は今だ!
週刊少年サンデー28号掲載・第461話「開かれた体」
犬夜叉は桔梗を掴んでいる奈落の左腕に鉄砕牙で強烈な一撃。かごめは自分の傷を撃てとの桔梗の言葉を思い出すが矢は一本のみ。絶対に外せないと弓を引きかけると、なぜか桔梗は待てという言葉を口元に浮かべる。戸惑うかごめの横に弥勒達が到着。鋼牙の両足の四魂の欠片が浄化されていることに気付いたかごめ達は、奈落が鋼牙を取り込めなかった理由を知る。へらず口が止まない奈落に激怒した犬夜叉は竜鱗を発動させる。魍魎丸の鎧甲を斬れなかった刀で自分を斬れるかという挑発に対して、巨大な妖穴を真っ二つにする犬夜叉。剣山のような槍でできた奈落の右腕は一瞬切れるが、すぐに復元を始める。無駄だと奈落が笑った途端に腕が内側から砕けて丸い闇が吹き出す。奈落の体の中が露出したのだ。
弥勒は鋼牙の欠片に触れて浄化されかけた影響が残っていたのだと語る。闇の奥に四魂の玉の気配を感じて犬夜叉に伝えるかごめ。犬夜叉が玉ごと斬る、と鉄砕牙を向けると奈落は舌打ちして桔梗の体を離す。落下する桔梗を慌てて抱き留める犬夜叉。この隙に体を閉じようとする奈落に対して鋼牙が跳躍。奈落の腕から飛び込んで四魂の玉に触れ、浄化させるつもりだ。しかし奈落から玉の気配が消えたことに気付いたかごめが必死に鋼牙を止めようと叫ぶが…以下次号。
怒った時の犬夜叉の形相は凄まじい。瀕死の桔梗を見たかごめは一本の矢を構えるものの桔梗が待てと…彼女には奈落の意図が伝わっているのか。そうなら蜘蛛の糸はもう邪魔なだけの道具になりますが『桔梗、嬉しいか? 犬夜叉はきさまの死にめに間に合ったようだ』…どこまでも醜い嫉妬の言葉を見下し口調で喋る奈落、こいつは死んでも治らんな。しかし巨大な妖穴を真っ二つにされても腕が一瞬壊れるだけというんだから、奈落はやはり妖怪ではなく体を組み替え続ける半妖だ。
とはいえ翠子の浄化力には妖気の繋ぎが切られるようで中身が露出。その体内には空虚な闇がある。奥にある四魂の玉まで壊されたらさすがにまずいようで桔梗を放り出す。『結局は翠子の魂とやらの思うツボってのが、シャクにさわるけどな!』とわめきつつも特攻の鋼牙も男だ。しかしこれまた罠か。奈落は本物の玉をどこにでも移動できるのか。
かごめ贔屓としては、今週は『絶対に当ててみせるわ』の表情ですね。考えてみれば桔梗が直接かごめに対して“目で制止”なんて初めてじゃないでしょうか。言葉が出るわけもなくこれは以心伝心? まさかその矢は自分を救うのではなく奈落を仕留めるのに使え、というのがもう一人のヒロインからの悲壮な伝言なのか? 『だめよーっ、鋼牙くん!』の叫び声は届くか。次週は桔梗の言葉が気になります。
週刊少年サンデー27号掲載・第460話「流れ込む心」
弥勒達の捕まるなとの言葉を聞き流し、奈落に戦いを挑む鋼牙。余裕で応戦する奈落だが、桔梗は鋼牙の両足の四魂の欠片が猛烈な勢いで浄化されていることに気付く。これも翠子の意思なのか。奈落はそれに気付いておらず、鋼牙の欠片を取り込めばこの場で滅することができると考えた桔梗は、犬夜叉とかごめがすぐそこまで来ているぞと伝える。
かごめは犬夜叉に自分が幻の桔梗に試されていたことを話す。骨と墓土から蘇り、自分を憎み犬夜叉を殺そうとしていた頃の、怖くて嫌な桔梗…今の桔梗は違うと返す犬夜叉に、かごめは自分が桔梗をそういう目で見ていたことを自己嫌悪。それでも桔梗を救おうと思ったなら、お前の心は強くて綺麗だと励ます犬夜叉。
汚れた蜘蛛の糸で繋がっている自分には、この糸の先にかごめがいないことがわかるという桔梗の言葉。奈落は瘴気を発して金剛槍の触手を広げ鋼牙を包み込む。同時に足が動かなくなり、来やがったと舌打ちの鋼牙。そのまま触れれば自分の浄化力も復活し、奈落を滅する、汚らわしいお前の腕に捕らえられたまま死ぬものか、犬夜叉早く…との言葉が糸を通して奈落に伝わる。触手の先端が欠片に触れた瞬間、奈落の腕の中で光が放たれる。奈落は桔梗の意図を察して瞬時に触手を退き、宙に投げ出された鋼牙を雲母がキャッチ。標的を変えた奈落は触手の先を桔梗の喉に突き刺し、嘲りの言葉を浴びせながらこの場で死んでいけと罵る。瀕死で犬夜叉の名を呟く桔梗。鉄砕牙を抜いた犬夜叉が怒りの形相で、桔梗を放せと飛び込んできて…以下次号。
四魂の玉の中で戦い続ける翠子と妖怪達。翠子の魂を同化させた桔梗にはその意思がダイレクトに伝わる。玉のほとんどが汚されても、わずかの欠片に力が集中して浄化を進めるとは…あえて奈落を挑発し、鋼牙の欠片に触れさそうとする桔梗の賭けでしたが、奈落もさるもので矛先を咄嗟に変える。『伝わってきた。わしに対する憎しみと軽蔑と、犬夜叉への未練がな』どうみてもこりゃ奈落というより鬼蜘蛛のセリフだ。嫉妬まみれの捻じ曲がった心理を第三者ぶった言い方で語るなってんだ、見苦しい。
以前、崖から突き落とされた時もそうだったんですが桔梗の心にはやはり犬夜叉がいる。自分の命が尽きるのかと直感した時に呟くのがいつもその名であるところが、悲劇の巫女の悲痛さです。しかし今度は犬夜叉が直前で飛び込んできた。蜘蛛の糸ともども触手をぶった斬れ、犬夜叉!
かごめ贔屓としては、犬夜叉に対して以前の桔梗が自分の心にいたことを素直に伝えたところに、またひとつ大きなハードルを越えたと感じましたね。『だから…ちょっと自分がいや』の表情が麗しくも体温を持っています。『なんだそんなこと。それでも桔梗を救おうと思ってくれたんだろ。だからお前の心は強くて綺麗だ!』いかにも彼らしい恥じらいの横顔で、こう言いきった犬夜叉にも拍手。最高の褒め言葉だ。ヒロインにとっても、読者にとっても。“絆”は悪意を打ち砕く。次週は負の心を焼き尽くせ!
週刊少年サンデー26号掲載・第459話「絡め捕られた仲間」
その名を叫んで駆ける犬夜叉の眼前に宙から落ちてくるかごめ。慌てて抱き留めた犬夜叉はかごめが握った弓に気付く。幻の桔梗のことを思い出しながら目覚めたかごめは、本物の犬夜叉が来てくれたと安堵するが、空から降りてくる蜘蛛の糸に気付く。妖しげな雰囲気を察した弥勒の隣から、鋼牙に逃げろと弱々しい声で言う桔梗。奈落の臭いが近くにきていると睨む鋼牙だが、既に桔梗の体には皆に見えない糸の束がまとわりついていた。桔梗の体が宙に浮き、飛びついた弥勒の目にも糸の束が映る。奈落の笑い声とともに糸の束が一気に降りてきて、弥勒達の周囲を取り囲む。
かごめを背負って石段を駆け下りた犬夜叉は、削り取られた地面を目にする。弥勒達が全員絡め捕られたのだ。糸の束の中で身動きがとれず苦悶する弥勒達。桔梗になぜ逃げなかったと言われた鋼牙は、俺の足の四魂の欠片を奈落に渡すのがお前の狙いだったろうと言い返す。蜘蛛の糸に汚されて浄化力を失い、琥珀の欠片の清浄さも保てずその行方もわからない自分を責める桔梗。糸の束が弱まって桔梗を残し弥勒達は落とされる。雲母に乗って脱出した弥勒、珊瑚、七宝と、単独で崖に飛び降りた鋼牙の前に奈落が出現。
体が動かない桔梗は、奈落に左手で抱えられながら嘲られる。お前が死にかけているのに愛しい犬夜叉はかごめのところだ、という奈落の言葉に怒った弥勒は数珠を外そうとするが、桔梗もろとも吸うかと嘯かれて歯軋り。鋼牙は五雷指を光らせて今日こそ殺すと飛びかかり、奈落は右肩の金剛槍を剣山のように延ばして応戦。梓山の麓で攻撃せず、自分達をこれだけ引き離したのはかごめが弓を手に入れたからか、と気付く桔梗。四魂の欠片の気配を追うかごめを背負って走る犬夜叉。今行く、とかごめが独白し…以下次号。
ドンピシャのタイミングでかごめをキャッチの犬夜叉。主人公はこうでなくちゃいけない。糸を切られた奈落は明らかに焦ってますね。かごめから桔梗を引き離すために強引に仲間達ごと絡め捕る行動に出てきた。喉まで瘴気の傷が伸びてきて壊れかけた桔梗の体は指一本動かせないのか。言ってることがおかしいぞとズバズバ桔梗に物を言う鋼牙はストレートですが、無力な体にされた桔梗の屈辱たるや察するに余りある。
蜘蛛の糸の束の上に立ち、動けない桔梗を抱きかかえて勝ち誇る奈落の憎々しげな表情…『どうだ? 憎いわしの腕に抱かれながら死にゆく気分は…』って、お前やっぱり鬼蜘蛛の邪でねじ曲がった執着心を持ってるじゃねえか。口をきくことさえ汚らわしいといった表情の桔梗が痛々しい。これは弥勒も怒るわ。引っ込んでろと憎まれ口を叩きながらも、鋼牙は妖狼族の復讐のために戦闘開始。こうなったら足が動かなくなろうがなんだろうが後には引けない。桔梗は無抵抗に見えつつも冷静に考えて奈落の焦りを見抜く。かごめが来る前に始末をつけなければならないことに。いよいよ来たぞ、ヒロインの真骨頂!
かごめ贔屓としては、気を失いながらも弓を離さなかった強さにまず拍手。犬夜叉の腕の中で目覚めた横顔がいい。『来てくれたんだ…』の甘いムードはほんの一瞬で、奈落の糸を見つけて即『犬夜叉、急ごう!』がまたいい。ラストのコマ『待っててみんな! 今行くから!』の犬夜叉とツーショットの表情が素晴らしい。仮にこのコマがそのまま最終回の最後のコマだったとしても、多分私は満足するでしょう。仲間を救うために一点を見据えて走る姿だからこそ、犬かごは光るのです。
週刊少年サンデー25号掲載・第458話「桔梗の幻」
精霊はかごめに説き続ける。その巫女はお前を憎んでいる、弓を捨てろと。次第に弓を捨ててしまえば楽になる、と考え始めるかごめ。桔梗を連れて弥勒達に会った犬夜叉は、かごめだけが霧の中に消えたと聞かされる。ここで待つしかないと話す桔梗は、自分を救うも救わないも、選ぶのはかごめだと独白。かごめの頭上からもう一人の桔梗が、この光景はどうせ犬夜叉には見えないと言う。かごめが犬夜叉のことを思った時、頭上の桔梗は冷笑する。見栄を張るな、嫉妬や憎しみにまみれるお前が私を憐れむふりをする、縁を断ち切れない犬夜叉に苛立ち、私をうとましく思う心を押し隠しす偽りの優しさに私がすがりつくとでも思うのか…と。これにかごめは激怒。
山がざわめき雰囲気が変わると、遅すぎると鋼牙が行こうとするが、犬夜叉は俺でなければだめだとそれを制し、石段を駆け上がる。薄ら笑いの桔梗に、かごめは犬夜叉との絆があるなら堂々としていればいい、と言い返す。私にも犬夜叉と過ごした時間がある、桔梗が知らない犬夜叉の顔も知っている、立場は同じ、恐れて見捨てる必要などないと。すると弓が重みを失い、軽くなる。宙に浮かぶ精霊は、もうお前は自分で登れると話す。言いたいことを言ったらスッキリした、と返すかごめの頭上で、桔梗の姿は蜘蛛の糸の束に変化する。それはお前の心が作り出した巫女の幻だと精霊の声が響く。汚れた蜘蛛の糸は切れた、その弓で巫女を救えとの精霊の言葉の中、かごめの体は落下していく。眠ったように横になる桔梗…以下次号。
かごめは素晴らしい等身大の女の子です。綺麗事にこだわるわけでなく、自分をごまかすこともない。迷うこともあるし苦しむこともある。だけど理不尽な問いかけには怒る。怒ったら言いたいことを言う。『私の事言えるほどあんたは立派なの!?』これはまさしく読者への強烈な叫び声でもあるのです。『私にだって犬夜叉と過ごしてきた時間があるのよ! あんたが知らない犬夜叉の顔だって、いっぱい知っているのよ!』そうだよな。そのとおりだ。だからこそ君はその時代にいるんだから。『だから私は…あんたを恐れて見捨てるようなことは…する必要がないのよ…』怒りの中に少し顔を出す悲しさと、一人の女の子、一人の人間としての、誇り。かごめの心の中にあった重しは、桔梗と自分に立場の上下なんかない、と自覚した時に弓の重さを取り払う。これでいいんです。桔梗と堂々とわたりあっていけばいい。同じ人間として。
汚れた蜘蛛の糸とは、人間の心を形づくる象徴なのか。負の心とは必ずあるもの。それと真正面から向かい合って自問自答することが、迷いを断ち切る術なのか。自力で糸を切ったかごめ、きっとその弓が君にとっての鉄砕牙になる。
『ここはきっと…おれでなくちゃダメだ。』あの鋼牙が黙してしまう表情でこう言った犬夜叉。次週やることは決まっています。かごめを受け止めてやってくれ。こんなにいい娘、めったにおらんぞ!
週刊少年サンデー24号掲載・第457話「梓山の精霊」
弥勒達は石段の下に戻されていた。かごめの身を案ずる鋼牙に弥勒は、むしろ梓山が彼女を受け入れたということだと語る。桔梗の姿になった精霊はかごめを堂の中に導き、お前は蜘蛛の糸に汚されていると指摘しつつも、弦を張った新しい弓を取り出して渡す。戸惑いながら礼を述べて受け取るかごめに、この女を真に救いたいなら山を下りられるという精霊。
石段は登る時と同じでいくら下りても先に進まない。かごめの眼前にまた霧が立ちこめ、その奥から犬夜叉が現れる。声をかけようとするかごめの体に蜘蛛の糸の束が絡みつき、桔梗を抱える犬夜叉が見える。桔梗は犬夜叉に向かって、かごめにとって自分はお前を惑わす憎い存在だと話す。顔色を変えて違うと叫ぶかごめの声は犬夜叉に届かず、桔梗は横目でかごめを見る。桔梗には自分が見えているのにそんなことを言うのかと愕然とするかごめの足下で、地面が崩れ落ちる。
本物の犬夜叉は桔梗を抱えて山の麓に来ていた。桔梗の弓が砕けて驚く犬夜叉。桔梗は幻を見せて惑わす精霊の罠にかごめがはまったと独白。かごめは崖から草蔓に右手一本でぶら下がる状態になっていた。左腕に持った弓は腕がちぎれそうなほどに重い。崖の上に桔梗が現れ、弓をよこせと迫る。犬夜叉を呼んでと叫ぶかごめに、半妖の犬夜叉は霊山には入れないと言う桔梗。弓が重くて上がらないと答えると、やはりお前は私の死を望んでいるとの返答。宙に浮かんだ桔梗顔の精霊が、弓を捨てろと声をかけてくる。その巫女の方こそかごめの死を望んでいる、弓を渡しても桔梗はお前を見捨てて男と生き残る、だから捨てろというのだ。かごめは絶句し…以下次号。
えらくあっさりと渡してくれるもんだと拍子抜けしたら、やっぱりあったか過酷な試練。今週はかごめ贔屓視点オンリーで書きます。心を試す、って要するにこれでもかと意地悪をすることかい! 桔梗を抱いて走る犬夜叉を見せつけるわ、その桔梗にこっちを見ながらかごめが自分を憎んでいると告げ口させるわ、崖からぶらさがるのは以前に奈落がかけてきた幻影殺のシチュエーションそのもの。あの時の桔梗はたしかにかごめを邪魔だと思っていて、死魂虫を退かせてかごめを落とそうとしたわけですが、かごめは告げ口を嫌がって犬夜叉にそれを言わなかった。その記憶を引っ張り出して桔梗の姿で『やはりお前は私の死を望んでいるのだ』。そこまでやるか! 意地悪を通り越して、もはやイジメの次元じゃないか!
…とまあ一通り取り乱しておいてから冷静に考えてみる。金剛槍破を受け継いだ時や金禍が鉄砕牙と同化した時の犬夜叉、五雷指を爪とした時の鋼牙、天生牙が武器として鍛え直された時の殺生丸…共通項は何であったか。それを思い出せばヒロインが次週どう行動するかは自明のことです。今かごめが持っている弓は、間違いなく最後の戦いの武器になる。それを受け継ぐ資格があるかどうか、それが試されているのです。この弓は桔梗を救うというよりも、かごめが桔梗ごと背負うことになる使命の象徴なのでしょう。だから腕がちぎれそうなほどに、重いのです。
だから次週に言ってくれる言葉をあえて想像はしません。男性キャラ達とはまた違う、もっと辛い試練を乗り越え、この作品が持っている大切なもの、原作者が込めたキャラと読者への想い、それをきっと見せてくれると信じます。最後に精霊様に一言ツッコミ。『愛しい男を奪った女だからな』…勝手に過去形にするな。まだ奪ってないわい(>_<)。
週刊少年サンデー23号掲載・第456話「梓山」
蛇に咬まれた体には瘴気の毒が回り、琥珀は気を失って倒れる。そのまま四魂の欠片を汚そうとする白夜だったが、突然間近の樹木が断ち切られ、空間が三日月に裂ける。天生牙を抜いた殺生丸が立っていた。魍魎丸の臭いが消えたのは、奈落が喰ったかと呟いた殺生丸に、白夜はやりあうことなく折り鶴で逃走。琥珀に駆け寄ろうとしたりんに触るなと忠告する殺生丸だが、先に邪見の方が毒蛇に咬まれる。
しばらくしてその場に到着した犬夜叉は、樹木の切り口と消えた幹を見て殺生丸がいたことを知る。琥珀の匂いも途切れていたが、その身を案ずる桔梗の胸の傷はまた進行。犬夜叉がそれに気づき、桔梗はかごめが霊廟の弦を取ってこられなければ、自分の体は崩れ去ると苦しげに独白する。
かごめは鋼牙達と梓山に到着。長い石段の上に霊廟が見える。一息で駆け上がってやると走り出す鋼牙。しかし桔梗は、霊廟は形のない力で守られていると犬夜叉に語る。かなり長い間登り続けているのに霊廟に近づくことができないことを訝しむ弥勒達。かごめは桔梗の言葉を思い出し、自分の迷いのためなのかと考える。石段の途中に着物姿の人物が現れると霧が立ちこめ、かごめ以外の面々はその場から消えてしまう。かごめの前に近づいたその人物には顔がない。桔梗が犬夜叉に語るには、形のない力とは梓山の精霊で、見る者の心によって神にも魔物にもなるらしい。やがて精霊の顔は桔梗になり…以下次号。
琥珀の危機に兄上登場。『気にくわん臭いがしたので斬りにきた。それだけだ』…うー、いつもながらハードボイルドで恰好いい(>_<)。白夜はとかく頭の回転の速い分身、いともあっさりと琥珀の捕獲を断念して退散。しかし手下が度々命令に失敗しても、神楽の一件以外は殺すことをしない奈落って、考えようによっては寛大な上司なのかも…。りんより先に手を出して毒蛇に咬まれてしくしくしく、の邪見と、それを見下ろす殺生丸の目がいいんだよなあ(^^;)。しばらく琥珀は殺生丸様ご一行に匿われることになりそうだ。
自分の結界で守らなければ琥珀の欠片の清浄さを保てない、とひたすら琥珀を心配する桔梗は痛々しい。弓の弦を張り替えなければその体が崩れるというのは、今の桔梗の体を原型にとどめているのは巫女の霊力? 『かごめが真実、私を救おうと思わなければ…』梓山とはそういうガードが施されているのか。
さてかごめ贔屓としてはその梓山。いくら登っても見えているはずの霊廟に近づけないというのは定番のガード。『私が迷っているとでも…!? そりゃ犬夜叉と桔梗の事で、傷ついたり怒ったりするけど…そんなの仕方のない事だわ! 私は神様じゃない!』…わかるぞ、その気持ち(T_T)。この作品の魅力を正しく感じ取れる読者なら、きっと共感する言葉です。石段の途中に現れた精霊、見る者の心が決めるというその顔は桔梗に。かごめにとっては神でも魔物でもない、一人の恋敵…いやいや、同じ一人の人間であり、一人の女性に。さあ、このガードはヒロインに何を語り、どんな試練を課すのでしょうか。
週刊少年サンデー21&22合併号掲載・第455話「切れた弦」
桔梗は切れた弦を見て、かごめも奈落の蜘蛛の糸に汚されたと語る。五十年前の桔梗と犬夜叉の最期の姿…かごめが立ち入れない部分。わかっていたことだと反論するかごめだが、蜘蛛の糸を通してかごめの心に悪意を注ぎ込み、桔梗を汚して瘴気の傷を広げると同時にかごめの浄化力も奪うのが奈落の目的だったというのだ。これでは奈落を浄化するための武器である琥珀の清浄な四魂の欠片に桔梗が触れることができず、妖狼族の加護がなくなった鋼牙の欠片も危ない。かごめは桔梗を助ける方法を問う。
梓山の霊廟に納めてある弓の弦を取りにいくことになったかごめ。桔梗は琥珀を守る式神の結界を保つために堂から動くことができない。弥勒達に事情を伝えたかごめは、犬夜叉に桔梗を守るように話す。ここぞとかごめを運んでやるという鋼牙。しばらく顔を見たくない、と犬夜叉に釘をさすかごめ。弥勒と珊瑚は鋼牙の欠片を護衛するためかごめ達についていく。真に私を救いたいと思えなければ弦は見えないとの桔梗の言葉に、穏やかでない気持ちを抱くかごめ。
桔梗の瘴気の傷は広がり、琥珀を守る式神・胡蝶と飛鳥は消えかける。最猛勝とともに琥珀の前に現れたのは夢幻の白夜。これを察知した桔梗は犬夜叉に琥珀のところへ連れて行くよう頼む。胡蝶と飛鳥は身を光に変えて白夜の目を欺き琥珀を逃がすが、折り鶴で後を追う白夜は鎖鎌をまやかしの身で受け流すと、瓢箪から蛇を出して琥珀を簡単に捕らえる。桔梗を抱いて懸命に琥珀の元へ急ぐ犬夜叉…以下次号。
私もまだまだ修行が足らない(>_<)。高橋先生は安易な三角関係ドロドロネタで引っ張るほど未熟な漫画家じゃありません。奈落は冷徹に“負の心”を道具として利用したらしい。本人達の今の心に関わりなく、過去の悲劇は清浄さに汚れを持ち込み浄化の力を奪う。しかし互いに裏切られたと思っていた犬夜叉と桔梗にとって、あの悲劇が心の汚れに繋がるのはわかるんですが、かごめにはなぜそうなるのか。犬桔のあまりに強い因縁と絆が、疎外感と嫉妬心を喚起するのか…いかん、こうなるとまた低次元の解釈になってしまう。しばらくこの発想から離れなければ。『桔梗とこそこそ会っている所にかごめが踏み込んだんじゃ…寿命が縮んだのじゃろう』って七宝、お前なあ(^^;)…いつもいつも未熟な読者を代表するかのように喋ってくれるので、こっちは作者に見透かされているようで冷や汗をかかされます。
久々に登場の白夜、今度の仕事は琥珀の捕獲ですか。珊瑚からその名を聞いていた琥珀もむざむざ捕まりはしないと抵抗するものの、花を使ってまやかしで相手を欺く狡猾な白夜相手じゃ分が悪い。瓢箪から蛇を出す、さりげなく嫌な技を使う分身だ。琥珀の欠片を汚されたら情勢は一気に奈落有利に動くが…犬桔は間に合うか。ところで犬夜叉は桔梗を背負うのではなくいわゆるお姫様だっこ。このあたりにもかごめとの接し方の違いが表れてます。桔梗もただ苦しげな表情が痛々しい。彼女に真の安らぎの時は来ないのか。
かごめ贔屓としては、今週も書くことが盛り沢山です。『犬夜叉…桔梗についててあげなさいよ』『しばらくあんたの顔見たくないし。…やっぱり私…汚されているのかしら』の表情と犬夜叉のリアクションには苦笑せざるをえないんですが(^^;)、『どうして…桔梗はいつも私を試すような言い方をするの!? 桔梗の方が私を嫌ってるくせに…それなのに…いつだって犬夜叉は桔梗を選ぶ…』の独白には少々物悲しいものがあります(T_T)。桔梗とかごめは、決して敵同士ではないはず(いや恋敵には違いないのだが)。なかなか気持ちを通じ合えないのは、元が同じ魂であったがゆえの反発なのか。そりゃまあ昔の彼女と今の彼女が笑顔でつきあえる方が不自然だし…二人のヒロインの複雑で微妙な関係は、そのままこの作品の深さでもあります。とはいえ霊廟で弦が見えなかったら、かごめ自身がまた自己嫌悪をしかねない。うー、ジレンマだ。でも“奈落なんかに私の心をどうこうされたくない!”的な活躍を期待したい、って次週はお休みでした。
週刊少年サンデー20号掲載・第454話「糸の向こう」
犬夜叉の声で桔梗は意識を取り戻すが、この場を離れろと繰り返す。犬夜叉の目にも蜘蛛の糸の束がはっきりと見える。奈落は糸から悪意を注ぎ込んで私の魂を汚そうとしている、との桔梗の言葉を聞き、犬夜叉は鉄砕牙で糸の束をなぎ払うが、絡みつくだけで糸は尽きない。刀では糸を断ち切ることができないのだ。
空から降りる糸の束が繋がっている堂を発見したかごめは矢を撃って束を浄化。他の面々には糸など見えず、弥勒はかごめにしか見えないことを訝しむ。桔梗は奈落の狙いが自分だけではないとしたらと考え、かごめが堂の扉を開けて中に入ろうとすると糸にさわるなと叫ぶ。途端に堂の中から糸の束が伸びてかごめの腕を捉え引きずり込む。堂の扉は閉ざされ、駆け寄った鋼牙は結界に阻まれて入れない。絡め取った、とほくそ笑む奈落。
かごめは幻影を見る。四魂の玉を奪って逃走する犬夜叉、彼に矢を射かけて封印する桔梗。その横顔に流れる血と一筋の涙。糸から流れ込んでくるのは痛み。あまりに深い桔梗の悲しみと、それ以上の犬夜叉への愛…二人の絆。倒れ伏したかごめが目を覚ますと糸は消えていて、桔梗が何を見たと問うがかごめは無言。桔梗はおおかた想像がつくと語るが、瘴気の傷が項のあたりまで這い上がってくる。かごめが自分は傷を治せると話すと、桔梗は自分の弓を差し出し、これで傷を撃たねば浄化はできないと答える。かごめが弓を受け取ると突然弓の弦が切れる。どうして、とかごめが戸惑い…以下次号。
うーむ、一話まるまる桔犬かの因縁で引っ張るとは。高橋先生はこの問題をここで徹底的にやらなければならない、との決意を見せています。突然犬夜叉の目にも蜘蛛の糸が見える。かごめにも見えるが弥勒達には見えない。奈落は明らかに糸的…いや意図的にそうしていますね。三人が三人とも同じ幻影、五十年前の悲劇を繰り返して見せられる。そして堂の中で外界からシャットアウト。かごめに犬桔の仲をこれでもかと見せつけておいて、桔梗が渡した弓の弦が切られる。もしかすると奈落、かごめの手で桔梗を殺させるつもりか? 嫉妬心につけ込んで、邪魔者を消してしまえと誘惑するわけか? …だとしたらずいぶんとナメられたもんだ(怒)。
邪な想い、あさましき願い、薄汚い執着という負の心。誰の中にもないわけじゃない。ないと否定すれば矛盾に苦しむ。しかし苦しむがゆえに人間が人間でいられる。以前、心臓である赤子がこの手でかごめの心の闇を引き出そうとして失敗しているのに、懲りない悪役ですな。今から言っておこう。奈落よ、お前は結局それによって自滅することになるぞ。蜘蛛を体の中に戻したのが命取りになるのだ。
かごめ贔屓としては、今週は書くことが一杯あるけど一押しは『奈落が私に見せたもの…でもあれはウソじゃない。私にはわかる』の独白でしょう。正念場といえば正念場なんだけど望むことは一つですね。桔梗のことを想い続ける犬夜叉だからこそ、彼女は彼を好きになった。当然嫉妬もするし機嫌も損ねるしケンカもやる。人間なんだから。だからここは戦え。薄汚い思惑を、蹴散らせ!
週刊少年サンデー19号掲載・第453話「絡みつく糸」
夜が明けてかごめは蜘蛛の糸のことを犬夜叉に問うが、犬夜叉は悪夢のことを黙って目をそらす。一方桔梗は琥珀を伴って結界で身を守りつつ人里にいた。桔梗の目には蜘蛛の糸が見えていたが、一般人が触れても何も影響はない。しかし糸の向こうに奈落の悪意を感じる桔梗。突然糸が大量の束となって降下、咲という少女の体を覆う。彼女の母親には糸が見えず、咲は息ができずに倒れ伏す。桔梗は奈落の魂胆に怒りつつも霊紙を吹いて蝶と化し、咲を覆う蜘蛛の糸を浄化するが、一部の糸が残って一瞬で桔梗の体に絡みつく。
空から降りる糸の束を見たかごめは一行とともにその場に駆けつける。巫女によって娘は助けられたが、気分が悪くなったようで立ち去ったと聞いた犬夜叉は、桔梗の匂いに気付いて一人で後を追う。琥珀の左右には桔梗が苦しげに委ねた式神が結界を張っていた。お前の四魂の欠片には一点の汚れも出てはならないから自分から離れよ、との桔梗の言葉を気にかける琥珀。かごめは鋼牙に背負われながら犬夜叉の後を追う。
離れた堂の中に逃れた桔梗だが、何度浄化しても糸の束は尽きずに絡みついて巣を張る。何度も見せられる五十年前の悲劇の幻夢に、自分の心を汚すつもりかと歯軋りする桔梗。飛び込んできた犬夜叉の目には糸が見えない。来るなと叫ぼうとした桔梗の首筋に瘴気の傷跡が広がり、桔梗は気を失ってしまう。抱き留めた犬夜叉がその傷跡に焦りを露わにして…以下次号。
奈落の狙いは何だ? どうもそれが読めません。五十年前には鬼蜘蛛の嫉妬の心から犬桔の仲を引き裂いた奈落が、それを再現するにしてはやり方が回りくどい。わざわざ犬桔の双方にあの時の幻を見せ、二人が会うように仕向けている節さえある。無関係の娘を人質にとって桔梗に糸を触れさせ、負の心を注ぎ込むつもりなのか。桔梗が琥珀に、側にいると四魂の欠片を汚すとまで言い含めたのはそれを避けるためだとしても、奈落の標的は桔梗。復活してからの数ヶ月で彼女の心は揺れ動いたものの、巫女としての清浄さは強靱になっていておいそれと汚されるようなものじゃないはず。しかし犬夜叉に来るなと叫ぼうとした表情には、犬夜叉への秘めた想いがやはり出ています。そこにつけ込むのが瘴気の傷であり奈落の悪意なのか。邪な想い、あさましき願い、薄汚い執着という負の心に桔梗が支配されるなど、考えたくもない。
『ひでー野郎だぜ。かごめをほったらかして昔の女つけ回しやがって』鋼牙の一言、単純明快ながら一行への影響力がかなりありますね。いつも言ってる(弥勒談^^;)七宝でさえ『それを言ってはおしまいじゃぞ!』なんだから。しかし鋼牙に背負われるのも、初対面の時とは打って変わって違和感が薄いところがかごめの適応性か。
で、かごめ贔屓としては、今週は犬夜叉を見つめる横顔でしょう。彼が自分に対して隠し事をするのを気にかける顔はちょっと辛い。この際、犬桔の愛憎関係を丸ごと昇華してしまうくらいの活躍を期待します。高橋先生が“描きたいこと”として。
週刊少年サンデー18号掲載・第452話「蜘蛛の糸」
奈落は白霊山に戻っていた。薄く光が射し込む水溜まりには奈落が生み出した人型の赤子のなり損ないが山積み。水の底から声がする。その主は奈落が捨てていった人の心で、なぜ戻ってきたと問う。魍魎丸と赤子を吸収した時に、桔梗が矢を射かけてこなかったことや琥珀の四魂の欠片が清浄な光を発していたことから、琥珀の欠片を取り込んだ瞬間に四魂の玉ごと自分を浄化するのが桔梗の狙いだ、と奈落は答える。水の中から浮かび上がってきたのはやはり奈落の顔を持った物体。人間の心には邪な想い、あさましき願い、薄汚い執着などの負の部分があり、それが四魂の玉に闇の力を与えるという。桔梗を殺すほどの力があるか、とつぶやく奈落の手にもう一つの奈落の首が乗り、蜘蛛に姿を変えて手の中に潜り込んでいく。闇を舞う奈落の背後から伸びていくのは不気味な蜘蛛の糸…。
魚を焼いて食事中の犬夜叉一行。鋼牙は休みすぎだと愚痴。犬夜叉は鋼牙の臭いを嫌がって一人木の枝の上。鋼牙がかごめにちょっかいを出す度に犬夜叉が割って入ってはおすわりで潰される繰り返しらしい。皆が眠った夜更けに犬夜叉は悪夢を見る。四魂の玉を奪って逃走する自分の胸に血まみれの桔梗が放った矢がささる、あの悲劇の過去。川の縁でおさまらない動悸を気に掛ける犬夜叉は桔梗の身を案ずる。目を覚ましたかごめがその後ろ姿を見やった時、多量の蜘蛛の糸が巣状に降りてきて…以下次号。
ついにこの手で来たか! というのが今週の第一印象です。連載ではまだ初期の頃、かごめの矢で大ダメージを受けた時に奈落は「かごめと犬夜叉を引き離さねばわが命に関わる」と危機感を抱いていたのですが、その後その方向からの仕掛けができないでいた。つまり天敵である桔梗の動向にこだわりすぎ、邪魔だと考えた人の心を外に出してもやはり失敗。心臓部分を取り戻して桔梗の狙いが四魂の玉ごとの浄化だと知った今、結局のところは人間の負の心が必要になった。『人間の心はきさまが忌み嫌うほど悪いものばかりではないぞ…』いやあの、邪な想い、あさましき願い、薄汚い執着は普通悪いって。しかし今の奈落にとっては強力な武器になるわけだ。蜘蛛の姿は負の心にまみれた野盗・鬼蜘蛛の象徴でしょうが、『負の心こそわしと桔梗をつなぐもの、そして犬夜叉きさまも…』の独白が気になる。誕生の直後にやった犬桔の仲を引き裂く陰湿な企みを再現するつもりなのか、奈落。
鋼牙は三日走り続けるのが普通らしい。さすが妖怪というべきかいくらなんでもムチャクチャというべきか。『手!』『握るな』『斬る』『おすわり』『ざまあみやがれ』これが一行の新しい日課(七宝談)なのだそうです(うーむ、実にわかりやすい^^;)。この連載第一話のシーン、あの悲劇は何度見ても痛々しい。初めて心を開いた女の矢に貫かれた自分の胸、この悪夢も蜘蛛の糸の布石。改めて桔梗の身が心配になった犬夜叉に、負の心がもたらす闇の力は何を仕掛けようというのか。
かごめ贔屓としては、今週は焼魚を持った女の子座りが可愛い。しかしもう真冬のはずなのによく短いスカートで頑張るよな彼女は。犬桔かの複雑な関係に蜘蛛の糸が毒を持ち込むのならば、対抗できるのはヒロインの心の光だけです。
週刊少年サンデー17号掲載・第451話「瘴気の谷」
山嵐の針を剣で薙ぎ払いながら珊瑚は飛来骨に突進。弥勒の破魔札は尽き、珊瑚は本体を倒すために分銅を投げて山嵐の額に刺さった金剛槍に巻き付け跳躍、槍を抜こうとするが振り払われて崖に激突。それでも拾い上げた飛来骨で槍を跳ね飛ばし、山嵐は倒れる。弥勒は頭がクラリときて両膝をつく。狭まった崖の間に瘴気が溜まっていたのだ。駆け寄ってくる珊瑚を、倒れたはずの山嵐が起きあがって前足で一撃。防毒面を飛ばされて珊瑚は卒倒し、山嵐の額にもう一本の金剛槍が突き出る。前方の一匹も背後の一匹も、なぜかその場に立ち止まる。珊瑚を抱きかかえた弥勒は、自分が瘴気で弱るのを待っているのだと察知。脳裏をよぎる風穴は使わないでとの珊瑚の言葉。弥勒は掌に滲み出ている瘴気の傷を睨み、その怖さを自覚しつつも飛んでくる針を迎撃するべく風穴の封印数珠を外す。
その瞬間前方の山嵐の全身が雷で裂ける。鋼牙の五雷指だ。飛び越えてきた犬夜叉が、あわてて数珠を戻した弥勒の後方にいる山嵐を風の傷で粉砕。かごめが矢を放って充満した瘴気を浄化し、弥勒はようやく安堵の溜息をつく。へらず口の犬夜叉に、危なく吸うところだったと嘆いて殴られる弥勒。無理するなと言ったろうとわめく犬夜叉、間に合わなきゃそれしかないだろと指摘する鋼牙、おすわりで犬夜叉を潰して珊瑚を介抱するかごめ。気が付いた珊瑚は仲間が助けてくれたと語る弥勒の顔を見て微笑む。いずれ命を削りながらも風穴を開くべき時は来る。しかし自分には頼れる仲間もいると述懐する弥勒…以下次号。
退治屋稼業で戦い慣れている珊瑚の判断力ですが、力づくで来る敵にはどうにも分が悪い。それでも飛来骨のコントロールはさすがです。弥勒が危機に陥るとどうしても感情が先走ってしまうため、何度も危ない目にあうところが痛々しい。惚れた女の顔と瘴気の傷を交互に見る弥勒の目。『まいったな…風穴の怖さには慣れているつもりだったが、こうして傷を目にすると…』には彼の境遇が凝縮されています。決死の形相で風穴の封印を解く表情が、腕の中にいる珊瑚の横顔とマッチして絶妙でした。
わずか4コマで山嵐二頭を始末してしまう犬鋼の腕っ節がその分思い切り目立っているのですが、『肝を冷やしたのはこっちだ。危うくおまえまで風穴で吸うところだったぞ』と『てめえやっぱり風穴開こうとしやがったな! 無理すんなって言ったろーが!』と犬夜叉に言われた時の弥勒の表情がまたいいんです。口より先に手が出るが、そういう熱さがこの相棒の相棒たる所以。なんともいえない感情が入り交じっていると申しましょうか。目覚めた珊瑚の微笑みは穏やかで、そこも弥勒によく似ています。群れに戻る気はさらさらないらしい鋼牙も、互いの臭いを嫌う割には犬夜叉と一緒の行動に慣れつつあるのが面白い(^^;)。次週はそろそろ兄上の出番でしょうか。
かごめ贔屓としては、今週は珊瑚を膝枕してペットボトルの水で介抱するコマでしょうね。七宝が肩に乗っかっている姿がサマになるのが犬夜叉一行の共通項、鋼牙もそうなれれば本当に仲間入りでしょう。
週刊少年サンデー16号掲載・第450話「群れ」
山嵐の針退治を続行する犬夜叉とかごめは数の多さに疑念を抱く。珊瑚と弥勒が飛来骨と護符で針を落としていると、二頭の山嵐が出現。額にささった金剛槍を飛来骨がはじき飛ばすと、死んでいる本体は倒れるが背中の針が飛び去る悪循環。弥勒はやむなく桔梗の言葉を気にしながらも風穴を開いて針を吸い込む。山嵐の死体を前に、これは群れだったものに金剛槍が降り注いだためにこれだけの数になったのかもしれないと語る弥勒。珊瑚は弥勒の体調を心配して、風穴を使わないように頼む。
瘴気の名残程度の山嵐の針なら風穴も使えそうだ、と右手を見る弥勒の目に封印の端からはみ出てきた瘴気の傷が映る。渓谷の間を飛行する針を珊瑚が飛来骨で斬った途端に、崖を砕いて巨大な山嵐が出現。飛来骨は岩の間に消え、雲母もダメージを受けて子猫サイズに戻ってしまう。二頭の山嵐に挟まれる弥勒と珊瑚。二人の匂いを追って走る犬夜叉の横に鋼牙が戻ってくるが、かごめと頭越しに話をするので犬夜叉が不機嫌になっていると三人の眼前に地下から三頭の山嵐が出現。苦戦する弥勒と珊瑚。風穴を使わせるわけにはいかない、と珊瑚は山嵐の背後に見えた飛来骨を取ろうと走る。顔色を変えて珊瑚の名を呼ぶ弥勒…以下次号。
間に合わないと思って風穴を開いた弥勒。少々の痛みはあっても大丈夫だと気丈でいますが、珊瑚も読者もヒヤヒヤものです。『約束して! 風穴は使わないって…』との珊瑚の言葉にいつになく真剣な顔で理由を聞く弥勒は、真実を気付かれていないことで安堵するものの、やはり奈落の絶大な瘴気は弥勒の体を蝕んでいる。不気味な傷跡が手の平に湧き出てくるコマにはギクリとさせられます。こういう時に限ってピンチが来るんですが、互いの身を自分の体よりも優先し合う仲のミロサン、二人の絆はどんな形で描かれるのでしょうか。
『おれの頭ごしに話をするなっ!』。一緒に行動しているとどうしてもかごめ絡みでそうなる犬鋼ですが、『弥勒の野郎…あれで頭に血が上ると見境ねえからな』という言葉は長い付き合いで相棒の性格をよくわかってますね。しかし既に桔梗の身よりも弥勒の身の方をより気遣うようになっている犬夜叉。桔梗贔屓の読者は寂しいでしょうが、離れて行動する昔の恋人よりも苦楽を共にする身近な仲間になるのはやむをえないことか。
かごめ贔屓としては、今週は犬夜叉の背中から鋼牙と会話する横顔でしょう。顔の高さが自分より上で並んでいたら犬夜叉は当然面白くない(^^;)。無骨で不器用な感情表現に終始する彼氏ではあるけど、もう慣れてるよねえ。
週刊少年サンデー15号掲載・第449話「山嵐」
森が溶けてなくなったという噂話をしていた戦の布陣中の兵達が、妖しい光が頭上を通過すると同時に白骨化。桔梗は弥勒の身を案ずる犬夜叉に風穴の件を伝えない。琥珀は珊瑚に、皆の想いを受けて命を無駄にはしないと約束。桔梗と犬夜叉に遠慮するかごめに構わずに声をかける鋼牙に対し、桔梗は奈落の瘴気の後始末が必要だと話す。琥珀は桔梗の側にいることで心が清められているように感じると伝え、桔梗に付き従う。去り際にかごめに対し、琥珀を救えるものなら…と呟く桔梗。
瘴気の臭いを追う犬夜叉一行。嫌がりながらも鋼牙の肩につかまる七宝だが、雲母の上で珊瑚の腰を撫でる弥勒を見て元気になったらしいと一言。森の中から二匹の妖怪が飛び出してきて犬夜叉が鉄砕牙で両断すると、珊瑚が本体ではなく針だと話す。現れた本体は金剛槍が頭にささった妖怪山嵐。背中には無数の針を持つが、本体は既に死んでいて瘴気の槍に操られて動いているのだ。針は一匹ずつ動き、周囲に瘴気を撒き散らして襲ってくる。犬夜叉は風の傷で本体を粉砕するが、討ち漏らしの針数匹が四方に逃走。手分けして追うことにした弥勒に犬夜叉は無理をするなと釘を差す。瘴気の傷が心臓に達すれば命は尽きるとの桔梗の言葉を脳裏に浮かべながらも、風穴を使わないわけにはいくまいと独白する弥勒と珊瑚の眼前に針の大群が出現。山嵐が他にもいる、と珊瑚が顔色を変えて…以下次号。
これまで犬夜叉には隠し事をしなかった桔梗も、弥勒の願いを聞いてその深刻さを隠す。大丈夫だと聞いて安堵する犬夜叉の表情が印象的です。琥珀は『みんな…俺の欠片を使わないですむように闘ってくれた』と姉に語り、無駄に命を捨てないと約束するものの、桔梗の側にいることが苦しみから救われるように感じている。ここまで言われると珊瑚も止められないか。しかし桔梗に対して屈託無く声をかけることができる鋼牙は、一行からすると羨ましい立場かもしれません。
『さすがの私も今度ばかりは…調子が戻らん』と言いながら珊瑚の尻を撫で回す弥勒を見ると、まあ一行は元気になったと安心する。一言『そお。』と返すだけで全然嫌がらないあたり、もうすっかり珊瑚は許嫁らしくなった(^^;)。さてまた新たな妖怪が…ってもう死んでるんかい! 奈落の落とし物で操られるゆえ始末が悪いことこのうえない存在で、針一匹だけ残っても大迷惑。『まだ無理すんじゃねえぞ!』の犬夜叉の声に反応する弥勒の横顔は渋い…しかし瘴気の傷が心臓に近づいている身で針の大群を吸ったりしたら命取りになるぞ。珊瑚を泣かすなよ。
かごめ贔屓としては、今週は犬桔の中に入っていけないジレンマに、鋼牙があっさりヒントをくれたような。『…って、ええ!? はいってった!』に思わずクスリときました(^^;)。それでも琥珀のことを気に掛けて、『桔梗! 琥珀くんのこと…』と声をかけることができるのがこのヒロインのいいところなんですね。皆の頑張りを桔梗は確かに受け止めてくれています。琥珀を助ける方法を考えよう、と。
週刊少年サンデー14号掲載・第448話「瘴気の傷」
奈落は直ちに瘴気を吹き出して風穴に向ける。珊瑚の閉じてという声に逆らい、弥勒は膨大な瘴気を吸い続ける。吸う前に瘴気で死ぬぞと余裕の奈落に、自分だけのためではないと強靱な意志を示す弥勒だが、目尻と口から黒ずんだ血が滲み出る。顔色を変える珊瑚と犬夜叉達。その狙いは奈落の心臓・赤子で、じりじりと体の外に出てくる。不妖壁が赤子の手から離れて風穴の中に消え、弥勒は大量に血を吐く。泣きながら止める七宝。横へ飛び込んだ犬夜叉が弥勒の数珠を掴み、腕づくで風穴を閉じる。奈落の前には妖穴が見えたが、風穴を閉じなければ心臓が吸い出されていた、絶好機を逃がしたのを後悔せよとの言葉を残し、奈落は身を瘴気の渦に変えて逃走する。
駆け寄った珊瑚にすまないと詫びる弥勒。琥珀の命を救うためかと考えるかごめ。傍らに立った桔梗は、弥勒の腕と胸に蜘蛛の足のように広がった瘴気の傷を確認し、風穴を閉じなければ心臓に達していたろうと語りつつ、三日はかかるが浄化しようと申し出る。堂の中で傷に手を翳し、瘴気を少しずつ自分に移して体内で浄化する桔梗だが、これは桔梗の身をも削る行為だ。外では犬夜叉が鋼牙にもう手を引けと話すが、桔梗と考えが一緒だと言い返されてかごめの手前で焦る。三日目の夜明けに弥勒は意識を取り戻す。枕元で桔梗は、瘴気は浄化したが体内の傷は消せなかったと語る。弥勒は自分の体のことは自覚していると話し、琥珀と寄り添って眠る珊瑚の顔を眺めつつ、他言無用と桔梗に頼む。弥勒は珊瑚に、知らないでいてくれ、後悔はしていないと独白し…以下次号。
ここまでやるとは驚きの一言、弥勒がどれだけ珊瑚と琥珀のことを想っているかを痛いほど感じされられました。最猛勝を呼ぶまでもなく、無尽蔵の瘴気を吸わせる手があったとは不敵そのものの奈落ですが、弥勒の標的は赤子の方。心臓が吸い込まれれば本体も滅するしかない。涙ながらに止めろと叫ぶ七宝にもぐっときました。もういい、と風穴を強引に閉じた犬夜叉は奈落の妖穴を見つけた。捨て身の弥勒の行為は不妖壁を消すという重大な役割を果たしたわけです。しかし奈落の去り際の捨てゼリフには、どこか刹那的な臭いが漂う。奈落よ、お前は何のためにそうして存在している?
瀕死になりながらまだ珊瑚に詫びるとは…男だ弥勒。桔梗がその身を救うべく浄化を申し出たのは、巫女の矜持の他にも、懸命に奈落を倒そうとする一行への敬意があるのでしょう。『桔梗さま自身、奈落の瘴気に蝕まれている身だ…平気なわけがない』と痛々しげに独白する琥珀も、身を削って弥勒を救おうとする桔梗が琥珀の命を犠牲にしようとしていることがわからないと呟く珊瑚も、自らの体については無言の桔梗も、それぞれ重いものを抱えています。鋼牙の方は一度きりの妖狼族の加護を使ってしまった。足の四魂の欠片を返して妖狼族の群れに帰れと言う犬夜叉の言葉は桔梗と同じ。『お前ら昔つきあってただけあって、考え方一緒だな』は強烈な牽制球で、無言のかごめに滝汗の犬夜叉が今週唯一のユーモラスな場面でした(^^;)。弥勒の風穴は瘴気の通り道と化したのか。後悔していないという言葉が気になる。死ぬなよ弥勒! 珊瑚には琥珀と弥勒とどちらが大切かなど、比べられるものじゃないのだから。桔梗は今回深く犬夜叉の仲間達に接したことで、何かの決意を固めるかもしれません。
かごめ贔屓としては、今週は弥勒の意思をいち早く察するところでしょう。鋼牙には『私は…手伝っただけ』と謙虚ですが、犬夜叉と桔梗の考えることは一緒、は堪えたろうなあ。やっぱり一緒に行動するのは難しそうですが、さて次週、桔梗はどうするでしょうか?
週刊少年サンデー13号掲載・第447話「加護」
赤子の目は虚ろになり、そのまま奈落の右胸の中に吸収されていく。犬夜叉とかごめ、弥勒と七宝もこれを確認して悔しがる。金剛槍の束状態で伸びた右肩に捕まったままの鋼牙もまた動かない足が歯がゆいが、脳裏に浮かぶのは妖狼族の一度きりの加護を語る声。かごめは再び雲母に乗り、犬夜叉には桔梗との約束と話して飛ぶ。その桔梗達も犬夜叉の視界に姿を現す。奈落の姿を見た桔梗は、鋼牙の守護霊は奈落の邪気に負けていると独白。このまま鋼牙の四魂の欠片が奈落の体に吸収されるなら、琥珀の最後の欠片を使うしかない。かごめは奈落の腕を狙って矢を撃つがかすめただけ。奈落が無駄だと冷笑した瞬間、鋼牙の足が脈打って動くようになる。吸収されかけていたその眼前には眠りについた心臓の赤子が。五雷指でこれを攻撃しようと跳ぶ鋼牙。奈落の体内の棘が伸びるが、五雷指がこれを砕いて、出てきた瘴気も鋼牙の体をすり抜けていく。
奈落は吸収した赤子の部分を一時前へ押し出す。雷が響いて金剛槍の束が砕け、狼の精霊数体と共に鋼牙が脱出。妖狼族の加護だと弥勒。かごめの矢が彼らに力を与えたと桔梗と珊瑚。しかし一度きりの加護はもう消えかけている。鋼牙が地上に降り立つと奈落は瘴気を噴射。逃がすかと鋼牙と犬夜叉が動き出すと、二人を制して今しかないと弥勒が風穴を開き…以下次号。
さんざん頭脳に逆らってきた心臓も、本来の場所についに戻されたか。元々心臓を外に出したのは桔梗抹殺のためのはずだったのが、これは鬼蜘蛛の思念とかごめの無垢の行動で失敗。結局何も得をしていないと思いきや、魍魎丸が手に入れた鎧甲と金剛槍を横取りするあたりはただでは起きない奈落の面目躍如。しかし今度も天敵・かごめがその野望を阻止する。二つの欠片吸収寸前にかごめの矢が妖狼族の精霊に加勢、鋼牙が2頁見開きで狼の精霊達と共に豪快に脱出するコマは素晴らしい。この光景を見た桔梗は何を感じたか。琥珀の身を庇うように桔梗の背後にいる珊瑚が、かごめの名を呟く表情も実に印象的です。
またしても完全勝利をフイにした奈落はもう撤退に移るか。ここで弥勒が因縁の風穴を開く。風穴封じの定番・最猛勝を操る能力が今の奈落にないとは思えませんが、周囲にいなければ群れを呼んでも間に合わないとみたか。それとも最猛勝もろとも吸い尽くす覚悟なのか。こんな時のために新たな分身・白夜がいるはず。さあ奈落はどうかわす?
かごめ贔屓としては、今週はまさしくサブタイトルごと、彼女が“加護女”なのだと実感しました。犬夜叉はもちろん、同系統の獣である狼達も、彼女の想いによって強大な力を得る。『私…桔梗と約束したの!』の言葉と表情にこそ、このヒロインの魅力が凝縮されています。それから忘れちゃいけないのは、先週山腹に叩き付けられながらも再度かごめを乗せて飛ぶ雲母の頑張り。感服!
週刊少年サンデー12号掲載・第446話「侵蝕」
赤子は内部の棘で奈落の顔を突き刺すものの、中から喰われているのに気付かなかったか、と奈落は冷笑。魍魎丸の背中に囚われたままの鋼牙は意識を取り戻すが、まだ足が動かない。魍魎丸を追う犬夜叉とかごめは、翠子の意思が鋼牙の四魂の欠片を支配したままなのかと危惧する。奈落の左腕が出てきて赤子の結界に触れると火花が散る。この結界が破れなければお前は抜け殻のままだと余裕の赤子だったが、草葉の触手が次々と現れて結界を溶かし始める。溶命樹の能力を取り込んだ触手だ。四方から忍び寄ってくる枝に顔色を変えた赤子は、自ら魍魎丸の肩を壊して結界ごと脱出しようとする。これを見た犬夜叉はすかさず金剛槍破を放つが、同じく金剛槍の触手が無数に出てきて赤子をガード。
外に出れば殺されるだけだ、と赤子を見つめる奈落の目。吸収されるなら道連れに死ぬ覚悟を示す赤子。すぐ上から鋼牙が五雷指で一撃。同時に猛烈な瘴気が吹き出し、再び鋼牙は呼吸困難に。今度はかごめが破魔の矢で瘴気を払う。邪魔だと考えた奈落は魍魎丸の背中から金剛触手を延ばし、雲母の前足を捕らえると山腹に叩き付ける。投げ出されたかごめを懸命に抱き留める犬夜叉。汚れた金剛槍が山肌に突き刺さって周囲を溶かす。巨大化した金剛触手が旋回する中心で魍魎丸の体が変色、変形していき、生気を失った顔面にヒビが入ってこれが破れると、その下から奈落の顔が現れる。やはり生きてやがった、と歯軋りする犬夜叉。鋼牙も赤子も金剛槍と溶命樹の草葉に掌握され、奈落はこれまでだと勝ち誇り…以下次号。
奈落にとって、内側から魍魎丸を喰うことなど朝飯前だったのか。溶命樹の能力は赤子の結界を溶かして喰らうために必要だったとは念入りなことだ。やはり心臓よりも頭脳の方が一枚も二枚も役者が上。それでも吸収されるのを拒み、奈落もろとも死ぬ覚悟で外に飛び出す赤子の自我には、単なる妖怪とも思えぬ人間的な側面が見られて興味深いところです。以前に外に出て再び取り込まれた無双(鬼蜘蛛)の思念は、奈落への反感として赤子に受け継がれているのかもしれません。
既に魍魎丸を乗っ取った奈落は金剛触手も瘴気も使い放題。直撃せずとも近くをかすめただけで瘴気を浄化するかごめの矢に、息を取り戻してほっとする鋼牙の表情もまた印象的です。ああしかし雲母これは痛かろう。単に憎々しげに振る舞うだけでなく、冥王獣の鎧甲と数多の妖怪の体で作られた魍魎丸の全身をも、元の自分のサイズと体型に切り替えていくあたりに奈落の奈落たる美学?があるようです。これにて赤子が分身の白童子を動かして作り上げた“城”は奈落の体にされてしまった。しかも強靱な鎧甲と金剛槍の能力というお土産つき…これでは桔梗の、奈落を四魂の玉ごと浄化するという作戦も通用するかどうか。
かごめ贔屓としては、今週は先週に引き続いて鋼牙を救う一矢と、久しぶりの犬夜叉の抱擁場面でしょう。色気づいてる局面じゃないのがちと残念ながら、魍魎丸が完全に奈落に成り代わられた見開き頁で、犬夜叉の腕の中で驚愕した表情もいいです。
週刊少年サンデー11号掲載・第445話「赤子の誤算」
魍魎丸の背中で犬夜叉は、鋼牙に五雷指で自分を撃てと叫ぶ。崖の上からこの光景を見つけて驚く弥勒と七宝。犬夜叉は鋼牙が放った五雷指の雷撃を竜鱗で吸収して魍魎丸の後頭部に一撃。これで力は何倍にもなると納得する弥勒だが、触手の一部が斬れたのみ。四魂の玉が不妖壁にも力を与えて妖穴を見えなくしているのかと話す弥勒の一方で、鋼牙を飲み込もうとしている部分が赤子に通じる、と鉄砕牙を持ちかえて犬夜叉がそこを突く。強烈な雷が発生して赤子にもダメージ。途端に背中から瘴気が吹き出し、鋼牙は呼吸困難に陥る。溶かして飲み込んでやると言い返す魍魎丸は、気を失うなと鋼牙を引きずり起こそうとした犬夜叉を触手で跳ね飛ばす。このままでは鋼牙が取り込まれてしまう、と七宝らがあわてたところへ破魔の矢が飛んできて魍魎丸の背中に命中、瘴気が浄化される。
矢は上空から雲母に乗ったかごめが撃ったものだった。犬夜叉はすかさず突き立った鉄砕牙を抜いてもう一太刀浴びせようとするが、魍魎丸は金剛槍を乱射するとそのまま逃走を企てる。鋼牙は捕らえられたままで、場所を変えて吸収するつもりなのだ。逃げ出すほどに犬夜叉の攻撃が効いたのかと考える弥勒。かごめは後ろに犬夜叉を乗せると雲母で後を追う。魍魎丸の肩から軋みとヒビの音が聞こえ、あと一撃で壊せると話す犬夜叉に、かごめは理由はわからないが魍魎丸は四魂の玉を吸収していないと言う。たしかに四魂の玉の力ならこんなものではないはずと考える犬夜叉。これは魍魎丸の中にいる赤子も同じで、結界の周囲にヒビが広がり、奈落を食ったうえに四魂の玉の力で最強になったはずの体がどうなっていると当惑していると、きさまの魍魎丸は四魂の玉の力など使っていない、という声とともに赤子の正面に奈落の顔が現れ…以下次号。
波状攻撃で壊せない鎧甲なら、融合攻撃ならどうだと試みるあたりは犬夜叉の勘のよさですね。そのうえで吸収する口を狙うのも見事。こうなると必ず瘴気を使うあたりがやはり奈落一派で、人間のみならず妖怪も溶かす凶悪な邪気。『半妖など喰うに値しない』という言葉には、人間の血を侮蔑するだけでなく一種の怖れもあるような気がします。これを浄化しうるのは、やはり心に光を持つ者・巫女の放つ破魔の矢。かごめが久しぶりに大活躍です。
『かごめ! 助かったぜ!!』という犬夜叉の言葉にはおっ、と思いました。戦闘中に彼がこうまでストレートに礼を言うのは珍しいことです。長いつきあいがこういう次元にまで心理的に作用している。かごめの背後に犬夜叉がいる構図もまた珍しいんですが、四魂の玉は鎧甲の一部に留まったままでかごめに見える。吸収できない理由はやはり奈落です。既に魍魎丸の体のかなりの部分に根を張って支配を進めているのでしょう。以前白霊山そのものを自らの体にしたほどですから、養命樹のどういう能力を利用したのかは不明にしても、魍魎丸乗っ取りは着々と進行中らしい。ついに赤子が心臓らしく元の体内に納まる時が来ましたかね。
かごめ贔屓としては、今週はある程度的が大きいとはいえ、よくぞ互いに飛行する状態から矢を当てました。大拍手! 鋼牙やその部下がピンチになった時には一際命中率が上がるような気がするところもまたいい(^^;)。トビラ頁はカラーでしたが、刀と矢を構えた犬かごのツーショットは華麗で実に格好よかった♪
週刊少年サンデー10号掲載・第444話「苦戦」
魍魎丸の肩に鉄砕牙を振り下ろした犬夜叉だが、鎧甲の堅さで腕が痺れる。何度斬ろうとしても鎧甲は揺るがず、業を煮やした鋼牙が五雷指で飛びかかるが、魍魎丸の触手はこれでも砕けなくなっていた。犬夜叉は体の中心から離れた部分の妖穴さえ見えなくなったのは、四魂の玉の力で赤子が持つ不妖壁の力も増大したためかと舌打ちする。魍魎丸はニヤつきながら一つの妖穴をわざと露出させる。鋼牙が飛び込んできたためやむなくそこを斬った犬夜叉だが、鉄砕牙と五雷指が同時に一点を突いても無傷なばかりか、強靱になった触手が一斉に伸びてくる。犬夜叉は鋼牙を殴り飛ばして触手に捕まるのを阻止するが、もう刀と爪も効かぬと余裕の魍魎丸。おまけにここで鋼牙の両足で四魂の欠片が脈打ち、動けなくなった鋼牙はついに触手に絡め取られる。
山を上る途中でまた二つの欠片が捕まったことを感じ取る桔梗。その前に雲母に乗った珊瑚とかごめが降り立つ。かごめは桔梗に琥珀の四魂の欠片を使うつもりかと尋ね、珊瑚は琥珀に死ぬしか方法がないのかと叫ぶ。四魂の玉をこの世から消滅させるにはそれしかないと決意を語る桔梗だが、弟を見殺しにできるわけがないと珊瑚は反発し、琥珀が哀願しても退かない。桔梗は鋼牙の二つの欠片も四魂の玉に吸収されかけているとかごめに話す。かごめは桔梗に待ってほしいと応え、一人で雲母に乗ると犬夜叉達のところに引き返す。その姿を見上げつつ、おまえになにができると独白する桔梗。犬夜叉の努力と今の力を信じたいと願うかごめ。犬夜叉と鋼牙は魍魎丸の背中で触手に捕まり、動きを封じられていた。四魂の欠片ごと飲み込んでやると勝ち誇る魍魎丸。犬夜叉は鋼牙に自分の言うとおりにしろと怒鳴り…以下次号。
欠片だけでも妖怪の力を猛烈に高めるのが四魂の玉です。あと欠片三つで完全形になるような状態なら、やはり不妖壁の範囲がぐんと広まっても当然か。そればかりか鎧甲まではるかに強靱になったようで、竜鱗の鉄砕牙と五雷指の連携攻撃も通じない。一気に無敵に近づいた赤子の城・魍魎丸は、奈落がここまでできなかった四魂の玉の復元を成し遂げてしまうのでしょうか。
珊瑚は桔梗と琥珀に直談判に及ぶ。『奈落に仕込まれた四魂の欠片が結局は琥珀の命を奪うなんて、そんなこと許せない!』真っ正直に直言です。残った唯一の肉親である弟を救いたい姉と、『やめてください姉上! おれが望んだことだ!』と必死に止める弟。眉を動かしながらも『どけ…時間がない』と静かに返す桔梗。情勢は逼迫しながらも皆がそれぞれ退けずに膠着するかと見えたなか、かごめは珊瑚にその場を託して引き返す。犬夜叉の窮余の一策は何なのか。かくなる上は魍魎丸の内側に潜って壊すか。鉄砕牙と四魂の玉が接触するとえらい事が起こるのは立証済み。むしろ完成する前にもう一度玉を砕いてやれ、と連載継続を望む読者も力瘤、の展開か。そして弥勒と七宝はどこにいる?
かごめ贔屓としては、今週はなんといっても『だから会いに来たの。お願い、ここで待っていて』の表情です。それを頼むために彼女は桔梗の前に出た。『私は…私は犬夜叉の力を信じたい!』と独白するヒロインの横顔こそは、この作品を愛する読者の姿、心情そのものなのです。桔梗、見ていてくれ。貴方が心を通わせた半妖の少年が、貴方がその魂を委ねた異界の少女と出会ってどう成長したのかを!
週刊少年サンデー9号掲載・第443話「奈落消滅」
勝ち誇る魍魎丸を前に、犬夜叉達は奈落が死んだとは思えず戸惑いを浮かべるが、かごめは魍魎丸の中で四魂の玉と欠片が結合するのを見る。離れていた桔梗も同時にこれを感じ取っていた。魍魎丸はますます力をみなぎらせ、かごめが近くに残りの欠片の気配を感じると、即座にその方向に金剛槍を発射。瘴気を帯びた槍は山肌を溶かし、鋼牙の姿が現れる。かごめは鋼牙に逃げてと叫ぶが、鋼牙は魍魎丸が奈落になりかわったならここで決着をつけると言い放つ。今度の金剛槍は五雷指で跳ね返すことができず、四魂の玉のほぼ完全形を体に入れた魍魎丸の力の増大を示して鋼牙は苦戦。
犬夜叉も金剛槍破を放って乱入。びくともしない余裕の魍魎丸だが、犬夜叉は鋼牙に追いつける程度に走れと促す。魍魎丸を地面に降ろして妖穴を斬る作戦だ。四魂の玉を完全に取り込まれると手に負えない。急ぐべきだとのかごめの叫び声に、囮になるのが不満ながらも鋼牙は犬夜叉と並行して走り出す。かごめは残る欠片の持ち主である琥珀も接近していると珊瑚に伝える。一緒に行動している桔梗が四魂の玉を一つにすることを望んでいることから、琥珀の命を危惧する弥勒と珊瑚。鋼牙を追って岩の間を上空から睨む魍魎丸。その真上に飛び出した犬夜叉が竜鱗の鉄砕牙を振り下ろすが、なぜか妖穴が見えず…以下次号。
吸収されたかに見えた奈落はいずれ切り札の養命樹能力を発動させるでしょうが、その前に雪崩式に魍魎丸と犬夜叉達のバトルに突入。欠片三つを除く四魂の玉はもう完全形にほぼ等しい。この力が加わったら五雷指と鉄砕牙の連係攻撃も分が悪そうだ。スピードでかきまわす手段に出たものの、妖穴さえ見えなくなったというのは赤子の学習能力なのか四魂の玉による妖力の変化なのか。
残る欠片は鋼牙の足の二つと琥珀の一つだけ。一気に集めるつもりの魍魎丸は猛攻。奈落はこのまま魍魎丸の力によって玉を完成させるつもりなのか。この強靱な鎧を纏われた状態では、玉が完成した瞬間に玉ごと浄化するという桔梗の考えも通用しない恐れがあります。これでは琥珀の命も無駄になりかねない。その意味では奈落もまた魍魎丸の中に隠れたといえるでしょう。弥勒、珊瑚と桔梗がはち合わせすれば、確執が生じるかもしれません。
かごめ贔屓としては、今週は犬夜叉に急いでと叫ぶところでしょう。犬鋼と魍魎丸のバトルの一方で、琥珀を連れた桔梗に出会ったら彼女は何を言うのか。ある意味、琥珀の姉である珊瑚よりもかごめの方が緊張感を醸し出してくれるかもしれません。もう一人のヒロイン・桔梗の苦悩と迷いを理解してあげられるのは、その魂によって戦国時代に導かれた彼女の宿命であり役割なのですから。
週刊少年サンデー8号掲載・第442話「吸収」
奈落は首だけの状態でも平然と意図を語り始める。心臓を赤子の形で外に出したのは、心臓が別の意思を持って自分を裏切り、取って代わろうとすると見透かしていたというのだ。案の定、赤子は魍魎丸という鎧以上の“城”を作り上げ、獲物を太らせてから喰らう自分の目論みどおりだと言いつつ、奈落は結界の中に体を集めて再生を始める。魍魎丸は犬夜叉に力を与えて自分を斬らそうとしたのは予想以上に強くなって手に負えなくなったからだろうと言い返すが、こうして自分の前にやってくるのを待っていたと奈落も応酬して、その結界の中から蟹状の八本足と触手、長い尾が現れる。心臓を取り戻すつもりで、勝算があるはずだと睨む犬夜叉達。立ち上る猛烈な邪気を遠方から見つめ、桔梗と琥珀も魍魎丸と奈落の四魂の欠片が結合しようとしていると予感する。
奈落は腹の触手で魍魎丸を巻き付け、八本足でその体に取り憑くと瘴気を放つ。効かないとわかると長い尾の先で背後から突くが、これも鎧甲に当たると逆に砕ける。密着状態から魍魎丸は金剛槍を発射し、奈落の体は再び粉々に四散。わざと捕まれてやったのにこの程度かと勝ち誇りつつ、第二撃の金剛槍は奈落の顔面も砕く。今度は肉片が次々と魍魎丸の体にまとわりつき、瞬く間に全身を覆い尽くす。不気味な球状の肉塊と化したその中から魍魎丸の触手が突き出てきて、奈落の首を引きずり出すと背中の鎧甲部に押し込んで噛み砕く。食い尽くした自分の勝ちだ、魍魎丸は勝利宣言。驚愕する犬夜叉達…以下次号。
奈落は最初から自分の心臓が一人歩きを始めて野心を抱くのを計算していたわけか。赤子の姿にしたのはむしろそう仕向けるためだったとはねえ。無双の時は元々人間だった時の野盗・鬼蜘蛛の心と体を与えていたが結局そのまま再吸収している。今度は強靱な鎧甲と犬夜叉の金剛槍破まで身につけた“城”を作り上げたところで取り戻すつもりとは悪賢い。
首だけはいつもの若殿で、体は蟹と蠍とイソギンチャクのキマイラが抱きついてくるんだから、それにしてもなんとも気持ちの悪い戦いです。魍魎丸は鎧甲の強さに自信満々、破れるわけがないと余裕でキマイラを破壊。共食い合戦になっても肉塊を内側から破って若殿の首を喰ってしまう…強えなあ、なんて感心している場合でもなし、犬夜叉らの方がびっくり仰天。桔梗の危惧どおり、九分九厘完成していた四魂の玉まで一緒に入ったのなら、それこそ無敵の妖怪・魍魎丸の誕生です。とはいえおそらくここから養命樹の能力がものをいうのでしょう。この場にいない分身・白夜にも何らかの役割が課せられているのかもしれない。魍魎丸の中で、奈落は赤子を養命樹に喰わせる気なんでしょうか。
かごめ贔屓としては、今週は『魍魎丸の触手だわ!』の表情ですね。天敵の奈落が心臓と四魂の玉ごと、この強靱な鎧甲と武器を持つ魍魎丸の体を手に入れたら滅茶苦茶手強い。どうすりゃ倒せるんだ、一体…。
週刊少年サンデー7号掲載・第441話「対峙」
桔梗は矢先を向けたまま、鋼牙に四魂の欠片を渡せと迫る。敵の前で足が動かなくなるのは、自分と魂を一つにした昔の巫女・翠子の意思。戦闘中に欠片を取られれば命を失いかねない、奈落は四魂の玉を完成させて自分が必ず葬る、と説得を試みる桔梗だったが、鋼牙は妖狼族の仲間数十人を殺した仇である奈落から逃げ出せるかと猛反発。前に動いた鋼牙に桔梗はその足を狙って矢を放つが、鋼牙は軽くかわして魍魎丸を追うべくその場を走り去る。犠牲者を一人でも減らしたかったが、と独白する桔梗に、琥珀は魍魎丸を追いましょうと進言。桔梗は琥珀の命を使い捨てにしようとしている自分を責める。
犬夜叉達が走る上空に漂う奈落の邪気。崖の上から見渡せる位置に奈落は浮かんでいた。そこへ飛行してきた魍魎丸が正面から対峙する。真下の樹木が一瞬で灰になり、逃げ出した動物達は骨と化して溶けていく。向かい合っただけでこれだけの邪気が蔓延するのかと驚く弥勒達。壊されかけたはずがもう元に戻ったのかと声をかけた奈落に、魍魎丸は四魂の欠片の力ですぐだったと返して金剛槍を発射。結界を突き破った金剛槍は奈落の首から下を粉々に砕くが、心臓が貴様の中にある以上、いくら砕いても自分は死なないと余裕の奈落。それはこちらも同じことだとニヤつく魍魎丸に、どちらが生き残るかやってみるかと問いかける奈落。灰の足から奪った四魂の欠片は、魍魎丸の右肩部分にあった。奈落の目が意味ありげに光って…以下次号。
やはり桔梗は奈落を滅するうえで巻き込む者を減らしたかったわけだ。それがたとえ妖怪であっても…予想通り、鋼牙は鋼牙で後には引かない。桔梗の矢でも余裕でかわすスピードは流石。これで鋼牙がまだ対面していない主要キャラは殺生丸一行だけと、最終決戦に向けてのお膳立ては着々と進みます。死を覚悟して自分に付き従う琥珀を、桔梗はどんな想いで連れ歩くのでしょうか。
対面といえばこちらも初。赤子の鎧・魍魎丸は奈落の持つ大部分の四魂の玉を狙って直に対峙。にらみ合うだけで周囲がこれでは迷惑千万な両者ですが、『今の貴様がわしに勝っているのは、四魂の欠片の数だけだ』と自信満々の魍魎丸。といってもその武器は犬夜叉から横取りした金剛槍破なんだから厚かましい。しかし自分の死は奈落の死、主導権はこっちだと赤子が勝ち誇るのは一理ある。果たして心臓が勝つか脳が勝つか。奇妙にして危ない戦いの行方を決めるのは、奈落が吸収したばかりの溶命樹の能力か。次週、物語の中では数ヶ月ぶりに奈落が分離した心臓を再び取り込むのかも…。
かごめ贔屓としては、今週は奈落達の放つ邪気の威力に思わず右手を顎にやる一コマですね。原作者曰く“心に光を持つ者”であるヒロインが、対極の存在である奈落を倒す過程でどんな役割を担うことになるのか、そしてもう一人のヒロインである桔梗は、犬かごとの関わりを経てどう心を変化させたのか、注目します。
週刊少年サンデー5&6合併号掲載・第440話「溶命樹の力」
溶命樹の幹に顔が表れ、百年ぶりに妖怪を喰うと喋る。葉は奈落の結界を溶かして中へ食い込み、犬夜叉の詰問にも奈落は平然と挑発を返すのみ。瘴気の発生と共に溶命樹は根こそぎ宙に舞い上がり、弥勒は奈落が引っ張り上げていると叫ぶ。奈落は気に入ったぞと口走ると、自分を押し潰して喰おうとする溶命樹を逆に吸収してしまう。犬夜叉は金剛槍破を放つが既に遅く、奈落はそのまま飛び去る。何か意味があるはずだと考える弥勒に、追うぞと声をかける犬夜叉。
一方、魍魎丸の臭いを嗅ぎつけた鋼牙が山腹を駆けていると、桔梗と琥珀の姿が目に入る。桔梗は即座に鋼牙の方向を睨み、四魂の欠片を持つ者が来たと話す。その時山腹が一斉に揺らぎ、側面が砕けて魍魎丸が出現。足場が崩れた桔梗ははるか下方に転落し、琥珀の叫び声が響く。鋼牙は飛び去った魍魎丸を無視して桔梗の落ちた所へ走るが、既に桔梗は全身を打ち付けて倒れていた。あの高さからでは助からないだろうと思っていると、琥珀が走ってきて桔梗も起きあがる。琥珀の声から名前を知り、甦った死人なら壊れないということかと独白する鋼牙。桔梗は鋼牙に向かって、魍魎丸を追っていたなら手を引けと声をかけ、弓を引き絞る。驚く琥珀。何のつもりだと一瞥する鋼牙を静かに睨む桔梗…以下次号。
今奈落が溶命樹の能力を必要として吸収するとすれば、妖怪も人間も構わず喰う食欲と生命力でしょうか? といっても元々妖怪の集合体である奈落に今更その力が必要とも思えず、ひょっとすると赤子を再び自分の中に戻すための布石かなあ。『わが心臓はここにはない。殺すことはかなわん』という挑発にも、犬夜叉は構わずに金剛槍破をすぐ打つべきだったかもしれない。白夜でなく自ら出向いてきた以上、弥勒が考えるように重大な意味があったはずです。
鋼牙と桔梗が初遭遇。妖怪にとって巫女は強敵、その視線の鋭さには反射的に鋼牙が身を隠すほどだから流石です。数日で再生した魍魎丸も相変わらずしぶといですが、崖から転落した衝撃程度では魂が抜けないらしい桔梗も丈夫だなあ。鋼牙はかごめから翠子の話を聞いた時に、桔梗の身の上も聞いていたわけか。しかしなぜ桔梗は鋼牙に弓を引く? 四魂の欠片を持つ者が妖怪であれば、奈落に利用されるだけだということなのでしょうか。鋼牙には妖狼族の頭としての意地がある。めったなことでは引かないでしょうからこれはただでは済みそうにない雰囲気です。
かごめ贔屓としては、今週はほとんど出番なし。少々寂しい戌年の年頭となりました。考えてみるとこの連載が最終回を迎えるということは、彼女が高校受験を迎えることと同義です。まだ一年経っていないストーリーを10年がかりで描写する漫画の宿命、次週もお休みですが今年も原作ともどもNLDをよろしく。
さて2005年連載分も読みたいという方はこちらをどうぞ。
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