【今週の「犬夜叉」!】…毎週更新。

 ここでは週刊少年サンデーに連載中の『犬夜叉』について、毎週1回、主な内容と展開を追跡し、コメントをつけていきます。
なお、ゲストの方のコメントはこちらです(^_^)。

週刊少年サンデー3&4合併号掲載・第439話「溶命樹」
 魍魎丸の触手に貫かれた鋼牙の太股を手当てしながら、治癒の速さに驚くかごめ。手当の礼にかこつけてその手を握る鋼牙と、それをぶん殴っておすわりをくらう犬夜叉。珊瑚は弥勒に、奈落のやり方が強引になってきていることが気になると話す。妖狼族の群れ全体を襲ったのは四魂の欠片集めに本腰を入れ始めたということだろうと犬夜叉は言うが、灰の足に仕込まれた欠片は魍魎丸の手に渡った。これは偶然か、と疑う弥勒。
 一夜明けて、鋼牙は一行と別れると言い出す。犬夜叉とつるむのは気分が悪いという理由だが、かごめが翠子の意思によって足が動かなくなる時を心配すると、目的が奈落なら嫌でも会うことになると犬夜叉が返す。鋼牙はかごめに別れの抱擁をして犬夜叉の鉄砕牙から身をかわすと走り去る。
 とある村に封印を施された奇怪な枯れ木があった。名は溶命樹。妖の木という言い伝えがあり、人でも妖怪でも捕らえて喰っていたらしいが、百年ほど前に封印されていながら新芽が出ていたのだ。復活を危惧した村人に改めて封印を依頼された旅の僧は、動き出した枝が吹き出した樹液によって一瞬で溶かされてしまう。話を聞いた犬夜叉達が近くに出向くと、芽は葉になって青々と生い茂り、封印そのものはまったく痛んでもいない。幹に四魂の欠片が埋め込まれていると話すかごめ。またも奈落の仕業なのか。何の得があるのかと訝しむ弥勒だが、斬ってしまえば関係ないと犬夜叉が風の傷を打ち込んだ途端、手前に結界に身をつつんだ奈落自身が出現。溶命樹をかばったのかとかごめが驚くと、背後の溶命樹から葉と枝が伸びてきて奈落を喰おうと覆い包み…以下次号。

 正直なところ鋼牙が犬夜叉達と一緒に行動するイメージがわかなかったんですが、やっぱり鋼牙は鋼牙でした。七宝が脇にいるといっても、わざわざ堂に入って手当してやってたらそりゃ様子を伺いもするわな。かごめ絡みならどつきあう仲ではあっても『てめえひとりでくたばられちゃ、妖狼族のやつらにも合わせる顔がねえからな』『ああ…わかってる』のやりとりとその表情には、背負うものへの理解が間違いなくあります。
 今度の妖怪は言葉を発しない妖の木。枯れても簡単には腐らないのが樹木の凄いところとはいえ、周囲の意思を感じ取って攻撃するだけの知能があるらしい。これに四魂の欠片を与えて復活させる奈落の目的は何なのでしょうか。犬夜叉達の眼前に姿を現したのは久しぶりですが、自らの意思に背いて一人歩きをする心臓の赤子に対し、名前のとおり命を溶かす妖木を体に加えて生命力を強化するつもりなのか…?
 かごめ贔屓としては、今週はキズ薬を持ったまま鋼牙に手を握られる表情、鋼牙の単独行動を諫める表情、犬鋼のやりとりに『犬夜叉も…心配はしてるんだ』の独白ですね。鋼牙に対して思わせぶりな態度を取りすぎだという非難が一部にありますが、この三角関係は何というか、そういう次元じゃないんだよなあ(^^;)。さて連載10年目にして今年はこれで終了、次週はお休み、いよいよ連載初の「戌年」を迎えます。高橋先生最長連載となった戦国ロマンも、主人公の干支の年に今度こそフィナーレとなるのでしょうか?
少年サンデー第2号掲載第438話「鋼牙の決意」
 犬夜叉が妖穴だと睨んだ一点に鉄砕牙で一撃を加えると鎧甲が砕けて赤子の結界にヒビが入る。触手が鋼牙の四魂の欠片を狙って伸びるが、灰が囮になるべく自ら走って触手を引きつける。仲間の仇をとってくれた鋼牙への返礼なのだ。犬夜叉の鉄砕牙はついに鎧甲を破って赤子の真正面に到達。無数の触手が棘と化して犬夜叉の顔面を突こうとするが、構わずに押し込むと刃が棘を砕いて直接赤子の結界に触れる。魍魎丸の全身を覆う鎧甲が音をたてて軋み、かごめ達も壊れると叫んだ瞬間、灰の足に埋め込まれていた四魂の欠片がはじき出され、赤子が瞬時にこれを悟って触手が灰を殴り飛ばす。珊瑚が雲母で灰を助けるが、欠片を掴んだ触手から妖力を得た赤子と魍魎丸の触手が復活して犬夜叉を再び外へ押し出すと瘴気を発散、そのまま渦を巻いて逃走。犬夜叉は舌打ちするも、赤子はさすがに自分の命が断ち切られそうになったら奈落が四魂の欠片を自分に渡したことから、どちらが主かを思い知らせてやると独白。
 鋼牙は手下達にここで別れると宣言。無事な妖狼族の群れを探して灰と芯太の兄弟を送り届けろという命令だ。鋼牙は自分の足の四魂の欠片が原因で仲間が皆殺しにされたというのは本当だと灰に話し、危険だからそばにいるなと手下に怒鳴る。犬夜叉は彼らに一人で戦うわけじゃねえと一言。鋼牙はワキ役だとの言葉でまたどつき合うものの、手下達はやむなく灰兄弟を連れて一行と別れる。かごめは一人じゃないから、と彼らに心中で呟き…以下次号。

 赤子の妖穴とは結局すぐ身近にあった。不妖壁を持っているがゆえに距離をとれないのか。義理堅い灰は今度は俺が助けなければと奮闘。犬夜叉はこれまでになく接近して赤子とご対面。『欠片欲しさに引き際を誤ったな』『愚か者…鎧甲の中に入ってくるとは…』の掛け合い、共に表情に凄みがあります。結界に刃が食い込んであと数センチのところまで来たら、ついに奈落が四魂の欠片を遠隔操作で赤子に譲る。白夜が灰の足に埋め込んだのは、こういう事態を想定しての保険だったわけだ。
 欠片一つの妖力の大きさ、いや増幅装置としての能力は絶大で、あと一歩のところでまたまた取り逃がし。しかし抜け殻の分際で心臓である自分の鎧を犬夜叉らを利用して壊させようとした奈落への赤子の怒りは相当なもの。この三つ巴状態はまだまだ続行ですな。鋼牙は単独行動を決意…といっても移動時は以前からそうだったわけですけど、『お前は俺たちがいなくちゃダメなんだ!』『なんなんだ、その自信は』という手下二人との会話が微笑ましい(^^;)。犬夜叉も捻くれた言い回しながら鋼牙を一行に加えることを容認したんだから偉い。しかし今後はかごめをおぶったら横槍が入ること必至だぞ。
 かごめ贔屓としては、今週は鋼牙の手当をしたコマでの救急箱ですね。いつもリュックで持ち歩いてるあたりが有能。棘で傷つけられた犬夜叉の左頬に貼られたバンドエイドも不思議にお茶目だ♪ 仲間の命を背負う若頭の立場を思いやりつつも、ラストのコマの独白はかつて珊瑚にかけたものと同じ、繋ぎ役の真骨頂です。
週刊少年サンデー1号掲載・第437話「見えない妖穴」
 弥勒は、奈落が魍魎丸の中にいる自分の心臓である赤子を見捨てるわけにはいかないはずだと話す。とどめを差すべく斬りかかる犬夜叉に猛烈な瘴気を浴びせた魍魎丸は、自らの体を分解して黒ずんだ金剛槍を次々と上半身の周囲に集め、宙に浮かぶ。体を組み替えたのだ。跳躍して五雷指をくらわす鋼牙の足を狙う触手を、犬夜叉が横薙ぎにはらうが切断できない。触手も含めて全身を鎧甲で覆い、金剛槍で針鼠のごとく守りを固めた魍魎丸だが、かごめは犬夜叉になぜ妖穴を斬らないのと独白。
 その犬夜叉は妖穴が見えないことに戸惑ったが、赤子が妖気を消す不妖壁を持っていることを思い出す。鎧と槍だけを不妖壁の周りに集約した形態は手強く、文句を言う鋼牙に怒鳴り返して跳躍した犬夜叉は鎧甲を一撃するが跳ね返される。なんとか妖穴の手応えを得ようと繰り返し斬りつけるとヒビが入り、鋼牙が出番だと跳躍。しかしその途端にヒビが閉じ、犬夜叉は罠だよけろとわめく。鋼牙は触手を五雷指で叩き返すが、またしても両足の四魂の欠片が脈打って動きが止まり、右太股が貫かれる。咄嗟にその左腕を掴んで救出した犬夜叉だが、時々動けなくなることを知った魍魎丸は触手を伸ばし始める。手下や灰とあわてて介抱に駆け寄ったかごめが、また翠子の意思だと独白。不妖壁から遠ざかった触手の先に妖穴が見えた犬夜叉が、不妖壁を持っている赤子は逆に妖気が一番薄いところにいる、と確信して再度斬りかかり…以下次号。

 追い詰められたと思ったけれど、戦法を変えて手足を捨て、防御を固めて浮遊形態をとるとはこの赤子、狡猾で実にしぶとい。触手が引っ込められると不妖壁が効くから妖穴も見えなくなる。そこまで悟っての行動だとしたら頭も凄く切れる。接近戦になってもわざとヒビを入れてフェイントをかけ、鋼牙を誘い出して攻撃とソツがない。しかし翠子の意思も効き続けていて、消えたわけじゃないとはなんとも厄介な…。最猛勝を通じて様子を伺う奈落は、どちらが優勢になるかで標的を変えるつもりでしょう。回収するのは自分の心臓か、鋼牙の四魂の欠片か。
 なんだかんだ言って反射的に鋼牙を助ける犬夜叉ですが、即座に魍魎丸を振り返って構えるもんだから鋼牙は荒っぽく地に叩き付けられる。まあこれが彼らしいところかな。不妖壁が効く中心に赤子がいるなら、妖気が薄いところこそ赤子の妖穴…このキレぶりは負けていない。今度こそ斬れるか、犬夜叉!
 かごめ贔屓としては、今週は『また翠子の意思だわ』の表情ですね。バトルになると、ハイレベルに成長した犬夜叉の援護がなかなかできないのが無念。しかし次週、魍魎丸の体に異変が起きたら破魔の矢を一発撃ってみてほしい。何かが起きる予感がするのです…って、これまでそういう願いが叶ったためしがないんですが(>_<)。
週刊少年サンデー53号掲載・第436話「破壊」
 走れると怒鳴る鋼牙に、三つの欠片を一度に手に入れる絶好機だとほくそ笑む魍魎丸。例によって突っ張り合いながらも犬夜叉と鋼牙は共同戦線。妖狼族の一度きりの加護を今使ってしまったのかと心配する鋼牙の手下達だが、かごめは鋼牙の足の欠片がまだ守られていると話す。まず鋼牙が踏み込んで五雷指で一撃するが、魍魎丸の鎧甲は無傷で金剛槍を飛ばしてくる。犬夜叉は魍魎丸の妖穴を見極めようとするが、その数は無数…元々数多の妖怪の寄せ集めである魍魎丸だからすべて本物なのだ。鋼牙の第二撃は魍魎丸の顔面を砕くが、これもすぐに復元。犬夜叉は試しに手前の妖穴を斬る。どこを斬ってるとわめく鋼牙だったが、魍魎丸の右腕関節が砕けて今度は復元しない。中にいる赤子は鉄砕牙をとりまく妖気がこれまでと違う、と戸惑う。犬夜叉の第二撃で今度は左肩が破損。妖穴斬りは効いていると叫ぶ弥勒達。鋼牙の三度目の攻撃で右腕がもげて落ちる。表面が壊れた後なら五雷指が効くのだ。二人が協力すればと考えるかごめ。
 コツがわかった鋼牙が表面を壊せと指示するが、助手扱いするなと犬夜叉は反発。見守る皆が二人に野次を飛ばしている間に翼を出して逃走を企てる魍魎丸だが、逃がすかと二人が同時攻撃すると翼も砕かれ、ついに地に倒れ伏す。さすがに焦りを露わにしたところへ最猛勝の群れが飛来。奈落が見ていると考えるかごめ達。赤子は自分の鎧を犬夜叉達を使って壊させるつもりかと歯ぎしりして…以下次号。

 魍魎丸の妖穴は無数でもそれぞれが本物…キマイラゆえの思わぬ弱点だったわけです。どれを斬られてもどこかに大ダメージを受け、すべてが核だから復元に時間がかかっているところに五雷指の追い打ちをくらったらたまらない。ここまで追いつめられた魍魎丸は初めてで、それを待っていたのが奈落か。反乱を企てた自分の心臓を回収する気なんでしょうか。長い目で見れば失態の修復にすぎないことになるんですけれども。
 妖狼族の加護がまだ終わっていないということは、四魂の欠片を入れられた灰が捨て身の行動に出たことと関係があるのでしょうか。翠子の意思とは状況次第で強くなったり弱くなったり、まるで生きている人間のように迷うもの? 反発し合う犬鋼に『両方強いから!』と怒鳴る鋼牙の手下が涙ぐましい。『どっちかが大人でないとねえ』の弥勒のひと言も効くなあ(^^;)。
 かごめ贔屓としては、今週は『いいから力を合わせて!』の叱咤激励ですね。犬鋼へのリアクションが手下、弥勒と三者三様で笑えますが、一番ストレートな言い方なのが立場を表してますなあ。ちなみにサンデーの表紙は犬夜叉、七宝とのスリーショット。星空を見上げる表情がいい♪ 犬夜叉一人が“何が面白いんだ”的な顔をしているところも実に彼らしくてベストです。いよいよ連載も10年目に突入、この際行くところまで行ってくれ。最後までとことん付き合いますぜ。
週刊少年サンデー52号掲載・第435話「翠子の意思」
 鋼牙は魍魎丸にへらず口を叩くものの、脳裏にはかごめの警告が浮かぶ。昔の巫女の意思によって、こんな時に自分の足が封じられるとは…魍魎丸が発射した金剛槍を五雷指で叩き落として新しい武器の力を知らしめるものの、なぜ走らないと問われてやかましいと怒鳴る鋼牙。金剛槍と五雷指のぶつかり合いで、雷が魍魎丸に囚われている芯太のすぐ近くまで届く。迂闊に五雷指を振るえない鋼牙は、伸びてきた金剛触手から灰を突き飛ばして逃がすが、自らは掴み取られる。駆けつけてきた犬夜叉達に、急に鋼牙の足が動かなくなったと伝える灰。翠子の意思だと話すかごめ。鋼牙の手下達は、妖狼族の先祖が魂の加護を与えると約束したはずなのにと呟く。四魂の欠片を支配する意思から鋼牙を守れるのは一度きり…今はその時でないということかと舌打ちする鋼牙の足に、四魂の欠片を狙って魍魎丸の触手が伸びる。これを鉄砕牙で斬り落とした犬夜叉が鋼牙と言い合っている間に、芯太が囚われているから鋼牙が武器を使いづらいのだと悟った灰が魍魎丸の肩に向かって飛ぶ。その跳躍力を怪しいと睨んだ魍魎丸の触手が灰を捕らえると、珊瑚の飛来骨がそれを切断。続いて触手が伸びてくる前に犬夜叉が立ち塞がる。
 魍魎丸も灰の足にある四魂の欠片に気付いたと心配するかごめ。囚われている芯太の手を掴む珊瑚だが、触手が邪魔で動けない。弥勒が護符を飛ばして芯太を掴んでいた巨大蛾の体を消滅させると、珊瑚は芯太の救出に成功。犬夜叉が灰に弟のところへ行けと言った時、鋼牙を掴まえていた金剛触手が五雷指に砕かれ、鋼牙が飛び降りる。足が動くのかと驚く犬夜叉。かごめが翠子の意思が消えた?と独白して…以下次号。

 以前は奈落の強力な結界を突き破った金剛槍を砕き落とす五雷指。殺生丸の前の武器であった闘鬼神に匹敵する力を持っています。芯太の身を案じて捕まってしまうあたりに鋼牙の性格があるわけですが、皆が皆、何もなければ彼が捕まったりしないと信じ込んでいるのは流石ですね。犬夜叉の『魍魎丸! てめえの相手はおれだ!』の“てめえの相手”は“主人公”に聞こえます(^^;)。それにしても蛾の体ごと魍魎丸に絡め取られている芯太の顔は人間の幼児以上に愛らしく見え、『あの子の弟だ!』と雲母を駆って飛び出す珊瑚の行動を一際光らせる。巧いなあ、この辺が。
 触手が邪魔で芯太の体が動かないと見るとすかさず『ならば土台を消すまで!』と護符を投げて蛾の体を消す弥勒と、芯太を抱き留める珊瑚。久々にミロサンの鮮やかな連携プレーが見られました。うん、変わったタイプではあるがいい夫婦になりますなこの二人。さて鋼牙は上半身の力だけで脱出したのか、妖狼族の一度きりの加護が働いたのか、それとも灰の行動を封じなかったあたりを見ると、翠子の意思は奈落一派に使われている欠片には作用しないのか…不明確なところがまだ多いです。
 かごめ贔屓としては、今週は基本的にただの傍観者なんですけど珊瑚が芯太の腕を握った時に『触手が邪魔だわ』と話した横顔が可愛い♪ 次週でついに連載が10年目に突入するそうで、記念の表紙と巻頭カラーとのこと。うーむ、設定上はまだ1年経っていないお話なんだけど…って【うる星】も【らんま】もそうだったっけ(^^;)。
週刊少年サンデー51号掲載・第434話「五雷指の威力」
 鋼牙の右拳に現れた五雷指は、その一振りで妖狼族の仇である妖怪の体を切り裂き、雷と共に無に帰す。その威力に驚愕する犬夜叉一行。白夜を睨みつける鋼牙に、自分が死ねば灰の弟の命もないとの言葉が返る。芯太は離れた場所で繭の中に閉じ込められていた。
 場所を詰問する鋼牙だが、最猛勝数匹が白夜のところに現れ、白夜が指をかざすと繭が孵化して巨大な蛾が出現。芯太の匂いを灰が感じた途端に、蛾は芯太を掴んだまま飛び去る。白夜に斬りかかる犬夜叉だが、例によってその姿は幻術によるダミー。折り鶴に乗った本物は、妖気を撒き散らして飛ぶ蛾を喰いに何が出てくるかわからないから後を追えと言う。鋼牙はかごめに一言媚びておいてから、芯太を助けようと走る灰を追いかける。さらにその後を追いながら、灰の足に四魂の欠片が入っていたと告げるかごめ。白夜が取り戻そうともしなかったことを怪しむ珊瑚。犬夜叉の鼻に覚えのある臭いが届くと、森の中から触手が伸びてきて蛾の腹を貫き、芯太ごと巻き込んでいく。
 灰の前に姿を現したのはやはり魍魎丸で、鋼牙とも対峙する。触手にからみつかれた下から兄の名を呼ぶ芯太に必死に呼びかける灰。鋼牙が再び五雷指を稼働させようとした瞬間、両足の四魂の欠片が脈打ち、鋼牙の体を止めて…以下次号。

 五雷指は風の傷並みの威力ですが、雷と炎を伴うあたりが鋼牙のイメージに合ってますね。名前もわからんまま消え失せた妖怪、合掌。白夜は指先一つで様々な妖怪を操れるようですが、奈落一派と魍魎丸(赤子)が対立している情勢下では行動範囲が広い。奈落は役に立つ分身を作ったものです。
 『かごめ、おれは子供が大好きなんだ』『こんな時になに好感度あげようとしてんだ!』という犬鋼の掛け合い漫才も相変わらず。灰の弟・芯太は魍魎丸の背中で蛾と一緒に喰われる寸前の状態です。鋼牙は兄弟を助けてやることができるか、ってところで一つに戻ろうとする四魂の欠片=翠子の意思が働く。これも白夜の計算のうちなのでしょう。事実上、助けてやりたきゃ四魂の欠片をよこしな作戦ですかね。妖狼族先祖の加護は一度きり…しかしここで使う以外なくなりましたね。長かった物語も、今度こそ最終章に突入するのでしょうか。
 かごめ贔屓としては、今週は灰に駆け寄って介抱する姿ですね。そういう役回りがごく自然になっているわけですが、鋼牙の方もいちいち両手でかごめの手を握って話しかけるんだからたいしたもんだ。しかし“子供好きというのはかごめへの好感度アップである”と犬夜叉も自覚しているらしい(^^;)。
週刊少年サンデー50号掲載・第433話「日没」
 棘円盤を軽くかわして蹴りをいれる鋼牙だが、灰も劣らぬ素早さで応戦。その速さが鋼牙と同じであることに驚く手下二人。お前の体から奈落の臭いがするとの鋼牙の指摘に、灰の脳裏によぎるのは妖怪に殺されかけた時に現れた奈落の分身・白夜と彼に貸された四魂の欠片。日没までに鋼牙の足から四魂の欠片を取ってこなければ弟の芯太が殺されるのだ。奈落の手先かという問いに違うと叫んで円盤を投げつける灰だが、鋼牙に鎖を捕まれて叩き付けられる。日没が来てしまう。灰は弟の身を案じて逃走。待ちやがれと後を追う鋼牙。さらにその後を追う手下二人。
 妖狼族の群を襲撃した妖怪に染みついた狼の血の臭いを追って進む犬夜叉一行は、鋼牙の手下にはち合わせ。妖怪と白夜のところに戻ってきた灰が、芯太は無事かと訊こうとしたところに鋼牙が滑り込んでくる。欠片は本人ごと持ってきたわけかと笑う白夜に、その臭いから奈落の分身かと睨みつける鋼牙。芯太の匂いがしないのはなぜだと叫ぶ灰に、自分の腹の中に入るお前にはどうでもいいと気味悪く笑う妖怪。まさか、と思わず飛びかかる灰は妖怪の腕に殴り飛ばされる。犬夜叉とかごめ達も到着。白夜を見つけて鉄砕牙に手をかける犬夜叉だが、鋼牙がすっこんでいろと一言。筋書きはこの妖怪が妖狼族の仲間を殺し、弟を人質にとってこのガキに自分を襲わせたということ。妖狼族の恨みは俺がはらす、と怒りの声を上げた鋼牙の右手に走る雷…以下次号。

 わざわざ同族の少年を使って鋼牙を襲わせるやり口は、奈落の指示かどうかはともかく性格的に白夜がいかにも奈落の分身らしいところ。『お前のかわいい弟が死んだら鋼牙を恨め』とはよくもヌケヌケとの台詞。鎖をひっ掴んで簡単に灰をねじ伏せたものの『話を聞いてやろうってのに!』とわめいて追いかける鋼牙を『聞いてやるって優しい雰囲気出さねえから…』と評するトンガリ頭の手下の言葉も的確(^^;)。
 白夜に初対面の鋼牙ですが、むかつく臭いで正体を即座に見抜くのは流石。殴り飛ばされた灰を見て怒りの表情を見せるところや、同族の恨みは自分がはらすと啖呵を切るあたりは、鋼牙が犬夜叉によく似た側面です。妖狼族のお宝・五雷指の威力が示される時が来ました。憎々しげな獏風の容貌をした妖怪は、犬夜叉達への鋼牙の新兵器のお披露目となるでしょう。それにしてもどうして、奈落一派はわざわざ敵を増やして怒らせることばかりやるんでしょうかねえ。灰の弟・芯太はおそらく白夜が別のところに捕らえてあるのでしょうから、助けてやりたきゃ四魂の欠片をよこしな作戦なのは明らかです。
 かごめ贔屓としては、今週は犬夜叉の背中から鋼牙の手下二人に声をかけた時の横顔ですね。初めて妖狼族に捕まった時に彼らの一人を破魔の矢で助けて以来、“姐さん”と呼ばれることにもう慣れてしまっているのも凄い。
週刊少年サンデー49号掲載・第432話「灰」
 村の牛馬を襲う狼の噂を聞いた犬夜叉一行。妖狼族の狼の臭いだと言う犬夜叉。家畜を食い荒らして戻ってきた数匹の狼を出迎えたのは灰という名の妖狼族の少年で、幼い弟である芯太や仲間と共に山を越えて逃げる途中だった。妖狼族の中でも中央の洞穴に住む者達は年寄りや幼い子供しかおらず、南の洞穴の一族が奈落という妖怪に襲撃されて全滅させられたため、巣を移すこととしたのだ。東の洞穴の鋼牙は特別な存在で、北の洞穴の仲間の仇討ちのために姿を消したままだという話を灰が回想する。この山越えの一行を突如襲う巨体の妖怪。老人達はことごとく首を刎ねられ、あっというまに灰と芯太だけが残る。灰の足を長い舌で捕らえて近寄る妖怪。
 大量の血の臭いを嗅ぎつけた犬夜叉とかごめ達がかけつけた時、残されていたのは幼い子供を含む妖狼族の酷い死体の山。かすかに残る奈落の臭いに気付く犬夜叉。一方、いつものように手下二人の疲労による怨嗟の声を背中に聞きつつ疾走中の鋼牙は、自分と同じ速さで追ってくる存在を察知すると、手下二人に伏せろと怒鳴る。二人の頭をかすめて飛んできたのは鎖付きの棘円盤。蹴り飛ばした鋼牙の前に灰が出現。体にはかなりの深手を負っていた。鎧もつけていないガキがなぜ自分を襲うとの鋼牙の言葉に、お前のせいで皆が殺されたと灰は恨みの声をぶつけると、四魂の欠片を渡せと円盤で攻撃。妖怪にさらわれた芯太の声が灰の脳裏に響く…以下次号。

 また新キャラの登場です。妖狼族にも老人や親をなくした子供の集団がいるらしくて、幼い弟・芯太を持つ灰(かい)という名の少年は狼を操ることを除けば人間そっくり。北の洞穴の一族はかなり前に奈落に滅ぼされ、東の洞穴の頭が鋼牙で、南の洞穴も奈落に全滅させられた模様。で中央の洞穴には老人と子供だけ。これを襲うのは凶悪な目つきの猪めいた容貌の妖怪。奈落の分身なのか配下の雑魚か。
 半日前に一休みしただけでメチャクチャな速さで走られたら、いくら一生ついていこうと決めた相手でも体がもたないのも当然、そろそろこの二人に名前が欲しいですよ高橋先生(^^;)。で、それと同じスピードで追ってきたのが灰。投げた円盤はあの巨体妖怪が肩にかけていたものの一つ。明らかに芯太を人質にとられて鋼牙に原因があると吹き込まれ、四魂の欠片を体に入れられたのでしょう。同じ妖狼族の少年を利用するあたり、相変わらず奈落はえぐいやり方をしますが自ら動かないのは何が狙いなのか。今の鋼牙が同族の子供を平気で殺すとも思えませんが、修羅場になりそうです。
 かごめ贔屓としては、今週は妖狼族の死体の場に着いた時の犬夜叉の左腕にからめた両手ですね。移動する時に背中、降りた時も左腕、もう彼に密着するのはごくごく自然になってますな。次週の仕事はおそらく灰の介抱、弟を想う心には珊瑚ともども共感できるはずです。
週刊少年サンデー48号掲載・第431話「修行」
 牛鬼の体は崩れ、妖穴は真っ二つに斬れる。周囲を覆い尽くしていたドス黒い霧も晴れて、元の妖霊大聖の住処に戻る。力を出し尽くした犬夜叉は倒れるが、外にいる街の人々の姿も元に戻る。犬夜叉に駆け寄ったかごめの前で、カサカサの妖霊大聖の体から声がする。よく本物を見極めた、これが自分の本当の姿だと。布がほどけて出現したのは、ペラペラの体と同じ容貌の老人。弥勒が、妖怪に肝を奪われたというのはウソですねと指摘。怒って額を擦り付ける犬夜叉に意図を語り始める妖霊大聖。
 蛇女も牛鬼も妖霊大聖による幻術。犬夜叉は順を追って鍛え直す必要があった。街中に幻術をかけて真の妖怪を捜し出せるかを試し、その世界では常に膨大な妖気を浴び続けることになるから体で本物の妖気を感じ取ることを覚えなければならない。鉄砕牙を封印したのは刀を抜くべきでない段階だからで、無理に引き抜けば折れるように仕掛けていたため、鉄砕牙は警告で拒絶したのだ。ここで妖穴を見いだす目を養い、最終段階では竜鱗の使い方。刀々斎の伝言は「鉄砕牙はあくまで斬る刀」。最後の妖穴も妖力を吸おうとすれば刀が折れる罠があったが、犬夜叉は刀のヒビから一撃で決めるしかなく、斬りにいった。理屈はわかっていなくても、刀と使い手が通じ合うことが大事だと独白する妖霊大聖は以上で修行は終了と宣言。刀を抜いてみろとの声に従うと、刀身はヒビも消えて強烈な妖気を帯びていた。竜鱗の鉄砕牙には最終形が存在するが、それは犬夜叉自身が見つけよとの妖霊大聖の独白…で以下次号。

 真の姿も結局サイズはペラペラ状態と同じ妖霊大聖。肩すかしをくらったのは犬夜叉とかごめと同様で『あのような姿でおまえらをあざむいたのは…』『あのようなもこのようなも…』『同じじゃねえかよ』『いやっ、厚みがあるぞ』(^^;)。目、鼻、体を全て本物を見極めるために鍛え、真の妖穴を見つけだして、竜鱗の能力のために忘れかけていた原点の“斬る”ことを思い出させる。妖怪仙人のプログラムは、タイトロープの際どいペナルティーまみれでも、殺生丸の投げかけた諫言を犬夜叉に体感させて悟らせました。資格試験でも一環でもなく、一気に修行全体をクリア。『わしの妖気は強いぜ。そこらへんの妖怪の妖穴なんぞ、真っ二つだ』と不敵に言った妖霊大聖の顔は格好いい。見た目で判断して悪かったな、と頭をぴたぴたやりながら言うから無礼なんですが、犬夜叉の本心は顔を見ればよくわかります。奈落を斬って消し去るまでに、あと何が必要なのか。それは高橋先生から読者への重要なメッセージにもなるでしょう。
 かごめ贔屓としては、今週は妖霊大聖が真の姿を見せた瞬間の犬夜叉との並列表情ですね。これも夫婦芸というやつか? 斬る刀だと聞くと当たり前のようでも『それが出来てなかったってことなのね』には実感が隠ってます。言葉で言うより体で覚える彼氏ですけど『ありがとうございますでしょ、犬夜叉』と付け加えることも忘れない、いい彼女です。
週刊少年サンデー47号掲載・第430話「妖穴の臭い」
 犬夜叉が斬りつけた妖穴に食い込んだ鉄砕牙だが、刃が動かない。そのまま竜鱗で妖力を吸おうとすると、以前苦しめられた妖気の逆流が発生して吹き飛ばされる。牛鬼はそんな下等な仙気で妖霊大聖の肝を喰った自分の妖気を浄化できるかと勝ち誇る。元々自分が望んだ力じゃないと言い返して、再度牛鬼に対峙する犬夜叉。
 橋の下からあふれだした凄まじい妖気を察知して弥勒と珊瑚が駆けつけるが、カサカサになった妖霊大聖を見て驚く。直接牛鬼の体を鉄砕牙で斬る犬夜叉だが、傷口から猛烈な妖気が吹き出て咳き込み苦悶。斬る度に妖気を浴びるぞとせせら笑う牛鬼。二の太刀を浴びせると鉄砕牙にヒビが入る。何度斬っても妖気は尽きることなく、刀と使い手を傷付けるだけだというのだ。本来の持ち主である妖霊大聖が妖穴を探せと言った以上、さっき斬ろうとした妖穴は偽物だと考える犬夜叉。蛇女の体に仕込まれていた香炉の臭いに欺かれたとすれば、今浴び続けている妖気の臭いは…それと同じ、もっと強い臭いの元が背後からすることに気付いた犬夜叉は、とっさに振り返ってかごめに妖霊大聖を手離せと叫ぶ。敵に背を見せるかと妖気の吐息を浴びせる牛鬼だが、弥勒が言うとおりにと助言してかごめが離した途端、カサカサの妖霊大聖の体を妖気の渦が取り巻く。一撃で終わらせると鉄砕牙を振り下ろす犬夜叉。その姿が崩れ始める牛鬼…以下次号。

 飛び込んできた弥勒も気付いたようです。この世界全体を操っていたのが妖霊大聖その人だということに。先週私が「牛男」と書いた妖怪は「牛鬼」と呼ばれてます。仙気封じというのはある意味当たっていましたが、人間の仙人が妖怪化した程度の仙気は妖怪の仙人である妖霊大聖の妖気と比べるとはるかに格下というわけで、まさにそこが刀々斎の推薦なのでしょう。痛い思いをして肉体に耐性を備えなきゃモノにはならないと。
 この戦いが妖霊大聖の仕組んだ修行の一環だったとすれば、敵の正体を冷徹に見抜く目と鼻の鍛錬? 妖霊大聖の本当の姿とは、どんなものなのでしょうか。相当巨大な存在のように感じられます。『鉄砕牙…頼む、耐えてくれ! 一撃で終わらせるから…』犬夜叉が相棒に呼びかける独白は、このアイテムがれっきとした登場人物の一人であることを示しています。
 かごめ贔屓としては、今週はカサカサの妖霊大聖を赤子抱っこしたコマ乱発が可愛い…のですがそこにカラクリがあるんだから一筋縄でいきません。見てるだけ状態が続くのがなんとも残念、主人公のレベルアップについていけてないのがなあ…。ところでトビラ頁には犬夜叉夏祭り05キャンペーンA賞が“殺生丸さま等身大抱きまくら”に決定したという記事が。どう考えてもこれは男性読者の希望ではない! かごめ版だったらどうなんだって? でへへへ…(^^;)。
週刊少年サンデー46号掲載・第429話「本当の敵」
 犬夜叉はかごめを背負って街中を疾走するが、人々の姿は妖怪のまま。鉄砕牙の封印も変わらず、本物の敵がまだ潜んでいる。大蛇の妖穴の奥にあった香炉の臭いが、最初に訪ねた妖霊大聖の住処から漏れていた。再度入ってみると様相が一変しており、暗闇の中に干からびた妖霊大聖の体が漂う。驚く犬夜叉とかごめの前に、妖霊大聖は死んだとの声が響く。蛇女と同じ臭いの相手は巨大な牛男で、蛇女が時間を稼いでいる間に妖霊大聖の肝を自分の血肉にしたのだという。
 なぜ妖霊大聖を襲ったと犬夜叉が問い質すと、牛男は修行で妖力を吸う刀の力を高めることを阻止するためだと返す。怒った犬夜叉は鉄砕牙の束に手をかけるが、牛男は封印で抜けまいとせせら笑う。さっき強引に抜こうとして鉄砕牙が逆らったことを心配するかごめだが、本当の敵なら話は別だという言葉の後に、自分と関わって殺されたなら自分が仇を討つと叫ぶ犬夜叉。突如鉄砕牙が脈打ち、封印の鎖は切れる。竜鱗を発動させて構える犬夜叉だが、修行していない腕でやれるのかと言い放つ牛男。その周囲に見える無数の妖気の渦。どれか一つが妖穴だ。
 遠方に飛ばされた後、気付いて起きあがった弥勒は体に張り付いていた札に困惑。頭の上に落ちてきた七宝と隣で目覚めた珊瑚を連れて街に戻りつつ、弥勒は妖怪の仕業にしては自分達が無傷で気を失っていただけなのがおかしいと話し、単なる妖怪退治ではなく何か裏があると懸念する。渦の一つを妖穴と確信して斬りかかる犬夜叉だが…以下次号。

 灯台元暗し、真犯人は最初から妖霊大聖の住処に潜んでいたということですか。しかしそれならなぜ妖霊大聖は肝の臭いが外からすると言ったのか。犬夜叉が修行に来るから先回りして妖霊大聖を襲ったというのも、筋が通っているようで少々変です。たしかに妖怪の力を吸いまくる刀を野放しにしておくわけにはいかないでしょうが、修行の師匠を襲うことに意味があるのかと。
 犬夜叉が自分以外の者のために怒る時、鉄砕牙は反応する。天生牙もそうであるように、父の遺伝子が牙を通じて息子達に受け継がれています。鎖の封印も解けたとはいえ、牛男の周囲に渦巻く妖穴から漂うのは香炉の臭い…どうもここもひっかかる。弥勒が言うように、妖怪がやるならなぜ札を使い、彼らは無傷なのか。つまり妖霊大聖は本当に死んだのではなく、蛇女も牛男も彼自身の妖術による“修行の資格試験”じゃないのでしょうか。刀々斎は奈落の思惑で付けられた仙気を犬夜叉自身の鍛錬の障害になると考えて妖霊大聖を紹介したのですから、今度の妖穴には仙気封じが仕掛けられている可能性があります。
 かごめ贔屓としては、今週はカサカサになってしまった妖霊大聖を抱いたコマですね。いつものように犬夜叉の背中が彼女には本当によく似合う。しかし弥勒、珊瑚、かごめと三人の人間が介入しようとした時にことごとく妨害されている事実、今度の妖穴に罠があったとしても、そこになんとか気付いてほしいところです。
週刊少年サンデー45号掲載・第428話「妖穴」
 犬夜叉は鉄砕牙が抜くなと警告していると察して散魂鉄爪で一撃するが、大蛇の裂かれた体はすぐ元に戻る。妖霊大聖が妖穴を探せと叫ぶと、舌打ちした大蛇は強烈な吐息を発して七宝もろとも妖霊大聖を屋敷の外へ吹き飛ばす。妖穴とは何だと惑う犬夜叉に妖気の吐息を浴びせて絡め取る大蛇。その体からも妖毒が染み出す。溶かして飲み込んでやると脅す大蛇に弓を引くかごめだが、突然背後から虫の足が現れて体を捕らえられる。その顔は弦之介だが、邪魔するなとの声とともに顔が裂けて蟷螂の顔に変化。犬夜叉もかごめも動けなくなり大ピンチ。犬夜叉は妖毒のために力が出せないものの、充満する妖毒があちこちで渦を作っていることに気付く。脈打つ鉄砕牙と妖霊大聖の言葉から、この渦が妖穴だと確信した犬夜叉は必死に右腕を抜いて渦の一つを突くが、熱にあてられて火傷を負う。貴様ごときに見抜けるかと口走る大蛇。
 どれかが本物だと考えた犬夜叉は目を閉じる。一つだけ臭いが違う渦がある。犬夜叉は大蛇の口に一撃を加えて脱出すると、その渦を突く。声もなく消え失せる大蛇と蟷螂。ようやく動けるようになったかごめが駆け寄るが、突いた先には香炉が一つ転がっていた。漏れていたのはこの臭いだったのだが、妖気が納まっていない。本物の妖怪が別にいるのかと犬夜叉が疑い…以下次号。

 抜くなと警告する鉄砕牙…敵の罠だという教えか使い手の試練を促すためか。久々の散魂鉄爪ですがどうやら大蛇は本体ではないらしい。吹き飛ばされる妖霊大聖はまるで風に乗った洗濯物で『あーれー!』のセリフがなんともマヌケに響きます。とはいえ妖穴を探せ、とやるべきメッセージはちゃんと残すところがしぶとい。『おらまでーっ!』と小さな尻尾だけ見せて飛んでった七宝もまたユーモラス。
 弦之介のように気の弱そうな人間が妖怪の変化だというのはよくあるフェイントでしょうか。しかし何のためにわざわざ犬夜叉達をこの屋敷に連れ込んだのかが謎。あえて目を閉じることで臭いの違いを探り出すあたりは犬夜叉の勘の冴えですが、香炉に仕掛けられた何かが大蛇と蟷螂の体を作りだしていたとは。昔珊瑚が言っていたように、本当に怖いのは人間のふりをしている妖怪。妖霊大聖の肝を喰って動けなくなっているのなら、どこに潜んでいて何の姿をしているのか?
 かごめ贔屓としては、今週は犬夜叉を救出すべく敢然と弓を引き絞るコマです。おいこらそこの蟷螂、汚い足でかごちゃんに触るんじゃない! しかし破魔の矢を封じたところをみると、この妖怪は何かを怖がっているはず。次週は一連の流れで不自然なところを考えてください。今度の敵は、知恵で戦うべき存在です。
週刊少年サンデー44号掲載・第427話「封印の鎖」
 犬夜叉は臭いで本物の妖怪二匹を見つけるが、鉄砕牙が鎖で抜けないので拳でKO。本物を見つけたのに刀が抜けないと妖霊大聖に抗議すると、肝を喰った犯人ではないからだという。街中の人々が皆妖怪の姿をしているうえに、無関係の妖怪まで紛れ込んでいるのだ。おまけに無関係の者を殴ったというので封印の鎖が増える始末。
 とある屋敷に体が蛇と化した奥方が寝込んでいた。狼藉者としてやはり妖怪の姿をした役人に囲まれた犬夜叉一行は、混じっている本物の妖怪をぶん殴って逃走。その度に鎖が増えて鉄砕牙の束が埋もれていく。弦之介という少年に助けられた一行は彼の屋敷へ。なぜか彼には妖術がかかっておらず人間の姿のまま。母の病に効く薬を貰いに使いに出た帰りで、街中が妖怪だらけのため心細くなったらしい。その病の母が蛇の姿だが、犬夜叉はこれまでの者と違う臭いを嗅ぎ取る。襖を壊して顔だけ人間の蛇が弦之介に母親めいた口をきく。妙なものを喰ったのかと犬夜叉が問い、妖霊大聖が体からあふれる妖気は自分の肝だと指摘すると、人間の顔も蛇に変化して正体を現す妖怪。
 今度こそ本命なのにやはり鉄砕牙が抜けない。鎖が増えすぎたと嘯く妖霊大聖。加勢しようとした弥勒と珊瑚は、妖霊大聖の視線が向くと護符のようなもので屋敷の外にはじき飛ばされ、かごめは戸惑う。妖霊大聖は仕方がないから力づくで鎖を引きちぎれと言うが、鉄砕牙が火花を散らして抵抗。火傷を負った犬夜叉が妖気の逆流の時と同じだと感じて…以下次号。

 雑魚妖怪なら素手で十分な犬夜叉ですが、妖霊大聖が封印として加えた鎖はペナルティー付きの増殖型。妖怪集団が『おとなしく縛につけ!』というコマにはさすがに違和感がありますが、中に混じる妖怪もセコいなあ。
 いくら顔だけ人間の女でも、首から下が大蛇で蜷局巻いてるんじゃ『き、きさまっ、人間のふりをしても無駄だぞ』(妖霊大聖)、『人間のふりって…』(珊瑚)、『してるんですかね』(弥勒)が漫才的やりとりです(^^;)。カムフラージュにしてもわざとらしすぎた。弦之介はこの作品定番の、優しいが頼り甲斐に欠けるタイプの少年。弥勒と珊瑚をはじき飛ばしたのは妖霊大聖です。この一反木綿爺さん、やはり食えない策士。既に修行は始まっていて、封印の鎖を切ることもその内なのかもしれませんが鉄砕牙が拒絶。使い手に何を伝えようというのでしょうか。抜かずの極意が存在するのか、それは果たして…蛇妖怪の腹を捌かなきゃ妖霊大聖の肝は取り戻せない。私的には犬夜叉に“居合い斬り”を覚えてもらいたいですね。
 かごめ贔屓としては、今週は妖怪役人の包囲を突破する時に犬夜叉におぶさったコマと、弥勒と珊瑚が飛ばされた直後のアップですね。知恵を出す間もなくあっさりバトル突入がちと悲しいですが、次週は妖霊大聖がなにかをしたことに気付いて犬夜叉に伝えてほしいところです。
週刊少年サンデー43号掲載・第426話「妖霊大聖」
 犬夜叉一行は妖霊大聖の元へ向かう。妖霊大聖とは妖怪の仙人のような存在で、刀々斎の口利きで犬夜叉に修行させることになっていた。刀々斎の三つ目牛に連れていかれた場所は人里のど真ん中。橋の下に幌がかかった場所があり、中から助けを呼ぶ声がする。犬夜叉が幌をどけて中に入ると、そこには広大な別の空間。さすが妖怪仙人の住処だと感心する弥勒。声の主は巨大な花の茎にひっかかったペラペラの布。
 助けてみるとその厚みのない布こそが妖霊大聖その人だが、修行は無理だから帰れと言う。怒りまくる犬夜叉をおすわりで潰してかごめが理由を尋ねると、修行の用意中に妖怪に襲われて肝を抜き取られたためにこんな姿になったらしい。肝を取り戻さねばならないので修行どころでないという妖霊大聖に、かごめはそれを手伝うと申し出る。犬夜叉と妖霊大聖は互いに嫌味を言い合うが、体の雑巾絞りでモメていると猛烈な妖気が発生。幌の外だと妖霊大聖に続いて飛び出すと、橋の上にも舟の上にも妖怪だらけ。鉄砕牙を抜いて斬りかかる犬夜叉は妖霊大聖の制止とかごめのおすわりで潰される。無数の妖怪は皆普通の里人が妖術によって姿を変えられており、猛烈に漂う妖気は妖霊大聖の肝のものだというのだ。肝を喰った妖怪だが、収まるわけもない巨大な妖気が周囲に溢れ出し、妖怪自身は動けなくなったために里人の姿を妖怪に変えて紛れ込んでいるらしい。
 だったら捜し出して斬るとわめく犬夜叉だが、妖霊大聖は鉄砕牙を妖鎖で封印。夜明けまでに本物の妖怪を見つけられなければ、封印は永遠に解けなくなる…以下次号。

 いつもながら高橋流の新キャラはユニークで個性的です。今度は一旦木綿タイプかと思わず破顔。絶大な妖力の持ち主の威厳も、肝を抜かれるとペラペラ雑巾。『こっ、こいつの下で修行すんのか? なんか…強くなれる気がしねえ!』という犬夜叉、いやごもっとも。『頼りないじじい』『加勢は無用。人間や半妖ごときのかなう相手ではない』『半妖で悪かったなあ、この雑巾仙人』…初対面でこの漫才コンビぶりが好きです(^^;)。
 妖術で妖怪の姿に変えられた里人達ですが、髑髏はいるは一つ目はいるわ火の玉はいるわ、鬼に猫に蜥蜴に地蔵に…皆違う姿なんだから芸が細かい。互いの姿に驚いてもいないところをみると、里人達自身にはいつもの光景のままなのでしょう。この状態で本物の妖怪を見つけだすのは半端じゃないですが、犬夜叉の鼻は効くのかどうか。近頃はむやみに鉄砕牙を抜きがちですから、刀を封じられた戦い方も経験しておくべきでしょうが、夜明けまでがタイムリミット、のんびりやれるものではありません。
 かごめ贔屓としては、今週は久しぶりのおすわり二連発と、妖霊大聖に『私達お手伝いします』と、肝を喰った妖怪から溢れ出した妖気について『消化不良ってことかしら?』ですね。こういう展開になると、何度も主人公と周囲の仲を上手にとりもってきた役割が生かされて嬉しい。本物の妖怪を見つけるにあたって、ぜひキーマンならぬキーガールになってください。
週刊少年サンデー42号掲載・第425話「刀の成長」
 殺生丸は犬夜叉を、刀を妙な力で飾り立てて雑魚妖怪に手こずっていると一喝し、天生牙を抜く。驚くかごめ達。雑魚呼ばわりを怒った沼渡の渦が襲いかかるが、殺生丸の一振りでその間の空間が三日月に裂け、沼渡の全身はその裂け目に飲み込まれて消え失せる。ついてきた邪見とりんは、あれで丸くなったらどうなるんだろうとヒソヒソ話。
 何をしたとわめく犬夜叉に邪見が勝ち誇って冥道残月破のことを喋りまくるが、殺生丸に黙れと言われて態度が豹変。鉄砕牙を情けない刀にしたと嘆く殺生丸に、怒った犬夜叉が殴りかかるが逆に殴り飛ばされる。弥勒が代わりに妖力を吸う竜鱗の能力のことを話すと、鉄砕牙をまるでわかっていないと言い放って背を向ける殺生丸。激怒する犬夜叉だが、かごめは彼が鉄砕牙を使いこなす方法を知っているのかと考える。
 殺生丸に己の迷いを見抜かれた犬夜叉は刀々斎を訪ね、天生牙と鉄砕牙のことを問い質す。刀々斎は仙気と炎の備わりを悟り、強くなった刀に犬夜叉の方がついていけていないのは自身の鍛えが足りないと話す。その鍛え方を訊く犬夜叉に刀々斎が思案の末、妖霊大聖に会いに行けと語り…以下次号。

 うーむ、わずか一振りとは兄の威厳は強烈でした。三日月の裂け目だけでこの結果も、殺生丸本人は相手が水だから吸い込まれただけかと冷静そのものの解釈。竜鱗の鉄砕牙に眉をひそめ、弟をぶん殴る彼の姿には冷徹なる威厳を感じます。もうずいぶん昔のようですが、奈落の策略で人間の仮の腕をつけた彼が鉄砕牙を初めて手にした時に風の傷を一瞬で読んだように、父親の直血たる才覚はまさに底なしです。
 調子に乗って邪見がペラペラのおかげで弥勒達も冥道残月破の力を知ったわけですが、黙れと言われて『わしは何も言っておりません』にりんがすかさず『なんでそんなウソつくの、邪見さま?』…うーん、いいコンビだ(^^;)。しかし『きさまは鉄砕牙という刀をまったくわかっていない』という殺生丸の言葉には、あのゴルゴ13のような‘冷酷非情さの奥に隠れた哀しみ’を感じます。既に鉄砕牙を弟の刀と認めている兄は、拳と突き放した叱咤によって何を伝えようとしたのでしょうか。こうなるとやっぱり刀々斎の出番。『俺がこれだけ頭を下げてるってのに…』と思いっ切りふんぞり返る犬夜叉にもヒントをやるあたりが、彼のいいところ。さて妖霊大聖とはいかなる妖怪で、犬夜叉はどんな鍛え方をするのか。今度こそ物語の最終試練となりそうです。
 かごめ贔屓としては、今週は風船玉七宝に乗った“女の子座り”ですね。ふっ飛ばされた犬夜叉に即座に駆け寄り、殺生丸の言葉から彼が鉄砕牙の使い方を知っていると独白するところもいい。ヒロインの言葉は、主人公の兄の意図のナビゲートなんですね。
週刊少年サンデー41号掲載・第424話「変化する水」
 水を斬れる刀などこの世にはないと豪語する沼渡。二度目の爆流破も砕かれた水は雨と化し、犬夜叉一行の足場からどんどん水位を上げてくる。かごめに襲いかかる渦を弥勒が風穴を開いて迎撃するが、邪気が強すぎるうえに水量が無尽蔵で吸いきれない。犬夜叉は竜鱗を発動させて皆を空に逃がす。風船玉に変化した七宝がかごめを乗せ、弥勒と珊瑚は雲母に乗って飛びあがると沼渡の渦が追いかける。これを犬夜叉が鉄砕牙で斬ると、一瞬水の変化が解けて下へ落ちる。
 水に鉄砕牙を突き立て、妖気を吸い尽くしてやると言い返す犬夜叉だが、渦でその身を捕らえた沼渡は沼一つ分の妖気を吸えるものかと嘲笑。吸う前に溺れてしまうぞと叫ぶ七宝。渦中から放った金剛槍破が沼渡の顔を砕くが、何度斬ってもすぐに平然と再生する水の体ではキリがない。竜鱗の鉄砕牙も相手の妖気が巨大すぎると吸い尽くすことはできないのか、と歯軋りする弥勒。技のすべてが効かず、押され気味で苦悩する犬夜叉の背後に、道を見失ったなとの声とともに殺生丸が現れて…以下次号。

 沼渡という妖怪には本体に該当するものがないようです。その妖気はなりかわった沼の水すべてに行き渡るらしく、無尽蔵。飲み込んだ生物をエサにしているのはわかりますが、移動する時は雲にでも変化できるんでしょうか。渦の中心に現れる顔も、本人の意思でイメージしているのかな?
 水が相手じゃ弥勒の風穴もごく一部を吸うのが限度で、本体が逃げる必要もなしですか。物理的攻撃が効くわけもなし、戦いを挑んだこと自体が無謀だったかも。いつもながら七宝も困った時の風船玉でよく働いてくれるんですが、デザインがデザインなので緊張感が薄れるというか和らぐというか。というところへ戻ってきた殺生丸、彼のいう“道”とは剣の軌道のことか、はたまた強力な武器を持つ使い手としての精神のことか。兄の威厳をまとい炸裂するのか、冥道残月破!
 かごめ贔屓としては、今週はふと「もう作品中でも冬場のはずなのに、よく太股露出で頑張るよなあ。妖気付きの水に脛までつかっから冷たいだろーな…」的オヤジ視点になってしまったことを懺悔しておきます(^_^;)。
週刊少年サンデー40号掲載・第423話「沼渡」
 里の住人から異変を聞いた犬夜叉一行は、崖の上で切断された鬼達の死体を発見。犬夜叉は殺生丸の臭いが残っていると話し、皆は新しい刀が手に入ったのかと語り合う。死体に残る切り口が奇妙だと感じた犬夜叉は、弥勒にへらず口を叩きつつ追跡を始める。
 沼のほとりを進む殺生丸は犬夜叉の接近を鼻で感じるが、喉がかわいたというので沼の水を飲もうとしたりんを止める。水面に近づいた鳶が突然わき上がってきた水に巻き取られて一瞬で骨と化す。沼渡だ、と一言の殺生丸。
 人喰い沼の噂を聞いた弥勒達は気乗りのしない犬夜叉を連れて行く。黒く濁った水の中には何も見えないが、臭いで存在を察知した犬夜叉が風の傷をぶち込むと、沼の水すべてが渦巻いて起きあがり、その中心に妖怪の顔が現れる。沼はとっくに干上がっていて底には生物の骨の山。沼に妖怪が巣喰ったのでなく、沼そのものが妖怪だったのだ。自ら沼渡と名乗り、沼になりかわる自分はお前達などひと飲みだと凄む妖怪。波を起こして皆を取り込もうとする沼渡に爆流破を放つ犬夜叉だが、顔が砕けたように見えても渦はすぐ元に戻る。風で水が斬れるかとせせら笑う沼渡に、実体がないに等しい水そのものの妖怪では一筋縄でいかないと弥勒が危惧して…以下次号。

 鬼達の体の一部がなくなっている切り口が気になる犬夜叉は、全然興味ないと言いながら臭い追いバージョンで進行。人間との混血ゆえに、嗅ごうとすると犬の姿勢になる癖はどうしようもないようです(^^;)。
 りんが沼に駆け寄った時には『勝手に飲めっ!』。殺生丸がやめろと言った途端に『こんな濁った水飲んだら腹こわすだろーうがバカ者っ!』の邪見はまさに配下の鑑。弥勒に殺生丸の後を追いたいのはわかるがと言われて『追ってねえっつってんだろーがっ!』の犬夜叉と、全然違うようで妙に被るのが面白いんですね。
 さて沼渡ですが、昔【うしおととら】には霧そのものの妖怪が出てきたことがありました。物理的な攻撃は意味をなさず、主人公らは苦闘の末に別世界への道に押し込むしか退治する方法がなかった。この作品でそれができるとしたら弥勒の風穴ですが、量が多すぎるし吸い込まれる前に本体は逃げるでしょうね。殺生丸がどう絡んでくるかが見物ですが、戦いに意味が見いだせるかどうか。
 かごめ贔屓としては、今週は右腕にしがみついた七宝との一コマですね。妖怪との戦闘になるとギャラリーになっちゃうのはもう慣れましたけど…。
週刊少年サンデー39号掲載・第422話「鉄砕牙の炎」
 炎を纏う鉄砕牙が斬りつけると、魍魎丸の体内に取り込まれた銀禍を呼び覚ます。まずいと判断した魍魎丸は翼を出す。逃がすかと踏み込んだ犬夜叉の一撃はまた炎と雷を呼び、鎧甲の前面が割れて赤子の姿が露出。驚く一同。赤子が恨みの表情を見せると、魍魎丸の全身から猛烈な瘴気とともに金剛槍が飛び、かわした犬夜叉が見上げると瘴気の渦となっては魍魎丸は逃走する。
 弥勒はこの事態は奈落の思惑を越えていただろうと語る。二枯仙をけしかけて竜鱗の鉄砕牙が起こす妖気の逆流を仙気で浄化させる一方、魍魎丸には金禍銀禍を喰わせて鎧甲を強化、両者の拮抗で傷つき共倒れを狙った。しかし金禍の鉄砕牙への同化は計算外で、無敵の鎧甲に隠れた赤子まで危なくなったのは致命的失敗だったはずと一同は話し合う。魍魎丸は体の組み替えで弱点と化した銀禍の体を捨ててしまうだろうが、何も得ることができなかった魍魎丸の敗北だという結論。しかし犬夜叉は、仙気も炎も受け身の結果で借り物に感じると話し、自分の力でなにかを掴み捕ってこそ本当に自分の刀になると独白する。
 薄い光を放つ人影が山に入ってから毎晩地響きのような音がすると語り合う村人。切断された鬼の体を睨む殺生丸は、ほとんどこの世に残ったままだと邪見に言う。背後から三匹の鬼が出現、仲間の仇を引き裂くと凄む彼等に殺生丸は天生牙のこやしになってもらうと言い返し…以下次号。

 頭のキレる魍魎丸は不利と悟ればすかさず逃走を企てる。一番堅い鎧甲の中に隠れていた赤子が結界ごしとはいえその姿を露出させるとは。常に余裕を漂わせる赤子がこれほど怒りと恨みの表情を見せたのは初めてです。今回の一件はたしかに魍魎丸の負けでしょう。
 弥勒の推理では奈落には赤子の鎧まで壊す気はなかったということですか。自分の心臓が完全敗北したのでは困るでしょうが、分離した目的の「桔梗の抹殺」が失敗している以上、いずれ自分の体に取り戻すつもりじゃないかと思うのですが…そういえば神無が姿を消しました。結局スパイ活動終了で奈落のところに逃げ帰ったかな?
 『奈落の策略とはいえ鉄砕牙が強くなったんじゃ。棚からボタモチではないか』の七宝、的確なツッコミですがこれに犬夜叉はだから気に入らないと返す。自らの力で掴むべきものがある、それを志すところに彼の美学があるんですね。一方、武器となった天生牙の試し斬りを続ける殺生丸。冥道はなかなか広がりづらいようですが住処の山を荒らされる鬼達は激怒も当然。それにしても今までこういう場にはりんちゃんを連れてこない彼でしたが、邪見の隣といえしっかり同行しているところに何か影響がありそうです。
 かごめ贔屓としては、今週は因縁の赤子の姿を見た時と、気にくわないと犬夜叉が口走った時の表情ですね。原作者にしか描けない細やかさがこの二コマに象徴されているように感じます。
週刊少年サンデー37・38合併号掲載・第421話「同化」
 銀禍の顔からどいていろとの言葉が洩れる。雷を見た金禍は、無念の思いは同じだと魍魎丸に巻き付き再び炎を放つ。鎧甲の中から出る雷との同時攻撃にはさすがの魍魎丸も苦悶するが、金剛触手が金禍の胸を貫き、その体が地面に叩き付けられると共に銀禍の顔も鎧甲の中に消えていく。やっと死んだか、次は金禍だと言う魍魎丸の前に立ちふさがる犬夜叉。鉄砕牙では強化された鎧甲は斬れないと勝ち誇る魍魎丸だが、犬夜叉はこれを一喝すると、瀕死の金禍に戦いに巻き込んだことを詫びる。その刀で奴を斬れるかという問いに犬夜叉が即座に斬ると返すと、金禍は小さく笑みを浮かべ、体を炎で包んで鉄砕牙の刀身に巻き付くとそのまま灰となって消えていく。鉄砕牙に同化したのかと驚くかごめ達。
 炎を漂わせる鉄砕牙に、人の餌を盗み喰いかと舌打ちする魍魎丸。その刀でも炎だけでは焼かれはしないと余裕を見せるものの、斬りかかった犬夜叉が金剛槍をかわして三度鎧甲に刀身を打ち込むと、鎧甲の内側から強烈な雷が発生して驚愕する。打ち込んだ犬夜叉までが飛び退く勢いの雷は、魍魎丸の中に潜む赤子の周囲を軋ませる。金禍の炎と銀禍の雷が共鳴しているのかと叫ぶ弥勒。戦いを見つめる神無が、赤子の結界が壊れると呟き…以下次号。

 大妖怪の父の牙から作られた鉄砕牙は、数多くの妖怪や人間達の能力と心を受け入れ、犬夜叉と共に成長していきます。背負ったものの大きさがその力となり、邪悪なるものを斬る。『すまなかったな…おまえら兄弟を巻き込んじまって』…この言葉を、魍魎丸を睨みつけながら背後の金禍にかけるあたりが犬夜叉らしい。おそらく彼の父も、妖力以上に巨大な器を持っていたのでしょう。骨となった宝仙鬼がそうしたように、金禍もまた最期の力を彼に委ねる。反目し合っていたとはいえ兄弟の血と種族の誇りが共鳴して、エゴの象徴である魍魎丸の鎧甲を砕くか。神無を差し向けた奈落の狙いは、赤子の鎧を結界ごと壊して再び自分の配下に取り戻すことだったのでしょうか。
 七宝の『どうでもいいという問題ではないじゃろう!』は実にごもっともなんですけど(^^;)、何度斬れないと言われても『そんなことはどうでもいい! 斬る!』と言い返す犬夜叉が使い手だからこそ、金禍を刀に同化させたんですね。鉄砕牙とともに皆の想いを背負って進め、犬夜叉。
 かごめ贔屓としては、今週も読者同様ただの観客状態でちょっと残念ですが、赤子が外に脱出せざるをえなくなったら、以前の因縁もあることだし、神無が回収に動く前に矢を一本撃ち込んでやれっ、という心境で次週はお盆休みです。
週刊少年サンデー36号掲載・第420話「銀禍の死」
 まだ息がある金禍は自力で体を動かし魍魎丸の触手を回避するが、銀禍の方はもう息絶えたと悲しむかごめ。その銀禍の体は触手に囚われて金禍から引き剥がされ、魍魎丸が取り込み始める。犬夜叉は再度鉄砕牙で鎧甲に斬りかかるが、ヒビが入ってもすぐに再生する鎧甲。もう手遅れだと勝ち誇る魍魎丸が金剛触手で犬夜叉を突き放すと、銀禍の体は鎧甲の一部に吸収されていく。金禍銀禍は喰われると知りながら相争う道を選んだのだと言う魍魎丸に怒りの言葉を吐く犬夜叉だが、瀕死の金禍は魍魎丸の言葉を肯定。立場が逆だったら自分はためらわずに銀禍を焼いていたと話す金禍にショックを受けるかごめ達。
 それでいいのかと問う犬夜叉に、そのように生まれて生きてきた自分達は互いを恨まないと返す金禍だったが、炎をまとって魍魎丸に突進する。今度は効かない、と余裕の魍魎丸。銀禍の力がなくなったからではとつぶやくかごめ。犬夜叉は触手を切断しつつ無駄死にするなと金禍に怒鳴る。二人揃って死ぬことなど望んでいなかったろうとの犬夜叉の言葉をせせら笑う魍魎丸はわざと竜鱗の鉄砕牙を受け続け、鎧甲の強化を試す。後は金禍を食い尽くすだけだと魍魎丸が考えた時、銀禍の顔から雷がわずかに漏れ始める。驚く一同…で以下次号。

 どのような状況でも相手に隙ができたら殺すことが宿命であった金禍銀禍は、恨みを超越した兄弟。しかし自分達の体は貴様ごときに喰われるためにあったのではないという叫びとともに再度魍魎丸を焼こうとする金禍の行動は、種族の誇りでありやはり銀禍との血の絆なのでしょう。『おまえまで喰われたら俺達が迷惑するんだよ! それにな、銀禍だって浮かばれねえだろうよ! どんな形にせよ憎いお前に体をゆずったんだ。お前らは二人揃って死ぬことなんか望んでいなかったんだろうが!』…犬夜叉はどんな時に何に対して怒るのか、それをしっかりと描かないと、というのは高橋先生の言葉です。この主人公はまぎれもなく、粗暴な言動の中に人一倍の優しさを秘めています。だからこそこの作品はこれだけ長く支持を受けるのでしょう。
 銀禍の体が引き剥がされても魍魎丸の鎧甲を再生する力がつくのは、やはり本来一つであるべきだった血の力。私の想像はまた空振りでしたかねえ。しかしこの局面でもう眼を開くことはない銀禍の顔から雷が放たれる。これは生きることへの意志なのか、それとも金禍への何かのメッセージなのか。
 かごめ贔屓としては、今週は生気を失った銀禍を見つめる表情と、『さっきは金禍と銀禍が力を合わせていたから…』の言葉ですね。長い付き合いを経て、彼女の心と思考は着実に犬夜叉とシンクロしています。
週刊少年サンデー35号掲載・第419話「罠におちた兄弟」
 犬夜叉は奈落が魍魎丸の鎧甲をも強化しようとしていると睨む。魍魎丸は自分と犬夜叉の能力を拮抗させ、傷付けあうのが奈落の望みだろうと推測するが、あえて乗ってやろうと独白。弥勒は金禍銀禍に魍魎丸の狙いを伝え、逃げろと呼びかける。魍魎丸が再度金剛槍を発射しようとすると、犬夜叉が下から先手をとって金剛槍破。鎧甲には効かないが狙ったのは翼で、魍魎丸は翼に穴を空けられて落下するものの触手を伸ばして金禍銀禍の体を捕らえる。地面に落ちると同時に炎と雷に包まれる魍魎丸。金禍銀禍はこの体を貴様ごときが喰えるかと吐き捨てる。直接彼らの頭に触れたら最後、鎧など無関係に炎と雷は相手の体内に滑り込んで内側から焼き尽くすというのだ。魍魎丸の中にいる赤子はどうなるのかと思わず叫ぶかごめ達。その赤子は結界の中から炎と雷を無表情に見つめる。
 ここで銀禍の上半身を捕らえていた触手が砕け落ちる。力つきたのかと七宝が叫ぶが、犬夜叉は金禍の方の触手がそのままなのを怪しむ。銀禍は首を獲る絶好の機会だと金禍に接近。やめろ罠だと叫んで飛び込む犬夜叉の眼前で、銀禍の武器が金禍の胸を貫く。魍魎丸はニヤリと笑って銀禍の背後から金剛触手を伸ばして銀禍を一突き。犬夜叉は鉄砕牙を抜いて怒りの一撃を触手に加えるが、魍魎丸は余裕で起きあがって金禍銀禍の体を取り込みにかかる。しかし金禍の顔に生気があるのを見た犬夜叉は魍魎丸の金剛槍を無視して跳躍、触手を切断して金禍銀禍の上体を抱え、脱出を試みる。もう遅いと魍魎丸の触手が取り囲む。息を呑むかごめ達…以下次号。

 状況を見つめる神無の周囲には最猛勝が数匹。やはり彼女はスパイでしたか。悟ったうえで金禍銀禍を喰いにかかる魍魎丸は大した自信です。血の力が奴の狙いだと手早く教えてやる弥勒と、翼を攻撃して魍魎丸を落とす犬夜叉の直感は的確。金禍銀禍の種族は接触した相手を瞬時に滅する物凄い能力を持っているようですが、焼かれるという表情も演技でやってのける魍魎丸は極めて狡猾。赤子は二匹の心を読んでわざと銀禍の上半身だけ自由にし、金禍を殺らせる。『きさまの顔をこれほど近くで見るのは初めてだな…そして見納めだ』兄弟がこうまで相争うのは哀しいことで、言った直後に胸を貫かれた銀禍がまた哀れ。
 平然として起きあがり『哀れな兄弟だ。あれほど離れたがっていたのに、共にわしの中で眠ることになる』と余裕で呟く魍魎丸が憎々しい。金禍はまだ生きていると直感した犬夜叉は助け出すべく奮戦。ここに彼の真骨頂があるんですね。金禍銀禍を喰わせるな。エゴの触手をぶち斬れ! それにしても今回のテーマはひょっとして世間を騒がす某兄弟の暗示でしょうか。次週、高橋先生がそのへんの何かを描いてくれそうな予感がします。
 かごめ贔屓としては、今週も戦闘中心話の定番脇役でしたが、扉ページの裏に単行本41巻のCMイラストがあって、花火を持つ浴衣姿が可愛いかった♪
週刊少年サンデー34号掲載・第418話「血の効き目」
 魍魎丸は余裕で風の傷を鎧甲で受け流すが、背後の鍾乳洞が壊されて金禍銀禍が目覚める。犬夜叉はさっさと逃げろと怒鳴るものの、神無の逃がすなという言葉と同時に魍魎丸の触手が伸び、金禍銀禍の絡み合った下半身に巻き付く。犬夜叉は舌打ちして魍魎丸の鎧甲に竜鱗の鉄砕牙で一撃。刃が食い込んで妖気があふれ出し、軋む鎧甲に魍魎丸は戸惑う。奈落が犬夜叉の刀を強くしたのだと神無が話し、自分を倒すためかと歯軋りする魍魎丸。
 金禍銀禍の下半身に刺さった触手を伝って、彼らの血が魍魎丸の肩にかかると割れかけていた鎧甲が復元して鉄砕牙を押し戻す。これが彼らの体を強く結びつける力なのかと驚くかごめ達。血を浴びただけでこの効果なら、丸ごと喰えば鎧甲は盤石になり竜鱗の鉄砕牙も歯が立たなくなると納得する魍魎丸。体を傷付けられて怒った銀禍が魍魎丸に雷を落とし、犬夜叉は飛び退くがすぐに反転して魍魎丸の触手を切断。金禍銀禍にさっさと行けと怒鳴る犬夜叉を触手で吹っ飛ばし、魍魎丸は翼を出して宙に舞い上がる。金禍銀禍の雷と炎を余裕で受け流して彼らを打ち落とすべく金剛槍を発射する魍魎丸。雲母の背から風穴を開いてとっさに金剛槍の雨を吸い込もうとする弥勒だったが、またしても最猛勝が飛来してこれを妨害する。魍魎丸も犬夜叉達も奈落の意志を図りかねて混乱しつつ…以下次号。

 風の傷一撃で叩き起こされた金禍銀禍、やはり寝覚めが悪いと荒れますな。仙気を宿した竜鱗の鉄砕牙は魍魎丸の鎧甲にはじかれずに食い込む。神無の言葉に『奈落…そこまでしてわしを倒したいか』と独白する魍魎丸がなんとも…自分の心臓を倒そうとするキャラって、一体どういう奴なんだ。それにしても金禍銀禍の血は鎧甲の瞬間接着剤。こりゃ説得力があると彼らを喰おうとする魍魎丸ですが、その攻撃をご丁寧にも最猛勝で援護するんですから奈落の狙いがやはり怪しい。自分を倒すつもりならなぜ法師の風穴を封じるのかと、さすがに魍魎丸も疑問に思うようです。もしかすると魍魎丸の体を犬夜叉に斬らせるのが目的なのではなく、両者相打ちを目論んでいるんじゃなかろうな。しかし相争う金禍銀禍の上半身を丸ごと喰わすことには、まだ何かありそうです。
 さて雲母に乗る時はいつも珊瑚の腰に錫杖を回して後ろに座る弥勒。許嫁同士なんだからもっと密着しても誰も変に思わないでしょうが、このへんに二人の自然な距離感があるのでしょう。でその状態で風穴を開く時は錫杖を珊瑚が代わりに持ってる。さりげない一コマですが阿吽の呼吸がきっちり描かれています。ミロサンファンには嬉しい場面。
 かごめ贔屓としては、今週は最後の『奈落が魍魎丸を助けてるってこと!?』のコマですね。いやまあ本体が心臓を助けるのは自然なんですが、これに戸惑わねばならないところがこの作品の不可思議な展開。次週はパートカラー、ヒロインをアップで見たいですね。
週刊少年サンデー33号掲載・第417話「強い絆」
 犬夜叉は最猛勝を見て金禍と銀禍に奈落との関係を問い質すが、二匹は鬱陶しがるだけで戦いを続行し、最猛勝を巻き添えにしつつ飛び去ってしまう。村人らの話では、二匹が眠っている間に退治すべくその巣を襲撃したが、眠るのも目覚めるのも同時の二匹は目覚めた途端に戦いを始めるため手出しできずに逃げるのが精一杯だったという。人間を殺す気はないのかと思うかごめ。犬夜叉は巣穴の場所を訊きだして退治に向かう。奈落が金禍銀禍に接近している気配を感じる弥勒達だが、犬夜叉の兄弟喧嘩は迷惑極まるとの言葉に白け気味。その頃邪見が殺生丸の代わりにクシャミをして殴られていた。
 金禍銀禍が熟睡するのは明け方らしく、巣穴の近くでその時を待つ一行。かごめは退治する以外に方法があるのではと語る。元々頭が一つなら凶暴ではない妖怪で、金禍銀禍は相手の頭を狙い合っているだけ。その戦いが周囲を破壊し続けているわけだが、二匹の下半身も一つではなく強く絡み合っているから引き離せないかと考える。半信半疑の犬夜叉だが、かごめが四魂の欠片の気配を察知。一足先に魍魎丸と神無が巣穴にやってきていた。金禍銀禍の絡み合った下半身を睨み、結びつけているものは何だと問う魍魎丸に、一つになるはずだった絆であり血の力だと答える神無。飛び込んできた犬夜叉達は神無の姿を見てまた裏切りかと連想するが、この場に最猛勝が。神無への追っ手かと疑う魍魎丸に、神無は二匹を喰えば魍魎丸と鎧甲が強く結びつき完璧になると促す。魍魎丸の触手が金禍銀禍に伸びる。犬夜叉が鉄砕牙を抜いて風の傷を放ち…以下次号。

 成長過程は凄絶でも、一つになれば穏やかに生きる種族。不可思議な存在ですがその血統の特殊性が魍魎丸と鎧甲の強靱な一体化に役立つと? 一見もっともそうですが本当でしょうか。血の力が必要ならまともに成長した種族を取り込めばいいのであり、対立して戦い続ける金禍銀禍を喰えと促す神無と、追ってきている最猛勝を見ているとやはり奈落が承知のうえでやらせていると感じます。一体化どころか鎧甲を分離しやすくして犬夜叉に斬らせるのが狙いなのでは。白夜がどこかに潜んでいる可能性もありますね。
 『兄弟ゲンカなんぞで世間に迷惑かけやがって。とんでもねえやつらだ』に『おまえが言うかなーと思って…』の弥勒に思わず苦笑。七宝曰く“迷惑な兄弟ゲンカの第一人者”の犬夜叉は殺生丸が一方的にちょっかいかけてくるんだとわめくものの『兄弟ゲンカする人達はみんなそう言うんですよ』の返答もナイスだ。『殺生丸さまがしたそうだったからわしが代わりに』の邪見、気が回りすぎてごつん。わずか4コマで笑わせてくれる殺生丸ご一行でした。
 かごめ贔屓としては、今週は色々と考えてくれて嬉しい。犬夜叉が殺生丸のことをあれこれわめいている時の背中での表情もいい(^^;)。今まで離れなかったものがなぜ離れるんだという犬夜叉の言葉はもっともですが、強く絡み合っているだけなら離して生かしてあげたいというヒロインの優しさがさりげなく描写されてます。そうなると魍魎丸の金禍銀禍吸収は阻止しなければ。巣に破魔の矢を撃ち込んで目覚めさせてやってはどうでしょうか。
週刊少年サンデー32号掲載・第416話「金禍銀禍」
 魍魎丸の中にいる赤子は触手の先の手を神無の頬にあて、心を探ろうとする。弥勒は犬夜叉に鉄砕牙の状態を問うが、妖気を吸った後の発熱さえなくなっていた。一行が見つけたのは黒コゲの牛の死体と落雷の跡。村人によると妖怪の兄弟喧嘩で村が被害を受けているという。雷の音が響いて空中に現れたのは上半身が二体に分かれた一対の妖怪。二匹は互いを金禍、銀禍と呼び、雷と炎をぶつけあう。顔は同じで色だけが違う兄弟なのか。この争いで建物が壊され、犬夜叉は風の傷を放って割って入る。下半身が一つに絡み合っている二匹に、弥勒は血を分けた兄弟でなぜ争うと訊くが、望んで兄弟として生きているわけではないとの答え。
 互いを罵りあって戦い続ける二匹になぜ離れないと怒鳴る犬夜叉達。離れるにはいずれかが死ぬしかない、彼らの種族は二つの頭を持って生まれ、強い方の頭がもう一方を餌にして喰らい一匹となって成長するのだが、金禍と銀禍は決着がつかないまま傷付けあうだけで成長してしまったというのだ。厄介な話だが放置もできず退治するしかないと考えた犬夜叉だが、そこへ最猛勝が出現。
 魍魎丸は奈落の妖怪に襲われた神無の姿を読みとり、逃げてきたというのはウソではないらしいと語る。奈落に殺される覚悟もあるのかという魍魎丸の問いに、神無はその鎧はもっと強くなると言って鏡をかざす。映ったのは金禍銀禍の姿。そいつらを喰えということかと魍魎丸が呟き…以下次号。

 魍魎丸(赤子)でさえ、神無に自らの意思=心があったとは信じられなかったようです。以前は神無が何度か分裂後の赤子を抱いて行動してましたから、それなりに見ていたのでしょう。さて二枯仙の仙気は竜鱗の副作用を完全に封じ込んだようです。色々な意味で喜んでいいのかどうか。さてまた新たな妖怪が登場、今度はなんとも凄絶な生き方をする種族です。生まれてすぐに双子の兄弟を喰い殺して成長するとは。声を聞くだけで虫酸が走る、一刻たりとも顔を見たくないとまで言い合いながら、一日中戦い傷付けあって一体何日間生きてきたんですかね金禍銀禍は。
 今度は犬夜叉の肩に乗っかって『離れて暮らせばいいではないかっ!』と七宝。うーん、一行の誰に乗っても絵になるなあ。さてこの金禍銀禍を喰えと薦める神無、『奈落は…先に死ぬ』の言葉にはぎょっとさせられますが、私にはこれは奈落の策略ではないのかと思えます。お互いの頭を殺しあおうとする一つの体の金禍銀禍、この強靱な意志ごと魍魎丸が喰ったらどうなりますか。元々数多の妖怪の体を寄せ集めてできている魍魎丸の体=赤子の鎧が強くなるどころか逆効果なのでは、と。
 かごめ贔屓としては、今週は金禍の炎から犬夜叉にその身を庇われる一コマですね。小さなコマで主人公の反射的行動ではありますが、ヒロインの髪のなびき方が好みです。
週刊少年サンデー31号掲載・第415話「仙気」
 精命幹に食い込んだ竜鱗の鉄砕牙。二枯仙の顔がたちまち干からび始め、犬夜叉は鉄砕牙に息吹が流れ込んでくるのを感じる。猛烈な光が洞窟から発出。かごめと七宝が飛び込むと、枯れ果てた二枯仙の亡骸と、呆然と刀を見つめる犬夜叉の姿…竜鱗の欠点である妖気の逆流がなかったのだ。一行の背後からだしぬけに白夜の声が響く。流れ込んだのは二枯仙の仙気であり、逆流する妖気を浄化する力が備わった鉄砕牙は使い手の犬夜叉をもう傷付けることはない、というのだ。
 奈落がそれを承知で二枯仙をけしかけ、竜鱗の鉄砕牙を使いこなす手助けをしたというのかと問い質す犬夜叉と弥勒を白々しくあしらい、白夜は千羽鶴でそそくさと去る。これで奈落に得があるとすれば魍魎丸のことしかないと語る犬夜叉。鎧甲と金剛槍を手に入れた今の魍魎丸とその中に隠れた心臓の赤子は、奈落自身が手を出しづらくなっている。弥勒とかごめ達は、犬夜叉に魍魎丸を斬らせるために仕組まれたことだと察する。
 旅の僧二人が山奥で妖怪集団と崖の上に立つ少女を目撃。妖怪の群れに接触した少女は崖から転落する。じっと見つめるのは最猛勝。起きあがった少女…神無は最猛勝から身を隠しつつ、よろよろと歩く。鏡に写るのは体を組み替えている最中の魍魎丸。隠れ家の洞窟にたどりついた神無に何をしに来たと問う魍魎丸だが、奈落から逃げてきたと語ると神無は倒れ伏す。訝しむ魍魎丸…で以下次号。

 狙いはたしかにそれでしたが、正直こういうことは想像していませんでした。犬夜叉達に何を企んでいると詰問されても『親切心じゃねえのか?』『今度奈落に会ったら自分の口で礼言った方がいいんじゃないか』とお惚けの白夜は、読者をもおちょくってくれます。それにしてもこの絶妙のタイミングで姿を現したというのに、白夜は黒髪の犬夜叉の姿を見ていなかったんだろうか? そうならタッチの差もいいところですが。
 しかし妖気を浄化する力をもつ仙気が相手では、かごめの矢が通じなかったわけだ。奈落の方も心臓を外に出して一人歩きをさせてしまったことを正直失敗だったと考えているんでしょうかね。鎧を斬らせたところで奪い返すつもりだとすると、どうも悪役のボスにしてはイマイチ長期戦略が劣っているなあ…。
 神無久々の登場。私はなんとなく彼女は赤子とともに魍魎丸の中にいると思っていたので、また早とちりだったと赤っ恥です。しかし奈落から逃げ出したというのは本当か。二重スパイの可能性もありますが、神楽の時と違って妖気を持たない神無は赤子の手で触れても心が読めなくて真意を掴めないかもしれない。魍魎丸はどうしますかね。
 かごめ贔屓としては、今週は妖気の逆流から犬夜叉を守る役割をよりによって奈落の思惑で奪われたようで少々無念。しかし犬夜叉がダメージを受けたわけじゃないのは幸いでした。『大丈夫?』と心配そうに駆け寄る時に犬夜叉の袖の端を掴むのが、彼女らしい距離感なんですね。
週刊少年サンデー30号掲載・第414話「精命幹」
 かごめは犬夜叉の体温が上がっていることから樹液の毒の影響を察する。伸びてくる二枯仙の根を首ごと破魔の矢で砕いたかごめだったが、脱出しようとする三人の前に二枯仙の胴体が降りてくる。早くも生えてくる新しい首…これを狙っても無意味だと犬夜叉が言い、かごめは精命幹を探そうと二の矢を射つ。
 裂けた胴体の中に光る幹があり、これが精命幹だと最後の矢を撃ち込むと崩れおちる二枯仙の体。しかし幹に刺さった矢は火花を散らして消滅。仙人であった頃に培った仙気で守られている精命幹が破魔の矢ごときで浄化できるかと豪語する二枯仙。武器を失ったかごめを根の攻撃から必死に庇いつつ犬夜叉は走る。かごめと七宝を洞窟の外に突き飛ばした犬夜叉は根に絡めとられ、風船球に変化してかごめを乗せた七宝にも根が伸びる。ここでかけつけた珊瑚が飛来骨で救出するが、洞窟の入り口は根で覆われる。
 滋養は貰ったとほくそ笑む二枯仙の眼前に、根を素手で引きちぎって妖力を取り戻した犬夜叉が復活。夜明けが来たのだ。竜鱗の鉄砕牙が精命幹を直撃。しかしその感触に犬夜叉が眉をひそめ…以下次号。

 大健闘のかごちゃん、おじさんは嬉しいぞ。ただ火は使えなかったか残念。破魔の矢も常備が三本しかないのは痛いなあ。外しても回収できるように糸をつないでおくとか、駄目でしょうか。傷だらけになりつつもかごめと七宝を抱え込んで走る犬夜叉の姿は、やはり少年漫画の王道をいってます。敵側からするといつもあと一歩のところで明けるのが朔の夜の凄いところですけど(^^;)、どうやら白夜にはバレないですみました。仮に目玉を飛ばしていても洞窟の外からじゃこれは見えまい。七宝も今回はあちこちで大きな役割を果たしてます。緊迫感まみれのシーンでもあの風船球デザインは妙になごみ系だし。
 さて精命幹は聖なる仙気で防御されているとすれば、妖力を無尽蔵に吸う竜鱗の鉄砕牙がそれを斬ろうと食い込めば何が起こるのか。二枯仙を差し向けた奈落の狙いはおそらくそこでしょう。思わぬダメージを食ったら大変だ。次週は気になります。
 かごめ贔屓としては、今週は三本の矢をすべて命中させた頑張りぶりに大拍手。犬夜叉の腕から伝わる熱を察して『私がやるしかない』と独白しつつ弓を引く表情が実に健気でした。怖いし自信もないけど、必死の顔。連載初期の「ボケの入った無鉄砲さ」を思い起こすと、大きな変化を実感します。
週刊少年サンデー29号掲載・第413話「二つ目の首」
 弥勒と珊瑚は二枯仙の首を追跡するが、空間に蜘蛛の巣が出現して首を絡め取る。張ったのは白夜で、犬夜叉は竜鱗の鉄砕牙を使わなかったのかと一言。もう一つの首を生やした二枯仙は、黒髪の犬夜叉を見て半妖だったかと呟く。かごめがこいつは四魂の欠片を持っていないと話すと、首など精命幹があるから何度でも生え替わるとの返答。仙人だった頃に樹木の精気で生き長らえる術を会得した二枯仙は、妖怪となった今では首すら枝葉にすぎないというのだ。胴体から無数の根が伸びてきて、再生のために不可欠な滋養だとして犬夜叉達の養分を狙う。犬夜叉は並の刀と化した鉄砕牙を抜いて胴体に一撃し、精命幹とやらを斬ればおしまいだと怒鳴るが、二枯仙の根が首筋に食い込む。かごめが敵の顔面に矢を射込んで救出するものの、半壊した顔面からも別の枝が出てきて襲いかかる。かごめを庇った犬夜叉の背中に枝から染み込む毒の樹液。七宝が二枯仙に妖術の巨大地蔵をぶつけて一行は逃走。
 弥勒は白夜に、竜鱗の鉄砕牙で一刀両断できるような弱い妖怪を差し向ける目的は何だと詰問。奈落の考えることはわからんと返し、糸を解けとわめく二枯仙の首を糸ごと火を放って焼き尽くすと、残った四魂の欠片を取り返す白夜。その前に首が「残った体が小僧を殺す」と口走ったことから、弥勒と珊瑚は急いで引き返す。白夜が追ってきて人間化した犬夜叉を見られたらと珊瑚は危惧するが、その時は戦うまでだと弥勒が指示。
 かごめ達は滝の横の洞窟に避難。朔の夜が明けるまではまだ長い。減らず口の犬夜叉だが首の周りや背中の傷跡は充血。火鼠の衣も妖力を失い毒を防げないのだ。洞窟の天井を砕いて二枯仙の根が迫り…以下次号。

 白夜は蜘蛛の化身なんでしょうか。飛ぶ目玉の他に幻術も使うし火も使う。本気で戦えば相当手強いでしょう。二枯仙の方は再生したら養分がいるらしい。たしかに樹木の寿命は物凄く長いから、生命力は桁違いの妖怪です。妖力を失っていても犬夜叉には逃げるという発想がゼロで無謀そのものの闘争本能ですが、かごめももうそれには慣れていてすかさず矢で迎撃。しっかり顔面に命中させて大いに貢献です。反射的にかごめを庇うのは犬夜叉の真骨頂で、七宝のフォローも冴えてる。『痛くも痒くもねえっ!』としか言わない犬夜叉の猛烈な意地は、普段の時以上に強いんですな。
 弥勒は頭の回転が速いので、死んだと思った体が動いているなら直ちに戻れと指示するのは的確。彼の知恵と判断力は一行の戦いに不可欠ですね。さあ白夜は追ってくるか。朔のことを奈落に知られたら、次の朔の夜が最終決戦の舞台になりえます。
 かごめ贔屓としては、今週は矢の一撃と犬夜叉の傷を気遣うところですね。樹木の妖怪なら火には弱いはず。次週は彼女がそこに気付いて、七宝の狐火をつけて火矢を打ち込んでやれ! さて余談になりますが、一部のファンサイトではこういう展開になると必ずといっていいほど「色気のある展開」を派手に期待する向きがあります。私もいい歳してそういうのは好きですが(^^;)、この作品が少年漫画であることを忘れるべきじゃないですね。
週刊少年サンデー28号掲載・第412話「二枯仙」
 一夜で山が枯れたという話を聞く犬夜叉一行。村人は二枯仙という妖怪の毒だといい、登ってみるとボロボロになった樹木の跡。大昔は仙人だった妖怪で、樹木の精気を喰うらしい。汚れた四魂の欠片の気配を感じたかごめは、案内しろという犬夜叉に今日が朔の日であることを告げ、一行は出直そうと山を降りる。
 下山途中で四魂の欠片の接近をかごめが感じた途端、一行の前に二枯仙が出現。四本足の獣の姿の二枯仙だが、口の中に欠片がある。奈落の手先かと犬夜叉が怒鳴ると、鱗の刀を持った者を殺せば四魂の欠片をやると奈落に言われたという。犬夜叉は鉄砕牙を抜いて飛びかかるが、二枯仙の吐いた毒を浴びると鉄砕牙の変化が解けてしまう。朔が始まったのだ。崖で犬夜叉に食いつこうとした二枯仙の首を、珊瑚が投げた飛来骨が切り落とすものの、胴体がそのまま犬夜叉と川に転落。首の方は四魂の欠片の力で浮遊してそのまま逃亡し、弥勒と珊瑚は後を追う。
 かごめと七宝が川岸に犬夜叉を助け上げる。既に人間化している犬夜叉に、動かない方がいいと諭すかごめ。奈落は犬夜叉が竜鱗の鉄砕牙を使いこなせていないことを白夜の報告で知っており、二枯仙を利用して妖気の逆流の自滅を狙ったのだろうとかごめと七宝は話す。川に横たわる二枯仙の背中の瘤が音を立てて裂けると、もう一つの首が出現して体が立ち上がる。驚く犬夜叉達…で以下次号。

 連載中通算6回目の朔の日が来ました。あまりに連載が長引くと設定上の一年が過ぎてしまいかねないぞといらぬ心配をしてしまう私です(^^;)。今回の話は扉の煽り文句からして犬かご話風なんですが、さてどんな展開になりますか。
 二枯仙という名には首が二つの意味もあるようです。木の幹を横にして四つ足をつけたような姿ながら、顔はたしかに仙人風で眼が狂気。首をあっさり落とされても、弥勒と珊瑚を引き離すためだとしたら計算づくなのでしょう。奈落がこの妖怪を選んだのはやはり毒系が竜鱗の鉄砕牙の自爆を誘う引き金として有効だからでしょうか。他にもなにか狙いがありそうですが…。
 川からどうやって人間化した犬夜叉を引き上げたのかを考えると、やっぱり七宝の変化なんでしょうね(かごめのセーラー服は濡れていないから)。一行の内誰の肩に乗ってもサマになる七宝、最後のコマでビビリまくりの顔も可愛い。
 かごめ贔屓としては、今週はまだいつもの光景ですが次週からの活躍に期待です。朔の日はいつも犬夜叉が深い傷を追うので痛々しいんですけど、一度知恵と勇気で懸命に彼を守ろうとするヒロインの姿を見てみたいんです。
週刊少年サンデー27号掲載・第411話「優しい彼」
 楓の村に戻った一行。七宝から桔梗が琥珀と共に行動していることを聞いた楓は、珊瑚が弟の身を案じて元気がないことを気遣う。暗い顔ばかりで疲れるだろ、と弥勒に詫びる珊瑚だが、こんな時こそ側にいたい、と返す弥勒に尻尾がないかと手探りする。
 かごめは現代の実家で犬夜叉の手当。竜鱗の鉄砕牙による火傷は治癒が遅れているのだ。かごめは自分の登校に合わせて外出しようとする犬夜叉を家にいてとおすわりで潰し、珊瑚から貰った対妖怪用の臭玉を祖父に渡す。エネルギー余りまくりの犬夜叉に宝物殿の虫干しを手伝わせる祖父。由緒ある呪いの壺が妖気を発し続けているらしいと口走った途端、鉄砕牙を振り上げた犬夜叉の鼻先に臭玉が炸裂。近寄って、気絶してますと話すかごめの母。祖父がほっとしたのも束の間、振り上げた鉄砕牙もろとも犬夜叉は前のめりに倒れて壺は真っ二つになり、祖父はお約束の寝込み状態に。
 休みが多すぎて補習の小テストを受ける羽目になったかごめ。早く帰るべくテストに挑むがあまりのブランクで大苦戦。教室の外でかごめを待つクラスメート三人が彼氏の噂話をしていると、実家を抜け出した犬夜叉が匂いをたどって到着。必死に公式を思い出して問題を解こうと鉛筆を走らせていると、ガラス窓にべたりとくっついた犬夜叉の顔が目に入ってぷつりと切れるかごめの集中力。おすわりをくらわして、文句を言う犬夜叉を巨大顔で脅すかごめ。結局問題の解答はオール×で明日再テストに。脱力状態のかごめを背負って歩く犬夜叉。仲がいいし優しい彼だ、とのクラスメートの言葉に、かごめは少々複雑ながらも笑みを浮かべて犬夜叉に礼を言う。ベッドの上で退屈だと騒ぐ犬夜叉に、勉強机からかごめが向こうへ行っててとわめき…以下次号。

 連載の恒例となったインターミッションは、高橋先生お得意のラブコメ路線です。表情が暗くても、並んで座る弥勒の尻を触る珊瑚の行動は衝撃的(^^;)。尻尾がないか確かめてたわけで、『本物だ、嬉しい』…弥勒は信用されているのかいないのか。色々と似てきたよなあ、この許嫁同士。
 かごめ贔屓視点メインで書けるのがこの恒例の特権。竜鱗の鉄砕牙から受ける火傷は従来のものより強力のようです。心配なのは当然として、臭玉を借りてくるあたりかごめは知恵が回る。由緒ある呪いの壺に書かれた模様がカタツムリなもんだから、私のような世代は思わず【うる星】の『怖ろしくのろい…』を連想しちゃいました(^^;)。妖気と聞くとすかさず竜鱗が発動するのも凄いが、立ったまま気絶する犬夜叉も凄い。
 そりゃまあ、あれだけ戦国時代にいたら出席不足も当然でしょうが『わからない…もはやなにがわからないかすら、わからない…』には爆笑しました(^o^)。彼氏について、影で暴力ふるってるのかなと噂してたら当人が上手い具合に耳をバンダナで隠して登場。かごめのクラスメート達とは既に顔なじみですな。ぷつ、と集中力が切れる音も凄い(^^;)。『あんたのせいで思い出しかけてた公式全部忘れちゃったんだけどー』の「怨」巨大顔は前作【らんま1/2】の天道早雲さん風ですが、『恐怖で支配してるのはかごめの方なんじゃ…!?』も実に至言だ(^^;)。
 『彼氏優しいよねー』。第三者からすれば、わざわざ迎えに来ておぶってやる犬夜叉はシンプルにそうなのです。以前犬夜叉はかごめを自分の居場所だと独白したことがありますが、かごめの方の居場所は犬夜叉の「背中」なんですね。最後のコマでしっかりオチもつけるし、この作品の多面性は犬かごの仲の多面性とシンクロしてます。
週刊少年サンデー26号掲載・第410話「冥道残月破」
 戻ってきた目玉から白夜は一部始終を奈落に報告。魍魎丸を放っておいていいのかという問いに、簡単には死なないだろうが追い詰められればどうするかな、と不敵に独白する奈落。
 刀々斎に天生牙を預けて三日目の夜。殺生丸一行のところに戻ってきた刀々斎は抜いてみろと語る。刀の妖気にひかれたか、地中から巨大な鬼が出現。殺生丸は光を放つ天生牙を構えて、襲いかかる鬼の胸先を横薙ぎに一閃。鬼の体には傷がつかないように見えたが、その背後の空間に三日月の斬れ目が現れる。刀々斎は冥道が開いたのさと一言。突然その三日月型に鬼の胸元が裂け、空間の斬れ目がゆっくりと消えていく。
 鬼の体の一部があの世に持って行かれたのだ。腕が上がれば裂け目は円に近づき、いずれ敵の体を丸ごとあの世に送れるようになるという。天生牙はあの世とこの世をつなぐ刀で、あの世からの使いを斬ることで死者をこの世に呼び戻すこともできる。その最初の対象者であるりんが興味深そうな様子。冥道を斬って敵をあの世に送るのが武器としての天生牙。名付けて冥道残月破…最初の一振りで使いこなした殺生丸の才覚に改めて呆れる刀々斎。その一連の解説を聞いた殺生丸の脳裏に、魍魎丸の「神楽は無駄死にだ」との言葉と神楽の最期の顔が浮かぶ。殺生丸は無駄死にかどうかは自分が決めると独白して、刀々斎に謝意を示す。その頭上を一筋の風がそっと通りすぎる。見上げるりんと邪見に行くぞと告げる殺生丸…で以下次号。

 奈落は自分に取って代わろうとする魍魎丸の野心を承知のうえで泳がせています。心臓を覆う鎧が危うくなれば自分に縋るしかない、と読んでいるのでしょうか。桔梗の抹殺に失敗している以上、心臓を外に出したことも意味がなくなっているわけですが、この悪役は今ひとつ目的がわかりません。白夜という新たな分身も、単に犬夜叉の動向をスパイさせるだけとも思えないんですが…。
 新生天生牙の武器はあの世への道を開くこと。いわば弥勒の風穴と逆で敵を押し込む技でした。大妖怪の父の血から簡単にそれを使いこなしてしまう殺生丸の才覚。だからこそ使い手の心が冷酷なままではただの凶器になる。それを見越していたのが父の眼だったんですね。神楽の死を看取った殺生丸は、それに報いるべく決意を固める。侍の精神がこの貴公子に根付きました。冥道残月破は宿敵・奈落を葬り去ることができますか。
 『闘いの天生牙…確かに貰い受けた』。いかにも彼らしい礼の仕方です。邪見曰く「甦り第一号」のりん(ちなみに第二号は邪見自身なんだもんな^^;)と共に彼を変え、風になった神楽が静かに祝っているようでした。『風…』とつぶやいたりんの反応が、神楽が最期を迎えた回の、かごめのそれに被ります。
週刊少年サンデー25号掲載・第409話「分岐」
 桔梗は述懐する。奈落の魂を消し去るためには四魂の玉を完全なものにしなければならないが、その欠片によって命を繋いでいる者がいる以上迷いがあった。そこへその当人である琥珀が自ら命は捨てる覚悟だと言って出向いてきたのだ。並んで座る琥珀に、桔梗は語りかける。奈落の心臓を滅することができれば琥珀が死ぬことはないが、それを覆う鎧の魍魎丸を砕けない。雲母に乗って空から弟を探す珊瑚。見上げる琥珀は会えばつらくなるとして居所を知らせようとしない。
 弥勒は桔梗が琥珀の欠片を使うつもりなのかと危惧。犬夜叉はそんなことはさせないと呟き、竜鱗の鉄砕牙を使いこなせば奈落は斬れるはずだと独白する。桔梗は琥珀の瞳に恐れも迷いもないことを、生きることが辛いのかと哀れむ。本来の自分のすべきことはこの少年を癒し生かしてやること…それができないことが無念だ、とまた桔梗は琥珀に詫びる。
 殺生丸もまた、傷だらけの体で海岸の波打ち際に佇んでいた。その様子をしきりに心配するりんだが、傷の原因が犬夜叉の金剛槍破を取り込んだ魍魎丸の触手となれば二重の屈辱だ、と邪見は腫れ物にさわる扱い。二人がひそひそとやりあっているところに突然刀々斎がやって来る。何の用だと訊く殺生丸をじろじろと見た刀々斎は、闘鬼神が折れたかと言うと、続いて天生牙に呼ばれたから来たという。お前の心に足りなかったものが生まれたらしいなと問われ、神楽の最期の表情と魍魎丸が彼女を侮辱した言葉を思い出す殺生丸。刀々斎は天生牙が殺生丸の心の変化…自分以外の誰かのために怒り悲しむ心を受け止めたのだと判断していた。天生牙を武器として鍛え直す時が来たんだよ、という刀々斎の言葉に殺生丸は驚きの表情を浮かべ…以下次号。

 自ら命を捨てると言ってやってきた琥珀の心が澄みきっているゆえに、桔梗は迷いを捨てられない。この心優しき巫女は何度もすまないと少年に詫びる。自らもまたまがいものの体と自覚しながら、命とは何なのかを繰り返し問い掛けてくる二人の間柄です。
 犬夜叉もまた、琥珀を死なせることなく奈落を滅する方法はあると堅く信じる。鉄砕牙が人間を護るために作られた刀であるなら、それこそが本質なはず。『だから桔梗、早まるな』…かつて愛憎の嵐の中にいた桔梗と犬夜叉は、琥珀の命を巡って以前とはまた違った関係を醸し出しています。
 『ご本人がケガなどしていないと言い張っておられるのだ。空気を読まんかい。ヤセ我慢につきあってさしあげろと言っとるんだ。』…ひそひそ話のつもりでも、こりゃあ聞こえますよ邪見(^^;)。で先週に引き続いて今週は静かに感動です。偉大な父の魂は二本の刀に姿を変え、じっと息子達を見守っていたんですね。冷酷だった兄の心を、りんと神楽が変えた。自分以外の誰かのための怒りと哀しみ、それを兄が知った時に癒しの刀・天生牙が生まれ変わる。刀々斎ははたしてどんな能力を打ち込むのでしょうか。
 かごめ贔屓としては、今週は三コマだけですけど犬夜叉の『おれが…そんなことはさせねえ』の言葉に振り返った表情ですね。琥珀を案ずる気持ち、桔梗の行動への心配、そして犬夜叉が桔梗相手ゆえに見せる口調への羨望や不安…色々なものが混じり合った表情がさりげない一コマに見事に描写されています。
週刊少年サンデー24号掲載・第408話「逃走」
 犬夜叉は再度突進して魍魎丸の右肩に斬りかかる。余裕の魍魎丸だが、今度は鎧甲にヒビが入って鉄砕牙が食い込み始め、ヒビは金剛石の触手にも広がっていく。その触手に巻き込まれたままの殺生丸の命を危惧して泣きわめく邪見だったが、かごめ達が触手の中から放たれる光に気付くと、じりじりと触手が広がって殺生丸の全身が出てくる。天生牙の結界が働いていたのだ。
 犬夜叉はあと少しで鎧甲が割れる、と鉄砕牙を押し込む。中から浮き出てきた四魂の欠片を察知した桔梗は弓を引き絞って二の矢を射つ。魍魎丸は舌打ちして猛烈な瘴気をばらまくと、その渦とともに宙に舞い上がって逃走。竜鱗の鉄砕牙は犬夜叉の掌に火傷を負わせていたが、妖気の逆流は起こらない。使いこなせるようになったのかと問う七宝にそうじゃないと返し、桔梗の去った方向に目を向ける犬夜叉。刺さった桔梗の矢が魍魎丸の妖気を浄化していたからこその軽傷だと述懐する犬夜叉と、それを察して黙って見つめるかごめ。珊瑚もまた、琥珀が桔梗と一緒に去ったことを気にかける。
 深い傷を追った殺生丸だが、邪見と七宝のツッコミ合いを後目に去ろうとする。折れた闘鬼神の刀身を掴んで、置いていくのかと声をかける犬夜叉には、代わりを探すまでだと一言。この様子をじっと観察していたのは白夜の目玉で、七宝はその不気味な姿に気付く。
 桔梗に付き従う琥珀。魍魎丸を仕留めればお前の命は助かった、と詫びる桔梗を穏やかな表情で琥珀が見つめて…以下次号。

 やはり巫女の霊力と犬兄弟の妖力が一緒になると強かった。無敵の硬度を誇った鎧甲をあと一歩まで追い込んだのはさすがです。天生牙はあくまで主の身を守る。『熟した柿のようにぐっちゃぐちゃになってるかもしれん。いやきっとそうに違いない』って邪見の嘆き悲しみようは凄かった。去り際にそこを七宝にツッコまれてあたふたする姿も実に憎めない。殺生丸はいい家来を持ってます。
 桔梗の矢がなかったら自分はこんな傷じゃすまなかった、と痛感する犬夜叉はいつになく謙虚です。かつてのような強い情念こそ薄れているにしても、やはり犬桔の絆は太い。そして今回目を見張ったのは殺生丸の言葉です。『折れた剣になど未練はない。かわりを探すまで…』これは彼が鉄砕牙をもう完全に弟の刀だと認めている証です。去っていく兄の背中に『おまえの刀…天生牙は武器じゃねえ』と独白する犬夜叉の言葉からも、原作のポリシーを強く感じましたね。
 魍魎丸を倒せば琥珀は助かったというのは何を意味するのでしょうか。桔梗は四魂の玉の復元以外で奈落を消し去る方法を模索しているようです。やはり彼女もまた、目的のために人の命を犠牲にできるような女性ではないのです。
 かごめ贔屓としては、今週は殺生丸の視線に『きゃっ、にらんだ』と犬夜叉の後ろに隠れるコマですね。これはコミックス10巻より前の懐かしいリアクションで、最近めったに見られなくなっていただけに可愛かった(^^;)。やたらに桔梗のことを気に掛けて落ち込むよりは、この方が健康的です。
週刊少年サンデー22&23合併号掲載・第407話「殺生丸の危機」
 殺生丸を追ってきた邪見が見たのは、魍魎丸の右肩に闘鬼神を突き立てた主の姿。魍魎丸は剣を通して殺生丸の気の乱れを感じ取る。犬夜叉は剣を引けと怒鳴り続け、切っ先は四魂の欠片にもう少しで届くというかごめに、剣がもたないと返す。魍魎丸は神楽を哀れんでいるのかと挑発。くだらん、と一言の殺生丸だったが、なぜ剣を犠牲にする、との魍魎丸の言葉と同時に、闘鬼神はばきりと音を立てて折れてしまう。
 すぐに金剛槍を殺生丸の胸に突き刺し、金剛石の触手で彼の全身を包み込む魍魎丸。悲鳴をあげる邪見。犬夜叉は竜鱗を発動させ、妖気の逆流で大怪我をするぞという七宝の言葉を無視して金剛触手の根元に一撃。猛烈な妖気が吹き出して火花と共に鉄砕牙がはじかれ、犬夜叉は吹き飛ばされる。駆け寄るかごめに大丈夫だと叫んで立ち上がる犬夜叉を、妖気を吸ったのかと睨む魍魎丸。次はたたっ斬ると怒鳴る犬夜叉だが、こちらは痛くも痒くもない、お前は立っているのがやっとだと豪語。
 ここで破魔の矢が飛んできて魍魎丸の右肩に突き刺さる。これを放った桔梗が犬夜叉に斬れと叫んで…以下次号。

 殺生丸の怒りを気の乱れだと嘲笑し、闘鬼神をへし折った魍魎丸恐るべし。一時は鉄砕牙を噛み砕いた悟心鬼の牙から作られた魔性の刀もついに死に絶えたか…どんな敵と相対しても冷えたままの殺生丸の心が、ムキになって平静さを失うのは鉄砕牙を巡る犬夜叉との闘いの時だけだった。それをああまで怒らせたんですから、神楽の存在はやはり大きかったのでしょう。
 武器を失ってはさすがの殺生丸も大ピンチ。邪見の表情がただ事じゃない。俺が奪われた金剛槍破で殺生丸が押し潰されたんじゃ寝覚めが悪すぎる、という犬夜叉の独白に、まぎれもない彼の本質があります。竜鱗の鉄砕牙をはじき飛ばすほどの妖力を溜め込んでいる魍魎丸の金剛触手は絶大なのか。これでは相手が大きすぎると歯軋りの弥勒。無謀に突っ込む犬夜叉の眼前に飛んできたのは桔梗の矢でした。本家の巫女の霊力はさすがに強い。タイミングも絶妙です。さあここで鉄砕牙との初の連携プレー、その威力はいかほどでしょうか。
 かごめ贔屓としては、今週は桔梗との格の違いを見せつけられて少々凹みます。先週はかごめの矢が魍魎丸の鎧甲に燃やされましたからね。霊力で本家に及ばないのは仕方がないにせよ、この戦いが一段落したら犬夜叉の力になれなかったと落ち込まなきゃいいんですけど…次週は連休期間でお休みです(もっとも拙サイト更新も6月になりそうです、すいません。さっさと工事してくれよN○T!)。
週刊少年サンデー21号掲載・第406話「怒り」
 犬夜叉は魍魎丸に斬りかかるが、冥王獣の鎧甲は強靱で鉄砕牙を握る腕が痺れるばかり。殺生丸は構わずに攻撃を続行し、吹き飛ばされた犬夜叉に向かって目障りだと一言。魍魎丸の金剛触手が闘鬼神の検圧と押し合い、拮抗状態。ここで珊瑚は桔梗と琥珀の姿が消えていることに気付く。
 かごめは魍魎丸の鎧甲の奥深いところに四魂の欠片を見つけ、矢を放つ。これは刺さる前に燃やされたが、場所を知った犬夜叉は鎧をひっぱがして心臓を引きずり出してやると叫ぶ。これを魍魎丸はせせら笑って、誰もこの最強の鎧の中にある心臓に触れることはできないと豪語し、しかもこの心臓のことを皆に伝えた神楽を、仏心をおこした挙げ句に無駄に死んだ愚か者だとこきおろす。
 犬夜叉はこの言葉に激怒して突っ込むが、その前に強烈な衝撃波が上空から炸裂し、魍魎丸は鎧甲の一部と顔の左半分を砕かれて倒れる。殺生丸が闘鬼神を抜いて突進。その凄まじい怒りを感じ取るかごめ。鎧甲の奥の四魂の光を突き刺す殺生丸だが、にやりと笑う魍魎丸を見て、犬夜叉が剣を引っ込めろと叫び…以下次号。

 琥珀と桔梗はどこへ行ったんでしょうか。そう簡単にこの場から撤退するとは思えないので、魍魎丸の死角に回って何かをやるつもりでしょう。久々にかごめが戦闘中に存在感をアピールしてくれて嬉しい。犬夜叉の『やみくもに斬ったって話にならねえってことだ!』にすかさず『自分もさっきまでやってたのにのう』という七宝のツッコミがいつもながらに冴え渡る(^^;)。
 さて魍魎丸、喋る必要もないことをペラペラと喋って風と化した神楽のことを嘲笑。これはあの赤子が得意とする心理作戦で挑発なのでしょうが、これがどれだけ犬兄弟を怒らせるかを甘く見てましたね。殺生丸を怒らせると最強の鎧甲も形無しだ。が、闘鬼神が接触してきたらこれを取り込んでしまうことも可能なのか。どこまでも狡猾な敵に犬夜叉は、どう主人公の面目躍如をしてくれるでしょうか。
 かごめ贔屓としては、今週は鎧甲や金剛槍を繋いでいるのが四魂の欠片だと見抜くところと、『殺生丸も…怒ってる?』のコマですね。犬夜叉の攻撃目標を絞り込んでサポートするあたりは連載の初期からずっと続く名コンビぶりですし、高橋先生が語る“犬夜叉は何に怒りを覚えるのか”を読者と共にナビゲートしてくれるヒロインなのです。その意味では、やはり殺生丸には犬夜叉と同じ血が流れています。
週刊少年サンデー20号掲載・第405話「拮抗」
 殺生丸は魍魎丸の姿をなお醜くなったとこきおろすが、闘鬼神の剣圧は完全に防御される。到着した犬夜叉一行はこれを見て、冥王獣の鎧甲が完全に魍魎丸に取り込まれたことを確信。桔梗の側にいる琥珀に気づいてその名を叫ぶ珊瑚。犬夜叉とかごめも桔梗に気づき、桔梗は犬夜叉の姿を見て無事だったかと安堵する。
 魍魎丸は自分の新しい武器を受けてみよと金剛槍を発射するが、殺生丸は闘鬼神の剣圧で金剛槍の雨を砕きまくる。跳ね飛んだ槍の破片からかごめを守って飛び退く犬夜叉を、琥珀の背後から意味ありげに見つめる桔梗。執拗に金剛槍の結晶を出す魍魎丸に、犬夜叉は風の傷を飛ばして割って入る。邪魔だと一言の殺生丸に逆に引っ込んでろと怒鳴る犬夜叉だが、どかぬならまとめて斬るまでだと闘鬼神の剣圧が襲いかかる。魍魎丸は剣圧を防御しつつ、無数の金剛槍をそのまま伸ばして触手化。かわして横に飛んだ殺生丸に、握り潰されるか貫かれるか選べ、と豪語する魍魎丸。兄が片づくまで待っていろと言われた犬夜叉が金剛槍破をいじくりまわす魍魎丸に激昂して…以下次号。

 殺生丸は奈落や魍魎丸の性根自体を蔑んでますね。これも誇り高い血統の妖怪ゆえの美意識でしょうか。かつてその妖力を吸おうとして器の違いを思い知らされた魍魎丸も、今度は冥王獣の鎧甲で闘鬼神の剣圧をやり過ごす。しかし金剛槍の雨霰も殺生丸が振るう闘鬼神の前ではただの氷の刃程度のようで、文字通り拮抗です。
 桔梗は言葉にこそ出さないものの、犬夜叉の身のことになるとどうしても本心が出てしまう…その犬夜叉がかごめを庇う光景を目の当たりにすると、一抹の寂しさが表情にも表れるのか。もっとも血気っ速い犬夜叉はそれどころじゃなくて鉄砕牙を抜いて乱入。魍魎丸は冥王獣の体に刺さった金剛槍を取り込み、体内で無尽蔵に再生産しているようですが、ここで思い出すのが犬兄弟の父の墓を守っていた先代宝仙鬼の言葉です。邪な心で手に入れようとすればその者の命を奪うという金剛槍破が、エゴの化身のような魍魎丸に好きなように使われるのは納得がいきません。能力を掠め獲られた犬夜叉にも落ち度はあったでしょうが、この有様では骨と化しても四魂の欠片を守ろうとしていた宝仙鬼が泣くというもの。犬夜叉よ、ここは意地でも金剛槍を取り戻せ。
 かごめ贔屓としては、今週は砕けた金剛槍の破片から犬夜叉に庇われる場面でしょうか。たとえ物理的な加勢はできなくても、宝仙鬼のことを犬夜叉に思い出させることくらいはできるはず。主人公の潜在能力を引き出すヒロインの一言を、是非お願いします。
週刊少年サンデー19号掲載・第404話「魍魎丸の変化」
 犬夜叉は瘴気の臭いを嗅ぎとって一行を連れて走る。汚れた四魂の欠片の気配から魍魎丸の存在を言うかごめは、もう一つの欠片の気配も感じる。琥珀も近くにいることを知って戸惑う珊瑚。山腹を登る琥珀の眼前に多量の瘴気が現れ、岩肌を砕いて魍魎丸が出現。その体は右肩部分が冥王獣の甲羅に覆われ、一段と強化されていた。琥珀の四魂の欠片を狙って触手で攻撃する魍魎丸だが、ここに桔梗の矢が飛んでくる。
 奈落の心臓である赤子の鎧となった魍魎丸。赤子が外に出る機会は失われたと豪語する魍魎丸は右肩から金剛槍を飛ばす。桔梗の矢とすれ違って飛んでくる金剛槍から、あわてて琥珀が桔梗を防御。愛しい男の槍に貫かれて死ね、と魍魎丸が二発目を撃とうとした時、頭上から強力な衝撃波が襲う。殺生丸の闘鬼神だ。鋭い眼光で魍魎丸を見下ろす殺生丸の姿を見つけた犬夜叉が桔梗の匂いに気付いて…以下次号。

 体つきがどんどん重装備になっていく魍魎丸。わかりやすいといえばわかりやすい悪役ですけど、こいつが喋っている言葉はあの赤子が発していることは桔梗に対する物言いからも明らかですね。犬夜叉の武器を分捕って、それで桔梗を攻撃するあたりは実にえぐい。ただ犬夜叉が金剛槍破を撃つところを桔梗は見ていないと思うんですが、どこで知ったんだろう。『犬夜叉はどうした!』と怒鳴ってしまうところに、やはり隠せない桔梗の心が滲み出ています。
 琥珀の方も奈落を滅することができる唯一の存在である桔梗を守ろうと必死です。立派な戦士になりました。おそらく自分から桔梗に会いにいって、それを志願したんでしょうね。四魂の玉の完成を阻止して、味方は誰も死なせないとする犬夜叉一行との間で軋轢になるかもしれませんが…。
 殺生丸は白夜の邪魔くらいじゃ魍魎丸の行方を見失っていなかった。大した嗅覚です。連載が続くほどに強くなっていく彼の威厳と反比例してその口数は少なくなっていきますが、眼光と表情の凄味が効く効く。さて桔梗の匂いに気付いた犬夜叉、金剛槍が彼女に向けられたと知ったら逆上すること必至でしょう。役者が揃ったけど展開が読めません。
 かごめ贔屓としては、こういう状況だからこそコミックス第12巻のような大活躍を望んでしまうんですよね…なぜなら彼女が怒るのは、何も犬夜叉の桔梗への態度に感じる嫉妬だけじゃない、からです。
週刊少年サンデー18号掲載・第403話「奪われた金剛槍破」
 多量の金剛槍はあっさりと冥王獣の全身に突き刺さる。息を呑むかごめ達。生気を失ってだらりと垂れ下がる冥王獣の首。弥勒は犬夜叉を押しのけて風穴を開く。法師は魍魎丸の狙いに気付いたか、と一言の白夜。冥王獣の体から発された声は違っていて、多量の瘴気を放ってくる。犬夜叉は風穴を閉じろと叫んで風の傷で瘴気を払うが、この隙に冥王獣の体は飛び去ってしまう。
 弥勒は魍魎丸の目的が金剛槍破の槍にもあったと悔しげに語る。さすがの魍魎丸も自ら直接金剛槍破の妖力を吸うほどの力はないので、それに耐えうる鎧甲を持つ冥王獣を利用して金剛槍破を受けさせ、その体を丸ごと喰うことで最強の武器と鎧を同時に手に入れるというわけだ。
 飛行する冥王獣の体を追跡する殺生丸。行き先に魍魎丸がいるなら斬る、という意志を感じ取る白夜に、最猛勝が現れて冥王獣を逃がせと指示する。恨みを買うのは気が進まないと言いつつも、白夜は瘴気まみれの千羽鶴を飛ばして殺生丸の進路を妨害。苛立った殺生丸は白夜の体を爪の一撃で両断するが、これは幻術によるダミー。本体はずっと上空で結界に包まれ、仕事なんでねと言い残して逃走。
 冥王獣の体がたどり着いた山腹の崖の下に、数多の妖怪の細切れ肉体とともに魍魎丸の首があった。目を開けた魍魎丸はゆっくりと触手を伸ばして、突き刺さった金剛槍と一緒に冥王獣の体を絡み取る。魍魎丸の首元に浮かんだのは不妖壁を持ったあの赤子で、これでお前は自分の最強の鎧だとつぶやく。小川を渡ろうとした野生の鹿が水に触れた途端に白骨化。これを見た琥珀が上流で大量の瘴気が流出していると口走ると、魍魎丸がいると言いながらその傍らに桔梗が姿を現して…以下次号。

 なるほど、鎧だけじゃなくて武器もいただこうという作戦だったのか。奈落の心臓といわれる赤子は策士だ。獲られる前に吸い込んでやると風穴を開いた弥勒は冴えてましたが、魍魎丸には瘴気という切り札がある。この拮抗状態はなかなか崩せません。狙いは槍を奪うことだと聞かされた犬夜叉、さすがにしまったという表情でした。直接攻撃でなくとも、じわじわと外堀を埋めてくるような敵は実に手強いものです。
 『あいつの恨み買うの…なんかやだなあ。ま、しょうがねえか』『怒るなよ。仕事なんでな』なんて台詞が妙にサラリーマン風で飄々としてますが、一癖も二癖もありそうな白夜。奈落はこの分身を生み出すにあたって性格形成にかなり気を配ったみたいですね。おかげでせっかくの道標を逃がした殺生丸は相当怒ってそうです。
 それにしても桔梗が既に琥珀と会って一緒に行動していたとは驚きでした。翠子の意思は二人を引き合わせ、奈落を滅すべく運命を動かす。自らの命よりも奈落を倒す一念で行動するこの二人は、魍魎丸の元にたどり着けるでしょうか。次週はここに至る経緯が明かされそうですが、ここでサイト更新を中断せざるをえないのが残念です(詳しくは別記事で)。
 かごめ贔屓としては、今週は『冥王獣の声じゃないわ!』のコマくらいかなあ。とりあえず犬夜叉への直接攻撃の罠でなかったことはヒロインにとっても幸いでした。まだ戦いは長期化しそうです。琥珀の命を救い、奈落を倒すために四魂の玉の再生を阻止する、という一行の意志を貫くためにも、かごめには重要な役割を担ってほしいところです。
週刊少年サンデー17号掲載・第402話「魍魎丸の狙い」
 犬夜叉は冥王獣の挑発を受けて金剛槍破を打つ。首を引っ込めて猛スピードで回転し、これをはじき飛ばす冥王獣。感心する白夜。打ってきた雷冥砲は邪気が強くなっており、かわした直後に回転して体当たりしてくる冥王獣に犬夜叉は苦戦。殺生丸は魍魎丸の目的が冥王獣の鎧甲を取り込むこと以外にもある、と睨む。
 犬夜叉は竜鱗を発動させ、止める弥勒と珊瑚の声を無視して雷冥砲を斬り裂くものの、はみ出した妖気が手と頬を傷付ける。また妙な力をつけたかとつぶやく殺生丸に、使いこなせていないがねと返す白夜。ここで空中から突進する冥王獣の首が突然出てくる。急所を自らさらすのは冥王獣の意志とは思えないのに、金剛槍破を打てとの声が響く。ここで白夜に加えて殺生丸と弥勒も魍魎丸の狙いを読みとる。弥勒は、罠だ、撃つなと叫ぶが、吹っとばせば同じだと犬夜叉は金剛槍破を放ち…以下次号。

 私はゴジラよりはガメラが好きな少年でしたから(^^;)、今週の冥王獣の戦いぶりには妙に懐かしいものを感じました。しかしなぜあれで目が回らないんだろうというのは素朴な疑問ですけど…。まるで解説に回ったかのような殺生丸と白夜ですが、腹の探り合いは続いてます。
 犬夜叉は大概敵の罠にはまってしまうのです。問題は魍魎丸の狙いで、冥王獣は最初から捨て石なんでしょうが、鎧甲だけが目的でないとしたら、残るのは…? 殺生丸と弥勒は同時にその狙いを悟る。犬夜叉に何らかの重大なダメージを与えることだとしたら、これは心配。殺生丸の乱入はあるでしょうか。
 かごめ贔屓としては、今週もコメントしようがなくて悲しい…実は4月の転勤が決まって引越準備で本棚の整理をしてて、たまたまコミックス第5巻を開いてみたら、ヒロインが活き活きしていてストーリーを引っ張ること引っ張ること。あの頃に戻ってとまでは言えませんが、なんとか「見てるだけ」状態から脱出する術はないものか。
週刊少年サンデー16号掲載・第401話「鎧甲」
 接近する冥王獣の臭いを察知する犬夜叉。弥勒は塩と水で城中の鎧に結界を施し、冥王獣が甲羅を取り戻すのを阻止しようとする。黒雲の中からいきなり雷冥砲を打ってくる冥王獣に犬夜叉は風の傷を放つが、張られた結界が双方の攻撃を相殺する。鎧甲が見えないと苛立つ冥王獣。城中に潜り込んでいた白夜は人形を使って鎧を警護する兵士を操り、弥勒が張った結界の元を壊させる。これで鎧を見つけた冥王獣は屋敷に飛び込み、まんまと鎧を取り戻して噛み砕く。
 様子をうかがう白夜の背後に突然姿を現した殺生丸が爪の一撃。咄嗟にかわして物見櫓の屋根に飛び上がった白夜に対峙した殺生丸は、奈落の臭いがするだけで殺すには十分だと一言。冥王獣の妖気が強化し、背中の甲羅が一斉に尖る。本来の鎧甲が戻ったのだ。魍魎丸の臭いを追ってきたが、骨だった冥王獣が蘇っている…魍魎丸の目的は何だと質す殺生丸に、こっちもそれが知りたいので見てるのさと返す白夜。
 冥王獣は金剛槍破などもう通用しないと犬夜叉を挑発。睨み返す犬夜叉…以下次号。

 弥勒の結界はなかなか強力ですが、内側から敵に壊されるんじゃどうにもならない。手がないので鎧を噛み砕いてその妖力を甲羅として再生するとは、冥王獣というのは原始的なのか斬新なのかよくわかりません。音もなく背後に立つと毒爪一閃の殺生丸は凄み満点ですが、『危ねえなあ。いきなり殺そうとするか? 普通』なんてセリフは相当食えない奴でなきゃ出てこない。白夜はまだまだ実力を隠してますね。
 わざわざ金剛槍破を打ってみろと挑発する冥王獣。何かあるから迂闊に打つな、と言いたいところですが、こういう場面で犬夜叉が思慮深く行動した試しはないしなあ…魍魎丸の狙いは、金剛槍でも貫けない鎧の創出かもしれません。それを犬夜叉より先に察知するのは殺生丸じゃないでしょうか。彼が本気で闘鬼神を振れば、邪見が言うように冥王獣の完全な鎧甲でも斬ってしまうかもしれないし。
 かごめ贔屓としては、今週はどうにもコメントする箇所がなくて…ふと思うのは、どんな形でもいいから「防御の能力」を手に入れられないものかと。冥王獣さん、骨に戻る前にその甲羅を一枚、ヒロインに分けてください。
週刊少年サンデー15号掲載・第400話「冥王獣」
 殺生丸について歩くりんは、川の水中に大亀のような骨を見つける。冥王獣だと一言の殺生丸。邪見が言うには、数多の妖怪の中で冥王獣の甲羅は最も硬いらしい。その甲羅に一枚欠けた部分があることに気づくりん。殺生丸は札の跡を見抜き、人間の坊主に奪われたのだろうと推測する。彼らが立ち去った後、水中を進んできたのは魍魎丸の肉片…これが頭蓋骨の口に入ると冥王獣の体が再生していく。
 犬夜叉一行はとある城下町に到着。鎧を食べる妖怪が出没して周辺の城が襲われ、城内は厳戒態勢。弥勒は米商人の口から城内にある鎧が妖怪に狙われているという噂を聞きつけ、城の門番に直談判するが、一般人は立入禁止だと押し問答になる。禍々しい妖気が充満していると弥勒が警告していると、空中から黒雲と共に冥王獣が出現し、長い舌で侍達を巻き取る。珊瑚が投げた飛来骨も跳ね返すその舌。魍魎丸の臭いを嗅ぎとった犬夜叉は、手先か肉片を喰ったクチかと問い質すが、放った風の傷をそよ風だと豪語する冥王獣は、雷の球・雷冥砲で攻撃してくる。犬夜叉は金剛槍破で反撃。これは効いたようで冥王獣は鎧甲さえ完璧ならば、と悔しがりつつ逃走する。この様子を観察していた白夜は、左目を飛ばして冥王獣の後を追う。
 城中に通され、いわくつきの鎧を見せられる犬夜叉一行。妖怪の甲羅を使って作られたという鎧は妖気まみれ。魍魎丸は数多の妖怪の妖力をかき集めているらしいと睨む弥勒に、奴にとりこまれる妖怪はその前に片っ端から斬るまでだと返す犬夜叉。
 川で痛みをこらえる冥王獣の腕にむくりと突き出る不気味な口。その口が、傷をすぐ治癒するからもう一度金剛槍破を受けてこい、と冥王獣に命じて…以下次号。

 巻頭だと思っていたら中くらいだった連載第400回目は、久々登場の殺生丸ご一行のカラー描写でした。冥王獣の甲羅を斬れるのは殺生丸様くらいなもの(とさりげなくゴマをする邪見、がなんとなく中間管理職めいていて笑えます^^;)だそうですが、りんはりんでストレートに言うので『やかましい。ゴマすっとんのかおまいは』なんだから尚更ですな。復活した冥王獣の容貌は鬼の形相で、欠けた甲羅を取り戻すために動き出す。魍魎丸は強そうな妖怪を次々と操るつもりのようです。
 弥勒が真剣に妖気の存在を説いても、かごめも珊瑚も七宝も宿と食事と褒美のための方便としか受け取っていないのが哀れ(^^;)。舌まで猛烈な硬度を持ってんだから物騒な冥王獣ですが、金剛槍破が甲羅の隙間を突いてダメージを受ける。白夜の左目の眼球に羽が生えて飛んでいくのはやっぱり気持ち悪い光景です。冥王獣の腕に人面痣(というより人口痣というべきか)で登場した魍魎丸の狙いは、金剛槍の威力の吸収か、それとも慣れるための試行か。自らは前面に出ずに裏で糸を引くところは、元々の本体である奈落と共通してますね。
 かごめ贔屓としては、今週は竜鱗の鉄砕牙で戦えば勝てたのに、とつぶやく七宝を遠回しに窘めるところですね。竜鱗の能力は絶大な器ゆえにそうそう犬夜叉に無理をさせたくない、という気持ちが滲み出ているシーンでした。がしかし、次週はまた彼女を心配させてしまいそうです。
週刊少年サンデー14号掲載・第399話「最強の刀」
 倒れた犬夜叉を介抱するかごめをよそに、鉄砕牙の威力を興味深げに述懐する白夜。その不穏な言葉に珊瑚達は戦闘態勢をとるが、自分の仕事は見ることだけだと言い残し、白夜は巨大な折鶴に乗って飛び去る。鉄砕牙暴発の理由を知るため、一行は刀々斎を呼び寄せる。妖力を吸えるようになったことを見抜いた刀々斎は、かごめから暴発のことを聞くと、問題があるのは犬夜叉の方だと語る。半妖である犬夜叉は、大妖怪の父の牙から作られた鉄砕牙が持つ器を扱いきれないというのだ。犬夜叉の大火傷した手を見て驚く一行。鉄砕牙の発熱は、犬夜叉に危険を伝えて手放せという警告だったのだ。
 白夜から一部始終の報告を受けた奈落は、諸刃の剣と化した鉄砕牙に興味を示す。斬らせたいのは魍魎丸かと訊く白夜に、犬夜叉の自滅と魍魎丸の斬殺の早さ比べだと語る奈落。
 犬夜叉は竜鱗の鉄砕牙を使いこなす方法を刀々斎に問い質すが、その返答は「慣れるしかない」。しかし毒蚊の体を斬ったのは正解で、そうしなかったら刃が溜めた妖毒の逆流で犬夜叉の方が消し飛んでいたという。本能でそうした以上、使いこなすだけの勘と力量はあると語る刀々斎は、犬夜叉の火傷を長い舌でひと舐めして治癒すると一行を見送る。竜鱗を使いこなすことができれば、鉄砕牙は最強の刀になる…犬夜叉ならやるかもしれない、と刀々斎が独白しつつ…以下次号。

 魍魎丸の肉片を喰った妖怪を再生させずに粉々にする鉄砕牙。白夜はその能力と使い手へのリスクを確認するなり『敵がもう一匹いたらどうする?』と鋭い視線を向ける。やはり油断ならないキレる奴です。神楽は羽でしたが、白夜は折鶴で飛行するのか…さて予想よりちょっと遅れましたが、この作品のキーマンの一人・刀々斎登場です。彼の言葉を聞く度に、犬夜叉の父親の巨大さを実感させられますね。竜骨精を斬った時に果たしたと思われた父親越えは、まだまだだったわけだ。手の火傷を見て『こんなになっても刀を放さなかったのか…』という刀々斎。これぞまぎれもなく、主人公と顔を覚えてもいない父親との絆でもあるのでしょう。
 白夜は特段隠し事もせずに奈落に報告。しかしこれまでの分身達とちょっと違って、妙に対等のタメ口をきいているように感じます。自分の心臓でありながら野心を抱く赤子の鎧となった魍魎丸は、竜鱗の鉄砕牙で斬られるのもよしと考える奈落…こいつも相当の狸だ。今後の戦いは三つ巴になりそうな雰囲気です。
 七宝と弥勒の『犬夜叉はヤケクソになってつっこんだんだと思っとった』『いや〜ヤケクソだったんでしょう』の会話がいい。単細胞の誹りはあっても、犬夜叉は直情径行だからこそ死線を乗り越えるバイタリティーを持つのです。しかし舐めて傷を治すとは刀々斎、あんたは熊ですか(^^;)。
 かごめ贔屓としては、今週は白夜の視線に犬夜叉を庇う表情、片膝ついて弓を引く姿、白夜が去ったのを見てほっとする表情、火傷と刀々斎の言葉から『鉄砕牙は…犬夜叉を傷つけたくなかった…』の独白、犬夜叉に替わって刀々斎に礼をいうところ、と見所満載でした。考察のページでも書いたことがありますが、かごめと鉄砕牙はある意味“同志”なんです。さあ次週は連載400回記念の増ページ、楽しみです。
週刊少年サンデー13号掲載・第398話「鉄砕牙の暴発」
 犬夜叉はかごめと珊瑚に隠れろと怒鳴り、毒蚊と対峙する。左目の傷に恨みを込め、毒蚊は再び犬夜叉に向けて妖毒を噴射。竜鱗を発動させてこれを吸収する犬夜叉だが、毒蚊は我が妖毒は無限だと豪語して噴射を続行。この能力を知っておかなければならない、と覚悟を決める犬夜叉だが、鉄砕牙はどんどん熱を帯び、犬夜叉の手が焼け始める。これを見て昼間に止めたのはこのせいか、と察する白夜。
 お堂の中で意識を取り戻した弥勒に脱出を促す珊瑚。かごめが七宝の声で外を見ると、鉄砕牙は黒ずみ、毒が漏れ始める。失望の声をかける白夜を一瞥すると、犬夜叉は堂から出てきた弥勒達に毒を向けないために強引に跳躍、真っ向から斬りかかる。刀身に絡みついた妖毒ごと振り下ろされた鉄砕牙が毒蚊の眉間を叩き割り、その全身は真っ二つになって霧と化し消滅。一撃か、と感心する白夜。
 しかし鉄砕牙は柄の部分から火花を発して残った毒が暴発。これをまともに受けた犬夜叉は卒倒して仰向けに倒れる。あわてて駆け寄るかごめ。意味ありげに凝視する白夜…で以下次号。

 今週のトビラ頁では鉄砕牙に“相棒”とルビがふられていました。編集のセンスもなかなかいいですね。魍魎丸の肉片は四魂の欠片以上に妖怪の能力を増大させるようで、毒蚊の吐き出す毒には際限がないらしい。それでもあえて鉄砕牙の能力を知るために、犬夜叉は白夜の見る前で耐久戦に入ります。
 その程度なのかお前の刀は、とすかさず挑発する白夜は抜け目がない。敵の妖力を吸収すると発熱することもバレてしまい、吸うだけなど性分に合わねえとへらず口を叩きながらも、犬夜叉は毒をかごめ達に向けないために毒蚊に斬りかかる。直に敵の体に当たればさすがの威力で一刀両断も、限界を露呈した形で使い手がダウン。果たして白夜は素直にこのまま奈落に伝えるのかどうか。神楽ほどの反逆心はないでしょうが、彼には単に忠実な家来とも思えない側面が感じられます。
 かごめ贔屓としては、今週は倒れた犬夜叉に駆け寄るところですね。思えばこの作品の連載で幾度となく繰り返された場面なんですけど、鉄砕牙がバージョンアップし犬夜叉が強くなるほどに、だんだん二人の距離感が大きくなってくるように感じるのがいささか悲しい。さていよいよ今週でコミックス40巻分も完了。この調子では完結は第42巻、あと半年は連載が続きそうです。
週刊少年サンデー12号掲載・第397話「無幻の白夜」
 毒蚊は犬夜叉に向けて妖毒を噴射。金剛槍破で反撃しようとする犬夜叉だが、遠巻きに観察していた美形の侍がそれではだめだと不思議な葉を取り出すと表面の水滴ごと吹き飛ばす。これが霧になって毒蚊の体が分身…幻術だと七宝が叫び、金剛槍破が霧を切り裂くと妖毒が一気に広がり、弥勒が咄嗟に風穴を開いてこれを吸い込む。毒蚊は金剛槍破で左目に傷を負い、復讐を誓いつつ沼の底に逃走。
 夜になり、妖毒のために発熱して倒れた弥勒をお堂で看病する珊瑚とかごめ。竜鱗の発動を中断したことを疑問視する珊瑚の言葉に、かごめは犬夜叉が何かを隠していると直感する。犬夜叉は自分の躊躇で弥勒が倒れたことを悔やむが、そこへ突然あの侍が登場。無幻の白夜と名乗った侍を犬夜叉は鉄砕牙で両断するが、その姿は霧の幻術。本体は木の上にいたが、飛び降りたその全身から奈落の臭いがする。飛び出してくるかごめ達。犬夜叉が白夜に奈落の分身だなと怒鳴ると、白夜は否定せずに毒蚊が仕返しに来ると告げる。この場を教えておいた、毒蚊は鱗の刀でなければ倒せない、魍魎丸の肉片を喰った以上斬っても元に戻るというのだ。
 森を踏みつぶしつつ近づいてくる毒蚊。竜鱗を使うしかないと歯軋りする犬夜叉をかごめが見つめて…以下次号。

 毒が広がったとみてすかさず風穴を開くのは弥勒の阿吽の呼吸。でも魍魎丸の肉片を喰った毒蚊の妖毒は強力で、最猛勝を吸い込んだ状態に陥る。このことに自責の念を感じる犬夜叉が、やはり原作らしさの象徴です。『俺が竜鱗の鉄砕牙を使っていれば…』と悔やむ表情が印象的です。
 白夜はやはり奈落の新たな分身のようです。狙いは明らかに鉄砕牙の新能力の見極めでしょう。どこで竜鱗のことを嗅ぎつけたのかわかりませんが、体中から奈落の臭いがすると言われて『そうか。これから気をつけないとな』と飄々と言ってのけるあたりは、かつての神無、神楽、悟心鬼、獣郎丸&影郎丸、無双のどれとも違うタイプです。毒蚊は単なる道具にされているのでしょうが、魍魎丸の肉片を喰わされているあたりをみると、現状では魍魎丸もあからさまに奈落に反逆しているとは思えませんね。
 発熱しても竜鱗で毒蚊の妖力を吸い尽くす以外ないとすれば、それは奈落一派に弱点を知られることに繋がり、ハンデを背負うことになります。苦肉の選択でしょう。
 かごめ贔屓としては、今週は犬夜叉の隠し事を直感するところですね。問い質すような無粋な真似はせずとも、毒蚊戦で鉄砕牙の限界をヒロインが知ることは、必ず今後の伏線になるはずです。
週刊少年サンデー11号掲載・第396話「毒蚊」
 巨大な蛇の体に角のある顔面がついた妖怪を武士団が攻撃する。妖怪の放った光で一団は白骨化して全滅。村で噂を聞いた犬夜叉一行は現場に出向き武士団の遺体を発見するが、珊瑚は元々木を枯らしたり土を汚す程度の妖毒しか持たない妖怪の毒蚊が人間を骨にするほどの力を持っているのは不可解だと語る。犬夜叉はかすかに魍魎丸の臭いが残っていることに気づく。
 行動を開始する犬夜叉達を監視するのは羽を持つ目玉。これが戻っていった先には美形の隻眼の侍が一人。目玉がその左目の穴に潜り込むと、侍は犬夜叉の名を口にする。毒蚊の住む沼に到着すると犬夜叉はいきなり風の傷をくらわす。渦巻いた水面から出てきたのは巨大な妖毒の塊で、周囲の森を枯らしていく。姿を現わした毒蚊は言葉を放ち、魍魎丸との繋がりを問い質す犬夜叉にそんな名は知らんと嘯く。しかし沼の底にいた毒蚊が沈んできた肉片を喰ってから妖力が漲ってきたと聞き、犬夜叉達は魍魎丸の体の一部だと確信する。自分は誰ともつるみはしない、と構わず妖毒を吐く毒蚊。
 妖毒は風の傷を押しのけて向かってくる。ならばと竜鱗を発動させてその妖力を吸収する犬夜叉だが、鉄砕牙がまた強烈な熱を発したためにこれを中断。この光景を、あの刀の強弱はわからんと呟きながら観察する侍…で以下次号。

 実は今週の展開は、刀々斎のところに発熱する鉄砕牙について理由を訊きに行くんじゃないかと考えていましたが、それより先に新手の妖怪に遭遇でした。いつものこととはいえ、相変わらずこの作品の武士団は弱いなあ…一人くらい凄腕がいてもよさそうなものなのに。
 毒蚊と書いて「どくみずち」と読むようです(虫に交と書くらしいんですが、探すのが面倒なので“蚊”で代用しました)。奈落に反旗を翻してから、魍魎丸はなかなか姿を現しません。体の一部だけで話を引っ張れるのはたいしたものですけど、自分の目玉を飛ばして遠隔操作できるような野郎が人間であるわけもなく、魍魎丸の化身なのかそれとも奈落の分身なのか。しばらく顔を合わせていないこともあって、敵情視察なのは間違いないでしょう。
 『いいぞ犬夜叉。そのまま妖力を吸い尽くしてしまえ』と仕切る七宝がユーモラス。しかし今の鉄砕牙はおそらく妖力が飽和状態で、無尽蔵に敵の妖力を奪い続ければ自壊しかねない…奈落や魍魎丸を斬るには、諸刃の剣と化すかもしれません。
 かごめ贔屓としては、今週は七宝の抱き方ですね。偉そうに仕切ってますけど七宝とかごめの姿を客観的に見れば、やんちゃな4歳児をあやす保母さんです(^^;)。
週刊少年サンデー10号掲載・第395話「竜鱗の鉄砕牙」
 あなたは妖怪ではないのかと訊くかごめに、涙を流す尼僧。しかし一瞬で容貌は猫目と牙に戻ってしまう。七宝はかごめの手足を掴む猫の化身尼達に狐火をぶつけて救出しようとするが、尖った尼僧の爪がかごめの右腕を傷付ける。復元する化け猫と戦闘中の犬夜叉の鼻にかごめの血の匂いが届く。寺の屋根に飛び上がると結界破りの赤い鉄砕牙で強引に結界ごと天井を突き破って乱入する犬夜叉。
 その後を追ってきた巨大な化け猫だが、結界が破れたところで飛び込んできた弥勒が風穴を開いて骨ごと吸い込む。操っていたのはあなたかと尼僧を詰問する弥勒。さっきは人間の匂いだけだった尼僧から化け猫の臭いがすると感じる犬夜叉。化け猫が床下に封じられた百年後にやってきたこの尼僧は、言い伝えを聞いて猫を供養しようと唱えた経によって化け猫の魂を呼び起こしてしまい、封印を破られ寺と体を乗っ取られたというのが真相だった。
 救おうとした尼にその仕打ちかと怒る珊瑚だが、救いなど求めていないと嘯く化け猫。尼僧はまだ生きていると犬夜叉に伝えるかごめ。隠れ蓑として生かしている尼ごと斬れるのかと問う化け猫だが、犬夜叉は飛びかかって鉄砕牙を一閃。斬られた袈裟の下から現れたのは猫の手。臭いは懐から洩れていたと語る犬夜叉。猫の手は尼僧の体に潜り込んでいくが、犬夜叉は鉄砕牙の先端をその胸に当て、竜鱗を発動させて化け猫の妖力を奪い取る。これには化け猫の手もついに消滅し、気を失った尼僧は倒れるも命が助かる。夜が明けて寺を後にした犬夜叉は、熱を持つ鉄砕牙に違和感を覚え…以下次号。

 うーん…拙サイト開設以来、私は原作の展開に批判的なことは書いてこなかった自負がありますが、今回はちょっとばかし残念だと感じざるをえませんでした。化け猫の怨念に取り憑かれて苦しむ尼僧、力でねじ伏せようとしても恨みは増すばかり…とくれば、犬夜叉でも弥勒でも珊瑚でもなく、ヒロインのかごめに大事な役割を果たしてもらいたかったんです。竜人と奪鬼の妖力を加えた鉄砕牙のおそらく最終進化形としてのお披露目、という重要な意味はわかります。でもねえ…それはそれでもうちょっと「発動の条件」というものがあっても、と。
 さて化け猫の本体は尼僧の胸にぶらさがる手、前足でした。供養してあげようとしたら仇で返された尼僧は哀れです。妖力そのものを奪い取る竜鱗の鉄砕牙の前には百年の貫禄も形無しで浄化。しかし刀身に残る熱は今までになかったことだと犬夜叉を戸惑わせる。最終回に向けて主人公の分身でもある鉄砕牙はどうなっていくのでしょうか。七宝が狐火で頑張ったのはよかったですね。
 かごめ贔屓としては、今週は…まあグチはもうやめにしまして建設的に、七宝の狐火で猫の化身達から助けられるコマの格好ですね。今更ですが戦国時代に太股から下が露出してるセーラー服で動き回っているというのは、それだけで読者サービスになってるんです(^^;)。教訓として、破魔の弓矢は肌身離さず持っていましょう。
週刊少年サンデー9号掲載・第394話「化け猫」
 動き出した骨は床下から寺の外に飛び出し、皮膚が表れて巨大な猫に。外に出ようとした珊瑚は猫の化身である尼達に手足を掴まれて動けなくなる。犬夜叉は風の傷で化け猫を粉砕し、弥勒は護符で猫達を滅して珊瑚を救出するが、巨大な骨は復元して化け猫に戻る。この骨からは化け猫の臭いがしない、と訝しむ犬夜叉。
 一方、寺の中ではかごめの前にいる尼の顔が豹変し、かごめと七宝は息を呑む。二度目の風の傷で崩れた骨に弥勒が護符を投げつけると、その巨大な頭蓋骨は無数の人間の頭蓋骨の寄せ集めであることがわかる。化け猫に喰われた連中の骨だという犬夜叉に、操っている者が寺のどこかにいると応える弥勒。
 畳から出てきてかごめと雲母を掴まえる猫の化身尼達。雲母は抵抗するが、自ら齢三百年と名乗った尼のひと睨みで縮み上がり、普段の猫に戻ってしまう。体が動かないかごめの首に手をかける尼。弥勒と珊瑚は寺の中に入ろうとするが、既に結界が張られていて戸が開かない。犬夜叉が助けに来ると強がるかごめだが、口から牙をむいてにやりと笑う尼は一人も生きてこの呪われた寺からは出られないと凄む。力で蹴散らしても恨みは増すばかりだというのだ。しかしかすかに助けを求める尼の声がかごめの耳に届き…以下次号。

 人間の匂いがするはずの尼僧には化け猫の怨念が取り憑いているのでしょうか。寺そのものには化け猫の臭いがあふれているのに、動く骨にも尼僧にもその臭いがしないというのが引っかかる。親玉は人間の姿をしていてダミーを操るところまでは「鬼の首城」と同じですが、この化け猫には本体が存在しないのかもしれません。
 珊瑚を救出して抱き寄せたところですかさず尻をなでる弥勒は余裕があるのかクセなのか…少なくともそう簡単には死なないタイプでしょう(^^;)。雲母も猫叉妖怪なんだけど、年齢で格が違うらしい。獣の世界はシビアですなあ。七宝もブルってばかりいずに、獣が嫌う狐火でも出したらどうじゃ。この親玉の能力が恨みから来るものであるなら、力技では倒せない。となると浄化する手段は?
 かごめ贔屓としては、今週は最後のコマで『助けて…ください』という尼僧の声を聞くところですね。破魔の矢を側に置いていなかったのは不覚でしたが、力技でないやり方が有効な相手ならば、久々にヒロインの出番かも。連載初期の頃の無鉄砲なまでの勇気とひたむきさを、もう一度見せてほしいです。それでこそ「寄り道」の価値があるんだから。
週刊少年サンデー8号掲載・第393話「尼寺」
 化け物が住み着き、人を喰うという噂の荒れ寺。雨に降られてその寺で泊まることになった犬夜叉一行は、若くて美しい尼に会う。泊まってみると妖怪の臭いだらけだが、会った尼には人間の匂いがしたという犬夜叉。それを聞いて目を光らせる弥勒。
 夜が更けて眠れない七宝は警戒するが、突然天井に妖しい目つきの尼集団が出現。一斉に襲いかかってくる集団を散魂鉄爪で一蹴する犬夜叉、同じく迎撃する弥勒と珊瑚。気絶する七宝と目を覚ましたかごめ。倒された尼達の正体は猫集団で、驚いたさっきの尼を問い詰めると、百年ほど前に尼僧が寺の床下に化け猫を封印したという言い伝えがあるという。
 まだ化け猫の臭いが多く残ると言う犬夜叉と共に床下を調べるが、口に出した下心が畳の上にまる聞こえの弥勒。穴を見つけるとその中に巨大な化け猫の骨。それが突然繋がって動き始めると、珊瑚とかごめの前にいる尼の目が豹変して…で以下次号。

 うーん、またも一行は寄り道か。やはり41巻突入は必至のようです。雰囲気的には「鬼の首城」に似てる展開。高橋先生のことだから安易な二番煎じではないと思いますが…。
 弥勒の『屋根の下で妖怪退治がいい人』に七宝を除く全員が『はい』(犬夜叉は『おれは雨なんぞ平気だがな』と付け加え。彼なりの女性陣への気遣いなんでしょう^^;)なのが‘慣れ’というやつですね。今週だけで二度も美人尼の手を握る弥勒は、当然のごとく珊瑚に殴られつねられ…懲りないうえに床下に潜っても堂々の浮気願望発言が上の珊瑚につつ抜けで『戻ってきたら退治しますから』。いやいやすっかり「ラムとあたる」化してますな(^^;)。
 寺じゅう妖怪の臭いだらけだと聞いてしくしくと泣き出す七宝。『おまえ本当に妖怪か?』は犬夜叉だけの言葉じゃありますまい。動く骨はダミーで、化け猫の本体はやはり美人尼なのか。以前の煉骨の時と同じ原理で鼻をごまかされたかな? それとも人間を操る能力の持ち主なのか。
 かごめ贔屓としては、今週はさりげに珊瑚に現代のパラソルをさしかけてやってるところと、『はい』で上げた弓を持つ左手が人差し指と小指を立てる「るーみっくポーズ」になってるところですね。さて対化け猫の親玉戦でも、何かに役立ってほしいところですけど…。
週刊少年サンデー7号掲載・第392話「平和な食卓」
 一行は楓の村へ戻る。犬夜叉が疲れているとは珍しいと言う楓に、かごめの実家で休養するべく二人で出向いたと伝える珊瑚。弥勒は自分の姿に化けさせた七宝に、珊瑚の横でゴロゴロしていなさいと頼むが、すかさず珊瑚にぶん殴られる。
 実家に戻ったかごめだが、母は風邪で寝込んだ状態。犬夜叉もベッドの上で眠り込んでいるので、かごめは学校帰りに買い物をして食事の支度をしようと決める。午前11時過ぎに目を覚ました犬夜叉はもう全快で絶好調モード。かごめの祖父が丹念に手入れを終えたばかりの植木鉢を一瞬で踏みつぶして外出しようとするが、恨みのくさやの干物焼き攻撃で鼻をやられて撃沈。目を覚ましても外に出すなとかごめが頼んでいたのだが、祖父が話し終わるより前にすぐ消える。
 学校でクラスメートらと会話しつつ、自分の手料理を食べる犬夜叉を想像して浮き浮きしていると、窓の外を跳ねていく当人の姿が目に入ってずっこけるかごめ。おすわりをくらわして引きずり回し、一日くらいおとなしくしててと懇願。
 帰りが遅いと炬燵の回りを犬夜叉がぐるぐる回っていると、草太が姉は買い物をして食事を作ると伝える。めしなら待ってろ、と飛び出していった犬夜叉が捕まえてきたのは10羽の鳩と2匹の錦鯉…帰ってきたかごめが返してこいと恫喝して料理にかかり、待っててと振り向けば勝手にカップ麺をすすっている犬夜叉。おあずけ、と取り上げてやっと料理を終え、母にお粥を届けている間に台所にはゴキブリ出現。油虫か、まかせなと鉄砕牙を抜いて振りかぶる犬夜叉と硬直する草太達。悲しい音が響いてせっかくの料理は破裂した水道管から飛び散る水浸し。怒る気力もなくしてベッドの横でぐったりするかごめをビクビクしながら覗き込む犬夜叉…で以下次号。

 またまたフェイントをくらいました。いやこれまでの経験からタイミング的にはこういうコミカル・インターミッションがあってもおかしくはなかったんですが、いよいよ最終シリーズだろうと考えていただけに予想外。こりゃあコミックスでは41巻まで行くかもしれません。
 七宝は弥勒に化けるのも巧いもんですが、つきあいが長いので珊瑚には弥勒の意図を簡単に見抜かれる。女のカンを甘くみちゃいけません。
 傷と疲労の回復力が怪物並みの犬夜叉に現代の家庭は狭すぎますね。効きすぎる鼻が弱点だというのは既にかごめの家族も知っているらしい。それにしても君はめしと聞いたら鳩や鯉を食うのかい。せめて火くらい通すんだろうなあ…。鉄砕牙もゴキブリ一匹相手に変化するなよ、と思わずツッコミが(^^;)。足で耳をかく仕草は、やはり犬の血ですな。
 かごめ贔屓としては、こうまで注目点が多いとかえって困る。『あたしの実家で休も?』『ちっ、しょーがねーなー』…夫婦の会話でも違和感ないですな。こう見えても料理は得意、のエプロン姿に惚れ惚れ(前作【らんま1/2】ではかすみさんファンだった私へのファンサービスか♪)。いい嫁さんになるよおこの娘は。『なんてうまいめしなんだ』と涙ぐむ犬夜叉を想像するところとか、『お願い(だから返してきなさい)』の少●ジ●ン●外●君風顔とか、鳩と鯉を見て『これを料理しろと…』の硬直顔とか、無惨に破壊された水道管と水浸しの手料理を見て『目を離した私が悪いのね? そうよね、犬夜叉…?』の表情とか、とても平和な食卓じゃないですが、いやー楽しませていただきました。高橋先生ありがとう!
週刊少年サンデー6号掲載・第391話「一心同体」
 犬夜叉は既に全身が竜人化した刀秋を力ずくで押し込むが、奪鬼から出た風の傷に鉄砕牙ごとはじき飛ばされる。傷ついて起きあがる犬夜叉の握る鉄砕牙の変化が解け、妖力が消えてついにただのサビ刀に…刀々斎の言ったとおりだ、と嘆く冥加。加勢しようとする弥勒と珊瑚だが、犬夜叉は血まみれで立ち上がり、手を出すなと叫ぶ。
 きさまは奪鬼のこやしになると言い放つ刀秋に、自分と鉄砕牙は一心同体だ、と再々度斬りかかる犬夜叉。そのサビ刀で奪鬼が折れるとでも…とせせら笑う刀秋だったが、刃先は奪鬼のヒビに食い込んでいた。突然刀秋の背中が裂けて妖気が吹き出し、声もなく倒れ伏した刀秋の胸から下は一瞬で風化する。驚く弥勒達。あわてて犬夜叉に駆け寄ったかごめが見てみると、鉄砕牙はサビ刀のままで、奪鬼の柄が刀秋の腕に溶け込んでいた。刀秋と同化していた奪鬼は、折れることを怖れて犬夜叉の攻撃を刀秋の体に受けさせたのだと語る弥勒。バカ野郎が、とつぶやく犬夜叉。
 なおもヒビは進んで奪鬼はついに折れる。同時に膨大な妖力が解き放たれ、犬夜叉とかごめの眼前で鉄砕牙に戻っていく。再生した牙の刀身には竜人の鱗が混じっていた。鉄砕牙に奪鬼と流人の妖力が加わったのだ。やや寂しげな表情ながらも安堵し、鉄砕牙を労る犬夜叉…で以下次号。

 鉄砕牙は決して無敵の武器ではありません。一度は折られ、使い手である犬夜叉の牙を繋ぎにして再生した刀です。犬夜叉はその鼓動を感じ取ることができ、鉄砕牙はたとえ妖力をなくしても主と共に戦う。弥勒達の加勢を拒否して単独で戦い抜いた犬夜叉は、結果的に勝って奪鬼の能力を手に入れても勝ち誇ったりしませんでした。『自分の刀に殺されやがって…』と刀秋の亡骸に向けた独白には、やりきれない哀しみが浮かびます。
 エゴと勇気の戦いは、エゴがエゴであるゆえの自滅で決着がつきました。最後まで鉄砕牙を信じ抜いた犬夜叉と、結局のところ我が身可愛さに逃げた奪鬼の差が出たのです。しかし強靱な肉体を持つ竜人が使い手であったならば、鉄砕牙と犬夜叉は負けていたでしょう。この作品はただの単純な勧善懲悪物語ではありません。『すまなかったな、無理させて。よく頑張ってくれた』と鉄砕牙に語りかける犬夜叉の表情には、原作の価値が凝縮されているのです。
 かごめ贔屓としては、加勢はできなかったものの犬夜叉に駆け寄って寄り添ったそのすぐ先で鉄砕牙が再生するコマが秀逸でした。これぞこの「三人」の関係の暗示ですね。死線ギリギリから最終進化を果たした鉄砕牙は、魍魎丸を斬ることができるのか。いよいよ最終回まで、あと9話?
 申し遅れましたが、今年も拙サイト・NLDをよろしくお願いいたします。
 さて2004年連載分も読みたいという方はこちらをどうぞ。
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