【今週の「犬夜叉」!】…毎週更新。

 ここでは週刊少年サンデーに連載中の『犬夜叉』について、毎週1回、主な内容と展開を追跡し、コメントをつけていきます。
なお、ゲストの方のコメントはこちらです(^_^)。

週刊少年サンデー4&5合併号掲載・第390話「覚悟」
 鉄砕牙のヒビから出て刀身を取り巻く風。弥勒達には風が犬夜叉を守っているように見える。刀秋の持つ奪鬼は脈打ち、妖気の風を欲しがる。あと一度の刃の激突で鉄砕牙は折れると斬りかかる刀秋。まだ闘えるんだなと応戦の犬夜叉の一振りは風を起こして刀秋をはじき飛ばす。鉄砕牙は奪鬼と刃を合わせるのを拒んでいる、後がないのだと言う冥加。一振りできしむ鉄砕牙に、たしかに後がないと感じる犬夜叉。
 触れずに倒す方法はある、奪った妖力を使うまで、と風の傷を繰り出す刀秋と奪鬼。爆流破を打ち返す犬夜叉だが、傷ついた鉄砕牙は妖気を返しきれず、しかも爆流破の渦まで奪鬼が吸収してしまう。刀秋の上半身を鱗がどんどん覆っていくが、この時奪鬼の刀身にも一筋の亀裂が入る。
 鉄砕牙の刀身を取り巻く風が止む。既に形相も上半身も竜人化してきた刀秋が、守る力も尽きて終わりだなとにじり寄る。刀々斎の「覚悟はあるのか」との警告を思い出しながら、自分が生きている限り鉄砕牙は死なない、と雄叫びをあげて奪鬼の亀裂を目がけ鉄砕牙を振り下ろす犬夜叉…で以下次号。

 数々の奇跡を起こしてきた鉄砕牙もまた、自らの意思で使い手を守ろうとする一人のキャラクターです。『まだ闘えるんだな!?』と心で会話をする犬夜叉との間に、確かな絆がある。冥加の解釈にかごめも弥勒も相当疑いのリアクションですが、『間違いないっ。たぶんっ』としか返せないあたりが悲しい実績ですな…(^^;)。戦いが続くほどに鱗が増えてきて竜人化していく刀秋の姿はほとんど彼の心の具現化であり、邪らしい象徴ですね。
 以前「エゴと勇気の戦い」というキーワードを書きました。鉄砕牙は犬夜叉の父が半妖である息子の“血の暴走”を抑え、人間である母の身を守るために刀々斎に打たせた妖刀です。その生い立ちはまさしく人間と妖怪との架け橋であり、勇気の象徴です。奪鬼とは対極の存在である鉄砕牙が、爆流破の妖力を吸った奪鬼に亀裂を与える。『おれが生きてる限り、鉄砕牙は死なねえ!』…これがこの作品のポリシーなのです。
 かごめ贔屓としては、今週は奪鬼にヒビが入ったことをすぐ気付くところですね。かごめが『犬夜叉…』と見つめた先に『鉄砕牙…』と手元に視線を向ける犬夜叉がいるのもまさに暗示的。さあ2004年の連載も終わり、いよいよ来年はこの大作もクライマックスを迎えます。コミックス第40巻目は2話ほど多く、厚めになるかも。最終回まであと10話…?

週刊少年サンデー3号掲載・第389話「亀裂」
 真意を問い詰める犬夜叉達に、恐るべき野心を語り始める刀秋。どんなものでも斬る最高の刀を鍛えたかった刀秋は、陰の気が強い打ち込みほど鋭い刀になることを知り、合戦の跡を巡って無念や恨みの血を吸った刀を集めては溶かし、次々と打ってきた。竜人もその陰の気に呼び寄せられ、刀秋は自ら妖刀を鍛えたいと申し出て鱗を与えられたというのが真相だったのだ。
 奪鬼は自分が育てる、鉄砕牙の妖力が欲しいと言う刀秋。奪鬼を斬るつもりで来たのだから、人間相手でもやるべきだと言う冥加。犬夜叉は人間が妖刀を扱えるものかと鉄砕牙で奪鬼とぶつかるが、奪鬼からは邪気が噴出。刀秋の体がはじき飛ばされるものの、鉄砕牙にはヒビが入る。刃を交えるたびに奪鬼の邪気が鉄砕牙に流れ込み、妖気は奪鬼に流れ込むのだ。刀々斎の警告を思い起こす犬夜叉は、妖力を吸い尽くされる前に奪鬼を折るしかないと悟るが、刀秋の手に右目と同じ鱗が転移。刀を離せと叫んでも、刀秋は妖力を吸い尽くすと斬りかかる。
 二度目の両刀の激突でますます鉄砕牙のヒビが進み、刀秋の腕はどんどん鱗に覆われていく。奪鬼は自分を使い手として選んだのだ、と言い放つ刀秋の腕力も妖怪並みになり、犬夜叉に猛攻。ヒビは鉄砕牙全体を覆い、このままでは折られてしまうと弥勒達が叫んだ時、唐突に鉄砕牙が脈打って妖気の渦が刀身を取り巻き始め…以下次号。

 げに怖ろしきは人間のこだわりと執念です。竜人に会った時、怖ろしさよりも喜びにうち震えたという刀秋の告白には、ぞっとするものを感じます。奪鬼は自分の分身だと思い込む彼の言動は、既にあの桃果人を越えた物騒さ。鉄砕牙とぶつかる度に邪気を入れ、ヒビを進める奪鬼の能力は半端じゃありません。このまま鉄砕牙が妖力を吸い尽くされたなら、間違いなく刀秋の体全体が妖怪化してしまうでしょう。かといって制止しても、もうまともに聞く耳を持たなくなった刀鍛冶は、あの紅達と同じ運命を辿るしかないのか。
 私的には鉄砕牙が砕けてしまうのは大変なショックです。これは犬夜叉の父の形見であるとともに、人間と妖怪の混血たる犬夜叉の存在意義を彼に教えてくれた相棒。彼自身の牙も繋ぎとして入っているわけで、奪鬼ごときに負けてしまうのは我慢なりません。考察のページでも書いていますが、鉄砕牙はアイテム版のかごめでもある。二重の意味で「負けるな鉄砕牙!」と握り拳の心境です。
 かごめ贔屓としては、こんな展開になったら何らかの形で犬夜叉の支援をできないものかといつも思います。力勝負ではどうしようもないけど、それとは違うものを持ったヒロインなんですから。弥勒達と出会う前のように、現代からの持参物で意表をついた行動をするとか…今は雰囲気的に無理でしょうけども。

週刊少年サンデー2号掲載・第388話「奪鬼の使い手」
 犬夜叉は刀秋に出てくるなと忠告し、刀秋も竜人に奪鬼があなたを拒否していると言い返す。さらに犬夜叉には、竜人の体に鱗の欠けた部分があるはずだからそこを狙えと助言。犬夜叉は強引に押し返して飛び上がり、三度風の傷。盾には効かなくても足場が砕かれ、竜人の体勢が崩れたところに追い打ち。鱗の欠けた部分をいちいち探して突く余裕はないのだ。
 しかし竜人の盾は風の傷の妖気を吸収して赤く変色、そのまま跳ね返してくる。犬夜叉はこれを待っていて、爆流波で再々のカウンター。これにはさすがの竜人もたまらず、盾ごと全身を粉砕される。勝負はついたと一行が駆け寄り、弥勒達が刀を強くしようとしたばかりに皮肉な結果だなと話すと、竜人は自分は刀を持つなど考えていなかったと意外なことを呟く。そこへ刀秋が奪鬼を抜いて近寄り、とどめの一刺し。消滅した竜人の妖力を吸収して、これで奪鬼は完璧だと不敵に笑う刀秋に犬夜叉一行が驚愕して…以下次号。

 これはフェイントでした。竜人が刀秋を脅迫して刀を鍛えさせたのではなく、刀秋の方から刀を作ればより強くなれると竜人に持ちかけ、鱗を提供させたというのが真相だったのでしょうか。竜人の最期の言葉からはそうとしか考えられず、先週の私の解釈は見事にひっくり返されちゃいました。刀秋の真の目的はまだわかりませんが、“臆病さ”どころか“エゴ”と“野心”こそが奪鬼づくりの動機になっているなら、妖怪より人間の方がタチが悪い…かなり前に登場した桃果人だって元々は人間。つくづく【犬夜叉】の解釈は一筋縄ではいきません。
 珊瑚が『こいつ、盾だけでも十分強いのに…』と語ったところが先週の私のコメントと合致していたのが少しばかり光栄。竜人が盾で鉄砕牙の妖気をまとめて返してきた瞬間、願ってもねえ、と勝利を確信した犬夜叉の表情が久々に晴れやかでしたけど、次週は人間を相手にするんじゃあ、ハードルはもっと高くなっちゃいました。ついに今週でコミックス39巻分が終了、いよいよ次週は第40巻に突入です。
 かごめ贔屓としては、今週は冥加が無駄なことをと口走った時に、竜人の足元を崩したのを指摘するところですね。安心して見ていることはできなくても、犬夜叉の戦い方やその狙いを素早く察知できるのはさすがです。

週刊少年サンデー1号掲載・第387話「竜人の盾」
 結界を施したお堂に刀秋を匿う弥勒。外に出なければ竜人は手出しできないと言われた刀秋だが、奪鬼が騒ぐのを感じとる。目の前に完成した奪鬼があるのにと惜しむ冥加に、盗人みたいな真似ができるかと言い返す犬夜叉。弥勒もそれを考えたが、完成したばかりで妖怪を一匹も斬っていない奪鬼はただの刀でしかないという刀秋の言葉から、今取り上げても無意味だという。
 雲の中から飛び出してきた妖気の塊が風の傷をはじき返す。盾を手にした竜人だ。刀秋を出せと脅す竜人に斬りかかる犬夜叉だが、強靱な盾が鉄砕牙を受け止め、剛力で吹っ飛ばされる。再度放った風の傷も竜人の盾には効かない。むしろ妖気を浴びるほどに強くなる、と豪語する竜人。盾も刀と同様竜人の鱗でできていて、妖気を吸い取るのかと悟る弥勒と珊瑚。この盾に奪鬼を加えれば最強だという竜人になおもつっかかり、鉄砕牙で押し合う犬夜叉だが、押し負けて結界を張ったお堂の扉へ打ち付けられる。
 お堂の中から聞こえた刀秋の声を聞いた竜人は、奪鬼を持って出てくれば命を助けてやると言い出す。騙されるなと叫ぶ弥勒達。犬夜叉に対して、奪鬼のこやしとして最初に貴様を斬ってやると凄む竜人。歯軋りの犬夜叉。刀を渡せば助かるのか、と刀秋が動揺して…以下次号。

 かつて紫織の結界を斬りにいった時もそうでしたが、犬夜叉には無抵抗の相手に手出しをしないという美学があります。それがいかに損な選択でも、そうだからこそこれだけ強くなれた。奪鬼は妖怪を斬らなければ本領を発揮できないただの刀…まさに呪われし武器ですね。竜人の狙いはやはり最強になることでした。なぜ人間の刀鍛冶に鍛えさせたのか、もしかすると刀々斎のような妖怪の刀鍛冶にない“臆病さ”が狙いなのかも。もしもそうなら、自分だけは助かりたいと刀秋が考えて渡してしまえば、まさに竜人の思うつぼ。【犬夜叉】の数あるテーマの一つは「エゴと勇気の戦い」です。鉄砕牙最後のバージョンアップは、再度それを教えてくれるでしょう。
 それにしても竜人という妖怪は、小細工を弄せずに真正面からくる奴です。この剛力なら今でも十分強いはずで、それが十年かけて奪鬼を作らせようとしているんですから野心も相当なものですね。奈落や魍魎丸でも迂闊に手出しできない相手でしょうが、これを倒すことがおそらく最終決戦前の唯一のハードルです。
 かごめ贔屓としては、いつもそうなんですが戦闘シーンになると本当に心配そうな表情になるところですね。長いつきあいで犬夜叉の強さは十二分に承知していても、安心して見ていることなどできないのです。

週刊少年サンデー52号掲載・第386話「刀秋」
 奪鬼の正体を探るべく刀々斎を訪ねた犬夜叉。折れた刀身を刀々斎が鎚で叩くと一枚の鱗に姿が変わる。これは竜人の鱗で、この刀は打ち損じ、もしも本物だったら鉄砕牙は負けていたという。妖力を喰う魍魎丸を斬るためには、本物の奪鬼の能力を鉄砕牙に加えることだと主張する犬夜叉だが、刀々斎は戦って負ければ鉄砕牙の方が永久にサビ刀になってしまうと警告する。
 とある小屋の中で刀を打つ人間の鍛冶屋が、手応えを感じて刀身を眺めると竜人の鱗が浮かび上がって一体化していた。途端に屋根を突き破って彼を襲う鋭い爪の腕。一方冥加は奪鬼を打ったのは人間の刀鍛冶だとして犬夜叉一行をナビゲート。竜人が自分の鱗を与えて人間に刀を打たせている、という噂なのだ。大量の血の臭いを嗅ぎつけて駆けつけると、竜人妖怪が刀鍛冶を探して村を襲撃中。見つかる寸前に犬夜叉が風の傷を放って竜人は逃走、助けられた刀鍛冶は刀秋と名乗り、身の上を語る。
 刀秋が竜人と出会ったのは一年前で、鱗から刀を鍛えろと強要され、逃げられないように右目の周りに竜の鱗が刻印されていた。ついに竜人の望む妖刀奪鬼は完成したが、あんな凶暴な妖怪に渡すわけにはいかない、と決意を述べる刀秋に犬夜叉らが頷き…以下次号。

 奪鬼は一年前から鍛えさせられていた、ということは奈落一派とは無関係ですか。竜人と呼ばれる妖怪は単体なのか一族なのか不明ですが、本物の奪鬼が完成すれば妖怪達の世界で並び立つ者のなくなる最終兵器かも。一番気になったのは久々登場の刀々斎の科白『負けたら、妖力を吸いつくされた鉄砕牙は、永久にサビ刀のまま…二度ともとには戻らねえ。犬夜叉、おまえにその覚悟はあんのか?』です。これは物語のラストを大いに暗示する重要なキーワードです。
 竜の鱗で周りを覆われた右目を隠している刀秋の外見はさしずめ楓の男性版ですが、あえて彼に目をつけて刀を打たせるというのは、妖怪にない人間の何らかの力が必要だということでしょうか。これはラスボスである奈落が、数多の妖怪達が人間の妄念を繋ぎにして半妖となって生まれ変わったことに相通じます。やはり妖怪と人間の混血である犬夜叉は、呪われし存在の奈落の存在を消すために、躊躇なく相棒である鉄砕牙の妖力を捨てるかもしれません…。いずれにしても今回のエピソードが、鉄砕刀の最終バージョンアップとなるでしょう。
 かごめ贔屓としては、今週はとりたてて注目点がなかったんですけどいよいよ時間が押し迫ってきたわけで、高校受験はできるのかという「それどころじゃない話」が妙に気になる日々です。

週刊少年サンデー50・51合併号掲載・第385話「奪鬼」
 得意げに立ち去ろうとするムジナを、七宝は鉄砕牙の妖力を奪うだけではなかったのかと非難する。父など何百年も前に死んでいる、この世を支配するためには強い奴は二人もいらないと言い放つムジナ。怒る七宝が殴りかかろうとすると、頭の上から踏みつけて犬夜叉が復活。驚いたムジナが再び奪鬼を振りかざして風の傷を放つが、使い手の腕がお粗末だ、と犬夜叉は鉄砕牙を逆さに突き立て、なんなくこれを防ぐ。
 七宝を足でつまみ上げ、こいつを斬るかと訊く犬夜叉。女の子を手にかけるのかと止めるかごめ達だが、だから七宝に決めさせるんだとの返答。詫びを入れるムジナを、七宝は犬夜叉に自分を斬れと言って庇う。途端に七宝の体を引き寄せて人質に取るムジナ。犬夜叉は呆れた表情で飛び寄るなり、顔面に右フックを炸裂させる。吹っ飛ぶと同時に大きな図体の化け狸に姿を変えるムジナ。よくぞわしの正体を…と怒る狸に、てめえは最初からオッサン臭いと一喝する犬夜叉。七宝は、あの臭いは本人のものかと情けないやら悔しいやらで呆然自失。
 妖力は奪鬼が吸い取ったと威張るムジナだが、犬夜叉は鉄砕牙で奪鬼をヘシ折り、消えなと蹴り飛ばす。折れた奪鬼から出てきた妖気は鉄砕牙に戻る。バツが悪そうに詫びる七宝を爽やかにぶん殴った犬夜叉が、奪鬼を訝しむ弥勒に調べてみるかと提案し…以下次号。

 今回は真剣に大儀だと思っていた分だけ七宝が哀れです。ムジナという名前から気付くべきだったなあ、化け狸という正体。相手を油断させるために女の子に化けるあたりが小賢しいけど、七宝同様に騙された読者は偉そうに言えない。それにしても犬夜叉は、最初から臭いでわかっていたわけか。いくら姿形を可愛くしても、オッサン臭いのは隠せないと…なにやら暗示的なエピソードですよ(^^;)。
 刀の使い手には分相応というものがある。絶大な妖気を使いこなす器は、絶大な能力の持ち主にしか持てないってことですね。『その涙で…すべてを許す』んだけど、二度も騙されて『なんかもう、どーでもいい…』の七宝の表情が、気の毒なんだけど笑えます。コメディのようでシリアスのようで、やっぱりコメディだった。『おれは全然気にしてないぜ』とあんな爽やかな表情でぶん殴る犬夜叉もただ者じゃないです。しかし奪鬼という刀は、あの魍魎丸の能力を持つアイテム。あちこちにバラまいて小悪党妖怪達に妖気を集めさせているのかもしれません。
 かごめ贔屓としては、今週はやっぱり『言ってることとやってることが違うんだけど』ですね。しかしまあムジナの正体がアレでは、さすがに七宝を殴る犬夜叉を咎める気にもなれなかったようで(^^;)…次週はお休みです。

週刊少年サンデー49号掲載・第384話「大義」
 戻ってきた弥勒と珊瑚に事情を伝え、七宝を探すかごめと犬夜叉。臭いを嗅ぎつけて鉄砕牙を抜くと落とし穴にはまる。怒って風の傷を放つと側面の木陰から奪鬼が妖気を吸収。七宝の作戦だ。日頃の仕返しのつもりの七宝をムジナは頭がいいと褒め、もう一吸いしたいと持ちかける。七宝はムジナに妖刀を強くしたい理由を問い、巣から父親の臭いがしたことを伝えると、ムジナの父は悪い妖怪に殺されたという。父の仇討ちなら自分と同じと涙ぐみ、私怨ではなく大義だと宣言する七宝。
 七宝のキノコが泣き、犬夜叉が臭いを嗅ぎつけると爆弾付きカカシや巨大地蔵が飛んでくる。妖怪ではなく七宝自身の術だとあっけにとられる弥勒。鉄砕牙の妖気がまた吸われるが、おかげで居場所が一目瞭然だと飛び込むと今度は無数のトリモチ玉の雨あられ。構わずに放たれた風の傷の威力は弱まっており、トリモチで体を絡め取られた犬夜叉の前にムジナが登場。女の子かと戸惑うかごめ達。七宝に出てこいと凄む犬夜叉。女好きだから惑わされたかと弥勒達にツッコまれ、これは大義だと言い返す七宝だったが、ムジナはこの半妖で試し斬りをする、と不穏なムードで奪鬼をふりかざす。
 犬夜叉が皆に下がれと叫び、振り降ろされた奪鬼から出た凄まじい妖気が地面を切り裂く。焦る七宝はムジナの不気味な表情と口元から出た牙に顔色を変えて…以下次号。

 術や力量はチャチでも知恵が回る七宝。宿り蛹の一件でもそうでしたが、なんだかんだいって敵に回るとなかなか手強い相手です。小道具と大道具の顔は相変わらず緊張感のないラクガキなんですけども。『おらは犬夜叉の七倍は頭がいいと自負しておる』ってねえ…(^^;)。ムジナの動機は父の仇討ち、というのは読者の誰もが先週連想したでしょうけど、どうもそれほど単純ではなさそうです。一捻りありますねこれは。ムジナに同情してこの闘いは大義だというあたり、単純だけどいい奴です七宝。
 マヌケ顔の巨大地蔵をマジ顔で真っ二つにする犬夜叉、妙にミスマッチで笑えます。しかしトリモチまみれでも目つきは冷静。出てこいと言われた七宝の『よく見抜いたのう』に『なんでバレねえと思えるんだ?』はさすがにマジ顔とは考えにくいですが、むざむざ妖気を吸われるにまかせたたわけでもないでしょう。相手の姿を確認したところで、手頃な反撃をするはずです。しかし七宝は傷つくかも…ムジナの本当の思惑ははたして? 奪鬼は本人の野心なのか、はたまた小娘の姿自体が何かの化身なのか。
 かごめ贔屓としては、この日五発目の風の傷の威力が妖力を吸われたことで弱まったと見抜くところですね。もっとも次週、犬夜叉の直情径行にみえても頭がキレる側面を、改めて見直してやってほしいもんです。

週刊少年サンデー48号掲載・第383話「ムジナ」
 暴れる大型妖怪を雑魚だとして風の傷で一蹴した犬夜叉。退治を依頼した村人の話では、最初は小妖怪ばかりが何かに追い立てられて逃げてきたのが、次第に大きく強そうな妖怪になってきたという。弥勒と珊瑚が探りに出かけた後、妖怪が狙われているのなら待っていれば黒幕が出てくるという犬夜叉は、七宝を蹴り飛ばしておいて木陰に風の傷を放つ。察した気配は消えたが、臭いは残った。
 蹴り飛ばされた七宝は悪態をつきながら歩いていたが、ただならぬ気配を感じてぎくり。呼びかけても答えがないので狐妖術をぶつけると吸収される。つぶし独楽も真っ二つにされて、姿を現したのは刀を手にした妖怪の少女。化け刀の半妖と一緒にいたなと言うと、少女は七宝を攫って大木の根元の洞窟に連れ込む。ムジナと名乗った少女が語るには、戦う相手の妖力を奪い取って強く化ける「奪鬼」という名の妖刀に妖力を吸わせるために弱小妖怪の妖力から吸収していったが、犬夜叉の刀は強すぎるので吸収する前に殺されかねない。そこで連れの七宝を人質にして、刀を振り回せないようにしたのだという。
 七宝と先程の臭いを嗅ぎつけた犬夜叉は、木の根元の外からまたも風の傷。慌てたムジナは七宝をひっ掴んで横穴へ逃げ込む。怒ったかごめがおすわりをくらわして抗議している間に、あの半妖はお前の命はどうでもいいらしいと七宝に言うムジナ。さすがに犬夜叉に怒る七宝…で以下次号。

 この作品のコミカル部分を担当する重要キャラの七宝。彼の出す技はどれもこれも緊張感に欠けますが(^^;)、なんともいえない愛らしさがあります。蹴り飛ばされた七宝を見たかごめが一人にするなと言ったら『あっちは安全だ』と答えて木陰に向かい『出て来な』なんだから犬夜叉は決して単細胞じゃありません。
 ムジナという妖怪の少女、なにやらわけありの様子です。奪鬼という妖刀を急いで強くしようとしているということは、誰かの仇討ちかな? しかしムジナが七宝を楯にすればむやみに刀を振り回せないだろうと言った途端に『風の傷!』じゃたまげます。七宝にもその掛け声が聞こえたんだからそりゃ怒る。最後のコマでの表情を見ると、七宝と犬夜叉の信頼関係(…それほどあったかなあ^^;)にヒビが入ったようにも。
 かごめ贔屓としては、今週はやっぱりおすわりをくらわした後の『七宝ちゃんが一緒なのよ。ケガしたらどうすんの!』ですね。まったくこの彼氏ときたら、思慮深いのかやっぱり単細胞なのか、まだよくわからないところがあります。かごめが間にいないことには仲間との間がギクシャクするんだから…。さて今週の展開がこうなったことで、コミックスで40巻目に突入するのはほぼ確実になったなと思います。最終回カウントダウンは、また一ヶ月半ほど先に延期ですね。

週刊少年サンデー47号掲載・第382話「五雷指」
 三つ首狼の吐く炎に包まれそうになる鋼牙の弟分達。鋼牙は五雷指を目の前にして引き返して跳躍、二人を抱えて炎をかわす。黒コゲになった岩肌を睨み、なぜ五雷指を取らなかったと問う三つ首狼にその手にのるかと言い返す鋼牙。しかし鏡の中の五雷指が消えている。あの時掴んでおくべきだったなと三つ首狼が追い打ちをかけるが、鋼牙は自分の目的は仲間の仇を仕留めることで、弟分を見殺しにするくらいなら五雷指などいらない、と啖呵を切る。
 ならば墓を荒らした報いを受けよ、と再び業火を吐きかける三つ首狼。後悔などするかと突っ込む鋼牙の右手が脈打ち、その先に五雷指が浮かび上がる。一閃した鋼牙の右手から放たれた雷が炎を切り裂き、三つ首狼の体を粉砕する。今度こそ完全に消滅だ。自分の右手をまじまじと見る鋼牙。先祖達の亡骸が、五雷指はおまえの爪となり、我らの魂がおまえを加護すると語りかける。五雷指は手の中に消え、足にある四魂の欠片を支配するこの世ならぬ意思から守れるのは一度きりだ、と語りが続く。覚えておこうと自らを戒めて引き上げる鋼牙。
 犬夜叉達のところに戻った鋼牙は、いつもの悪態ながらも爪のことを伝える。一緒に行動できないかと話すかごめだが、鋼牙はあっさりと拒否。去っていく鋼牙の四魂の欠片を守る力の存在に気付くかごめ…で以下次号。

 やはり鋼牙は犬夜叉に似ています。似たもの同士であるがゆえに面と向かい合うと反発するんでしょうね。今回の展開は金剛槍破の時と同じ。妖狼族の魂もまた、宝仙鬼と似た価値観を持っているのでしょう。『こいつら見殺しにするくらいなら五雷指なんていらねーんだよ』に感激して『一生ついていこう』の弟分達のウルウル目が笑えます。さすがは妖狼族のお宝、破壊力は半端じゃない。でも翠子の意思は妖狼族代々の力でも一度しか加護できないわけか。何かの覚悟を決めたかのような鋼牙の表情に、物語のクライマックスへ向けての雰囲気を感じます。
 かごめが七宝を抱きかかえながら鋼牙に駆け寄って、心配したかと抱きしめようとした鋼牙の腕の中には七宝が…迷惑そうな七宝の表情がいい(^^;)。『なんなら今…五雷指でてめえの首ぶっ飛ばしてもいいんだぜ』の鋼牙はいつもの彼ですが、犬っころと一緒などごめんだと言いながら単独行動を続ける姿勢には確かに美学があります。シリアスとコミカルのバランスとタイミングに絶妙のものがあるのが、この作品の真骨頂です。
 かごめ贔屓としては、七宝を抱えていたのはひょっとして鋼牙の行動を予測してのことかと考えたりして。久々のおすわりですが実に淡々とこなしているところや『あたしたちといられない?』の天然ぽい表情がいいなあ♪

週刊少年サンデー46号掲載・第381話「宝の守り役」
 鋼牙は三つ首の狼の首元に蹴りをぶち込み粉々にする。あっけないと吐き捨てた途端に岩片が復元、再度体を現した宝の守り役である狼は、鋼牙の足に四魂の欠片が仕込まれていることをズバリと言い当てる。俺の体の一部だと言い返した鋼牙だが、狼は欠片がこの世ならぬものの意思に支配されていると指摘。かごめの言葉を思い出す鋼牙。
 狼は語る。五雷指もこの世ならぬもので、代々の妖狼族の魂に支配されており、お前ごときに扱えるものではない、と。構わずに突っ込んで炎をかわし、腹の下から蹴り上げて再び体を砕くと、胴体を持ち上げてぶん投げる鋼牙。動きを封じたつもりか、と狼の上半身が炎を吐き掛ける。崖を駆け上がって五雷指が映る鏡に向かう鋼牙を炎が妨害。投げられた下半身も岩片に分離して鋼牙の弟分二人を襲う。
 上半身の首を強引に蹴り砕いて五雷指に手を伸ばす鋼牙だが、岩片は下半身と繋がり復元すると弟分二人に業火を吐き掛ける。顔色を変える鋼牙…以下次号。

 【犬夜叉】版ケルベロスは何度砕かれても復元する思念体のようです。四魂の玉に関する噂はありとあらゆる妖怪や関連界に広まってるんですね。触れただけでこの世にない意思が宿っている、と見抜くんだから半端じゃありません。
 妖狼族の魂とは、一族に伝わる結束の固さであるはず。その重さをお前が背負えるか、というのが墓守の問いかけでしょうか。直情径行に見えても、下半身を攻撃するあたり戦闘における直感が鋭いのが鋼牙の鋼牙たるゆえん。崖を猛烈なスピードで疾走するんだから凄い。ケルベロスが弟分二人(やっぱりそろそろ名前をあげたい…)をあえて襲ったのは、鋼牙の心根を見極めるために思えます。さあどうする鋼牙、以前の犬夜叉のような行動に出るか。
 かごめ贔屓としては、今週は1コマだけ鋼牙の脳裏に登場(^^;)。主人公登場せずの回に出たんだからよし! さてなかなか伏線が長いので、こりゃ最終回まであと7話では収まりそうもないような…コミックスでは40巻目に突入してもおかしくなくなりました。

週刊少年サンデー45号掲載・第380話「狼の墓場」
 鋼牙は妖狼族の聖域へ武器を取りに向かう。よそ者は入れないというので待つことにするかごめ達。聖域とは先祖代々の妖狼族の墓場で、そこに納められている武器なら役立つというわけだ。
 残った犬夜叉一行は今後の行動を相談。奈落も翠子も桔梗も四魂の玉を完成させようとしているが、それは琥珀の命を犠牲にすることになる。琥珀はそれを望んでいると呟く珊瑚だが、その顔に嫌だと書いてあると指摘した犬夜叉は、琥珀の命を諦める気はないと断言し、かごめも同意。刀では奈落を倒せないという桔梗の言葉を思い出しつつも、玉が完成する前に全員で奈落を倒す、と宣言する犬夜叉。そして四魂の玉の完成も阻止する、と決めた弥勒は、皆で心を一つにするから迷うなと珊瑚に説く。涙ぐんで皆に感謝する珊瑚。
 弟分二人を連れて墓場の谷間に入った鋼牙。同族の死体らしき白骨が居並ぶ不気味な谷の奥に丸い鏡のようなものが見える。それに映るのは五つの爪。突如眼前の地面がせり上がって三つ首の狼に変化。この先は通さないと喋った墓守の狼は、盗むのではなく借りに来たのだと釈明する弟分の言葉に対して、妖狼族代々の魂をまとう妖爪・五雷指は宝であり、貸すこともならぬと拒絶。ぶっ倒して手に入れる、と突っ込む鋼牙に墓守の三つ首が火を吹き…以下次号。

 鋼牙も決戦に向けて切り札を引っ張り出す気になったようです。気をつけろよと語る弟分の「おめーらも来るんだよ」と言われたリアクションの表情が笑える(^^;)。
 弥勒におまえも琥珀と同じように思っているのかと問われて「わからない」と悩む珊瑚。「いやだってはっきり顔に書いてあるぜ」と、らしい表現で反応する犬夜叉。鉄砕牙の束を突き出し「奈落を倒す。おれたちみんなでだ」と言い切ったのはまぎれもなく主人公の顔です。彼にとっては琥珀も身内同然なんですね。これだけ仲間を仲間として強調し、結束を主張したのは初めてじゃないだろうか。「決まりですな」と反応し、珊瑚に「おまえも迷うな」と言い聞かせる弥勒の顔も格好いい。退治屋の故郷は全滅しても、珊瑚は素晴らしい仲間達に恵まれました。
 地獄の番犬・ケルベロス…色々な漫画に登場した三つ首のモンスター。【犬夜叉】での登場は妖狼族の墓守でした。五雷指とは、おそらく引き裂くと同時に雷をくらわす類の武器なのでしょう。問答無用で突っかかるあたりは以前の犬夜叉によく似ている鋼牙ですが、使う目的が仲間の落とし前だと知ったら墓守はどう反応しますか。
 かごめ贔屓としては、今週は犬夜叉の「琥珀の命を諦める気はさらさらない」に、すかさず「みんな同じ気持ちよ」と続けるところですね。いつも彼の態度を皆に「通訳」してきたかごめですが、彼の成長がなにより嬉しいはずです。最終回まで、あと8話?

週刊少年サンデー44号掲載・第379話「かけらの異変」
 立っている腕から発されるのは間違いなく魍魎丸の臭い。肘の部分が皺寄ると突然目玉が表れ、腕の付け根は四つに裂けて牙まみれの口となり襲いかかる。鋼牙がこれをかわすと、噛み付かれた岩が泡立って溶ける。大蛇族の毒を吸収しているようだ。
 犬夜叉達は鋼牙の弟分二人を見つけ、鋼牙が魍魎丸の臭いを追って行ったことを聞く。執拗に鋼牙に食いつく腕。崖の上に飛び移ると、噛み付いた付け根の口の先から触手が伸びてくる。この時突然鋼牙の足に仕込んである四魂の欠片が脈打ち、足が動かなくなって触手に絡め取られる。崖を引きずられる鋼牙だが、かごめが放った破魔の矢が触手を溶かす。犬夜叉が魍魎丸の腕だと叫ぶと、腕全体が宙に舞い上がる。金剛槍破は空振り。逃がしたかと舌打ちする犬夜叉を余計なことをするなと殴った後、無視してかごめの手を握り助かったと語る鋼牙。弥勒は魍魎丸が妖怪の屍の寄せ集めであることから、新しい妖力を集めるために体の一部だけで行動しているのだろうと語る。
 魍魎丸は四魂の欠片を狙い続けるが、翠子の意思も四魂の玉を一つに戻そうとしていると鋼牙に説明するかごめ。自分の動きを封じたのがその昔の巫女の意思だというなら、自分は魍魎丸の腕に喰われるところだったと怒りを抱く鋼牙。翠子の意思がどう働くかがわからないからと用心を促すかごめに心配するなと返す鋼牙が、巫女の魂などねじ伏せてやると独白して…以下次号。

 喰った妖怪の能力を自分の能力にしてしまううえに、体の一部だけでも目や口を持てるってんだから魍魎丸は始末が悪い。白童子が遺した物騒な“鎧”は、毒を注ぎ込まれても武器を増やすだけなのか。しかし鋼牙の弟分達、足に四魂の欠片を埋め込んでいる兄貴じゃいっつも置いてけぼりにされるのも無理はない。追いかける度に息切れしてへたり込むのが、いと哀れ(^^;)。そろそろ名前をいただいてもよさそうなもんなんですが。
 魍魎丸も四魂の欠片を一つ持っているとはいえ、この状況下で鋼牙の動きを封じるというのはどういう意思なのか、翠子。もし近くにある欠片同士が無作為に引き寄せ合うのなら、琥珀を呼ぶ声もそれなのか。桔梗の体に入ったことで動き出した翠子の意思は、物語そのものを一本のうねりに巻き込もうとしています。犬かごに対する態度はいつもどおりの鋼牙ですが、妖怪の彼と巫女とではさすがに分が悪いでしょう。琥珀と違って命に関わるものでもないでしょうが、最後まで玉の復元に抵抗するのは魍魎丸ではなく、おそらく鋼牙です。ここへきてキーマンとして急浮上してきましたね。
 かごめ贔屓としては、今週は鋼牙を救った破魔の矢の一撃でしょう。百発百中では当然ないけど、大事なところでは実によく仲間を助けます。そうそう、表紙の「秋のお茶立てコスチューム」も可愛かった♪ さあ最終回まで、あと9話?

週刊少年サンデー43号掲載・第378話「大蛇の巣」
 犬夜叉は珊瑚に琥珀の言葉を伝えて詫びるが、弥勒やかごめも自分達を阻んだ結界が桔梗のものでなかったことを話す。桔梗が翠子の死魂を使ったことを犬夜叉から聞いた一行は、翠子の結界なのかと思案。
 覚えのある臭いを追って疾走する鋼牙と弟分達の前に倒れていたのは、大蛇の一族と呼ばれる妖怪。見たこともない妖怪に巣穴が襲われ仲間が喰われたという。肉を喰いちぎって大蛇の毒を注ぎ込んで逃走したという彼の目、口、喉を内側から突き破って出てきたのは触手化した肉塊。全身を覆い尽くして倒れ込んだそれから鋼牙は例の臭いを嗅ぎとる。浮き上がって飛行するそれを再び追う鋼牙。間違いなく魍魎丸の臭いだ。
 かごめの提案で鋼牙の行方を追う犬夜叉達。桔梗が翠子と意思を同じにするなら、鋼牙の足にある四魂の欠片を取りにいくはずだ。犬夜叉が桔梗と密会した件をついツッコんで空気を重くしてしまい、焦る七宝。四魂の玉が完成したら琥珀は死ぬ、その時を琥珀は待っているのかと悲しむ珊瑚。
 飛行する肉塊を追う鋼牙に蛇の臭いが届く。巣穴が近いと感じた時に林を突き破って出てきた腕が肉塊を受け止めて吸収。大蛇の穴の中に無数の一族の死体、その上に乗っていたのは魍魎丸の腕だけ。訝しむ鋼牙…で以下次号。

 琥珀の後髪を握りしめた珊瑚の心痛。桔梗の言葉で翠子と同じ魂と聞けば、琥珀だけを通したのはやはり翠子の意思なのかと皆考えますね。さあ鋼牙も登場してきていよいよ役者は揃いました。大蛇の一族でも人間型をしているのは、やはり機動性で便利だからだろうか? 一部の肉塊単位でも妖怪を喰い尽くしてしまうのが魍魎丸の凄いところ。大蛇の巣を襲った目的は、四魂の欠片を持つ鋼牙を誘い出すためなのか?
 「犬夜叉が桔梗とコソコソ会ったあとは、犬夜叉におぶさるのもいやがるのにのう」…これを声に出してしまうところが笑える七宝。かごめがそれとなく不機嫌さを雰囲気に表すだけで、妙にビクつくあたりが犬夜叉のユニークなところです。その点は自分が余計なことを言ったのかとビクつく七宝も同じ(^^;)。しかし珊瑚はそれどころじゃないようで、また別れ別れになった弟の覚悟を悲しむ。なんとか琥珀が助かる方法はないものなのか。
 さあついに今回でコミックス38巻分の連載が終わりました。前作【らんま1/2】越えの達成です。高橋作品空前の長さになった【犬夜叉】ですが、鋼牙も登場して今度こそあと10話で結末を迎えるのでしょうか。最後の戦いが刻一刻と迫る雰囲気です。
 かごめ贔屓としては、いきなり「桔梗と会ったの?」と訊くのがさすがの直感。おそらく、次に探すべきは鋼牙と提案したのがさすがの賢さ。「七宝ちゃん、声出てるわよ」と「会ったあとでね。いっつもそう」と「だから文句言ってないじゃない?」の言葉とそれぞれの表情・目つきに乾杯!

週刊少年サンデー42号掲載・第377話「使命」
 奈落を倒すためなら自分はどんなことでもする、と決意して駆ける琥珀。意識を取り戻した桔梗は再び立ち上がり、自分の胸の傷を塞いで瘴気を消したのは翠子の死魂の力であり、その意思もまた奈落を倒すことだと犬夜叉に話す。もう二度と傷は開かないのかと訊く犬夜叉だが、わからないから急ぐのだと返す桔梗。犬夜叉はその腕を掴み、俺が奈落を倒すまで待てないのかと食い下がる。桔梗は振り向いて聞けと促し、真意を語り始める。刀では倒せない、何度砕いても同じことで、鬼蜘蛛の汚れた魂に数多の妖怪が寄り集まった奈落には本当の体などなく、それを倒すには四魂の玉によって魂ごと消すしかないというのだ。
 この二人の会話を琥珀は木陰で聞いていた。桔梗は一刻も早く四魂の玉を完成させねばならない、と続ける。奈落が完全な四魂の玉を手にした時に玉はその手の内で汚れて同化する、その刹那を狙って玉ごと浄化するのが唯一の機会。それは自分にしかできないという桔梗。驚く犬夜叉の前で、死魂虫の放った魂に囲まれて桔梗は飛び立つ。玉が完成するということの意味を必死に伝えようとする犬夜叉だが、声は届かない。もう迷っている時間がないと独白する桔梗。玉の完成は琥珀の死であり、桔梗はその命を引き替えにすることのできる女じゃない、と考える犬夜叉の前にその琥珀が姿を見せる。自分のすべきことがわかったから行くと話し、姉に渡してほしいと後髪を斬って置く琥珀。止めようとする犬夜叉を結界が阻む。これが琥珀の匂いを遮断していたのだ。
 どこへ行くつもりだと叫ぶ犬夜叉。奈落を倒すために行く、姉を頼みますと言い残して駆け出す琥珀。犬夜叉は赤い鉄砕牙で結界を切り裂こうとするが、これもはじき返される。歯軋りする犬夜叉の前に残されたのは琥珀の後髪…以下次号。

 琥珀を呼んでいるのは翠子の意思だと思っていたんですが…死魂虫が先導しているのだからすべて桔梗がやっているんでしょうか? その琥珀にも聞こえるところで、奈落を倒す唯一の方法を話すとは。自分以外にそれができる者がいないならもう時間がないと。違うぞ桔梗、それが正しいなら奈落の心臓とは一体何だ。なぜ心臓が別の意思を持って別行動を取っているんだ。本体そのものが存在しないというのなら、なぜ心臓は存在しているんだ。犬夜叉に語ったことはすべて真実なのか。琥珀の命を奪うのではない、別の考えがあるんじゃないのか。そういう女だからこそ、犬夜叉は彼女に惚れたはずです。
 切羽詰まった状況が加速するなか、琥珀は後髪を斬る。「姉上に…いつも一緒にいると…」それじゃ遺髪ではないか。やっと本当に再会できたばかりなのに、「死ににいくんじゃない。奈落を倒すためにいくんだ」とは…先日神楽の死を見送った琥珀、その悟ったような笑顔があまりに辛い。桔梗も琥珀も主人公とヒロインを何だと思ってる! と冗談はさておき、皆が次々と命を落とそうとするのを指をくわえて見ているほど、この作品の主役はヤワじゃないですぞ。
 かごめ贔屓としては、今週一コマも出番がなかったからこそ、その役割を確信しています。なぜ現代の少女が戦国時代の半妖と出会ったのか。その答えがまもなく、必ず描かれるでしょう。

週刊少年サンデー41号掲載・第376話「同じ魂」
 滝に打たれて身を浄める桔梗は、奈落に胸を貫かれた時のことを思い出しつつ瘴気のしつこさに眉をひそめる。死魂虫を追ってやってきた犬夜叉が声をかけると、桔梗は右肩から走る傷を示す。胸まで続くこの傷跡は白霊山で奈落につけられたもので、一時は治ったと思われたがまた開いてきたというのだ。それだけ奈落が自分を呪う気持ちが強い以上、翠子の死魂を取り出して使わなければこの体は瘴気に蝕まれて土と骨に戻ってしまうという桔梗。翠子は妖怪と差し違えて死んだ巫女であり、桔梗とは同じ魂を持つ…死魂虫が放った魂が体に飛び込むと、その衝撃で桔梗は気を失って滝壺に沈む。あわてて抱き起こした犬夜叉の眼前で塞がっていく傷跡。
 退治屋の里の家屋で就寝中のかごめ達。犬夜叉は桔梗の気配を感じて一人で残ったのかと思案するかごめは、琥珀の首筋の四魂の欠片がなにかに共鳴するように光るのに気付く。行け、という欠片の声を聞いて跳ね起きた琥珀。三匹の死魂虫が姿を現し、皆を誘うように外に出る。追いかけようとしたかごめ、弥勒、珊瑚達だが結界に阻まれて進めない。桔梗の結界なら自分は通り抜けられるからこれは別のものだと直感するかごめ。しかし琥珀だけがこれを通過。戻れと叫ぶ珊瑚に心配しないでと声をかけ、奥へと走る琥珀。欠片が奈落を倒すために行けと言っているのだ。静かに佇む翠子の木乃伊だが…以下次号。

 胸よりは上とはいえ、男に対して自ら首筋を開くなんてのは、ちょっと巫女としては考えにくいこと。やはり桔梗にとって犬夜叉は特別なのでしょう。コミックス第18巻で「おまえ以外の男には髪の毛一筋も触れさせはしない」と語ったのはダテじゃない。しかしいかにまがいものの体であっても、愛した男に深い傷跡を見せるのは辛かろうに…あくまで厳しい口調で話す桔梗の言葉には並々ならぬ決意を感じます。何百年も前に木乃伊となった翠子から死魂を取り出すことができるとは、なんと魂とは長くこの世にあるものなのか。翠子の悲劇は桔梗の代になっても繰り返された。これを断ち切ることができるのは、果たして誰の力なのでしょうか。
 翠子が眠り続ける四魂の玉の欠片が琥珀を呼ぶ。桔梗の決断によって呼び覚まされた翠子の意志が、なにかを琥珀に伝えようとしています。物語が様々なキャラクターの生き様と因縁をゆっくりと絡め取りながら、クライマックスに向かって動き出しているのを感じます。残る欠片を足に持つ鋼牙もそろそろ登場か。盛り上がってきました。
 かごめ贔屓としては、やはり犬夜叉が桔梗を気遣うことを直感してしまうあたりが辛いところですが、真っ先に「行こう!」と小屋を飛び出すあたりがいいですね。しかし今週はヒロインが結界に阻まれるという珍しいシーンを見ました。さすが桔梗の大先輩にあたる翠子の貫禄です。

週刊少年サンデー40号掲載・第375話「胸の穴」
 山越えをしようとする僧の師弟が峠で桔梗と遭遇。妖怪と思い込んで僧が突き出した魔除けの護符を焼き尽くされ、師弟はあわてて逃げ出す。式神の胡蝶と飛鳥が傍らに控える中、桔梗は並の人間が結界を通り抜けてきたことに危機感を抱く。このままでは奈落を倒す前に…とつぶやく桔梗。
 犬夜叉一行は荒れ果てた退治屋の里に来ていた。父親と仲間の墓の前で俯く琥珀を慰めながらも、まだ連れてくるのは早かったかと思う珊瑚。この里で異変が起こっていると主張する冥加に、墓参りのついでだと返す犬夜叉だが、珊瑚と琥珀をそっとしておこうというかごめの意見で、弥勒、七宝、冥加と翠子の洞穴に向かう。翠子と妖怪集団の木乃伊の場所には奇妙な現象が起きていた。四魂の玉の誕生の源である翠子の胸の穴に光が点り、結界が張られているのだ。結界の中には虫の蛹のようなものが浮かぶ。ただごとではないと言う冥加。
 一人で見張るという犬夜叉をその場に残して里に戻ったかごめ達だが、あの結界は邪なものではなく清浄なものだったという弥勒の言葉にかごめは何かを予感する。夜更けに犬夜叉の眼前で蛹が孵化すると、現れたのは桔梗の死魂虫で、何かを持って外に飛び出す。やっぱり桔梗か、何をしようとしていると後を追う犬夜叉。滝の元で身を清める桔梗が、もはや引き返せんな、と独白して…以下次号。

 かつて桔梗の結界を素通りできたのはかごめだけだったのが、一介の僧が易々と通り抜けてしまい姿を見られる。能力の低下は桔梗の存在自体が弱まっている証なのでしょうか。焦りが出なければいいんですが…。
 住む者がいなくなって荒れ果てた退治屋の里はまさに仲間達の墓地。父の亡骸が眠る場で自分が許せないと肩を振るわせる琥珀が痛々しい。一つのけじめの意味はあったでしょうが、仇を打つまでは気持ちの整理は難しいかもしれません。しかし生き残った姉弟が力を合わせることを、父と仲間もきっと喜んでくれるはずです。
 久々に目にする翠子の木乃伊ですが、よもやその胸の穴に桔梗が死魂虫の卵を植え付けていようとは。考えられるのは四魂の玉の一方の主であった翠子の絶大な霊力を借りること? それとも鬼蜘蛛同様に巫女にあさましい想いを抱いた人間の男の妄念に関係すること? この物語の始まりの、さらにその先の因縁から続く謎解きがいよいよ始まったという気がします。奈落の存在が翠子の時代からの悲劇の繰り返しであるなら、原点もろとも滅し去るしかないのか。もはや引き返せないという桔梗の言葉に、重大な決意がありそうです。
 かごめ贔屓としては、今週は以前翠子の洞穴に入った頃との仕草の変化ですね。作中では約半年経ったくらいでしょうけど、犬夜叉の衣の裾を握る姿がすっかり定着してます。恋心を自覚してヒロインも変わりました(*^_^*)。

週刊少年サンデー39号掲載・第374話「風」
 琥珀を加えた犬夜叉一行が走る。琥珀の命を救ってくれた神楽を死なせるわけにはいかない。一人佇む神楽は、まぎれもなく動く自分の心臓の鼓動を感じる。自由になった自分はもうどこにでも行ける…しかし体が動かない。瘴気があふれ出してじりじりと体を消していく。静かで誰もいないこの場で、ただ一人で終わることが自分の求めた自由なのか。哀しげな神楽の瞳に映ったのは殺生丸だった。
 奈落の瘴気の臭いを追ってきたという彼の言葉に、自嘲気味に口元を緩める神楽。奈落でなくてがっかりしたかいと答えると、おまえだとわかっていたと殺生丸が返す。神楽は目を見開き、わかっていて来てくれたのかと独白。天生牙に手をかける殺生丸だが、神楽の周りにはあの世からの使いが見えない。天生牙では救えないのだ。いくのか、と殺生丸が訊くと、「ああ…もういい…」と神楽が最期の言葉を放つ。たどりついた犬夜叉達の眼前で神楽の全身から瘴気が吹き出し、一枚の羽を残してその体が消えていく。一陣の風が吹き、涙するかごめ。唇を咬んだ犬夜叉は去ろうとする殺生丸を乱暴に呼び止めると、神楽は苦しんでいたか、とだけ訊く。
 殺生丸が視線を向けた先に舞う一枚の羽。犬夜叉達もまたそれを見上げる。また風が吹いて飛んでいく羽に向かい、笑っていたと一言返して去っていく殺生丸。吹き続ける風の中に神楽の独白が響いて…以下次号。

 弔辞。…姐さん、本当に身軽になっちゃったねえ。結構身長もあったのに、薄い羽になっちゃったねえ。姐さんはいつも元気に空を飛んでた。空を飛ぶのは高橋作品キャラの特権だし、ずっと続いてきたロマンとポリシーの表れなんだよね。姐さんはたしかに悪役だった。屍舞という技もえぐいもんだった。でも風刃って武器には一種の爽快さがあったよ。姐さんは我が強かったけど、それも自分の生き方は自分で決めるっていう強さだった。その強さが、他者を利用するだけの奈落への反発に繋がった。
 姐さんが赤子の隠れ先を教えてくれたから、犬夜叉達は目標を特定できた。姐さんが琥珀を逃がしてくれたから、珊瑚は弟とやっと本当に再会できた。姐さんは【犬夜叉】に欠かせない重要キャラだった。だから一人だけで消えていくなんてやりきれないよね。瘴気に蝕まれたら天生牙でも救えないなんて、悔しいよ。でも殺生丸は救おうとしてくれたよね。姐さんがいるとわかってて来たんだよね。それで満足だったかい? 最期に一目会えただけで、笑えたのかい? …欲のないキャラだよ姐さんは。なんて求めるもんがつつましいんだか。
 姐さんはやっぱり風だ。風だから身軽だ。どこにでも行ける。どこにでも出てくる。もうあの元気な口上は聞けないけど、今日もほら、上で飛んでる。風が吹いたら俺達読者は姐さんを思い出す。思う存分自由に飛び回ってや、姐さん。ぐす(;_;)。
 神楽。享年約5ヶ月。まぎれもなくこの作品の顔の一人でした。
 かごめ贔屓としては、風が吹いた時にさりげなく犬夜叉の衣の先を握る仕草に一票。さあ次週から新展開だそうで、今度こそ最終章でしょうか。魍魎丸(赤子)がまだ何か次の手を考えるとしても、奈落との三つ巴の争いが数々の謎解きを交えながら鮮やかに奏でられていくことと思います。

週刊少年サンデー38号掲載・第373話「姉弟」
 駆け寄った珊瑚が琥珀を抱き起こすと、首筋に伸びていた触手が崩れ落ちる。四魂の欠片は無事だった。生きていると涙する珊瑚。犬夜叉は魍魎丸に向かって、お前の中身は奈落の赤子だと直言。神楽が喋ったか、と薄笑いの魍魎丸は金剛槍破を上空に飛んでかわすと、いずれその刀の妖力も喰い尽くしてやると捨て科白を残して逃走。なぜ闘わずに逃げたんだという七宝の疑問に、まだ金剛槍破の妖力を吸うほどの力がないのだろうと語る弥勒。
 目を開けた琥珀はまた飛び退く。逃げないでとの珊瑚の言葉で、ついに記憶を取り戻したことを告白した琥珀だが、あの日のことも思い出したから一緒にはいられないと言う。父と仲間を手に掛けた自分は姉を苦しめるという魍魎丸の言葉が突き刺さっているのだ。奈落が記憶のことを気付いていないから、と続ける琥珀に一人で何ができると叫ぶ珊瑚。誰も琥珀のかわりにはなれない、と諭すかごめ。犬夜叉は風に乗って漂ってきた奈落の瘴気と神楽の血の臭いを察知し、急がなければ危ないと語る。神楽の名を聞いて自分も行くと即座に返す琥珀。当たり前だと反応する犬夜叉。
 神楽は飛行する余力もなくして一人佇んでいた。生気が消えつつある目が寂しげに…以下次号。

 殺生丸との戦いで、犬兄弟の爆発的な妖力を吸い尽くすには力不足だと認識した魍魎丸。さすがにあの赤子が中にいるだけあって知恵が回ります。四魂の欠片をもっと集めなければ不利と判断するとあっさり撤退。おそらく標的を鋼牙に変更するのでしょう。
 姉上…と呼びかけた琥珀に、私がわかるんだね、思い出したんだねと迫る珊瑚。なにもかも思い出したからこそ、一緒にはいられないと話す琥珀。一人で何ができると叱る珊瑚。互いに苦悩の中で強い意志を育み、退治屋の戦士として逞しくなっていった素晴らしい姉弟です。かごめの言葉に対して、弥勒でも珊瑚のさみしさは埋められないということじゃなとツッコむ七宝に、私のかわりもいませんよと返す弥勒の掛け合いもまた絶妙でした。さて、近づく死の瞬間を悟ったような神楽の胸中に去来するものは…。
 かごめ贔屓としては、今週は姉弟にかけた言葉が秀逸。『珊瑚ちゃんのそばにいてあげられない? ほかの誰も、琥珀くんのかわりにはなれないのよ』。このヒロインの声には何の気負いも衒いもありません。ただ無意識のぬくもりがあるんです。
 さて勝手にカウントダウンをしてきましたが、「あと5話」の段階になっても未だ桔梗も鋼牙も出てこないというのは、さすがにストーリー上無理があります。どうやらコミックスでは第39巻に突入する可能性が高まってきました。いよいよ過去の長期連載を上回り‘未知の領域’に踏み込むか【犬夜叉】。

週刊少年サンデー37号掲載・第372話「終わらない苦しみ」
 これがお前の体に戻ればお前は自由だ、と奈落が言うなりその掌の上の心臓が消え、神楽の左胸がドクンと脈打つ。心臓が戻った!と神楽が感じた途端、触手が飛んできて胸を貫かれる。心臓は避けてやったぞ、と薄笑いの奈落に、神楽は怒りの風刃をぶつけるが結界がこれをはじく。よろけながらその場を逃げ出す神楽だが、瘴気を注ぎ込みやがったなと歯ぎしり。死までの残り短い間、絶望と苦痛を感じるがいい、それが貴様の求めていた自由だと冷酷に独白する奈落。
 珊瑚を挟んで魍魎丸と対峙した琥珀は、この妖怪の中に奈落の心臓である赤子がいるという神楽の言葉を思い出し、珊瑚から引き離すべく戦いを挑む。鎖鎌を魍魎丸の左腕に巻き付けて飛び退き、自分の四魂の欠片を獲ってみろと挑発する琥珀に、奈落の操り人形だったお前が己の意思で動いているようだ、と応じる魍魎丸。触手の攻撃をかわしながらジリジリと遠ざかるうちに珊瑚は目を覚まし、懸命に戦う弟の姿に気付く。
 魍魎丸の触手から赤子の手が出てきて琥珀の足に触れ、琥珀が記憶を取り戻していることや死を覚悟していることが読みとられる。子猫サイズに戻った雲母を抱えて駆け寄ってくる珊瑚に、来るなと大声で叫ぶ琥珀。決死の鎖鎌の一撃が魍魎丸の首を刎ね飛ばすが、その口元も気がすんだかと余裕の笑いで触手が琥珀の首筋に伸びる。四魂の欠片を獲られれば終わりだ。悲鳴をあげる珊瑚。飛び込んだ犬夜叉が鉄砕牙で魍魎丸の腕を切り裂き、間に合ったか!?と琥珀の方を睨んで…以下次号。

 とことん奈落というキャラは、他者に苦悩を与える趣味があるようです。死に近づく苦痛が自由の代償だ、と嘯く様は悪役の中の悪役ですね。瀕死の神楽が行き着く先は、やはり殺生丸の眼前でしょうか。言葉を交わすだけの余力が残っているかどうか…天生牙は間違いなく脈打つでしょう。神楽がりんと邪見に次いで「三人目の命」を与えられることを祈ります。
 そんな弱々しい武器で刃向かうつもりか、と見下されながらも戦う琥珀の姿は、人間の勇気と誇りの象徴です。赤子は鎧である魍魎丸の意志そのものとなって手足のように動かし、他者の体に接触することで心を読みとる。弟が父親を殺したことを忘れられない姉の苦しみは、お前が死ななければ終わらないとほざく魍魎丸の言葉が実に憎々しげです。魍魎丸の体は伸縮自在の鎧にすぎないから、外見上の首を刎ねられても痛くも痒くもなく、赤子自身はあちこちに体を移動させているのでしょう。あくまで姉を庇うため、来るなと叫ぶ琥珀に珊瑚は何かを感じ取る。姉弟の強い絆があと少しで戻るという時に、獲られたのか四魂の欠片!?
 かごめ贔屓としては今週は出番なし…先週トビラ頁の「あらすじ&キャラ紹介」を特別視しましたけど、よく見ると他の連載漫画でも一斉に同じことをやってましたお恥ずかしい<(_ _)>。さて「あと6話」とほざく私の予想が大外れになることを、実は望んでたりする今日この頃です。

週刊少年サンデー36号掲載・第371話「神楽の心臓」
 神楽に向かって、白童子は死んだようだなと淡々と語る奈落。てめえがそう仕向けたんだろうが、と内心で吐き捨てる神楽。奈落は白童子の企みを愚かなことだと嘲笑すると、次はあたしの番かと身構える神楽に、唐突に自由をやろうと言い出す。
 奈落の臭いを察知し、突然その方向に進路を変える殺生丸。妖気の結晶が反応している方向は違うのに、と戸惑う邪見。一方琥珀を懸命に追う珊瑚だったが、既に地に降り立っていた琥珀は岩陰からこれを伺うとひっそりと駆け出す。あくまで自分一人で奈落を討ち果たすつもりなのだ。雲母が邪気を感じて身震いすると、横には洞穴が。突然触手が飛んできて魍魎丸が出現し、きさま一人かと言うなり触手で雲母の前足を捉える。とりこませてたまるかと飛来骨で切り裂く珊瑚。飛来骨を叩き落とした魍魎丸は翼を出して飛び上がり、圧倒的なスピードとパワーで珊瑚に襲いかかる。走る琥珀もこれに気づく。
 二つの四魂の欠片の気配がどんどん近づいている、と叫ぶかごめを背負う犬夜叉は、神楽の言葉を思い出して琥珀が危ねえと疾走。触手に捕まり、雲母ごと地面に叩き付けられた珊瑚は卒倒。この光景に驚いた琥珀が思わず駆け寄り、飛び降りてきた魍魎丸に見つかってしまう。
 神楽と向かい合う奈落は、お前はわしから解放されたいからわしの心臓のありかを探っていたのだろう、と余裕の発言。そこまでわかっていて何を言い出す気だ、と警戒する神楽に、奈落が右手を差し出すと掌の上に脈打つ心臓が現れる。返してやろう、と言う奈落に神楽は戸惑い…以下次号。

 真のワルは優しそうな顔をして罠を仕掛けるものです。神楽が渇望する‘自由’をちらつかせ、心臓まで差し出して口説く奈落は、まだ何の条件も出さないから不気味。無条件のまま返したらもっと薄気味悪い。条件を出そうが出すまいが、神楽の行動を予見しているのでしょう。さあ神楽の心臓を目にしたら殺生丸はどう行動するか。注目です。
 珊瑚は十分強いキャラなんですが、いざ強敵とサシで戦うことになるとハラハラさせられます。片割れである白童子が死んだことくらいは察知しているだろうに、魍魎丸の中にいる赤子は別段ショックを受けているわけでもなさそうで、さすが悪役一派は肝が太いというか冷徹というか。あれだけ強化されてりゃ珊瑚の退治屋技術では敵わない。姉の身を案じて思わず飛び出してきた琥珀は、魍魎丸にとっては棚ボタです。こっちは間一髪で風の傷炸裂か。私的には破魔の矢の方が効果が大きいとみますが。
 さて今週はトビラ頁に異例の「これまでのあらすじ」とキャラ紹介が載っていました。単行本収録の際は外されると思いますが、やはりこれは今回の連載収録巻である第38巻で完結になることを暗示しているように思います。
 かごめ贔屓としては、今週はわずか2コマながら凛々しい表情を見つつ「あと7話か…」としみじみ。毎週カウントダウンを続けるのも、ちと複雑です。

週刊少年サンデー35号掲載・第370話「白童子の最期」
 白童子は神楽に、どうせ奈落に殺されるのなら魍魎丸の中で生き延びろと語りかける。神楽を魍魎丸に吸収させるつもりかと叫ぶ弥勒達。神楽はふざけるなと風刃で切り裂くが、白童子は平然として再生しながらたとえ奈落でも自分は殺せないと勝ち誇る。しかし別の地にいる奈落の口元が怪しく緩むと、白童子の結界が突然消える。結界の中に囚われていた神楽が地上に降り立つと同時に犬夜叉が風の傷を一閃、白童子の体は粉々になる。それでも再生する白童子の首に、弥勒が右手を向けるが例によって周囲を取り巻く最猛勝の群れ。ところがその最猛勝達までが一斉に去っていく。驚く白童子の首に向かって神楽は、お前の方が先に見切りをつけられたらしいな、と吐き捨てる。
 貴様と一緒にするな、と瘴気を一面に撒き散らす白童子。かごめが矢を射って瘴気を浄化すると、白童子の再生中の上半身が薙刀を神楽に振り下ろしていた。奈落の道具にすぎない神楽とは違う、自分は本物だと独白する白童子だったが、ここで弥勒が風穴を開き、ついに白童子は残骸とともに弥勒の右手に吸い込まれて消え失せる。
 気分が悪い、奈落に利用されたようだと語る弥勒。奈落は俺達を使って白童子を始末させやがったんだと言う犬夜叉。かごめは神楽に一緒に行こうと声をかけるが、今更お前達とはつるめないと断り、琥珀の四魂の欠片を狙う魍魎丸を急いで探せと告げる神楽。犬夜叉は、お前の心臓もついでに取り返してやるからそれまで死ぬなよと怒鳴る。背を向けたまま頷いて神楽は飛び去るが、逃げ抜いてやると飛ぶその行く手に突然奈落が姿を現し…以下次号。

 まさか今週で悪徳商会・奈落興業のワガママ御曹司とお別れになるとは思いませんでした。奈落が神楽に与えた最後の仕事とは、身内の謀反をあばくことだったわけか。叛意を明らかにしたところで即座に見捨て、しかも犬夜叉達の手で始末させるあたり、奈落は実に狡猾でラスボスの面目躍如です。これは弥勒が気分が悪いのもよくわかる。白童子は結局心臓の実体ではなくて虚像にすぎなかった。残された赤子(魍魎丸)は、奈落に逆らうとどうなるかをこれ以上ない形で警告されましたね。
 さて、これでとうとう神楽は‘用済み’にされちゃったんでしょうか。しかしそれなら奈落がわざわざ眼前に姿を見せますかどうか。まだ利用価値があるとみているなら、それは魍魎丸の監視か? 巨魁の会長は、神楽の心臓を突き出してこれと自由が欲しいならもう一仕事してみるか、くらい言いそうです。神楽が玉砕を選ぼうとした時に乱入するのが殺生丸だったら、こりゃもう滅茶苦茶格好いいけど…。
 かごめ贔屓としては、今週は白童子の最後の煙幕となった瘴気の浄化と、神楽にかけた言葉ですね。これまで犬夜叉に数々の‘仲間’を作ってくれたヒロインは、他者を利用するだけ利用して平然と切り捨てる奈落と、ものの見事に対極の位置にいます。奈落と決着をつけるべき宿命は、もしかすると主人公の犬夜叉よりもヒロインのかごめの方にあるのかもしれません。あと8話…最後まで応援します。

週刊少年サンデー34号掲載・第369話「白童子の真意」
 珊瑚は飛ばされた琥珀を追う。犬夜叉は神楽に白童子と争う理由を問い質すが、白童子は結界から風の傷を跳ね返しておいて神楽に突進。長刀を風刃ではじく神楽。横から飛び込んだ犬夜叉の鉄砕牙を白童子は結界で受け止めて後退。自分に背中を向けていいのかと神楽は問うが、犬夜叉はいつもの憎まれ口。かごめと弥勒は、神楽が琥珀を守ったと話し、琥珀が狙われる理由は彼の四魂の欠片だと確信。
 犬夜叉は、白童子が逃げないのは神楽を始末するためだとして、知っていることを吐けと神楽に怒鳴る。赤子の居場所をバラされたくないんだろうとの神楽の言葉に驚くかごめ。妖気がなかった魍魎丸が奈落の心臓だと思った自分達だったが、赤子はどこだと神楽に訊く弥勒。言ってもかまわんと結界を解く白童子。犬夜叉が金剛槍破を放つが、白童子は一瞬で背後に移動し、結界の中に神楽を取り込む。神楽もろとも斬ってみろと言う白童子に悔しがる犬夜叉。甘い野郎だと舌打ちした神楽は、結界の中で風刃を横薙ぎにはらって白童子の体を切り裂くと、赤子は魍魎丸の中だ、白童子達は奈落にとってかわるつもりだとついに犬夜叉に言い放つ。
 白童子と赤子も奈落を裏切ったのかと驚く犬夜叉達。白童子は体を修復しながら自らの野心を語り始める。奈落は心臓を外に出し、それを守るべく不妖壁を渡したが、赤子は魍魎丸という強い鎧を作り、心臓のない抜け殻である奈落がそれを守り続ける以上、魍魎丸が強くなればますます奈落の手が届かない存在になる…いずれ我々の方が本物になるというのだ。奈落がそんなことを許すわけがないと吐き捨てる神楽に、裏切り者同士でもお前の心臓は奈落が握っていると言い返す白童子。一人で何かを右手の内に握る奈落…以下次号。

 ううむ、そういう意図だったのか。たしかにいくら奈落でも自分の心臓に手を出すわけにはいかない。その意味でやりたい放題の赤子と白童子なら、強靱な体さえ手に入れれば奈落以上になれるわけだ。少なくとも奈落に従っている必要もないと。しかし、それなら一体奈落はどういうつもりで神楽に“最後の仕事”を与えたんでしょうか。神楽はもとより、白童子らの真意を確かめるためでしょうか。わかったとして、どんな手を打てるんでしょうか。
 もう一つ気になるのは神無です。彼女も赤子と一緒に魍魎丸の中にいるんでしょうか。奈落が最後のコマで手にしているのは、もしや神楽ではなくて神無の心臓だったりして…それがどんな意味を持つのかはわかりませんが、あの悪賢い奈落がむざむざこの自体を傍観しているとも思えません。風雲、急を告げてきました。琥珀を追った珊瑚は、今度こそ弟が記憶を取り戻したことを知ることができますか。
 かごめ贔屓としては、弥勒の言葉から真っ先に琥珀の命を案ずるところでしょう。戦国にやってきてから約8ヶ月(私の推測ですが^^;)、ヒロインの冒険もクライマックスを迎えようとしています。出会った仲間達、戦うべき宿敵、そして運命の出逢いをした半妖の少年。あと9話か…最後まで応援します。

週刊少年サンデー32・33合併号掲載・第368話「神楽の決意」
 神楽は琥珀に、心臓の赤子が魍魎丸という妖怪の中に入ってしまい、お前の四魂の欠片を使いたがっているから苦しまずにここで死ねと言う。これを聞いて、自分を連れて行って差し出せと返す琥珀。自分を操った奈落に命にかえても一太刀浴びせなければ、あの世で父達に重ねた罪を詫びることもできないというのだ。琥珀の意志の強さを感じる神楽だが、一太刀は無駄に終わって四魂の欠片を抜かれ、自分の主が赤子に変わるだけか…と思い始める。
 突然風刃で琥珀の持つ妖気の結晶を砕き、これでもう心臓は追えない、逃げろと言い放つ神楽。驚く琥珀に、お前の四魂の欠片を取られたら魍魎丸が強くなるだけで、無駄死にの上に赤子には手が出せなくなると言う神楽だが、そこに結界をまとった白童子が出現。奈落も魍魎丸も裏切るわけか、とにやつく白童子に、神楽は赤子とお前達の狙いは奈落にとってかわることだろうと言い返す。お前にしてはよく考えついた、と薙刀で襲いかかる白童子。風刃で応戦する神楽。白童子の結界は風刃を吸収して跳ね返してくる。神楽は羽を抜いて琥珀の身を乗せ、降り方は自分でなんとかしろと叫んで琥珀を飛ばす。逃がすかと追おうとした白童子の結界に風の傷が衝突。
 到着した犬夜叉とかごめ達は神楽の行動を見て驚いていた。珊瑚に琥珀を追えと言う弥勒。戸惑いの表情で飛びかける犬夜叉を神楽は黙って見返し…以下次号。

 今週で神楽は思い切りファンを増やしたでしょうねえ。元々自由志向が強かったこともありますが、彼女を最後の反乱に向かわせたのは、悲壮なる琥珀の決意でした。人間の誇りと意志でした。自分が犯した罪への償いは命を賭けて果たすという琥珀の激白が、間違いなく彼女を動かした。琥珀の生き様もまた、胸を打つこの作品のポリシーです。珊瑚が琥珀の本心を知る時がようやくやってきたようです。
 神楽の読みが正しいなら、白童子は反会長派で寝首をかこうと狙うのか? 鬼蜘蛛(以前の無双)の部分が白童子になったのなら、奈落に反旗を翻すのも当然です。赤子は奈落の心臓なんだから、反乱分子でも奈落は自分の心臓を手に掛けることはできないというわけか。今後は三つ巴の戦いになりそうです。桔梗と殺生丸はいつ、どんな形で参戦するでしょうか。
 さて今回でコミックスではついに37巻目までが終了。以前高橋先生が語った「らんまを越えることはない」がそのままなら、いよいよあと連載は10回、ラストスパートのカウントダウンに入ります。ついに奈落一派と決別した神楽は、犬夜叉に何を語るでしょうか。すぐにでも奈落は神楽の心臓を握り潰すかもしれない事態ですが、どうする、どうなる?
 かごめ贔屓としては、今週もわずか3コマを拝みつつ次週はお休みです。

週刊少年サンデー31号掲載・第367話「赤子の居場所」
 魍魎丸追跡を始めた犬夜叉一行だが、不妖壁を持っている魍魎丸が奈落の心臓なら、自ら前面に出てきて戦うことが奈落の命令とは思えない。一方、神楽を連れて洞窟に撤退した魍魎丸は、周囲に積んである妖怪の残骸を触手で取り込み、体の再生を始める。また戦っても無駄だぞと言う神楽の足を触手で掴んで引き倒し、琥珀を連れてこい、背中の欠片を自分が使うと魍魎丸は言い放つ。その琥珀が持つ妖気の結晶から妖気が弱まり、奈落の心臓は近くにあると琥珀は駆け出していた。
 神楽は、密かに奈落の死を望んでいて殺生丸に不妖壁を捜す手がかりを渡し、琥珀にも同じものを与えたことまで魍魎丸に見抜かれてしまう。心を読むのかと驚愕する神楽が気付くと、足を掴む触手の先は赤子の手に変化していた。不妖壁を持った赤子は、そのまま魍魎丸の中にいたのだ。触手の先が足に同化し、この場でお前を取り込んでもいいと脅す魍魎丸。恐怖した神楽が言うことに従うと答えると、生き延びたければ四魂の欠片を使ってこの体を奈落を凌ぐほどに強くするしかないと魍魎丸は言う。背中に仕込んだ四魂の欠片を取られれば琥珀は死ぬしかない。しかしいずれは奈落によってそうなる運命であり、奈落が取るか魍魎丸が取るかの違いでしかない…神楽の心はそのまま魍魎丸に読みとられていく。
 かごめはもう一つの四魂の欠片の気配を察知。琥珀が近くにいる、とわかって焦る珊瑚。琥珀の前に現れた神楽はいきなり風刃で攻撃。ここで死ね、あいつはもうお前がかなう相手じゃないと言う神楽に琥珀は驚き…以下次号。

 悪役商会・奈落興業の派閥抗争はいよいよ最終局面に入りました。白童子が御霊丸の魄と数多の妖怪の残骸から作り上げた魍魎丸にはもう一方の赤子が潜み、自分の魂で体を動かして奈落以上になろうと企む。反会長派だった神楽は脅迫されて魍魎丸派へ。神楽と組んでいた琥珀は用済みとばかりに始末されかける。じゃあ白童子は一体会長派なのか反会長派なのか? 元々妖気を持たない中間派と思われていた神無が、以前赤子が分断された時に「いずれこうなるべきだった」とつぶやいた言葉はこの事態を予言していたのでしょうか。しかし会長の方は「全てお見通し」の余裕綽々みたいなんですが…。
 利害が一致したから組んでいたにすぎない琥珀でも、その命を奪うことにまるで‘良心の疼き’のようなものを表す神楽にはいささか驚きです。かつて鋼牙の仲間である妖狼族を冷酷非情に惨殺して屍舞で操った頃に比べると、ずいぶん彼女も変わりました。魍魎丸に欠片を取られて死ぬよりは、いっそ自分の手で…と刃を向ける神楽に、琥珀はどう対処するのか。犬夜叉達はまだ遠くにいる。自力で反撃できるか琥珀。
 かごめ贔屓としては、今週は6コマしか出番がなくて残念ですが、犬夜叉の背中に乗りっぱなしで一行のナビゲート。見慣れた光景も次第に大詰めに来ています。一行がたどり着くまで、持ちこたえろ琥珀!

週刊少年サンデー30号掲載・第366話「器」
 魍魎丸は殺生丸の妖気を吸い尽くすと豪語するが、殺生丸は委細構わず闘鬼神を振るい続ける。魍魎丸を強くするだけだと嘆く七宝に、深いお考えがあるのだと言い返す邪見。魍魎丸の右腕に絡め取られた状態の犬夜叉を案ずる弥勒は、夜が明けて半妖に戻れば魍魎丸に吸収されてしまいかねないと危惧する。破魔の矢を射とうと構えるかごめ。しかし魍魎丸の腕に異変を感じた犬夜叉は射つなと叫び、かごめは戸惑う。夜が明け始め、殺生丸の連続攻撃を左腕で受け止めるだけの魍魎丸だが、突然左腕が砕けて落ち、魄がはじけ飛ぶ。殺生丸は貴様のごとき小さな器に自分の妖力が納まるか、と一喝。
 さすがだと感激する邪見。やみくもな自信だと呆れる七宝。魍魎丸が悔しげにこんなことで自分は死なないとつぶやくと今度は右腕が砕け、半妖に戻った犬夜叉が牙に変化した鉄砕牙を押しつつ一気に突進。魍魎丸は舌打ちして猛烈な瘴気をばらまくと、腕を落として上半身だけで神楽を呼ぶ。瘴気からかごめ、七宝を庇った犬夜叉の左足にしっかりしがみつく邪見。殺生丸の追い打ちを結界ではじいて逃走する魍魎丸。逃がしたかと残念がる犬夜叉だが、四魂の欠片を持っていった以上、後を追えると見据えるかごめ。自分たちの前に堂々と姿を現したことから、魍魎丸は本当に奈落の心臓なのかと犬夜叉は疑い始め…以下次号。

 七宝は「なにも考えとらん。やみくもな自信じゃ」と評したけれど(^^;)、殺生丸のいう‘器’には大いに説得力があると感じるから凄い。大妖怪の血統が持つ絶大な妖力は半端でないわけですね。いかに魍魎丸が吸収型でも文字通り器が違うと。ひたすら主人を讃え続ける邪見が無性に可愛く見えました。
 犬夜叉は器が壊れかけていることに気付いたから、内側から吹き飛ばしてやると考えた。頭がキレます。直前で瘴気に阻まれたとはいえ、敵のあと一押しのところで朔の夜が明けるのはやはり主人公の強運ですね。しかし神楽が横に並んだ状態の魍魎丸にも「逃がさん!」と追い打ちの一撃をくらわすんだから、殺生丸には躊躇というものがない。戦闘モードに入った彼の前には立たないのが賢明のようで。
 魍魎丸は自我が肥大化したけれど、言動が妙に奈落に似ているあたり、やはり入れられた魂はあの赤子のものなんでしょうか。不妖壁はどこに持ってるんだろう。いくら妖気を消していても、あんな目立つ姿でうろつき回ってたら意味がないような…。
 かごめ贔屓としては、今週は犬夜叉を助けるべく弓を引くところと、逃走した魍魎丸を「捜せる」とすかさず言い切るところでしょう。矢は射てなかったけど、次の機会には何かやってくれそうな予感がしますが、また旅に戻るのでしょうか。

週刊少年サンデー29号掲載・第365話「消えた妖気」
 魍魎丸は殺生丸を睨むと、あいつは誰だと神楽に問う。犬夜叉の兄だと返した神楽は、邪見が妖気の結晶を持っていることに気付く。その結晶の妖気が消えていると知った犬夜叉は、魍魎丸が不妖壁を持っていると確信し、おまえが奈落の心臓だなと怒鳴る。とぼける魍魎丸に妖気の結晶が証拠だとわめくと、どこでそれを手に入れたとの問いが…隠すまでもないとわめきかけた邪見を殺生丸が黙れと制し、うさんくさい臭いを追ってきたら貴様がいたまでだと語る。かばってくれたのか?と戸惑う神楽。
 魍魎丸に再び闘鬼神の一撃。しかし魍魎丸は鼻で笑って剣圧を受け止め投げ返す。妖怪の骸と妖力を食って力を高める自分には、剣の妖力は餌にすぎないというのだ。殺生丸の顔色はまったく不変。犬夜叉は朔の日で妖力がなくただの古ぼけた刀にすぎない鉄砕牙が、先程魍魎丸の指を貫いていたことから賭けに出る。伸縮自在の腕の攻撃を殺生丸がかわすと、その腕を駆け上がった犬夜叉が四魂の欠片の位置をかごめに問う。右肩の付け根だという答えに反応して刀をふりおろすが、寸前で胸から飛び出した棘に突かれる犬夜叉。
 この隙に間合いに飛び込んだ殺生丸が一撃。斬っても無駄だと嘲笑する魍魎丸は棘を伸ばして犬夜叉の体を巻き込む。見苦しい姿で迷惑だ、二匹そろって斬り捨ててくれると闘鬼神を振るう殺生丸。驚くかごめ達。魍魎丸がニヤリと笑って…以下次号。

 思惑が入り乱れる乱戦で、あくまでクールかつ華麗に舞う殺生丸。こりゃまさに王の風格です。神楽をかばってやった優しさがあるのかどうかなど、どうでもよくなる硬派ぶりが徹底してる。「ふん…それでどうする」「斬る」。この会話のシンプルさと格好よさよ(>_<)。口より先に行動で意思表示、しかし犬夜叉や鋼牙とは全然違う威厳があるんですね。
 魍魎丸は妖力吸収型のタイプ、物理攻撃など効かないと自信満々。「あいさつもなしに剣を振るったこと…後悔するがいい」とは魂が入っただけあって態度も尊大です。それにしても犬夜叉、邪見のことを「ひねたツラの妖怪」とはよくぞ言った。至言だ(^^;)。オンボロ刀にすぎない鉄砕牙でも、妖力がないから魍魎丸の体を斬れると閃いて飛び込むあたりがさすが主人公。四魂の欠片を切り出してやる、と人間の体で再挑戦、この状態で殺生丸に「こいつは俺の獲物だ!」と言い放つんだから負けん気の強さは類を見ません。七宝も相手の怖さを忘れて殺生丸に「斬るなというのに!」が笑えました。
 かごめ贔屓としては、今週は犬夜叉の問いにすかさず「右の肩の付け根!」と阿吽の呼吸で応じる表情でしょう。長いつきあいで彼の意図をすぐに察することができる名コンビぶりがいい。次週、魍魎丸が犬夜叉と殺生丸の双方に気を取られた瞬間が、破魔の矢を射つチャンスだ!

週刊少年サンデー28号掲載・第364話「変貌」
 御霊丸の姿は巨大化し、以前の魍魎丸の姿に戻る。人形のような状態だった以前と異なり、魂が入ったようだなと弥勒が指摘。この体は心のままに動く、と語る魍魎丸の触手の中で四魂の欠片が脈打つ。吸収しているとかごめが叫ぶと、もっと力が必要だと魍魎丸は独白。神楽は欠片を勝手に使うこいつは奈落に従うつもりがなく、それを逃がせと誘った白童子も奈落を裏切ろうとしているのかと疑心暗鬼。
 かごめは弓をひくが、巨大な腕が潰そうと飛んでくる。あわてて珊瑚がかごめをかばい、矢は魍魎丸の肩口をかすめて外れる。弥勒が風穴を開くと、すかさず口から最猛勝の群れが出現。一匹を吸い込んでしまい、毒で体がぐらつくところに伸縮自在の腕の追い打ち。咄嗟に前に飛び出して飛来骨で受け止めた珊瑚の体もろとも弥勒は跳ね飛ばされる。駆け寄るかごめにも腕が向かうが、人間の姿のままの犬夜叉が変化しない鉄砕牙を抜いて飛びかかり一突き。そのまま地に叩き付け、非力で惨めな断末魔を覚えておいてやる、と勝ち誇る魍魎丸。声にならない叫びをかごめがあげた時、一陣の剣圧が魍魎丸の腕を吹き飛ばす。
 闘鬼神を抜いた殺生丸が立っていた。なぜここに、と戸惑う犬夜叉。殺生丸の傍らで邪見が、間違いない、あの妖怪には妖気がないと語る。右腕を再生しつつ、魍魎丸がじろりと視線を向けて…以下次号。

 神楽も魍魎丸=赤子の魂=鬼蜘蛛(元無双)でないかと考え始めたかな。しかし神楽にそう思わせることこそが奈落の狙いだとしたら、奈落にも白童子にも読者は欺かれてしまうでしょう。利用するかしないかの択一でしか、人間も妖怪も評価しないのが奈落です。たとえ魍魎丸が自分に反旗を翻しても、計算のうちだと余裕がありそうだし…。
 かごめも弥勒も珊瑚も、朔の夜であるだけに懸命に防戦するもののいかんせん相手が強力すぎる。無敵の体に魂まで宿ってしまったんだから分が悪い。人間の姿で妖力がなくても、身を挺して立ち向かう犬夜叉は無謀そのものですが、彼にとっては当然すぎるほど当然な行動なんですね。今回の救援者はやはり兄だった。おそらく御霊丸の寺で覚えた臭いを嗅ぎつけたのでしょうが、邪見のいう「妖気がない」とは、妖怪の体+人間の魄と魂からなる存在だからでしょうか。顔色をまったく変えずに戦う殺生丸は、次回で魍魎丸をクズ扱いするかも。どう反応するか見物です。
 かごめ贔屓としては、今週は敢然と前に出て矢を放つところでしょう。魂を持ったとしても、相手の体が以前のままなら破魔の矢が効くと。外れたのはいかにも無念。命中していたならどうだったのか。戦闘シーンで活躍できる機会が欲しいだけに、次週はもう一工夫してくれることを祈っています(九十九の蝦蟇戦の時のような「現代のアイテム」を使う閃きがないかなあ…)。

週刊少年サンデー27号掲載・第363話「御霊丸の正体」
 弥勒は御霊壺からの光を風穴を開いて迎撃。お堂の中にいた犬夜叉達に、突如巨大な触手が戸を突き破って襲いかかる。身を絡め取られるかごめ。触手の元は御霊丸の右肩。これに気付いた犬夜叉と七宝には、右肩から光が飛んでお堂は全壊。つかまえた、とにやつく御霊丸の顔を見て驚くかごめ。
 弥勒は光の束を風穴で吸い込むと、腰を抜かした野盗達を締め上げる。この壺で派手に村を襲えと女から頼まれた、というのが彼等の返答だった。一方、御霊丸の背後に姿を現す神楽。グルだったの、御霊丸は死んだはずなのに…というかごめの言葉に、自分はもはや御霊丸ではないと言い放つ敵。行者の御霊丸という男は確かに存在したが、戦った妖怪を法力で雌伏して右腕にしていると本人が思い込んでいたのは、男の魂が生きていたからだというのだ。かごめを離せ、と瓦礫の下から立ち上がった犬夜叉にかごめの体が投げつけられ、必死に受け止めると触手の追い打ち。かごめを庇った犬夜叉の背中が切られる。思わず彼の名を叫んだかごめに眉をひそめ、神楽にどういうことだと訊く御霊丸だが神楽は無言。
 弥勒と珊瑚が駆けつけて間に入るが、触手の先に光るものが。四魂の欠片を取られたと悔しがるかごめ。そのために来たのだと得意気に言う御霊丸に弥勒が、寺にいた時から狙っていたのかと叫ぶと、その前にも会っているとの返答と共に触手が腕に変貌し始め…以下次号。

 公式はおそらく御霊丸=魍魎丸=赤子の魂=鬼蜘蛛(元無双)なのでしょう。神無は妖怪に食われても生きていた御霊丸という行者の魂を見出し、魍魎丸に入れたのです。同時にそれをコントロールするために奈落の心臓である赤子の魂も入れた。しかしなお消えない鬼蜘蛛の意志もまた一緒に入ってしまい、それが奈落への反逆を企てている。奈落はそれを知りながら利用している…そういう図式かな? 以前桔梗が「邪な気配」を追って赤子と魍魎丸に出くわしたのも、鬼蜘蛛の意志が放った気配だったのでは。
 四魂の欠片を手に入れた魍魎丸(というよりもはや無双か?)は、神楽を手先にして妖怪を次々と取り込み、奈落の首をかくまで強大になるつもりなのか。夜が明けるまで犬夜叉は人間の姿で戦闘能力がほとんどない。いよいよ次週は殺生丸登場か。物語は最終回に向けてどんどんアクセルが踏まれていきます。
 かごめ贔屓としては、今週は犬夜叉の体が傷つく時の悲痛な表情が実に印象的です。彼の痛みは自分の痛みだけど、自分の体が傷つけられた以上に痛い。思わず犬夜叉と叫んでしまい、これが朔の日の姿であることを敵に知られたと気付く涙目の顔も痛々しい…連載初期の積極性や無鉄砲さが消え失せてしまってますが、それも彼への想いを自覚した証なのでしょう。俗っぽい言葉遊びやいちゃつきは、この主人公とヒロインには似合いません。言葉ではなく、咄嗟の行動と全身で互いの想いを表す二人なんです。

週刊少年サンデー26号掲載・第362話「脱牢」
 神楽は奈落から逃がすなと言われていると拒絶するが、白童子は御霊丸を守ってもお前の得にはならない、と謎の言葉を残して去る。困惑する神楽に御霊丸は、奈落の下で自由のないまま死ぬか、自分を出して生き長らえるかを選べと言い放つ。牢の周囲にある羅漢像を壊せという申し出に、半信半疑の神楽が風刃で像を壊すと、御霊丸の右肩が開いて触手が飛び出し猛烈な勢いで上に伸びていく。驚愕する神楽。
 犬夜叉達は暴れ回る野盗の噂を聞く。まぶしくてよく見えない武器を持っていると聞いて犬夜叉は疑うが、今夜は朔の日であることからあまり動くなと弥勒らから止められる。寺のお堂で泊まることにした一行だが、人間の姿になっても犬夜叉は眠れない。考え込んでいるところへ野盗達が近村を襲撃してきた音が届く。弥勒と珊瑚は犬夜叉に残れと釘を差して出撃。村人を手にかけようとした野盗を飛来骨で吹っ飛ばした珊瑚だが、別の手下が持っているのはやはり御霊壺。これを確認した弥勒達は戦闘体勢に。
 お堂の中で苛立つ犬夜叉をなだめるかごめ。その堂に御霊丸が奇妙な表情で近づき…以下次号。

 ううむ、御霊丸=魍魎丸説よりは御霊丸=鬼蜘蛛説の方が信憑性が高そうな気がしてきました。白童子といい御霊丸といい、奈落一派は共通意志のようでいて皆バラバラなのか? 羅漢像が御霊丸の「能力封じ」とは驚いた。次々と妖怪を取り込み強大になるのが御霊丸ならば、なぜ奈落は琥珀に命じてわざわざ強い妖怪を狩り集めるのやら。神楽は迷いつつも御霊丸を脱牢させてしまう。彼女の命運は細い糸一本状態が続きます(汗)。
 さて拙サイト開設以来初の、朔の日の人間化した犬夜叉の登場です。いやー改めて見ると性格が性格だけに本当、前作の主人公R・Sを思い出します(いえ私のPNもそれからとってるわけじゃないです^^;)。『怖くて眠れんのか?』との弥勒の言葉へのリアクションなんかまさにそれ。戦友である仲間にまったく気を置いていない様子がいいですね。
 御霊壺なんて物騒な武器、子供行者達が持っても危なかったのに大人の野盗に持たせたらまさになんとかに刃物です。解き放たれた御霊丸は何を狙って犬夜叉のところに来たのか。狙いはかごめの持つ四魂の欠片か。朔の日の犬夜叉はこれまで瀕死の重傷を負うこと三度。戦闘になれば不利は否めない。さて…。
 かごめ贔屓としては、今週は真っ先に犬夜叉の体を気遣うところでしょう。戦国の世に来て、人間の姿になった彼を見ることはや四回目。すっかり慣れた感がありますけど、たまには朔の夜に現代へ“避難”させてもよさそうなもんですが、そうも言ってられない状況が続くかな。

週刊少年サンデー25号掲載・第361話「隠した想い」
 犬夜叉は後を追ってくる琥珀の臭いを嗅ぎとって牽制。琥珀は太一を助けるべく分銅を飛ばして左足を捕らえる。雲母の背に乗った珊瑚が飛び込んで太一の顔に粉を浴びせると、飛頭根は太一から離れて逃げ出す。太一を犬夜叉が拾うと珊瑚は飛頭根を追い、太一の父を背負った弥勒達が到着、気がついた太一は無事で父親と皆は安堵。木陰からこれを確認した琥珀は、心中で太一親子に詫びながら飛頭根を追って去る。
 今度は猪に取り憑いた飛頭根。鎖鎌で倒した琥珀の背後から珊瑚が登場。退治薬で弱らせてあるからまもなく枯れると話し、珊瑚は琥珀にあの親子を助けようとしたのか、と問う。記憶を取り戻していることを悟られないため、琥珀は奈落の命令で妖怪を刈っていたが枯れてしまうなら用はないと返し、引き留めようとする珊瑚に鎖鎌を投げつけて逃走する。追ってきた犬夜叉達に、力づくで連れ戻してもどう扱っていいのかわからないと悩みを吐露する珊瑚。かごめは琥珀が太一を助けようとしていたと伝えるが、珊瑚は琥珀の心は操られたままだと独白。琥珀は自分の手で父や仲間を殺めた以上、姉のところには戻れず、あくまでも自分で奈落を仕留めると誓う。
 奈落のアジトの地下牢では、御霊丸が妖怪を右肩からの光で粉砕しては、その残骸を不気味な触手で体に取り込むことを繰り返していた。お前は一体何だと問う神楽に、突然現れた白童子がそれを知りたければ牢から出してやれと言い出して…以下次号。

 本当のことを言えば間違いなく受け入れてくれるだろう肉親が目の前にいる。なのに琥珀は、それをすれば父と仲間を殺めた罪は消せないと、心を鬼にして姉を欺く…本当に強く、健気な少年です。いやもう少年じゃないな。一人の男として、退治屋の血を継ぐ戦士として、立派に独り立ちしています。この作品はもう一つの成長史を確実に描いていました。弟の心は奈落の呪縛から救えないのかと苦しむ珊瑚は気の毒だけど、深いからこそ隠す想いもある。しかし琥珀の持つ岳山人の妖気の欠片から一度も妖気が消えたことがないとは、彼があの赤子から遠ざけられている証。奈落は琥珀の記憶のことは承知のうえなのでしょう。日に日に近づいてくる奈落一派との対決に、姉弟の絆はどんな形で絡んでいくでしょうか。
 おまえは優しい子だからね…と声をかけて、琥珀が苦悩の色を出しながらも否定する言葉に拳をぴく、とやる珊瑚の横顔が本当にぐっときます。このコマ一つとってみても、さすが三年連続漫画家部門最高納税者です。いかにこの技術が多くの読者の心をとらえているかを、しみじみ感じますねえ。
 落っこちた太一の片足だけひっ掴んで『俺にガキの面倒みろってのか!』と悪態をつくところが犬夜叉らしい(^^;)。重いと言いつつ太一の父を背負って駆けつけた弥勒、お疲れさんです。さて地下牢の御霊丸、妖怪達を「捕食」するとはやはり正体は魍魎丸なのか? 以前その首を刎ねた白童子が彼を外に出せとは一体…?
 かごめ贔屓としては、今週は琥珀の真意を珊瑚に伝えようとする表情でしょう。500年前の世でできたこの親友が、弟との仲を取り戻すきっかけをきっと与えてくれると信じます。

週刊少年サンデー24号掲載・第360話「父の記憶」
 琥珀を追う珊瑚達。かごめは四魂の欠片の気配を感じ、犬夜叉は琥珀とともに他の人間の臭いを嗅ぎとる。琥珀は寝床で退治屋の里の記憶を思い起こす。鎖鎌を取り損ねて怪我をした時厳しく叱ったが、珊瑚に手当されたところをそっと見にきて心配してくれた父。眠れないのかと声をかけた太一の父の前に、飛頭根に取り憑かれた太一が現れ鎌を振り上げる。咄嗟に鎖鎌で跳ね返す琥珀は、左目を見て妖怪が憑いたことに気付き、鎌を奪って太一を転がす。父が驚いて駆け寄るが、太一の鉈がその右肩に…自分がかつて奈落に操られて父の命を奪った光景が脳裏に浮かび、琥珀は涙目でやめろと絶叫、必死に防戦する。
 太一の体が宙に浮き、逃がさじと分銅で足を巻き取って引き落としたところに犬夜叉らが到着。倒れた太一を組み伏せる琥珀と傷を負った太一の父を見て珊瑚は激怒し、飛来骨を投げて琥珀と太一を引き離す。これも奈落の命令か、と叫ぶ珊瑚に琥珀は答えられない。太一の体が浮き上がって鉈を琥珀に振り下ろすと上空へ。飛頭根が憑いたことを察する弥勒達、倅を助けてくれと哀願する父。犬夜叉が捕まえてやると飛び出し、珊瑚は『飛頭根は力ずくじゃ追い出せない』と叫んでこれを追う。琥珀は姉が妖怪を追い出す方法を知っていると確信し、助けると叫んで走り出す。これを耳にしてハっとするかごめ。琥珀と関わって飛頭根に憑かれた子を死なせるわけにはいかない、と珊瑚が独白しつつ…以下次号。

 今の琥珀はああまで鮮明に過去のことを思い起こすようになってるんですね。飛頭根に取り憑かれた太一の凶行に自分の手で父を殺めた光景を連想してしまう…なんと悲痛な少年でしょうか(T_T)。『操られてるだけだ!』とまるで自分に言うように叫ぶと懸命に戦う。駆けつけた珊瑚の厳しい声にも、違うと口に出せない苦しみ。辛いでしょう。
 でももう迷っている時じゃない。自分に優しく接してくれたこの親子を助けたい。琥珀は決意して走る。珊瑚も弟が絡んだ死者をこれ以上増やすまいと走る。姉弟の絆は蘇るのか。この作品が語ろうとする多くの大切なもの、その一つがまた描かれようとしています。次週に注目です。
 退治屋の首領であった姉弟の父。公私を厳格に区別しようとしつつも、心根の優しい方だったんですね。『わかるな琥珀。父はお前が憎くて怒ったんじゃないぞ』という言葉に体温を感じます。非業の死を遂げたとはいえ、あの父上の娘と息子ならば元に戻れないはずがない。頑張れ琥珀、頑張れ珊瑚!
 かごめ贔屓としては、今週は怪我をしている太一の父にすかさず手当てしようと駆け寄るところと、琥珀の『助ける!』を聞き逃さずになにかを察するところですね。目立たずとも仲間と周囲を繋ぐ役目、ここがヒロインの魅力なんです。

週刊少年サンデー22・23合併号掲載・第359話「飛頭根」
 山犬の化け物の被害を聞いた犬夜叉達は調べにかかる。妖怪ではなく山犬の臭いしかしないという犬夜叉。別の村で人を食い殺して暴れる巨大な山犬の左目には異様な模様が。おびえる母子を襲う山犬の目を分銅で潰し、鎖鎌で首を刎ねたのは琥珀。しかし山犬の首はまだ息絶えずに山中に飛び去る。奈落からなるべく手強い妖怪を狩ってこいとの命令を受けていた琥珀はこれを追うが、左腕に食いつかれて傷を負う。鎖鎌で山犬の首を真っ二つにしたものの、左目の模様がそのまま抜け出て滝に逃げ込む。あれが妖怪の本体かと悟った琥珀はさらに追いかける。
 山犬の死体を見て、村人から珊瑚と同じ格好の子供が仕留めたと聞き、琥珀だと知る珊瑚達。山深くで琥珀はそこに住んでいる太一という少年とその父に出会う。太一の父は琥珀の怪我を手当てし、もう日暮れだから泊まっていけと誘う。
 山犬の首の残骸を見つけた犬夜叉達。左目の傷跡を見た珊瑚は、ただの山犬に飛頭根という妖怪が取り憑いた跡だという。草の根の妖怪で獣や人にも取り憑く飛頭根のエサは人の血…。
 太一親子に食事を振る舞われ、穏やかな表情をする琥珀だったが、夜更けに用を足しに外に出た太一に飛頭根が取り憑いて……以下次号。

 琥珀久々の登場。彼には彼の仕事を与えていたらしい奈落ですが、手強い妖怪を狩ってこいとは配下を増かキマイラ実験かそれとも魍魎丸のパワーアップか。飛頭根とは不気味な妖怪、言葉を発しない奴の方が怖いものです。
 太一という少年、なにゆえ父子二人で山奥に住んでいるのかはわかりませんが、この人なつこさは世を嫌ってのものではないようで。その鎖鎌誰に習ったんだと問われて『よく覚えてない』と答えつつも父や退治屋の仲間に習ったことを思い出している琥珀の表情に悲しげなものがよぎる…この年齢であまりに過酷な過去と向き合う彼に、さらに苦悩が追い被さるのか。飛頭根に取り憑かれた太一を攻撃できるのか、琥珀(>_<)。
 珊瑚は飛頭根の退治法を知っているようです。以前、あの赤子が隠れていた城中の惨劇を止められなかっただけに、なんとか今度は珊瑚に間に合ってほしい。厨子鼠の時も、苦しみながらも互いを懸命に守ろうとする姉弟の絆はずっと強くなっているんですから。
 かごめ贔屓としては、えー今週はほとんど注目点がなくて。サンデーの巻末に連載作家への質問コーナーがありまして、今週は「もし祝日が作れるなら何の記念日?」。これに高橋先生は「阪神優勝記念日」…先生それじゃ敬老の日と被ります(昨年の胴上げは9月15日^^;)、とツッコんどいて次週はお休みです。

週刊少年サンデー21号掲載・第358話「幻術」
 薬売りは万能の毒消しをさしあげるかわりに…と珊瑚の首筋に噛みつこうとするが、それより先に自分の頭を犬夜叉に噛みつかれ、一時撤退。幻術が解けず、珊瑚は右手の先をくわえて止めようとする犬夜叉の頭を飛来骨で一撃すると、ふらふらとその後を追って歩き出す。弥勒とかごめは薬売りに会った女性をその夫のところに送り届けたが、なんとも冴えない容貌の彼が、仲睦まじく暮らしてきた女房が自分の顔を見てガッカリしたような溜息をつくのを悲しむ様にどうにも複雑な心境。弥勒のところに雲母がやってきて、皆は珊瑚のところに向かう。
 池の蓮の葉の上で、今度こそと珊瑚の首筋に噛みつこうとする薬売りだが、直前で術が解けてしまいぶん殴られる。あっさり詫びを入れた彼によると、この姿は妖怪の呪いによって変えられたもので、理想のおなごの血を吸えば元の姿に戻れるという。途中でやっと幻術から醒めた犬夜叉を拾って蓮の池に到着すると、今にも首筋に噛みつかれそうになっている珊瑚が…百発近く殴って無事かときく弥勒に珊瑚は違うと釈明。同意があったという薬売りにウソつけと一喝する弥勒だが、ウソじゃないと珊瑚にいわれて落ち込む。
 結局かごめの一言で薬売りは首筋でなく珊瑚の掌から血を貰い、無事に元の「蚊」に戻る。お礼にと残された毒消しとはただの痒み止めにすぎず、しかもろくに効かない。ニセ薬でおなごをたぶらかすとはひどい奴だったと吐き捨てる弥勒に、そーゆー奴のには慣れてると珊瑚が返して…以下次号。

 シリアス展開の後にはラブコメ調のエピソード。この巧いメリハリが原作【犬夜叉】の魅力です。水が流れるようなキャラ間のセリフ、独特の漫才調リズム感、やはり高橋氏の腕はどこかの動画会社とは土台比べものになりません(^^;)。
 幻術にかかった状態でも珊瑚の危機を救おうとする犬夜叉、凄いんだけどその行動は「番犬」そのもので笑えてしまう。弥勒達が送りとどけた女性のご主人、あの容貌で美人の奥さんとこれまで仲睦まじくやってこれたんだから「男は顔じゃない!」と勇気がわきます(^^;)。弥勒も『たとえ珊瑚が私を嫌うことがあったとしても、私以外の男に惚れることなどあり得ない』発言、言うじゃないのと思ったら犬かごは白け気味の目つき、これもいい。しかし『その自信はどこから出てくるんだ』という犬夜叉、実は羨ましいんだろうなあ(^^;)。
 珊瑚貞操の危機(?)にかけつけた弥勒、以前の湖の主の時ほどキレてはいなかったようですが、百発殴るところといい珊瑚が同意したと聞いてどよーんとなるところといい、事情を聞いて信じていたと珊瑚の手を握るところといい、いやー一段と親近感がわいたなあ今週は♪。ちなみに蚊の万能薬って、現代のウナコーワ以下のようで。
 かごめ贔屓としては、弥勒発言に『要するに他の男なんかメじゃないってこと?』、薬売りに『首すじでないといけないの? 腕…とかじゃダメなの?』ナイスツッコミ! 楽しませていただきました。

週刊少年サンデー20号掲載・第357話「薬売り」
 御霊丸は目を開けるなり右肩の光で奈落を攻撃。体を吹き飛ばされても奈落は余裕で神楽に逃がすなよと一言。御霊丸は奈落の敵なのか、と困惑する神楽。これがお前の最後の仕事だ、と独白する奈落。
 犬夜叉一行は楓から万能毒消しの話を聞いて探しに出向く。それを持っている薬売りが隣村に二日前に現れたというのだが、手に入れば弥勒が最猛勝の毒に苦しむこともなくなる、という珊瑚の意見。薬売りに合ったという女性に話を聞くと、見たこともないようないい男らしい。犬夜叉は薬草と妖怪の臭いを嗅ぎとって追跡。森の中で蛇に噛まれたという別の女性は、やはりそのいい男に薬をもらったと語るが、首筋には牙の跡が…正体を見極めるべく弥勒は出向こうとするが、妖怪退治できるほど回復していないだろうという珊瑚と意見が対立。珊瑚といい男を会わせたくないんだと嬉しそうなかごめ。やむをえず弥勒は幻術よけの数珠を珊瑚に与えて二手に分かれる。
 犬夜叉と共に薬売りを追う珊瑚を、理想のおなごだと見つめる妖しい目。臭いを嗅ぎつつ崖まできた犬夜叉は、臭いに酔わされて崖から転落。慌てて後を追った珊瑚の数珠は枝に引っかかってちぎれてしまう。万能の毒消しをあげよう、と現れた薬売りに珊瑚がドキリとときめいて?…以下次号。

 御霊丸にとって、妖気を発するものはすべて攻撃目標なんでしょう。しかし神楽の最後の仕事とは一体どういう意味なんだろう…わからん。御霊丸=魍魎丸説はやはり棄却すべきなのかなあ。
 妖怪の毒消しなら万能だと確信する珊瑚も、私がふがいないばかりにと背後から頬ずりする弥勒も、既におしどり夫婦です(^^;)。さすがの七宝もツッコむ余地もなし。いい男と聞いて、いかがわしいことをされませんでしたかと二度も女性の手を握って確認するあたりはライバル意識なのか弥勒? 互いに気遣いあうのにどっちが行くかで対立するのがミロサンの不思議さですね。
 臭いに酔って崖から落ちる犬夜叉…猫にマタタビじゃあるまいし。どうやら薬売りとは蛇の妖怪なのかも。いい男の幻覚を見せて女性の心をとろけさせ、何かを吸い取って養分にしているらしいこいつに見込まれた珊瑚はさてどうなる。弥勒の数珠がちぎれて、術中に陥るのか?
 かごめ贔屓としては、珊瑚の姿勢をいじらしいと思うところといい、弥勒さまはヤキモチ妬いてると喜ぶところといい、この等身大の女の子ぶりもなんともいえない魅力なんですよねえ。

週刊少年サンデー19号掲載・第356話「邪な気配」
 赤子を抱えた神無を前に桔梗は、別の気配を追って来たが本命に行き当たるとは…と弓を引く。突如上空から触手の攻撃。見上げた先には魍魎丸が浮かび、邪な気配の主はこいつかと迎撃すると、その体が肉片に分散して矢は素通り。肉片の間には魄が。神無は二の矢をかわして崖から飛び降り、魍魎丸の肉片がこれを覆い尽くして姿を消す。見失ったかと悔しがる桔梗だが、不妖壁を見たもののそれで隠そうとしている心臓が自分と出会ったのは偶然なのかと訝しむ。
 楓の村に戻った犬夜叉一行。弥勒は最猛勝の毒が抜けず寝込んだままで珊瑚が看病。かごめは酸で火傷を負った足を楓の薬湯に浸して治療。犬夜叉は仏頂面で小屋の外。かごめが邪気を浄化してくれなければ己を失うところだった、との七宝の言葉を聞いて一発殴ると、犬夜叉はかごめを連れて木の枝の上へ。足の火傷を気遣って詫びる犬夜叉に、かごめは皆を助けたことを感謝し、支えていてくれと言われた時は嬉しかったと微笑む。おまえがそばにいてくれてよかった、と心中でつぶやく犬夜叉に寄り添うかごめ。
 奈落はアジトの中で神楽を連れ歩いていた。余計に動き過ぎる、何を探っていると訊く奈落に、自分の裏切りを気付いているのかと疑心暗鬼の神楽。仕事をさせてやろうと連れて行かれたのは地下牢で、手前には羅漢像、中には首を刎ねられたはずの御霊丸。驚く神楽に奈落が、命を懸けて牢を守れと命令し…以下次号。

 うーむ、神無は一言も喋りませんでしたが、魍魎丸の護衛付きだったか。即座に体を分散させるのでは物理的な攻撃は効き目がない。以前かごめの矢で触手を砕かれた時から弱点を修正したようでますます手強くなってます。桔梗はこの敵が実体でなくて魄により残骸を操られる存在だと気付いたようですが、奈落の心臓に出くわすなど予想外だったと…どうにもわからない。これは奈落の指示なのかそれとも赤子の単独行動なのか?
 毒で寝込んだ弥勒を看病する珊瑚の姿はもう十二分に妻のそれですね。七宝もかごめの膝にちょこんと乗っかって「犬夜叉もまだまだということじゃな」と手を振り首を振ってたら殴られるわな(^^;)。さて思い起こせばコミックス第19巻第4話以来の犬かご大接近シーンに感慨深いものがありますが、戦いの日々の中で着実に培われてきた‘絆’を感じただろう犬夜叉の穏やかな表情に、この作品の深さと重みが示されています。
 御霊丸の体は一体どうなってるんだ。神無が魍魎丸に「入れてやった」魂とは一体誰のものなんでしょうか。御霊丸=魍魎丸説を理屈で説明できないのがもどかしい。ともかくまだ始末されなくてすんだ神楽、今度の仕事は御霊丸の監視? 奈落、白童子、赤子、神無達が読者に「意図を見抜いてみろ」と挑戦しているような展開ですねえ。
 かごめ贔屓としては、自分の行為を誇るわけでもなんでもなくて、ただ犬夜叉を気遣い彼を讃え、そばにいられてよかったと喜ぶ素直さに惚れ直すことひとしお。この姿勢を我々読者は見習わなくちゃいけません。つくづく、そう思います。

週刊少年サンデー18号掲載・第355話「かけらを使う」
 犬夜叉の切迫した表情に、かごめは不安気に四魂の欠片を差し出す。鉄砕牙に欠片を叩き込んだ犬夜叉を見て、七宝はこれなら鬼の腹を破れると勇気づくが、かごめは心配でならない。鉄砕牙から流れ込んでくる異様な何かに身を震わせる犬夜叉。ぎくりとするかごめ。最猛勝の目を通じてこの光景を外で見る奈落は、予想の内だと不敵に笑う。欠片を使うことは欠片をかごめから離すことであり、鬼の体内ではたちまち邪気にまみれて人間と妖怪の血を引く犬夜叉の身には耐えられないというのだ。
 鉄砕牙に埋め込んだ欠片が黒くなり、犬夜叉の形相は妖怪化を始める。体が思いどおりにならず、驚く珊瑚達に牙と爪を剥き出して近づきながら、犬夜叉は心中で逃げろと絶叫するが声にならない。かごめは火鼠の衣から飛び出して駆け寄ると犬夜叉に抱きつく。負けないで…と願うかごめに欠片の邪気が浄化され、犬夜叉は危ういところで意識を取り戻す。舌打ちする奈落。犬夜叉は必死に自分を抑えつつ、もう少し支えててくれ、とかごめに頼み金剛槍破を一閃。これが鬼の腹を強烈に突き破り、その体も岩に戻って一行は命拾い。奈落達はすかさず逃走。
 一方、不妖壁と赤子を抱えた神無の前に突然桔梗が姿を現す。それが奈落の心臓か、と鋭い眼光の桔梗を神無が黙って見つめ…以下次号。

 これが原作の【犬夜叉】なのです。本家・本物の誇りなのです。‘守る’というのはどういうことなのか。‘絆’というのはどういうものなのか。我が身を顧みない無我夢中の行動にこそ、人の心を動かす何かがある。この作品には妙な説教がましさも変なキャラプロモートもありません。父の墓標での激闘前に密かに期待していた内容を、見事に現出してくれました。高橋先生ありがとう!
 奈落は追いつめられた犬夜叉が四魂の欠片を使うことを計算していたわけだ。かごめから離れれば欠片は邪気まみれになり、使った犬夜叉は仲間を手にかけて全滅するという読み。自らの体でなく鉄砕牙に入れたのは対蛮骨戦での経験からでしょうが、それでも邪気は主人公を襲う。しかしこれまで再三再四にわたって奈落の企みを打ち破ってきたのが、天敵であるヒロイン・かごめの存在でした。これは単に主役級の活躍ということだけじゃなく、作品全体のポリシーの表明なのです。
 かごめ贔屓としては、もう野暮なことを言う必要もありません。犬夜叉の背中に抱きつき必死にその心を支える姿と、その状態で金剛槍破を放つ犬夜叉の姿にすべての‘想い’を見ました。ついに奈落の心臓を見つけた桔梗、着実に最終回は近づいています。奈落一派でもっともミステリアスな神無は、桔梗を前に何を語るのでしょうか。

週刊少年サンデー17号掲載・第354話「破れぬ壁」
 鬼の岩は完全に生きた鬼の体に変化する。奈落は風の傷を結界ではじいて逃走しようとし、弥勒は最猛勝を吸い込むのを承知で風穴を開くが、数匹を吸い込んだところで犬夜叉が無駄死にするなとこれを止める。金剛槍破が炸裂して奈落の胴体を突き破るものの、鬼の腹の壁が貫けない。奈落が持つ四魂の玉が鬼の体内を強化しているのか、と考えたかごめが破魔の矢を放つと、奈落は散り散りの肉片もろとも外にいる白童子の結界へ瞬間移動。
 神楽は鬼の全身を見下ろし、罠だったのかと舌打ち。そのすぐ背後に白童子と結界の中に戻ってきた奈落が現れ、犬夜叉達は決して出られないと勝ち誇る。白童子は白々しく犬夜叉達がここに来た理由を問い、奈落はどう思うと神楽に振る。何も知らない、と冷や汗の神楽。
 鬼の腹中ではしたたり落ちる酸がどんどん多量になり、犬夜叉は弥勒に結界で皆を守れと頼んで再度金剛槍破を放つが、無数の槍も内壁に突き立つのみ。瘴気が充満し始め、皆は呼吸が苦しくなり、最猛勝の毒が回った弥勒も力尽きて結界が破れてしまう。犬夜叉は火鼠の衣を皆にかぶせると、かごめに四魂の欠片を渡せと叫ぶ。使うつもりなのと戸惑うかごめ…で以下次号。

 むざむざやられるかとの意地なのか、最猛勝ごと奈落を風穴で吸い込もうとした弥勒の執念は凄いですが、無駄死には早いと阻止した犬夜叉も必死です。金剛槍でも突き破れない肉壁は、邪気まみれの四魂の玉が奈落自身の妖力を高めて強化されたもの。さすがに用意周到の罠です。『くくく…あっけない最期だ』と勝利宣言の奈落がいつにも増してふてぶてしい。鬼の名前などどうでもいいと言わんばかり(>_<)。
 神楽の命ももはや風前の灯火か、俎板の上の鯉をからかうような白童子と奈落のやりとり。お前の仕事は終わった、とばかりに最後通告されそうな雰囲気になってきました。
 倒れた弥勒に防毒面をつけてやる珊瑚の表情は甲斐甲斐しいの一言。かごめに四魂の欠片を渡せと叫んだ犬夜叉は、これまでの戦いで数多くの妖怪と人間達の欠片の使い道を見てきました。彼はそれをどうとらえていたのか。かつて完全な妖怪になろうとして四魂の玉を狙った彼が、今それをどう使うのか。欠片を入れるのは鉄砕牙かそれとも自らの体か。この作品の大きなテーマの一つが、次週語られることになりそうです。
 かごめ贔屓としては、今週は『弥勒さま、体が熱いわ』の言葉に妙な連想をしてしまって懺悔します…冗談はさておいてラストのコマ。ヒロインが主人公に出会って彼を変えたこと、それを信じてやってくれ!

週刊少年サンデー16号掲載・第353話「鬼の岩」
 殺生丸一行は無人となった御霊丸の寺に到着したが、邪見が持つ妖気の結晶は無反応。殺生丸の鼻は犬夜叉らの他にも、別の臭いを感じ取る。裏庭には大きな穴の周囲に引き裂かれた妖怪の残骸が散らばり、埋められていた何者かの仕業とみられた。殺生丸は穴から発する臭いを覚えておくことにする。
 神楽を追う犬夜叉達は、奈落の心臓があの赤子であることを皆が知った以上、隠される前に見つけると急ぐ。神楽はかなりの距離をおいて犬夜叉達が見える場所に浮遊。露骨に案内する勇気はないのだろうと弥勒が言い、犬夜叉達は鬼の岩の口の中へ突入。うまくやれよ、と見送る神楽。
 岩のはずが奥に進むと縦穴があり、飛び込めば胃袋のような場所に。犬夜叉が風の傷を放つと、砕かれた岩の陰から奈落が姿を現す。赤子は既に他へ移したのかと考える弥勒。奈落が持ち出したのは、より邪気を強めた四魂の玉。これが脈打つなり周囲の岩が肉に変化し始め、酸がしたたり落ちてくる。外にいた神楽は、岩の鬼の目がギロリと光るのを目撃。生きているのかと驚く神楽のはるか背後でニヤリと笑う白童子。四魂の欠片を残して溶けて消えろと嘲笑う奈落に、その前にてめえの四魂の玉を取ってやると犬夜叉が斬りかかり…以下次号。

 出てきたのは間違いなく御霊丸の遺骸…やはり御霊丸=魍魎丸説は正しかったのか。羅漢像の仕掛けが発動したのかどうかは不明ですが、殺生丸が嗅ぎ取った臭いを発する彼は、次にどんな姿で登場するんだろう。
 神楽は犬夜叉達を鬼の体内に誘い込むために利用されたか。白霊山では山全体を自分の体内に変えた奈落ですから、鬼を石化するくらいたやすいこと。あの時は桔梗が第一目標だったので山に戻して崩したけれども、今度はかごめの持つ最後の欠片が目的。自分は白童子の結界に移動できるから脱出は容易、犬夜叉達は不可能というわけだ。この罠はさすがに重厚、犬夜叉の技では鬼の胃袋から出られないと計算されていたなら、さあどうする主人公。次週のサブタイトルはこの鬼の名前である可能性高し。
 今週は第353話、コミックスなら第36巻第5話に該当します。まああと5回でファイナルということはないでしょうが、以前高橋先生が「らんまを越えることはない」と語っていることから、コミックス第38巻…つまりあと25回、あと半年ちょっとということになりそうですね。それとも37巻、あと15回・4ヶ月かなあ。
 かごめ贔屓としては、今週は最後の欠片を握りしめた表情ですね。四魂の玉が正邪の暗闘によるものなら、そのパワーバランスが崩れたら何が起こるのでしょうか。

週刊少年サンデー15号掲載・第352話「御霊丸の死」
 白童子の行動に驚く神楽。御霊丸は首から大量出血しながらも異形の腕から光を発射したが、白童子はこれを結界で吸収。洞窟にいた犬夜叉は血の臭いを嗅ぎつけて寺へ急行。白童子は犬夜叉の姿を見ると吸収した光をそちらに返し、その隙に御霊丸の首を刎ね落としてしまう。その白童子の傍らにいつのまにか赤子を抱きかかえた神無が立っており、神楽はやっぱりここにいたのかと歯ぎしり。
 白童子は犬夜叉が放った風の傷を結界ではじき、「御霊丸は何も知らなかった」との言葉を残して神無と共に去る。残された神楽は犬夜叉に問いつめられ、奈落の心臓が今までここにあったと放言。珊瑚も琥珀が操られて城中で殺戮させられた時の光景を思い出して補則し、一行はあの赤子が奈落の心臓であることを知る。神無を追うと言って飛び立った姿を見送り、弥勒は神楽が奈落を裏切る気だと確信。
 御霊丸の亡骸を手厚く葬った犬夜叉一行は、子供行者達にここを去るように諭す。既に寺の周囲には羅漢像の妖気に呼ばれるように妖怪達が集まり始めていた。赤子を抱えた神無を追跡する神楽だが、神無は鬼の姿を象った異様な巨岩の口に入っていく。追うべきかどうか迷う神楽…で以下次号。

 あっけなく殺されてしまった御霊丸。いきなり表れた神無と赤子。その赤子がしっかり持っていた不妖壁。うーん、わからん。しかし御霊丸=魍魎丸説を捨てきれない私は、首を刎ねられても死なない奴じゃないのかと…でなきゃかごめが彼から感じた悪寒の説明ができないんですよ。
 咄嗟だったとはいえ奈落の結界を破った実績のある金剛槍破をなぜ使わなかったんだ犬夜叉…って変化させてる余裕がなかったか。御霊丸を埋めて手を合わせる一行の背後で、一人だけ松明を持って立ってる犬夜叉がいかにも彼らしい。しかし哀れなのは頼る者を失った子供達。彼らの引き取り先はあるのでしょうか。
 羅漢像は不気味に妖気を放つ。白童子の行為がフェイクだとしたら、この羅漢像に何らかの仕掛けがあるはずですが、さてその発動はといえばおそらく犬夜叉達が去った後でしょう。神楽は明らかに利用されているわけですが、奈落の作戦がまだ見えないだけに先が読めない。
 かごめ贔屓としては、今週は御霊丸の墓に手を合わせる姿と羅漢像を不安げに見つめる表情ですね。御霊丸の正体に最初に気付くのはおそらくヒロインだと思っていたんですが、こうなるといかんともしがたいか。

週刊少年サンデー14号掲載・第351話「羅漢像」
 神楽は岳山人の結晶から妖気が消えた以上、御霊丸の寺に不妖壁があるのは間違いないと殺生丸に話す。邪見は奈落の手下同士なのに御霊丸のことをなぜ知らないと問い質す。自分は信用されていないとの神楽の言葉に、殺生丸は「きさまが心臓を狙っていることは奈落に知られている」と告げる。りんが殺生丸に助けてもらいたいのではと訊くが、神楽は死ぬ前にもう一度殺生丸の姿を見ておきたかったのかもしれないと独白して飛び去る。黙して見送る殺生丸。
 御霊丸は犬夜叉達が寺の裏山を探り始めたことに気付く。寺の周りにあった羅漢像から感じた妖気と同じものを発していることから、弥勒が確かめるべきだと提案したのだ。一行は裏山の洞窟の中で奇怪な羅漢像の山を発見。悟りを開いた修行者の姿を象った羅漢像だが、山積みの下部は妖怪の残骸。これが石化して羅漢像に姿を変えていくように術を施していると語る弥勒。犬夜叉は岳山人の臭いを嗅ぎ取り、御霊丸がここに運び込んだと断言する。
 飛行する神楽の眼前に結界をまとった白童子が出現。仕事だと言って連れて行かれたのは御霊丸の寺。知っているとは言えない神楽に、白童子はここに大切なものを預けてあったが犬夜叉らに気づかれたと直言。走り出てきた子供行者らが二人を取り囲むが、白童子は雑魚はまかせると神楽に言うなり、出てきた御霊丸の首を薙刀で切り裂き…以下次号。

 死ぬ間際になると本心を表すのは妖怪でも同じのようで、神楽には自由志向と共に殺生丸への慕情が生まれていたらしい。りんちゃんの言葉は何の衒いもなく、ひたすら純朴でまっすぐです。あくまでクールな殺生丸は、おそらく罠だと計算ずくで御霊丸の寺に乗り込むでしょう。神楽の命が風前の灯火めいてきて、物語はじりじり加速していきます。
 御霊丸を直接締め上げた方が早いと主張する犬夜叉に、それができればお前ならとっくにやっているだろうと返す弥勒。このへんにつきあいの長さを感じます。以心伝心ってやつで、いいコンビになりましたよ(^^;)。神楽は御霊丸が心臓の守り役だと言ってますが、不妖壁は預けられているどころか御霊丸の体内にあるんじゃないか? 無数の羅漢像が岳山人の亡骸を含めた妖怪の残骸から作り出されているとしたら、不妖壁の存在をカムフラージュするための道具であるとともに、必要な時は侵入者を攻撃する兵器になるのでは…奈落は神楽の眼前で白童子に御霊丸を襲わせ、不妖壁は寺の中にあると思わせて罠をかけるつもりか。
 かごめ贔屓としては、今週はほとんど出番がなかったんですが、洞窟の中を進む時に犬夜叉の衣の端を掴んでいるところとか両手での弓の持ち方とかが可愛いなと。当たり前のことなんですが、桔梗はこんな持ち方を絶対しないだろうなあ(^^;)。

週刊少年サンデー13号掲載・第350話「神楽の命」
 神楽が持つ結晶から妖気が消え、御霊丸はかごめに「動くな」と一言伝えて右腕からあの光を発射。真正面から胸を貫かれた神楽は苦悶の表情で上空に飛び去る。かごめは御霊丸が守ってくれたのかと戸惑いながら、受けた嫌な感じが前にもあったと思い出す。夜が明けて御霊丸から退去を促され、犬夜叉達はやむをえず退散。神楽を迷わず攻撃した御霊丸を奈落の一味ではないかもと話す弥勒と珊瑚だが、疑いをそらすためなら奈落は神楽を消しかねないと犬夜叉は言う。
 川沿いに佇む殺生丸一行の眼前で空中から神楽が落下。川に落ちて流される神楽を殺生丸は無視するが、りんが川に入り込んで足を掴み、転んで溺れる。慌てた邪見が杖で引き上げようとしてこれまた一緒に流される有様に、殺生丸は冷めた視線を向ける。神楽が気付いた時にはびしょ濡れのりんと邪見が覗き込んでいて、胸に空いた大きな穴がじりじりと塞がっていく。奈落に心臓を握られているせいで命拾いか、と自嘲する神楽。礼くらい言えとわめく邪見に殺生丸が出発を促し、神楽は何も聞かないのかと返す。殺生丸が興味はないと答えると『奈落の心臓をみつけたと言ってもか!?』と重大発言。
 白童子は、神楽が裏切者なのは明らかなのになぜ生かしておくと奈落に問う。神楽の心臓を手に持つ奈落が、今握りつぶしてもいいが最後にもう一働きさせてやろうと呟き…以下次号。

 いよいよ物語は最終章に突入したかの感を抱きます。やはり御霊丸は不妖壁を持っている。つまり「孤児らを保護する人間の行者」という隠れ蓑をまとったのだとしたらこれは鉄壁? しかし前回の魍魎丸の一件からそんなに時間は経っていないはずで、そのあたりが御霊丸=魍魎丸説に大きな疑問なのです。となるとこれは奈落の二重の罠なのか。
 神楽姐さん、久々の胸露出…ってそれどころじゃない。よくあれで死なないよなあ。心臓が外にあるというのはつくづく凄い。犬夜叉達は神楽がつかんだ重要な情報を知らないわけですが、御霊丸への疑惑を解かない犬夜叉はさすがに頭がキレてます。弥勒が神楽のことを『敵である我々ですら何度か関わるうちに、命まで取る気は失せていたのにな』と語るのには、レギュラーキャラの重みを感じます。
 殺生丸一行の行動は素晴らしい。りんも邪見も実にユーモラスだし(^^;)、冷めきった目をしながら結局助けてやる殺生丸のクールさがいい。その決定的場面をあえて描かないところが高橋先生の巧さであって‘殺生丸の美学’なんでしょう。さて奈落の心臓という言葉にはさすがに反応したらしい殺生丸、次週はどう動くでしょうか。
 かごめ贔屓としては、ここは素直に御霊丸に礼を言わないといけません。欠片を狙ったのだと邪推して悪かった。しかしかごめが彼から感じた‘嫌なもの’はやはり以前の赤子のそれか。戸惑いの表情がまた可愛いんだよなー(これくらいにしとこう^^;)。

週刊少年サンデー12号掲載・第349話「屍の群れ」
 風の傷を受けても屍達は粉々になって襲いかかる。弥勒が風穴を開くと最猛勝の群れが登場。これで犬夜叉達は神楽の屍舞だと悟る。手に持つ岳山人の妖気の結晶の反応を見ながら、寺に不妖壁すなわち赤子がいるかどうかを探る神楽。御霊丸は子供らの御霊壺に光を分けた直後で体が動かない。屍相手で苦戦する弥勒らを見て、寺の外に神楽を探して飛び出す犬夜叉。子供らは御霊丸のところに駆け込み、壺を取って攻撃するが屍には効き目がなく、かごめは動けない御霊丸を取り巻く子供らを庇って寺の中にこもる。
 神楽を見つけて「御霊丸は奈落の敵なのか」と質す犬夜叉の様子から、赤子を追ってきたわけでもないらしいと察した神楽は犬夜叉を無視して家捜しするべく境内へ進む。御霊丸を介抱しようとしたかごめの胸元の四魂の欠片が熱を発し、御霊丸の右腕が脈打ち始める。妖怪の体が四魂の欠片に反応しているのだ。寺のすぐ外まで来た神楽が屍達を差し向け、矢を打とうと立ち上がったかごめの喉元を背後から御霊丸の左腕が掴んで…以下次号。

 神楽もとにかくしたたかです。しかし最猛勝は自分を監視する奈落の目でもあるはずで、命令でもない行動をとってて不審を抱かれないんだろうか…? それとも自分直属の連中を作り出しているのだとしたら、これは本格的に反乱準備を整えてたといえるのかも。どうも御霊丸の思考からは、魍魎丸に魂が入れられた存在だとは思えないものがあります。あれだけの人数の子供らを集めるのにはかなりの期間を要したはずだし、これは私のいつもの勘違いだろうか…。
 犬夜叉に『バカなてめえがのこのこ出てきてくれたおかげで、いろいろやりやすくなったぜ!』の神楽。かなーり以前のかごめ風に通訳すれば、これも『ありがとう。後は私にまかせて』なのかなあ(^^;)。
 かごめ贔屓としては、今週は御霊壺の攻撃が効かない屍を矢で浄化して子供らを庇うところとラストのコマの構図ですね。犬父の墓で手に入れた最後の四魂の欠片は、彼女の胸の間にペンダントでかけてるんだろうなー(ちと羨ましかったりして^^;)。くおら御霊丸! 怪しげな手でかごちゃんに触るな! とわめくべきですが、おそらく彼の興味は欠片だけでしょう。

週刊少年サンデー11号掲載・第348話「異形の腕」
 御霊丸の右肩が生き物のように開くと、中からはあの光の束が飛び出して妖怪達を引き裂いていく。数が減らないのを見た犬夜叉が風の傷を放って大半を一網打尽にすると、上空でこれを見た神楽は逃げ出す妖怪達を追って一時撤退。御霊丸と犬夜叉は妖怪がなぜ妖怪を殺すと言い合うが、子供行者達が御霊丸さまは人間の行者だと強調。御霊丸は、この異形の右腕は自分を喰らおうとした妖怪を法力でねじ伏せて使役しているのであり、元の右腕は喰われたが妖怪を仕留めるに役立つという。犬夜叉と弥勒は子供達に岳山人を殺させたことを非難し、奈落の名を出すが御霊丸の顔色に変化はなく、岳山人の件は子供達が見分けをつけられずにやったことらしい。
 寺の周囲にまとわりつき、遠巻きにして様子を伺う妖怪集団。御霊丸は夜が明けて彼等が去るまで境内にいてよいとだけ犬夜叉達に伝えて身を翻す。犬夜叉は不満を示すが弥勒の助言で一行は寺に留まる。夕餉の場で大勢の子供行者が御霊丸について話すには、ここにいるのは皆妖怪に両親を喰われ、御霊丸に拾われなければのたれ死んでいた者達であり、恩人の手伝いをしながら仇である妖怪達を退治しているのだという。御霊丸の態度を芝居だと疑う犬夜叉もこの話は嘘に思えず、奈落とは無関係かと考えざるをえない。
 妖怪集団の中で寺を睨む神楽は、寺から発する邪気と建物の周囲に並ぶ奇怪な人間風の姿形をした彫り物を怪しみ、赤子の手がかりを探るべく風刃で数十匹の妖怪を切り裂き屍舞で操って襲撃させる。迎え撃つ犬夜叉達…で以下次号。

 御霊丸の話は妙にリアルでハードです。なるほどそういうことなら体に妖怪の臭いがしみついているのも当然。昔【地○先○ぬ○べ○】って作品がありましたけど、まるであれの戦国版みたいな…子供行者達に持たせている御霊壺には、一つ一つ彼が右腕から光を分けてやるんだとか。もし彼がやはり魍魎丸だとしたら、神無は“記憶付きの魂”を入れてやったのだろうか? 凄く手が込んでるなあ。
 御霊丸の話に『こいつ…妖怪嫌いなんじゃ』といじけ涙の七宝が健気。奈落の名前をあえて出して反応を探ろうとした弥勒はさすがですが、そもそも奈落という存在を知らない魂なら顔色には出ないよな。神楽が訝しむ寺の周りの彫り物は、どうもお坊さん方が石化したように見えるんですが…妖怪達は結界が張られているわけでもないのに寺の中に入らない。なんにしてもいわくつきの場所です。久々発動の神楽の屍舞(連載約一年以上ぶりか?)、おそらく騒ぎをおこして自分は単身乗り込むつもりでしょう。御霊丸と相対した時、さてどんな会話になりますか。
 かごめ贔屓としては、犬夜叉の背中も似合うんだけど七宝が肩に乗ってる構図がやっぱりいいよなあ、うん。

週刊少年サンデー10号掲載・第347話「御霊丸」
 行者達の放った光の束の中に妖怪の臭いを嗅ぎとった犬夜叉は、一振りでこれらを仕留める。驚く行者に鉄拳制裁を加えて壺の出所を質すと、仮面の下はやはりただの子供。かごめが危ないことをするなと諭すが、捨て科白を吐いて彼らは逃走。弥勒は、奈落の手下にしてはお粗末だと言いつつも後をつけようと提案。一方岳山人の亡骸を確認した神楽は、不妖壁を取り戻そうとする岳山人を始末させた以上、近くに赤子の手がかりがあるとにらんで探り始める。
 犬夜叉達が子供らを追ってたどりついた寺には異様な妖気が充満。中から飛んできた光の束を風の傷で粉砕して正面突破の犬夜叉に、壺を抱えた大勢の子供達が驚いて逃げ込む。その奥から姿を現したのは、右肩をあの壺に似た柄の異様な装甲で覆い、顔面と首筋に大きな傷のある男だった。子供達が御霊丸さまと呼ぶ彼の体には妖怪の臭いがしみついている、と犬夜叉が指摘。
 羽に乗って飛行する神楽を追い越して、土地の妖怪集団が寺の上空に集まってくる。中の妖怪を犬夜叉に斬られたために御霊壺と呼ぶ武器が使えなくなった、と子供達から聞いた御霊丸は、今ならこの寺を滅ぼせると思ったかと妖怪集団を睨み上げる。彼の右肩が脈打って…以下次号。

 光の束の中にはそういう速さで動く妖怪がいたようです。悪さをやる者は子供でも容赦しないあたりが犬夜叉らしいけど、『この御霊壺がある限り妖怪なんぞに負けねえ』と強がる子供らに『今負けたばかりではないか』の七宝のツッコミがナイス(^^;)。子供らの身のこなしから、妖怪退治の訓練を受けたわけでもない素人だとすぐ見抜く珊瑚はさすが。大体犬夜叉を妖怪呼ばわりする割に、自分らのボスはもっと怪しげじゃないかとこちらも追いツッコミをしたくなる。その御霊丸の容貌はまさしくあの魍魎丸で、神無によって魂を入れられ、人間に化けて単独行動を始めたか? となると赤子はどこへ行った? と展開があれこれ憶測を呼びます。
 さて犬夜叉がかごめをおぶった状態のままで風の傷を出したのは初めてじゃなかろうか。色んな意味でパワーアップしてますね。神楽は魍魎丸を見ていないにしても、犬夜叉らは一度戦っているから御霊丸との容貌の類似に弥勒あたりが気付きそうですが、さてどうでしょうか。
 かごめ贔屓としては、今週は『あんたたちみたいな子供がこんな危ないこと…いつかひどい目にあうから』がなかなか暗示的だなあと(^^;)。一コマ一コマで犬夜叉との密着度が高くなっていることをさりげなく描写されるのが楽しいですね。

週刊少年サンデー9号掲載・第346話「行者」
 不妖壁を探すための妖気の欠片を犬夜叉達に与えた妖怪・岳山人が、その喉元を光の束に貫かれて倒れる。噂を聞いてかけつけた犬夜叉達はその亡骸を確認。単独で奈落を追っていたのだとすると奈落に倒されたのかと考える珊瑚だが、犬夜叉はその場に人間の臭いを嗅ぎ取る。
 とある村に出現した妖怪を退治する三人の行者。しかしその身の丈は子供で、全員が不思議な形の壺を持ち、口より上を仮面で覆った奇妙な出で立ち。お礼は何をと問う村人に、荷車を一つと求めた彼らは妖怪の亡骸を載せて退散。その戻った先には、御霊丸と呼ばれる彼らのボスがいた。私が供養しておく、と半分だけ顔を覗かせた御霊丸は性別不明。
 東の霊山に住んでいるといわれる行者達のことを村人から聞いた犬夜叉らは、壺から出る光の束が妖怪を貫くことを知る。彼らと奈落のつながりを確かめるべく霊山に向かう犬夜叉達にその光の束が飛んでくる。現れた三人の臭いは岳山人の亡骸の周囲にいた者と同じ。犬夜叉を妖怪と決めつけ、人間は離れてろと言い捨てて壺から光を放つ子供行者達に鉄砕牙を抜いた犬夜叉が踏み込んで…以下次号。

 新展開はいきなりの岳山人の死亡。元々長い眠りについていた妖怪とはいえ気の毒に…。登場した子供行者達の仮面や武器はまるで戦国版ゴーストバスターズです。闇雲に妖怪を退治して回る彼らを操る御霊丸とは何者なのか。屋敷の周りに積まれている石化した人間らしき上半身と結晶は、あの魍魎丸を連想させますが…妖怪の亡骸を集めて回るあたり、狙いは単に岳山人だけでなく他にもありそうです。
 『人間のガキが物騒なもの持ちやがって』と犬夜叉。ことの善し悪しを判断する思考が未熟な者に強力な武器を持たせるとろくなことがない。この作品は実にさまざまな教訓を与えてくれる深みがあります。
 かごめ贔屓としては、今週は『死にたくなかったら妖怪から離れろ』との行者達の言葉に『な、なにいってのよ!』と言い返した表情でしょう。見た目で判断する発想に怒るところにこそ、このヒロインの魅力があるんです。

週刊少年サンデー8号掲載・第345話「記憶の糸」
 犬夜叉は右フック一発で大ナマズをふっ飛ばし、鉄砕牙を抜いて威嚇すると、湖の主はあっさり元のサイズに戻っていじけ涙。弥勒はなんとか珊瑚と話そうとするが、犬夜叉が弥勒の女癖はわかってるだろとわめくと、そういう問題じゃないとかごめがお説教。志麻が弥勒を庇うが傷心の珊瑚はその場を去る。信頼されていないことをさみしがる弥勒。
 諦めきれない湖の主は志麻をさらって逃走。犬夜叉達はこれを追う。湖のほとりで溜息をつく珊瑚の目に主と志麻が映る。私は弥勒さまと結ばれたと繰り返す志麻にムカつきながらも、「昔のことは許すから」と湖に飛び込んで変化したナマズに飛来骨をぶつける珊瑚。雲母に乗って志麻を救い出したところへナマズの水鉄砲をくらい、珊瑚は水中に転落。お前も妾にしてやると口走ったナマズに、追いついた弥勒が激怒して護符と錫杖で強烈な一撃。KOされた主を置いて珊瑚を追いかける弥勒。出番がねえとイラつく犬夜叉。
 志麻は主から逃れるために弥勒とのことでウソをついたと告白。なぜ本当のことを言ってくれなかったとの珊瑚の問いに、私はおまえに甘えていたと返す弥勒。いつになく自省するその態度に珊瑚はどうにか機嫌を直す。旅を再開した後、もっと早く否定しとけばとかごめが述懐すると、記憶の糸をたぐるのに時間がかかったのではと七宝の鋭いツッコミが。ぎくりとする弥勒を珊瑚が締め上げて…以下次号。

 相手による力加減をしっかり身につけている犬夜叉は立派。かごめもそのへんを十分わかってるから対ナマズ戦は気にもしていなかったわけだ。「やっぱり好きじゃああ!」って結局腕づくで志麻をさらうナマズ主、憎めない悪役だよなあ。私は彼を笑い飛ばせるだけの男でもないですね(^^;)。
 珊瑚の気持ちの揺れ動きは実に繊細でリアルです。男勝りの逞しさの中に見え隠れするヤキモチや乙女心が実に可愛い。「今なんつったコラ。おれの女つかまえて…」と主を締め上げる弥勒の表情は久々の不良モードで迫力満点でしたが、鼻から上を水面に出して、ぷいと横を向く珊瑚の描写なんか素晴らしいの一言です。フラストレーションのたまった犬夜叉にはいささか気の毒だったけども。
 なんだかんだいって「見つめ合って手を握り合う」仲になってるんだからミロサンは進んでます。しかし七宝、なんで記憶の糸なんてムツカしい言葉知ってるんだ? 過去の「該当者」が多すぎるので、志麻とは無関係だと即答できなかったわけね…実に弥勒は面白い、体温を感じるキャラクターです。
 かごめ贔屓としては「昔つきあったっていう女が目の前に現れたら、気分いいわけないでしょ」って、ええっと誰の話ですかと思わず…はい。「珊瑚ちゃん、心が広いよね」はやはり本心でしょう。「あるいはかごめより広いな」の七宝には脱帽!

週刊少年サンデー7号掲載・第344話「昔のあやまち」
 湖の主を迎え撃つべく外に出た一行だが、家に残って祝言云々でもめる弥勒の過去を揶揄した犬夜叉はおすわり潰しをくらう。弥勒は志麻の両親に、妖怪相手なら人妻でも独身でも一緒と諭すが、湖の主は清らかな乙女を所望しているので祝言をあげてしまえば諦めてくれるという。怒りの珊瑚の巨大な顔が現れ一同が驚くと、これは珊瑚の気持ちを表現したという七宝の変身。珊瑚は七宝を掴んで外に戻るが、その独白と目つきは「死ねバカ」。
 犬夜叉は妖気の接近を嗅ぎ取って鉄砕牙を抜くが、地中から現れたのはご丁寧に引出物まで大量に持参してきた身の丈子供並みの間抜け面妖怪。本人が湖の主だと名乗るので、犬夜叉は白けながらもゲンコツで帰れと殴る。出てきた一家は主様とひれ伏し、怖いと弥勒の後ろに隠れる志麻に、本当に怖いのかと珊瑚のツッコミ。約束だという主に、志麻の父親は二年前に弥勒から買った薬草を煎じるのに湖の水を使い、祠には志麻の病気治癒を嘆願してお礼はなんでもすると唱えていたことを語る。父の告白を聞いた志麻は、約束は約束ですと言いながらも、自分には主様に嫁入りする資格がないと土下座。二年前にこの弥勒法師様と結ばれたのだという発言に主と珊瑚は衝撃を受ける。
 わしを騙したなと悔し涙で大ナマズに変化して暴れ出す妖怪。鎮めねばと珊瑚に声をかける弥勒だが、昔のあやまちなら一人でやれと珊瑚は冷たい炎をメラメラ。屋根に駆け上がって大ナマズと対峙する犬夜叉。やっぱりダメみたい…とつぶやく珊瑚。焦る弥勒。二人はどうなるのと言うかごめに、犬夜叉とナマズも見ててやった方が…と七宝がツッコミを入れて…以下次号。

 七宝は幼いのに気遣いをよくやるよなあ…それがまた不思議に笑いを呼ぶんですが。いくら弥勒でも病弱の娘に手は出していないだろーと思いつつ、珊瑚の目つきから思っていることがちゃんとわかるんだからこれも以心伝心のうち。湖の主、ナマズ妖怪なんだけど人型になるとかつての【うる星やつら】系統キャラでなにかなごみ系。怖くはないかもしれないが、やっぱり嫁に行くのはためらわれるわな。
 志麻の父親の告白で、わしは間違っているかと胸を張る主に渋面で腕組みする犬夜叉と、少々同情気味のかごめがなんともコミカル。志麻の爆弾発言から受けたショックは妖怪も珊瑚も同程度だったようで…珊瑚の様子に「このかたも変化なさるのですか」の志麻といい「妖怪ではありません」とびびりまくりの弥勒といい、事実を追求する余地もない(^^;)。今回ばかりは荒れ狂う純情妖怪がいささか気の毒ですが、珊瑚の「ダメみたい」はやっぱり‘自分はそういうのを我慢できる女じゃない’ってことかなあ。笑うべきでないのに笑えてしまう。笑えてしまうのに緊迫感がある。この漫画はつくづく一筋縄ではいきません。
 かごめ贔屓としては、犬夜叉の「据え膳食わぬは男の恥」発言に「いつからそんな悪い言葉覚えたのっ」って、こりゃ彼女というより母親ですよ(^^;)。ラストのコマも、こりゃ女性読者のリアクションそのもの。脇役やらせても面白いなあ。

週刊少年サンデー6号掲載・第343話「許嫁」
  神楽は殺生丸に対して、奈落や白童子が何度体を砕かれても死なないのは心臓が外にあるからだと話す。邪見が罠かもしれんと指摘するが、神楽は岳山人の妖気の結晶を取り出すと、不妖壁と心臓である赤子のことを話し、これが捜す手がかりになると伝える。この殺生丸を使う気か、と問えば奈落を殺せる器だからだとの答え。どう使うかは自由だと結晶を置いて神楽が飛び去ると、殺生丸は邪見に扱いを委ねる。
 弥勒は妖気の結晶を奪われたことで覇気がないが、慰める珊瑚の尻をしっかり撫でるので犬夜叉とかごめは疑念の目。とある湖畔で男が祠に護符を貼ると、地震が起きる。同時に妖気を察知して駆けつけた犬夜叉達だが、男は弥勒の名を呼んで婿入りに来てくださったと大喜びで平伏。一行は歓迎を受けるが弥勒には覚えがない。そこへ現れた男の娘・志麻は、二年前に病弱の身を弥勒が「高価な薬草」で助けた女だった。去り際に例によって子供を産んでくれるかとかけた一言を、志麻は心の支えにして元気になったのだという。
 珊瑚は平静を装うが嫉妬の炎ボーボー状態。怪異はどうなったという犬夜叉に、志麻の両親は湖の主が志麻を嫁に差し出せと脅して地震を起こしていると伝える。お助けしますかと弥勒が話すとさっそく祝言をと先走る一家。湖から奇妙な妖怪が志麻の名を呼びつつ姿を現して…以下次号。

 奈落の分身である神楽の言うことが信用できるかと啖呵をきったものの、置いていかれた結晶を「おまえにまかせる」と殺生丸から言われて悩む邪見に持ってくべきだよと助言するりんちゃん、神楽は殺生丸さまのことが好きなんだよ、すごくほめてたもん、と実に素直な解釈です。単純なガキめと溜息をつく邪見とのコンビは実にユーモラス。さて殺生丸はこの情報をどう解釈したか。
 犬夜叉らも見てる場所で尻を撫でられても以前ほど怒らない珊瑚、さすがは許嫁だと感心してたら弥勒はしっかり他にも作ってた(^^;)。一体何人の愛人候補をこしらえているのやら…昔のことなんだろと悟った表情でもムカつくものはムカつくわけで、地震が起こって「弥勒さまこわいっ」と抱きつく志麻と「私も別の意味でこわい」と独白の弥勒と背後で火事になってる珊瑚のコマに爆笑。私には許嫁がいると湖の主に言っても信じてもらえないとの言葉に困惑の弥勒ですが、小春の時と違って向こうの両親が大ノリ気なんだから、こりゃ妖怪退治の後ははっきり「宣言」しなけりゃならんでしょう。
 かごめ贔屓としては、自分のこと以上に厳しく弥勒を追求する態度がいいですねえ。犬夜叉の「どーでもいいだろそんなこと」に「よかーないでしょ」と食ってかかるところも私には「いいんです」(^^;)。

 遅まきながら新年おめでとうございます。今年もNLDをよろしく。さて2003年連載分も読みたいという方はこちらをどうぞ。
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