K  音楽学校の生徒のためのクラシックコンサート
1月3日(木)19:00
会場 アラブ文化センター(ダマスカス)
出演 碓井、中村、岩崎、鈴木、音楽学校の生徒達
動員 300人
プログラム
第1部 音楽学校の生徒のバイオリン演奏
   呉泰次郎「若い翼」
   タンゴの名曲より
第2部 GINによる演奏
   モーツァルト「アイネクライネナハトムジーク」
   シャミナーデ「コンチェルティーノ」
   ショパン「エチュード」より
   ブゾーニ「デュオ」
   チャイコフスキー「くるみ割り人形」より
♪ 忘れ得ぬ演奏会

                      
         2002年1月3日
                         ダマスカス・音楽学校のコンサートにて

 私が働いているバーセルアサド音楽学校は、日本で言う「町の音楽教室」です。今回、日本か
らプロのピアニストが来るという話を校長先生にしたところ、「ぜひうちの演奏会にも出演して
ほしい!」という強い要望をいただきました。碓井俊樹との合奏は僕のバイオリンの生徒たちに
とっても刺激になると思い、ぜひ引き受けさせていただくことにしました。

 事前より毎日のように「どんな人が来るの?」「コンサートいつなの?」と繰り返し尋ねる等
子どもたちは日本から来たピアニストとの共演が待ち遠しい様子。練習にも熱が入りました。し
かし日程も決まり、さあこれからだというところに「コンサートの翌日は子どもたちが学校で試
験。演奏にもこれないし、お客さんも来ない。」驚いて校長先生と相談した結果、日にちを1日
前倒しすることで決着しました。
 
 さて碓井がシリアに到着し、生徒たちとのリハーサルを行うと、子どもたちはいつにもまして
真剣な表情で練習に取り組みました。直後の試験もまったく気にする様子もなく、毎日のように
練習していたといいます。音楽学校には壊れたピアノが1台あるだけで、普段はピアノの伴奏を
してもらう機会がないだけに、子どもたちは嬉しくて仕方なかったようです。

 本番当日はピアノの運び込みから会場整理まで、すべてこちらでやらなければなりませんでし
た。シリアにはピアノがある会場がわずかしかありません。もともとパンフレットや招待状も音
楽学校の(唯一の財産である)パソコンで、すべて手作りで仕上げました。音楽学校の先生もス
タッフも総動員で、何とか手作りのコンサートを行うことができました。

 子どもたち
出番は一番最初。舞台裏では緊張する子もいましたが、「今までこれだけ練習し
てきたんだから、絶対大丈夫!」と励ますと、「頑張る!」と、頼もしい答えが。そしていよい
よ本番です。ピアノの前奏とともに、「若い翼」が始まりました。私が子どもたちに対して合図
のタクトを振ると、いつもよりしっかりした、引き締まった音が返ってきました。曲を通じて最
後まで緊張したいい演奏となり、特に最後の和音を弾き終えて弓を跳ね上げる時には、プロの奏
者顔負けの堂々とした格好を見せてくれました。生徒たちの顔は生き生きとしており、音楽を十
分に満喫してくれたようでした。
 碓井は次の、シリア人講師と生徒の合奏でも活躍し、先生や生徒から非常に感謝されました。
生徒たちは口々に「またくるの?」と尋ねるなど、彼との再会を楽しみにしています。












      
音楽学校の生徒たちと共演

 後半はGINのメンバーによる演奏会でしたが、音楽学校の生徒たちやその父兄が客の大半を
しめるということもあり、有名な作品とあまり知られていない近代の作品を交互に取り入れるプ
ログラムにしました。これが正解で、シャミナーデやブゾーニ(これらはシリア初演でしょう)
などの曲も抵抗なく、むしろ積極的に聴いていてくれたようでした。

 校長先生からは「いいコンサートだった!」と心からおっしゃっていただけました。何よりも
生徒たちには生涯忘れられないコンサートとなったことでしょう。

                                      中村 聡武


















♪ 前のページに戻る   ♪次のページへ進む   ♪ トップに戻る