J クラシックコンサート |
1月2日(水)18:00 |
会場 アラブ文化センター(ダラー) |
出演 碓井、中村、岩崎、鈴木、田中、照井 |
動員 600人 |
プログラム プロムナード クープラン「恋のうぐいす」 第1部:西洋音楽の紹介 −バロック〜ドイツロマン派の音楽 バッハ「ビストドバイミール」 ベートーヴェン「Vnソナタ第5番」 シューベルト「アン・ディ・ムジーク」 ブラームス「ボッツシャフト」 第2部:日本の音楽 滝簾太郎「荒城の月」 日本古謡「さくらさくら」 第3部:西洋音楽の紹介 −イタリア歌曲とロマン派以降の音楽 ヴェルディ「運命の力」 チャイコフスキー「くるみ割り人形」 アンコール メンデルスゾーン「秋の歌」 モーツァルト「アヴェ・ヴェルム・コルプス」 |
♪ 至上初のクラシックコンサート
2002年1月2日
ダラー・クラシックコンサートにて
私が住んでいるダラーという町は、シリアの人々でさえ田舎と表現する町であり、アラブの雰
囲気がたっぷり漂う土地です。今回、ダラーにとっては初めてであろう、外国人演奏家によるク
ラシックコンサートが実現しました。ここに住むシリア人によれば「ダラーはやっぱりダブケ(
アラブの民族舞踊で、結婚式などでは夜中踊り狂う)。ダブケが無いとつまらない。」と言って
いただけに、集客の面で不安がありました。「果たしてまともなコンサートになるのか、、。」
リハーサルを終え、いよいよ開演を待つのみとなりました。心配していたお客さんですが、蓋
を開けてみると次から次へと押し寄せ、最終的には満員の600人もの方々が来てくださりまし
た。ここで特徴的だったのが、他の都市と比べてイシャーラ(イスラム女性が頭を覆う布)を被
った女性が非常に多かったことです。彼女たちを含め、ほとんどの人にとって初めてとなるクラ
シック音楽でしたが、真剣に、じっと聞き入っている様子がステージから伝わってきました。
地方ならではのハプニングもありました。ダラーは非常にイスラム職が濃い、保守的な地方都
市です。前述したように、ほとんどの女性はイシャーラを被り、顔以外の肌を完全に隠していま
す。同僚の先生方も「理子もイシャーラを被れ」と常々言っていました。そんな先生たち(特に
男性)にとって、今回の袖のないドレスは信じられないものだったようで、特に校長先生は、ス
テージ上の私の過激な格好(我々から見れば普通のドレス)を直視することができず、私の出番
になると席を立って、出口の近くで顔をそむけて演奏を聞いていたということでした。
イシャーラ姿の女性が大勢訪れた 話題となった過激な?ドレス
コンサートを終えての人々の感想は、「やっぱりダブケがいい」という人もいれば、「とても
きれいだった」と言う人もいて、反応は様々でした。ただ学校の生徒たちは一様に喜んでいてく
れて、「またあの人たちはダラーに来てくれるの?」と、目を輝かせて質問してきました。音楽
クラブの生徒もリコーダーやオルガン演奏に、前よりも意欲を持って取り組んでいます。町で知
らない人に会っても挨拶してくれることが増えました。
このコンサートはダラーの人たちにとっても、学校の生徒たちにとっても、そして私にとって
もいい機会になりました。このような機会を与えていただいて本当に感謝しています。ありがと
うございました。
田中 理子