I  クラシックコンサート
12月30日(日)18:30
会場 シネマウガリット(ラタキア)
出演 碓井、中村、岩崎、鈴木、杉本、大塚
動員 700人
プログラム
プロムナード
   クープラン「恋のうぐいす」
第1部:西洋音楽の紹介
    −バロック〜古典、初期ロマン派、イタリアオペラ
   バッハ「アヴェ・マリア」
   ヘンデル「ソナタ」
   ベートーヴェン「Vnソナタ第5番」
   ウェーバー「Pf、Fgのための協奏曲」
   プッチーニ「ジャンニスキッキ」
   ヴェルディ「運命の力」
第2部:日本の音楽
   滝簾太郎「荒城の月」
   日本民謡「さくらさくら」

第3部:西洋音楽の紹介−ロマン派以降の音楽
   シューベルト「ます」
   ラベル「マメール・ロワ」
   チャイコフスキー「くるみ割り人形」
♪ 口笛に歓声、止まらない拍手
                                                            
                           
 2000年12月30日
                            ラタキア・クラシックコンサート

 <12月上旬>仁の中心である中村聡武が、断食月明けの休みを利用して、ダマスカスから会
場の契約と、宣伝活動のためにラタキアに訪れる。準備段階から、現地の人たちの温かさに触れ
ることは多々あったが、ポスター貼りをしていると見知らぬおじさんや宝くじ売りの少年が黙っ
て手伝ってくれた。こちらではやはり催し物は少ないので、こういう宣伝ポスターも珍しく、貼
ったそばから通行人の興味深い反応が。宣伝しだいでは人数を集められるのではと期待する。

 <12月中旬>まずは私の仕事場でもあるパレスチナの学校へ。当初、12月31に学校で子
供向け演奏会を計画していたのだが、学校側の予定と合わず、子どもたちを一般向け演奏会にも
招待することにした。すでにポスターは貼ってもらっていたのだが、校長先生が自動集会の際に
マイクで宣伝し、子どもたちも大喜び。(男の子はどうしても騒ぐのでそれを危惧して招待券を
配らず、女の子に限って配布していたのだが、この全生徒への宣伝によって演奏会が思わぬ方向
へと向かうことになった。)
 また、私の住んでいる地区はキリスト教区であり、クラシックに興味のある人が多く住んでい
る。彼らをはじめ、普段から交流している友人や家族にも飛び込みで宣伝すると、ぜひ見に来て
くれるとのこと。ありがたいことだ。

 <12月30日当日>会場のシネマウガリットは900人収容の映画館。本番1時間半前の時
点で、すでに10数人ものパレスチナキャンプの男の子たちが入り口に陣取っている。「早く入
れて!」と叫ぶ子どもたちを、手伝いの協力隊員が何とか抑えてくれていたのだが、彼らの興奮
の声は収まるところを知らない。開場と同時に子どもたちはなだれ込み、あっと言う間にホール
は満員。そして少々その妙な熱気に圧倒され気味で開演。

 開演してから子どもたちは「大塚先生の登場」をそわそわしながら待っている。しかし3曲目
、4曲目になってもまだ現れない。子どもたちがしびれを切らした絶妙のタイミングで、「先生
」が登場。糸が切れたたこのような子どもたちの熱狂はすさまじいものだった。嵐のような拍手
と口笛。そして「アヤコ!アヤコ!アヤコ!アヤコ!」と、文子コール。まるでアイドルのコン
サートのような状態の中、司会の先生が「静かに!静かに!」と子どもたちを制し、ようやく演
奏を始めることができた。
 











 
      文子先生の登場に、子どもたちは大喜び

 ここではピアノの都合がつかなかったため電子ピアノを使わざるを得ず、さらに途中で内部の
ハンマーが砕けて音が出なくなるなどのトラブルに見まわれた。また子どもたちの興奮が他のお
客様にまで及び、緊張感がなくなってしまうなど、反省点はいくつかあった。しかし、観客の中
には日本の音楽に興味を持ってくれた人も多く見られ、テープが欲しいといった声も多かった。
そして、日本とアラブの音楽には通じるものがある、との感想も聞かれた(おそらく情緒的なと
ころだろう)。キーポイントとなった子どもたちも、今までに経験のなかったことだっただけに
これからの学校での音楽教育を考えさせられるいい機会となった(これは私がこれからびしびし
やっていくことです)。ただ当の本人たちは、口々に「綺麗だった」「とても良かった」という
感想を持ってくれて、彼らの中に何かが少しでも残ってくれたなら、と思っている。

                                大塚 文子・中村 聡武
























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