G クラシックコンサート |
12月28日(金)19:00 |
会場 カルチュラルセンター(アレッポ) |
出演 碓井、中村、岩崎、鈴木、田中、照井、杉本、 大塚、アイマード |
動員 400人 |
プログラム プロムナード クープラン「恋のうぐいす」 第1部:西洋音楽の紹介 ―バロック〜古典、イタリアオペラの音楽 バッハ「ビストドバイミール」 ヘンデル「ソナタ」 ベートーヴェン「Vnソナタ第5番」 ウェーバー「Pf、Fgのための協奏曲」 プッチーニ「ジャンニスキッキ」より ヴェルディ「運命の力」より 第2部:日本とアラブの音楽 アラブの曲 宮城道雄「春の海」 滝簾太郎「荒城の月」 日本民謡「さくらさくら」 第3部:西洋音楽の紹介−ロマン派以降の音楽 ブラームス「ボッツシャフト」 ラベル「マメール・ロワ」 チャイコフスキー「くるみ割り人形」 アンコール メンデルスゾーン「秋の歌」 モーツァルト「アヴェ・ヴェルム・コルプス」 |
F 碓井俊樹による公開レッスン |
12月28日(金)14:00 |
会場 カルチュラルセンター(アレッポ) |
指導 碓井 |
通訳 中村、鈴木 |
♪ 時と場所を越えて輝く古楽器のコラボレーション
2001年12月28日
アレッポ・碓井俊樹公開ピアノレッスン
およびクラシックコンサート
アレッポでの事前の宣伝について、ポスターはアレッポの隊員及びアレッポ大学に協力してい
ただき、約250枚を街中に貼り、同時にチラシも配った。アレッポにはアルメニア人が多く住
んでおり、独特のアルメニアンコミュニティーを形成している。彼らは芸術分野に関する教育に
非常に熱心で、ここシリアでは珍しくピアノを持っている家庭も多く、またアルメニア人の音楽
学校も存在し、かなり盛んに芸術活動を行っているようである。その点から、彼らを通じた「口
コミ」による宣伝効果にも期待した。
当日の会場となった「アルメニア文化センター」は収容人員600人、2階席もある立派な中
ホール。普段から演劇や音楽会で利用しているとのことで、音響や証明もそれなりに良く、ホー
ルの人の対応も手馴れたものだった。
また、調律も2回、リハーサル前と本番前に入ってもらうことができ、ピアノの状態も悪くな
かった(これはシリアでは驚くべきことである!)
本番当日は、まず碓井俊樹による公開レッスンを行った。各プレイヤーの年齢は14〜16才
。それぞれ予想以上にレベルが高く、リストやショパンをバリバリ弾く。熱のこもった指導に、
通訳の私も汗を流しながらついていった。
レッスンが終わる頃には彼らの音楽が飛躍的に向上し、一つ一つの音が変わっていたのに驚い
た。碓井によれば「彼らはロシアのメソッドで教わっているようだが、いい意味でも悪い意味で
も『勢い』で弾いていた。そのため別の角度から光を射すべく、ドイツの論理的、合理的なアプ
ローチをもって指導した。」ということだったが、彼らにとって目から鱗が落ちるようなレッス
ンだったのではないかと思う。彼らがピアニストになる過程で、このレッスンのことは決して忘
れないだろう。
その後リハーサルを経て、本番。会場のロケーションのせいか、当初客の出足はいまいちだっ
たが、少しずつ増えていき、最終的には会場の7割が埋まっていった。全出演者が揃うのはここ
アレッポのみだったので、プログラムも幅のあるものとなった。特にカーヌーン奏者アイマード
氏と尺八の「春の海」の共演(おそらくこの曲がこの組み合わせで演奏されるのは、世界初だろ
う!)はお客さんの目を惹いたようだ。日本とアラブでそれぞれ生まれた古楽器のコラボレーシ
ョンが、時と場所を越えて一つのステージで現される。聴衆はその美しさにうっとりと聞き入っ
た。「カーヌーンがまるで日本の楽器のように聞こえた!」シリアのお客さんのこの声は、我々
にとって最大の賞賛だった。
またここでは何よりも客席の反応が非常に良く、途中でざわつくこともなければ、曲の合間に
入退場するようなこともなく、熱心に耳を傾けていた。
公開レッスンでは生徒が熱心に耳を傾けていた 公演の目玉ともなった、尺八とカーヌーンの共演
後日シリア人の友人に感想を聞いたところ、「もっと長く聴きたかった」という声を多く聞い
た。我々は逆に、2時間弱のプログラムは少々長かったかもしれないと思っていたので、これは
意外な反応だった。また、前の公演の反応を踏まえ、当初予定していたピアノソロをカットした
が、中には「もっとピアノ曲がききたかった」という人もいて、客層のレベルの高さを感じさせ
た。
鈴木 幸江
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