♪ 小さな交流の積み重ねが大きな交流に
                             2001年12月24日
                 ダマスカス・障害児施設でのクリスマスコンサート
 
 去る2001年12月24日にダマスカスの養護学校で「仁」によるコンサートが開催
されました。今回、日本からはるばるピアニストがやってくるということで、1つの学校
でのコンサートではなく、協力隊員の配属されている「社会労働福祉省」の管轄の養護学
校と、「仁」との合同コンサートを行うということで準備を進めてきました。
 このコンサートでは、ダマスカスに住む障害者・そしてその関係者と、日本人との交流、
そして学校間・施設間の交流のネットワーク作りを、主な目的にしてきました。そして何
よりもコンサートに参加する人全てに、純粋に音楽を楽しんでもらいたいということを目
的にしてきました。

 準備段階で何よりもネックになったことは、「ラマダン(断食)」でした。11月の中
旬より1ヶ月間、そしてその後学校はラマダン明けの休日が5日間ほどありました。ラマダ
ン中は朝食を摂っていなかったり、普段とは違う生活時間になっているため、生徒だけで
はなく教師も遅刻したり休んだりが目立つ時期です。朝食を摂っていないので、集中力に
欠けるのも事実です。そんな中でも、脳性麻痺センターの小学部の子供は、毎日一生懸命
練習を重ねました。

 演奏会当日は、脳性麻痺センター第1(高等部)、第2(幼稚部、小学部)聾学校、高齢
者・障害者センターの一部、職業訓練校の一部の人、そして保護者も駆けつけました。
 はじめ子供たちは、緊張しながらリハーサルを行いました。「仁」のメンバーとの音あ
わせの合間には、彼らを見て子供たちが「外国人みたいだ」と発言。それに対し教師が「
当たり前でしょ。うちの協力隊員と同じ国の人よ。」それでも子供たちは、「いや違う、
外国人みたいだ。」
と言っていました。子供たちにとって、大変新鮮な印象だったのでしょう。

 プログラムとしては、(1)脳性麻痺センター小学部の子供の歌に始まり、(2)「仁」
の演奏に合わせて子供たちが手遊びを披露し、会場の人にも参加してもらう。そして最後
に(3)「仁」のクリスマスメドレー(サンタクロースの登場)で終わりました。(2)
からは、「仁」と子供たちの共演です。当初の予定では、プログラム(2)終了後、子供
たちは舞台から降りることになっていましたが、「仁」のメンバーの、体に不自由のある
子に対しての配慮もあり、ずっと同じステージにいることになりました。舞台の上でおと
なしく出来るかどうか懸念されましたが、音楽に合わせて体を揺らしたり、普段学校でや
っているミッキーマウス体操をする子供の姿が見受けられました。また、聾学校の生徒も
音に合わせて手遊びに参加するなど、積極的に参加していました。














   子供たちとの共演        サンタクロースの登場に、子供たちは大喜び

 コンサート終了後、舞台に上がった子供たちが口々に、「私どうだった?上手に歌えて
た?」と聞いてきました。今までのコンサートでこんな光景は一度もなかったのですが、
今回は一生懸命練習した成果を実感したのでしょう。そして子供たちは、いつも音楽を聞
かせてくれる日本人のお兄さんと、日本からはるばる来た、ピアノでメダルをとったお兄
さんと一緒の舞台に立てて、大変喜んでいました。
 さらに聾学校の生徒も、「面白かった」と手話で示してくれたのです。聴覚に障害を持
つということは、音の届きにくい環境で生きているということになります。そのような方
たちにも楽しんでもらえたようです。

 私自身うれしかったのは、教師から「今までのコンサートで一番よかった」という声が
聞けたことです。子供たちの頑張り、「仁」の演奏、そして演奏に合わせて舞台の上の子供
が手遊びを披露し、それを会場の皆も一緒に行うという、子供から大人までが音楽というも
のを媒体として、同じ時間を共有し、会場が一体化したことを何よりも喜んでいました。
 また、シリアではあまり交流教育がなされていないのが事実です。まして横のネットワー
クというものなど無いに等しいともいえます。このような形で交流が持てることを、シリア
人に気づかせてくれたコンサートでもあったのです。

 この度私も、この音楽コンサートで学ぶことが多かったように思います。日々の子供た
ちの成長をこのような場で感じることもできました。また「交流」の重要性を私自身日常
の中で伝えているつもりで、伝え切れていませんでしたが、今回大勢の人が集まったとき
に、音楽が自然にそれを伝えてくれているような気がしました。どんなに小さい交流でも、
積み重ねれば大きな交流になるのです。今回このような機会がもてたのも「仁」、そして
協力してくださった皆さんのお陰だと感謝しております。「市民交流」を目的に結成され
た「仁」の影響がこれからもシリアの社会に根付くことを願っています。

                          青年海外協力隊員 木村 あい
                       

B 障害児のためのクリスマスコンサート
12月24日(月)10:00
会場 ダールゼイト孤児院内講堂(ダマスカス)
出演 碓井、中村、岩崎、木村(協力隊員)
動員 200人
プログラム
   クリスマス曲「ジングルベル」
    クープラン「恋のうぐいす」
   モーツァルト「アイネクライネナハトムジーク」
   アンドレ・ギャニオン「Comme au Premier Jour」
    アンドレ・ギャニオン「Les Jours Tranquilles」
   子供たちとの合奏
   (きらきら星、鐘は鳴るよ、ロンドン橋他)
   ディズニーメドレー



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