9.サイドスカート装着 (3/5ページ)

    

 形状を大きく修正する場合、面や肌のことを気にしながらでは作業効率が落ちますので、大ざっぱなところまでは電動工具や粗目のヤスリなど使って、ざっと削り込みます。そうすると、面がうねったり周囲との繋がりが悪くなりますので、その修正が必要になってきます。通常は、形状の修正→面の修正→肌の調整という手順で、それぞれの工程を意識しながら削っていきます。

 形状の修正とは、出っ張りをなくす、凹みを埋める、Rの大きさを変更するなど、見た目の形を変えていったり、ボディへのフィッティングなどなどの作業です。面の修正は、スカして見たときの写り込みの歪みをなくしたり、微妙な面のうねりや繋がりを整える作業です。そして、肌の調整は、ピンホールを埋めたり、ヤスリ目を消したり、FRPの繊維目を消す作業です。

 しかし、素人的には、初めの段階で形状の歪みを全て見抜くことは難しく、面修正や、取り付け調整を進めていく段階で、どうも形がおかしいということが分かってきたりします。今回も、フィッティングを完了した時点で、左側の後半部分に扁平すぎる部分があることが判明。パテ盛り修正することになりました。周囲との面の繋がりが不自然にならないように、やや遠慮がちに3mmくらい盛ったのですが、今考えると、あと1〜2mm盛っておいて良かったかなという感じです。まあ、修正しないよりは大分ましになりました。

  

 今度こそ形状が決まったということで、面の修正です。形状を修正した付近は、写り込みに歪みができないように、紙ヤスリで慎重に面を整えていきます。あと、左側の中央やや前付近にも微かな歪みがあり、それも削って修正。面が整ったら、今度は下地肌の調整です。かなりの面積のゲルコートを剥がしてしまっており、その部分についてパテでピンホールや深いヤスリキズを丹念に埋めていきます。

    

 下地肌を整えたら、足付けしてプライマーとサーフェーサーを塗ります。足付けは、前回リアスカートの際には、ヤスリ目が残るのを嫌って#600で行いましたが、どうも密着がイマイチの感じ。点状の飛石跡などサフェごとそっくり剥がれて、ゲル層が見えてしまっています。サイドスカートはゲルが白で見えると目立ちます。今回は、密着性をを高めるために#320で足付けしました。さらに、前回はゲルの上に直接サーフェーサーを吹きましたが、今回は武蔵ホルツのFRPプライマーを吹いてからサーフェーサーを吹くことにしました。

 サフェは、二液性のものを使うのが理想ですが、お手軽度で言えばやはりラッカー系の(一液性の)缶スプレーです。ラッカー系のサーフェーサーは、厚塗りしても良いことはなく、軽く2度塗り程度に留めておく方が無難です。2度塗りで隠蔽できないようなキズがある場合は、それ以上に厚塗りして消すのではなく、下地肌の調整をやり直す必要があるということです。右はサフェ吹き後のものですが、#320の足付けキズはラッカーサフェの2回塗りで十分に隠れました。

 ちなみに今回、サフェと黒塗り部分の塗装に武蔵ホルトの缶スプレーを使ったのですが、ソフト99とは使用感にかなりの違いがあります。一液性のアクリルラッカーについては、塗料自体の性質は武蔵ホルツの方が良いようです。例えば武蔵ホルツの一液性クリアーは結構な厚塗りができて、乾燥後も表面がちりめん状にならずに塗ったままに近い状態で仕上がります。ただ、ソフト99との決定的な違いは、ノズルの性能です。ソフト99の方が圧倒的に優れており、微粒化しやすく、吹き始め吹き終わりのキレも断然良いです。総合的には、私はソフト99の方をお奨めします。

    

 っで、サフェ吹きの済んだスカートを眺めているうちに、この期に及んでとんでもなく左右非対称なところを発見。胴の中央部の絞り加減が、左右で大きく違っています。大ざっぱに言うと、右側は弓なりなのに、左側はズンドウ。左写真は真っ直ぐの棒を境にして並べた状態で、中写真は中央付近の拡大ですが、絞り加減は倍以上違っています。三次元的な形状なので、どのようにしてこの非対称が成り立っているのか検証するために、右写真のような型紙を取って比べてみました。その結果、胴の丸みのRが、左右で違っていることが分かりました。

 そういえば、取り付けの仮合わせをしたときに、真ん中を固定するブラケットの止め位置(長穴のどこにネジを止めるか)が、左右で1cmも違っていました。これは如何にして修正すべきか?全体的に歪んでいるので、まあ普通に考えたら修正不能です。とはいっても、気付いてしまった以上、こんなガサツなものをとてもこのまま車に装着する気にはなれません。悩んだ挙げ句、大修正にチャレンジすることになりました。もちろん失敗したら、大枚払ったスカートと、ここまでの苦労が全部パーです。

 こんなものの決まった修正方法がある訳ではないので、一か八かのギャンブルです。まず、グラインダーでスカートの内側からほぼ全長に渡って肉をそぎ取っていきます。もとのFRPの厚みは3mm近くあるのですが、それを0.5mmくらい残して、そぎ落とします。どの部分をどれだけ削るかのバランスによって、修正後の形状が決まってしまうので、慎重かつ大胆に削っていく必要があります。全部で数百グラム分のFRPを削って粉にするので、結構な時間がかかり、自分も辺り一面も真っ白です。

    

 そぎ終わったら、木型とひもで胴を絞って、その状態のままFRPを内側から積層して形を固定するわけです。木型の形状とどの部分をどのくらいしならせるかは、型の方をカンナで削って調整しました。あとは、3ヶ所を縛るひもの縛り加減でミリ単位の形状を出さないといけません。全てが初めてだし、基準になるような直線部分もないので、カンだけが頼りです。っで、修正が完了して、完全硬化したスカートをじっくり確認してみると...なんと、過修正です。痛恨の失敗!!修正した左側の方が、右側よりも細身になってしまいました(泣)。

    

 もう、その時点で気持ち的には完全にイヤになってしまっています。今思い出しても、具合が悪くなるくらいです。諦めてそのまま塗装してしまおうか、という気持ちにもなったのですが、そこはやはり最後の力を振り絞って、再修正です。昨日積層したばかりの胴の内側を、もう一度グラインダーで全部そぎ落として、薄皮一枚の状態にします。それから、木型を削り直して、今度は引っ張り方向ですから、スカートを型にガムテープで固定します。あとは、もう一度FRPを積層して、メジャーで胴の幅を計りながら重りを乗せて調整し、その状態で硬化させました。

 二度の修正で表面にまで影響が及んだので、サフェを一旦全部剥がして、胴全体を表側からも面修正し、さらにその修正部分の肌の調整をやり直しました。左用は、もはや修正していないオリジナルの面はないという状態。ワンオフしたんじゃないかというほどの苦労を経て、ようやく納得のいくレベルになりました。

    

 そうして、サフェ吹きまで完成したスカートを、塗装前の最後の仮装着確認です。厳密に言えばまだ完璧でない部分もありますが、実際上はこれで十分に左右対称だと言えるレベルだと思います。これ以上追求するのはもはや神経質でしかありません。っということで、ようやく塗装に進むことができます。

 ちなみに、これほどの非対称が生じるのは、製品製造時の成型精度の問題ではなく、マスターが狂っているとしか思えません。ずっと以前の雑誌の写真など見ると、左側もまともな形状をしているように見えるので、途中のどこかの時点で左側だけマスターを作り替えているのかもしれません。RBGの美しく微妙な三次曲面は実に優れたデザインだと感じますが、実際の製品の形状においてはその優れたデザインを十分に表現し切れていないようです。

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