次に塗料ですが、SOFT99の「99工房」というシリーズの中に、調色をしてくれて缶スプレーを作ってくれるのがあります。私は別にSOFT99の回し者ではありませんが、左写真がパンフレット(無料)で、その裏表紙(右写真)に説明が載ってます。今回は、これを使ってみました。現車合わせでの調色ではなく、色調データに基づいての調色でなので、ある程度の色ズレは容認する必要があります。購入は、AB、黄帽等の用品量販店で扱っており、15分くらい待たされてその場で作ってくれます。ちなみに、このパンフレットは塗り方の点でも参考になります。


自分の車の色を注文する際には、カラーコードを伝える必要があります。カラーコードは、メンテナンスノート(左写真)の最後のページに書かれています。赤くアンダーラインをした記号がそれで、ブルーアンスラサイトパールエフェクトは、LC7Vです。あるいは、スペアタイヤの脇に貼ってあるシール(右写真)にも、同じ情報が書かれています。用品量販店の店員さんにフォルクスワーゲンだと告げたところ、「輸入車の色はないかもしれない」と言われてちょっとアセりましたが、無事に調色できました。全世界の車の99%をカバーしているそうで、まずどんな色でも大丈夫だろうと思います。
LC7Vは2コート塗装なので、色吹きの上にクリアを吹く必要があります。仕上げのクリアは、仕上がり、耐候性の点で普通のアクリル系缶スプレーよりも、二液式のウレタン塗装が断然有利です。二液式ウレタンクリアの缶スプレーはいくつかのメーカから売られていますが、これも稲城の丘さんの情報では、メーカによって使用感にかなりの差があるとのこと。ダレにくさの点でSOFT99が使いやすいとのことでしたので、アドバイスに従ってそれを選びました(後述するように、正解だったと思います)。
右写真が今回用意した塗料その他で、奥左からウレタンクリア、調色スプレー、サーフェーサー、シリコンオフ(脱脂剤)、手前は薄付けパテ、バンパープライマーです。プライマー、サーフェーサー、脱脂剤はそれぞれ1缶で足りましたが、リップとルーバーを塗るのに、調色スプレーは3缶、クリアは2缶を消費しました。それでも、材料代全部で、1万5千円くらいで済みますから、プロに頼むよりは安くすみます。
さて、#500で面を仕上げたリップを、洗剤と水で良く洗って乾燥させて、シリコンオフで脱脂します(左および中写真)。全体を完全に脱脂したら、次にバンパープライマーを吹きます(右写真)。ポロエチレン、ポリプロピレン系の素材には、サフェを直接吹いても馴染まず、あとで剥離してしまうので、サフェの前に専用のプライマーを吹いて密着を良くするわけです。プライマーは、厚く塗っても逆効果で、ほんの薄く塗ればOKです。気温の高い日に作業したこともあり、プライマーを吹く感覚は、表面が一瞬だけサッと濡れて次の瞬間には乾いてしまっている感じでOKです。ベトベト感が残るようでは、すでに吹きすぎだと思われます。但し、吹き残した箇所があってはいけないので、右写真のように入り組んだ部分も完全に着き回るように注意して吹きました。
プライマーは塗ったそばからすぐに乾きますので、ほとんど間をおかずにサフェ吹きの工程に進めます。サフェに限らずですが、塗る順序としては先に形の入り組んだ、着き回りにくいところから塗り始めます。穴の内側のようなところは、パーツの表裏から手首を返しながら先に塗ってしまうのがポイントです(これも稲城の丘さんのアドバイス)。中写真は、穴回りを吹き終わったところで、ここで一旦少し(10分くらい)間を取って、表面を乾燥させます。それから、おもむろに全体にサフェを吹きますが、このときは穴の内側は気にせずに、面の部分が均一になるように吹いていきます。この手順を逆にして先に面から吹き始めてしまうと、穴の内側がなかなか着き回らず、穴に向かって一生懸命吹くうちに、面の部分が厚塗りになってダレたりして、綺麗に均一に仕上がらないので、この手順は必須と思われます。
エアインテークのルーバーも同様にプライマーとサフェを吹きます。サフェは軽く2度吹きする程度で十分で、それ以上厚く塗ってもあまり良いことはありません。薄目に塗れば、1時間ほどで乾燥しますので、乾いたら表面を#1000の耐水ペーパーで水研ぎします。娘のキティちゃんのバケツがこの作業に丁度良い大きさだったので、ちょっと借用してます(ご愛敬です)。穴の内側や、ルーバーのフィンなども、研磨紙の届く限り綺麗に磨いて面を整えました。もし、この時点でキズなどが残っていた場合は、面倒がらずにパテで拾って、もう一度サフェを吹き直して仕上げておきます。
サフェを研いだら、また水洗いして、シリコンオフで脱脂して、いよいよ色吹きです。色吹きも同様に穴の内側から吹き、まず左写真のような状態にします。っで、ここまでは比較的簡単にいきました。それから全体を吹いて右写真のようにするのですが、これが思った以上に難しかったです。写真で見ると「たかがリップ」という感じですが、いざ現物を前にすると思ったよりも大きく、プラモデルを塗るような感覚とはちょっと違っていました。そのコツを掴むのに、けっこう苦労しました。何が難しかったかと言うと...
まず、屋外で塗っているために、風にかなり悩まされました。離して吹いたのではスプレーが塗着する前に風で飛ばされてしまうので、近く(10cmくらい)から吹かざるを得まえせん。加えて、気温が高くて乾燥が早いのにも参りました。こんな大面積を塗るのは初めてだったのですが、一箇所を吹いている間に、さっき吹いたところがもう固まっちゃってるんです。乾いたところとの境目が馴染まずに塗り重ねのムラになるし、スプレーの中心から少し外れた位置は、粉を吹いたようにザラザラの艶消しになってしまうし、均一に塗れなくて苦労しました。
それと、この色はマイカ片が多量に入っていて、この粒子の配向がなかなか揃わないんです。塗りが薄いと、すぐ乾いて表面にマイカ粒子が粉っぽく浮いて光りすぎてしまい、塗面が濡れるまで吹こうとして少しでも吹きすぎると、今度はマイカ粒子が塗膜の下の方に沈んで色目が変わってしまいます。丁度良い塗り厚の範囲が非常に狭いという感じです。それを、この大面積に対して継ぎ目なく一気に、しかも10cmの至近距離から吹いていくわけですから、難しいものがあります。
初めのうち、普通に小物を塗るときのように、「シューーッ、シューーッ」っていう感じのリズムで吹いていたのですが、これではどうしても上手くいきませんでした。ようやく掴んだコツは、スプレーのボタンを全開に押しっぱなしで、リップの回りを4〜5歩くらい歩きながら、端から端まで「しゅぅわぁーーーーーーーーーーーーーーっ!!」てな感じで吹き、端まで行ったら間をおかずに折り返して、それを連続して繰り返して何度も往復し、1分くらいの間に缶の半分くらいを吹き切っちゃうような勢いで吹いて、ようやくほぼ均一な感じに塗ることができました。たぶん、このくらいの大きさが缶スプレーで塗れる限界のような気がします。
吹いた回数は3回で、初めの2回は色づけのため、最後の1回で粒子の配向をできるだけ綺麗に揃えるイメージで吹きました。・・・こんな吹き方で良いのでしょうか?プロの塗装屋さんがいたら基本を教わりたいです。
(このページは、掲載している方法および結果を保証するものではありません)