5.フロントリップ塗装 (1/3ページ)

 ゴルフ4のフロントリップは、下側に丸く回り込んでいるために十分なアプローチアングルがあるように見えますが、実際の地上高は見た目の印象よりも低く、ノーマルでもアプローチアングルは小さめです。国産の一般的な乗用車よりはずっと低くて、スポーティカーなみの感じです。なので、前から車止めに寄せたりすると、たいていの場合リップを擦ります。はじめ、フロントスポイラーを着けることも考えたのですが、これ以上アプローチアングルを小さくして実用性を犠牲にしたくないのと、ゴルフ独特の丸顔を尊重して、とりあえずこのままいくことにしました。

 そのノーマルのフロントリップですが、リップとエアインテークのルーバーをボディ同色にすると、ゴルフ独特の丸顔が強調されて一体感が増し、なおかつ視覚的重心が下がるので、ローワード感も出てカッコ良くなると知りました。これは、稲城の丘の青GTIさんがJEのリップを着ける前にやっていたメイクで、初めて見たときにカッコイイと感じて真似することにしました。ところが、この塗装を業者に頼むと、ルーバーとリップだけでもかなりの出費になる様子。しかも、リップの表面にはシボ目があるのですが、このシボ消しはとても大変で、業者でも嫌がられることがあるようです。っというわけで、自家塗装に挑戦することにしました。

    

 塗装作業は、まず対象となるパーツを外すことから始まります。ルーバーは写真のように上側の爪2かヶ所を押さえて手前に引っぱれば、簡単に外れます。真ん中の幅広のルーバーを外すには、ナンバープレートを一旦外してからになります。ルーバーを外したら、次にリップを外します。手順としては、リップを外す前に、ルーバーを3つとも外しておいた方が、作業がスムーズだと思います。

      

 リップを外すには、まずインナーフェンダーの内側から固定している黄色矢印のネジ(左右各1本)を外します。写真ではインチキして六角棒レンチを使っていますが、このネジはトルクスです。これを外したら、あとはリップを外側に引っぱると、水色矢印の爪が外れて、右写真のようにリップが外れてきます。爪はしっかりかかっているので、外すにはちょっと力がいるかもしれませんが、材質が軟らかいポリプロピレンなので、力を入れて引っぱっても爪が欠ける心配はまずありません。どうしても外れにくい場合は、インナーフェンダーのネジをもう一つ外し、すきまから内側に手を突っ込んで、手探りで爪を下方向に押すようにしながらリップを引っぱると、スムーズに外せます。

      

 あとは、順次にリップを引っぱって爪を外していきますが、やはり爪の掛かりがきつくて引っぱっただけでは外れにくい箇所がありますので、その場合は、中写真のようにルーバーを外した穴から手を入れて、手探りで爪の掛かりを下方向に押しながらリップを引っぱると、スムーズです。全ての爪を外すと、リップがポロリと外れます。

    

 外した部品は、水と洗剤できれいに洗います。歯ブラシなども使って、入り角の奥までできるだけきれいにします。リップの裏面にはベットリとした油分や工場組立時の防水ワックスが付着していたりしますが、作業をやりにくくする原因になるので、綺麗に除去しておきます。

    

 運転席側のルーバーは、インタークーラーに冷気を取り込む機能があるので、初めから貫通しているのですが、助手席側は外気温センサーとホーンくらいしかないため、左写真のようにルーバーの奥が4分の3くらい塞がれた形状になっています。このまま塗装をすると、袋状になった入り角の着き回りが悪くてムラになりやすいのと、ふさがれた面に着色してしまうと正面から見て格好悪いので、この時点でカッターで面を切り落として右写真のように貫通させておきました。

    

 リップは、私の運転のせいもあってか、ノーマル状態でもアプローチアングルが不足したと見えて、左写真のように結構キズが入ってます。キズはバンパー用のパテで埋めて補修しました。それから、表面のシボを削って消す必要があります。左写真の水色枠内を拡大したのが右写真で、シボはブツブツが出っ張っているタイプのものです。この出っ張ったブツブツを塗装前に完全になくしておかないと、いくら上手に塗装をしても綺麗な仕上がりは望めません。この下地づくりが、仕上がりの善し悪しを決めると言っても良いと思います。

    

 で、いざそのシボ消しを初めて見ると、これが予想以上に大変です。始めのうち左写真のような電動工具を使ってみたのですが、シボがなかなか消えないわりには表面に深い傷が残ってしまい、芳しくなかったのですぐにやめました。このときに作ったキズは、結局あとで薄付けパテで埋めるハメになりました。また、電動サンダーは削っている箇所が熱を持ってしまうので、シボが消えたように見えて後で浮き出してくるという話も聞きます。ナイロンたわしのような材質のサンダー(いわゆるスコッチブライト?)なら、もしかしたら効果的かもしれませんが、試していないので何とも言えません。

 結局、耐水ペーパーを使って、手削りの水研ぎでシボを消すことにしました。稲城の丘さんからは「大変ですよ」という前情報を聞いており、覚悟はしていたのですが、想像以上でした。#240でシボ消しをして、#500で仕上げたのですが、6時間くらいひたすらシャカシャカやり続けました。リップは地面に擦る可能性を考えて耐擦過性グレードの素材を使っているのか、ヤスリが全く食いつきません。とくに#240の粗削りの工程が大変で、ペーパーもすごい枚数を消費しました。しかし、ここで手を抜くとあとで後悔することになるので、根気、根気。シボさえ消えれば、#500の仕上げ削りは、意外に楽でした。

 ルーバーにはシボはありませんが、塗装の食いつきを確保するため、表面を#600の耐水ペーパーで舐めておきました。そのまま塗っても当座の仕上がりには問題ないと思いますが、モールド成型品の表面は分子の並びが揃っているため親和性が低く、また場合によっては離型剤の成分や、ワックス、汚れ、劣化膜などが残っていたりして、あとで塗装剥離の原因になります。なので、表面を一皮剥いておいたほうが安心です。また、このときに成型のバリや引けなども綺麗に仕上げておきます。ルーバーの材質はリップとは違うハイブリッド材でヤスリが食いつき易く、しかもほんの一皮剥くだけなので、作業はずっと簡単です。

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