(このページは、2002.10のメールをもとに 2002.12再編集したものです)
9.アライメントについて
先日、スタビの相談もあってイシカワエンジニアリングに行って来ました。初めて伺ったのですが、すごく親切にしていただいて、無料でキャンバーを測ってくれたり、すごく良い感じでした。電話で相談した際にも、いろいろとお話ししてくれて、信頼できそうだしファンになりそうです。実は、おなじ質問をCOXにも電話で聞いてみたのですが、素人の私には通り一遍の説明しかしてくれず、何だか少し取っつきにくい感じでした。一流のレストランに入るのに、気後れしてしまう感じと似ているかもしれません。
さて、GOLF4のホイールアライメントですが、基本的にトー角以外は調整ができない構造になっています。しかし、ネジ穴にガタがあり、その範囲で微調整しようと思えばできる状態です。フロント側は、サブフレームにロアアーム、スタビライザー、ステアリング機構等が載っているのですが、そのサブフレーム全体を車体側に取り付けるネジ穴にガタがあり、センター位置から前後左右に約2mmまで移動できます。つまり、ネジの直径よりもバカ穴の内径の方が約4mm大きくなっています。ただ、新車時の取り付け状態が、穴のセンターにあるかどうかは個体差によります。たとえば、新車時にサブフレームが右一杯の位置に固定されているなら、そこから左に最大約4mmまでは動かせますが、右にはそれ以上動きません。
ナックルジョイント(つまりロアアーム先端とストラットの先端をつなぐ部分)の位置が前後左右に1mm動くと、ストラットの角度は約5分傾きます。従って、サブフレームの位置を左右に±2mm調整すると、キャンバーは、最大で±10分程度動かせることになります。但し、当然ですが、右を+10分にしたら、左は−10分になり、左右は常に逆相に動きます。また、キャスターは左右逆相に動かす(つまり、右を前に出して左を後ろに引く等の)場合で±20分程度、同相に動かす(つまり、左右とも前または後ろに動かす)場合で±10分程度の調整ができます。逆相で動かした場合の調整しろが約2倍になるのは、サブフレームの取り付けネジ位置より、ロアアーム先端が外側に位置するため、逆相(つまり、上から見て捻り角がつくように)動かした場合は、アームの長さ分だけナックルジョイントの変位が大きくなるためです。
フロントで調整できるところは、もう一カ所あり、ロアアーム先端とナックルジョイントの接合部です。ここは、外側突き当てで位置を出すのが基準位置であると思われ、基準位置より内側に約3mmの調整しろがあります。つまり、基準位置よりもキャンバーをポジ方向に15分程度傾けることができます(写真がないと、ちょっと説明しにくいですが、ホイールを外して見れば、よく分かります)。これは、左右独立に調整できます。私の場合、本編の足まわり編10項で「ロアアームを2mm延長した」というのは、ナックルジョイントとの接合部の長穴をヤスリで2mm外側に削って広げ、もともと約3mmしかない調整しろを約5mmに拡大したものです。もちろん、位置決め用の突き当ても性正確に2mm削りました。これで、キャンバーがノーマルよりも約10分ネガティブ側に傾きます。
新車時の状態というのは、メーカの決めた公差範囲に入っているかどうかだけで、製造、検査されており、「できる限り基準値に近づけよう」といった意識はありません。従って、公差ギリギリまでズレていても、そのまま良品として出荷されてくるわけです。私の車の場合で言うと、新車時からキャンバーの左右差が30分くらいあったと思います。しかし、実際問題としては、フロントのサブフレーム取り付け位置がガタ分のどこにあるかは気にしなくても大きな問題はないようです。10分やそこらのズレは許容範囲だと思いますし、イシカワさんでも概ねそのように教わりました。実際にキャンバーを10分イジって、ハンドリングの変化が認識できるかというと、私がやってみた感じでは、注意深く探るように運転すれば差分としては認識できます。しかし、絶対値として認識できるのは、30分くらいからだと思います。ちなみに、リアはトーションビームアクスル全体の取り付け位置(角度)を、やはりネジ穴のガタの範囲で調整でき、スラスト角を微調整できるようですが、私はこちらはイジっていないので何とも言えません。
トーについては、ゼロが基本であることは間違いなく、スポーツ走行などでもタイヤ温度を上げたい等の特別な理由がなければゼロ基準で合わせるようです。私もいろいろとイジってみましたが、やはり0の時が最も自然に感じます。とは言え、トーイン方向に0からトータル2mmくらいまでの範囲では、ほとんど不自然な感じがありません。トーインで不自然に感じるのは5mmを超えてからです。一方、トーアウトは1〜2mm程度でも、不自然な感じがします。車の挙動が不安定になり、直進がおぼつかなくなります。FF車の場合、あえてトーアウト気味にセッティングする向きもあるようですが、かなり特殊な手入れであり、一般にはやはりゼロ狙いで誤差分はイン側に出るようににすべきだと思います。
後日、スタビをもう一度交換してから、4Wアライメントを測定して、少なくともフロントについてはガタ分の範囲で調整する予定ですが、上記調整可能範囲の一杯まで調整したとしても、左右差が完全になくならない可能性もあります。あとは、ズレの傾向を押さえておいて、適当にごまかしをいれてセッティングするしかないでしょう。
(このページに記載の内容は、個人的な所感に過ぎませんので、あらかじめご了承お願いいたします)