(このページは、2002.11のメールをもとに 2002.12再編集したものです)

8.スタビライザー(その2)

 社外製のフロントスタビについては正確な情報が少なく、私も少し調べる必要がありました。一般に入手可能なスタビは、COX、VWRacing、arc、NEUSPEED、H&R、ABT、RBG、EIBACHといったあたりでしょうか。このうち、RBGとEIBACHについては、情報が少なく、私もほとんど調べていません。なので、他のものについて知っている範囲の情報を書いてみます。まず、arc製ですが、これはarcに直接電話して話を聞いたのと、オートブレインの倉田さんにも電話で話を聞きました。arcでは、「現行モデルの141%の捻れ剛性」と言っていましたが、「現行モデルというのは23mm径のことですか?」と聞きますと「それについては良く分からない」というようなことでした。で、「じゃあ、ノーマルが23mm径のスタビの場合は、それと比較してどうなんですか?」と聞きましたら、「ほとんど同じです」とのこと。一方、倉田さんは、「arc製と01GTIのノーマルとを比較すると硬さは大差なく、COX製よりは柔らかいだろう」と言っていました。

 arc製のパイプ(中空)の太さは外径で23.1ないし23.2mmくらいらしく、普通に考えると硬さ(捻れ剛性)は00〜01GTIのノーマルとほぼ同等かそれ以下になるはずです。捻れ棒のバネ硬さは直径の4乗に比例するので、硬さを決める上で最も支配的なのは外径寸法です。他に形状や材質の違いも関係しますが、材質だけで何割も硬くするのはまず無理です。私は、おそらくノーマルの23mm径に比較して、arc製の硬さは2〜3%ダウンするのではないか考えています。141%というのは、ノーマルが21mm径の場合に比較した数字のはずです。だいいち、23mm径の141%も硬くしたのでは、バランスが悪くて街乗りでは少なからず不快な乗り心地になってしまいます。arc製の売りは、COXよりもドライブシャフトの逃げを多く取っていることだそうで、ものすごくローダウンしてCOX製をつけてもなお干渉が生じるような場合でも、arc製なら干渉が発生しないそうです。ファッション志向ではメリット有りですが、00〜01モデルに対して走り(ロール剛性)の面でのメリットはないと思われます。

 次に、COX製ですが、COXで99年に売っていたスタビは、外径21.9mmのパイプ(中空)スタビです。これだと、99モデルの21mm径に対して122%になります。ところが、00モデルから純正が23mmに太くなり、COX製は純正よりも柔らかくなってしまったため、COXは00〜用として24mmの中実(棒)タイプをリリースしました。純正オプションカタログに載っているVWRacingの青いスタビは、この00〜用のCOX製と同一品の色違い(OEM)です。一般のショップでCOX製を着ける場合、車両が99モデルであっても00〜用の24mm径のものを着けることが多いようです。また、VWRacingの適合表をみても、年式を問わず同じものを装着するようになっています。しかし、本家COXに電話で聞いたところ、本家では車両が99モデルの場合は今でも99用の21.9mm中空タイプを着けているようです。なので、99モデルの車両に足柄のCOXでCOX製スタビを着ける場合は、その点を意識しておく必要があると思います。ちなみに、COXのHPや販売店向け資料で、現行の00〜01用の24mm径がGTIノーマルに対して12 2%となっていますが、GOLF用とビュービートル用が共通であることから考えも、どうやらこれは表記の誤りだと思われます。

 それから、ABT製はH&R製と全く同じの色違いです。両方とも青ですが、ABT製の方が青みが少し濃いようです。22mm径の中実ストレートタイプで、捻れ剛性はCOX製の99用とほぼ同じくらいだと思います。しかし、ABTの輸入元では、これで01の純正より強化されると説明していたりします。今年のVWフェスタでは、ABTの説明員の方が「01GTIのノーマルは21mm径のはずだ」と言っていましたが、これは間違いだと思います。少なくとも私の車は実測で23mmありますし、雑誌の記事等でも「99は21mm径、00〜01は23mm径」と書かれています。なので、ABT製を00〜01モデルに装着すると、ノーマルよりも柔らかくなります。ドライブシャフトの逃げは大きめにとってあるので、ローダウンには向いているかと思います。また、02以降のAUMでは、ESP付きになったことに呼応してノーマルが21mm径に戻っているというウワサも聞きましたが、これもどうだかわかりません。たぶん、00以降は全て23mm径だろうと思われます。ちなみに、ニュービートルなども、今では23mm径になっています。スタビについては、どういうわけ か、不正確な情報が多いようです。

 あと、H&R製を着けた際に分かったのですが、ノーマルのスタビは、単純な曲げ形状だけでなく、先端部に微妙な捻れがついています。H&R製はその部分がストレートになっているため、ポン付けではリンクのアッパージョイントのところのゴムブッシュに無理がかかってしまいます。私の場合はリンクのアッパージョイントをピロに変更したので、無理がかかることはありませんが、そのたりの微妙な捻れまで含めて、安心して取り付けられるのは、やはりCOX製(VWracing製)かもしれません。あとは、ピロが添付されているNEUSPEEDでしょう。ちなみに、リンクをピロにすると、スタビ自体がノーマルでも、いかにもイジった感じの乗り味になります。NEUSPEED製は25mm径で一般に市販されている中では最も太く、さらにリンクがピロになることから、それなりにハードな乗り味を覚悟する必要があると思います。おそらく、バネやショックもそれなりのものを選択して、さらにリアにも入れないとバランスが取れないんじゃないかと思います。逆に、サーキット走行等に主眼をおくなら、選択肢はこれ以外にないという気もします。

 私の調べた範囲で硬さを推定しますと、99ノーマルを100とした場合、H&R製(ABT製も同じ)は120、COX製21.9mm径は122、arc製は141、00〜01ノーマルは144、COX製24mm径(VWRacing製も同じ)は160、NEUSPEED製は200といった感じです。00〜01ノーマルを100とすれば、99ノーマルは70、H&R製は83、COX製21.9mm径は84、arc製は98、COX製24mm径は111、NEUSPEED製は138といった感じになります。ちなみに、数字はあくまで推定値なので、誤差があることはご承知願います(また、より正確な数値をご存じの方は、ぜひご連絡いただきたく存じます)。私は、H&R製を試した経験も踏まえて、COX製かVWRacing製を購入する予定です。車が99モデルの場合は、ドライブシャフトの干渉問題を抜きにして走行性能だけでいえば、00〜01のノーマルに付け替えてみるのも、お奨めできるメニューのような気がします。

 2003.09.23加筆: arcのフロントスタビライザーは、パイプ径が変更になっているようです。詳細情報を入手していませんが、上記よりは捻れ剛性(硬さ)をアップしている可能性があります。また、COXおよびVWRacingのスタビは、先端のリンク取り付け部の形状がノーマルのように捻れておらず、H&R同様にリンクのゴムブッシュに若干の捻れが加わります(程度としては、H&Rよりは軽微)。ブッシュの耐久性への影響は不明ですが、さしあたりの使用には問題ないとレベルと思われます。また、中空パイプ製スタビは、中実スタビと捻れ剛性の数値が同じでも、やや非線形(プログレッシブ)な特性になるようで、感覚的な効き具合には若干の違いがあるようです。具体的には、中実が初期からガツンと効く感じに対し、中空はややジンワリと効く傾向にあるとのこと。計算値の硬さの比較だけでは比べられない面もありそうです。

(このページに記載の内容は、個人的な所感に過ぎませんので、あらかじめご了承お願いいたします)