(このページは、2002.10のメールをもとに 2002.12再編集したものです)

7.スタビライザー(その1)

 先日、ネット上で知り合った方にメールで質問させていただき、スタビライザーについてご意見を頂戴したのですが、それが非常にタメになりました。私はこのところスタビのセッティングでドツボにハマっているのですが、私の質問に対して、「どういう足まわりにしたいのか、よく分かりません。それによって、どのようなセッティングが良いかも変わってくるでしょう」といったご指摘をいただき、目から鱗が落ちました。

 これまで、ノーマルの気に入らない点に対して、具体的に「この反応をもっとこうしたい」とかいう希望があって、その目的のためにいじってきたので、そこそこ納得のいく結果が得られてきたのだと思います。今回、スタビの変更に手を出したのは、ひとつには「スタビをイジってみたい」という興味本意であって、漠然と「今よりも更に良くなるんじゃないか?」という甘い考えでイジり始めてしまったのが、最大の間違いだと気付きました。私の求める走りから言えば、スタビをいじる前の状態でほぼ満足だったわけで、乗り心地から感じられる前後バランスの悪さ(前輪への下からの入力で車体が左右ロール方向に振られやすい)はあったものの、それが走りに対してマイナスかと言えばそんなことはなく、かといって乗り心地をどうしても改善したいわけでもなかったので、要は何をどうしたくてイジるのかが不明確なままイジり始めてしまいました。そのため、イジった結果に対しても、良いか悪いかを自分で判断できない状態になっていたのだと思います。

 また、「スタビも含めて、足まわりは全体として考える必要がある」という指摘も頂きました。分かっているつもりでも、どこかに意識が集中すると全体のバランスに対する意識がつい抜けてしまい、基本に立ち返るという意味で非常に参考になりました。私の場合、リアスタビを着けてみたいという希望もあるのですが、これも現状に対する不満を解決したいためではなく、「着けたらどうなるのか試してみたい」という興味が理由の殆どです。分担荷重の軽い後輪側を固めても、接地性が悪くなる(バタつく)可能性もあり、判断に迷うところではあります。ともあれ、「何をどうしたいのか、明確な目的を持ってイジらないと、ろくな結果にならない」という、当たり前ですが重要なことを再認識できました。これをきっかけに、サスチューンの暗黒迷路から抜け出せるかもしれません。

 これまでスタビをイジった範囲で分かったことを整理しますと、まず、スタビをノーマルより細くする方向でいじるとハンドリングは悪化します。前後のバランス云々という以前に限界が低下してしまいます。なので、ハンドリングが目的であれば、細くするのは全くお奨めできません(あたりまえか)。反面、乗り心地は、明らかによくなります。初め、乗り心地とハンドリングとの妥協点という意味で、細くした方が良いのではないかとも思ったのですが、乗れば乗るほどイヤになってきて、交換後1ヶ月で完全に失敗と認めるに至りました。紆余曲折があったのですが、22mm径に細くした場合の乗り味だけを記しますと、まずロールの絶対量が増加して、コーナリングGが少ないうちからアンダーステア傾向がでます。しかし、ロールスピードは主にダンパーの硬さで決まるようで、あまり変化がありません。ロールスピードが同じで、ロール量が増えるということは、つまりロールが完了して姿勢が釣り合うまでの時間が長くかかると言うことです。従って、コーナリング姿勢がなかなか決まらず、車の動きがもっさりと(つまり鈍化)した感じになります。

 また、旋回時の姿勢とか、各輪の荷重の掛かり方というのは、どういう旋回の、どういう段階かによっても大きく違ってきます。私は、そのことを忘れて、100km/h程度のいわゆる中速コーナーの定常旋回時の姿勢のみに着目してセッティングを考えたのも、大きな失敗でした。つまり、フロントスタビが太いと、中速コーナーの定常旋回時には外側前輪の負担が大きい感じになります。別の言い方をすると、リアよりも相対的にフロントの方が突っ張る感じです。これに着目するとフロントスタビを柔らかくするか、リアスタビを固めるのが良いということになり、実際、フロント柔らかくして、定常旋回時の前後ロールバランスは改善されたと感じます。しかし、コーナリングの初期の部分で、とくに減速Gを残している状態では前輪側の荷重が増すので、前が突っ張り気味ぐらいで丁度良いバランスになるわけです。これを定常時に丁度良くなるように合わせてしまうと、旋回初期にはフロント外輪が沈みすぎて、ズッコケたような姿勢になってしまうわけです。

 同じく、低速でハンドル切れ角が大きくなる場合も、外輪差がある(つまりノーズが外を向く)分だけ前輪方向に遠心力がかかります。なので、フロントが突っ張っているくらいでないと、ダイアゴナルな(つまり外側前輪が沈んで内側後輪が浮くような)ロールが出てしまうことになります。そういうわけで、総合的に見ると、スタビはノーマルの方がバランスが良かったと言えます。今後の予定ですが、ノーマル戻しはしゃくなので、軍資金を貯めて、COXの24mm径を試してみようと思っています。しかし、22mmにしてあれだけ乗り心地が改善したことから考えると、もしかしたら、24mmにすると乗り心地に堪えられずに、「また失敗」と言うかもしれません。ちなみに、雑誌等で書かれている、「スタビを強化すると乗り心地はそのままで安定性だけ向上する」というのはウソであるか、もしくは少し鈍感な人の話です。路面から受ける入力の大半は左右同調ではありません。目地段差等の上下動は確かにほとんど変化がありませんが、普通の道を普通に走る限りにおいて、ロール方向の揺れが明らかに増加して、頭を左右に振られるような不快な乗り心地になります。実際、スタビリン クをピロに変えただけでも、同じように乗り心地が悪化しました。まあ、24mmにしてどうなるか、楽しみです。

(このページに記載の内容は、個人的な所感に過ぎませんので、あらかじめご了承お願いいたします)