星を見よう(望遠鏡 購入編)

さて、もっともっと星を大きく詳しく(また、火星や土星などを)見たいという人は、望遠鏡が
必要になります。
しかし、望遠鏡は星座早見版や双眼鏡のように安くはありませんし、また双眼鏡のように手軽に持ち運べる代物ではありませんので、買おうと思ったときは、もう一度、本当に欲しいものなのか、必要なものかを考えてください。
それでもやっぱり欲しいという人は、以下の点を参考にしてみて下さい。
架台の種類
  架台とは望遠鏡を載せる専用の台で、これには2つの種類があります。
 ○経緯台
   地面に対し水平に回転する軸と、それとは直角に回転する軸の、2軸から構成される台。
   容易に目的の方向に望遠鏡を向ける事ができます。
   (簡単に言うと、上下左右に動く台)
 ○赤道儀
   地球の自転軸に対し平行な回転軸(極軸、赤経軸)と、それとは直角に回転する軸(赤緯軸)の、
   2軸から構成される台。星の日周運動(地球の自転により天体が回って見える運動)に合わせて、
   架台を動かすことができるので、長時間の観望や、写真撮影の時に便利。

   右に赤道儀の写真を示しますが、極軸は
   北極星に向けています。
   北半球では北極星を中心に星が回って
   いるように見えるので、一度星を望遠鏡の
   視野に入れれば、あとは極軸を動かす
   だけで星を追尾する事ができます。 
   ちなみに経緯台は極軸が水平になっている
   状態のものになります。

気軽に星を楽しむなら経緯台を、写真撮影もやろうという場合は赤道儀を勧めます。
望遠鏡の種類
  望遠鏡には大きく分けて2つの種類があります。
 ○屈折式望遠鏡
   レンズで星の光を集め、接眼レンズ(アイピース)で拡大して見る望遠鏡。
   レンズの中を光が通過する為、色収差(赤〜紫の色が同一の焦点を結ばない現象)が起きます。
   この収差を改善するために特殊なガラス材(EDやフローライトなど)を使用したタイプもあります。
   ただし、価格も相当UPします。
   光軸(レンズの位置)ズレが起きにくく、像は比較的安定しています。
   一般に望遠鏡というとこのタイプです。
   
 ○反射式望遠鏡
   凹面(放物面、双曲面など)鏡で光を集め、接眼レンズ(アイピース)で拡大して見る望遠鏡。
   一般的に大口径を屈折式よりも安価に手に入れる事ができます。
   また、屈折式とは違い色収差が起きないので、像は非常にシャープなものになります。
   ただし、光軸ズレが起きやすく、像が不安定気味、特に反射鏡が温まっていると筒内気流が
   おきます(反射鏡により温められた空気が望遠鏡内で対流を起こす現象。かげろうのように像が
   揺れてしまう)。

屈折式にも反射式にも言えることですが、対物側(星の光を集めるレンズ、反射鏡)の口径が大きい
ほど、星をはっきり見る事ができます。ただし、大きくなると取り扱いにくく、広い保管場所も必要に
なります。そして、なんといっても値段も高くなります。

現在の主流(※)は、屈折式なら口径8cm〜10cm。反射なら12cm〜20cmくらいです。
このあたりだと望遠鏡メーカも豊富に揃えているので、あとは各自の好みや予算に合わせて
購入すると良いと思います。
(※昔は、屈折といえば6cm(F15くらい)、反射は10cm(F10)が主流でした。結構昔だけど)

◆望遠鏡のメーカ

 ところで、望遠鏡メーカって?と思う方もいると思います。たしかに望遠鏡メーカってTV−CMしない
 ので、ほとんどの人は知らないですよね。(キャンプ用品もそうだけど)
 そこで、私の独断と偏見ですが、メジャーなメーカを以下に紹介しますので、参考にしてください。
 
 ○高橋製作所
  アマチュア用の望遠鏡メーカとしては絶大の信頼を得ているメーカ。フローライト(蛍石)をいち早く
  取り入れ、ε(イプシロン)、Mewlon、など常に新しい光学系にチャレンジしています。
  赤道儀のEMシリーズも定評があり、特にEM−200はハイ・アマチュアご用達の赤道儀です。
  (ちなみに私の鏡筒は高橋製作所のFC-100です)

 ○ビクセン
  ハイ・コストパフォーマンスに優れた製品を多く出しているメーカ。望遠鏡以外にルーペ、
  顕微鏡、双眼鏡なども作っている光学系総合メーカです。電子系にも強く、天体自動導入システム
  スカイセンサーはベストセラー製品です。カメラ量販店、眼鏡店などにも卸しており、
  比較的目にするメーカです。
  (ちなみに、私の赤道儀はビクセンのSP−DXです)

 ○ペンタックス
  カメラメーカらしく、写真撮影を意識した望遠鏡(屈折のみ)は定評あり。このEDHFシリーズから、
  他メーカも写真撮影を意識し始めたと言っても過言ではないでしょう。ラインナップは豊富とは
  いえませんが、それぞれ目的をもった製品なので、購入の際、特に迷うという事はないと思います。
  (ちなみに、私のカメラはペンタックスです)

 ○MEADE(ミード)
  フォーク型赤道儀でシュミット・カセグレンが有名なメーカ(有名といっても星見人の間だけ)。
  シュミット・カセグレンは、焦点距離が長くても鏡筒を短くできるので、大口径の割りにコンパクトな
  望遠鏡です。
  

◆買ってはいけないもの
 買ってはいけないと言うと、少々大げさかもしれませんが、お勧めできない望遠鏡があるので、
 これには注意してください。
 それは、新聞広告などに掲載されたりする望遠鏡で、超小型、大倍率をうたっているものです。
 具体的には、口径が6cmくらいの屈折で、やたら全長が短く(30cmくらい)、倍率200倍とか
 書いてあるものです(土星の写真が載ってたりする)。
 残念ながら期待を裏切る事間違いなしの望遠鏡ですので、買わないようにしましょう。

◆最後に
 何度も言うようですが、望遠鏡は安いものではないので、購入の際は十分考えてください。
 天文雑誌や、他の方のHPもいろいろ見て参考にして、自分の星見スタイルに合った望遠鏡を
 購入してください。
 
 

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