星を見よう(望遠鏡 購入編)
さて、もっともっと星を大きく詳しく(また、火星や土星などを)見たいという人は、望遠鏡が 必要になります。 しかし、望遠鏡は星座早見版や双眼鏡のように安くはありませんし、また双眼鏡のように手軽に持ち運べる代物ではありませんので、買おうと思ったときは、もう一度、本当に欲しいものなのか、必要なものかを考えてください。 それでもやっぱり欲しいという人は、以下の点を参考にしてみて下さい。 |
◆架台の種類 架台とは望遠鏡を載せる専用の台で、これには2つの種類があります。 ○経緯台 地面に対し水平に回転する軸と、それとは直角に回転する軸の、2軸から構成される台。 容易に目的の方向に望遠鏡を向ける事ができます。 (簡単に言うと、上下左右に動く台) ○赤道儀 地球の自転軸に対し平行な回転軸(極軸、赤経軸)と、それとは直角に回転する軸(赤緯軸)の、 2軸から構成される台。星の日周運動(地球の自転により天体が回って見える運動)に合わせて、 架台を動かすことができるので、長時間の観望や、写真撮影の時に便利。 |
右に赤道儀の写真を示しますが、極軸は 北極星に向けています。 北半球では北極星を中心に星が回って いるように見えるので、一度星を望遠鏡の 視野に入れれば、あとは極軸を動かす だけで星を追尾する事ができます。 ちなみに経緯台は極軸が水平になっている 状態のものになります。 気軽に星を楽しむなら経緯台を、写真撮影もやろうという場合は赤道儀を勧めます。 |
◆望遠鏡の種類 望遠鏡には大きく分けて2つの種類があります。 ○屈折式望遠鏡 レンズで星の光を集め、接眼レンズ(アイピース)で拡大して見る望遠鏡。 レンズの中を光が通過する為、色収差(赤〜紫の色が同一の焦点を結ばない現象)が起きます。 この収差を改善するために特殊なガラス材(EDやフローライトなど)を使用したタイプもあります。 ただし、価格も相当UPします。 光軸(レンズの位置)ズレが起きにくく、像は比較的安定しています。 一般に望遠鏡というとこのタイプです。 ○反射式望遠鏡 凹面(放物面、双曲面など)鏡で光を集め、接眼レンズ(アイピース)で拡大して見る望遠鏡。 一般的に大口径を屈折式よりも安価に手に入れる事ができます。 また、屈折式とは違い色収差が起きないので、像は非常にシャープなものになります。 ただし、光軸ズレが起きやすく、像が不安定気味、特に反射鏡が温まっていると筒内気流が おきます(反射鏡により温められた空気が望遠鏡内で対流を起こす現象。かげろうのように像が 揺れてしまう)。 屈折式にも反射式にも言えることですが、対物側(星の光を集めるレンズ、反射鏡)の口径が大きい ほど、星をはっきり見る事ができます。ただし、大きくなると取り扱いにくく、広い保管場所も必要に なります。そして、なんといっても値段も高くなります。 現在の主流(※)は、屈折式なら口径8cm〜10cm。反射なら12cm〜20cmくらいです。 このあたりだと望遠鏡メーカも豊富に揃えているので、あとは各自の好みや予算に合わせて 購入すると良いと思います。 (※昔は、屈折といえば6cm(F15くらい)、反射は10cm(F10)が主流でした。結構昔だけど) |
◆望遠鏡のメーカ ところで、望遠鏡メーカって?と思う方もいると思います。たしかに望遠鏡メーカってTV−CMしない ので、ほとんどの人は知らないですよね。(キャンプ用品もそうだけど) そこで、私の独断と偏見ですが、メジャーなメーカを以下に紹介しますので、参考にしてください。 ○高橋製作所 アマチュア用の望遠鏡メーカとしては絶大の信頼を得ているメーカ。フローライト(蛍石)をいち早く 取り入れ、ε(イプシロン)、Mewlon、など常に新しい光学系にチャレンジしています。 赤道儀のEMシリーズも定評があり、特にEM−200はハイ・アマチュアご用達の赤道儀です。 (ちなみに私の鏡筒は高橋製作所のFC-100です) ○ビクセン ハイ・コストパフォーマンスに優れた製品を多く出しているメーカ。望遠鏡以外にルーペ、 顕微鏡、双眼鏡なども作っている光学系総合メーカです。電子系にも強く、天体自動導入システム スカイセンサーはベストセラー製品です。カメラ量販店、眼鏡店などにも卸しており、 比較的目にするメーカです。 (ちなみに、私の赤道儀はビクセンのSP−DXです) ○ペンタックス カメラメーカらしく、写真撮影を意識した望遠鏡(屈折のみ)は定評あり。このEDHFシリーズから、 他メーカも写真撮影を意識し始めたと言っても過言ではないでしょう。ラインナップは豊富とは いえませんが、それぞれ目的をもった製品なので、購入の際、特に迷うという事はないと思います。 (ちなみに、私のカメラはペンタックスです) ○MEADE(ミード) フォーク型赤道儀でシュミット・カセグレンが有名なメーカ(有名といっても星見人の間だけ)。 シュミット・カセグレンは、焦点距離が長くても鏡筒を短くできるので、大口径の割りにコンパクトな 望遠鏡です。 ◆買ってはいけないもの 買ってはいけないと言うと、少々大げさかもしれませんが、お勧めできない望遠鏡があるので、 これには注意してください。 それは、新聞広告などに掲載されたりする望遠鏡で、超小型、大倍率をうたっているものです。 具体的には、口径が6cmくらいの屈折で、やたら全長が短く(30cmくらい)、倍率200倍とか 書いてあるものです(土星の写真が載ってたりする)。 残念ながら期待を裏切る事間違いなしの望遠鏡ですので、買わないようにしましょう。 ◆最後に 何度も言うようですが、望遠鏡は安いものではないので、購入の際は十分考えてください。 天文雑誌や、他の方のHPもいろいろ見て参考にして、自分の星見スタイルに合った望遠鏡を 購入してください。 |