カメファク製BIGリードUYAMAHA用流用
           &気化促進プレート(多孔プレート)の装着


< 能書き >

ノーマルのブロック穴の拡張から始まり、KSR用流用等と、色々試して来ました。
一つ共通して言える事は、「吹き返し」が減少する事です。

正直言ってしまうと、良くはなっているのでしょうが、加速やパワーが激変
するほどの体感を得られてはいません。

「感覚的に良くなったかな」と言ったレベルです。
が、向上心を失うと進化はそこで止まってしまいます。
可能性がある限り、追求して見たいと思います。

今回は、カメファク製のBIGリードバルブUです。
開口面積的には、KSR用の更に30%アップです。
残念ながらスズキ車用のラインナップは無く、ヤマハ車用の流用となります。

また、今回は各方面の諸サイト様で噂になっている気化促進プレート(多孔プレート)
をセットで装着してみる事にしました。


< 目 的 >

混合気の入り口であるリードバルブブロックの穴を拡張することで
リードバルブが開いていた時、より一層の混合気がエンジンに
送れるようにして、エンジン出力の向上を狙います。

また、気化促進プレートの装着により、キャブで気化し損なった燃料や
吹き返しによる不燃燃料を再度気化し、シリンダーへ送り込み
燃焼効率の向上を狙います。


< チョイス >

     <   チョイス   >

今回、私がチョイスしたのはコレ。
カメレオンファクトリー製パフォーマンスBIGリードバルブKITU

ちなみにスズキ車用はラインナップが無いのでヤマハ車用です。

< 内 容 >

     <   工程 1   >

ヤマハ車用ですが、装着には追加工が必要になります。
追加工と言っても、ボルト穴を一箇所スズキ車に合わせる
だけなので、なんら特別な技術は必要ありません。

丁度写真の下の部分。
半円形の切り欠きがあります。
それがその部分です。

材質がアルミなので金属用の棒ヤスリで簡単に加工できます。

     <   工程 2   >

そして次に用意するのが、金属のパンチング材。
端材を使ったので、サイズが解かりません。。
「こんなもんかな?」で集めてしまいました。

ちなみに、一つはパンチング材、一つは金網です。
入手した情報ですと、穴の大きい(目の粗い)方で
乱気流を起こし、穴の小さい(目の細かい)方で
気化出来なかった燃料をキャッチ、再気化させるそうです。

     <   工程 3   >

そんな訳で、リードバルブブロックに組み込んで見ました。

キャブ側(入り口)を穴の大きい方、シリンダー側を穴の小さい
プレートを入れました。



写真を見て気付かれる方もいると思いますが、
プレートがセンターでなく、
片側にナナメにオフセットされていますね。

別に、失敗したわけじゃないんです。


ちょっと私は専門家でないのでわからないのですが、
流体力学に詳しい知人に知恵を拝借しました。

下の図を見てください。(醜いです)
シリンダーの断面と思ってください。
極端ですが、水色の部分がリードバルブ。
黄色い部分はインテークマニホールド(以下インマニ)

リードバルブに赤い線が2本あると思いますが、
それが今回のプレートです。
大小2枚あります。

     <   解説 1   >

アドレス110の場合、キャブを抜けてきた混合気は、
シリンダーに入るまでインマニを通過してきます。

このインマニは、シリンダーレイアウトの関係上、
水平方向から、垂直方向に曲げられていて、
その中を通る混合気もインマニのカーブに沿って、
方向の変更を余儀なくされます。

しかし、空気にも慣性と言うものが働いていて、
真っ直ぐ進もうとして、外側の外壁にぶつかります。
そこでようやく方向変更するのです。

厳密には、水も空気も電気も流体は壁に沿って
流れる性質を持っています。
(余談:プロがインマニ内部を鏡面加工しない理由はココにあります)

アウト側の空気は壁に沿って流れるので良いのですが、
イン側の空気は慣性に負け、壁を離れ、
アウト側に飛び出そうとしてしまいます。

図の黄色い部分がインマニですが、
その中の矢印が空気の流れです。

アドレス110の場合、インマニの曲がった直後に
リードバルブがあるので、アウト側に空気の流れが偏ります。
その、偏る方向に沿ってプレートをオフセットさせた訳です。

更に、インマニのカーブのイン側にもプレートを追加します。
この部分は、俗に「淀み」が発生し、空気の流れが停滞して
流速が下がってしまう部分らしいです。

この部分は特に気化できず液化のままの燃料が垂れ流れている
と推測されます。
その燃料をキャッチしようと言う訳です。

厳密にはX方向だけでなくY方向にも曲がっているので
完璧ではありませんが、近い方向ではあると思います。

まあ、私も専門家でないので、知人の理論の受け売りですが・・。

     <   工程 3   >

ようやく取り付けです。

そこで心配事が一つ。
リードバルブブロックですが、若干ノーマルより高さがあります。
仮止めした限りでは、クランクのバランサーに当たる気配は
無いのですが、念の為、ガスケットを数枚使い、
嵩上げしておこうと思います。

     <   工程 4   >

アドのクランクケースです。
ノーマルのリードバルブブロックを外し、
ゴミが入らないようにパーツクリーナー等で綺麗にしておきます。

ノーマルリードバルブの外し方が解からない方は
   ↓↓↓コチラ
  BIGキャブキットの取付

*直でこのページには戻って来れません。
ブラウザの「戻る」ボタンで戻ってきて下さい。


    

ガスケットは3枚入れました。
1まい0.5mm位なので、ノーマルより1mm増し程度です。

後は元通り組んで完了です。



< 注意事項 >
エンジン部の部品を扱いますので、動作直後は火傷等の原因になりますので
作業はお避け下さい。

取り付けに関して、密閉不足による2次エアーの吸い込みは機関の
致命的ダメージに繋がる可能性があります。
作業の際は十分にご注意ください。


< 使用する材料 >

・カメレオンファクトリー製
  品名:パフォーマンスBIGリードバルブkitU 
  品番:無し(YAMAHA車用)
  価格:¥7,800- 

・アドレス110用 インマニガスケット 3枚
  品名:ガスケット・リードバルブ
  品番:13156-43E01
  価格:不明(大量所持の為)

・ステンパンチ材
 詳細不明

・ステン網
 詳細不明


< 使用する工具 >

・6mmヘキサゴレンチ
・+/−ドライバー
・10/12/14mmメガネ&ソケットレンチ
・スクレーパー
・ハサミ


< 使用するケミカル >

・金属部品用ガスケット(耐油性):必要に応じて
・パーツクリーナー :必要に応じて


< 参考文献 >

色々、Webサイトにて検索致しました。
「多孔プレート」で検索をかけると、結構出てきます。


< インプレ >


果たして、今回は体感パワーアップに寄与出来るか?
半信半疑のまま、ローテスに出てみました。
取り合えず、他の駆動系や燃調のセッティングは変更無し。

エンジンをかけ、暖気を終えると、
アイドリングが装着前より、約200rpm程度上がっています。

5km程度だらだらと様子を見て、いざ本番。
なんと、今回は今までと違います。
中速のトルクが段違いです。

コレは体感できます。
亀リードのせいなのか、プレートのせいなのか、
はてまた相乗効果なのか、良い感じです。

特に、不調の部分のアクセル開度はありませんが、
SJ、MJ共にセッティングを見直すと、更なるフィールアップが
望めそうです。

こちらに関しては、Ver15.×系セットデータにて、
詰めて行きたいと思います。

< 気化促進(多孔)プレート補足? >

で、気化促進プレート(多孔プレート)ってどーなのよ?
パワーアップするの? 噂通り燃費は上がるの?

コレが重要だと思います。
インプレでは、中速が段違いと感想を述べましたが、
この場で言う「中速」について補足しておきます。

シャシダイに乗せたりしていないので
ハッキリした数値では言えないですが、
実際のところは、図で示すと下のような感じだと思います。

赤い線 : プレート無し
青い線 : プレート有り
緑の線 : 理想

のイメージです。

     

まず、パワーの増え方ですが、各アクセル開度でのパワーの
出方に違いが出ます。

アクセル開度が小さくエンジン回転が低いと、インマニ内の空気の流速も遅く
全開時と比べ霧化する為の条件が悪いと言われます。

キャブのガソリン吸出し部ではカッタウェイの開閉により、一時的に
ベンチュリー径を狭め、空気の流速を上げる事により
ガソリンを吸いだすことが出来るのですが、
カッタウェイを通過した直後の部分では急にベンチュリー径が
広がってしまう為に空気の流速が落ちてしまうのです。

結果、吸い出したガソリンは霧化した筈なのに、流速が遅いため
霧化されたガソリンでも粒子の大きい物は、シリンダーに送り込まれる前に
インマニ等の壁に付着してしまい、液化してしまいます。

液化したガソリンは、その部分の熱を奪い気化しようとしますが
量が多い為、その部分の熱を奪いすぎてしまい
必要な気化熱を得られなくなりなります。
結果、垂れ流しとなるわけです。

そのような垂れ流れているガソリンを一時的に液体が馴染みやすい
目の細かいパンチ材などで受け止めておき、
目の大きいパンチ材が作り出す乱流により空気と無理矢理混ぜることにより
再度霧化させて、今まで垂れ流しで上手く燃やせなかったガソリンを
効率よく燃やしてあげる事を目的としている様です。

吹き返しにより液化してしまう燃料に関しても同じ事が言えますね。

また、垂れ流しているガソリンの他に、霧化したガソリンでも粒子の大きい物を
プレートで捕まえ、乱流で更に細かい粒子に霧化してシリンダーに
送る効果も有る様です。

その結果として、小さいアクセル開度でもワンランク上の燃焼効率が
得られるので、パワーアップしたと感じる事が出来るのだと思います。

言い換えると少ないガソリンでパワーが得られるので
燃費が向上すると言う事にもなります。

ただし、全開時には、キャブやインマニ内の流速も速く
ガソリンが比較的霧化した状態のままシリンダーに送れる為、
液化垂れ流しもあまり発生せず、粒子の大きい霧化したガソリンが
細かい粒子になる程度なので、アクセル開度が小さい時ほど、
効率アップはしないはずです。

むしろ全開時はプレートが邪魔になり吸気抵抗の原因にもなるので
パワーダウンの恐れも考えられますが、燃焼効率が上がる事を
考えると、イーブンといった感じでしょう。

これも言い換えると、全開時には燃費があまり変わらない
と言う事になります。

多孔プレートの燃費効果は、ハーフアクセルのパーシャル時に本領発揮!
といったところでしょうか・・。

また、回転数に対してのパワーの出方も同じと考えます。

回転数が低いうちは、空気の出し入れも少ないので、
当然、キャブ → インマニ → リードバルブ の流速も
遅くなります。



パワーとアクセル開度 の関係を、回転数との関係に
置き換えると上の図の様になると思います。

赤い線 : プレート無し
青い線 : プレート有り

アクセル全開時同様、MAXパワーの出る領域は
変化は無いに等しいと推測します。
下手すると下がっているかもしれません。

ですが、低い回転数は燃焼効率の向上によりパワーが
上がりますので、パワーバンドが広がる筈です。

エンジン回転数と速度が比例してしまう
マニュアル車などは非常に有効なのではないでしょうか?

しかし、スクーターはエンジン回転数は一定のまま
変速、加速する事が出来ます。
マニュアル車のように回転数と速度が比例しないのです。

駆動系のセッティングの出たスクーターは
全開時には美味しいパワーバンドを維持したまま変速できるので
全開時の加速などで最高速到達時間が短くなるか?
と言うと怪しい限りだと思います。

しかし、パワーバンドが広がるので、その分、変速回転数を
落とすことで、変速終了後のエンジン自体の伸び勝負で
広がったパワーバンドを有効活用できるかもしれません。

それが上手く行けば、スクーターでも全開時の最高速への到達時間の短縮も
夢では無くなりますね。

ここで、エンジン温度に過敏な人は気がつくと思います。
そう、燃焼効率上昇による、燃焼温度の上昇です。

確かに、単純にパワーは熱交換なので、
パワーが上がると発熱量も上がる傾向にあります。

が、パワーが上がるのは中速域中心ですので全開時の
温度はさほど変わらないと思います。
いくら中速域でシリンダー温度が上昇すると言っても
全開時の温度を超える事は無いでしょうし・・・。

また、燃焼に関しては、空燃比が関係していますので、
空気と燃料の比率で燃料が多い場合、
余った分の燃料は、いくら細かい粒子に霧化されていようが未燃ガスとして
シリンダーに残ることになりまので、その未燃ガスはシリンダー内で気化に必要な
熱を奪いながら排気されるのでシリンダーの温度上昇を
抑えられると考える事が出来ます。

結局のところ、濃い目のセットで難を逃れられるんじゃないでしょうか。

この場合は、やはり燃費は悪くなるのでしょうし環境にも良く無いでしょうが・・・。

なんだか長くなってしまいましたが、
メリットがデメリットを超えるか?に関して微妙な部分を感じます。
各パーツメーカーや車体メーカーがコレだけ噂になっても
採用しない理由はこの辺にあるのかも知れませんね。