アヴェニス150用フロントフォークの装着


< 能書き >

チューニングが進むにつれ、常用するスピードレンジが上昇し、
それに合わせ、タイヤをワイドにしたりブレーキ関係も強化してきました。
しかしながら、置いてきぼりを喰らっているのが、懸架装置。

リアは各社外メーカーで用意されていますが、フロントがありません。
ブレーキング時や、旋回時はフロントのサスペンションの動きも重要で、
既存する強化方法の情報は、フォークオイルの番手を上げる等が主流でした。

フォークオイルの番数変更も実質の減衰特性が変化するので有効なのですが、
高速域からの長時間フルブレーキでのフルボトムの状態は、
オイルの番数は殆ど関係なく、
主にはフォーク内部のバネの強さにより決定します。

ノーマルのフォークを分解して、バネの下層にワッシャー等を入れ
プリロード自体を上げてしまうのも手段の一つですが、
それでは全圧縮時の底付きの心配も懸念されます。

他車種の流用は・・・・と、街にある色々な同クラス〜1クラス上のスクーターを
物色していると、身近なところにお手ごろな車種がありました・・・・。

会社の駐輪場に同じ部署の先輩の乗るアヴェニス150があります。
休み時間に、計測の許可を貰いメジャー片手にアレコレと計測すると
何とか行けそうなイメージが湧いてきました。


< 目 的 >

重量、排気量、値段共に1クラス上のスーター、
アヴェニス150のフォークを流用して足回りの強化+αの性能アップを狙います。


< チョイス >

      <   チョイス   >

今回、私がチョイスしたのはコレ。

アヴェニス150用のフロントフォーク。

右はアドレス110用、左がアヴェニス用です。
見た目からして長いですね。

無負荷状態での全長は、
アドレス用が約435mmに対し
アヴェニス用は約490mmです。


< 内 容 >

      <   問題 1   >

違うのは長さだけではありません。

コレは、部品を手に入れてから気がついたのですが、
アクスルシャフトの径が違うのです。

アドレスは10Φに対し、アヴェニスは12Φ。
長さの問題以外はほぼボルトオンだと思い込んでいたので、
気がついた時は、一瞬頭が白くなりました・・・。

回避法としては、フォークの軸受けにカラー(12Φを10Φにする物)
を入れてシャフトを従来通りで行くか、ホイールベアリングの内径を
12Φにしてシャフトを12Φにしてしまうかの2択になります。

本来であれば、アクスルシャフトが太い方が、
剛性や耐荷重、車体安定性に歩があるので
太いアクスルシャフトに合わせたいのですが、
それにはホイールベアリングの内径も変更しなければなりません。

ところが、ホイールベアリングは規格物で、また、ベアリングの特性上
内径により外形が変ってしまう為、外径はそのままのサイズで
内径のサイズだけを変更するのは至難の技となります。

NSK、NTN、IKO、KOYOと数箇所のベアリングメーカーの
カタログを漁りましたが、やはり適合しそうな物はありませんでした。

      <   対策 1   >

そんな訳で、お得意のお手製パーツ登場です。
外径12Φ、内径10Φのアルミ製アクスルカラーです。

左右のアクスルの軸受けの長さが違うので、
左右それぞれに違う長さで造ります。



こんな感じで、アクスルの軸受けにカラーを入れて問題解決です。


      <   問題 2   >

お次の問題。 メーターギアの周り止めの
ストッパーの位置が違います。

上はアドレス110.
下はアヴェニス。



これは最初から判っていたので、準備済みでした。


      <   対策 2   >

そこで準備したのがコレ。

アドレスV100用のメーターギアです。

V100もアヴェニス同様、フォーク側のストッパーの位置が
車軸に対して水平方向にあります。

右が110用、左がV100用です。
上の写真で判る通り、回り止めストッパーの位置が違います。


      <   比較 1   >

一見、ハウジングの形状が違うだけで、中身は同じ様に見えますが
しっかり違いはありました。

メーターワイヤー側のギア(金属のやつ)の歯数が違います。
110が9枚なのに対し、V100は10枚です。

メーター側にどのくらい違いがあるか判りませんが、
タイヤの外径の差により、違いがあるのでしょう・・。

ちなみに、車軸側(樹脂のやつ)は形も歯数も一緒で
同じパーツのようです。

      <   対策 3   >

ギアの端数の違いが有る為、
ハウジングのみV100用と入れ替えです。

シールを外して、分解し、
各部パーツクリーナーで洗浄後に
ウレアグリス(普通の工業グリスでも良いと思います)
をタップリ塗布して、ポンです。


      <   問題 3   >

ココで予期せぬ問題が発生です。

V100メーターギアのハウジング流用で安心していたのですが、
そんなに甘くありませんでした。

なんと、アヴェニス用のメーターギアは一回り大きい様で
V100のメーターギアの回り止めが引っかからないのです。

どうしよう・・・・と一瞬頭を抱えましたが、
今日は妙に冴えてました(笑)



フォーク側のストッパーとなっている突起にダイスでねじ山を切り
ナットを止めます。



ナットのお陰で、ストッパーの外径が大きくなり、
メーターギアの回り止めが引っかかる様になりました。


      <   工程 1   >

ココまで来たら、後は簡単です。

ブレーキキャリパー、ホイール、フェンダーと外して行き、
フォークのみになったら、ステム部の二本のボルトを緩めます。

上側のボルトは、フォークの抜け防止の溝切りになっていて
完全にボルトを抜かないとフォークがステムから抜けないので
注意が必要です。


      <   工程 2   >

後は逆の手順で組んでいくのみです。

メーターギアも自然な位置にフィットしています。


      <   工程 3   >

アクスルシャフトのカラーもご覧お通りピッタリです。


      <   工程 4   >

尚、私のアドにはストマジのホイールが付いているのですが、
その際に作製した、アクスルのスペーサーも新調しました。

なぜなら、ストマジホイール装着時に、センターズレを懸念して
メーターギアのハウジングを削ったのですが、あまり変化が無い様
なので、今回はメーターギアのハウジングを加工していないのです。

そのために新しいスペーサーが必要になった訳です。



今回は、ストマジホイール装着時の自作スペーサーとは違い
出来合いの物を購入してきました。

5mm+3mmで計8mmです。

但し、この8mmというのは、鉄ホイール用のノーマルの
アクスルカラーを使用しているので、キャスト用のアクスルカラー
を使用した場合、数値が違う物になると思います。


尚、他の問題としては、キャリパーの固定用ボルトで、
アドレス110はM8×35を使用していたのですが、
アヴェニスフォークの場合はM8×30を使用する事になります。


      <   完成 1   >

完成です。

コレでステム〜フォークまでアヴェニス150になったので、
ナチュラル感が一層に増しました。

フェンダーを固定するにも、オリジナルのステーなど必要ありません。

ココでサスペンションの強化の他に特筆すべき事があります。

アヴェニスは、元々が220mmのブレーキローターを
使用しているので、キャリパーのマウントが最初から
オフセットされていて、キャリパーサポートの必要無しに
NSR50用の220mmローターが使用出来るのです。

キャリパーはアヴェニスもアドレスも共通品なので、
マウントのピッチは同じです。

今までは、シグナルGPの後などに他車種の方から良く
「結構弄ってるんですか? ブレーキも大きいし・・・・」
なんて話かけられて、キャリパーサポートの存在から、
チューニング車である事がなんとなく判ってしまいましたが、
これからは、「ノーマルです!」とキッパリ言えそうです。(嘘)

ちなみに、ステムやホイールはアドレス110で行きたいと
思っている閲覧者の方への情報ですが、

キャリパーの位置(アヴェは5mm程外側にオフセットされている)
と、メーターギアのハウジング、アクスルシャフトの径違いの
問題を克服すれば、そのまま装着が可能になると思います。

フォークのキャリパーマウントとキャリパーのベースの間に
5mmのスペーサーを噛まして、キャリパー固定用のボルトは
M8×35をそのまま使用すれば良い訳です。

フォーク間(トレッド?)の寸法は、
アド110でもアヴェニスでも同じだったので
アクスルスペーサーはノーマル以外、必要無いと思います。

ちなみに、アヴェニスステムベースの私の車体の場合、
フォーク間の寸法は
アド110フォークで174mm
アヴェフォークで174mm とまったく一緒でした。

フロント周りの分解はコチラを参考にして下さい
  ↓↓↓
 ストリートマジックフロントホイールの装着


      <   完成 2   >

気になる車高です。

予想では、約10mmのアップでしたが、
実際に装着して計測したら、予想を大きく越えていました。



計測点をフロントカウルのライト下側にして、
装着前は地面より550mm、
装着後は地面より568mmと
実質フロント部が18mmも上がってしまいました。

見た目は殆ど変化を感じないのですが、
こうして計測して数値で見るとかなり変化した事が判ります。


< 注意事項 >
ブレーキや懸架装置など、走行に重要な部分のチューニングとなりますので、
作業漏れ等内容にご注意しましょう。

走行直後の作業は、ブレーキが高温になっている可能性があるので、
各部が冷えるのを待って作業しましょう。

装着後のテスト走行は控えめな速度で安全を確認しましょう。

走行後、各部の異常や、ボルト、ナットの緩みが無いか確認しましょう。


< 使用する材料 >

・アヴェニス150用フロントフォーク
  品名:不明
  品番:不明
  某オークションにて、ステムごと一式¥6,100-

・アドレスV100用メーターギア
  品名:不明
  品番:不明
  某オークションにて¥1,000-

・アクスルシャフト用カラー
  自作  12Φアルミ丸棒材使用 
  近場のホームセンターで ¥390-

・M8×30 ステンレス製キャップボルト2本
  近場のホームセンターで ¥150-

・汎用アルミスペーサー
  地元ラフ&ロードで ¥450-


< 使用する工具 >

・10〜21mmメガネレンチ
・5〜8mmヘキサゴレンチ(六角レンチ)
・8〜21mmソケット&ラチェット
・300mm モンキースパナ
・ニッパー、ラジオペンチ
・プライヤー
・貫通 +/−ドライバー


< 使用するケミカル >

・パーツクリーナー (必要に応じて)
・ウレアグリス (メーターギアに使用)


< 参考文献 >

・特に無し


< インプレ >


取り付け後、先ずは跨いでみました。
早速で変化を感じます。

今までは体重が掛かるとフロントが沈んでいたのですが、
アヴェニスフォークは沈みません。
リアショックをノーマルから社外に替えた時と同じ感覚です。

降車時の車高が上がった事もあり、
脚付き性が大きく変りました。

フロントブレーキを握ったまま、全体重を前に掛けてみても
アドレスのフォークとは異なり、力強く踏ん張ります。
予想よりかなり硬いです。

フロントの車高が上がったので、センタースタンド使用時の
後輪の接地が心配でしたが、大丈夫の様です。

そのまま試走してみました。

ストレートは車高アップによる大きな変化は感じませんが
フロントの車高が上がった為、キャスターが寝たのか、
なんとなく直進安定性というか、「直進しよう」と言う
力の働きかけが強くなった気がします。

サスペンションが硬くなったせいか、路面のギャップを以前より
拾うようになりましたが、気になる程ではありません。

むしろ、心地よいスポーツ感覚に浸れて良い感じです。

そしてコーナリング。
通勤路で最もコーナー多い区間へ行き
試走して見ました。

やはり、フロントの車高アップの影響は少なからずして有る様です。
反応が若干鈍り、なんとなく「重い」感じが増しました。

タイヤをワイドにした時と同じ様な感覚です。

フォーク自体の重量が増えているのでその影響も少なからず
有りそうですが、やはりキャスター角変化の影響が大きいでしょう。

ただ、「曲がらない」訳ではなく、慣れてしまえば問題ないレベルと
思います。

肝心な、コーナリング中の性能ですが、直線同様に良い感じになります。
未だ乗りなれていないので、あまり過激な事はしていませんが、
ノーマルのフォークでは、中速(40〜60km/h)でターンする
コーナーなどはフワフワと落ち着かない感じだったのですが、
ある程度安定する様になりました。

ただ、やはりスポーツ性を求めているはずも無いアドなので
、フレームのしっかりした単車の様には行きませんが・・・。。

また、フロント周りの強化により、心配事が一つ増えました。
「フレーム」です。

私の主観では特にアドは、アンダーボーン+サブフレームの
お陰で足元の剛性がある為、それらのフレームが一点集中する
ステムシャフト部分の弱さが浮き彫りになっています。

80km/h超える様な高速域で深く寝かせていくと、
ジャダーの様なウォルブの様な変な挙動が出るのですが、
フレームやシャシーに強い知人が言うには
恐らくこの辺を強化しないと抑えられないのでは?との事です。

また、ステムベアリングもボール式は意外とガタが出るらしいので
出来るなら、テーパー型?のベアリングにした方が良いとか・・・。

スタビやアクスルを太くしたり、ステダンで誤魔化して
暖和できるらしいのですが、目的も違い、気休めなので
根本的には当て板などで強化するべきらしい・・・。

残るは・・・・フレーム補強!?

まあ、レースする訳でないんで、安全運転すれば
良いのですが・・・・・。