井の頭公園の野外舞台

先週土曜日の診察でS先生に打ち明けた不安。これまでうまく言葉にできなかったこと。

子どもがいつも帰ってくる時間になっても帰ってこない。心配になる。
遠いところへ家出していないか。自ら死を選んでいないか。
前の晩、私が何気なく発した言葉に怒りを覚えたのではないか。
何か気に障ることを言わなかったか。そのせいで帰るのが嫌になったのではないか。
そんな時に電話が鳴ると心拍数が上がる。悪い報せではないか。
そういう気持ちによくなる。

いつ頃からそういう不安があるのか、訊かれた。たぶん十代の頃から。そしてこの不安は歳をかさねるごとに大きくなっているような気がする。

S先生のアドバイス。

これまで心身を覆っていた強い不安やうつが少しずつ消えている代わりに、過去の記憶が想起されやすくなっているのかもしれない。
十代の頃の出来事が原因になっていると推測されるが、日常生活まで危うくなるようなものでないのなら、気にしすぎない方がいい。うまくやり過ごす方法を考えるのがよいだろう。

今のところは日常生活が脅かされるほどの脅威ではない。気にしすぎない方がいいこともわかっている。でも、やり過ごす方法はわからない。

生活に支障があるかと言われれば、それほど深刻ではない。ただ、こういう不安は頻繁に起こる。自分では当たり前過ぎてこれまで言葉にしてこなかった。

S先生はちょっと不安そうな表情を見せた。厄介な症状と思ったのかもしれない。

私もできるだけ気にすまいと思う。カウンセリングのような込み入った治療は経済的にも心理的にも今は余裕がない。


さくいん:S先生