一週間の夏休みも終盤。ここのところ出かけていなかった博物館や美術館へ行くことにした。
最初に東洋文庫ミュージアムへ行ってみると休館日。図書館でも繰り返している悪い癖。事前に確認しておけばいいだけなのに、何も考えずに現地まで行ってがっかりする。
気を取り直して都営バスに乗り、上野松坂屋前へ。
左:不忍の池の睡蓮。
右:下町資料館にある昭和の部屋。畳、卓袱台、黒電話、ブラウン管テレビ、足踏みミシン、振り子時計……。みんな祖父の家にあった。
上野公園に入り、木陰を選んでトーハクまで歩いた。気温は30度くらいだろうか。日陰は何とかしのげる暑さ。
トーハクではまず東洋館へ。汝窯の青磁を必ず見る。観ると必ず見とれてしまう。
左上:汝窯青磁盤。川端康成が持っていたものらしい。
右上:青磁香炉
左下:青磁千鳥香炉
右下:楷書紺紙金字妙沙経。「読める」ということもあって楷書を好んで観る。
東洋館ではほかにも面白い物を見つけた。
右:見ているこちらまで笑顔になる微笑みの仏像。TC-745
左:則天武后が建立した宝慶寺の石仏。すこしずつ造形の異なる三尊像がたくさん並んでいる。気に入った一体を撮影。顔が柔和で全体が滑らか。TC-645
本館を一回りして法隆寺館へ。夏休みなので親子連れや外国からの旅行者が多勢いる。皆、熱心に見ている。「偉いなぁ」と思う。
法隆寺館ではまだ弥勒菩薩展が続いている。数えきれないほど半跏思惟像が並んでいる。
そのなかでも個性的な表情の像がある。こんなにふてぶてしい顔をした仏像はほかに知らない。葬儀屋から復讐の請願を聴いているゴッドファーザーのよう。
私は勝手にドン・コルレオーネ菩薩と呼んでいる。N146。
企画展「縄文―1万年の美の鼓動」も見た。混んではいても、少し待てば間近で見られる。縄文土偶といえば遮光土偶だが、これは国宝ではなかった。
6件の国宝のなかでは、ほのぼのした表情の合掌土偶が気に入った。
縄文時代は1万3千年前から1万年近く続いたという。産業革命以降の近代社会はせいぜい300年にも至っていない。核兵器、原発事故、公害、温暖化⋯⋯⋯。そういうことを考えると現代文明は縄文文明のように長くは続かないような気がしてくる。
美術館めぐりはまだ終わらない。
都美で「フジタ」展と「BENTO」展。さらに西洋美術館で「ミケランジェロ」展も見た。
さすがに疲れた。ここまでで22,000歩。西洋美術館の常設展はあきらめた。
さくいん:東京国立博物館