熊 公 鍛 冶 工 房


熊公の工房における鍛冶作業の日誌
特別な事柄は印を付け『鍛冶作業記録』にも書き込みます

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2025年01月27日(月)
 工房着:午前10時45分  作業開始:午前11時00分−作業終了:午後3時05分
 工房の気温:5度

 土曜日の夜、名古屋の次男が孫の動画を3点送って来ました。夜寝る前にそれを見たからでしょうか、日曜日の朝方孫と遊んでいる夢を見ました。なんだか心が温かくなる夢でした。また見て寝れば同じ様に夢を見ること出来るでしょうか・・・。
 昨晩は『撒菱』のこと考えて寝ました。そうしたら朝方こんな道具が有れば良いんじゃない?という夢を見ました。本来なら今日は『撒菱』7つ造って次の『手甲鉤』製作に移れるようにしなければ成らないのですが、治具類の夢を見ちゃいましたから、それを製作することにしました。

 工房の行き掛けにホームセンターに寄って色々考えながら使えそうな物を物色しました。棘を掴むための道具は自作しても良いのですが、時間が掛かりますからペンチを加工して使うことにしました。また、『撒菱』の制作には関係ないですが、幾つか必用なものも購入しました。

 まず最初は棘掴み用のヤットコ作りです。全て120度に交差する『撒菱の棘』を打ち延ばしたりしたい場合、これまでは中心部分を掴む用に作ったヤットコを使ってきました。これも実際役に立ってはいるのですが、掴む場所がほぼ点に近い状態なので鍛造時にホールドしきれないときがあります。そこで鍛造する棘以外の3本の内の1本を鍛造する棘と直線的になるように掴む事が出来るようにペンチを加工しました。

 
撒き菱の棘掴み用ヤットコ

 赤○部分の棘を鍛造したい場合、普通のヤットコでは棘を掴みにくいです。確りホールドしたい場合は棘を包み込むようにするヤットコが確りホールド出来るのですが、それだとヤットコの動きが大きく成って鍛造しにくくなってしまいます。
 そこでペンチに60度の角度でV字に溝を削り込み、棘を確りホールド出来るようにしました。写真の状態でヤットコから『撒菱』は外れることはありませんでした。大体ですが黄色の線のように直線的になるので、鍛造時に棘を90度ずつ廻していっても確り掴み続けることが出来ます。

 続いて、『撒菱』製作の最初の段階、各棘を開いて行き、大体の120度の交わりを決めるための治具を作りました。

 
棘を開く治具

 写真のペンチは『棘ホールド用』のもの、棘を開く為の治具は六角棒を使いました。天辺が『三菱』のマークになっている部分の中心部から三方向へ広がっている谷状の部分はそれぞれ120度、谷底部分は六角棒の中心線からそれぞれ60度に成っています。
 この治具の天辺にある程度開いた赤めた『撒菱』を右の写真のように押しつけて、それぞれの棘を軽くコンコンと叩いてやれば120度が出来るという代物です。

 大体120度に出来た『撒菱』の棘の打ち伸ばしには棘ホールド用のペンチを使い、ほぼ打ち上げられたら中心を掴むヤットコで微調整して、120度を決める治具に入れて仕上げるわけです。夢で考えた通りになれば良いですが・・・。

 『棘を開く治具』の頭部分には焼きを入れました。ただ、割れては困るので焼き入れは弱くしてあります。明日はこれを使って『撒菱』作りをします。なんだかワクワクします。

 次は『撒菱』には関係なく、手洗い用の水を入れておく『ウォータータンク』の交換です。昨年以前使っていたタンクの蛇口部分が壊れてしまい、ホームセンターで購入したものを使ってきましたが、これが水の補充の度に取り出して給水し、元に戻さなければならず使いにくかったのと、タンク自体が薄くてちょっと頼りなかったので、以前と同じ物を購入することにしました。なんと蛇口の予備も売られていました。ちゃんと調べておけば良かったです。このタンクは天辺に給水の場所があるのでもの凄く楽です。

 交換だけで有れば簡単ですが、タンクは作業室に置いてあるわけで埃がもの凄いのです。タンクの上部に埃が付いて、時には赤まった鉄が跳ねてタンクの上に乗っちゃって溶けてしまったり・・・。ホームセンターのタンクは赤まった鉄片が乗ったら一発で駄目になりますね・・・。前回の物は溶け切っちゃうことはありませんでした。せっかく新しくしたので埃除けと万一赤まった鉄片が飛んだときにちょっと保護出来るようにタンクに帽子を作りました。


新しくした手洗い用のウォータータンクと埃除けの帽子

 埃よけよう帽子を作り、ホームセンターで購入したタンクに入っている水を移したあとはこれまでのタンクを洗いに行き、予備のタンクになるように保存しました。
 この段階で2時半になっていました。ここから『撒菱』1つ作って見ても良かったのですが、楽しみは明日に廻して早く帰路に着くことにしました。

 それにしても夢で道具を考えているなんて病気ですね・・・。でも、結構それが上手く使えたりするんです。明日使って見るのが楽しみです。時間短縮にもなるんじゃないかと思っています。
2025年01月28日(火)
 工房着:午前10時05分  作業開始:午前10時15分−作業終了:午後3時40分
 工房の気温:7度

 今日は昨日作った道具を使って『撒菱』造りです。ワクワクしながら工房へ向かいました。火床を掃除して早速作業スタート、鍛造開始は10時45分頃でした。
 まずは『棘を開く治具』を使って棘を大体120度に開く作業です。赤めてコンコンとハンマーで打ってやり大まかな開き具合を造りました。

 
棘を大まかに120度にする治具を使っての作業

 大まかに120度に開いたものを『棘掴みのペンチ』を使って保持しながら棘を打ち延ばしていきます。この作業は確り保持出来てストレスなく作業出来ました。

 
『棘掴みペンチ』を使って棘を打ち延ばしていく

 やはり確実に保持出来ることは作業の能率をアップしてくれました。これは作って良かったです。4本の棘を打ち延ばすと120度は歪んできますから、これを確り120度に開くための治具に入れて120度に交わるようにします。

 
 『棘を120度にする治具』を使って角度を仕上げる            作品No.2084〜2090 『鉄撒菱』     

 その後、棘の長さを揃えて棘の先端を尖らせ、棘の面をディスクグラインダーで整え、更にベルトサンダーでもう一度面を綺麗にして鍛造作業終了です。前回の作業では1つ造るのに38分位掛かった感じでしたが、昨日作った道具によって8分くらい短縮出来た感じです。1時間に2つ作る事が出来るようになりました。火床を掃除して黒染め終了したのは3時頃でした。

 これで『伊蔵』さんに依頼された『鉄撒菱』20個の製作は終了です。明日からは『手甲鉤』4つの製作に取り掛かります。明日はまず部品の準備をします。爪16本の鍛造と成形、ちょっと時間が掛かりそうです。
2025年01月29日(水)
 工房着:午前10時10分  作業開始:午前10時30分−作業終了:午後4時15分
 工房の気温:9度

 今朝方も夢で「ヤットコ加工すれば使い易くなるぞ!!」 と、知らされました。確かにほとんど使わない、でも無いと困るヤットコがあります。これに切れ込みを入れれば板状の物を保持出来る教えられました。工房に着いてまずはヤットコの加工をしました。
 加工するヤットコは閻魔様が舌を抜くのに使うようなヤットコです。ほとんど使わないですが時々必要になるヤットコ、この口先にV字の切れ込みを入れれば板状の物を保持出来るわけです。切れ込みを入れる程度であれば、この形状のヤットコが必要になったときにも使えます。

 

 写真のように切れ込みを入れるだけですが、これで厚さ3〜4mm程度、幅10〜30mm程度の板状の物は確り保持出来ました。今日の作業では爪の鍛造に役立ちました。

 常々鍛冶作業・使う道具のこと考えているから夢に出て来るんでしょうね・・・。これからも便利な物を考えていきたいです。夢でのお告げはなんだか嬉しいです。

 11時前から『手甲鉤』の部品の準備に取り掛かりました。まずはグリップ部と手首の金具の加工をしました。その後爪の鍛造作業です。16本鍛造しますから結構時間が掛かります。鍛造したあとは面とコバを処理して今日の作業を終了することにしました。火床の掃除をしてハンマーに注油し終えたのは3時40分過ぎでした。

 明日からは組み立て作業です。1日に4つ作ることも可能かと思いますが、慌てると良いのもは作れませんから2つずつ造ることにします。まだ爪はきちんと加工し切れていませんから、まずは8本の爪を加工して組み立てていこうと思っています。
2025年01月30日(木)
 工房着:午前10時00分  作業開始:午前10時20分−作業終了:午後3時40分
 工房の気温:6度

 今日は『手甲鉤』2つの仕上げです。まずは2つ分8本の爪の刃付け作業をしました。そして、治具を使って組み立てていきました。作った治具のおかげで安定して作業が出来ました。それでも鋲止めを終了したのは1時になっていました。

 ここから火床に火を入れて握部分の加工です。ここも握の型を作ってあるので2つ形を揃えるのは楽に出来ました。握部分の加工後は手首・手の甲の部分にアールを付けのす。そして、爪の先にアールを付けて爪の先を焼入れします。そして強めに焼き戻しを掛けました。
 続いて握の鋲止めをする準備です。握の鋲止め部分はしたが空洞になっていますからカマボコ板を使って沈み込まないようにして、更に左右にズレが出ないようにクランプで固定して穴開けをします。

 穴が開いたら銅リベットで握部分の金具を接続して黒染めして終了です。1日に2個ずつが無理なく作業出来て良いです。

 
作品2091・2092 『手甲鉤』

 明日も2つ組み上げます。今日より少し早く終わるかと思っています。

 帰宅したら『忍士団』から手裏剣のサンプルが届いていました。根岸流の棒手裏剣のようです。断面八角形で紡錘型、尻の方は細くして軽い素材で円錐台にして糸巻き・漆を塗って仕上げることになります。過去に『習志野』さんに頼まれお作りしたことがありました。今回は最大径の部分が太いです。

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