奇跡の復活

羽後交通のボンネットバスも福山へ

塩釜交通のキャブオーバーバスが福山自動車時計博物館に運ばれて1か月も経たないうちに、海和さんは早くも次のターゲットに目をつけ、これもまたレストアのための福山入りが決まりました。
(画像は一部を除き、海和隆樹さん撮影)

今度は秋田県のボンネットバス
BH15

撮影:一関市民様(秋田県 2005.8.15)

次のターゲットになったのはこのボンネットバス。
秋田県の稲川町で撮影したと言うボンネットバスの写真が届いたのは、例の塩釜交通のキャブオーバーバスの素性解明に右往左往していた頃でした。
かなり遠めに撮影したこの廃車体は、釣堀にあるそうですが私有地のため近づけず、とりあえず後部の形状から帝国ボディらしいということしか分かりませんでした。

キャブオーバーバスを福山に送った直後の海和さんは、今度はこのボンネットバス画像を見て、最初は自分で保存したいと思ったそうです。
前回同様、撮影者に事情を説明し、廃車体の場所をお教えいただき、それを海和さんに伝えました。

日野のボンネットバスでした
BH15

早速現地へ行って、所有者の方から廃車体を譲って頂けることになったとのこと。
近くで見ると、やはり帝国ボディのボンネットバス。ただしボンネット部分はかなり傷んでいます。ガラスもかなり割れているようです。
海和さんが現地調査をしたところ「奥羽日野自動車」のプレートがあり、シャーシ銘板を見るとBH15(1961年式)だったとのこと。日野のボンネットバスは岩手県交通の現役車が1台と、日野自動車の保存車が1台あるだけなので、数少ないサンプルであることは間違いありません。もっとも、帝国ボディではこの年式で既に正面は連続窓になっており、新らし目なスタイルであることは否めません。

ハンドルの「Hino」ロゴ
ハンドル

「奥羽日野自動車」プレート
ダッシュボード

上部の「帝国ボディ」プレート
上部プレート

銘板には日野BH15とあります
銘板

リア面に「帝国ボディ」
ロゴ

もう1か所の「帝国ボディ」ロゴ
ロゴ

エンジン型式は
BH15

ボンネットは壊れていましたが、エンジンは健在のようです。海和さんの現地調査によると、エンジン型式はDS50-1325
また、所有者の方に聞き込んだところ、元の所属は羽後交通だったそうです。

シャーシにはBH14の刻印

シャーシの一部には、BH14の刻印も発見されました。BH14BH15の前モデルで、1958〜60年の間に製造されています。この車両は、前モデルで製造中にモデルチェンジが図られ、新型のBH15として落成したということでしょうか。

シャーシ

先端部が失われたボンネット
ボンネット

ガラスの失われたフロントガラス
フロント窓

三方シートの車内
車内

搬出

2005年9月22日に急遽搬出されることになりました。塩釜交通のキャブオーバーを運び出してからまだ1か月と経っていないのだから驚きです。
塩釜交通を牽引したときと同様、まずはショベルカーが現れました。ただ、今回は、フロント部が奥のほうにあるので、ロープをくくりつけるのが大変です。
なんとかうまく結びつけると、少しずつボンネットバスをずらしてゆきます。

搬出

ずっと同じ場所にあったせいで、反対側の側面は完全にツタに絡まれていました。
そのツタを刈るのも大仕事です。

BH15
Bh15

ショベルカーで前輪を持ち上げて、ゆっくりと前進させてゆきます。
後輪が動かないので、後ろを引きずらなければならず、かなり苦労したと見受けられます。

トラックが待ち受けるところまでようやくたどり着きました。移動している間に雨も降り始めてきました。 後ろ姿は海和さんです。

BH15
BH15

今まで見えなかった運転席側の側面が姿を現しました。
よく見るとこのカラーデザインには見覚えがあります。昔の東京都営バスの色です。そういえば羽後交通も昔はこのカラーだったと聞いたことがあります。
憧れの「花の都」と言うことでしょうか。東京都営バスのカラーを採用した地方のバス会社というのは、ほかにも見られたようです。

慎重にトラックに載せられるボンネットバス。ボンネット部分はかなり破損が激しいようです。
よく見ると、ハンドルを握っているのは海和さんです。かなり嬉しそうな顔をしています。

BH15

何とかうまく載せることができました。足回りを慎重に点検します。長旅に耐えられなければいけません。

BH15
BH15

ホッとしたところで記念撮影です。雨の中ご苦労様でした!

それでは福山までの長旅に出発です。トラックに背負われて大きなボンネットバスが公道へと出てゆきます。
いつかまた戻ってくる日が・・・あればいいですね。

BH15

地図

福山到着
BH15

シンコー様(福山自動車時計博物館 2005.9.25)

BH15

シンコー様(福山自動車時計博物館 2005.9.25)

奇しくも、このボンネットバスが福山自動車時計博物館に到着して間もない場面を、シンコー様が撮影していました。
まだトラックから下ろした状態のままなのか、ボンネットは紐で縛られています。

参考:日野オートプラザの保存車

日野BH15(1964年式)
BH15

撮影:日野オートプラザ(2005.3.26)

BH15

撮影:日野オートプラザ(2005.3.26)

日野自動車でも、日野自動車製で帝国ボディのボンネットバスを保存しています。こちらは1964年に日野のボンネットバス製造が終了したあとの1966年に特注されたものですが、ドア配置を除き、今回の羽後交通のものと同じです。

福山自動車時計博物館が手掛けたバスあれこれ

三菱−帝国ボディ
ボンネットバス
(撮影:海和隆樹様)

日野−東浦コーチ
ボンネットバス
(旅男K様 2005.5.22)

いすゞ−松本車体
ボンネットバス
(旅男K様 2005.5.22)

日産キャブスター
キャブオーバーバス
(撮影:海和隆樹様)

日産−富士重工
ボンネットバス
(旅男K様 2005.5.22)

いすゞ−富士重工
ボンネットバス
(シンコー様 2005.9.25)

SALVAGE

>>中間報告へ

ページ上部へ戻る
メニュー

80s岩手県のバス“その頃”