それではどうやったら具体的に声を掛ける事が出来るか考えて見ましょう。 その場に合った「掛け声」とはどんなものなのかを思い浮かべると答えがでるのではないでしょうか? |
1.気合 |
私が聞いたCDの、十一代目團十郎が与三郎、こうもり安を勘三郎、お富を歌右衛門という豪華な顔合わせの「源氏店」の中では気合の入ったすさまじいばかりの「掛け声」が飛びかってていました。 望ましい「掛け声」の第一条件は「気合」ではないでしょうか。 声を掛けようという少し前にこうした準備をして置きましょう。 |
2.声の色 |
義太夫で鍛えたような男性の「渋い声」が最高だと思いますがが、例えば女性が掛けようと思った場合こればかりは如何ともしようがありません。ですが男性で声の高い方もいるのでその辺を目安にトライしてみたらやって出来ない事はないと思います。男性だというだけでしまりのない声が掛かるより女性でも間を外さないきびきびした「掛け声」がかかればそのほうが役者にとっても良いに違いありません。 ですがぜひとも考慮しなければならないのは、舞台の上で行われているのは「非日常の世界」だと言う事です。そこへ「日常」を持ち込むのは避けなくてはなりません。というわけで普通の会話のような声で「掛け声」をかけるのは感心できません。掛けるからには「お芝居の中に入っていくのだ」という事を忘れないようにして下さい。「お芝居心」が必要なんです。 |
3.間 |
「掛け声」を掛けるにあったって一番大事なのはこの「間」ではないでしょうか。九代目(團十郎)が「間は魔に通ず」といったそうですが教えられない方の「間」(魔)は全ての役者が命がけで大事に思っているものでしょう。これが全て!と言ってもいいくらいに。 よく考えもしないで「掛け声」をかけるということは「役者の命である間」を台無しにしてしまうと言う危険性が大です。 それではどうすれば「間」を感じ会得する事が出来るか考えて見ましょう。 是非「声色」をやって見てください。「白浪五人男」「源氏店」「髪結新三」「河内山」などべらんめぇの江戸弁で悪党の台詞を大きな声で言ってみると気分がスカッとする事間違い無しです。ストレス解消にももってこいですよ。そうしている内にきっと、いつの間にか名優の台詞のリズムがあなたの身体にしみこんでいる事に気が付くことでしょう。 |
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