− ひかり・・・・! 

・・・  ジョ−はぼんやりと目を開ける。

「 ・・・ じょ・・・−・・・・ お・・もい・・で・・・! 」
「 ・・・?! 」
ばらばらと瓦礫が落ちてくると同時に 柔らかなものがふわりとジョ−の顔に押し付けられた。
ひやり、と冷たい感覚のなか、なにか熱い液体が流れ落ちる・・・・
それは ごく少量だったが凍て付いた皮膚には 炎の雫にも感じられた。
「 ・・・・なに・・・・? あ・・・ なみだ・・? 」

降って来る細かい土砂にまじって なにかが自分の側にある。

 −  埃と水でぐちゃぐちゃになった亜麻色の頭 泥だらけの顔

ぴたぴたと 自分の頬が叩かれる。
熱い雫が ぽとぽとと降り注ぐ。

「 フ ・・・ ランソワ− ・・・ズ・・・? 」

自分もぼろぼろになって 半ば意識を失いながらもフランソワ−ズは必死で
ジョ−ににじり寄って来た。
手探りで 彼の顔を探し、自分の頬を押し当てる。
ジョ−を温めようとしているのだ。

「 ・・たし・・・ よく ・・・・り・・なの・・」
「 ・・・え・・・? な・・に・・? 」
「 ・・・よく・・ばりなの、 わたし・・・。 もっと・・・たくさん思い出が・・欲しいの。
 あなたとの 思い出は・・・ まだ まだ  ・・・ 全然 たりない・・・ 」
「 思い出・・・」
「 帰りたい・・・・ 懐かしい海・・・ 帰りたいの・・・わたし達のお家に・・・
 それで もっと・・・・ たくさんの 思い出を・・・  じょ− ・・・ 」
「 フランソワ−ズ ! 」

ジョ−は 渾身の力を込めて半身をおこし、寄り添ってきた身体を
しっかりと抱きしめた。
やっと ・・・・ 腕の中に取り戻した この身体。

 − もう 二度と。 絶対に離さない・・・!

再び崩れてきた瓦礫の中で ジョ−は会心の笑みをもらす。
最後の手段は。


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