絵葉書でめぐる日本バス紀行(岐阜県)
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岐阜県 岐阜県は中部地方の西部に位置する県で、愛知県、三重県などとともに東海地方としてくくられる場合もあります。県土は、旧飛騨国と旧美濃国の全域を含みます。
北部の飛騨地方は飛騨山脈など北アルプスを含む山岳地帯で、南部の美濃地方は県庁所在地の岐阜市などを含む濃尾平野のある平野地帯で、その性質は大きく異なります。
飛騨地方は高山市を中心にしたエリアで、乗鞍岳や白川郷、下呂温泉などの山岳観光地があり、気候は日本海側の特徴をもっています。地域的には富山県との関係が深くなっています。
美濃地方は、岐阜地域、西濃地域、中濃地域、東濃地域の4地域に分けられ、いずれも太平洋側の気候で、地域的には愛知県との関係が深くなっています。平野部には、鵜飼で知られる長良川があります。
長野県境にある乗鞍岳は、別ページにまとめます。

飛騨地方

庄川のほとり(白城線省営バス・牧戸駅)
牧戸駅

撮影時期:1930年代(1933年以降)

白川街道と飛騨街道が分岐する荘川にある省営バス牧戸駅での記念撮影風景。牧戸と美濃白鳥を結ぶ省営バス白城線と同時に牧戸駅が開業したのが1933(昭和8)年8月ですので、その時に撮影されたものと思われます。

車両はバストレーラーで、旅客車両が貨物車両を牽引するという、省営バス独特の方式です。牽引車の方の後部に733のナンバープレートが見えます。

高山駅
高山駅

撮影時期:1950年代(1951〜55年)

戦前に建設された木造2階建ての高山駅舎の前に、ボンネットバスがずらりと並んでいます。
駅の軒下には「中部都市職員体育大会」の歓迎垂れ幕があり、改札口付近には「準急のりくら号」と書いた看板も見えます。
飛騨高原中央の盆地、高山市の玄関にして、駅前広場にはロマンスカーが常に駐車す。

で顔を向けているバスは、ボンネットにトヨタの文字があります。トヨタKCでしょうか。
左端はいすゞBX(1952〜55年式)、横長の黄色ナンバープレートは2-1166です。
その隣は京阪バスカラーですが「乗鞍行」と表示した日産(1952年式〜)、その隣は天窓付の日野BH、その隣は日産(1955年式〜)、その隣は三菱B25というような感じに見えます。

下呂駅
下呂駅

撮影時期:1950年代後半

高山本線の下呂駅に集まる濃飛乗合自動車のボンネットバス。15台がすべてボンネットバスです。

濃飛バスのボンネットバスには、いすゞBX(川崎ボディ)が目立ちます。手前に斜めに停まっているバスは呉羽ボディでしょうか。側面に非常口があり、後面にはスキーでも積むような荷物台がついけられています。左側に押し込められているのは、戦後間もないトヨタ、日産とのこと(注1)
右端の1台のみは違うバス会社のようです。

下呂温泉
下呂温泉

撮影時期:1960年代前半

岐阜県は飛騨路の下呂温泉にかかる六見橋を渡るボンネットバス。近鉄に似たカラーのバスは、濃飛乗合自動車。
バスはいすゞBX351(1956〜59年式・川崎航空機)。傾斜のきつい後ろ姿が特徴です。
濁河温泉
濁河温泉

撮影時期:1960年代(1962年以降)

御嶽山の岐阜県側7合目にある高所の温泉地、濁河(にごりご)温泉。写真は、旅館御岳の前に停車する高山線飛騨小坂駅行きのボンネットバス。
車両画像を拡大

ボンネットバスはおんたけ交通のトヨタDB/FB(1958年式くらい、新日国ボディ)。
ナンバープレートは1962年以降の緑色で、16121633です。

美濃地方

岐阜近郊自動車案内図
岐阜乗用自動車商業組合が発行した路線図と料金表の絵葉書。おもて面が「きかは便郵」なので1933年までの発行と思われます。
岐阜〜谷汲往復が3時間で5円、岐阜〜大垣間送りが40分で3円20銭、岐阜〜名古屋駅送りが1時間30分で8円と書かれています。
観光の郡上八幡
郡上八幡

撮影時期:1960年代(1962年以降)

郡上八幡観光センターが発行した観光絵葉書で、これはそのケース。観光センターの前に、「快速・名古屋笹島行」と表示した岐阜バスが停車しています。

岐阜乗合自動車のバスはいすゞBA/BR(1961〜62年式、川崎ボディ)。中ドアが開いているのが窓越しに見えますので、中ドアツーマン車。
ナンバープレートは1962年以降の緑色で、93です。

岐阜駅前
岐阜駅前

撮影時期:1960年代(1964年以降)

駅前には全国的に著名な繊維問屋街があり、その岐阜市の躍進を象徴するが如く鵜の華泉は日夜七色の虹を描いて、旅情又一入である。
駅前のビルの屋上には大きな看板が並びます。「ナショナル」「昭和石油」「アクリルせんい エクスラン」「ニチレ ナイロン・エステル」

駅前に佇む岐阜市営バスと岐阜乗合自動車。おでこ部分が赤いのは両者とも同じですが、全体的に白味が多く裾が青いのが市営バス、窓周りも裾も赤いのが岐阜乗合です。
岐阜市営はほとんどが川崎ボディのいすゞ車で、地元メーカーでの調達ということが分かります。後面連続窓のいすゞBAが左端にいますので、1964年以降の撮影。
岐阜乗合はすべてボンネットバスです。

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(注1)
満田新一郎ほか(2006)「続・昭和30年代バス黄金時代」のP83にこれと同じ絵葉書が掲載されている。それによると、最新型は1957年モデルのいすゞBXで、呉羽や金沢ボディも混じっているとのこと。
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80s岩手県のバス“その頃”