★映画の感想★
2007年の映画の感想です。

2008年の感想


【12月】
ボーン・アルティメイタム
ブラック・スネーク・モーン
転々
タロットカード殺人事件
【11月】
オフサイド・ガールズ
バイオハザードIII
不完全なふたり
アフロサムライ
幸せのレシピ
【10月】
クワイエットルームにようこそ
ヘアスプレー
題名のない子守唄
グッド・シェパード
プラネット・テラー in グラインドハウス
パンズ・ラビリンス
さらば、ベルリン
【9月】
リトル・チルドレン
スキヤキ・ウエスタン ジャンゴ
めがね
殯の森
シッコ
オーシャンズ13
デス・プルーフ in グラインドハウス
街のあかり
ヒロシマナガサキ
【8月】
恋するマドリ
河童のクゥと夏休み
トランスフォーマー
消えた天使
インランド・エンパイア
レミーのおいしいレストラン
コマンダンテ
ブリッジ
アヒルと鴨のコインロッカー
【7月】
傷だらけの男たち
腑抜けども、悲しみの愛を見せろ
シュレック3
選挙
ボルベール<帰郷>
赤い文化住宅の初子
キサラギ
300
世界はときどき美しい
アポカリプト
プレステージ
ゾディアック
【6月】
絶対の愛
監督・ばんざい!
スパイダーマン3
輝ける女たち
舞妓Haaaan!!!
あるスキャンダルの覚え書き
【5月】
恋愛睡眠のすすめ
バベル
クィーン
東京タワー オカンとボクと、時々、オトン
【4月】
ママの遺したラヴソング
情痴 アヴァンチュール
ブラックブック
ブラッド・ダイヤモンド
パフューム ある人殺しの物語
エンロン 巨大企業はいかにして崩壊したのか?
善き人のためのソナタ
今宵、フィッツジェラルド劇場で
アルゼンチンババア
【3月】
不都合な真実
ラストキング・オブ・スコットランド
悪夢探偵
【2月】
ドリームガールズ
ブラザーズ・オブ・ザ・ヘッド
幸せのちから
【1月】
ディパーテッド
ダーウィンの悪夢
それでもボクはやってない
ラッキーナンバー7
長い散歩
あるいは裏切りという名の犬

トップへ

ボーン・アルティメイタム
7★★★★★★★☆☆☆

The Bourne Ultimatum
2007年・アメリカ・115分
配給:東宝東和
(公式サイト)

監督:ポール・グリーングラス
出演:マット・デイモン、ジュリア・スタイルズ、デヴィッド・ストラザーン、スコット・グレン、パディ・コンシダイン、エドガー・ラミレス

日本語字幕:戸田奈津子
(於 2007/12/21@ユナイテッド・シネマ大津)

記憶喪失になってしまった暗殺者が、自分探しをするアクション映画の第3弾。
一応この作品が完結編のようで、自分探しも完了しています。

このシリーズは第2作目の『ボーン・スプレマシー』の冒頭でヒロインが死んでしまうので、
以降にはマット・デイモンとそれを追う暗殺者の戦いという、
ハリウッド映画にしては珍しく、 男ばかりが出てくる硬派な映画になっています。
それがこの映画の魅力でもあり、今作でもその点はしっかり守られています。
派手なアクション映画ではないものの、しっかりと作りこんでいて、アクションシーンもしっかり見せてくれます。

続き物の映画ですが、巷に溢れる続編映画とは違い、
押しも押されもせぬスターとなったマット・デイモンの代表作ともいえるシリーズでしょう。
2007年は彼の出演作が結構数多く公開されていますが、その中でも一番よい出来です。

続編の作り方のお手本のような映画。前作を見ている方にはオススメです。


▲ホームへ ▲上へ


ブラック・スネーク・モーン
7★★★★★★★☆☆☆

Black Snake Moan
2007年・アメリカ・115分
配給:UIP
(公式サイト)
PG-12

監督:クレイグ・ブリュワー
出演:サミュエル・L・ジャクソン、クリスティーナ・リッチ、ジャスティン・ティンバーレイク、S・エバーサ・マーカーソン、ジョン・コスランJr.、マイケル・レイモンド・ジェームズ

日本語字幕:風間綾平
(於 2007/12/18@京都みなみ会館)

妻に捨てられた男とセックス依存症の女が、それぞれそれを乗り越える物語。

サミュエル・L・ジャクソンが演じるラザラスと、クリスティーナ・リッチが演じるレイは、それぞれ個性的なキャラクターですが、
抱える問題の根本にあるものは、誰しもが多少なりと感じているものではないでしょうか。
それ故に、おかしな男女の話では終わらない映画であると思います。
ブルースが効果的に使われていますが、私はあまりブルースに詳しくないものの、なかなか揺さぶられるものがあります。
ブルース映画でもあるようです。

サミュエル・L・ジャクソンとクリスティーナ・リッチという、ちょっとクセがあるけれど実力のある役者が演じていて、 作品全体のまとまりもしっかりしています。
小粒な良作といえるのではないでしょうか。


▲ホームへ ▲上へ


転々
7★★★★★★★☆☆☆

2007年・日本・101分
配給:スタイルジャム
(公式サイト)

監督:三木聡
出演:オダギリジョー、三浦友和、小泉今日子、吉高由里子、岩松了、ふせえり

(於 2007/12/11@京都シネマ)

藤田宜永の小説を映画化したもの。
オダギリジョーと三浦友和が主演していて、ちょっとくせのあるコメディ映画になっています。

監督は放送作家としてさまざまなバラエティー番組を担当してきた三木聡。
というわけで、随所に彼らしいこだわった小ネタが見られます。
本編とは全く関係のないものも結構ありますが、それもこの映画に対しいい味付けになっていると思います。

物語は東京の街を散歩するロードムービー。
私は街を歩くのが好きですが、懐かしい風景もあれば現代的な場所もあり、東京の街を歩いてみたいなと思わされました。
2人の散歩を終わりに向かって盛り上げながら、最後で唐突にあっさり終わらせるのも良い感じ。
旅をすることで感じさせられる、夢と現実をうまく表現していると思います。

近年のロードムービーではなかなかの良作ではないでしょうか。


▲ホームへ ▲上へ


タロットカード殺人事件
7★★★★★★★☆☆☆

Scoop
2006年・イギリス=アメリカ・95分
配給:ワイズポリシー、GDH CAPITAL
(公式サイト)

監督:ウディ・アレン
出演:スカーレット・ヨハンソン、ヒュー・ジャックマン、ウディ・アレン、イアン・マクシェーン、ケヴィン・R・マクナリー、ロモーラ・ガライ

日本語字幕:古田由紀子
(於 2007/12/05@京都シネマ)

『マッチポイント』に続き、ロンドンを舞台にしたウディ・アレンの新作。
引き続きスカーレット・ヨハンソンが主演を務めています。
ですが、今作はアレンらしいコメディとなっています。

舞台がロンドンになってもウディ・アレンらしさは変わりません。
生き生きとした登場人物たちが、 コミカルに動き回る様は彼の真骨頂だと思います。
飄々としながらもどこか憎めないウディ・アレンと、前作とは180度異なる役柄を演じるスカーレット・ヨハンソンは、意外なほどよく合います。
ヨハンソンは典型的なブロンド女の役柄を器用にこなしています。
彼女にしては珍しい役かもしれませんが、一番あっていると思います。

ウディ・アレンの映画のエッセンスがつまっていて、スカーレット・ヨハンソンという魅力的な新顔も加わり、往年の彼のファンは楽しめることでしょう。
このコンビはまた観たいですね。


▲ホームへ ▲上へ


オフサイド・ガールズ
7★★★★★★★☆☆☆

Offside(英題)
2006年・イラン・92分
配給:エスパース・サロウ
(公式サイト)

監督:ジャファル・パナヒ
出演:シマ・モバラク・シャヒ、サファル・サマンダール、シャイヤステ・イラニ、M.キュラバディ、イダ・サデギ、ゴルナズ・ファルマニ

日本語字幕:齋藤敦子
(於 2007/11/28@京都みなみ会館)

女性が男性のするスポーツを観戦できないイランの現状をユーモラスに描いた映画。

イランといえばアジアの中でもサッカーの強豪ですが、やはりサッカーは国民的な人気のあるスポーツなようです。
実際のバーレーンとの試合の際に撮られたという、試合前のスタジアム、試合後の街中のシーンから感じますね。
当然女性たちの中にも試合を見たいという人もいるでしょうが、見れないというのはもどかしいもの。
この映画のように、なんとかして見たい思う人もいるのではないでしょうか。
映画では、ドキュメンタリー的な手法を少し用いながら、この現状をユーモラスに描き、観る者に問題提起しています。
文化的・宗教的な点もあるのでしょうけど、何かしらの手を打つのが良いんじゃないかと思いますね。

監督のジャファル・パナヒは脚本はセリフを用意したものではなく、筋だけを用意したようです。
セリフは演じる役者自身が役柄を考えたようです。
問題提起を目的としているこの映画では、このような自然な台詞回しは効果的ですね。
女の子たちはほとんど素人だそうですが、身近な感じが出て好印象です。

小粒な映画ではあるものの、なかなかの佳作であると思います。

▲ホームへ ▲上へ


バイオハザードIII
6★★★★★★☆☆☆☆

Resident Evil :Extinction
2007年・アメリカ・94分
配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
(公式サイト)
PG-12

監督:ラッセル・マルケイ
出演:ミラ・ジョヴォヴィッチ、オデッド・フェール、アリ・ラーター、イアン・グレン、アシャンティ、スペンサー・ロック

日本語字幕:太田直子
(於 2007/11/24@MOVIX京都)

『バイオハザード』第3弾。
研究所で始まったバイオハザードが町を被い、世界に蔓延した後の物語です。

もともとのゲームは洋館を舞台にして臨場感と恐怖感を効果的に演出していて、
映画の第1作も地下の研究所を舞台にして、それをうまく再現していました。
しかし、その舞台をスケールの大きなものに広げてしまうと、
B級くささが全面に出てしまって素材のよさを無駄にしてしまっている感じがします。
ゾンビもなんだかおもしろおかしな印象ですし・・・。

やたら脱ぎっぷりのいいミラ・ジョヴォヴィッチにとって、代表作ともいえる作品ですが、
このシリーズが代表作ともいうのも寂しいもの。
内容に反してシリーズの中でもよい興行成績のようです。続編はあるのでしょうか。はてさて。

▲ホームへ ▲上へ


不完全なふたり
5★★★★★☆☆☆☆☆

Un Couple Parfait
2005年・フランス=日本・108分
配給:ビターズ・エンド
(公式サイト)

監督:諏訪敦彦
出演:ヴァレリア・ブルーニ=テデスキ、ブリュノ・トデスキーニ、ナタリー・ブトゥフ、ルイ=ドー・デ・ランクサン、ジョアナ・プレイス、ジャック・ドワイヨン

日本語字幕:寺尾次郎
(於 2007/11/16@京都みなみ会館)

全編フランス語のダイアローグで展開される諏訪敦彦の新作。
脚本は作らずに、監督・俳優とスタッフたちで、ディスカッションしながら撮影した、実験的な映画。
セリフもほぼアドリブに近いものでしょう。
それ故にかなりリアリティのある会話が繰り広げられます。

離婚しようとしている夫婦の物語です。分かれようとして愛を確認する物語。
演じるのはヴァレリア・ブルーニ=テデスキとブリュノ・トデスキーニというフランスの実力派のふたり。
彼らだからこそアドリブでもしっかり演じられたんだと思います。
力がなければこのような撮影方法は難しいでしょう。
彼らの底力を見たような気がします。

ただ自然体の会話であるために、第三者が観ると退屈に感じてしまいます。
観ているものは会話の当事者ではなく、2人で会話をしている場に放り出されると居心地が悪いです。
もっと優しく会話の場にリードしてほしかったもの。
自然すぎる会話は映画で観るとつまらないです。

▲ホームへ ▲上へ


アフロサムライ
7★★★★★★★☆☆☆

Aflo Samurai
2006年・日本=アメリカ・116分
配給:トルネード・フィルム
(公式サイト)
R-15

監督:木崎文智
出演:サミュエル・L・ジャクソン、ケリー・フー、ロン・パールマン

(於 2007/11/02@TOHOシネマズ二条)

岡崎能士の同名原作漫画のアニメ映画化。
制作はGONZO。

主人公のアフロとニンジャ・ニンジャの二役の声をあてているサミュエル・L・ジャクソンは、
原作に惚れ込んで映画化に尽力したほどの力の入れよう。
実写版も計画してて、それも彼が演じる予定だとか。

アメリカではテレビシリーズとして放映されたらしく、
日本で劇場公開されているものはその総集編のような形になっています。

物語は強さが支配する世界での復讐劇。
ダイナミックに侍たちが死闘を繰り広げるアニメーションと、The RZAのヒップホップな音楽が、
ミスマッチに見えながらも絶妙に合わさっていてて独特な世界を生み出しています。
アニメですが大人向けの映画で、 かなりバイオレンスですが、エンターテインメントとして優れた作品になっていると思います。

全編英語の和風世界。某和製ウエスタンに比べてしっかりウエスタンやってます。


▲ホームへ ▲上へ


幸せのレシピ
7★★★★★★★☆☆☆

No Reservation
2007年・アメリカ・104分
配給:ワーナー・ブラザース
(公式サイト)

監督:スコット・ヒックス
出演:キャサリン・ゼタ=ジョーンズ、アーロン・エッカート、アビゲイル・ブレスリン、パトリシア・クラークソン、ジェニー・ウェイド、ボブ・バラバン

日本語字幕:古田由紀子
(於 2007/11/02@TOHOシネマズ二条)

『マーサの幸せレシピ』のリメイク。
私はオリジナルは未見です。

仕事一辺倒のシェフの女性が、親を亡くした姪と突然やってきた奔放なスーシェフを通して、暮らしを見つめなおす物語。
つつましくとも満たされた生活はいいものだという映画です。
映画でよくあるテーマだとはいえ、こうしてまた作られるということは、いつの時勢も需要があるということでしょうか。
実際よい生活に見えるものです。

ありふれたテーマでありますが、映画のクオリティはなかなかのものだと言えます。
キャサリン・ゼタ=ジョーンズ、アーロン・エッカートに加え、重要な役を演じる子役のアビゲイル・ブレスリンがなかなかのもの。
彼女は『リトル・ミス・サンシャイン』で注目されるようになりましたが、
それが実力であるということを示しています。
まだ11歳ですのでこれからが非常に楽しみですね。


▲ホームへ ▲上へ


クワイエットルームにようこそ
7★★★★★★★☆☆☆

2007年・日本・118分
配給:アスミック・エース
(公式サイト)

監督:松尾スズキ
出演:内田有紀、宮藤官九郎、蒼井優、りょう、妻夫木聡、大竹しのぶ

(於 2007/10/31@MOVIX京都)

松尾スズキ原作の小説を、自身が監督して映画化。
閉鎖病棟を舞台にした人間ドラマです。

劇作家の松尾スズキらしく、 閉鎖病棟という密室空間を作り出し、そこでキャラクターたちをうまく動かしています。
舞台演劇のよい部分を映画にしたようで好印象。役者たちのパフォーマンスもなかなか。
大人計画の関係者も多数関わっているからか、大人計画の特徴も大きく出されています。
独特のユーモアでコミカルに仕上げつつも、真剣さを感じさせる内容です。
ただしこの作品では、問題としているものが重いものとして感じさせられてしまう要素があります。
なので特徴でもあるコミカルさは人を選びそうです。

物語は閉鎖病棟に自覚もなく運び込まれた女性の話。
精神を病んだ人の話ではなく、夢や理想と現実のギャップで悩む話です。
忙しい現代人には身につまされるものがありそうです。
心にゆとりを持って生活したいと思わされました。


▲ホームへ ▲上へ


ヘアスプレー
7★★★★★★★☆☆☆

Hairspray
2007年・アメリカ・116分
配給:ギャガ・コミュニケーションズ
(公式サイト)

監督:アダム・シャンクマン
出演:ジョン・トラヴォルタ、ミシェル・ファイファー、クリストファー・ウォーケン、アマンダ・バインズ、ジェームズ・マースデン、クイーン・ラティファ

日本語字幕:戸田奈津子
(於 2007/10/31@MOVIX京都)

ジョン・ウォーターズのカルトムービーを原作とするブロードウェイミュージカルの映画化。
このミュージカルは主役を新人女優が、母親のエドナ役を男性俳優が演じる伝統があるそうで、
映画でもそれは踏襲されています。
主役を演じるニッキー・ブロンスキーとエドナを演じるジョン・トラヴォルタはなかなか良い配役で、
この映画にとって良い方向へ作用していると思います。
悪役で異様に若く見えるミシェル・ファイファーや注目株のザック・エフロンも好印象。
個人的にはペニー役のアマンダ・バインズがお気に入り。

物語は、人種差別という結構重いテーマを、明るい歌と踊りで乗り越えようとするもの。
一見軽そうに見えてマジメな映画に仕上がっているのは、よい作り方をしているなと感じました。
最近のミュージカル映画の流れをうまく汲んでいると思います。

役者によって歌唱力にムラがあるのが気になるところ。
こういったミュージカル映画がもう少し普及して、歌って踊れる俳優が増えることを期待したいです。


▲ホームへ ▲上へ


題名のない子守唄
7★★★★★★★☆☆☆

La Sconosciuta
2006年・イタリア・121分
配給:ハピネット
(公式サイト)
R-15

監督:ジュゼッペ・トルナトーレ
出演:クセニア・ラパポルト、ミケーレ・プラチド、クラウディア・ジェリーニ、ピエラ・デッリ・エスポスティ、アレッサンドロ・ヘイベル、クララ・ドッセーナ

日本語字幕:吉岡芳子
(於 2007/10/22@京都シネマ)

ジュゼッペ・トルナトーレの新作。
ただし、これまでのトルナトーレの作品に比べダークで映像的に過激なものになっています。

子どもを産まされ奪われた女性が、自分が産んだ子どもに少しでも愛情を注ごうとする物語です。
題材が題材なだけに、険しく荒々しい愛情ですが、親子の愛情を描くうえでは良い題材であったかもしれません。
親子の絆をうまく描いていると思います。
主演のクセニア・ラパポルトはロシアの女優で、トルナトーレの映画では珍しいタイプの女優ですが、なかなかよい演技をしてくれていて、
娘役のクララ・ドッセーナ共々映画を盛りたてています。

従来のトルナトーレの映画を期待すると裏切られてしまいます。
ですが、トルナトーレは新境地を開拓できそうな感じですね。こういう映画も撮れるんだと思わされました。
次回作に期待してしまいます。


▲ホームへ ▲上へ


グッド・シェパード
7★★★★★★★☆☆☆

The Good Shepherd
2006年・アメリカ・167分
配給:東宝東和
(公式サイト)

監督:ロバート・デ・ニーロ
出演:マット・デイモン、アンジェリーナ・ジョリー、アレック・ボールドウィン、タミー・ブランチャード、ビリー・クラダップ、ロバート・デ・ニーロ

日本語字幕:松浦美奈
(於 2007/10/21@ユナイテッド・シネマ大津)

設立間もないCIAを舞台に、その誕生に関わった男の半生を描いた映画。
よく調査されて作られているせいか、あまり日常では知ることのできない、
諜報活動とはどういうことなのかということを考えさせられました。

第二次大戦からピッグス湾事件までの諜報活動を描いたサスペンスドラマが主体。
物語の時間軸が飛んでたり、少し複雑だったりするので、少々わかりにくいです。
映像に派手さがなく、上映時間もやたら長いので退屈になってしまう部分もあります。
映像を作りこみ、腕のある役者が演じていることでそれをカバーしている感じですね。

話の中心となる役を演じるマット・デイモンとアンジェリーナ・ジョリーは青年から壮年までを演じていますが、
見た目はさほど変えられるわけではないので、さすがに無理があると思います。
彼らにしてみればよい挑戦になったのかもしれませんけど。


▲ホームへ ▲上へ


プラネット・テラー in グラインドハウス
7★★★★★★★☆☆☆

Robert Rodriguez's Planet Terror
2007年・アメリカ・105分
配給:ブロードメディア・スタジオ
(公式サイト)
R-15

監督:ロバート・ロドリゲス
出演:ローズ・マッゴーワン、フレディ・ロドリゲス、ジョシュ・ブローリン、マーリー・シェルトン、ジェフ・フェイヒー、マイケル・ビーン

日本語字幕:松浦美奈
(於 2007/10/17@新京極シネラリーベ)

『グラインドハウス』のロドリゲス編。
やたら血が飛び、グロテスクで視覚的にこだわった映像と、ツッコミどころ満載の荒唐無稽なストーリーが特徴です。

ロバート・ロドリゲスの好きなゾンビ映画と、ジョン・カーペンターのエッセンスでまみれてます。
彼はよっぽど好きなんでしょうね。
タランティーノの『デス・プルーフ』もそうですが、熱狂的に好きではなければここまでエキセントリックなものは作れないでしょう。
グロテスクなゾンビの造形や、飛び散る血しぶきや内臓へのこだわりは、だからこそのものであると思います。
馬鹿馬鹿しい映画ですが、役者たちも真剣に演じているのも、より馬鹿馬鹿しさに拍車をかけてよいです。

視覚に直接訴えかけるバカ映画です。
マジメに観ると楽しめません。
軽い気持ちで笑い飛ばすのが楽しい見方です。
映画館の場内で笑いが少なかったのがちょっと残念。


▲ホームへ ▲上へ


パンズ・ラビリンス
7★★★★★★★☆☆☆

El Laberinto del Fauno
2006年・スペイン=メキシコ・119分
配給:CKエンタテインメント
(公式サイト)
PG-12

監督:ギレルモ・デル・トロ
出演:セルジ・ロペス、マリベル・ベルドゥ、イバナ・バケロ、ダグ・ジョーンズ、アリアドナ・ヒル、アレックス・アングロ

日本語字幕:松浦美奈
(於 2007/10/10@MOVIX京都)

内戦後のスペインで、ゲリラの残党狩りをする部隊の山奥の駐屯地にやってきた少女を主人公にした物語。

予告編で観た印象は、少女の成長を描いたファンタジーだと思っていたのですが、違うものでした。
ゲリラと戦闘を続ける部隊の中で生活する少女が必死で生きていく、せつない物語です。
生きていくためにはこう思うしかなかった、と考えるととてもせつないですよね。
演じたイバナ・バケロもどこかはかなげで、映画の印象にぴったりです。
彼女の撮り方に対しては、少しいやらしさを感じましたけど。

幻想世界を描いていますが、ただ美しいというよりもグロテスクなものが多いです。
慣れない人には覚悟がいるかもしれません。
そのようなグロテスクなものはCGで描かれているものが多いのですが、なかなかうまく作られています。
実写との融合もよい感じ。割合も程よい感じで、CGを使用した映画のお手本といえそうです。

ファンタジー映画を期待すると裏切られますが、つらい状況で生きる少女を描いたなかなかよい映画です。


▲ホームへ ▲上へ


さらば、ベルリン
7★★★★★★★☆☆☆

The Good German
2006年・アメリカ・108分
配給:ワーナー・ブラザース
(公式サイト)

監督:スティーブン・ソダーバーグ
出演:ジョージ・クルーニー、ケイト・ブランシェット、トビー・マグワイア、ボー・ブリッジス、トニー・カラン、リーランド・オーサー

日本語字幕:石田泰子
(於 2007/10/07@TOHOシネマズ二条)

終戦直後のベルリンを舞台にしたサスペンス。
40年代の映画制作の手法で作られています。

たしかに最近の映画では見られない手法がいくつかあります。
ワイプによる場面転換や、役者たちの演技の仕方は、最近の映画では見られません。
それが、映画に対しプラスに作用しているかどうかは疑問です。
作品の舞台となる年代と同じ手法で映画を作らないといけない、というわけではありませんから。
それに現代の役者にとって、古い年代の演技の仕方で演じさせるのは難しいと思います。
この点、 ミスマッチに感じました。それがこの映画の良さなのかもしれませんが。

物語はスッキリ爽快なものではありませんが、しっかりと語ってくれます。
役者の顔の判別がつきにくい感じがして、少しわかりにくいところがあったものの、
映画としては十分楽しめるのではないでしょうか。


▲ホームへ ▲上へ


リトル・チルドレン
7★★★★★★★☆☆☆

Little Children
2006年・アメリカ・137分
配給:ムービーアイ
(公式サイト)
R-15

監督:トッド・フィールド
出演:ケイト・ウィンスレット、ジェニファー・コネリー、パトリック・ウィルソン、ジャッキー・アール・ヘイリー、ノア・エメリッヒ、グレッグ・エデルマン

日本語字幕:松浦美奈
(於 2007/09/30@京都シネマ)

トッド・フィールドの前作『イン・ザ・ベッドルーム』と同じく、アメリカの郊外の中流家庭を舞台にしたドラマです。
『アメリカン・ビューティ』に近い印象を受けるかもしれません。

今作は、端から見れば幸せそうに見えるけれども、どこか満たされない日々を送る人々の物語です。
満たされないのは現実から逃げているから。その事実に気づいたときに、幸福を感じることができた、という物語。
なかなかハッとさせられますね。
平凡な毎日だと、違う選択をしていれば刺激のある生活を送れていたのにとか、
後悔する出来事があれば、それを負い目に思ってしまいます。
そう思うのは現在の本当の自分自身が見えていないからですね。いろいろ考えさせられます。

出演しているのは、中堅どころのちょうど今脂がのっている役者が揃っていて、なかなか見応えがあります。
平凡な役柄ですので派手さはないものの、難しい役どころをしっかりこなせています。
トッド・フィールドは彼らをうまく使っていると思います。
ただ、ナレーションは必要であったのかは疑問。ないほうが良かったでしょう。

スカッと爽快な映画ではありませんが、前向きな映画です。


▲ホームへ ▲上へ


スキヤキ・ウエスタン ジャンゴ
7★★★★★★★☆☆☆

2007年・日本・121分
配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
(公式サイト)
PG-12

監督:三池崇史
出演:伊藤英明、佐藤浩市、伊勢谷友介、安藤政信、石橋貴明、木村佳乃

(於 2007/09/28@MOVIX京都)

マカロニ・ウエスタンへのオマージュが溢れる和製ウエスタン映画。

荒唐無稽な物語、やたらバイオレンスなアクションシーン、セリフは全て日本語訛りの英語など、
B級のノリで描かれています。
なかなか豪華なキャスティングで、凝っているせいもあって画面はかなり華やか。
バイオレンスなのが大丈夫な人にはそれなりに楽しめるのではないでしょうか。

マカロニ・ウエスタンを目指したものですが、
茶化しているのか本気なのかが曖昧なのがわからないのが気になります。
せっかくならとことん真面目に追及して欲しかったです。
この点は、同じような趣旨の映画である『グラインドハウス』に劣る点です。

普通の映画を期待していくとがっかりするかも。
軽い気持ちで観る映画です。


▲ホームへ ▲上へ


めがね
7★★★★★★★☆☆☆

2007年・日本・106分
配給:日活
(公式サイト)

監督:荻上直子
出演:小林聡美、市川実日子、加瀬亮、光石研、もたいまさこ

(於 2007/09/25@MOVIX京都)

何もない土地で、ゆったりと自由に生きることを描いた映画。

自然が溢れる土地の風景、おいしそうな食事、その中でゆっくりのびのびと生きる人々をうまく撮っています。
画面の中に激しく動くものはないものの、それぞれの場面で力を感じさせます。
都会の喧騒を忘れ、たそがれながらゆらゆらと流れるように生きるのが自由なんだ、
という制作者の力強いメッセージを感じます。
なかなか実力のある役者が出演していて、さらに映像に力を持たせています。
激しさはないものの、パワーのある映画に仕上げていると思います。
このあたりは映画作りのうまさですね。嫌味に感じないのはさすがだと思います。

ただ、私はたそがれるのは得意ではないんですよね。この映画のような暮らし方が良いとは思えない。
映画の中のような土地で暮らす才能はなさそうです。


▲ホームへ ▲上へ


殯の森
7★★★★★★★☆☆☆

2007年・日本=フランス・97分
配給:組画
(公式サイト)

監督:河瀬直美
出演:うだしげき、尾野真千子、渡辺真起子、斉藤陽一郎、ますだかなこ

(於 2007/09/22@京都みなみ会館)

カンヌの申し子となった河瀬直美の新作です。
この映画で今年のカンヌ映画祭のグランプリを受賞しました。
河瀬監督の過去の作品同様、奈良を舞台にして、素人を使ったちょっとドキュメンタリー名部分もある映画になっています。

「もがり」とは、敬う人の死を偲ぶ時間、場所の意味だそうです。
語源は"喪があける"だとか。
実際、そのような映画になっています。
死んだ妻を想い続ける男と、子どもを亡くした女の物語です。
最愛の人を亡くした悲しみから立ち直るという話で、目新しいものではないのですが、
神秘的な森を舞台にしているからか、底知れないパワーを感じます。

ただ、映像的にメリハリがないのが退屈ですね。
撮りっぱなしでしかないシーンがあるのでとっつきにくいかもしれません。


▲ホームへ ▲上へ


シッコ
7★★★★★★★☆☆☆

Sicko
2007年・アメリカ・123分
配給:ギャガ・コミュニケーションズ
(公式サイト)

監督:マイケル・ムーア

(於 2007/09/10@MOVIX京都)

突撃取材でアメリカの銃社会や大統領選の問題点を追及してきたマイケル・ムーアが、
今回はアメリカの医療保険制度の問題を追及しています。

国民健康保険制度がなく、自由診療が主となっているアメリカと、国民健康保険制度がある国を対比させることによって、
アメリカの医療保険制度の問題をあぶり出しています。
アメリカの医療制度=悪、他国の医療制度=善といった構図です。
マイケル・ムーアの映画全般に言えることですが、
彼の主張にあったデータを強調して、よいとするものが抱える問題がごっそり抜け落ちています。
これではもはやドキュメンタリーではありませんね。ドキュメンタリーを名乗っていけません。
ひとつの娯楽映画といったほうが正しいと思います。

しかし、問題提起としては強い力を持っています。
実際にアメリカの医療保険制度に問題があることはよくわかります。
そして、これは日本にとっても他人事ではないでしょう。

マイケル・ムーアは、政治的な話題よりも社会福祉をテーマにするほうが合っているのかもしれません。
『不都合な真実』同様、問題を考えるきっかけになる映画であると思います。


▲ホームへ ▲上へ


オーシャンズ13
6★★★★★★☆☆☆☆

Ocean's Thirteen
2007年・アメリカ・122分
配給:ワーナー・ブラザース
(公式サイト)

監督:スティーブン・ソダーバーグ
出演:ジョージ・クルーニー、ブラッド・ピット、マット・デイモン、アンディ・ガルシア、ドン・チードル、バーニー・マック

日本語字幕:菊地浩司
(於 2007/09/09@MOVIX京都)

人気スターが揃うスタイリッシュな犯罪映画のシリーズ第3弾。
今回はジュリア・ロバーツ、前作に出演したキャサリン・ゼタ=ジョーンズは出演しないものの、
前作の敵役のヴァンサン・カッセル、そしてなんと敵役としてアル・パチーノが登場します。
おなじみのメンバーも回を追うたびに成長しているので、豪華さに拍車がかかっている感じがしますね。
今作は、第1作と同じくラスベガスが舞台。
雰囲気としては第1作に近いのではないでしょうか。

仲間を貶めたホテル王にリベンジするというストーリー。
シリーズおなじみのいかに狡猾な敵を騙すかという話です。
なので映像的におとなしい感じ。
役者たちの交わすセリフは軽快でよいのですが、
仕込まれた小ネタは日本人には馴染みのないもので、消化不良気味です。
また、登場人物が多いので、雑多すぎると感じてしまいます。

娯楽映画としてなかなかのものではあると思いますが、せっかくの役者が揃っているので、もう少し作りこんで欲しかったです。


▲ホームへ ▲上へ


デス・プルーフ in グラインドハウス
8★★★★★★★★☆☆

Quentin Tarantino's Death Proof
2007年・アメリカ・113分
配給:ブロードメディア・スタジオ
(公式サイト)
R-15

監督:クエンティン・タランティーノ
出演:カート・ラッセル、ゾーイ・ベル、ロザリオ・ドーソン、ヴァネッサ・フェルリト、シドニー・タミーア・ポワチエ、トレイシー・トムズ

日本語字幕:松浦美奈
(於 2007/09/05@TOHOシネマズ二条)

クエンティン・タランティーノとロバート・ロドリゲスの連作映画『グラインドハウス』のタランティーノ編。
B級映画だけを流し続ける映画館「グラインドハウス」テーマにしています。
タランティーノ編はカースタントの映画になっています。

カースタントの映画なのですが、ストーリーはありません。
それらしいものはありますが、ほとんどまったく意味がありません。
登場人物のセリフも意味がない。登場人物自体も存在意義が薄いような・・・。
特に意味のない映像が垂れ流し状態です。
映画の前半部分は本編の前フリといってもいいような状態です。

でも逆にそれが魅力なんですよね。
意味のないことで盛り上がる女の子たちの会話。
どこかにいそうな感じがなんとなく親近感を感じさせてくれます。
さらに、言葉が意味のないことばかりだからこそ、映像が鮮烈に残るのだと思います。
カースタントシーンは圧巻で、一見の価値アリです。

自分が撮りたいものを撮りたいだけとって、それをみせる事に関しては、タランティーノは天才であると思います。


▲ホームへ ▲上へ


街のあかり
7★★★★★★★☆☆☆

Laitakaupungin Valot
2006年・フィンランド・78分
配給:ユーロスペース
(公式サイト)

監督:アキ・カウリスマキ
出演:ヤンネ・フーティアイネン、マリア・ヤルヴェンヘルミ、イルッカ・コイヴラ、マリア・ヘイスカネン、ヨーナス・タポラ、ペルッティ・スヴェホルム

日本語字幕:石田泰子
(於 2007/09/05@京都みなみ会館)

アキ・カウリスマキの最新作。
孤独な男を描いた映画になっています。
セリフや音楽は少なく、役者の感情表現もほとんどない、
アキ・カウリスマキ独特の雰囲気が溢れる作品です。

夢や希望はあるものの、仲間もおらず仕事も冴えない男が、
マフィアに目をつけられ、色仕掛けによって騙され、全てを失ってしまう物語です。
前述の独特の雰囲気によって、 やるせない感じが増大されています。
だからこそ、最後のシーンが感動的。
主人公から全てを奪い去ったマフィアと比べ、幸福感に満ちています。
何があろうとも自分のことを信じてくれて、支えてくれる人がいるということは、とてもステキなことですよね。

とても静かな映画でありますが、情熱的な映画であると思います。


▲ホームへ ▲上へ


ヒロシマナガサキ
7★★★★★★★☆☆☆

White Light / Black Rain
2007年・アメリカ・86分
配給:シグロ、ザジフィルムズ
(公式サイト)

監督:スティーヴン・オカザキ

(於 2007/09/04@京都シネマ)

広島と長崎の被爆者と、原爆の製造・投下に関わった人々をインタビューしたドキュメンタリー。
監督のスティーヴン・オカザキは日系のドキュメンタリー映画監督です。

日本人であれば、原爆の話は必ず耳にしていることだと思いますが、
改めて見るとやはりいろいろと考えさせられます。
特に私の場合は、祖母が長崎で被爆しているため身近なことに感じます。
また、このような証言をしてくれる人は貴重な存在です。
祖母は戦時中のことは一切語ろうとしませんから。戦災に見舞われた方の多くがそうであると思います。
思い出すだけでもつらいことなのでしょう。

この映画はアメリカ映画ですので、日本ではあまり見ない映像も含まれています。
原爆乙女の映像は初めて見ました。
その映像に出てきた、日本側の代表を務めた牧師と目を合わすことのできなかった、エノラ・ゲイの機長の表情が印象的でした。


▲ホームへ ▲上へ


恋するマドリ
8★★★★★★★★☆☆

2007年・日本・113分
配給:シネカノン、オフィス・シロウズ
(公式サイト)

監督:大九明子
出演:新垣結衣、松田龍平、菊地凛子、中西学、ピエール瀧、江口のりこ

(於 2007/08/31@シネ・リーブル梅田)

雑貨屋「Francfranc」の15周年記念映画。
Francfrancがターゲットとしている年代が主要キャストとなっています。
実際、Francfrancのイメージどおりのカジュアルな映画に仕上がっていると思います。

さまざまなCMに出演していて爽やかなイメージを与える新垣結衣を主役に据え、
その脇を松田龍平と菊地凛子という、ちょっと個性の強い役者をおいています。
それぞれの役者は特別な演技をしたというより、自然体で演技をした感じです。
素材のよさを活かした料理のような感じ。役者をうまく撮った映画であると思います。
特別感情的になるシーンはなく、ゆったりとした流れの映画ですが、それが良い方向に流れています。

物語は絶対に勝てない片想いを描いたもの。
三角関係を描いた映画は結構あるものの、こういうタイプのものは珍しいのではないでしょうか。
だからといって悲観的になるのではなく、終わり方もポジティブ。
ちょっとせつない感じを残しているのもいいですね。

きっとあなたも"にっこり"。そんな映画です。

▲ホームへ ▲上へ


河童のクゥと夏休み
7★★★★★★★☆☆☆

2007年・日本・138分
配給:松竹
(公式サイト)

監督:原恵一
出演:田中直樹、西田尚美、冨澤風斗、横川貴大、なぎら健壱、ゴリ

(於 2007/08/29@ユナイテッド・シネマ大津)

小暮正夫の児童文学を原作とするアニメーション。
監督は『クレヨンしんちゃん』の原恵一です。

『河童のクゥと夏休み』は原監督が長年映画にしたかった作品だそうで、
なかなかの力の入った映画に仕上がっています。
入念な準備がされていたことが窺えます。

物語は江戸時代に地中に閉じ込められた河童が現代になって目覚める話。
妖怪と少年を始めとする人との交流を描きながら、
現代が抱える環境や都市などのさまざまな問題を描いています。
なので十分大人でも楽しめる映画であると思います。
もちろん、ひと夏の少年の冒険物語の側面もあるので、見方を変えれば別の物語として受け止められます。
そういった点で細かい点まで手の込んだ、丁寧な映画であるといえるでしょう。

今年を代表する"夏の映画"といえるのではないでしょうか。

▲ホームへ ▲上へ


トランスフォーマー
7★★★★★★★☆☆☆

Transformers
2007年・アメリカ・145分
配給:UIP
(公式サイト)

監督:マイケル・ベイ
出演:シャイア・ラブーフ、タイリース・ギブソン、ジョシュ・デュアメル、アンソニー・アンダーソン、レイチェル・テイラー、ミーガン・フォックス

日本語字幕:松崎広幸
(於 2007/08/24@ユナイテッド・シネマ大津)

同名のロボットフィギュアおよびアニメの映画化。

『トランスフォーマー』は子どものころよく見ていたんですよね。
身近にある乗り物が変形して戦う様はカッコいいものです。全ての男子の憧れといっても過言ではないくらい。
実写映画化ということで、どうなることかと思いましたが、
変形シーン、バトルとも期待以上のものを見せてくれました。
人とロボットたちとの関わりもしっかりと描いてくれていてよかったです。
異星人が侵略してくるパニック映画のような予告編を見せられたので、結構不安になりましたけども。
原作の魅力はしっかり出せているのではないでしょうか。
作っている人たちの原作に対する愛情を感じます。
これであと合体シーンがあれば完璧だったんですけどね。
続編もありそうなので、そのあたりに残りを期待しましょうか。

子どものころ『トランスフォーマー』に親しんだ人ならば、きっと楽しめるはずです。

▲ホームへ ▲上へ


消えた天使
7★★★★★★★☆☆☆

The Flock
2007年・アメリカ・105分
配給:ムービーアイ
(公式サイト)
R-15

監督:アンドリュー・ラウ
出演:リチャード・ギア、クレア・デインズ、ケイディー・ストリックランド、アヴリル・ラヴィーン、レイ・ワイズ、ラッセル・サムズ

日本語字幕:風間綾平
(於 2007/08/23@TOHOシネマズ二条)

『インファナル・アフェア』の監督アンドリュー・ラウのハリウッド進出第一作。

アンドリュー・ラウのハリウッド進出の最初の映画は、性犯罪者と監察官の物語。
これまで男臭い映画ばかり撮ってきたアンドリュー・ラウにしては、異色に見えます。
ただ、映像の撮り方は変わらず。
人物の内面に迫るような撮り方は得意ですね。
案外この映画のようなスリラーは向いているのかもしれません。

ストーリーは可もなく不可もなく、といったところでしょうか。
アメリカの性犯罪事情を映し出しているのかもしれませんが、
強く訴えかけるというよりも、淡々と日常を流している感じです。
こういった題材の映画は、観終わったあとの爽快感を感じさせるようなものよりも、
少しわだかまりを残すようなものがいいのかもしれませんね。

人によって好き嫌いの分かれる映画であると思います。

▲ホームへ ▲上へ


インランド・エンパイア
6★★★★★★☆☆☆☆

Inland Empire
2006年・アメリカ・180分
配給:角川映画
(公式サイト)

監督:デイヴィッド・リンチ
出演:ローラ・ダーン、ジェレミー・アイアンズ、ジャスティン・セロー、ハリー・ディーン・スタントン、カロリーナ・グルシュツカ

日本語字幕:林完治
(於 2007/08/21@京都シネマ)

『マルホランド・ドライブ』以来となる、デイヴィッド・リンチの新作。
自主制作の雰囲気を出していて、リンチがやりたいようにやった映画になっています。
今作は全編デジタルで撮影されています。それもそんなに高くない機材。
それがかえってそのような雰囲気に拍車をかけています。

映画は、今までのようなリンチワールド全開。
今回は制作上の制約は少なそうなので、より強力なものになっている印象です。
リンチの映像は断片だけでも圧倒される迫力を感じますが、
それがいくつもの時系列やシーンに分かれてつぎはぎされています。
なので、複雑かつ理解が難しい。
まぁそれをひとつひとつ紐解いていくのがリンチ映画の楽しみでもありますが。

私は"不倫の果て殺された女優の夢と贖罪の物語"と解釈しました。
どこか『マルホランド・ドライブ』の似た印象を感じました。
なので主人公はロストガールで、そう思えばエンディングもなかなか爽快。

きっとどんな解釈でも正解なのだと思います。
映画を観たあとに、あれこれ考えるのがこの映画の一番おもしろいところではないでしょうか。
その点で他の映画とは一線を画すものだと思います。

▲ホームへ ▲上へ


レミーのおいしいレストラン
7★★★★★★★☆☆☆

Ratatouille
2007年・アメリカ・117分
配給:ブエナ ビスタ インターナショナル
(公式サイト)

監督:ブラッド・バード
出演:パットン・オズワルト、ルー・ロマーノ、イアン・ホルム、ジャニーン・ガロファロー、ブラッド・ギャレット、ピーター・オトゥール

日本語字幕:稲田嵯裕里
(於 2007/08/10@MOVIX京都)

ピクサーの最新作。
今作はパリのレストランが舞台。
ネズミが主人公ですが、レストランが舞台だけあって、ピクサーにしては珍しく人間のキャラクターが多め。
アニメーションで料理の話をするというのも、アメリカのものでは珍しい気がします。

物語はしっかりとピクサークオリティ。安心してみていられます。
ピクサーは観る者を楽しませるツボは外しませんね。
ネズミと冴えない青年の話ですが、展開の流れも波も緩急をつけながらで見事です。
話のまとめ方も、説教めいてない教訓譚としてうまいと思います。

とまあしっかりしていてこれといって不満はないのですが、
そういった優等生な出来が不満でもあります。
悪く言えば無難にまとまりすぎてる感じがするんですよね。
かえって"冒険"を期待してしまいます。

▲ホームへ ▲上へ


コマンダンテ
6★★★★★★☆☆☆☆

Comandante
2003年・アメリカ=スペイン・100分
配給:アルシネテラン
(公式サイト)

監督:オリバー・ストーン
出演:フィデル・カストロ、オリバー・ストーン

(於 2007/08/10@京都みなみ会館)

政治的な作品を撮るオリバー・ストーンが、キューバの指導者カストロに対しインタビューをしたドキュメンタリー。
カストロの実際はなかなか知ることができませんが、
この映画では彼の日常から政治的な考え方まで見ることができます。
オリバー・ストーンがインタビュアーとして優秀だったということでしょうか。
チェ・ゲバラとのエピソードやケネディ暗殺事件、キューバ危機などを述懐するのは、非常に興味深いものであると思います。

ただし、"カストロに対するインタビュー"ということで、映画自体は演説的。
さすがに一国の指導者だけあって、人間としての魅力はあるものの、
彼の 思想などに興味がなければどんなに魅力的であっても非常に退屈なものでしょう。

編集次第ではもっと刺激的でおもしろいものになったのかもしれませんが、
プロパガンダみたいにならないよう苦心したように思います。
インタビューがメインの映画は、見せ方というのは難しいですね。

▲ホームへ ▲上へ


ブリッジ
6★★★★★★☆☆☆☆

The Bridge
2006年・アメリカ・93分
配給:トルネード・フィルム
(公式サイト)
R-15

監督:エリック・スティール

(於 2007/08/07@京都みなみ会館)

ゴールデンゲートブリッジは、サンフランシスコのランドマークとして多数の観光客が訪れますが、
それと同時に自殺の名所でもあるそうです。
この映画はそのゴールデンゲートブリッジを1年間撮り続けたドキュメンタリー。

映画の構成は、人が橋の上から飛び降りる瞬間に自殺者の関係者の証言が挿まれます。
橋から人が飛び降りる映像は、かなり衝撃的。
それだけで、自殺という行為に対して問題提起できそうです。
関係者の証言は、実際に飛び降りるところを撮られた人物の関係者のインタビューですので、
内容の重さも違いますね。

ですがこの映画の最大の欠点はその構成。
さまざまなケースをぶった切ってつなぎ合わせた構成は、むしろ逆効果。
いろいろと意図があったんでしょうが、力みすぎてかえって観客に対して伝わりにくくなっています。
素材は良いのに調理に失敗した感じです。

しかし、この映画を観て自殺について考えてみても、やはり理解できないものです。
どうして人は自殺するんでしょうねぇ?

▲ホームへ ▲上へ


アヒルと鴨のコインロッカー
8★★★★★★★★☆☆

2006年・日本・110分
配給:ザナドゥー
(公式サイト)

監督:中村義洋
出演:濱田岳、瑛太、関めぐみ、松田龍平、田村圭生、大塚寧々

(於 2007/08/02@京都シネマ)

伊坂幸太郎の原作を映画化したもの。

今後が期待できそうな実力派の若手俳優が勢揃いしています。
きちんと期待通りのパフォーマンスを見せてくれていますから、たいしたものです。
男優も若手が成長してきたなぁという印象を受けました。
これからの邦画も期待できそうです。
特に私が注目するのは濱田岳。
かなりナチュラルな演技をみせてくれていて、物語の語り手としての役割をしっかりと果たしてくれました。
おかげで過去と現在が交錯する構成でありながら、物語にうまく入り込むことができました。

物語の根幹は、切ない若い男女の物語。
非常にうまくできた話であると思います。
原作は未読なので、映画との比較はできませんが、これならば原作も期待できそうです。
ちょっと重たい部分もありますが、すっきりとした終わり方で、後にひくものもありません。
地方都市である仙台のロケーションも、ご当地映画ではないものの、うまく活かせていると思います。

観て損のない映画だと思います。
映画に関わった人々は、これからに期待できそうな気がします。

ちなみにこの映画を観たあとに仙台へ旅行しました。
ロケ地めぐりというのも楽しいものですね。

▲ホームへ ▲上へ


傷だらけの男たち
7★★★★★★★☆☆☆

傷城
2006年・香港・111分
配給:エイベックス・エンタテインメント
(公式サイト)
PG-12

監督:アンドリュー・ラウ、アラン・マック
出演:トニー・レオン、金城武、スー・チー、シュー・ジンレイ、チャップマン・トウ、ユエ・ホア

日本語字幕:松浦美奈
(於 2007/07/31@TOHOシネマズ二条)

『インファナル・アフェア』のチームの最新作。
やはり、男くさいものになっています。

トニー・レオンは『インファナル・アフェア』とは立場が逆で、雰囲気も異なる役を演じています。
そんなのを難なく演じているのはさすがです。
変わらない若々しさも魅力でしょう。
対となる役で、物語の語り手となる金城武も好印象。
アルコール中毒の探偵役ですが、なかなかのハマリ役であると思います。

物語は過去に傷を持つ男たちの話。
ちょっと切ない物語です。
香港映画らしく、暴力描写が過激ではありますが、
安易に過激な表現にはしることなく、語るところはしっかりと語る、このチームのよさがしっかりと出ている作品であると思います。

ちなみにこの映画もディカプリオ主演でハリウッドでリメイクされるそうです。
どうなることでしょうか。

▲ホームへ ▲上へ


腑抜けども、悲しみの愛を見せろ
7★★★★★★★☆☆☆

2007年・日本・112分
配給:ファントム・フィルム
(公式サイト)

監督:吉田大八
出演:佐藤江梨子、佐津川愛美、永瀬正敏、永作博美、上田耕一、山本浩司

(於 2007/07/26@京都シネマ)

劇作家・本谷有希子の戯曲を原作とする映画です。
舞台は見ていませんが、原作の小説は読みました。

なかなか個性の強い姉妹とその周囲の人々の物語です。
主要の4人のキャストは結構イメージどおりな気がします。
特に待子役の永作博美がはまっている印象です。
佐藤江梨子の演技下手っぷりも、この役ならまぁアリなのでしょう。

映画は長女の澄伽を話の中心に据えているので、次女の清深のエピソードが原作からいくらか削られています。
脅迫電話のエピソードがないので、映画だけ観ると清深のキャラクターは掴みにくいかもしれません。
本来は清深の物語なのですけどね。

なかなか強烈な物語ですが、映画も原作を活かしたパワフルなものに仕上がっていると思います。
原作とラストが異なるのは、好き嫌いが分かれるところかもしれません。
今回は原作付きでしたが、本谷有希子のオリジナル脚本の映画を観てみたいですね。

▲ホームへ ▲上へ


シュレック3
7★★★★★★★☆☆☆

Shrek the Third
2007年・アメリカ・93分
配給:アスミック・エース
(公式サイト)

監督:クリス・ミラー
出演:マイク・マイヤーズ、エディ・マーフィ、キャメロン・ディアス、アントニオ・バンデラス、ジュリー・アンドリュース、ジョン・クリース

日本語字幕:戸田奈津子
(於 2007/07/26@MOVIX京都)

『シュレック』第3弾。

パロディやシニカルな皮肉もここまでくればお約束。
そういった意味では今作はパワーが足りない感じがします。おとなしくなった感じです。
『シュレック』もそれだけ巨大になったということでしょうか。

ということはつまり期待通りの"シュレックらしさ"を見せてくれていると思います。
シュレックならではの楽しさと笑いは堪能できました。
安定したシリーズモノとして、続編もそれなりに期待できるのではないでしょうか。
あまり変わったものはできなさそうですけれども。

個人的には、続編はもう少し毒のあるものがいいですね。


▲ホームへ ▲上へ


選挙
8★★★★★★★★☆☆

2006年・日本=アメリカ・120分
配給:アステア
(公式サイト)

監督:想田和弘
出演:山内和彦、山内さゆり、小泉純一郎、川口順子、石原伸晃、荻原健司

(於 2007/07/21@第七藝術劇場)

この映画は最初に「第一回観察映画」と表示されました。
"観察映画"の名の通り、ドキュメンタリー映画によくある、ナレーションは全くなく、インタビューもほとんどありません。
ただ、目の前の状況を映像に撮り、それをつなぎ合わせただけ。
それにもかかわらず、この映画が作られた意図はありありとよくわかります。
解釈は観客に委ねられているようであって、強いメッセージ性を秘めています。

電柱にまでお辞儀をするという、ドブ板選挙。
政策はほとんど関係なく、それ以外のことで当落が決まっているような印象です。
有権者も政策に無関心。政策に関心のある有権者はとても少数なようです。劇中ではわずか一人。
"小泉劇場"と呼ばれた時期の選挙を扱っていますので、より被選挙人よりも有権者の方が奇異に見えました。
観賞したのは奇しくも参議院議員選挙と同じ時期。
今までの選挙とは、選挙に対する見方が変わったのは事実です。

ごく自然にカメラを回し、選挙の日常を撮ったこの映画は、
選挙を通して日本の実情を描くことに成功しています。
ドキュメンタリー映画が目指すべきものが、この映画にあるように思います。


▲ホームへ ▲上へ


ボルベール<帰郷>
7★★★★★★★☆☆☆

Volver
2006年・スペイン・120分
配給:ギャガ・コミュニケーションズ
(公式サイト)

監督:ペドロ・アルモドバル
出演:ペネロペ・クルス、カルメン・マウラ、ロラ・ドゥエニャス、ブランカ・ボルティージョ、ヨエンナ・コバ、チュス・ランプレアヴェ

日本語字幕:松浦美奈
(於 2007/07/19@TOHOシネマズ二条)

ペドロ・アルモドバルの新作。
3世代にわたる女性たちの物語です。

何よりも、ペネロペ・クルスに尽きる映画であると思います。
彼女は全編スペイン語でありながらアカデミー賞の主演女優賞にノミネートされました。
周りに比べ、異次元とでもいう美しさで存在感を示しています。
ペネロペ・クルスを観る映画といってもいい映画です。
歌も彼女自身が歌ってくれれば文句なしだったんですけどね。

3世代の女性たちが主役で、女性のたくましさと母娘の愛の物語です。
ペドロ・アルモドバルの映画は『トーク・トゥー・ハー』しか観たことはないのですが、
ちょっと私には前作は受け入れがたいものでした。 登場人物にどうしても感情移入ができませんでした。
今作は普通に観ることができたのは、大切な人の喪失と親子の愛という普遍的なテーマだからでしょうか。
でも、やはり登場人物に感情移入はできませんでしたけどね。
スペイン人とは感性が違うということなのかもしれませんが、もう少し丁寧にキャラクターを描いて欲しかったところです。


▲ホームへ ▲上へ


赤い文化住宅の初子
7★★★★★★★☆☆☆

2007年・日本・100分
配給:スローラーナー
(公式サイト)

監督:タナダユキ
出演:東亜優、塩谷瞬、佐野和真、浅田美代子、大杉漣、坂井真紀

(於 2007/07/15@京都みなみ会館)

貧しい少女を主人公に据えた青春映画。

主人公初子の周りは、初子のことをなにもわかってやらないような、自分勝手な人たちばかりで、
初子自身もそんな印象を受けますので、私にはなかなか受け入れ難い人種の人が画面の大半を占めていました。
私には感情移入のしにくい物語でした。
私はちゃんと初子のことを理解しているのは、初子の担任の田尻しかいないと思うんですよね。
そんな薄幸少女の物語ですが、単純なお涙ちょうだいの話になってないのは好感が持てます。
私の好みでないストーリーですが、キチンと観ることのできるものでした。

若い役者が結構出ていますが、脇に実力がある俳優がいて、青春映画の割りに引き締まっています。
東亜優はいい笑顔をするので、この映画の役はちょっともったいない感じがしました。
次回に期待しましょうか。


▲ホームへ ▲上へ


キサラギ
9★★★★★★★★★☆

2007年・日本・108分
配給:ショウゲート
(公式サイト)

監督:佐藤祐市
出演:小栗旬、ユースケ・サンタマリア、小出恵介、塚地武雅、香川照之、酒井香奈子

(於 2007/07/14@京都シネマ)

自殺した売れないグラビアアイドルのファンが、その死の真相に迫るワン・シチュエーションドラマ。
話の構成と、役者の演技が光る密室会話劇です。

基本的に密室での会話のみで物語が進行するため、観客を飽きさせないようにする工夫が随所に見られます。
5人の登場人物のキャラクター付けと役割も、絶妙のバランス。
笑わせるところは笑わせ、見せるところは見せてくれます。
そんな話の構成も見事ですが、それを演じる役者もなかなかなもの。
グラビアアイドルのファンということで、むさ苦しい男たちが画面を占拠していますが、
そんな華のない状況でも非常に魅力的な演技をみせてくれてます。

話の基本軸は散りばめた伏線を回収していくサスペンスですが、
舞台劇のコントのようなコメディで、久しぶりに純粋に楽しめました。

ワン・シチュエーションですので、物語と 俳優の力量に大きく左右される映画ですが、
いずれも絶妙なバランスで融合した傑作であると思います。


▲ホームへ ▲上へ


300
7★★★★★★★☆☆☆

300
2007年・アメリカ・117分
配給:ワーナー・ブラザース
(公式サイト)
R-15

監督:ザック・スナイダー
出演:ジェラルド・バトラー、レナ・ヘディー、デイビッド・ウェナム、ドミニク・ウェスト、ビンセント・リーガン、マイケル・ファスベンダー

日本語字幕:林完治
(於 2007/07/13@ユナイテッド・シネマ大津)

『シン・シティ』のフランク・ミラーのグラフィックノベルを原作とする映画。
古代史におけるペルシア戦争のテルモピレーの戦いの話です。
ここで世界史大好きの私が少し解説。
テルモピレーの戦いはアケメネス朝ペルシアとギリシア連合軍の戦いで、数に勝るペルシアがギリシアを破る戦いなのですが、
不利な状況の中でもあきらめずに戦った、特に3日間わずか300人でペルシア軍の猛攻を食い止めたスパルタ軍は、
半ば伝説として語り継がれています。
この映画はテルモピレーの戦いにおけるスパルタ軍の話です。

同じくフランク・ミラー原作の『シン・シティ』と同じような映画の作り方です。
原作の雰囲気を大切にするためか、ブルースクリーンの前で俳優は演技し、あとでCGで背景を合成しています。
なので、リアリティを追求した、再現ドラマのような映画に比べ、コミックのような映画になっています。
300人対100万人というキャッチコピーからもそのような雰囲気を感じますね。
それを気にせずに受け止め、率直に楽しめることができるのであれば、とてもおもしろい映画であると思います。

ですが、私は受け止めることができなかったようです。
ちょっとペルシアの描き方が悪すぎるような気がするので・・・。
ペルシア人は黒人だし、非人間的だし。
ファンタジーだと割り切るべきなのでしょうけど。


▲ホームへ ▲上へ


世界はときどき美しい
8★★★★★★★★☆☆

2006年・日本・70分
配給:ユナイテッドエンタテインメント
(公式サイト)

監督:御法川修
出演:松田龍平、市川実日子、片山瞳、松田美由紀、柄本明、浅見れいな

(於 2007/07/11@京都みなみ会館)

商業映画では珍しい、8mmフィルムで撮られた映画。
最近は8mmフィルムでの撮影機材すら珍しいので、かえって新しさを感じますね。

映画は5編のオムニバス。
5編ともタイトル通りのテーマで、普遍的な日常に潜む発見を描いたもの。
各短編の主人公のモノローグと、手の込んだ映像と、それに合わせた音楽は、
まさに"映像詩"と呼ぶのに相応しいもの。
8mmフィルムが実際に表現しているものは少ないものの、スクリーンに映し出されている映像はとても多彩な表情を見せています。
映像表現へのこだわりを強く感じます。
8mmフィルムでこれだけのことをやるのは結構手間のかかることだと思いますが、強いこだわりがあればこそ成し遂げられるのでしょう。

というわけでエンターテインメント性は薄いので、万人に受けるものではありません。
しかし、芸術映画としては非常に傑作だと思います。


▲ホームへ ▲上へ


アポカリプト
7★★★★★★★☆☆☆

Apocalypto
2006年・アメリカ・138分
配給:東宝東和
(公式サイト)
R-15

監督:メル・ギブソン
出演:ルディ・ヤングブラッド、ダリア・ヘルナンデス、ジョナサン・ブリューワー、モリス・バード、エスピリディオン・アコスタ・カンチェ、ラオウル・トルヒーヨ

日本語字幕:林完治
(於 2007/07/08@TOHOシネマズ二条)

終焉間近のマヤ文明を舞台にしたサバイバルドラマ。
監督は『パッション』のメル・ギブソンで、前作同様リアリティにこだわり、全編マヤ語です。
映像でもメソアメリカ文明の再現にこだわっています。
主演する役者も見た目重視で先住民に似た役者を起用しています。

そんなリアリティにこだわったものですので、迫力はあります。
物語の内容は、捕虜になった男が家族の元へ帰るための脱走劇、ということで、特に斬新なものではないのですが、
マヤ語、マヤ文明という、今までよくある映画とは違う雰囲気に包まれているので、どこか新鮮な感じを 受けました。
リアリティを感じる、というだけで、実際のマヤ文明を忠実に再現できているかどうかはわかりませんが、
マヤ文明という、言ってしまえばマイナーなものを舞台に選んだのは、観客を異世界に引き込むには最適なのかもしれません。

アクション映画には車や機械などの人工的なものは必要なのかもしれませんが、
この映画のように肉体だけで表現すると、人間の躍動感が感じられて、
よりアクションも魅力的になるような気がしますね。


▲ホームへ ▲上へ


プレステージ
7★★★★★★★☆☆☆

The Prestige
2006年・アメリカ・130分
配給:ギャガ・コミュニケーションズ
(公式サイト)

監督:クリストファー・ノーラン
出演:ヒュー・ジャックマン、クリスチャン・ベール、マイケル・ケイン、スカーレット・ヨハンソン、パイパー・ペラーボ、レベッカ・ホール

日本語字幕:菊地浩司
(於 2007/07/06@ユナイテッド・シネマ大津)

2人のマジシャンを描く愛憎劇。
マジシャンと言うのはあまり映画の題材としてはないように思いますね。
その点はなかなか新鮮に感じました。

手品が物語に大きく関わるので、宣伝もなかなか仰々しいものでしたので、
かえって興味を削がれるものがあり、そこまで期待してなかったものの、よい意味で裏切られたと思います。
大仰なトリックではなかったものの、かえってキレイにまとまっていたのではないでしょうか。
その一方で『フォロウィング』や『メメント』でみせたクリストファー・ノーランの大胆さは見られない気がします。
無難なところで締めた感は否定できません。
まあ、これもかえってよかったのでしょう。

他に意外な点としては、デヴィッド・ボウイがなかなかおもしろい演技をしていました。新しい魅力的な一面を見れてよかったです。
しかし、出演している俳優たちの中で一番良いと感じたのは、サラ役のレベッカ・ホール。
これからが期待できそうなイギリスの女優です。


▲ホームへ ▲上へ


ゾディアック
7★★★★★★★☆☆☆

Zodiac
2007年・アメリカ・157分
配給:ワーナー・ブラザース
(公式サイト)
PG-12

監督:デビッド・フィンチャー
出演:ジェイク・ギレンホール、マーク・ラファロ、アンソニー・エドワーズ、ロバート・ダウニー・Jr.、ブライアン・コックス、ジョン・キャロル・リンチ

日本語字幕:杉山緑
(於 2007/07/05@MOVIX京都)

デビッド・フィンチャーの久しぶりの新作。
未解決の劇場型連続殺人事件を背景に、その解決にのめり込む人々を描いた映画。

フィンチャーもこの事件に余程のめり込んだのか、やたら細部まで描いています。
それは冗長であり、観客に対してそれはわかってると思わせる部分もありますが、
だからこそリアリティを持たせ、殺人鬼の恐怖を感じさせるのでしょう。
未解決事件の再現ドラマのようなものですので、サスペンス映画のように最後に事件が解決するわけではありません。
この点はこの映画に対して微妙な印象を与えてしまっています。
娯楽性を持たせるのであれば、独自の解釈で事件を解決させてしまっても良かったように思います。

殺人事件の怖さ、というのは伝わってきましたね。
無駄に好奇心を持って深みに嵌まるといけないということでしょうか。
"好奇心は猫をも殺す"ということなのでしょうか。


▲ホームへ ▲上へ


絶対の愛
8★★★★★★★★☆☆

Time (英題)
2006年・韓国=日本・98分
配給:ハピネット
(公式サイト)

監督:キム・ギドク
出演:ソン・ヒョナ、ハ・ジョンウ、パク・チヨン、キム・ソンミン、ソ・ジソク、チョン・ファン

日本語字幕:根本理恵
(於 2007/06/30@京都みなみ会館)

キム・ギドクの第13作はラブストーリー。
実はキム・ギドクの映画を観るのは初めてだったりします。

内外でさまざまな評価を得ているキム・ギドクですが、それもうなずける完成度の高さ。
韓国の事情(特に美容整形関係)に明るくなければ理解しにくいエピソードもありますが、
娯楽性は薄いものの、かなり観ごたえのあるものとなっています。

テーマは邦題通り、愛について。
結局は男も女も相手を追いかけ続けるという物語。
途中で話が展開する人物が変わりますが、なかなか絶妙なタイミングで交代してくれます。

韓国映画独特の雰囲気に時々ついていけなくなることもありますが、
かなりの良作であるといえます。


▲ホームへ ▲上へ


監督・ばんざい!
5★★★★★☆☆☆☆☆

2007年・日本・104分
配給:東京テアトル、オフィス北野
(公式サイト)

監督:北野武
出演:ビートたけし、江守徹、岸本加世子、鈴木杏、吉行和子、大杉漣

(於 2007/06/26@シネセゾン渋谷)

北野武が撮りたい映像を撮りたいだけ撮った映画。
いろいろな映画を撮ってみようと挑戦してみたが、うまくいかなかった。
といいながらも、これだけやりたい放題やってて、"監督・ばんざい!"と言ってるわけですから小憎らしい。
好き放題やってるので、映像もいきいき。演じている役者も楽しそうです。

そんな映画なので、自己満足に終始している感じが強いです。
見てる者はついていきにくく置いてきぼりで、観客不在であるということは否めません。
映画で語られている要素が全て好きな人には、たぶんたまらないのでしょうけども・・・。

でも、北野武のギャング映画がまた観たくなったのも事実。
作ってくれませんかねえ?


▲ホームへ ▲上へ


スパイダーマン3
7★★★★★★★☆☆☆

Spider-Man 3
2007年・アメリカ・139分
配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
(公式サイト)

監督:サム・ライミ
出演:トビー・マグワイア、キルスティン・ダンスト、ジェームズ・フランコ、トーマス・ヘイデン・チャーチ、トファー・グレイス、ブライス・ダラス・ハワード

日本語字幕:菊地浩司
(於 2007/06/21@MOVIX京都)

『スパイダーマン』第3弾。
『スパイダーマン』はもともと3部作の構想だったようで、とりあえず完結なのかなという感じです。
最後は、愛と友情の勝利で、めでたしめでたし。
『スパイダーマン』はどこにでもいるような普通の青年が、悩みながらヒーローになるという点が魅力だと思います。
三作を通してみてみると、ただの青年ピーター・パーカーが立派にヒーローになりました。

3作目は敵が3人ということで、登場人物も多め。
最後にやりたいことはとりあえず詰め込んでしまおうという感じで、戦闘シーンも含めてもっさりとした印象です。
敵の人物描写も薄めで、前2作と比べると魅力に欠けます。
駆け足で終わらせた感は拭えませんね。
でも、だらだらやっても仕方ありませんけど。
なので"スパイダーマンらしさ"は前2作より薄め。
それでもアクション大作として良い出来だと思います。

さらに続編が作られるというウワサですが、果たして・・・。


▲ホームへ ▲上へ


輝ける女たち
7★★★★★★★☆☆☆

Le Heros de la Famille
2006年・フランス・103分
配給:ムービーアイ
(公式サイト)

監督:ティエリー・クリファ
出演:ジェラール・ランヴァン、カトリーヌ・ドヌーヴ、エマニュエル・ベアール、ミュウ=ミュウ、ジェラルディン・ペラス、ミヒャエル・コーエン

日本語字幕:松岡葉子
(於 2007/06/17@京都シネマ)

タイトル通り、フランスを代表するベテラン女優たちが出演しています。ジェラルディン・ペラスはこれからが楽しみかな。
ですが、そんなことには反して、この映画は家族の映画。
ちょっと複雑な事情のある家族の物語です。

キャバレーが舞台としてあるので、話の展開として女性がスポットに当たりやすいものの、
ちょっとした誤解ですれ違ったままの家族がメイン。
家族もみんな大人ですので、人生賛歌のようなお話です。
みんなしっかりしているようで不器用なところが、人間臭くて魅力的です。
どちらかというと、壮年の方々向けのような感じですね。
私にはまだ早すぎるかなーと感じる部分もあります。

フランスを代表する女優たちが結構出演しているので、それ目当てでも楽しめるはず。
エマニュエル・ベアールの歌はなかなかの聴きごたえ。


▲ホームへ ▲上へ


舞妓Haaaan!!!
7★★★★★★★☆☆☆

2007年・日本・120分
配給:東宝
(公式サイト)

監督:水田伸生
出演:阿部サダヲ、堤真一、柴咲コウ、小出早織、生瀬勝久、真矢みき

(於 2007/06/16@TOHOシネマズ高槻)

阿部サダヲの初主演映画。脚本は宮藤官九郎。

やたらテンションの高い舞妓好きが巻き起こすコメディ映画です。
かなりナンセンスで、思わず"どないやねん!"とツッコミたくなるところ満載ですが、そのあたりが魅力でしょう。
このようなコメディ映画は久しぶりなのではないでしょうか。
ただ、ついていけない人にはとことんついていけない映画だと思います。
構成もなかなかうまくいっているようで、いろいろとゲストが出演していますが、スッキリした印象です。
京都が舞台ということで、個人的には馴染みの場所が出てきていて楽しいです。
ちょっとした観光気分も楽しめるのではないでしょうか。

舞妓さんがある意味映画の主役ですので、出演している女優も舞妓の格好をしている方が多いです。
舞妓さんの格好をしていると印象が変わりますね。
新しい側面を見ているようで、なかなか新鮮でした。
その中で、結構重要な役である駒子役を演じていた小出早織は、今後が期待できそうな女優です。

同じく舞妓・芸妓を描いた『SAYURI』より、彼女らのことがわかるのは間違いありません。


▲ホームへ ▲上へ


あるスキャンダルの覚え書き
8★★★★★★★★☆☆

Notes on a Scandal
2006年・イギリス・92分
配給:20世紀フォックス
(公式サイト)
R-15

監督:リチャード・エアー
出演:ジュディ・デンチ、ケイト・ブランシェット、ビル・ナイ、アンドリュー・シンプソン

日本語字幕:松浦美奈
(於 2007/06/09@OS名画座)

教師と教え子の不倫を下敷きに、孤独なオールドミスを描いた映画。

ジュディ・デンチとケイト・ブランシェットという、当代きっての2大女優の演技は非常に見ごたえがあります。
文句のつけようがありません。
物語は人間のエゴをむき出しにしたものを描いていますが、この2人の演技が映画をより強力なものにしています。
どちらの役も悪女といえば悪女という役なのですが、
逆に映えて見える、というかこれが女優の躍如とでも言うべきでしょうか。

孤独であると、いろいろ自分の都合のいいように考えがちですよね。
憧れや嫉妬はもちろんのこと、自分の思い通りにしてみようとか。
まあ妄想しちゃうんですけど。
独りなことが多い私にとっては、この映画の主人公は他人事のように見えませんでした。

気軽に観るような映画ではありませんが、見ごたえのある映画です。


▲ホームへ ▲上へ


恋愛睡眠のすすめ
9★★★★★★★★★☆

La Science des Revas
2006年・フランス=イタリア・106分
配給:アスミック・エース
(公式サイト)

監督:ミシェル・ゴンドリー
出演:ガエル・ガルシア・ベルナル、シャルロット・ゲンズブール、アラン・シャバ、ミュウ=ミュウ、ピエール・ヴァネック、エマ・ド・コーヌ

日本語字幕:石田泰子
(於 2007/05/26@京都みなみ会館)

ため息が出るのは心が満たされないから。つまり恋だ。
ちょっとうろ覚えではありますが、脇役のこのセリフが印象に残ってます。

ミシェル・ゴンドリーの新作は、『エターナル・サンシャイン』のようにちょっとメルヘンな恋愛映画。
冴えない男の片想いの話です。
片想い中は夢の中でいろいろと空想が膨らむもの。しかも自分にとって都合がいい方向に。
でも現実にはそんなにうまくいかないんですよね。
そんな片想いの切なさと純粋さをミシェル・ゴンドリーらしい映像で表現しています。ああ、恋ってこんな感じだなあと思いつつ。
カッコいいガエル・ガルシア・ベルナルが冴えない青年だなんて普段は想像できませんが、この映画では応援したくなります。
意外にハマリ役なのかもしれません。
主人公の不器用さは私自身にも似たようなものがあって、個人的には自分を見てるような感じになりました。
彼は好きになる相手が悪かったんですよね。

いわゆる普通の"ボーイ・ミーツ・ガール"の恋愛映画とは一線を画す秀作ではあると思いますが、
映像表現が突飛なところがあるので、とっつきにくい人も結構いるかもしれません。
というわけでマイナス1。

ちなみにゾーイ役のエマ・ド・コーヌは私のイチオシの女優です。


▲ホームへ ▲上へ


バベル
8★★★★★★★★☆☆

Babel
2006年・アメリカ・143分
配給:ギャガ・コミュニケーションズ
(公式サイト)
PG-12

監督:アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ
出演:ブラッド・ピット、ケイト・ブランシェット、ガエル・ガルシア・ベルナル、役所広司、アドリアナ・バラッザ、菊地凛子

日本語字幕:松浦美奈
(於 2007/05/15@シネマハウス草津)

これまでのアレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥの監督作品と同じように、3つの異なる話が交錯する物語。
今回のテーマは、人間同士の意思疎通の難しさです。

確かに異なる言語を話す人はおろか、同じ言語を話す人であっても、
同じ時間同じ場所にいて同じ光景を見ていてもなかなか心を通わせるのは難しいですね。
意志表現が下手な私には身につまされた想いです。
最初は日本語の字幕があることの意味もわかりませんでしたし。
グローバル化が叫ばれ、一見インターネットなどで世界中とつながっているように見える現代でも、個々が分かり合うのは難しいんでしょうか。
難しい主題ですが、イニャリトゥの構成力と俳優陣の演技によって傑作と呼べるものになっていると思います。

ですが、テーマがテーマなだけに人によっては嫌悪感を抱いたり、構成が複雑なためになかなか理解しづらい映画であるのも確か。
観る者を選びそうです。


▲ホームへ ▲上へ


クィーン
6★★★★★★☆☆☆☆

The Queen
2006年・イギリス=フランス=イタリア・104分
配給:エイベックス・エンタテインメント
(公式サイト)

監督:スティーヴン・フリアーズ
出演:ヘレン・ミレン、マーティン・シーン、ジェイムズ・クロムウェル、ヘレン・マックロリー、アレックス・ジェニングス、ロジャー・アラム

日本語字幕:戸田奈津子
(於 2007/05/10@新京極シネラリーベ)

ダイアナ元妃が事故死したときのエリザベス女王を始めとするイギリス王室とブレア首相を描いた映画。
アカデミー主演女優賞を受賞したヘレン・ミレン、ブレア首相を演じたマーティン・シーンなど、
今も第一線で活躍している方々が演技の中心で、それぞれなかなかのそっくりっぷりです。

話は王室の伝統と、国民に止まらず世界中の人から愛されたダイアナ元妃、
そして新時代の首相となった労働党のブレア首相がメイン。
正直言って近年のイギリスの事情を知らないとさっぱりわかりません。
王室の伝統と言ってもなかなか理解しがたいものです。イギリスに詳しい方ならわかるものなのでしょうか。
霧の都ロンドンのようにどんよりとした映画です。
ただ、イラク戦争を巡るブレア首相に対する批判が集まっていたころに製作された映画ですので、
むしろ話の中心は女王ではなく首相のほう。
話の内容からすると皮肉にしか見えませんね。あまり好きな皮肉り方ではありませんけど。
イギリス人はひねくれ者ばかりなのか、と穿った見方をしてしまいそうです。

折りしも、映画を観た日はブレア首相退陣が発表された日でした。なんてタイムリー。


▲ホームへ ▲上へ


東京タワー オカンとボクと、時々、オトン
7★★★★★★★☆☆☆

2007年・日本・142分
配給:松竹
(公式サイト)

監督:松岡錠司
出演:オダギリジョー、樹木希林、内田也哉子、松たか子、小林薫、冨浦智嗣

(於 2007/05/04@ユナイテッド・シネマ大津)

リリー・フランキーのベストセラーを映画化。
テレビの2時間ドラマ、連続ドラマに続いて映画化です。脚本は大人計画の松尾スズキ。
ちなみに私は原作、テレビ版共に未見です。

リリー・フランキーの半生を、少年時代から描いたもの。
タイトル通り、家族(特に母親)との話がメイン。
ベストセラーになったのもうなずける、感動的な家族の物語です。
家族の関係ってウチの場合はかなりよろしくないので、
このような家族の物語はかなり憧れるものがあります。
とはいえ私も親孝行しないといけないなあと思ったりもします。
リリー・フランキーのように成功できればいいですけど。

少年期の話は九州が舞台ですが、役者の演技はなかなか九州の雰囲気が出ています。
特に内田也哉子はあんまり演技の経験がないのにも関わらず、九州のおばちゃんみたいな感じです。私のまわりにもいそう。
九州出身ではないのにたいしたものです。
ただ、リリー・フランキーが高校生のころ役者はせめて声変わりがしてる人物にして欲しかったところ。


▲ホームへ ▲上へ


ママの遺したラヴソング
7★★★★★★★☆☆☆

A Love Song for Bobby Long
2004年・アメリカ・120分
配給:アスミック・エース
(公式サイト)

監督:ジェイニー・ゲイベル
出演:ジョン・トラヴォルタ、スカーレット・ヨハンソン、ゲイブリエル・マック、デボラ・カーラ・アンガー、デイン・ローズ、デイヴィッド・ジェンセン

日本語字幕:石田泰子
(於 2007/04/30@シネ・リーブル梅田)

母親の死がきっかけで親子の愛を確認しあうお話。

主演のジョン・トラヴォルタとスカーレット・ヨハンソンは個人的に好きな俳優。
映画の中で彼らの個性が活かされていい感じ。
並み以上のパフォーマンスはみせてくれています。
脇の役者もなかなかのものですしね。
けれども話はきわめて映画的な展開で都合が良すぎる感があります。
そういう展開はキライじゃないんですが、くどい感じがするんですよね。
もう少し演出をうまくやってほしかったところ。
監督のジェイニー・ゲイベルはフィクション初挑戦ということで致し方ないんでしょうか。


▲ホームへ ▲上へ


情痴 アヴァンチュール
4★★★★☆☆☆☆☆☆

Une Aventure
2005年・フランス=ベルギー・107分
配給:東芝エンタテインメント
(公式サイト)
R-15

監督:グザヴィエ・ジャノリ
出演:リュディヴィーヌ・サニエ、ニコラ・デュヴォシェル、ブリュノ・トデスキーニ、フロランス・ロワレ=カイユ、エステル・ヴァンサン、アントワーヌ・ドゥ・プレケル

日本語字幕:高部義之
(於 2007/04/29@新京極シネラリーベ)

夢遊病の女を中心とした男女4人の物語。
ぶっちゃけサニエ目当てで観にいったのですが、実際それくらいしか見所がありませんでした。
しかも肝心のサニエも特に良いわけではありません。

夢遊病というのは、映画のテーマとしてはそこまで珍しいものではないと思いますが、
それを悲しい女の性と結び付けようとした試みは失敗していると言わざるを得ません。
夢遊病の描写もイマイチですし、主人公と女の関係も突飛で無理があるように感じます。
語り手がなぜ主人公の恋人なのかも不明。
重要なポジションでもないのにそのような役割を与えた意図がわかりません。

いろいろ中途半端で消化不良で終わってしまいました。
支離滅裂な印象は拭えません。


▲ホームへ ▲上へ


ブラックブック
7★★★★★★★☆☆☆

Zwartboek
2006年・オランダ=ドイツ=イギリス=ベルギー・144分
配給:ハピネット
(公式サイト)

監督:ポール・バーホーベン
出演:カリス・ファン・ハウテン、セバスチャン・コッホ、トム・ホフマン、ハリナ・ライン、ワルデマー・コブス、デレク・デ・リント

日本語字幕:松浦美奈
(於 2007/04/18@京都シネマ)

『氷の微笑』や『ロボコップ』で知られるポール・バーホーベンの第二次世界大戦を舞台にした映画。
ハリウッドで活躍してましたが母国オランダに戻って制作したそうです。

ナチス占領下のオランダでのレジスタンスとスパイの物語。
あらすじだけ見ると堅苦しく重い話のように感じますが、そこはバーホーベン。
ハリウッドでなく、ちょっと重めの背景でも、彼らしいエロスとバイオレンスは健在です。
ただし、この話に彼の作風が合っているかどうかは微妙。
大衆向けで娯楽性が強い作風ですので、純粋に楽しむことはできます。

マジメにナチスとレジスタンスの話を期待するとがっかりするかも。
オランダの役者はあまり知りませんが、ドイツの役者は結構大物が出演しています。


▲ホームへ ▲上へ


ブラッド・ダイヤモンド
7★★★★★★★☆☆☆

Blood Diamond
2006年・アメリカ・143分
配給:ワーナー・ブラザース
(公式サイト)

監督:エドワード・ズウィック
出演:レオナルド・ディカプリオ、ジャイモン・フンスー、ジェニファー・コネリー、カギソ・クイパーズ、アーノルド・ボスロー、アンソニー・コールマン

日本語字幕:今泉恒子
(於 2007/04/15@ユナイテッド・シネマ大津)

アフリカの紛争地域で密取引されるダイヤモンドを巡る話。
紛争地域における少年兵の問題を背景にしています。
今年のアカデミー賞で、レオナルド・ディカプリオ、ジャイモン・フンスーが
それぞれ主演男優賞、助演男優賞にノミネートされました。

ダイヤモンドは私には縁のないものですが、こういう背景が見え隠れすると考えさせられるものがあります。
当然出回っているダイヤモンドのほとんどは真っ当なダイヤモンドであると思いますが。
現在は人工で良質なダイヤモンドを作れるようになっているわけですし、
天然モノにこだわる必要はないように思いますけどね・・・。

アカデミー賞にノミネートされた2人の演技は、確かになかなかのものです。
ディカプリオはますます今後の活躍が期待されますね。
ただ、演出面がアフリカの実情を訴えたいんだという想いが空回りしてて、少し勇み足気味。
いろいろバランスをとるのは難しそうですけどね。


▲ホームへ ▲上へ


パフューム ある人殺しの物語
7★★★★★★★☆☆☆

Das Parfum :Die Geschiche eines
2006年・ドイツ=フランス=スペイン・147分
配給:ギャガ・コミュニケーションズ
(公式サイト)
PG-12

監督:トム・ティクヴァ
出演:ベン・ウィショー、レイチェル・ハード=ウッド、アラン・リックマン、ダスティン・ホフマン、カロリーネ・ヘルフルト、ジョン・ハート

日本語字幕:戸田奈津子
(於 2007/04/13@MOVIX京都)

究極の香水を作り上げた男の話。

物語の舞台は18世紀のフランスで、映像は細部までこだわって当時を再現しています。
ここまで細かいところまで作りこんだ映画はあまりないかもしれません。
話題になったクライマックスシーンも、今どきCGで合成したりするものなんでしょうが、
実際に750人ものエキストラを使ったということですから、力の入れ方は相当なものです。

香りがテーマということで、目には見えないものですから、スクリーンからはなかなか感じ取ることはできませんが、
前述の映像へのこだわりもそうですが、なんとか表現しようとする心意気は伝わってきます。
実際に香りが感じられるかどうかは別ですけど。

全体的には収まるところに収まっている感じですが、挑戦的な試みがなかなかおもしろいです。


▲ホームへ ▲上へ


エンロン 巨大企業はいかにして崩壊したのか?
6★★★★★★☆☆☆☆

Enron :the Smartest Guys in the Room
2005年・アメリカ・110分
配給:ファントム・フィルム
(公式サイト)

監督:アレックス・ギブニー
出演:元エンロン社員、ケン・レイ、ジェフ・スキリング、アンディ・ファストゥ

日本語字幕:松浦美奈
(於 2007/04/07@京都シネマ)

エンロンの経営破綻を追及するドキュメンタリー映画です。
エンロンはアメリカの巨大エネルギー会社でした。
不正経理を行い、会社を成長させていたようです。

私は経済のことに詳しくないので細部までわかりませんが、
なんとなくライブドアの事件と似ているなーと思いました。金額や社会的影響はだいぶ違いますが。
両者とも何で稼いでいるのかわかりません。
いわゆるマネーゲームというやつで理系人間からすると異世界の話のようです。

そんな私にもなんとかわかる程度には説明してくれます。
ドキュメンタリー映画としては、批判する側の人間の主張がほとんどで、
エンロン側の人間の話がほとんどなかったのが残念ですね。
取材のオファーはしていたようですが。まあ出演しないのも無理はないのかも。
上層部の人間がしゃべってくれていたら、もっといい映画になったでしょうね。


▲ホームへ ▲上へ


善き人のためのソナタ
9★★★★★★★★★☆

Das Leben Der Anderen
2006年・ドイツ・138分
配給:アルバトロス・フィルム
(公式サイト)

監督:フロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク
出演:ウルリッヒ・ミューエ、マルティナ・ゲデック、セバスチャン・コッホ、ウルリッヒ・トゥクール、トーマス・ティーメ、ハンス=ウーヴェ・バウアー

日本語字幕:古田由紀子
(於 2007/04/01@シネ・リーブル梅田)

今年のアカデミー賞で外国語映画賞を受賞したドイツ映画です。

旧東ドイツを舞台に隣人が隣人を監視しあうシュタージをあつかった物語です。
徹底的に他人を監視するなんて常軌を逸しているように思えますが、
社会主義国家、特に冷戦末期の場合は体制維持のためにはこんなことが当たり前だったのでしょうか。
日本に生まれてきた私はずいぶん平和な暮らしをしているんだなあと思わされます。

この映画は各キャラクターの性格がしっかりしていて、それぞれの役者もそれにそってしっかり演技をしています。
ちゃんと人間臭いので、生々しさも感じられ、感情移入もしやすいです。
だからこそ、他人を監視する人間の心情の変化も受け入れられやすいですね。

体制派も反体制派も人間なのです。
だからこそ、主演の3人の言葉が胸を打つのです。
決して華やかではないけれども、心に響くラスト。
ヒューマンドラマの傑作です。


▲ホームへ ▲上へ


今宵、フィッツジェラルド劇場で
6★★★★★★☆☆☆☆

A Prairie Home Companion
2006年・アメリカ・105分
配給:ムービーアイ
(公式サイト)

監督:ロバート・アルトマン
出演:メリル・ストリープ、リリー・トムソン、リンジー・ローハン、ギャリソン・キーラー、ケヴィン・クライン、ウディ・ハレルソン

日本語字幕:岡田壮平
(於 2007/04/01@テアトル梅田)

ロバート・アルトマンの遺作。

原題の"プレイリー・ホーム・コンパニオン"は実際に全米で大人気のラジオ番組だそうです。
映画でもMCを務めるギャリソン・キーラーは実際にこのラジオ番組のMCだそうです。
劇場に観客を入れて生放送するスタイル。
昔のラジオ番組はこのようなスタイルだったのでしょうか。

映画はアルトマンらしい群像劇。
今回の舞台は閉鎖される劇場。舞台に立つのはちょっと旬の過ぎた歌手たち。
それに関係する人々たちが織り成すドラマとなっています。
アルトマンの話を見せるには最上の舞台のなのかもしれません。
話の内容はまるでアルトマンは死期を悟っていたんじゃないのかという感じさえします。
こういう映画を遺して死ねたら幸せかもしれません。
彼はきっと人生に悔いはなかったでしょう。

ただ、私にはアルトマン映画は合わないようです。
彼の群像劇はキャラクターに魅力が感じられないのです。
どこか薄っぺらい感じがして映画にのめりこめません。
遺作までこんな感じで少し残念です。

なんにせよ、また映画界から偉大な人が去ってしまいました。
ご冥福をお祈りします。


▲ホームへ ▲上へ


アルゼンチンババア
5★★★★★☆☆☆☆☆

2006年・日本・112分
配給:松竹、キネティック
(公式サイト)

監督:長尾直樹
出演:役所広司、鈴木京香、堀北真希、森下愛子、小林裕吉、手塚理美

(於 2007/04/01@梅田ピカデリー)

よしもとばななの小説が原作の映画です。
鈴木京香が特殊メイクをして体当たりの演技をしているのが何かと話題です。

家族の喪失と癒しの物語。
母を失った父子と彼らに関わる町外れに住むアルゼンチン人の女性の話。
堀北真希演じる娘の視点で話がすすみます。
問題は家族の心情がなかなか伝わってこないことです。
癒しの物語なのにどう癒されているのかわからない。
アルゼンチンババアと父子の関係の描写もイマイチ。

さらに言えば、前半部分の役所広司演じる父を発見するまでが、堀北真希のイメージビデオみたいになっているのもいただけません。
堀北真希がそれほどのパフォーマンスを見せてくれていれば問題ないのですが、大したものは見せてくれていません。
将来が見込める女優ではあるとは思うのですが・・・。
もっと彼女の魅力を引き出してくれていたならば、違った見方になったかもしれません。

ちなみにこの映画で出てきたイルカウォッチングの海は私の生まれ故郷です。
映画を観て少し懐かしい気分になりました。
余暇を過ごすのにはいい場所ですよ。
少し宣伝です。


▲ホームへ ▲上へ


不都合な真実
7★★★★★★★☆☆☆

An Inconvenient Truth
2006年・アメリカ・96分
配給:UIP
(公式サイト)

監督:デイビス・グッゲンハイム
出演:アル・ゴア

日本語字幕:石田泰子
(於 2007/03/22@TOHOシネマズ二条)

元アメリカ合衆国副大統領アル・ゴアによる地球温暖化問題講座。
巷ではアル・ゴア自身のことが非難をあびていますが、地球温暖化問題についてわかりやすく説明してくれています。

映画はほとんどがアル・ゴアの語りに終始しています。
なので、彼自身の主張がストレートに反映されています。
アル・ゴアは長年地球温暖化問題をおってきただけあって、その主張もわかりやすく伝わりやすいです。
彼の語り方にもよるんでしょうけど、説得力がありますね。

けれどもアル・ゴアの話しかないので、ドキュメンタリー映画としての正当性があるかは少し疑問。
彼のプロパガンダにも見えちゃいます。このあたりは少し残念。

地球温暖化問題を考える入り口にはもってこいだとは思います。


▲ホームへ ▲上へ


ラストキング・オブ・スコットランド
7★★★★★★★☆☆☆

The Last King of Scotland
2006年・アメリカ・125分
配給:20世紀フォックス
(公式サイト)
R-15

監督:ケヴィン・マクドナルド
出演:フォレスト・ウィテカー、ジェームズ・マカヴォイ、ケリー・ワシントン、サイモン・マクバーニー、ジリアン・アンダーソン

日本語字幕:戸田奈津子
(於 2007/03/18@TOHOシネマズ二条)

かつてのウガンダの独裁者・イディ・アミンを描いたフィクション映画です。
イディ・アミンを演じたフォレスト・ウィテカーはアカデミー賞主演男優賞を受賞しました。

アカデミー賞を受賞したということで、フォレスト・ウィテカーの演技が気になりますが、
さすがというか、迫力のはるパフォーマンスを見せています。
ひとつの国を独裁的に支配し、大量虐殺をしたという人物ですが、
フォレスト・ウィテカー自身がそのようなオーラを醸しだしています。
アカデミー賞も納得といったところでしょうか。

映画の物語は独裁者の孤独を描いたもの。
いままでもいくらかはあったテーマで、そう目新しいものではありません。
ただ、主人公に感情移入がしにくいんですよね・・・。
フォレスト・ウィテカーが怪演しているだけに惜しい。
もう少ししっかりした主人公であれば、観客にもアピールしやすいんでしょうけどねぇ・・・。


▲ホームへ ▲上へ


悪夢探偵
8★★★★★★★★☆☆

2006年・日本・106分
配給:ムービーアイ
(公式サイト)

監督:塚本晋也
出演:松田龍平、hitomi、安藤政信、大杉漣、原田芳雄、塚本晋也

(於 2007/03/10@京都みなみ会館)

あ、今タッチしました。

日本が誇るカルトの巨匠・塚本晋也の新作は、他人の夢に入ることのできる後ろ向きな男と、
夢に関わる不可解な事件を捜査する女刑事の物語。
男は松田龍平、女刑事はhitomiが演じています。
hitomiはこれが本格的な演技は初挑戦だとか。

塚本監督の映画はこれまでよく観てきた、というわけではないのですが、
どの作品もテーマは一貫しています。
「都市と肉体」はこの映画でもテーマになっていて、なかなかよい感じに発揮されている感じです。
今回は、誰もが心の奥底で持っているであろう、 後ろ向きな心を抉り出されます。
なかなかへこんでいる時に観賞するのは堪えますが、この表現の仕方は塚本監督ならではで素晴らしいですね。
ただし、好みはかなり分かれると思いますが。

なかなかの演技派が周りにいるなかで、hitomiの演技はお世辞にもうまいとは言えません。
しかし、だからこそ映画に味が出ているように思います。
無駄にタイトミニスカートにハイヒール。撮り方もどこかサディスティック。
どこか変態的ないやらしさがあります。(褒めことば)

とても万人にはおすすめすることはできませんが、はまればはまってしまう魔力があります。


▲ホームへ ▲上へ


ドリームガールズ
7★★★★★★★☆☆☆

Dreamgirls
2006年・アメリカ・130分
配給:UIP
(公式サイト)

監督:ビル・コンドン
出演:ジェイミー・フォックス、ビヨンセ・ノウルズ、エディ・マーフィ、ダニー・グローバー、ジェニファー・ハドソン、アニカ・ノニ・ローズ

日本語字幕:戸田奈津子
(於 2007/02/26@ユナイテッド・シネマ大津)

ブロードウェイ・ミュージカルの映画化です。
ジェニファー・ハドソンがこの映画でアカデミー賞助演女優賞を受賞しました。

内容はアメリカンドリームを実現する女性たちのサクセスストーリー。
60年代アメリカの世相を反映させながらの話なので、時代に即した内容ではないかもしれません。
ミュージカルのキモである歌唱シーンは、役者の実力もしっかりしているので、見ごたえがあります。

でもやはり、映画の場合劇の途中で歌が入ると違和感がありますよね。
舞台なら受け入れられやすいんですけども。
同じブロードウェイ・ミュージカル映画の『シカゴ』はそのあたりうまくやっていたと思うのですが。
少々残念でした。

ジェニファー・ハドソンがアカデミー賞の助演女優賞を受賞しましたが、
確かにこれがデビュー作とは思えないものでした。いろいろな意味で。
まさに彼女自身がドリームガール。彼女のための映画といっても過言ではないでしょう。


▲ホームへ ▲上へ


ブラザーズ・オブ・ザ・ヘッド
7★★★★★★★☆☆☆

Brothers of the Head
2005年・イギリス・93分
配給:アスミック・エース
(公式サイト)
PG-12

監督:キース・フルトン、ルイス・ペペ
出演:ルーク・トレッダウェイ、ハリー・トレッダウェイ、ブライアン・ディック、ショーン・ハリス、タニア・エメリー、ジョナサン・プライス

日本語字幕:石田泰子
(於 2007/02/18@京都シネマ)

『ロスト・イン・ラマンチャ』のキース・フルトンとルイス・ペペの映画です。
ドキュメンタリータッチで描かれており、まるで「ザ・バンバン」が実在したかの印象さえ受けます。
というか私は実在したと思ってました。

ドキュメンタリーの手法を用いて制作されているので、リアリティはかなりあります。
俳優たちの演技もまるで実際にインタビューを受けているかのようですし。
ザ・バンバンに熱狂している様子が伝わってきました。
こういう作りであるからこそのものなのでしょう。
登場人物も美形ぞろいでリアリティと共に見た目も楽しめると思います。
フィクションであることのおもしろさを感じさせられます。

むしろ、ドキュメンタリーの方こそフィクションなのかもしれません。


▲ホームへ ▲上へ


幸せのちから
7★★★★★★★☆☆☆

The Pursuit of Happyness
2006年・アメリカ・117分
配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
(公式サイト)

監督:ガブリエレ・ムッチーノ
出演:ウィル・スミス、タンディ・ニュートン、ジェイデン・クリストファー・サイア・スミス、ブライアン・ハウ、ダン・カステラネタ、カート・フューラー

日本語字幕:森本務
(於 2007/02/03@ユナイテッド・シネマ大津)

実話を元にした、アメリカンドリームの映画。
どん底から親子ふたりであきらめずにがんばって成功を収める話です。

がんばって成功を収めるという話は今までも結構ある話。
この話も特別なものではありません。
でも、ウィル・スミスのマジメな演技は好感が持てますね。
彼自身からそういうオーラが出ているので、相乗されていい感じです。
観ているほうも、素直に喜べる映画だと思います。

いままでも映画としてよく作られてきた話なので、新しいものは観られませんでしたが、
このような話を観ていると、自分のがんばりはまだまだなあと思ってしまいます。


▲ホームへ ▲上へ


ディパーテッド
7★★★★★★★☆☆☆

The Departed
2006年・アメリカ・152分
配給:ワーナー・ブラザース
(公式サイト)
R-15

監督:マーティン・スコセッシ
出演:レオナルド・ディカプリオ、マット・デイモン、ジャック・ニコルソン、マーク・ウォールバーグ、マーティン・シーン、レイ・ウィンストン

日本語字幕:栗原とみ子
(於 2007/01/28@ユナイテッド・シネマ大津)

『インファナル・アフェア』をハリウッドがリメイクした映画。
オリジナルでトニー・レオンが演じた役をレオナルド・ディカプリオ、アンディ・ラウが演じた役をマット・デイモンが演じています。
脇を固めるのも、オリジナルに負けず劣らずの実力派で固められています。

リメイクということで、舞台は香港からボストンへ。
しかし、内容はほとんど変わっていません。
構図までほとんど同じようなシーンも多々。
ハリウッドならではの豪華さ、オリジナルでは荒削りの部分は洗練されているものの、
オリジナリティには欠けると言わざるをえません。

ただ、オリジナルがよくできた映画なだけに、映画そのもののおもしろさはあります。
脇を固める役者もさすがに演技をみせていて、見ごたえのあるものになっています。
あまりオリジナルと比較しすぎると楽しめないかもしれません。

けれども、エンディングや、屈指の名シーンである、転落シーンやエレベータのシーンはオリジナルには遠く及びませんけどね・・・。


▲トップへ ▲上へ


ダーウィンの悪夢
6★★★★★★☆☆☆☆

Darwin's Nightmare
2004年・フランス=オーストリア=ベルギー・112分
配給:ビターズ・エンド
(公式サイト)

監督:フーベルト・ザウパー

日本語字幕:ビターズ・エンド 字幕制作チーム
(於 2007/01/28@京都みなみ会館)

アフリカのヴィクトリア湖に、些細な試みから放たれたナイルパーチがもたらしたさまざまなものから、
アフリカの現状と資本主義の弊害を描き出そうとする、ドキュメンタリー映画です。

ヴィクトリア湖は"ダーウィンの箱庭"を呼ばれるほど、豊かな生態系を誇る湖だそうです。
そこに外来の肉食魚ナイルパーチが数匹放たれたことで生態系が乱れたそうです。
しかし、ナイルパーチは高値の輸出品として売られ、富をもたらしました。
このナイルパーチは日本にも輸出され、主に白身魚として食されているようです。
私たちも結構食べているのかもしれませんね。

私はドキュメンタリー映画で大切なのは、制作者の主張をしっかりとした根拠に基づいて、
観客を説得できるような映像で 冷静に語りかけることだと思います。
この映画は"お金を持つものが持たないものを虐げている"をいう問題提起を目的としていますが、その目的は果たせているようです。
ナレーションを用いずに、ほとんどインタビューの映像にしているのは、ドキュメンタリーというものを効果的に利用していると思います。

しかし、この映画はある一方の面の人々ばかりが映っているように思います。
この映画の舞台となっている、タンザニアのムワンザはナイルパーチが全てのように見えてしまいます。
結局はとりあげている問題がどの程度の問題なのかわからず、
アフリカの現状のごく一部を切り出しただけのようにしか感じません。

ドキュメンタリー映画が映し出しているものはまがうことのない現実なのかもしれませんが、
観客が観るのは、スクリーンの大きさに切り抜き、つなぎ合わせたものに過ぎません。。
映画を作り上げる上で都合のよいものを並べたようにしか見えないのは、非常に残念です。


▲トップへ ▲上へ


それでもボクはやってない
8★★★★★★★★☆☆

2007年・日本・153分
配給:東宝
(公式サイト)

監督:周防正行
出演:加瀬亮、瀬戸朝香、山本耕史、もたいまさこ、役所広司

(於 2007/01/26@新京極シネラリーベ)

周防監督が徹底して裁判を取材して制作したという映画です。
痴漢事件の裁判を通じて日本の裁判の問題点を提起しようというの物です。

社会派映画ということで、エンターテインメント性は薄く、演出も控えめ。
それ故にリアリティを感じさせられ、裁判ってこんな感じなのかなぁという感覚になります。
実際に裁判を見た経験はありませんし、ましてや被告人になった経験もないですので、
本当に再現されているのかはわかりませんが、さまざまな関係者の話からはかなり忠実みたいです。

日本の裁判の問題を浮き彫りにする映画、という目的は十二分に発揮できています。
主人公の視点に立てば、とっても納得できないですね。
いつか私もそういう立場に立つかもしれないと思うと恐ろしいです。
けれども裁判官や被害者の視点から見ると…。

この映画を通して、日本では身近ではない裁判を考えるにはいい機会になるかもしれません。


▲トップへ ▲上へ


ラッキーナンバー7
7★★★★★★★☆☆☆

Lucky Number Slevin
2005年・アメリカ・111分
配給:アートポート
(公式サイト)
R-15

監督:ポール・マクギガン
出演:ジョシュ・ハートネット、ブルース・ウィリス、ルーシー・リュー、モーガン・フリーマン、ベン・キングズレー、スタンリー・トゥッチ

日本語字幕:岡田壮平
(於 2007/01/21@ユナイテッド・シネマ大津)

キャストが豪華な割りに映像は地味。
その分それぞれの役者の力が映画の決め手になるというもの。
それぞれがある意味悪役であり、とぼけたキャラクターであることは、この映画に出演した俳優陣にはよかったようです。

この映画はほとんどのシーンが室内での会話シーンであるため、映像的にはかなり地味なものになっています。
しかし、キャラクター付けがよくなされていて、会話のテンポがいいため、退屈には感じません。
むしろこれは好印象。みんな演技もしやすかったことでしょう。
話の内容はラストで散りばめられた伏線が収束するというものですが、わかりにくいと感じるほどでもありません。
欲を言えばもう少し痛快なものであればもっとよかったでしょう。

人物に絞った映画の描き方で、上質なエンタテインメントに仕上がっているといえるでしょう。


▲トップへ ▲上へ


長い散歩
7★★★★★★★☆☆☆

2006年・日本・136分
配給:キネティック
(公式サイト)

監督:奥田瑛二
出演:緒方拳、高岡早紀、杉浦花菜、松田翔太、木内みどり、原田貴和子

(於 2007/01/14@京都シネマ)

奥田瑛二監督の映画は、本人の人間性を反映しているのか、どこかとがっているようにみえます。
幼児虐待と家族がテーマのこの映画も然り。しかし、それこそが魅力なのでしょう。

"よい家族"を築くことができなかった初老の男が、隣部屋で虐待されていた女の子と旅に出るのですが、それは誘拐とされるという話です。
現代社会の中でも問題となっているような重いものを背景として、親子の繋がりを描きます。
監督の言いたいことはきちんと伝わるのではないでしょうか。
親子の繋がりは普遍的なテーマであり、この映画で語られるものも斬新さはありませんが、しっかりと観客の心には届くものでしょう。

気になるのは松田翔太がからむエピソード。
彼が関連するものはイマイチ私には理解するのは難しかったです。無くても問題はないように思います。
緒方拳と杉浦花菜の役とは逆のベクトルを向いた役なのですが、その対比として語るのには不十分だったのではないでしょうか。
松田翔太自身はしっかりと存在感のある演技をしているので、消化不良に感じました。


▲トップへ ▲上へ


あるいは裏切りという名の犬
6★★★★★★☆☆☆☆
36 Quai des Orfevres
2004年・フランス・110分
配給:アスミック・エース
(公式サイト)

監督:オリヴィエ・マルシャル
出演:ダニエル・オートゥイユ、ジェラール・ドパルデュー、ヴァレリア・ゴリノ、アンドレ・デュソリエ、ロシュディ・ゼム、ダニエル・デュヴァル

日本語字幕:松浦美奈
(於 2007/01/13@京都みなみ会館)

フランスを代表する2人の男優が主演の、よくストーリーが練られた、いわゆる刑事ドラマです。
ただし、事件より刑事たちの人間関係が話の主軸。それゆえにとっても地味な映画に仕上がっています。

登場人物が多く登場し、それぞれの関係が複雑ですが、基本は主役2人が中心となって展開されていくので比較的わかりやすくまとまっています。
ベテランの役者が揃っているので、そのあたりの演技力とも相まって、映画としての完成度はかなり高め。
ですが、物語は男の権力と欲望の話なので、かなり華のない話になっています。
これは物語に渋みをもたせていますが、退屈な印象も与えてしまっています。
登場する事件がセンセーショナルなものなのですけど、登場人物たち(犯人や刑事たち)に心が揺さぶられることもありません。
ダニエル・オートゥイユとジェラール・ドパルデューの2人がただのオッサンに見えてしまうこともしばしば。

題材が題材ゆえにしかたなかったのかもしれませんが、 いろいろ損をしている映画です。

▲トップへ ▲上へ