◆'23.11.5 ヴァイオリン演奏会“奏々”sousou ∞ 4 開催の経緯と内容の記録



 出演者の皆さん、お家の方々、先日は大変お疲れ様でした。本年も半年超えの門下生演奏会の準備記録を記し、次回へ申し送りをしようと思います。皆さんもご参考にご一読下さい。

 本年門下生演奏会は、在籍数が既に極少人数であることからホールにての開催は無理と判断、当初から自宅開催を覚悟し、4月下旬より、常連エキストラさん お二人に本番と練習日程のご相談をするところから動き始めました。気候等諸事情から今回も期日は恒例11月第一日曜日 5日と定め、昨年ぎりぎりの実施だった状況から、皆さんに「企画等は例年より縮小傾向となります」とお伝えした上で、5月末、正式申込書の配布に踏みきり ました。
 極少人数の合奏演目の準備はとにかく手と時間がかかるので、早々に企画の物色から仮決定まで持ち込んで、かなり早い段階から参加見込の顔ぶれに向けて楽 譜アレンジを手がけました。6月半ば締切日に8名全員の参加申し込みを受けるとさらにアレンジを加速、企画はそのまま順風に仕上がるかに見えました。とこ ろが程なく、小さな初歩者から急な事情で退学すると告げられ、せっかくの会が寂しくなってしまうのは必至、完成したばかりの個人用パート譜3曲分に、ここ 2年の努力も水の泡…。指導の根底から揺らぐ事態に、合奏曲アレンジのやり直しはもちろん、気力の立て直しにも多大な労苦を強いられたことは、本番のご挨 拶等で皆さんにお伝えさせていただいた通りです。

 練習日については、8月下旬に 中級以上希望者 ソロ曲ピアノ合わせレッスンの希望を募り、本番1ヶ月前10月8日(日)午後に中上級者4名のレッスンを行いました。この時点でどこまでの仕上がりとなっ ているか、練習成果のバロメーターともなる機会、今回は若干遅れ気味か?の人が多かった気がしました。
 それぞれ2度の正規ソロ曲ピアノ合わせレッスンと合奏全体練習については、エキストラさん方のご都合も考慮して、今年も1日に両方詰め込むかたちで10月22日(日)・29日(日)に設定、
両日午前9時50分から午後4時半過ぎまでかけて行いました (2度目は+30分の延長)。昨年より参加人数が少なかったこと、また今回チェロの関わるアンサンブル(レッスン)がなかったためどうにかこなすことがで きましたが、これら長時間練習日2日に本番が3週連続で続くというのはそれだけで自宅提供準備と吉見の体力の点でなかなかの無理が生じています。従来の練 習日4日体制(本番3〜4週前から土日に分散)に戻す案は、自宅提供の負担軽減には意味をなさず、また、早期の合わせには初級者が間に合わない事情もあ り、今後の練習日の設定の仕方については大きな懸念を感じています。
 今年は台風にやきもきさせられることなく本番前の大事な時期のレッスンや練習日群を行えた点は大変有り難かったです。ただ合奏練習への参加意識に不十分 な点があったことは残念でした。毎度該当文書で通知しておりますが、合奏は1人欠けてもバランスが変わってしまうため練習には全員参加が大前提、さらに練 習開始の15分前には集合し、準備・個人練習をして待つのが常識です。特に初級者の皆さんに、合奏は楽しい反面、自分の出す1音が全体を左右する厳しいも のであることを認識いただき、今後はソロ曲以上に自己を磨いて臨む姿勢を期待します。
 なお今回も、練習日両日とも、チェロ西田氏の駅→吉見宅間の往復送迎を、参加者1名の方が受け負って下さいました、ここに御礼を申し上げ、皆さんにご報告させていただきます。

 本番当日は午前10時よりリハーサル開始、昼前一旦解散、午後1:30全員集合、そして予定の1:45、無事に本番開演にこぎ着けました。
 5月に第5類分類へと転じたコロナ事情、9月初旬にまだ、さほど遠くないところでちらほら感染の噂を聞く状況だったため、今年も参加者1名につき来場者 2名までの枠で、事前に来場希望人数の把握に動きました。また、コロナに代わるように9月半ばに早や蔓延を始めたインフルエンザにも心配しましたが、本番 当日、出演者が無事全員集まれたのは何より良かったと思いました。しかし、こうしたことが関係しているのかどうか、本年の会の出演者関連の来場数はご家族 3名のみでした。演奏会は本来、広く聴いていただくためにおこなうもの。皆さんのために立派な会を開こうと必死の準備を進めている者として、やる気の削が れたできごとでした。

 本番当日、天気は、一週間前からの「曇り一時雨」予報を裏切って朝から快晴。11月にもかかわらず各地で最高気温25度の夏日が続くような気候の下、会 場にも日中きつい日差しが照りつけ縁側を開け放っても暑く、一時は扇風機設置の心配もしたくらいでした。本番も後半3時過ぎからは風が出て涼しくなりまし たが、今度はその風で縁側のガラス戸が時折音を立てるようになり、もともと演奏会場としての不備に目をつぶって自宅開放をしていることを思うと、必死の準 備それ自体が遺憾にも思えました。しかし進行の面では、大延長の心配もあった「本日の特別講座」が許容範囲内の延長におさまり、また、夜には雨が落ちる予 報で調弦による延長も心配でしたが、それも顕著な影響が出ないうちに終演を迎え、会の総責任者としてとにかくほっと胸をなで下ろしたものでした。 

 アナウンスは今年も昨年同様、大人の参加者の方3名に分担していただきました、ご協力有難うございました。アナウンスは従来は参加者の親御さんの係、来年あたりぼちぼち経験を積んで来られたお母様の採用も考えています。
 イスや譜面台並べなどのセッティングも、本年も出演者各自で動いてもらいました。演奏前に奏者がガタガタ準備をするのは演奏会の本来の姿ではなく改めた い気持ちも大きいですが、総人数の問題や、合奏経験の浅い親御さんへのセッティングの説明・指示・伝達作業の方がずっと大変であるため、今しばらくは奏者 各自のスタイルとなるかと思います。
 本番開演前や舞台転換中の場つなぎについては、昨年この場でこれまで数年間の変遷をお伝えし、皆さんに妙案などないかお伺いしましたが何ら聞こえてこな かったため、今年も昨年同様、吉見が曲目解説文を書いて配布するに至りました。が、案の定、特に開演前の会場がしーんと静まって、これから演奏する出演者 の緊張をいたずらに高めてしまっているような気がし、何か改善の方法はないか、再度皆さんのご意見を募らせていただきます。(※注:巷で稀に行われる BGM的音源を流す手段は、演奏直前の奏者が自分の音楽に集中できない懸念があるため、当会では行いません。)

 本年の正式参加者数は8名→7名(幼稚園児1名・中学生2名・大学生1名、大人4名)、初の中学生以上の会となりました。前半は、ソロ1・4名(全員加藤さんだったのはくじの神様の小さないたずらか?)、アンサンブルをはさんでソロ2・3名、滞りなく進みました。
 今年も、皆さんのソロ演奏内容は、誰1人弾き直すことなく実力通りの演奏で大変よかったと思います。緊張下のミスは誰にでもあることで、できる限りの努 力をして臨んだ本番であれば特に悔やむ必要はありません。ただ、皆さんが舞台上で焦った内容は、本番を迎える前の対処で回避することができたものだったは ずです。ミスは「練習の質と練習量」如何で格段に減らせるものです。次の段階としては、正しい練習方法の模索・会得と、反復練習に時間を割くこと、日頃の レッスンでも短期間で着実に一曲を仕上げる努力を続け、どんどん向上していただきたいです。
 本年のアンサンブルはヴァイオリン二重奏2組でした。何度も合わせを重ね、お互いを聴き、共にひとつの音楽を作りあげる作業は、日頃の個人練習とは一次 元違った興味深い経験だったかと思います。それぞれに大変良い勉強をしていただけたようで、準備を進めた側として嬉しく思いました。ただ、今年はチェロに 関わる演目がなく非常に残念でした。
 吉見ソロは今回久々に前半最後の配置となりました。この会でのソロ演奏はいつも三重苦※を抱えて実に過酷な現場となります。(※多忙で十分な練習時間を 持てないまま、積もる疲労にあえぎつつ、次の業務への心配で集中を削がれ…。) あの日、若干遠い意識の中、持てる力を振り絞って平和への祈りを宇宙に拡散したつもりでしたが、果たして届いたでしょうか…。

 休憩の声を聞くや、数日前に袋詰めしておいたおやつ7名分、前夜に天気予報を見て冷蔵庫へ入れたお茶ペットボトルと紙コップを急いで客席に運び、舞台ラ イト消灯、次の書類の確認などあれこれして、やっと控え室に戻り水分補給。延長はほぼなくホッとして本番再開は定時と勝手に決め、休憩もそこそこにすぐ席 を立ち、次のナゾの特別講座の準備・セッティングにひとり赴き…。

 迎えた本番後半、「本日の○○」コーナー。今回の実施は無理かもと伝えてあったにもかかわらず、そんなことはすっかり忘れた生徒ら数名から「今年は何を やるんですか?楽しみです」と無邪気に期待を寄せられたのがちょうど、5歳児のための「折紙カエル飛ばし大会」の目論見が主役を失った頃。今年はコーナー 自体なくなりましたと言うのも引っ込みがつかず、中学生以上に向けもっとアカデミックな内容をということで、やっとひねり出したのが楽器の音域に特化した 「特別講座」でした。ヴァイオリンはもちろん、身近なソプラノリコーダー、そして各々手持ちの楽器を持ち寄れば何か楽しくやれるのでは?発想は徐々に広が り、講義内容の執筆や実習内容をかためつつ、予習課題プリントやオーケストラの楽器音域プリントなどせっせと作って実施に備えました。完成した講座は推定 所用時間30分の大講座。どうなるやらイチかバチかの実施でしたが、講座中笑い声(時々悲鳴?)が絶えず、楽しい時間を過ごしていただけたように感じまし たが、実際のところの皆さんのご感想は如何でしたでしょうか。

 本年の合奏は、過去の企画合奏から初歩者・初級者向けの演目のあるものを掘り出し、企画合奏「名曲とたどる “星の王子さま”の世界 Encore! ’23」 として全10曲、リニューアル再演しました。現在の3倍もの生徒数/上級者4名もいた時代の企画は、演目が充実しているだけに難度が高く、本年のメンバー でやれるように楽譜アレンジすることは非常に大変でした。しかし、中級者の負担を減らすため渡邊先生のピアノソロ・吉見のヴァイオリンソロを半ば強引に組 み込んだことも含め、本年独自の演出効果・楽譜アレンジの捻りなど、それなりに表せたものと自負しております。上記企画の詳細について皆さんには練習日に 公開し、一度はお話も付けた通し練習も行いました。お話の編集については、幼児の参加がなくなったため、前回よりやや大人向きに練り直し、作者の意図をよ り反映できるよう言葉を選んだつもりです。そして最後に、2年前の合奏企画からマカ星ひょうたん池のカエルたちを登場させ最終演目「かえるのカノン」を企 画10曲目としてに引き入れたのは、もはや近年の吉見企画の定番、皆さんもそこそこ予想できていたことかもしれません。
 以前作ってホール展示したイラスト集(古カレンダー使用)がまだきれいなまま保存できていたため、小さい人が喜ぶかなぁと当初から再掲を考えていました が、いざ展示するとなると、狭い会場につきまず場所に困り、譜面台への装着工作も難航、裏方ならではの苦労もありました。どうにか実現できた背景には、吉 見の意向に賛同して、本番一発勝負のイラストめくり役を喜んで引き受けて下さったP渡邊先生の存在もあり、心より御礼申し上げます。
 30分超えの企画合奏の間、吉見は例によって、お話とヴィオラ・ヴァイオリンの持ち替え綱渡り、過去一ハードと思った昨年に輪をかけた大変さで、とにか く必死でした。いろいろ抱えながらも集中を欠くことなくすべてを全うできたのは、あの場に生み出されたよい雰囲気のおかげだと思います。真剣に、精一杯の 演奏をする皆さん、そして企画の終盤には、奏者含めた会場全体がしんみりとお話や音楽に聴き入って下さっているのを感じ、みんなで良い演奏会の空気を作れ ている実感が持てました。
 ただ、振り返って恥ずかしかったのは、合奏開始時におじぎを忘れたことです。さらに、吉見の声がけでしたそのおじぎに、客席から拍手が聞こえず再度吉見 が声を出して拍手の請求…少々情けなかったです。これらはおそらく、私自身もそうでしたが、直前の「本日の特別講座」によって、会場全体のテンションが演 奏会ではなくなってしまっていたために起きたことと思われます。これまでも、奏者のおじぎと客席の拍手の在り方ついてはこの場で何度か発言してきました が、今回それに加え、まだまだ未熟な我々の演奏会で余興というものが必要なのか、またどうあるべきなのか…本年の大きな反省点として考えざるを得なくなり ました。

 終演時には、出演者の皆さんから素敵な花束(渡邊先生と西田さんにはお菓子の贈物)を贈呈いただきました。今年は花束に、星の王子さまの「ひとつっきり のバラの花」が表現されていて感動ひとしおでした、皆さん有難うございました。…ただ、今年も少々、前に並んでまごまごする一瞬があり、ついこちらから手 を差し出してしまいました。…こんな場で、しかもいただく側からご提案するのも何ですが、.差し出す人に代表者を立て、.全員並んだら代表者が「有難うございました」と発言して差し出す、.他の人はそれに倣う、…次回試してみてはいかがでしょうか。
 その後、少々お時間をいただき、ピアノ渡邊奈央子先生の20年連続出演への御礼として、吉見個人より明るい黄色のゼラニウム鉢を贈呈しました。20年も の長きにわたり、いつもおおらかに楽しくお手伝いいただき感謝申し上げると共に、今後も変わらぬお付き合いをお願いさせていただきました。

 終演後ピアノ室にて、まずは出演者のみで、次に来客も含め全員で記念撮影をしました。合奏前に、休学中の門下生が数年ぶりに3歳になったお子さんを連れて来場、一緒に写ってもらいました。小さい人がひとりいるだけでずいぶん場が和やかになりますね。
 今年も写真係はチェロの西田さん、チェロの他、自前カメラに三脚までの大荷物ご持参で、この身動きのしづらい会場で一生懸命撮影して下さいました。合奏など西田さん出番の際の撮影は、初来場の吉見友人が精一杯頑張ってくれました。皆さんに感謝申し上げます。

 今年はリコーダーほか持ち込むものが多い本番当日でしたが、毎年ビデオ機材を提供して下さっている出演者の方は忘れずにご準備下さり、また今年も本番 中、大学生の出演者が出番の合間を縫ってビデオ撮影に頑張ってくれました、感謝申し上げます。その後、録画メディアはビデオ様(ディスク編集して下さる吉 見知人の通称)に渡り、既に編集中とご連絡をいただいております。皆さん、毎度本当に有難うございます。

 実は、本年夏前頃から、吉見の周囲の電機機器が次々異常をきたす事態が起きており(あまりに窮しているため吉見が怪電波を発しているのでは?というのが 親しい友人らの見解です)、一番困ったのは録音機が壊れた事でした。詳しい人に相談すると充電池の異常とのこと、すぐに充電池を取り寄せ取り替え、一瞬使 えたもののまたすぐ故障…ついに別の録音機の新調を余儀なくされました。新しい録音機は丈夫で定評のある機種、本番の録音もどうにか支障なく撮れたよう で、記念CDも無事作製できましたが、まだ録音レベル調整など吟味する時間がなく、音量について不問のままの配布となることをご了承下さい。

 本年は予定時間より10分程度の延長で終演を迎えることが出来ました。その後の片付けで、使ったリボンのテープの一部を丁寧に剥がして下さってあり、感謝します。
 今回の記念品は動物柄のゲストタオル(初)、キツネがチェロ、ウサギがヴァイオリンを演奏している絵柄、楽しく使っていただけるのではと思います。記念 舞台花鉢はガーデン・シクラメン、小ぶりながら凛とした表情で舞台を見守ってくれました。また恒例の舞台賑やかしのオマケ鉢は、2018年以来2度目のオ リヅルランの葉鉢、出演者に一鉢ずつ進呈させていただきました。毎年、皆さんが頑張ったことへの労いとなるよう、時間をかけて探し、店まで出向き、半年前 に株分けしその日まで育てたりと手をかけて準備した記念品たち、その場限りでなく、後日何か一言、飾っていますだけでもお伝えいただけると嬉しく思いま す。

 全体を通して今回何より残念に思ったのは、演奏中に感じた「こんなに素晴らしい雰囲気を作れる演奏会なのに、何故分かち合う人がこんなに少ないのだろ う」いうことでした。先ほどの文章にかぶりますが、演奏会はお客様に広く聴いていただくためのもの、自己向上を目指すだけのおさらい会とは実施の目的が全 く違います。ここ数年コロナに阻まれ、また参加人数の問題もあって自宅開催に甘んじていますが、このまま身内ばかりの中では躍進・革新は起こるはずもな く、可、不可は別として、やはりいろいろな意味で広がりのある大きな舞台で、本来の演奏会を開催、皆さんに経験させてあげたい、そう強く思った今回でし た。
 とは言え、本年も、自分にとって時間的・体力的にかなり厳しい本番でした。本番後の業務(各人への御礼ご挨拶、会場片付け、写真・CD作製…etc.)もなかなか厳しく、疲労による微熱も構わず休みなく働き続けて、どうにか今日に間に合わせた、というのが実状です。
 長年追い続けて来た理想と厳しい現実、皆さんとの温度差。今後の会のあれこれ、そして自分の境遇と身の処し方。今は悩ましいばかりで、次回がどうなるか何も見えておりません。

 とにかく、ヴァイオリンは難しい楽器です。経験を積み、やはり難しい楽器だったとわかったつもりの皆さんでもそれはまだまだ本当の難しさには至っていな い、学べば学ぶほど難しくなる究極の楽器です。それでもこの楽器に魅せられ、愛して、努力を続けられる人を、私は育てたいと思っています。今後の会の行く 末がどうあれ、ヴァイオリン自体は不滅です。これからも日々精一杯の努力を、共に頑張って参りましょう。

        2023年11月         ヴァイオリン  吉 見 由 子


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