◆'21.11.7 ヴァイオリン演奏会“奏々”sousou ∞ 2 開催の経緯と内容の記録



 出演者の皆さん、親御さん方、先日はお疲れ様でした。

 本年もコロナ禍にありながら、皆さんに目標を持って励んでいただくため、早々4月には秋の発表会開催の本格的な検討を開始しました。ただ、その時点の生 徒の参加見込人数はわずか6名(後日+1名)、ホール使用には人数制限があり(その後まもなく閉鎖)、今年もホールコンサートは無理と踏み、昨年同様、吉 見自宅を開放して皆さんに発表の場を提供する方向で動き始めました。期日は諸事情を考え合わせて定例の11月第一日曜日7日と定め、以降、コロナで悶々と する皆さんの心を音楽で少しでも明るくしようと、企画の数々や編曲等を押し進めました。やがて内容が充実してきたため、名称を昨年のぷち発表会から「ヴァ イオリン演奏会」と改めもしました。

 そうして会の概要が着実にかたまっていく一方、コロナの感染数は増え続け、ついに8月に感染爆発、緊急事態宣言延長も虚しくなかなか感染数がおさまら ず、2ヶ月余りにわたって本番実施についてヤキモキさせられたのは非常に大きなダメージでした。10月に入る頃やっと落ち着きが見え始め、これで練習日・ 本番開催を憚らなくてもよくなったと、ホッと胸をなで下ろしたものでした。

 練習日は、まずは9月26日(日)中級以上に希望者ソロ曲ピアノ合わせレッスン日を提供、3名の希望がありました。その後の全員向け練習日は、これまで 計4日費やすのが通例でしたが、今回参加者数が少ないため、午前中にソロ曲ピアノ合わせレッスン、午後に合奏練習とアンサンブルレッスンをはめこみ10月 17日(日)・24日(日)の2日態勢で、午前はピアノの先生、午後はチェロさんご協力のもと練習を行いました。両日どうにかやり切りましたが、主催側は 事前に会場の掃除や準備、当日はエキストラさん方のお食事の準備があったりもし、午前9時半〜午後5時過ぎまで休憩なし・みっちりの強行軍、超絶に大変な 思いをしておりました。

 本番当日午前中は10:20よりリハーサル、昼前には一旦解散で午後1:45全員集合、そして2時、予定通り、本番の開演にこぎ着けました。密・接触を 避ける対策として、今回も参加者1名につき来場者2名までの枠で座布団指定席(総勢21名)を設け、当日個々の名札を置きました。朝まで降った雨は昼前に は上がり午後には晴れて暖かくなり、本番通して、縁側のガラス戸を開け放して実施することができ、換気についての懸念が軽減、助かりました。しかし湿気で 楽器の音は狂い、吉見がヴァイオリンとヴィオラの2挺を頻繁に調弦していたのをご記憶の方もあるかと思います。もし皆さんの楽器にまで影響が及ぶほどの湿 気の変化があれば、会は相次ぐ必然的な調弦により延長の一途を辿ります。空調がなく外気変化と直結する日本家屋にての本番は、事前の掃除や準備の大変さも さることながら、皆さんが思われる以上に吉見の負担となっていること、お察しいただけたらと思います。
 
 アナウンスは通常は参加者のお母様にお願いしますが、今回は参加経験豊富な大人の参加者3名に分担してもらいました。後半担当の方には奏者かけもちのため手持ちマスクも準備し、それぞれ、こちらで作成したシナリオを読み上げて会の進行にご協力いただき感謝致します。

 そして始まったソロ、小学生2名・中学生1名・大人3名に、5月入学の3歳の新入生が加わり本年の正式参加者数は計7名、それに最近入学した親子の生徒 が飛び入り出演しました。伴奏ピアノはおなじみ渡邊奈央子先生(連続18回目)、いつも通り皆さんのソロに華を添えて下さり感謝申し上げます。ソロ二枠の 間には希望者によるアンサンブル3組、それぞれの編成で楽しいコーナーでした。が、弦楽器のアンサンブルは本来は超絶に難しいもの、ソロや合奏をこなせた 上での参加となるので、希望にあたってはまずそれなりの覚悟をもってほしいとも思いました。
 皆さんの今回の演奏内容は、ソロもアンサンブルも、練習してきた実力通りの演奏を頑張ってこなせていたと思います。うち何名かは本番でこれまでで一番い い演奏を披露できており、会への有意義な参加姿勢がうかがえて大変嬉しく思いました。ただ、一方で十分に準備を積まないまま場に臨んでしまった生徒もあり 非常に残念でした。

 今回本番前半の締めに、毎度合奏の助っ人としてお付き合い下さっている (通算17回目) アマチュアチェロ奏者の西田彰夫さんが、無伴奏ソロ曲ブーレを披露して下さいました。秋の午後に低音のチェロソロが響き、会がぐっと引き締まりました、心 より御礼申し上げます。この企画は、皆さんに、弦楽器にもっと興味を持ってもらうため私がリクエストしたものです。皆さんは、まだまだ弦楽器というものに 興味が薄いように感じます。弦楽器は情熱で追い求める楽器、憧れと手習いだけでは上達しません。優れたCDを四六時中聴き、クラシックのコンサートにも足 繁く通い、心と耳に弦楽器の音色の刺激を受けて下さい。そうすることで初めてこのヴァイオリンという楽器と深く向き合いたい気持ちが生まれ、練習にも力が 入ると思います。

 休憩後は、初の「本日のイベント」コーナー、当初は音楽知識系の内容をと考えておりましたが、6月に幼い新入生の正式参加が決定し、方向転換の必要性が 生じました。6月末、2ヶ月を要した合奏曲の編曲・楽譜制作がどうにか片付き、直後からイベント内容の検討に邁進しました。やがて、過去の合奏オブジェの 製作実績や今回の合奏曲からオリジナルの猫耳キャップ製作の企画案がかたまり、試作の数々、折り図の作成、古包装紙やヒモの準備、そして本番延長を見越し て途中まで折ること全員分…実に10月半ばまでかけて本当に少しずつ準備を調えました。…紙にまみれて、途中で幾度も、今度行うのは何の会だったかな?と 自問したりもしましたが、当日は3歳の子供も3歳の大人(?)も一緒になって楽しんでいただけた手応え、自作の猫耳キャップをかぶってみんなで演奏もで き、畳敷きの会場ならではの記憶に残る企画を提供できたこと、嬉しく思っております。

 アンダーソン特集については、当日のアナウンス通り、とにかく楽しい音楽でコロナの憂さを晴らしていただきたい気持ちで動かし始めました。そして、渾身 の編曲業務の渦中から徐々に、1.実は合奏5曲の前に吉見先生のソロが4曲もあり全9曲の企画だった、2.「アンダァ村のゆかいな住人たち」というテーマ の吉見先生創作のお話が付いていた、3.お散歩マップぬりえのオマケ付き…という、奏者にも秘密の、三段構えのサプライズが形作られてゆきました。お楽し みいただければ幸いでした。

 通常、私の演奏への感想を伝えてくれる生徒さんは少ないですが、今回は吉見ソロ演奏中、身体で拍子をとっているお子さんを何名も見かけ、楽しんでくれて いるのがその場で伝わり嬉しく思いました。巷の教室発表会では先生の演奏など聴かせていただけないところもありますが、私は、会の準備でどんなに忙しく大 変でもソロ1曲は心がけております。

 続く合奏に向けては、今回も演奏スペース確保のため客席の移動をしました。事前指示と確認をしたことで、混乱なく時間もかからず準備できたと思います。 イス・譜面台等のセッティングについては、合奏・アンサンブルとも、今回も奏者本人と吉見とで行いました。身動きしにくい会場、そして人との接触を極力避 ける感染対策のため致し方ないですが、これから演奏する奏者が直前にごそごそするのは演奏に集中できないため、今後はやはり、以前のように、親御さんや降 り番の奏者から専属の係を立てられないものかと思いました。

 そして、アンダーソンの合奏曲群、楽しい曲目の反面 本来の腕前より背伸びした内容で、案の定、練習時には音程合わせに苦悩し疲れ切って帰っていった人々(中級以上)もあったようですが、当日はピアノの渡邊 先生が各種打楽器でご参加下さり、吉見は終始ヴィオラとヴァイオリン、そしてお話までかけ持ちで綱渡り的に立ち回り、本番はみんなの努力が実を結んでとて も楽しく演奏できたと思います。合奏は個人の集合体、ひとりひとりがソロ以上に自分のパートを弾きこなし、他の人と合わせる余裕を持たない限りいい演奏に はなりません。今回いっぱいいっぱいだった人も、これからはもっと個人練習をしてから全体練習に臨んで、ただ並んで弾くだけではない、本当の意味の弦楽合 奏の作り方を経験してほしいです。

 本番の合奏について、ひとつ謎がありました。それは、アンダーソン企画の最終曲そりすべりを弾き終えたのち、奏者が起立しおじぎをしているのに、客席か ら拍手が1つも聞こえなかったことです。…おそらくこれは、場に集った我々が、演奏会の拍手とはどういうものか知らない素人集団で、急なピアノ合図による おじぎに驚いただけのことではと思います。が、本物の演奏会を作り上げようと頑張ってきた私からすれば、一番盛り上がるはずのコンサート終盤に拍手が鳴ら ずどれだけがっかりしたか…一瞬で気分が萎えてしまった事件でした。
 本物のコンサートでは、客席の拍手は、奏者が舞台に現れたそのときから、演奏への期待をこめて自然に起こるものです。また演奏後は、最後の音の響きがお さまった時点から賞賛の拍手が自ずと湧き上がり、その拍手は奏者が舞台袖に退くまで、あるいは演奏が素晴らしければその先も鳴り止みません。…ところが当 教室演奏会は、奏者がおじぎをしない限り拍手は鳴らない、ましてや、おじぎをしたのに客席から反応がない…前代未聞です。まだ楽器経験の浅い人が多いので 致し方ありませんが、ヴァイオリンのように専門性の高い楽器を習いながら、クラシックの演奏会に行ったことがない、拍手の仕方も知らないというのは少々不 勉強と思われます。いい演奏会とは、精一杯の演奏をする人とそれを聴く人のコミュニケーションによって作られるものです。参加者も親御さん方も、今後のた めに是非心に留め置いていただきたいです。

 そしてどうにか最終曲のかえる、新入生3歳の生徒もヴァイオリンを持って全員で演奏、会は滞りなく終演を迎えました。最後に、参加者の皆さんから素敵な 花束(渡邊先生と西田さんにはお菓子?)を頂戴しました。やり切った本番の後いただくお花は何より嬉しいです。その後大切に飾らせていただきました、本当 に有難うございました。

 終演後すぐ、ピアノ室にて、まずは出演者全員、そして次に集った全員で記念撮影をしました。本年写真撮影は、チェロの西田さんが自前カメラ持参で受け 持って下さいました。こだわりのマニュアル撮影で、光源の足りない会場でもきれいな写真に仕上がっていたと思います。写真の補助とビデオ撮影は、参加者の お父様がお手伝い下さいました、お二方に御礼申し上げます。録音は吉見が担当しましたが、遠くのアナウンスを拾うために録音レベルを高めにしたところ、合 奏の大音量部分に音割れクリッピング(ビリビリ音)が発生しており大変遺憾でした。私が録音専属であれば合奏リハ時にレベル調整ができこうしたことは起こ らないのですが、当日の吉見は先生で現場監督で奏者…どうにも手が回りません。後日、CD作成段階で数日かけて必死の雑音除去作業をしましたが、無事な部 分の音質が劣化してしまうため修正は断念、配布の記念CDはそのまま収録させていただきました、どうぞご容赦下さいませ。

 解散前、参加者1人ずつに記念品と舞台花鉢の贈呈をしました。今回、記念品、舞台花鉢、そして休憩時のおやつ・飲物については、事前アンケートで「あっ たほうがよい」が多数だったため、すべてご準備させていただきました。記念品は本番1ヶ月前頃までに厳選、コロナの動向とにらめっこ、会の実施の見通しが 付き次第取り寄せ、リボン、シールを付けて配布準備をしました。今回のこだわりヴァイオリングッズは初の置き/掛け時計、嬉しそうに受け取る皆さんの笑顔 が印象的でした。本年の舞台花鉢は小ぶりながら華やかなポインセチア、折しもソロ一番奏者の曲目ジングルベルとマッチしたのも赴き深く、本番中暗い会場を 明るくしてくれました。近隣の小さなお店でなかなか鉢数が揃わないところ、今回は幸運でした。このほか、今年も吉見が春に株分けした観葉植物(ジュウニノ マキ)をオマケに一鉢ずつ進呈させていただきました。
 なお、休憩時配布のおやつについては、昨年「聴きに来た兄弟にすっかり食べられてしまった」事件を耳にしたため、今回は来場予定のお子さんにあらかじめ 希望(別会費)を取ったところ、正式参加者7名分の予定が12名分必要となり、本番前の買い出しや数を揃えての袋詰め(コロナ対策) が予想以上に大変になってしまったこと、今年の感想として記しておきます。

 この門下生演奏会にあたって私は、会そのものを提供、会場を提供、数々の企画を、編曲を、レッスンを、練習日を、各種記念品の準備、そしてソロ演奏に合 奏の演奏を提供、本番を終えても記念CDに記念写真の準備…とにかく皆さんに奉仕しまくって参りました。本当に大変ですが、こうまでしてこの会を催すの は、ひとえに、皆さんにヴァイオリンの本当の魅力を伝え、これからもますます理想高く頑張ってほしいためです。本番に向けて頑張ってきた今こそ次のステッ プに向けて一番伸びるときです。吉見先生はいつも本気で皆さんと向き合っています。これからも一緒に、これまで以上に頑張って、この魅力的なヴァイオリン の学習を続けて参りましょう。

        2021年11月         ヴァイオリン  吉 見 由 子



●気付いたこと、お知らせしておくこと、など。

*いくつかの演目で、マスクをはずすのを忘れて演奏した人が数名ありました。慣れないこと
 で仕方ありませんが、マスクで演奏するのは息苦しいですし、せっかく写真・ビデオにうつ
 るのに残念でした。早くマスクなしで暮らせる日が来てほしいものですね。

*花束等のお渡し役に抜擢された人々、ちゃんと差し出してもらえたらと思います。奪い取る
 のはいただく側としてさすがに戸惑います。(毎年のことです。)

*練習日や本番当日のチェロさんの駅までの送迎を、参加者の1人の方が何度も受け持って下
 さり大変助かりました、ありがとうございました。

*会場が暗くて譜面が見えず本番で間違えたとの報告がありました。暗くて申し訳なかったで
 すが、他に良い会場もなく、手がないため致し方なく吉見宅を提供させていただいておりま
 す。多少の不便はご容赦いただきたくお願い致します。
 …それより、譜面頼みはそれ自体準備不足ですので、本番には暗譜をして臨んで下さい。

*以下、吉見宅が会場に向かない点、提供に苦労している点、参考に箇条書きしておきます。

・家屋が暗く、譜面や書面を見づらい。好天に恵まれ今年はましだったが、天気が悪いとさら
 に暗くなるため、心配は尽きない。
・暗さは、写真撮影にも影響。
・エアコンがない。寒い暑い心配のみならず、雨天が関わると調弦の心配も大きい。
・風が吹くとガラス戸が大きな音で鳴り、演奏の邪魔となる、録音にも影響してしまう。
・ピアノ室の床がフカフカで立奏時バランスが取りにくいため、下に板を入れリボンで囲って
 テープ留めする対処をしているが、今回そのリボンが剥がれ、奏者の足などに何度も引っか
 かり大変邪魔に感じた。
・舞台となるピアノ室が1段低いのは、やはり本番には不向き。写真撮影的にも見えない奏者
 ができてしまう。
・合奏スペースとしてそもそも狭い。練習では部屋を横並びで使えるが、聴衆を入れる場合は
 現行のように縦並びとするしかなく、各部屋それぞれに段差があったり天井や照明が低く弓が
 ぶつかるため、合奏等のプルト設定に非常に困る。中央の部屋は子供しか立奏できない。現在
 合奏時、ヴィオラ・チェロはヴァイオリン群の後ろで一段低い状態だが、ヴァイオリンの音が
 聴こえず演奏しづらく、これでは演奏のバランスを作りようがない。部屋に音の反響がないた
 め、お互いの音が聞き取りづらい。
・奥の和室2室には柱があり、舞台を見るのにデッドスペースが多く、指定席の設定に悩む。
・ピアノ室の絨毯が、人が乗るとずれて波打ってしまうため、気付く度に修正が必要。
・ピアニストからソロ奏者が見えない。→バックミラーの設置。
・ピアニストが、客席から見て完全に背面になってしまう。伴奏なので許していただいている
 が、アンサンブルなどでピアノも奏者となると演奏しづらいのはもちろん、そもそも失礼。
・マイク設備がない。マスクを通して人に向けて発声するのは思うより大変。
・公共交通機関の便の悪いこの地は、駅までの送迎を考えなければならないため、エキストラ
 さんをお呼びしにくい。
・古くてぼろくて汚い家屋全般の大掃除、そして庭全般をどうにか見られる状態にするのは、
 毎度本当に大変です〜。
 
…これだけマイナス要因があると、自宅開放の準備だけでかなりの負担です。
 どこかに良い会場をご存知ないでしょうか。心当たりのある方は是非お知らせ願います。


★ 皆さんのご意見 ご感想もお待ちしております。



 →発表会もくじ

 →吉見由子ヴァイオリン教室,Violin School

 →初めのページ