◆'20.11.1 ぷち発表会 “奏々”sousou∞  開催の経緯と内容の記録



  出演者の皆さん、関係者の皆様、先日はお疲れ様でした、お手伝い有難うございました。

 今年、世界はコロナという思いがけない災難に見舞われ、当教室も3〜5月の間は数週を除いて休講の憂き目に遭い、第25回の節目となる“小さなヴァイオ リンコンサート”も、ホール閉鎖で開催断念を余儀なくされました。教室再開後の6月、皆さんの奏法の崩れをつぶさに感じ、ここは啓発のため何らかの演奏の 機会が必要と考え、吉見自宅を会場とする“簡易発表会”の計画を進めることとしました。当初は「個人ソロと合奏(ピアノ伴奏)数曲のみ」の本当に小さな会 の予定でしたが、こんな今こそ皆さんに音楽で元気になってほしい気持ちから、吉見の一存で馴染みのエキストラさん方の友情出演協力を取り付け、3つの特別 プロジェクトを内々に着々と進めました。それが9月半ばになってエキストラさん1名のまさかの欠場で丸々壊滅状態となり、急きょ曲目や演奏パートの変更 (対応いただいた方々感謝します)、その他涙ぐましい立て直し作業を重ねどうにか本番にこぎ着けた事情は周知の通りです。

 本番に向けての練習日はこれまで合奏2回・ピアノ合わせ2回態勢でしたが、今回人の集まりが憚られる風潮の中での簡易発表会につき、合奏については不本 意ながら本番一発勝負とし、本番1週前10月25日に中級以上希望者ピアノ合わせレッスン日を1回のみ設け、ピアノの渡邊奈央子先生(連続17回目)にお 願いしました。さすがにこの日は対象の中級以上6名全員から受講希望が出て、予定の午前中には収まらない事態となりました。
 一方この日の午後はもともとエキストラさん方とプロジェクト関係の合わせの予定で、おなじみアマチュア・チェロの西田彰夫さん(通算16回目)に名古屋 から駆け付けていただいたり、欠場のエキストラさん代理を任命した生徒1名にも招集をかける必要性が生じ、この日の時間割は朝9時半〜午後4時半まで分刻 みの超大忙しとなりました。こんな状況下合わせがやれただけでも有り難かったですが、内容から振り返ると、この1日だけでは、特に難度の高い曲を演奏する 上級者らには全くもって不十分で、今後の会にやはり合わせの充実は、真っ先に考慮すべき点のひとつと思いました。

 本番当日は午前10時半から順にソロの1回通りピアノ合わせで一旦解散、プロジェクトメンバーは昼食を済ませ手短にリハ、午後1:45全員集合、予定通り2時本番を開演しました。
 参加者数は8名(小学生4名、高校生1名、大人3名)、欠席者もなく元気に集まれて何よりでした。接触を避ける対策として、来場者については参加者1名 につき同伴2名までという枠を設けて座布団指定席、事前に図で通知し当日は名札を置きました。本番となると、会場準備は例年の練習時よりずっと大変で、不 向きな事態を少しでも解決するために諸事奔走、必死でスペースもあけましたが、総勢21名がソーシャルディスタンスを取れるほど広い会場ではなく、主催者 としては常に何かあったら…の大きな緊張を抱いたままの実施となり大変きつかったです。手指の除菌ジェルやエアレスキュー(空気清浄芳香剤)など準備もし ましたが、本番当日天気が良く、1日中縁側のガラス戸を開け放すことができ、3密のうちひとつでも回避して実施できたことは実に運がよかったと思います。

 生徒さん同士なるべく会話を避けて交流していただくため、また今回新入生もいることから、事前に「ヴァイオリンについての100字コメント」を提出して もらって当日プリントにして全員に配布、原稿を会場に掲示させていただきました。ある生徒さんから、作文を書くことでこれまでを振り返るきっかけを与えて もらってよかったとご感想が入っています。また、このプリントで、今回初めて毎度ご協力下さっているピアノ渡邊先生・チェロ西田さんお二人のプロフィール を皆さんにご紹介でき良かったです。

 そして始まった本番ソロ、マスクをはずして座布団席から立つのは初めてのことでも、会場はなじみの場所、お客さんも少なく身内ばかりで、皆さんさほど緊張しなかったように見受けられ、それぞれ日頃の通りの演奏ができていたように思います。こ れはもちろん悪いことではありませんが、欲を言えば、もっと本番!と奮い立ってほしかった気がします。いつもの2倍練習したとか、何か1つでよいので日頃 の自分を超えたと確信できる成果を持って本番に臨んだなら、日頃の自分を超える演奏ができたかもしれません。この楽器は受け身では上達しません。自分から 工夫・挑戦することで徐々に良い音を探り出していく楽器です。発表会開催の一番の目的はそのきっかけを促すため、今後に大いに期待しています。

 プロジェクトαは、当初エキストラさんのヴァイオリン・ソロ演奏を鑑賞するコーナーでしたが立ち消えになってしまったため、苦肉の策でヴァイオリンにつ いての3択クイズを捻りだしました。その場で肉声で読み上げたかったのですが、マスクでの苦しい発声、午前中ピアノ合わせからの酷使で次のプロジェクトγ まで喉が持たないのを懸念して、事前に録音CDを作っておいて再生しました。皆さんが予想以上に真剣にクイズに取り組んで下さって嬉しかったですが、ほとんどプリントにくぎ付けで顔が上がらないため、リアル吉見先生の舞台パフォーマンス(?)はやや遠慮がちとなりました。

 プロジェクトβは、当初、変更前のαの曲目と関連づけてプロジェクトメンバー4名で和やかに有名ヴァイオリン二重協奏曲をアンサンブル演奏する予定でし たが、これも急きょピアノトリオ「シューベルトのセレナーデ」に差し替えとなりました。叙情的超有名曲を皆さんに聴いていただけたのはよかったですが、企 画者としてはプロジェクト感を失いやや悔しさが残りました。この曲の歌詞を書いた詩人レルシュタープの「ベートーヴェンへの作曲依頼説」を、ベートーヴェ ン・イヤー(生誕250年)である本年にこじつけて曲目解説の録音でご紹介できたのがせめてもの救いでした。

 休憩時のおやつ・飲物については、果たして集団での飲食が許されるものかどうかずっとやきもき、本番数日前から県下のコロナ発生数が跳ね上がり配布の中 止も検討しましたが、近隣の市での蔓延は見られなかったため予定通り配布としました。ただしいつもの練習時のように菓子大皿をまわすのは控え、参加者の人 数分だけ袋詰めにしました。本番前日にテーブルや手指をしつこいほどに消毒の上、マスク・手袋でお菓子を袋詰めする仕事は、過去の本番準備の中で最も異例 で最も気を遣った一コマでした。
 20分の休憩の間に、本来であれば25周年記念であった今回、第1回から昨年まで24回分のプログラムとチラシのファイルを閲覧していただきました。ま た会場には、同じく24枚の発表会記念集合写真を展示、古株の方は懐かしく、新しい方は以前の会の在りように興味を持ってご覧になっていただけたように見 受けられました。

 準備で休憩もろくに取れないままなだれ込んだ本番後半、何を行うか秘密裡に始めたプロジェクトγは実は吉見の「虫」をテーマとするソロコーナー、奏者不 在でできなくなってしまった2曲も大慌てで編曲し代理を立ててどうにか予定の全曲を演奏しました。初めは何が始まったのか面食らっていた皆さんも徐々に吉 見の提供する虫ワールドにはまって下さり、演奏側・聴く側とも楽しい時間が過ごせました。世にはさまざまな虫が存在し、それが音楽の世界にも生き生きと表 現されていること、音楽はありとあらゆる世界につながっていると再認識してヴァイオリンの可能性を感じていただきたい、そんな願いを込めたプロジェクトで した。…ひとつだけ、演奏中のお子様方のつぶやき、そういう言葉が出ること自体は聴いていてくれた証で嬉しいことなのですが、演奏中の発言はみんなが聴い ているのを邪魔するのでよくないということを、こんな機会こそ周りの人がその都度諭していただけたらと思いました。

 続く合奏に向けては奏者の演奏スペース確保のため聴いている方々にも席の移動が必要で、指定席考案の時点から、なるべく効率の良い席移動とその指示方方 には頭を捻りました。結局一番事情を知る自分がいち早く駆け付けるのが適当と考え、前のプロジェクトを終えて楽器を放り投げるように置いて舞い戻り指示さ せていただきました。また、合奏のセッティングは今回、会場見取り図・プルト図を提示し個々に事前に口頭で説明しておくことで出演者各自で行っていただき ました。双方時間のロスもなく滞りなく進みました、感謝します。
 いわゆる「係」をお願いしたのは今回アナウンスのお母様1名のみ、当日になってお渡しした原稿をマスク越しで読むのは大変だったと思います、申し訳あり ませんでした、ご協力ありがとうございました。これまでのように生徒係・セッティング係など個々の係に向けて事前に詳細文書を作らずに済んだのは助かりま したが、一方、すべてを把握しているのが吉見のみで各コーナー前の準備が次々めまぐるしく、演奏・進行とのかけもちが非常に大変でした。今後こうしたスタ イルの会を行う場合は改めていくべきと思った点のひとつです。

 合奏のヴィオラは欠場のエキストラさんに代わって急きょ吉見が持ち替えて担当、何とかお役目は果たせたかと思います。1曲目の上級合奏は曲の冒頭、打ち 合わせたメトロノームテンポよりずっと速く、一方2曲目の中級合奏は打ち合わせテンポよりずっと遅いテンポで始まってしまい、終始あっぷあっぷガタガタが 続いたりもしましたが、合わせ練習がなかった今回は致し方なかったと思います。日頃は「弦楽合奏」であるため降り番だったピアノの渡邊先生にも今回は2曲目からご参加いただき、全員合奏かえるではトイピアノまで持参してご披露いただき、みんなで楽しく合奏できました。

 終演時思いがけず、門下の皆さんから素敵な花束をいただいてしまいました。本番後の労いの花束ほど嬉しいものはありません、皆さんありがとうございました。ピアノの渡邊先生、チェロの西田さんにも何かお贈り下さったようで、代わって御礼申し上げます。

 今回初めての会で、舞台転換や準備等にかかる時間の先読みがきかず、15分ほどの本番時間延長が起きてしまいました。準備時間の間もたせと、楽曲につい ての知識を深めていただく(皆さんが日頃おろそかにしがちなので)ために、合奏など各曲についての曲目解説の録音を再生しましたが、これが時間延長につな がってしまった一因であることは反省点です。しかしリアルタイムで吉見が状況に合わせて解説を行うことは、ひとり舞台のような今回の会では無理なことで、 今後の改善が期待されます。

 終演後ピアノ室にて、まずは出演者全員、そしてお集まりの皆さん全員で、記念撮影をしました。毎度並ぶのに時間がかかるので、念のため事前に並び順を決めておいたのは時間短縮になりました。
 最後にくじ引きで、舞台に飾ったオマケ鉢:君子蘭の葉鉢を、吉見より皆さんに進呈しました。今年もホールの舞台に花鉢の彩りに飾ることを念頭に春に株分 けしておいたもの、記念品も舞台花鉢の配布もない今回、いつものオマケ鉢だけでも差し上げられてよかったです。今回会場が暗いので少しでも明るくと思い折 紙の花(古い花束包装紙にて作製)を付けたのはいつもの吉見のアイディアでした。…春に本物の花を付けてくれるとよいのですが。

 本番の写真撮影は出演者のお父様が請け負って下さいました。少々撮影ミスも起きましたが本番時間内にカバーでき問題はありませんでした。(昔々フィルム の時代は後日になってどれだけ慌てたことか…冷や汗の記憶が蘇りました。)ビデオ撮影は出演者家族/元門下生くんが担当、ビデオの枠を超えてかいがいしく お手伝いをしてくれました。また毎年、後日、陰ながらビデオ編集業務を行って下さっている吉見の知人にもこの場を借りて、皆さんに感謝申し上げます。録音 は吉見が担当、滞りなく配布の記念CD編集が行えました。
 また、10月25日合わせの日、および本番当日のエキストラさんの駅までの送迎は、関係者お二方が受け持って下さり大変助かりました、ありがとうござい ました。送迎はこれまで吉見の家の者が行って来ましたが、諸事情で徐々に難しくなってきており、近年、練習等で自宅を開放するにあたっての懸念事項のひとつとなっています。

 今回集めさせていただいた会費は7月配布のぷち発表会“奏々”の開催通知書類に記載した内訳内容ですべて消化されました、ご報告させていただきます。初 の会、手探りにつき、事前に見積もるべき経費をいくつか忘れていたりもしました(吉見の方で賄いました)ので、次回もし同様の会を開催する場合も、予算・ 内容については新しく立て直すことになるかと思います、ご承知下さい。なお、後付けである今回の3つのプロジェクトに関する演奏・内容についてはすべて関 係者のボランティアであり、会費から謝礼等一切いただいておりません。関係者の気持ちを酌んでいただきたく、この機にお伝えまでさせていただきます。

 次回の開催は、完全に未知数です。来年コロナが落ち着くのかどうか、ホールが解禁となっているかどうか、参加生徒数はどうか…。次回もこうしたぷち発表 会とするのか、例年通りのホール発表会に戻すのか、またそれが人数・予算的に可能かどうか…現状では全く予測不可能です。随時様子をうかがって、追ってご 相談させていただきます。
 ともあれ今回、こんな状況下大変ではありましたが、どうにか皆さんに発表の場を提供できたこと、全員で楽しく集まって演奏できたこと、何よりでした。次回の開催を楽しみに、これからも頑張って学習を続けて参りましょう。

   2020年11月   ヴァイオリン  吉 見 由 子

    ★ 参加の皆さんのご意見・ご感想をお待ちしております。



●会場準備の記録(次回の参考に…詳細)

★日本家屋は暗く、本番には不向き。譜面・書面が見づらい、写真撮影にも影響。→スポットライト等を設置し、今回は天気が良かったので幸いしたが、天気が悪いとさらに暗いためどうなるか?
★舞台となるピアノ室が1段低いのは、本番には不向き。2室には柱があり、舞台を見るのにデッドスペースが多く、指定席の設定に悩む。
★段差があり、各部屋それぞれ天井や照明が低く弓がぶつかるため、ソロの演奏位置・プルト設定に悩む。
★エアコンがなく、当日の天候に大きく左右される。奏者が暑い寒いのみならず、木造家屋は湿気が如実に調弦を左右する(今回30分おきや直前の調弦を心がけた理由)、風が吹くとガラス戸(サッシでない)が大きな音で鳴り演奏や録音に影響してしまう。
★ピアノ室の絨毯が (人が乗ると)ずれる→事前3度にわたり裏技応急処置を繰りかえして調整。
★ピアノ室の床がフカフカで立奏時バランスが取りにくい→下に板を入れリボンで囲う対処。
★ソロ立ち位置が完全にピアニストの背後になり奏者が見えない→バックミラーの設置。
★音の反響がなく、お互いの音が聞き取りづらい、演奏の録音がナマ音過ぎる。
★合奏スペースとしては狭く、段差もあって、奏者が演奏しにくい。練習ならば会場を横に使えるが、聴衆を入れる場合は縦並びとするしかなく、写真撮影的にも見えない奏者ができてしまい、不向き。
★10/21調律済みのピアノのペダルがギコギコ鳴り始める→事前と本番直前の2度にわたりピアノの蓋(重い!)をこじあけ、油をさして対処。
★マイク設備がない。進行役が大変。
★古くてぼろく汚い家屋全般の掃除は超絶に大変。庭全般をどうにか見られる状態にするのも大変。

 …今思い出せるのは、以上。



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 →吉見由子ヴァイオリン教室,Violin School

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