2004年4月18日作成 2004年5月2日最終更新
このサイトは個人が余暇活動として開設していますが、専門的な内容を扱っていますから、情報の正確さには特に注意しています。「情報の正確さ」といっても、通常は内容そのものの正確さを吟味するのは難しく、多くの場合は「情報の発信者の信頼性」を吟味することになります。従って、当サイトでは、インターネット上での情報の発信者が匿名であるか実名であるかに着目して重視します。
一方、私は、互いに得るところがある皆さんとの交流を大切にしたいと考えています。ここで問題になるのは、インターネットにおいて発言する個人はしばしば匿名であるということです。匿名とはいっても、固定した仮名を用いて継続的に発言している人は、日頃の発言姿勢や発言の蓄積に応じて、人格として尊重されるべきだと思います。
匿名者の発言を情報としては信頼しないという姿勢と、人格としては尊重するという姿勢、この二つの姿勢は、ときとして矛盾しているようにも見え、匿名のかたに不快感を与えるかもしれません。また、「匿名であっても人格として尊重する」とは具体的にどういうことなのか、明らかにしておく必要があります。このページは、ネット上での匿名と実名に関する私の見解を整理して訪問者のみなさんにお伝えすることを目的に作成しました。なお、私が匿名と実名を判別する基準は blog版の記事 に書いています。
仮名を名乗る事情は人によってさまざまですから、実名のほうが価値があるとか実名を名乗るべきであると一律に主張する気持ちはまったくありません。ただ、ネット空間という匿名と実名が混在する場では、ときおり難しい問題が起こります。それらの問題について私は、基本的に「礼儀」や「一般常識」を判断基準にしたいと考えます。その上で、「匿名のかたに対する批判も反論もしない」という方針をとります。この方針は、「どんな状況下でも匿名の人と対等に議論できる自信はない」という私自身の資質に基づくものです。詳しくは blog版の記事 に書いています。
このサイトのblog版 技術系サラリーマンの交差点 では、匿名でのコメント書き込みができます。blog版では、サラリーマンがネット上で専門情報の発信を通じて自己表現するための方法論を提案していますから、特に、そのようなサイトを運用しているかたからの書き込みは歓迎します。また、私はコンピュータのことにあまり詳しくないので、さまざまな技術情報を提供してくださるかたがたにもたいへん感謝しています。ただし、匿名・実名にかかわらず、私以外への批判コメントは禁止しています。
私への批判コメントについては、書き込み者が匿名の場合は、内容が即座に受け入れられないものであっても反論はしません。即座に受け入れられるもの(単純ミスの指摘など)は、謝意を述べて訂正します。なお、「批判」のように見える御意見も、立場の相違等が十分にすり合わされていないために出てきた一時的なネガティブな評価である場合が少なくありません。このようなコメントに反論の必要はありませんし、「反論しない」対象ではありません。新しい記事で立場の相違に関する整理を試みる場合が多いと思います。
コメントがあまりに非生産的・攻撃的な内容の場合(批判でなく中傷と呼ぶべきもの)は削除すると思います。そんなことはまだ起こったことがありませんが、起こった場合、書き込み者が開示している自らに関する情報は重要な判断材料になります。発言内容の背景を知ることによって、一見中傷のように見える発言も深く内容が理解され、生産的な批判となる場合があるからです。批判と中傷の判別に関しては、発言者が匿名であるか実名であるかよりもむしろ、発言者の思想や背景がどれだけ明らかにされているかが重要だと考えます。
トラックバックについてはコメントよりも判断基準はゆるいですが、削除の対象になる場合もありえます。
基本的に、実名を明らかにしている私へのメールは実名でしていただくのが礼儀だと思います。特に、専門分野に関する質問など、私になんらかの頼みごとをする内容の場合は、所属も明らかにして自己紹介していただきたいと思います。
ただ、情報提供や、サイトに対する好意的な感想を述べるだけのメールの場合は、匿名でもそれほど不快には感じません。(もちろん名乗っていただいたほうがうれしいですが。)また、私のほうから匿名サイトの開設者にメールを差し上げる場合があります。それに対する返信においては、当然匿名で返していただいて結構です。
匿名で内容の充実したサイトは多数存在します。私は匿名のかたのサイトであっても、リンクや引用をさせていただいています。ただし、「匿名のサイトXでこう書かれているから、○○である」というように、情報内容そのものを正しいと認めて依拠することはありません。私が匿名のかたのサイトを引用するのは、主に次の二つの場合です。
一つは、「考えるヒント」や「必要な情報を発見する手がかり」として役立った場合です。情報から結論を導く過程を示す情報、また、情報の所在を整理した情報は、提供者が匿名であっても、非常にありがたいものです。私は、引用自体は発信者が明示されているサイトからしか行いませんが、手がかりを与えてくれたページへのリンクも示して敬意を表明したいと思います。
二つめは、ネット上で表現されている個人の人格・人柄そのものに情報的価値を見出して紹介する場合です。たとえ匿名であっても、継続的に表現されている人格には、必ず真実が含まれているものと考えます。
なお、トラックバック・メール・他サイトで書かれた内容に関しても、コメントと同様、匿名の発言者への批判と反論はしません。
現状では、専門情報の発信とはいえ、実名で行うのはけっこう心理的ハードルが高いものです。それを乗り越えて実名でネット上に現れているかたは、相応の覚悟をしているものと思います。私自身もそうです。このような覚悟が評価される機会は少ないですが、私は意識的に評価していきたいと考えます。
実名のかたからいただく御批判に対しては、真摯に対応していくつもりです。ただ、「批判と中傷」の判別に当たっては、上に書いたとおり、実名以外に自らの考えの背景がわかる情報をどれだけ明らかにしているかが重要になります。
専門的な一次情報は、論文や特許として公開されるのが基本です。従って、匿名であろうと実名であろうと、個人のサイトでできることは、既に公開されている情報の引用に限定されるものと思います。
それでは、実名サイトの情報的価値は匿名サイトと違わないかといえば、そうではありません。匿名サイトで引用されている情報内容は、必ず元の情報までアクセスして確認し、そこからの引用という形にするしかありませんが、実名サイトの情報は、それ自体として利用価値があります。
大きな差が出るのは、オフラインの情報源から提供されている場合です。出版物からの引用に関して、匿名サイトの記述をそのまま使用することはできませんが、実名サイトであれば再引用可能です。私も出版物から引用して書いたことが多々あります。これらについては、元の出版物を入手できなくても、「津村によれば書籍Aには○○と書かれており・・・」と引用していただくことができます。その際、転記ミス等の責任は私が負うことになります。
ただし、紙媒体で提供される情報とは異なり、インターネット上の情報には改変・消滅のおそれがあることに御注意ください。しかし、たとえサイトを閉じることがあっても(閉じる予定はありませんが)、私がここで「述べた」という事実は永久に消えないものと考えています。
以上の考えをまとめるに当たっては、blog版で書いた下記の記事群や、それらに対していただいたコメントが大きく影響しています。興味があるかたは読んでみてください。
1.私のサイト内で、コンピュータに関することは初心者の立場で書いています。匿名のサイトからの引用や匿名のかたによる助言を多数含んでいます。
2004/4/25 「注」の項目を追加しました。
2004/5/2 「匿名のかたへの批判も反論もしない方針」を明らかにしました。「批判と中傷の判別」について整理しました。
管理者:津村ゆかり yukari.tsumura@nifty.com