購入記(納車)


1999年2月6日(土)
ついに納車の日がやってきた。
数日前にアルプスから完成したことを知らせる手紙が来て、この日に取りにいくことを
連絡しておいた。

アルプスの納車は遠隔地の場合、宅配便で配送してもらうという手もある。
私の場合、通勤経路の途中にアルプスに近い神田駅があるため、初輪行(といっても自宅まで
持ち帰るだけなのだが)を兼ねて取りに行くことにした。

店に入ると、私のオーダーしたパスハンターがフレームを養生されて、オーナーを待つ他の
オーダー車とともに並べられている。  
目印はもちろんクロスドシートステーのやつだ。
何となく誇らしい気分。

残金を精算して引き渡し。 自転車とは別にA4サイズほどのビニール袋いっぱいに入った
パーツ類の取り扱い説明書を渡される。 これらは家に帰ってゆっくり見ることにして
まずは自転車が仕様どおりか確認する。
クロスドシートステーも奇麗に仕上がっている。 ワインレッドもなかなかいい色だ。
ペダルがカタログ写真と違うパーツとなっていた。 三ヶ島のシルバンライト。トウクリップ・ストラップ付き。

確認を終え、『アルプス式』の分解手順を教えてもらう。
輪行目的に作られていることもあるが、カタログでは気が付かなかった細かいところに工夫が
こらされていることを発見する。
泥よけのステーは工具を使わずワンタッチで取り外しができるし、リヤディレイラーのアウターも
折れないように取り外しができようになっている。
これは分解後、写真のようにサドルとリアエンド2個所の3点で立つ仕組みとなっているので、
ディレイラーのアウターをそのままにしておくと折れて破損してしまうためである。



マイクロアジャスト付きのヘッドを手で外すのは意外だった。
ヘッドスパナを使うものと思っていたのだが、手できつく締める程度で充分だし、
そのためのマイクロアジャストなのだと説明された。
本当に6mmのアーレンキ1本だけで分解と組み立てができることに驚く。
そして何より軽い。フロントキャリアの分だけやや重くなっているが12kgくらいか。

アルプスの輪行袋にも工夫がこらされている。
私のはレギュラータイプだが袋の天の部分に切り込みがあって、ちょっとした持ち運びのときには
そこから手を入れてダウンチューブを持って移動できるようになっている。
最近の狭い自動改札を通る時などに便利。
この輪行袋は袋全体で重さを支えるのではなく、ベルトが輪行袋の中で自転車の下を通って重さを支えており
これが袋の外に出て肩掛けになる仕組みである。
袋は単に外装といったところか。

アルプスの輪行袋には超軽量タイプもあり、薄いナイロンでどうやって重さを支えるのか
不思議だったのだが、レギュラータイプの構造を知ってなぞは解けた。

分解はやってもらうと10分もかからずあっという間に終わるのだが、自分でやると慣れないせいも
あってもたついてしまう。
コツはサドル後端とリアエンドを結ぶ線より外にタイヤが出ないようにすることと、
タイヤサイドをクランクに乗せるようにすることである。

もたもたと輪行袋に真新しい相棒を詰め込んで、帰り支度は完了。

他のパーツ類もついでに購入した。
サイクルコンピュータと用心棒、それにスタンド。
サイクルコンピュータはスピードや走行距離、平均スピードなどが表示されるのでとても便利。
用心俸はリヤホイール取り外し後のエンドが何かの拍子につぶれてしまうのを防ぐもの。
スタンドは整備用のものを購入。


そんなこんなで輪行袋と大きな紙袋を下げ、お礼を言ってから店を出る。
まだ相棒というよりは単なる荷物といったところだが、落とさないようにぶつけないように神田駅へ。
昔は輪行の際、手回り品キップを買う必要があったが、今は必要なし。 便利になったものだ。
東京駅で東海道線に乗り換える。
最後尾席を確保し、車掌室のドアに輪行袋を固定して自宅の最寄り駅まで小一時間。

アルプス式の分解では、自転車をほぼ車輪の大きさ程度に小さくすることができる。
これくらい小さくなると電車の中でも場所をとらずにすむ。
この大きさに比べると、海外旅行用のスーツケースのほうがはるかに大きく場所もとる。
にもかかわらず、こうした旅行者に対しては満員電車の乗客も寛大だったりするのが不思議だ。
輪行袋を満員電車に持ち込んだら結構イヤな顔をされそう。
賢明なサイクリストはそんなことを絶対しないようにしましょう。

これからの長いつきあいと、安全祈願に一人缶ビールで乾杯し、東京駅を後にした。

AsternAhead


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