柄沢山〜ナルミズ沢〜東黒沢
二日目

ニ日日 3月25日

コースタイム
幕営地7:55〜檜倉山8:54〜大烏帽子山10:57〜大石沢出合11:45〜ウツボギ沢出合11:55/12:30〜丸山乗越13:15/13:35〜丸山14:17〜1482mP(宵の越山)の肩15:00〜東黒沢出合〜白毛門沢出合16:01〜土合橋バス停16:45



心配していた風に吹かれることもなく、静かで穏やかな朝を迎えることができた。
天気も予報通り無風で文句なしの快晴だ。
朝食は昨日の残りを温めなおし、余った焼肉を焼く。
朝っぱらから重い食事だが、現金なもので今日一日の好天が約束されたのが分かると食欲が沸いてさらに餅入りラーメンを平らげる。

朝早く出発しても雪が硬く苦労するだろうということで前日打ち合わせしたとおり8:00の出発。
稜線は昨日の風がうそのようにぴたりとやんでいる。
予想通り雪面は硬く、昨日の内偵察を兼ねて急斜面にステップを作っておいてよかった。
急な斜面を登ってから先もやせているのでそのまま板を担いでいく。
再び傾斜が緩んだところから板を付ける。
そのとき谷に動物がいるのが目に入った。カモシカだ。あわててカメラを取り出している内にカモシカはいなくなってしまった。
ずっとカモシカを見ていたモコモコさんによると、まるで平地を走るような速さであっという間に尾根の向こうへ移動したとのこと。さらにモコモコさんは「足の早い人をカモシカのような足っていうけど、あんなのそのそした動きでその例えは違うんじゃないのと思ってたよ。でも、カモシカって本当に早いんだね。」と感心していた。

稜線を檜倉山へ向っていくと、先ほどのカモシカのものだと思われる足跡がずっと続いている。恐るべしカモシカ。
感心しながら檜倉山へと登っていく。山頂直下は大きく斜面を使って登る。
檜倉山は地塘があるだけに広く平坦だ。風がおだやかならば最高の幕営地だろう。

檜倉山で長めの休憩をとってから下りにかかる。
ここは短いが、広くて快適な下りだ。あっという間に大烏帽子山との鞍部に着く。
ここから見ると大烏帽子山への登りは急で難儀しそうだ。もしかすると全部板をかつがなくては登れないかと思うとウンザリする。
鞍部からわずかに登ると、やはりこの先やせてぼこぼこしてクラストした状態が続いているので、またもや板を担いでいく。

ときどき落とし穴にはまったりしながら大烏帽子山の肩に着く。ここからは板をつけていける。
最初大烏帽子山の急登を避けて東斜面を巻いて行きたいとモコモコさんに言うとモコモコさんから「あそこは巻けないよ。直登するのが一番早くて安全だよ。」と返される。とにかく行って見てから決めようということで先に進むと、モコモコさんとの賭けに見事に負けた。
やはり巻ける様な斜面ではない。しかし、思ったよりも登りやすく、スキーを履いたまま山頂に登っていける。
山頂では三角点が頭を出していた。

山頂から少し降りたところでシールをはずす。
これからは待ちに待ったナルミズ沢の下降だ。出だしは傾斜がやや急なので、斜滑降と横滑りでしのぐ。
傾斜が緩み始めたところからは大きく斜面を使って快適なくだりだ。
モコモコさんも楽しんでいるようだ。調子に乗りすぎて顔面から突っ込んでいた。
スピード出しすぎを注意して快適な沢の下降を続けていく。

あっという間に二俣。二俣からすこし沢が狭まるがそれでも快適だ。
さらに下降すると、滝のあるところでは水が出ているが簡単にトラバースして通過できる。
何箇所が穴が開いて水がでているところをやり過ごすと大石沢出合い。
ここからぐっと傾斜が緩むのでときどき歩いたりしながらだが、やはり快調にいくとこれまたあっという間にウツボギ沢出合いの広川原に到着。
ちょうどお昼時なので、休憩をしようとしたら、ウツボギ沢を下ってきたらしいテレマーカー3人組に出合う。

彼らはこれからナルミズ沢を登って滑ってから宝川温泉に出るそうだ。
我々の下降ルートを話すと、白毛門山への登りのときに白毛門沢や白毛門沢と東黒沢との出合いあたりがデブリで埋まっているのが見えたとの情報をもらう。
担ぎ上げてきたみかんと桃のパックを食べる。強い日差しで暑いので、冷えたデザートがとてもおいしい。
十分休憩をとって3人組みも我々もシールを張ってほぼ同時刻に出発。

我々はこれからウツボギ沢の支流である一の沢を上り丸山乗越に出る予定だ。
夏下降しやすい沢はこの時期も登りやすい。
夏よりもヤブが雪に覆われていて先が見通せる今のほうが快適かもしれない。
わずか標高差約150mで丸山乗越だ。
ここでこれからのルートを相談するため一度荷物を降ろす。

予定では赤沢山までさらに縦走してからおりるつもりだった。また、早くに着いていたら、さらに白毛門方面に登ってウツボギ沢も滑ってみるつもりだった。
ウツボギ沢は当然のことながらパス。赤沢山も無理だろう。
そこで決まったルートが、丸山(武能岳)の先の長細い山頂をもったピーク(宵の越山)先の鞍部から下降して、金山沢より一つ下流で東黒沢に出合う枝沢に滑り込む。この枝沢は赤沢山へ行ったときに下降ルートとして使おうと思っていた沢なので、ここで帳尻をあわせられる。
そんな相談をしていたら、白毛門方面から降りてきた6人ほどのパーティーに出合う。天気が良いので、皆雪が与えてくれた思い思いのルートを描いているようだ。

このパーティーはここで幕営するらしい。
我々も泊りたい気持ちを抑えて出発する。
後ろを振り返り滑ってきたルートを探したりしながらのんびりと丸山へ。
丸山への登りのときにどこかで雪崩が起きている音が聞こえた。
丸山からは武能倉沢が見えるが、ここもすばらしい斜面だった。
丸山で山人は写真撮影、モコモコさんはこれからのルートを確認しているとこれから向う方向から「おーい」という声。
それに答えると、あちらはとても喜んでくれている。
もしかして、とお互いがであったところでモコモコさんが「白毛門方面からの6人ほどいらっしゃった方のお仲間ですか?」とたずねるとその通りであった。
なんだか素敵な光景を目撃できた気分だ。

抜け目のないモコモコさんはこの先の様子を尋ねると、土合山の家の裏から直接赤沢山に登ってきたので沢の様子はわからないとのことだった。
長細い頂上を持つピークから下を見ると、すごくよさそうな斜面が見えたがそこではないといわれちょっとがっくり。
予定通りのところからシールを外して下降開始。最初は樹林もまばらで広くて思ったよりも快適だ。
ときどき沈没するモコモコさんもなんとか順調に降りてくる。

沢が狭まって水流がときどき顔を覗かせるようになってからが大変だった(モコモコさんが)。
木の根周り穴に落ちてみたり、東黒沢に出会ってからは時々落ちているブロックにつっこんでみたり、転んで板が変風にささって自力で外すのにやたらに時間が掛かるので助けに向ったりと撃沈すること数回。
なんとか白毛門沢出合いまでたどり着く。
出合いはウツボギ沢でもらった情報通りハナゲの滝落ち口手前までデブリで埋まっていた。雪崩の破壊力の凄まじさは想像を超えていた。こんなデカイ規模の雪崩の跡を始めて見たのでビックリした。

板を担いで歩き始めると、踏み跡がある。
この踏み跡のお陰であまり潜ることなくデブリ地帯を通過。
再びスキーをつけてハナゲの滝は右岸をトラバースして難なく通過。
そこから先は踏み跡や、スキーのトレースもあり、あっという間に東黒沢にかかる橋が見える場所までこられる。
駐車場も雪で埋まっているので、バス停でスキーを外してバスの時間まであと15分という時間でツアー終了となった。

板だけしまってブーツのままバスに乗り込む。
接続の電車の待ち時間は15分ほどなので、1本あとの電車に乗ることにして、その待ち時間を着替えときむらやのラーメンを食べて2日間を振り返りながら帰宅した。

総括
今までの私の短い山スキー経験の中で、滑ったという記憶はほぼ皆無でした。偏った山域ということもあるのですが・・・。今回、ナルミズ沢を滑ってみて「山スキーってこうゆうものなのか、滑るってこうゆうことか」とシミジミ感じてしまいました。滑る楽しさを今頃ですが新発見できたので良かったです。ちなみにテレマークターン回数0でした。なぜかアルペンターンをする俺っていったい・・・。終わり


奥利根方面から日が昇る 檜倉山へ。文句なしの快晴。
檜倉山から大烏帽子山方面 檜倉山から清水峠方面
大烏帽子山へ最後の登り 大烏帽子山からナルミズ沢
この広い斜面を二人占め 水流が顔をのぞかせる
丸山から谷川岳 東黒沢支流を下降
デブリ地帯 ハナゲノ滝


一日目へ

写真集へ

活動記録に戻る

トップへ戻る