2月29日(日)
明月荘5:50〜東大巓6:40〜継森手前1807m8:05〜継森9:50〜谷地平避難小屋12:30/13:00〜前大巓近くの鞍部16:15〜吾妻小舎17:20
1:00頃に寒さで目が覚めてしまい、ラジオを聞いて朝を待つ。モコモコさんも3:00頃目を覚ましたので起きることにする。室内気温は−5℃。昨晩聞いたラジオの天気予報では今日は荒れるらしい。しかも午後になるほど悪いらしいので、目標は中吾妻山であるが、稜線での行動タイムリミットを10:00に定めて5:50に出発する。風は昨日と同じくらいの強さ。思ったよりも寒くない。
出発して15分ほど東大巓が間近にせまってきた辺りでなんとシールのスキートップに引っ掛ける金属部分がとれてしまう。出発時に靴紐が切れるようないや感じで、今夜はビバークになるかもとふと不吉な予感が頭をかすめる。家に帰ってから「あのときいやな予感がした。」と話すと、モコモコさんから「私も天気が悪いこともあるし、よっぽどやめようかといおうと思った」といわれた。モコモコさんにテーピングをもらい補修して再スタート。テーピングはガムテープよりも張り付きがいいみたいだ。
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↑補修前
金属部分が取れてしまった。(どひゃ〜!ハプニング発生!嫌な予感を背後に感じる〜!) |
↑テーピングで補修後
怪我をして包帯を巻かれたような感じになってしまった。
("いかん!ゴルゴ山人は常に冷静を装わなくては・・・。)
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東大巓へ向けて出発
(くそ〜朝っぱらから降っている) |
その後高山下りまで外さず |
朝早いので、アイスバーンの斜面に苦しめられながらも、東大巓には6:40到着。風が強いので少し降りたところで方向を合わせて赤布を取り付ける。(今回は万が一の遭難を考慮して二人の名前と日付と通過時刻を記載した赤布を要所要所に付けていった)継森手前の小ピークから中吾妻まで雪堤状に連なっているのが見える。あそこへいくのかと心が躍る。
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中吾妻山への稜線
中央に見える継森と奥に霞んでみえるのが中吾妻山。継森と中吾妻山との鞍部から谷地平へ降りた。(これから次第にガスに包まれて、視界がなくなっていく!) |
1807mの小ピークまでは緩やかな針葉樹林帯を行く。波のようになっている雪面やモコモコした樹林の中をパズルを解くように進む。ところどころでモコモコさんが「メルヘンチックだねー」と感嘆の声を出す。樹林帯なので風がないのがうれしいが、その分雪が吹き溜まりラッセルになところもある。ガスが出てきてしまい、東大巓からはっきりと見えていた稜線が全く見えなくなってしまう。
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メルヘンその1
(メルヘンはいいんだけどラッセル疲れるよ!モコモコさん) |
メルヘンその2
(モコモコさんは燃費が良い。山人は燃費が悪い。いつも腹を空かせている。) |
コンパスの方向を直接継森に合わせていたため、1807mピークを巻きに入ってしまっていることが分かる。ここを巻いてしまうと方向や位置がつかみにくくなるので、頑張って登る。交代でラッセルして8:05に無事尾根に乗る。
ここからは尾根が雪堤状になっていて分かりやすい。樹林と雪堤の境界に沿って登る。
継森に近づくにしたがって尾根が細くなり、一番尾根がやせているところになると、傾斜が急で樹林も混んでいるので、雪の波打が激しく苦労する。継森山頂手前のちょっとしたピークを過ぎてあと一息というところで休憩を入れる。地形図と時間をみてモコモコさんと相談する。結果、この調子で行くと中吾妻まではあと最低2時間はかかってしまうだろうと予測して、継森と中吾妻の鞍部までとし、谷地平におりることにする。継森山頂は9:50に到着。ここで赤布をとりつけて鞍部に向けて滑り出す。
山人の方向感覚がこの日は狂っていた。鞍部へ向けて滑っているつもりがなんだか分からなくなってしまう。ガスで谷地平は全く見えないし、これ以上中吾妻方面へ向かうと大きくずれて大倉川のゴルジュ帯に降りてしまう可能性があるので、直接谷地平へ降りることにする。
視界がきかないのと、もしものときにすぐに登り返しができるようにシールはつけたまま滑る。この斜面が最高なのである。フカフカの軽い粉雪で樹林間隔も広くどこまでも快適に降りていけそうである。しかしそれと逆に、重荷を背負って転ぶと一気に体力を消耗するので、ひたすら斜滑降キックターンで降りる。それでもパウダーは快適でうれしいのだ。
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継森からの斜面。最高です。
(イナズマターン(斜滑降&キックターン)を華麗に決める?) |
大倉川へ下りてきた 向かいの台地が谷地平
(まだ、埋まっていないのかな?) |
継森からの斜面と中吾妻山からの斜面はとてもよく似ているのと山人の狂った方向感覚の相乗効果により、目的の方向よりもだいぶ南に向かっていた。モコモコさんに注意されて北へ方向を修正するが、ときすでに遅し。沢が急に落ち込んでいる地点に出てしまう。北へ向かって歩くとまたすぐに沢。モコモコさんと地形図を覗き込むと、やはり大倉川の小滝の下流ゴルジュ帯に流れこむ3本の沢のあたりに来てしまっているようだ。
北へ北へと歩くと大倉川の川原が見えるところまででられた。少し急な斜面を降りて大倉川をわたるためのスノーブリッジを探す。運よく見つかり、モコモコさんを呼ぶと、「あのすぐ下にある岩に見覚えがある。避難小屋の方角も分かった。その斜面を登り返した上が谷地平の湿原だよ」という。疑いながらスノーブリッジを渡り登り返しをはじめると、赤布を発見した。
ここで喜んで気を緩めたためか、谷地平には寄らずに直接避難小屋へ行くはずが登りすぎて谷地平湿原にでてしまった。まあこれではっきりと場所がわかったし、本来はよらないはずだった谷地平も見られたし、得した気分だ。気温が高いのか、シールに団子がついて仕方がないので、シールワックスを塗ってから避難小屋へ向かう。
今日は、モコモコナビの調子がいいので、先導してもらうと方向としては一直線で避難小屋を発見する。小屋へは少し回り込んで降りるとトレースが出てきた。どうやら東大巓から直接降りてきたものらしい。小屋へはもう1本川をスノーブリッジで渡り12:30に到着。小屋の入り口は埋まっていて入ることはしなかったが、小屋の前で休憩する。
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避難小屋手前の沢を渡るモコモコさん
(どっしりとしたスノーブリッジだ) |
避難小屋を見つけた!
(おお〜助かったぞ!) |
避難小屋へ到着(埋もれている!いつか冬季に泊まりたいな〜。) |
気温が高いのでシールワックスをさらに塗り足す。13:00に出発。好事魔多し。無事小屋に到着できてほっとしたのと、トレースがでてきたこと、さらに姥ヶ原までは沢沿いにいけばいいから簡単だと2人とも気が緩んだのか、コンパスを合わせておくのを忘れてしまった。トレースを何も考えないで追って、シールに着いた団子だけを気にして歩いていくと、トレースが沢を渡っている。
改めて今、地形図を見直すとなんだここかとすぐ分かるのだが、そのときは「沢を渡るのはおかしい。もしかしてこのトレースは東吾妻へ登るつもりじゃないか」と思い込み、前大巓方面へコースを大きく外れてしまう。1本違う尾根に入ってしまったところで間違いに気がつく。このままだと前大巓に登ってしまう。天気が良くて時間も早ければそれもいいが、現在15:00そこまでの時間と体力の余裕がない。
姥が原へ向けて方向を修正する。予定ではあと30分足らずで姥ヶ原だったが、混んだ樹林と1mくらいの高さの波打つ雪面を登るので数m進んではトップ交代をする状態で時間がかかる。本気でビバークを考えた。結局、前大巓と姥ヶ原の中間点にある夏道の分岐点に出たのが16:15になってしまう。ここからは余裕のはずであったが、今日はものすごい風で視界もほとんどきかない。そこで比較的慣れている酸ヶ平経由で浄土平へ向かう。
凍結した鎌沼上はかなり頑張って踏ん張っていないと強風でどこまでもすべり流されてしまう。ようやく酸ヶ平避難小屋が見える。モコモコさんを振り返るとちゃんと着いて来ている。伊達にゲレンデで練習してきたわけではなかったのだ。風が弱まった瞬間にキックターンをし、横滑りと斜滑降でようやく浄土平に到着。
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ルートを修正すべく、いやなトラバースをする
(強引にルート修正を試みるモコモコさん!) |
浄土平へ向けて強風地帯を歩くモコモコさん
(浄土平に向かって強風が吹き荒れている。) |
シールを付けたままなのでそのまま吾妻小舎へ登る。小舎へは17:20に到着。小舎の中はひっそりとしている。やはり誰もいないか。ストーブがつけられるだろうか。予約のときに管理人の遠藤さんがいないことはわかってはいたが、残念に思っていると、玄関外に出迎えてくれる人の姿が現れた。なんと、なんと遠藤さんだった。あまりのうれしさに、2人とも思わず飛び上がってしまうところだった。
遠藤さんの話によると、ご友人が泊まっているので残っていたとのことだが、我々を心配してのことが多分にあったのではないかと思う。早速小屋に入るとストーブがたかれていてとても暖かい。オーバージャケットを脱ぐと、谷地平では雪が体温で融けてびしょびしょだったのが、浄土平の強風地帯でバリバリに凍ってしまっていた。
着替えを済ませ、夕食の支度をしていると遠藤さんから下の食堂で一緒に食べましょうとのお誘いを受ける。ありがたく誘いを受けて食堂に降りると、遠藤さんのご友人がすでに席についていた。その方からも「お疲れさま。よく頑張ってきたね。今日はもう来ないんじゃないかって賭けをしていたところだったんだよ」とねぎらいの言葉を貰え温かく迎えていただいた。
遠藤さんからたくさんの差し入れをいただいたので、自分たちの用意してきたものはほとんど食べずに済んでしまった。おかげで明日の朝は豪華な食事になりそうだ。
遠藤さんやご友人の楽しいお話を聞きながら楽しい夕食のひとときを過ごし、布団にもぐりこむ。昨晩と違い、温かいストーブとフカフカの布団のおかげであっという間に寝てしまった。
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ありがたい今夜の宿、吾妻小舎。
管理人さんの人柄がとても良く、綺麗で快適な温かい小舎である。
(フカフカの布団とストーブが待っている。) |
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