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南アルプス北岳 |
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2010.09.28~10.02 |
もう,半世紀も前のこと。
高校を卒業した年の夏,お互いに別々の大学に進んだ山好きのクラスメート3人で,鳳凰三山を縦走した時に眺めた「北岳(きただけ)」の雄姿!いつの日か登って見たいと思いつつ,チャンスが無く,50数年来の想いがかなった妻と二人での今回の北岳登頂となった。
北岳へは,2泊3日をかけるのが普通であるが,70歳と69歳(間もなく)の私たちは,前日に登山スタート地点の「広河原山荘」に宿泊し,中腹の「白根御池小屋」・頂上直下の「肩の小屋」そして,下山後に山麓の「芦安温泉」で身体を休めるという4泊5日かけての贅沢な日程を組んだ。
北岳は,南アルプス国立公園内の赤石山脈(南アルプス)の北部,山梨県南アルプス市にある標高3193mの山。富士山に次ぐ日本第二の高峰「南アルプスの盟主」とも呼ばれている。
古くから,「白い雪をかぶった山」という意味で白根山または白峰山と呼ばれていて,平家物語にも「甲斐の白峰」として登場するという。南北に連なる三つの峰(北岳・間ノ岳・農鳥岳)を合わせて白峰三山(しらねさんざん)と呼び,一番北にあることから北岳と呼ばれるようになった。
1&2日目:南アスーパー林道が,雨量規制で通行禁止となり,やむなく手前の芦安温泉泊まりとなったため,二日目の歩き始めが,予定したより2時間ほど遅くなってしまったが,翌日の天候が芳しくないので,無理して標高差1500mを8時間かけて一気に,標高3000m地点にある「肩の小屋」まで登る。日没寸前の16時50分に小屋着。
3日目:06時40分「肩の小屋」から標高差200mの岩尾根を1時間かけて頂上へ。
頂上では,幸運にも周囲の山々(甲斐駒ケ岳・仙丈岳・鳳凰三山・八ヶ岳・かすかに中央アルプスの山並み)を眺めることが出来たが,わずか10分ほどでガスが立ちこめ,みぞれ交じりの雨となる。風も強くなる。慎重に,「肩の小屋」まで戻り下山開始。
標高2300m地点にある「白根御池小屋」まで,雨の中を下降する。尾根筋から下りにかかった頃から,妻の脚に変調,スピードが大幅ダウンし,コースタイム1時間45分を3時間05分もかけて13時50分「御池小屋」着。
4日目:バス停のある「広河原」まで,コースタイム2時間30分,標高差700mの下りなので,時間的に十分な余裕があり,「大樺沢二股」で,北岳山頂の雲が消えるのを1時間半も待って写真を撮ったりして過ごす。
いざ下山にかかったら,今度は,わたしの脚が云うことを聞かなくなってしまった。段差のある岩屑道では苦難の連続,頻繁に休憩を取っての下山となる。花の写真を撮ったりしたこともあるが,大樺沢二股~広河原下山コースタイムの1時間45分を大幅に上回る4時間もかけての下山となった。
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■ 「一日目」芦安温泉へ! 天候:雨のち曇り
初日は,夜叉神トンネルを越えて,「広河原山荘」(標高1530m)に泊まる予定。
新宿発(10:00)の”スーパーあずさ”で甲府駅着(11:28)。
駅の売店で昼食用の「お寿司」を買って,(12:00)発広河原行きバス乗車券を求めんとして山交営業所窓口に行ったところ,「本日は運休です!!」
ゲッ!参ったなあ~,どうしようかと思案に暮れていると,すかさずタクシーの運ちゃんが,声をかけてきた。
「南アスーパー林道夜叉神トンネルより先が,昨日来の降雨量が30mmを越えたので,今朝からゲート閉鎖となっている。明朝になれば解除されるだろう,今日は芦安温泉に泊まって明朝ゲート開放次第広河原に向かったらどうだ。旅館と,芦安からの乗り合いタクシーも段取りしてやる,甲府から芦安までタクシー代7000円でどうだ」という。7000円はちと高いかとは思ったが,一般バスは芦安(芦安温泉よりかなり手前にある)までしか行かないので,その話しに乗ることにした。
13時前に,芦安温泉「白雲荘」に到着。
TVの天気予報は,明日の天候回復を報じている,果報は寝て待てと腹を据えて,ゆっくり温泉につかって明朝の通行止め解除の朗報を待つことにする。
夕食までたっぷり時間があるが,この辺りには,時間をつぶすような施設はほとんど無い,以前に一度入ったことがあるけれど,宿の女将さんが,無料入館券をくれたので,「南アルプス芦安山岳館」を見学に出かける。まず,NHKで放映された「南ア白根三山」のビデオ,北岳や鳳凰三山の成り立ち,自然,山の生活と結びついた文化や産業・技術の展示をじっくり見る。
この宿で,今朝の交通止めの直前に,優先的に広河原から降りてきたという50歳代の男性登山客が隣室に。夕食の際に話しを伺うと,南ア南部の茶臼岳(想像するに大井川最上流の畑薙ダム辺りから登山開始したのだろうか?)~聖岳~赤石岳~(荒川岳には寄らず)小河内岳~塩見岳~間の岳~北岳(直線距離にしても40km近くある)を単独で,12,3日もかけて縦走してきたと言う。「先日の台風の際は凄かったでしょう?」と聞くと,「直撃コースでなかったので大したこと無かった,返って雲海が美しかった!」そうだ。恐れ入ったつわものである。脱帽!脱帽!
もう一人,Aさんという女性,こちらは,新宿から,私たちと同じ列車だったらしいが,一般バスで芦安まできてそこから徒歩(40分くらいかかる)で芦安温泉まで。本来は,今日中に「北沢小屋」まで入って明日は,日帰りで「仙丈岳」登山をするつもりだったという。明朝,私たちが予約したタクシーに分乗させて欲しいというので,「どうぞどうぞ」と大歓迎。
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■ 四日目 広河原へ下り,芦安温泉へ 天候:晴れ
白根御池小屋 |
0:35
→ |
大樺沢二股 |
1:45
→ |
広河原 |
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10月1日
白根御池小屋 07:10→08:10 大樺沢二股 09:30→13:45 広河原 (所要時間6時間35分)
起床5時。
今日は午前中曇りがちだが,午後には天候回復するとの予報。
6時過ぎには泊り客全員が出発して行ったが,私たちは,広河原に午後の2時か3時に着けばよいので,急ぐ必要の無い下りだけの行程なのでゆっくりの出発である。
(07:10)小屋を出発。
「御池小屋」から「広河原」へは,直接下るルートがあるが,折角天候が回復するというので,「白根御池」から南に山腹をトラバースするアップダウンの少ない道を40分ほど行くと,二日前の登りで昼食休憩を取った「大樺沢二股」に向かい,ここで,北岳山頂・バットレス・八本歯などの眺望を楽しむこととした。
登山時には,ガスが立ちこめ眺望が全く望めなかった地点である。
(08:10)「大樺沢二股」(標高2222m)着。
雲が激しく流れ,次第に青空が広がっていく,だが,北岳山頂はまだ雲の中,バットレスも中腹以上がまだガスの中。
今日はたっぷり時間が在るので,ここでじっくり,ガスが晴れるのを待つことにする。
ここは,「右股コース」と「左股コース」と「御池小屋へ」の分岐点で,バイオトイレも設置されていて,北岳登山メインルートの交差点みたいなところ。
これから「山頂」を目指す人,「山頂」から,「肩の小屋」から,「北岳山荘」から,「御池小屋」から下ってくる人たちがひっきりなしに行き交い,かつ暫しの休憩する場所で,これから登る人たちは,下ってきた人たちから,コースの状態(こっちが楽だとか,あちらのコースは滑りやすい危険箇所が多いとか時間がかかるとか,下りはこっちのほうがよいとか・・・),頂上の天候だとか,小屋の状況だとかいろんな情報が交わされる。
小6の息子さんと登ってきた親子3人連れ,「息子に負けそう!来年は完全に逆転されるなあ~」と嬉しそうに話す父親。高齢者二人連れ「71歳だよ~」,「わたしも71歳」とお互いのカメラのシャッターを押しあって,バットレスを背景に記念写真撮影。夫婦連れも何組か登ってくる。昨日朝「肩の小屋」であったグループが,もう下山してきた。
雲がどんどん切れ始めてきたので,9時までここでシャッターチャンスを待つことにする。通常の登山では。
こんなに余裕のある行動は出来ないが,今回のゆったり贅沢登山のよいところがここで発揮される。
写真をふんだんに撮る。天候に恵まれないのを覚悟の上の今回の山行であったが,大樺沢からの北岳の雄姿をカメラに収めることが出来て私は満足!まんぞく!(バットレス付近の紅葉には少し早かったようなのが残念であったが・・・・。)
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「北岳,北岳バットレス・八本歯の稜線」
大樺沢二股より |
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「鳳凰三山のうち地蔵岳?」
大樺沢二股より |
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(09:20)「広河原」目指して出発。
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「縞状チャートの大岩塊」
標高2100m付近の登山道脇にある。
プレートが付けられているが読み取れず。 |
しばらくして,今日は,わたしの脚が突然に変調をきたす。右足の大腿筋が疲労困憊し,足の運びが極端に悪くなり,昨日の妻と同様な状態となる。
今度は,わたしが前を歩き,マイペースで下ることにする。昨日の下りでは全く気にならなかったのに,遠近両用メガネをかけているので,脚下の地面がぼやけて見えるので,足を運ぶ際の不安感が増す。ストライドが小さくなっていることが原因であることがはっきりと分かる。思わぬところで,加齢によるおまけトラブルが現れるものだ!
結構長い下りに辟易としながらも,「よくぞ登ったものだ!」と我ながら感心することしきり!
時間はたっぷりあるので,下る速度がスローダウンしたついでに,盛りを過ぎたとはいえ,まだまだ道端に咲いている花々をカメラに収めながら下る。
頻繁に休憩を取りながら,何組もの下山グループに追い抜かれながらも,やっとこさ「広河原山荘」の屋根が見えたときは,正直「ほっ」とした。ここでまた,頂上から下山してきた7,8人の若者グループに追い抜かれる。
(13:45)「広河原山荘」(標高1530m)前着。
14時発の甲府駅行きバスがあるが,わたしたちは,今日は「芦安温泉」泊まり。慌てることは無い,次便の15時発「芦安」行きに乗ることにして「山荘」前のベンチで昼食代わりに,チョコレートやお煎餅を食して念願の北岳登山を終えた達成感に浸りながらリラックス。
先着していた若者グループは,14時発甲府行きバスに乗るといってバス停へ。 次に,下山してきたのは,大きなザックを担いだ3人パーティー。ザックに吊り竿みたいなものがあるので,釣行のグループかと思って尋ねると,「北岳山荘」に泊まったりキャンプをしたりして,山頂付近で1週間ほどの植生調査を終えてきた静大の院生と学生だという。それぞれ修士論文と学士論文にするのだという。偉いね~頑張ってね~。
花は,盛りを過ぎてはいたが,登山道脇に咲いていた花の幾つかをカメラの収めた。
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レイジンソウ |
キツリブネ |
ミヤマトリカブト |
ミヤマシシウド |
最後に再び反省したこと二つ!
● やっぱりストックは必需品だ。
● 初日に一気に「肩の小屋」まで登ったのは,万一下山時のような足の不調がおこったら,極めて憂慮すべき事態になった筈である。やはり日本第二の高峰は,甘く見てはいけない。事前の体調整備を怠ってはならない。
吊り橋を渡って,アルペンプラザへ歩を進めていると,タクシードライバーが,「足大丈夫ですか?」と声を掛けてくる,よほどへたった歩き方をしていたんだろう。先刻の静大グループが乗合タクシーに乗って次の客待ちをしている,わたし達は「芦安」までなのでバスで行くことにする。
バスには,最近,とんとお目にかからなくなった車掌さんが乗務していて,切符にパンチを入れて手渡してくれる。乗客はわたしたち二人だけ,芦安では,バス停でなくなんと私たちが宿泊する「ペンションらんたん」前で,停車してくれた。ペンションのご主人がびっくりしていた。
さ~て,まずは温泉に入って身体をさっぱりさせて,湯につかりながら脚マッサージを入念に施す。
この宿も本日の客は,夜遅く着くという家族連れ以外わたしたち二人だけ。
夕食も美味しい料理と甲州ワインで乾杯!!
大満足の北岳山行であった。
来年は,もう少し足を鍛えておいて「仙丈岳」に登りたいな~。北岳より難易度が低いとガイドブックに書いてあるから,ひとつばかり歳をとっても大丈夫かもしれない。
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野呂川に架かる吊橋を渡って北岳登山無事終了
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「広河原から大樺沢・北岳」
3年前(2007)8月23日,北沢峠・広河原を訪れた時の写真。この時,簡単に登れそうだと感じたのが今回登山のきっかけとなったのだが,さすが日本第二の高峰,ここから頂上まで1700m,どうしてどうしてかなり手ごわかった。 |
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■ 五日目 帰宅
朝風呂に入って,美味しい焼きたて酵母パンの朝食を戴き,ゆっくりくつろぐ。
芦安バス停まで送って貰って,山交バスで,芦安発(10:27),甲府駅着(11:15)。
駅前で,お土産に「甲州ぶどう」を買い込んで,(12:12)発「スーパーあずさ」で帰京。
ゆっくり,(人に云わせると)贅沢三昧の北岳登山を無事に終了。 |
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