「一味違う震災からの教訓」 2004.3.24
元東京大学地震研究所所長の伯野 元彦さんの講演の要旨です。
1) 家屋構造の違いによる被害の違い
2003.12.26 イラン バム 地震 M=6.6 死者 4万人以上
1995.01.17 阪神淡路地震 M=7.3 死者 5500人
地震の規模は30倍なのに死者数は1/8。
何故か?
日干し煉瓦(アドベ)。 世界最悪の建築材料。
目地(レンガとレンガを接着するもの)は泥。
素人でも安価に家が建てられる。
禁止できない(日本で木造をやめろと言うようなもの)。
中近東,インド,中国,南アジア,中南米など世界中で使われている。
天井がぺしゃんと落下(いわゆるパンケーキ崩壊)
世界の地震による死者を減らすために
日干し煉瓦をやめる,焼き煉瓦で目地はセメントモルタル(少なくとも漆喰(石膏モルタル)で。
2) 液状化では人は死なない! 液状化対策は必要ない!
液状化が原因の死者数 | 全体の死者数 | |
福井地震 | 1 | 3895 |
新潟地震 | 2 | 26 |
阪神淡路地震 | 3 | 5500 |
何故か?
液体中は,S波が通らない→ユレが小さい→倒壊してもゆっくり逃げる時間十分ある。
液状化対策工事は不要!
液状化した地盤は,S波を通さない,一種の免震装置
1964新潟地震では死者数26人、液状化が起こらなかったらもっと死者数が多くなっていただろう。
1年間に数千億円もの金をかける必要なし。
ただし次の構造物は例外
貯水ダム,ゼロメートル地帯の海岸・河川堤防,海底・川底トンネル
地盤改良工事業者が聞いたら目を剥くような考えであるが,なるほど,なるほど 感心した。