L .R .


 始まりは日本、両親の告別式会場。
 黒塗りのリンカーンから降り立った一人の若い男。怜悧な瞳で彼はひざまずく。
「……お迎えに上がりましたマイマスター。――旦那さま」

 父方の祖父、大企業、相続権。――莫大な資産。
 その日から少年の人生は一転した。


 そしてそれから数年後、米国。
 多少成長した少年は、ダウンタウンで薄汚れた少女を拾う。
「――ここで座り込んでるより、ずっと建設的だと思うよ」
 差し出された幼い手を少女は取った。これがまず、ひとつの出会い。

 ほぼ同時期。
 少年はチャイナタウンの路地裏で、一人の女性に呼びかける。
「僕と一緒に来てください。ウチには今、ご飯作れるひとが一人もいないんです」
 真摯な瞳にその人は心から微笑んだ。――これがふたつめの出会い。


 そして、現在。
 祖父の莫大な資産の総てを受け継ぐはずだった少年は、社員十数名の小さな商社のみを受け継ぎ、親族から阻害されて暮らしている。

 周囲の大人たちの思惑。少年が成人した時に初めて明らかにされる筈の、祖父の遺言書に向けて巡らされる権謀。
 周りの人間は打算と策略で動いている。まだほんの子供に過ぎない彼に、力らしい力はほとんど無く、流されないよう立っているのが精一杯だ。
 
 ―― だが、それでも。
 
「旦那さま大丈夫! 手足に弾丸通しただけじゃ人間そうそう死なないから!」
「その通り。少し痛い目に遭わせた方が却っていい場合だって多々あるんですのよ」
「お前らの方がよっぽど犯罪的だろうが! 私の旦那さまに触るな! 抱きつくなぁッ!!」


 少年は、『家族』 から愛されて……守られている。



とか何とか言いつつも、結局はギャグオンリーで話は進みます。
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