古美術まるなかで
城址南東にある古美術まるなかに入った。 「すいません!」と声をかけるとおばちゃんが奥から出てきた。一人で切り盛りしているらしい。古丹波のいいのがあればと思って探したが、それほどのものはなかった。
ひとしきり見て回っていると、おばちゃんがお茶を入れてくれた。世間話をしながら、最近民家から仕入れてきたという明治のころの壺を見せてくれた。はじめは興味がなかったのだけれど、お茶を飲みながらよくよく見てみるとなかなか形が良くていい土味をしている。宅急便で送るときに中に近所でとれた山芋とかおいしい小豆を入れてくれるというので、なんだが嬉しくなって送ってもらうことにした。黒豆で作った黄粉茶がおいしいとかいろんなことを教えてくれた。
名刺をもらったら中尾という名前で、遠い親戚と同じ姓名だった。親戚の中尾は平家の落人で赤穂に逃れた末裔と聞いていたが、考えてみれば赤穂もここからそう遠くない。ひょっとしらこのへんも?などと考えながらまるなかを後にして黄粉茶を買いに行くことにした。 |
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河原町妻入り商家群
旅の最後は城址から見て東南奥に位置する河原町妻入り商家群。「妻入り」とは切妻屋根の作る三角壁の下から入ること。切妻(2面屋根)だから寄棟(4面屋根)でも入母屋(上が切妻で下が寄棟)でもなく、妻入りだから平入り(屋根の横長の下から入る)でもない。とはいうものの軒はちゃんと造ってあるのだ。
ここの一角にある上述の丹波古陶館を出たときはもはや日没前だった。
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