北海道初ライブ
 ここで言う「北海道初ライブ」というのはあくまでも私が見た中でという意味でありまして、厳密な意味では「2度目」にあたります。でもその本当の北海道初ライブというのが、1987年の「大浜海岸」って・・・。何となくなかったことにしてしまいたい気がしているんです。いかにも「営業」って感じがして。座席の予約も何もあったもんじゃないですからね、海岸では。そういう企画があるということはファンクラブからの情報で事前に知ってはいましたが、行こうという気にはなりませんでした。「大浜海岸」への行き方もよくわからなかったし。

 ということで、私がカウントしている「初ライブ」は、1988年の8月25日。公式HPの記録によると「札幌教育文化会館」で、ということになっておりますが、これは「札幌市民会館」の間違いですね。このとき私は教師になって2年目。ツアータイトルは「Shelter Of Soul’88」。ファンになって6年、念願かなって初めて見た織田さんのライブだったのですが、この時悔しかったのが、「全席自由」だったってこと!ライブハウスならわかるけど、市民会館なんて1000人くらいは入るんだから・・・。なんか聞いたことのないイベンターだったからなあ。せっかくファンクラブを通じてチケットを買ってもまったく意味がないのです。「そりゃないだろ!」って言いたくなる気持ちわかってもらえます?当日は、仕事を早引きしまして、かなり早くから並びました。それほど長い行列にはなりませんでしたが。ほとんど列の前の方に並んではいたのですが、開場したとたんに蜘蛛の子を散らすように全速力で走り出すおばさんたちの姿を見てげんなりして、結局座席は前から10列目くらいでした。
 
 選曲は発売したばかりの7thアルバム「SEASON」とその前の「SHIPS」からの曲が中心でした。1曲目はたしか「愛をさがして」だったような・・・。でも自信はないっス。私としては、1枚目と2枚目のアルバムから何曲かやってほしかったのですが、アンコールで「Somebody To Love」をやってくれただけで、その願いはほとんどかなえられませんでした。思えば、織田さんのライブにはかれこれ5回ほど参加してますが、「New Morning」からの曲って一度もライブでは聴いてませんね(2003年6月8日時点で)。「Voices」からの曲はいくつか聴きましたが。3枚目のアルバムからは「Baby Rose」を聴かせてくれました。「Ships」の中の「悪夢」という曲ではキーボードの大谷氏がベースを弾いていたような・・・?本来のベーシストとダブルで。私の記憶違いだったらごめんなさい。

 この日のライブでの白眉は何といっても織田さんのMC。「俺にもいろいろファンがいてさ、”織田さんが北海道に来てくれないでいるうちに、私は教師になってしまいました”っていう人もいるんだよ。今日もしかしてその人来てるかな?」って客席にふってくれたのですが、私は手を挙げることができませんでした。まぎれもなく、そういう内容の手紙を書いたのは私なんですけど・・・。今みたいにインターネットのBBSとかメールとか使える時代じゃありませんから、学生時代はたまに「手紙で」ファンレターを書いていました。教師にになってからも、何度か書きましたね。今思えば、惜しいことをしました。あの時手を挙げていれば・・・。直接コミュニケーションがとれたかもしれないのに。まだ、あの頃は20代半ばで、今よりも控え目でシャイだったのです(笑)。

 ライブ会場ではグッズを売ってまして、迷わずツアーパンフとテレホンカードを購入。たしか、CDを購入するとサイン色紙がついてくるっていうんで、レコードで持っていた「VOICES」を買いました。パンフは、写真集みたいなつくりですが、織田さん本人へのインタビュー2ページと、キーボードの大谷哲範の文章が4ページ載っています。その大谷氏の文章は織田さんとの出会いからそれまでの歴史を語ったものでした。出会った頃の思い出として「織田哲郎の音楽は、ハングリーなくせに、妙に品のいいロックンロールだった」という一文が印象的。

 この時の演奏曲目をはっきりとは記憶していないので、当時のファンクラブ会報をひっくりかえして探してみましたが、札幌公演で何をやったかは結局わからずじまい。ただ、このツアーのアンコールライブというのが約半年後に中野サンプラザでありまして、その曲目だったら会報に載ってました。

 1 愛をさがして
 2 DOWNTOWN CLUB
 3 ビートに溺れて
 4 LITTLE BIT OF LOVE
 5 さよならBABE
 6 SEASON
 7 時の河辺
 8 マジョリカ
 9 LOVERS
10 時を超えて
11 2001年
12 BABY ROSE
13 HOT LOVE
14 夜の影
15 NIGHT BIRDS
16 CANDLE IN THE RAIN
17 DREAM ON
18 SHELTER OF SOUL
19 LET THE GOOD TIMES ROLL
20 SOMEBODY TO  LOVE
21 YOU ARE  NOT ALONE

 となっております。私が見たライブでは2・5・10・11・16はやっていないと思います。その代わりに、「SHIPS」から「WILD HEART BEAT」と「SOMEDAY/SOMEWHERE」と「悪夢」、「SEASON 」からは「夏のかけら−always on my mind」と「MESSAGE IN THE AIR」をやってくれたような記憶が・・・。2と16は8枚目のアルバムに収録される曲ですね。この時点ではまだ未発表。半年前の時点ではまだできてなかったのでしょう。

 ともあれ、見たい見たいと思っていた織田さんのライブを初めて生で見ることができて大満足でした。
7th アルバム「SEASON」
 順番が逆になってしまいましたが、上記のライブの3ヶ月くらい前に、発売されています。前作「SHIPS」から変化の兆しはあったわけですが、このアルバムにおいては、初期のサウンドとの訣別をはかっている、という印象があります。ロックという言葉よりはポップスという言葉の方が似合う音です。クレジットを見ると、生のドラムを使った曲が少なく(全体の半分)、ギタリストの葉山たけしがドラムやシーケンサーのプログラムをやっている曲が大半を占めています。その代わりといいますか、曲のバラエティは豊かですね。スケールが大きくなったという印象も。悪いことばかりではないのですが、初期の「生音」主体の音作りが好きだった私としては一抹の淋しさも禁じ得ませんでした。シングルカットされたタイトル曲では「夜ヒット」にも出ましたね。このアルバムの1ヵ月後には渚のオールスターズの「BE MY VENUS」がリリースされ、Mステにも出たりと、テレビでの露出が多くなった時期ですね。

 前述のライブのパンフの中のインタビューで、織田さんはこのアルバムについて次のように語っています。

 ある意味では、1枚目って言ってもいい気がしてるんだよね。今までもアルバム作るごとに、1枚1枚、その時の自分っていうものを素直に出したいという意識で向かってたんだけど、どうしてもロック、あるいはロックンロールというこだわりを、捨て切れない部分があったんだよね。まあ、そういう形体をとる事で、自分の感情をストレートに出せたっていうのが、20代の音楽だったっていうか。で、今回に関して言えば、自分自身の精神的な変化が、そのまま音楽に表れてきたっていう感じがするんだよね。例えば今まで部屋の中ばかりに居たのが、野っ原にでてみたら「何だ、こんなに広いじゃない」っていうね。音楽家・織田哲郎としての第1歩っていう気もしてるんだ。

・・・なるほどね。今読むと納得もできるかな。初期のサウンドをこよなく愛する私ですが、自分で自分の音楽に枠をはめてたところもあったのかも。1枚目のアルバムからずっと「セルフ・プロデュース」してる人ですからね。まあ、ロックにこだわってた織田さんも大好きなんですが。

アルバムと同時発売のシングル「SEASON」はCDシングルで買いましたが、このカップリング(B面という言葉は使えなくなりましたね)の「FOOL」という曲は隠れた名曲です。アルバム未収録曲なんですが、実はこのアルバムの中のどの曲よりも「FOOL」という曲が好きです。一度ライブで聴きたいと思っているのですが・・・。
8thアルバム「Candle In The Rain」
 前作のリリースから10ヵ月後の発売でした。このアルバムの特徴としては初めてロンドンでトラックダウンを行ったということと、今までにないゲストミュージシャンの参加、ですかね。カシオペアのギタリスト野呂一生とか、フルートの赤木理恵とか元レベッカのドラマー小田原豊(彼とは後に,タフバナナやDON'T LOOK BACKというバンドを組むことになる)とか。小田原さんのドラムは前から好きだったんで、彼の参加はうれしかったです。このアルバムで好きな曲は「WILD HORSE」とタイトル曲の「Candle In The Rain」。あと、このアルバムでは初めて英語詞の曲を3曲歌ってますが、そのどれも「福井ミカ」という人が詞を書いていますね。この人ってどういう人なんでしょう?
 初のライブビデオ
 8枚目のアルバムリリースの1ヵ月後に、何とライブビデオが発売されました。タイトルは「Tetsuro Oda LIVE ACT 1」。定価は4200円。もちろん買いましたよ。何しろ「ACT1」となっているので、きっと数年後に「ACT2」も出るのだろうと、買った当初は期待してましたが、今ではファンのほとんどがそこまで高望みをしていないと思われます(笑)。せめて今年こそアルバムを!という声が多いのでしょうねえ。で、このビデオは上記の中野サンプラザにおけるライブの映像でして、「それだったら、完全収録してくれよ!」と私は声を大にして言いたい!「さよならBABE」とか「時を超えて」を見たかったです。実際にビデオに収録されているのは全体の半分ですね。以下曲目です。

 1 愛をさがして 2 Down Town Club  3 Season 4 Lovers 5 Baby Rose 6 Night Birds 7 Candle In The Rain 8 Dream On 9 Shelter Of Soul 10 Somebody To Love

 できるものならDVD化してほしいものですが、もうソニーとは契約が切れてるので無理でしょうね。いつかDVDレコーダーを買ったら、自分用に(永久保存用に)焼いておこうっと。


第9章へ