涌蓋山(わいたさん) 家族でリベンジ!
親子(息子9歳,娘5歳)で登る

  2005.10.16
場所
熊本県小国町 ←地形図はここをクリック
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標高 1500m 歩く標高差 約700m
歩行距離 約6.5km
所要時間
大人(4時間) はげの湯先駐車場(牧柵)〜40分〜林道出合〜5分〜登山口〜60分〜頂上〜50分〜登山口〜〜林道経由45分〜はげの湯先駐車場(牧柵)
娘 (6時間) はげの湯先駐車場(牧柵)〜55分〜林道出合〜10分〜登山口〜90分〜頂上〜90分〜登山口〜〜林道経由50分〜はげの湯先駐車場(牧柵)
データ  2年前の11月,あまりの天気のよさに目指した涌蓋山。娘は3才,家族でちょっとした挑戦だった。
 歩き出すと大きな霜柱。ぬかるんだ道をみんながんばった。頂上まであと少しのところで娘が眠ってしまい,今日はそこまでとなった。でも,その眺めと子ども達のがんばりにちょっと感動したりした,そんな2年前だった。
 
 2年前の涌蓋山の山登り記録→ここ

 
さて,日曜日はいい天気の予報。子ども達も久しぶりだし,簡単に登れる万年山にでもいこうかと妻と話す。しかし,先日,久住登山を果たした妻にとっては,30分そこそこの山では不満な様子。
「涌蓋山はどう?」
「久しぶりだから,子ども達はきついやろう。」

2年前の様子が頭をよぎる。冷静に子ども達の現在の力量を分析する私。
「大丈夫って!歩ける歩ける!」
勢いが止まらない妻。
「まあ,天気を見て途中で決めようか・・・」

早朝5時前に自宅を出発。天気はいい。朝焼けがきれいだ。きれいで澄んだ空気は,山への憧憬をよみがえらせる。

「行っちゃおうか,涌蓋山」
「行っちゃおう,行っちゃおう。」

子ども達が後部座席で寝ている間に彼らの運命は決まってしまっていた。

 涌蓋山が見えると,いたるところに地滑りの後が残っている。この地であった大きな災害の爪痕はその姿にも残っていた。駐車場近くの道も荒れていた。

 
身支度を整えてさあリベンジだ。子ども達もはりきっていた。親をおいて勢いよく歩き始めた。が,逆方向。
「おいおい,そっちじゃない。こっちこっち。」
 林道からではなく,2年前と同じ,尾根道コースを行く。

 
かやとススキの道は粘土質で湿っていて滑りやすい。2年前は11月,今日は10月。かやとススキの背がまだ高く,娘は大変だ。しかし,登るに連れて,素晴らしい眺めが見えてくる。2年前は四苦八苦した道は,なんなく登り終えた。子ども達の成長をつくづく感じる。

 
一端林道に出て,登山口に向かう。途中が大きく崩壊しており,道を渡るのが怖いくらいだった。
「こんな道は,音を立てず,すみやかに渡ること!
子ども達に的確な指示を与えたと思って歩いていると,まん中あたりで大きなくしゃみが出た。かっこわりい。

 
登山口に着く。さあ,ここからが本番だ。笹道をずっと登っていく。
 しばし休憩し,いざ出発。
 娘は途中で寝たという2年前はよく覚えておらず,
「私が寝たのはここ?」
とずっと聞いていた。
「まだ先,まだ先,3才でよく歩いたねえ。」
と話しながら歩く。2年前は足がとどかなくて,だっこして上げていた道も,ぐんぐんと登っていく。

 
樹林帯を抜け,笹道に入る。子ども達のペースは速い。
 
「おいおい大丈夫か?ばてるぞ」
 しかし,そのペースはなかなか落ちない。2年間の間に成長したんだなあと感じ入る。そういえば,私も横に成長していた。

 
娘が2年前に寝た場所に来た。でも家族にとってはいい思い出の場所だ。そこでゆっくり休憩し,眺めを楽しんだ。下りはぬかるみの道に大格闘し,その甲斐あって,妻は登山靴を買うことになった。2年前がなつかしく浮かんでくる。

さあ,もう頂上は見えている。息子は駆けだした。
実は息子も2年前は,病弱だった。詳しくは割愛するが,要するに病気で肺で酸素を十分に取り込めていなかった。酸素を十分摂取できないということは,山での登りは彼にとってとてもつらい運動だった。2年前の涌蓋山では,あきらめずに登るものの息子の目にはずっと涙がたまっていた。「山登りは小さい山にしよう。」それが彼の口癖だった。でも,今日はその息子もぐんぐん登っていく。もちろん笑顔いっぱいだ。元気に駆け上がれる自分が誇らしかったに違いない。


 
待望の涌蓋山頂上・・・・って,あれっ,頂上はまだ先か・・・・
とススキを抜けると,
「うぉぉぉお〜」
眼前に広がる九重連山。たくさんの人がいるのに恥ずかしながら声をあげてしまった。


 頂上で昼食をとる。九重連山は眺めても眺めてもあきない。

 がんばった子ども達のために,今日は下山したら涌蓋山が見える家族風呂に入って,行きつけのおばあちゃんの店で焼き肉だ。

 やっぱり,ぬかるんだ道に格闘しながら下山した。登山口からは林道を通り,駐車場まで歩いた。途中2箇所,地滑りした場所を歩くので要注意。

 家族で登ってきて唯一頂上までたどり着けなかった涌蓋山。いつの日かリベンジをと思っていたが,その日はあっけなく訪れた。先日の妻の久住山登山の様子を聞いた息子は,星生山に行きたいとはりきっている。娘ももう久住山は歩けそうだ。気がつけば,子どもは親が思っているよりも成長しているものだとつくづく感じた。
 
 
初めて頂上を断念した思い出の涌蓋山。でも今日は,息子も娘も大きく成長したことを感じさせてくれた。ずっとこの先も,私たち家族にとってこの涌蓋山の山登りは子ども達の成長の節目にいつまでも思い出されていくことだろう。
 
駐車場 はげの湯先の林道に7〜8台ほど駐車できる。未舗装の林道先は,崩壊しており登山口までは車で行けない。
朝の涌蓋山はまだ雲がかかっていた。
 
 
駐車場に車をとめて,さあ出発だ。
 
  
尾根への取り付き。案外わかりにくい。草丈が高く娘は一苦労。
 
 
 
朝の光に輝くすすきは黄金色。

 
 
林道を歩き,地滑りの後を速やかにわたる。ちょっと緊張した。

 
 
やっと登山道到着。まずは,樹林帯を登っていく。

 
 
続いて,笹道を登り,2年前に娘が寝て断念した場所に到着。
今日はみんな元気だ。
 
  
 
頂上は見えてるぞ。息子は駆けだした。
親はついていくのに一苦労。
 
 
 
さあ,頂上だ。
 
 
んっ,なんか見えてきたぞ!
 
 

 
 
 
うぉぉぉおお! 息子と二人で声を上げる。突然目の前にあらわれた九重連山。
 
 
ぜいたくな眺めを楽しみながらの昼食タイム。
久住に見とれていた私は,3つしかないカップラーメンを喰い損ねた。

 
 
広い頂上を楽しんで,下山した。滑る道には苦労した。
登山口からはずっと林道を歩いて駐車場まで。

 
 
素晴らしい天気のリベンジ涌蓋山。
 親にとっても子どもにとっても,
今日の山登りはずっと心に残る
ことだろう。

 
 
 さあ,次はあの山だ!!