涌蓋山(わいたさん) 親子(息子7歳,娘3歳)で登る  2003.11.23
場所 熊本県小国町 ←地形図はここをクリック
標高 1500m 歩く標高差 約600m
(
頂上までは680m)
歩行距離 約3.5km
所要時間
(片道)
大人(100分) はげの湯先駐車場(牧柵)〜40分〜林道〜5分〜登山口〜60分〜頂上
娘 (300分) はげの湯先駐車場(牧柵)〜100分〜林道〜10分〜登山口〜60分〜頂上まであと20分
データ  久住山系から西に離れた場所にある涌蓋山。久住山や万年山からもその姿が美しい。はげの湯は我が家では,家族で熊本・大分に来たときはいつも寄るお馴染みの温泉。その家族風呂から,いつも眺めていたのがこの涌蓋山だ。いつか登りたいと思っていたが,今回家族で挑戦してみることにした。今までは,家族では標高差200以下の山が中心だった。今回も本当は湯布院の倉木山に登ろうと思っていたが,出発してのその澄み渡った空気と天気のよさに,意を決して,涌蓋山に登ることとする。標高差がかなりあり,単調な登りが続くこともあり,どこまで行けるか子どもの様子を見ながら登ってみることにした。

 はげの湯を過ぎ,林道を走ると舗装路の最後が駐車場になっている。車を止め,最初は舗装路を登ると牧柵があり,ここを越える。牧柵の先は,道が二手に分かれている。コンパスで地図を確認し,左だと思い登り始めると,その先で写真をとられていた方が「こっちからは登れんよ。あっち。あっち。」と教えてくれた。(だって私の地図では道は分かれていないんだもの・・・) 牧柵に戻り,右手の道を登り始める。U字に左に折れ,100mほどいくと,左側に涌蓋山の標識。砂利道を外れ,すすきの中の小さな尾根沿いを登る。眺めはすばらしく,空気はどこまでも澄んでいる。はげの湯や万年山が美しい。

 娘も息子も順調に登る。が・・・,
道にはみたこともないような霜柱。10cmはゆうにあるものが道脇にできていた。午前10時過ぎだというのに見事な形で残っている。ということは,午後はこの道はどうなるか・・・・。この娘を連れてこの道が下れるのかとても不安になってきた。が,娘はというと,滑り滑りしながらも快調に歩く。息子も眺めが気持ちいいのか,意気揚々と登る。すすきの道を登りつめると,林道に出る。未舗装の林道を10分ほど歩くと,やっと,涌蓋山登山口に到着。あれっ,ここまで車でこれるの?・・・・。登山口の前には数台の車。子連れならここまで来ればよかった。(しかし,ここまではなかなかの悪路で,少々底をこするのは覚悟した方がよいらしい。後でわかった。)

 
登山口からが本番。ここからが本格的な山登りだ。息子も娘もこれまでのどろどろ道にちょっとばて気味。しかし,行けるところまで行ってみようと出発する。(息子はとくかくカップヌードルが食べたくてしょうがなく,そのために頂上を目指すことを決意する。) 

 ここからは笹の中の細い道で,娘の手を前から引きながらの登りとなる。この道の黒土もどろどろ状態である。娘の足ではこの道を2時間はかかる。これは下りを考えると行っていいものかどうか迷うが,ここまで来たら,帰ろうというものは誰もいない。息子も娘もクイズをしながら,頂上をめざす。少し登ると,素晴らしい絶景が待っていた。
この晴れ渡った空に,澄み渡った空気。1年に1度めぐり合えるかどうかというくらいの山登り日よりだ。

 登る方々,降りてくる方々が子ども達に声をかけてくれる。「えらいねえ。ええ,下から歩いてきたの。すごいすごい。」 子ども達もうれしそうだ。登山口から歩き始めて,初めて頂上が見える。「おおっ,あそこまでいけば広い頂上と絶景が待っているぞ!!」 少し疲れて来た子ども達だが,悪路と戦いながらがんばるがんばる。
しかし,午後2時が近くなってくると娘に異変が起きた。そう,彼女にとっては昼寝の時間である。「おい,もうちょっとだぞがんばれ。」 「うーん,ねむたい・・・」 そりゃそうだ。ここまで歩けば眠気も来るだろう。「少し抱っこしてあげようか?」娘を抱っこして登り始めると,ありゃ,ことんと寝てしまった。頂上まで大人の足で後10分ほどの距離。抱っこして登ろうと考えたが,悪路の下りを増やすことの子ども達への負担と,時間を考えて,今回はここでカップヌードルタイムを持つことにした。

 もうちょっとで断念するこの惜しさもあるが,思いもよらずここまで歩いた子ども達がえらいと素直に思える。180度の絶景であるが,今日はよしとしよう。娘にありったけの服をかぶせて,昼寝させながら,家族3人でカップヌードル。これもまたよし。エベレスト登頂を目の前にして断念した数々の登山家の気持ちにちょっとだけ思いを馳せた。親としては勇気ある撤退だろう。

 20分ほど寝ると娘は目を覚ました。自分もカップヌードルが食べたかったらしく,めずらしく小のカップヌードルを完食した。
その後の下りは悪路との戦いだ。息子と妻は登山靴ではないので,滑る滑る・・・。スボンはいたるところに黒土マークが付いていた。登山口で妻と子ども達は待ち,私が車をとってきてまわすことにする。父はえらい。寒い中,家族のために,車があるところまで走って下った。登りは悪戦苦闘して100分近くかかった道は走ってみれば15分だった。(笑) 林道から車を回していると,妻と子ども達は別の方の車にのせてもらい,下ってきていた。登山口までの林道はなかなかの悪路らしく,父の車が普通車の聞いたその方は,3人を駐車場まで連れてきてくれていた。車に乗り込み,いきつけの「おばあちゃんの焼き肉屋さん」で夕食をとり,はげの湯に入った。

 
この山登り。家族にとっては挑戦だった。結果的に頂上には行けなかったが,妻は山のおもしろさに開眼してしまった。この翌日,福岡に行って妻の登山靴を購入することとなる。子ども達の山登りに適した靴も物色中だ。 子ども達もきつかったけど,とても楽しかったようだ。涌蓋山での登りの様子を見て,家族の山登りがひとつステップアップできそうな確信が持てた。家族にとっては,大きなステップになる山登りだった。

 帰りの車の中,娘に聞いた。
「今日のお山はきつかった?」
 「ううん,ねむかっただけ・・・・。また大きなお山がいい。」
 こいつは,なかなかやる。

駐車場 はげの湯先の林道に7〜8台ほど駐車できる。未舗装の林道を行けば,登山口まで行けるが,普通車はおすすめできない。いけないことはない。登山口前にも,7〜8台ほど駐車できる。
車を停め,牧柵に向かう。
 
 
意気揚々と登る子ども達。すすきの丘が美しい。
 
  
でかい霜柱。こんなでかいの初めて見たぞ。
 
 
 
すすきの道を進む。道は霜柱が溶け,滑りやすい。

 
 
美しい眺めを堪能しながら,道を進む。

 
 
笹道を抜けると林道に出る。。

 
 
もうすぐ,山頂だ!!

 
 
笹道をひたすら登る。

 
 
頂上が見えたきた。もう少しもう少し。

 
 
しかし,娘に突然の睡魔が・・・まあいい。
今日はここまで,だってこの絶景で十分。

 
 
頂上はもう少しだけど,ここでご褒美のカップヌードルタイム。

 
 
しばし,眺めを堪能します。
万年山が美しかった。
遠くには,雲仙岳も見えていました。

 
 
あんなところから登ってきたんだ。
はげの湯の湯煙が遠くに見える。

 
 
みんなよくがんばった。
このあと娘は復活し,元気に下山しました。

 翌日,妻にはピカピカの登山靴が。
山の魅力は人を変える。