立山三山縦走 
別山〜真砂岳〜富士ノ折立〜大汝山〜雄山〜一ノ越〜室堂
 
1人で登る
  2010.08.14(剱沢へ)〜(悪天候のため停滞)〜08.17(劔岳)〜  08.18(立山三山縦走)
別山方面から見る立山三山
 
場所 富山県中新川郡
立山町
地形図はここをクリック
 断面図,概念図は下をクリック
標高 別山2880m
真砂岳2861m
富士ノ折立2999m
大汝山3015m
雄山2992m
歩く標高差 累積 計1500m
(全日程2200m)
歩行距離  約13Km
(全日程20km)
行動時間 約6時間 剱御前小舎〜30分〜別山(30分滞在)〜60分〜真砂岳〜40分〜富士ノ折立〜15分〜大汝山〜15分〜雄山〜40分〜一ノ越〜50分〜室堂ターミナル
データ  
 
今日は下山の日である。今回は雨のため、立山〜薬師岳の縦走は叶わなかったが、1日目の行程として考えていたルートを逆にたどって降りることにした。別山から雄山を経由して室堂に至るルートである。

 
剱御前小舎最後の日は、夕食も朝食も頼み、立派な宿泊者気分を味わってみることにした。やはり一人で自炊して食べる食事よりも、一緒に山を語り合いながら食べる食事がうまい。雪の早月尾根を12月に歩くというすごい方もいて、話にいろいろ聞き入った。この日は部屋に3人となり、山の話に花が咲く。気づけば3人談話室に集まって、山の話に花が咲いた。いつまでも心地よい剱御前小舎の夜だった。

 
朝日を見たいと思い、4時に起きるが、外は濃いガスである。5時半に朝食を食べ、ガスが晴れるのをじっと待つ。できればもう一度剱岳を眼前に見て、この地を去りたい。6時、7時となるが、ガスは白く濃いままである。もう少し、もう少し。受付の心平さんも、まだ見えませんねえと声をかける。7時を過ぎて、もうそろそろ出発延長の限界かと思い身支度を済ませる。7時15分、少しずつガスがとれはじめた。このままいけば、別山あたりでガスもとれるかなと思い、旅立つことにする。玄関で靴を履いていると、心平さんが受付からわざわざ出てきて、見送ってくださった。
「長いことお世話になりました。楽しく思い出に残る山となりました。ありがとうございます。」
とお礼を言うと、
「よかったです。また、是非来てくださいね。」
遠い九州の離島から、そうそう来れるわけはないのだが、それも理解してあえてこう言ってくれる言葉の重みとあたたかさがうれしかった。3泊もした宿を発つのは、せつないものである。ちょっと声をつまらせながら、もう一度
「ありがとうございます。」
と声をかけて、剱御前小舎の玄関から外に出た。

 
外は、ガスが切れかかり、青空がのぞいている。剱岳も山頂は隠しているものの、その山容をかすかに見せてくれている。何度も剱御前小舎を振り返りながら、別山に向かった。背負う荷物は食料が減った分軽くなった。20kgくらいだろうか、来るときに比べるととても軽く感じられた。別山と真砂岳との分岐地点に来るが、まだガスはとれない。まあ、そんなにうまく見えるわけもないかと思う。やっぱり天気には勝てない。自分の力でどうにかしようと思っても、自然を前にしてはどうしようもないことがよくわかった今回の山行だった。

 
一応、ガスの中でも別山までは行ってみようと、歩き出す。と、白いガスがカーテンのようにサーッと引きだした。まるで、お待たせしました!とカーテンを引いたかのような雲の引き方だった。そして、眼前に突然姿を現したのは、威風堂々の剱岳である。別山頂上からは、劔沢を俯瞰し、剱岳と真っ正面から対峙する感じである。背後には後立山連峰の山々がその峰を雲の合間からのぞかせている。これぞ北アルプス、憧れの山の連なりに思いを馳せる。別山を去りがたく、思いの他、時間を使ってしまっていた。30分ほど、別山で眺めを楽しんで、真砂岳に向かった。

 
真砂岳への登りはすぐそこのようだが、なかなか着かない。それにしてもこれから歩く道と振り返る稜線の美しさは圧巻である。左には後立山、右に室堂平が広がり、空中漫歩といった感じの登山道である。

 
真砂岳に着くと、黒部川の方に大きな雪渓が張り出していた。もう当たり前のように感じるようになった雪渓であるが、3000m近いここでしか見られない貴重な風景であることをふと思い出す。

 
真砂岳から富士の折立へ。20kgの荷物をしょってのこの登りがなかなか堪えた。時折、登山者とすれ違うが、もう笑うしかない。(笑) 
「まだまだありますねえ。なかかな、こたえますぅ〜(笑)」
と、見栄を張って歩くことがばからしくなってくる。このきつさも楽しまなくちゃ。

 
富士の折立に着いて振り返ると、もう見れないと思っていた剱岳が、今歩いてきた別山の向こうに屹立している。荘厳な眺めである。

 
富士の折立から岩場の道を歩いて、大汝山へ。大汝山は、登山道からちょっとそれたところに山頂があるが、山頂の岩場からは、濃い緑色の水面を空にさらした黒部第四ダムがある。よくも、こんな山奥にと驚くその姿である。

 
大汝山を過ぎ、雄山に着くと、ここはもう登山者の世界ではない。たくさんの観光客でにぎわう場所である。雄山から急坂を下って、一ノ越に向かう。地元の小中学生が同じジャージを着てたくさん登ってきていた。引率しているのは大学生のようで、明るいあいさつにこちらも元気をもらう。

 
一ノ越は一ノ越山荘があり、たくさんの人が休憩していた。最後の眺めを楽しんで、室堂に下山する。途中、先ほど雄山の下りですれ違った小中学生と同じジャージを来た小学生男子3人が登ってきていた。
「怒られるかなあ。」
などと会話しながら登ってきている。きっと、ちょっと生意気に団体行動から外れて道草でもしていたのだろう。しかし、それもまた夏の一つの冒険でいいかと思える、室堂の輝いて広がった青空と緑の萌えた大地であった。

 来るときは、まったく白いガスの中でわからなかった風景を、じっくりバスからも眺めながら富山に向かった。

 
朝、ガスが一気に晴れだした。3泊した剱御前小舎を後にする。
人が温かいこの小屋だった。奥深い山でも、やっぱり最後に魅力と感じるのは人である。
 
小屋の前は晴れてきていたのだが、別山に近づくとガスが濃くなってきた。

別山北峰に近づくと一気にガスが晴れた。
そして、剱岳がその全貌を見せ始めた。
 
 
別山からの剱岳の眺めは、正面から向かい合う感じがして、
迫力満点である。
 

 
山頂の祠らしきものや人影も肉眼で見える。嘘のような本当の話。
 
 
八ツ峰方面の岩の姿。剱岳の厳しさを象徴するルートである。
 
  

別山方面から剱御前小舎を見下ろす。 山の上の雪渓と硯ヶ池。
  
  
別山を後にして、真砂岳を目指す。すぐそこのようだが、なかなか着かない感じがする。
 

 
最後は稜線上を詰めて、真砂岳山頂に着いた。
 
 
歩いた稜線を振り返る。向こうにそびえるのは、奥大日岳。
 
 
富士ノ折立を目指して歩く。左右の景色にただただ見とれる。
 
 

富士ノ折立からは剱岳の姿を再び眺めることができた。
背中の方には、槍ヶ岳や前穂高の姿も見えていた。
 

 
大汝休憩所を経て、少し左にそれて大汝山山頂へ。
 
 
眼下には黒部第四ダム。姿を見たかった針ノ木岳は雲に隠れたままだった。
雄山まではあと一息。
 

 
室堂平の全貌が見えた。まさに雲上の楽園である。
 
 

雄山に着く。登山者よりも軽装の観光客が多くなった。
 

 
今回縦走したかった五色ヶ原、薬師岳方面。またいつか歩きたい思いをつのらせながら、休憩した。
 
 

雄山から一ノ越への下りは、いろいろな踏み跡が交錯しているので、ルートをよく選びながら歩く。
 
 

一ノ越からは、石畳の道をゆっくりと歩いていった。 
 
 

室堂に向かう道では、今日歩いてきた稜線をしっかり見て、まぶたに焼き付けた。
 
 雨に始まった今回の剱岳・立山の歩き。
最後は天気にもめぐまれた。
それにしても、あっばれ!さすがの剱・立山の山々だった。

終わりよければすべてよし。
何度も振り返って、室堂を後にした。
 
 



 
 
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