コンビニがないっ!!
 日帰り単独では,ここが限界かなという距離。所用時間4時間と計算。自宅を1時半に出る。
 登山口到着が5時半。1時間仮眠をとって6時半登山開始。2時半下山完了の完璧な計算のもとに計画を実行。

 高速に乗る前にコンビニに寄る。お菓子類を買う。昼食用のおにぎりも買おうかと思ったが,いつもの好きな種類がない。(この好き嫌いがよくない) まっ,高速を下りてから買うことにして,一路,御船ICへ向かう。

 御船ICを下りて,コンビニはないかと探す。旧矢部町に1件あったが,ここのおにぎりはいまいち好きではない。(この好き嫌いもよくない。自分の首をしめることになった。) 次にあったら買うかと車を進める。もう,祖母に登るのが楽しみなのと,寝不足なために超楽天的な脳味噌になっていた。

 旧清和村を通る。目の前の空には大きな流れ星がたくさん見える。こんなにたくさんの星を見るのはどれだけぶりだろう。満天の星を楽しみながら,走っていく。なんて素敵な夜。そのとき,いやな予感・・・・ あれっ・・・この先コンビニあったっけ・・・・ いやいや,高千穂には確かあったぞ。今年の夏にキャンプに来た記憶をたどる。

 そして,高千穂に着く。走り続けてきて,なかなか眠くなってきた。コンビニは確かこの辺の右側に・・・あったあ!!・・・げっ,しまっとる。しばらく高千穂の町中を車で徘徊するがコンビニはない。げっげっ,頭はパニックだ。目も覚めた。おにぎりの中身の好き嫌いをした自分を責める。おかあちゃんごめんなさい。もう好き嫌いはしません。という気分。

 今日の山は8時間を予定している。祖母山で昼食を持たずに登ることは無謀だ。お菓子はいくらかあるが,最後がばてるだろう。

 ここで頭はいろいろなことを考える。

 @旧矢部町まで戻るか(往復1時間)
 A高千穂で見つけたジョイフルでおにぎり買って袋につめるか(ちょっと恥ずかしい)
 B阿蘇までもどればコンビニはあるだろう(往復1時間)
 Cもう少し延岡側に走るか(北方に確かコンビニがあった記憶がある)

 「考えるより,行え」だ。延岡側に行け!とばしにとばして30分。

 あったあ!・・・・でもしまっとる。
 開店時間は6時・・・・時間がもったいない。それなら,高千穂のコンビニで開店時間を待つのが得策だ。

 高千穂に戻ってコンビニの前に車を停める。げっ,高千穂の開店時間は7時。

 今日の山の予定は8時間,初めての祖母山で,しかも単独。早出が条件の今日の山で,8時過ぎに登り始めることは焦りを生み,事故のもとを作りかねない。おまけに仮眠をとる時間もないので眠くてしょうがない。ああ,だめだ。せっかくきたけど,あきらめるしかないのか。実は,今日は妻の誕生日。妻の誕生日を私の事故で心配させてはいけない。ああ,大村で買ってやれなかったおにぎりさんごめんなさい。夜はささやかな誕生パーティーを予定していたにも関わらず快く山に送り出してくれた妻や子ども達の顔が浮かぶ。「お父さん,好き嫌いするから山にも登れなかったんだよねえ。」と追い打ちをかける娘の鋭すぎる指摘の声が耳に聞こえてくる。ああ,今度来るとしたらいつになるだろう。今年がだめなら,もう祖母山には登れないかもしれない・・・それも人生か。睡眠を要求する脳は思考を奈落の底に落として,事態をどんどん深刻に考えさせようとする。

 しょうがない。せめて登山口でも確かめて帰るかと,心を落ち着かせ,車をスタートさせる。
道すがら,このコンビニさえ開いていれば,思って見ると,あっ,あっ,空いとる!!7時開店予定の店か6時半前に空いていた。急いで,おにぎりを買った。コンビニのお姉ちゃんが天使に見えた。

 結局,おにぎり探しで費やしたロス2時間。いざという時のためにアルファ米を常備しておくべきだと考える。

 登山口にはどうにか7時半過ぎに着き,無事,祖母山を登ることができた。

 
で,食欲もなく,結局,あれだけ四苦八苦したのに買ったおにぎりのうち喰ったのは1個だけだった。
 まあ,人生そんなもんだ。 

 帰り道,神様に誓った。もう,おにぎりの好き嫌いはしませんと。