九千部岳(くせんぶだけ) 一人で登る  2003.2.9

2004年の九千部岳・吾妻岳はこちら ---> 九千部岳・吾妻岳
場所 長崎県千々石町 ←地形図はここをクリック
標高 1062m 歩く標高差 約500m 歩行距離 今回は約6km
所要時間
大人
(3時間半)
田代原トレイルセンター〜20分〜登山口〜30分〜鞍部〜25分〜頂上(1時間滞在)〜60分(西側登山道)〜田代原トレイルセンター
データ  今回は以前から,登りたかった雲仙火山群の西側に位置する九千部岳に登ることとなった。ここは,夏に田代原キャンプ場を訪れて以来,魅力ある場所で目の前の九千部岳と背後の切り立った吾妻岳に見入ってしまった。

 前日は雨が降り,この日は晴れの予報で,いざ出発。車で移動中,ありゃ,雲仙方面には暗い雲がかかっている。きっとこの雲はいずれとれると思いながら,車を走らせる。田代原に着くが,九千部岳も吾妻岳も雲に隠れて,ほとんど見えない。駐車場には誰もいない。実はこの前の日レンタルビデオで「バーティカル・リミット」(K2で遭難する映画)を観て,「デス・ゾーン(エベレスト大量遭難の真実)」という本を読んだために,雲の中に入って登山するのはさすがにためらった。雲がただ尾根にあたって砕けるのが,まるでK2の雪嵐に見える。(笑) 1時間ほど待機して,少し雲が上に上がってきた時点で登山を決行。(ちょっとおおげさ)

 トレイルセンターからは,九州自然遊歩道を田代原平原にそって歩いていく。階段のある心地よい道だ。が,ふと目を横にやれば,やはりここにも猪の餌をほった後がいくつもある。今日はさすがに,一人で声を出しながら歩くことにした。しかし,大きな声で歌うのは誰もいないのに恥ずかしい。そこで,「よいしょ!」「えっこらさ」「どっこらしょ」と民謡の合いの手のような声を出して登る自分に,つくづく日本人だなあと感じさせられた。

 遊歩道から東屋をいくつか過ぎたあたりで,右に曲がって登山道に入る。最初は緩やかな道が続き,これまた心地よい。しばらくすると,階段状の道に変わり,少し急な階段をしばらく上ると,階段の終わりは,九千部岳の頂上が見えるところとなっている。ここにはベンチがあり,ひとまず休憩。最後の頂上アタック(本の影響で表現が大げさだ)を目指すこととする。ここで,またまた遠くで犬の声と猟銃の音が響く。今日も手負い猪に気を使いながらの登山かと思いながら,頂上を目指すことにする。鞍部に着くと,吹越側の登山口と合流し,九千部大明神の赤い鳥居がある。今日はここで,佐賀からいらしたご年輩の夫婦と一緒になった。
頂上までは,岩を登ったり,ロープを掴んだり,細い道を行ったりとなかなか変化のある道だった。途中から,目の前が開け,雲仙の妙見岳,国見岳が鮮やかに視界に飛び込んできた。「いやあ,絶景,絶景」。景色は疲れを吹き飛ばす。

 
頂上の岩の上に登ると360度の展望で,間近に妙見岳,国見岳,橘湾を経た東長崎,諫早干拓と多良岳山系,有明海と大牟田方面と素晴らしい眺めで,1時間あまりも頂上にゆっくりした。頂上には正午近くになると何組かの方々が訪れ,見ず知らずの人たちとの会話が楽しかった。

 帰りはちょっと急な西側から降りることにした。実は登山ガイドと国土地理院の地形図のコピーを持参しているのだが,地形図には帰りの登山道は載っていなかった。登山ガイドと見比べて,「ああ,帰りは尾根沿いに下っていくんだなあ」と覚えていた。帰りの道は結構急で,前日の雨もあって大変すべりやすい。雪も少し残っていたため,道がなおわかりにくかった。ここかなあと歩いていくうちに道がなくなっているのに気づいた。左側を見ると尾根が見える。
「げげっ,迷った。尾根を歩いていない。」改めて,地形図を見ると頂上からしばらくは同じ高さの道を歩くようだ。「早く下り過ぎた」 しばらく登りもとに道をたどるとどこで間違ったのかわかった。わざわざロープでふさいである道の先を下ってしまっていた。身近な山でも地形図を持つことと,確認して歩くことの大切さを痛感した。

 
帰りを間違わないために・・・・
  
下り始めてすぐ,右に九千部大明神の方向を示す札があり,大きな岩とその下の穴が見えますが,そっちの方は下山路ではありません。また,一回山道を歩いたあと,もう一度少し登って展望のきく場所(頂上と妙見岳方面が重なるように見える大きな岩の上)に出ます。それまでは早く下らないように。
             国土地理院の地図はこちらから
               →http://mapbrowse.gsi.go.jp/mapsearch.html

 帰りは大きな岩もあり,ロープもありなかなか楽しめました。途中吾妻岳,田代原の駐車場がよく見える岩場もあります。最後は県道に出て,100m歩くとトレイルセンターに着きます。

 なかなか変化に富んだいい山でした。途中から天気も素晴らしくなり,佐賀からのご夫婦の話では,国見岳の方より眺めがよかったとのことでした。今度は誰かを連れてきたくなる山でした。
駐車場 田代原岳トレイルセンターにたくさん駐車できます。
田代原トレイルセンター 県道を渡って,自然道に 気持ちよい小道です
またまた,猪の掘った後・・・・・大きい
この案内の所で,右折です。 しばらくはゆるやかな道を行きます
ちょっと狭くなって・・・ ちょっと階段になって・・・ 急な階段・・・ふぅふぅ
おおっ,山頂が見える,もう一息。
鞍部で,赤い鳥居に。ここをくぐって,頂上目指す。
急な道を登り 岩をよけ 岩を登り 細い道もなんのその
目指せよ,頂上 眺めに立ち止まる
頂上に到着! 今,来た,道もいい眺め
妙見岳と国見岳 大牟田方面
橘湾と千々石方面 諫早干拓方面
いゃあ,絶景かな。絶景かな。ちなみに立っているのは私ではありません。(笑)
帰りの下りも飽きさせません。
県道が見えてきた トレイルセンターの中
 田代原キャンプ場背後の吾妻岳。半年前,この山を見てから,
私の人生は豊かになった気がする。何かがはじけた。