九千部岳(くせんぶだけ)吾妻岳(あづまだけ) 
 一人で登る  2004.2.28
田代原牧場の正面の九千部岳
 
もっと,天気が良かった日の九千部岳はこちら----->2003年九千部岳
場所 長崎県千々石町・吾妻町 地形図はここをクリック
断面図,概念図はここをクリック
標高 九千部岳1062m
吾妻岳870m
歩く標高差 .累積770m 歩行距離 約7Km
所要時間 大人
約4時間
田代原トレイルセンター〜20分〜登山口〜30分〜鞍部〜20分〜頂上〜50分(西側登山道)〜田代原トレイルセンター〜30分〜吾妻岳〜10分〜馬頭観音〜30分〜田代原トレイルセンター
駐車場 田代原トレイルセンターに20台くらい駐車可
データ  さあ,明日はどこに登ろう。妻から「遠くに行ってもいいよ」の仏様のような声。でも,日曜日は仕事だし,遠くまで行くと夜仕事できないし・・・ いろいろ考えたいこともある。このところ,ちょっと人生について考えたくなった。福岡,佐賀,熊本,大分を股に掛けて,迷ったあげく,長崎の山にした。(なんじゃそりゃ。)
 
 
数年前,光の恩恵を浴びたような経験をした田代原。その背後の吾妻岳。野鳥の声が美しく田代原に堂々と威容を放つ九千部岳と吾妻岳。どうも,人生を考えたくなるとき,私はこの田代原に来てしまう。
 
 「もう,膝もそう痛むまい」と思いつつも,前日の夜,テーピングとチタンシールをする。備えあれば憂いなし。と思ったら,夜中・・・・・
 「うがぁぁぁぁ!!!」
 
自分の声で目が覚める。足が!!ふくらはぎがつった!!それも痛めている左足・・・・ 
「なんで,登る前の日につるんじゃあ!!!まだ登っとらんぞぉ!! 」
と心の中で叫びつつ,寝ぼけながらストレッチを続けていた。
そう,私の足は医者お墨付きの「つりやすい足・・・・」
 
 そんなんで,早く起きれず,やっぱ長崎にしといてよかった。

 田代原に着くと,車が一台停まっている。準備をしている間に,2台の車が来た。1台の車は軽トラック。地元の人だった。
 「あんちゃん,今日はどこに登っと?」
 「ええと,あっちとこっちに」
 向かって左側の九千部岳と向かって右側の吾妻岳を指す。
 「ほう!両方ね!若か人は違うねえ!」
 元気よく地元のお二人さんは登って行った。

 田代原からは,自然歩道を歩く。時々木の板の道で,東屋もある。いろいろ考えたいこともある。しかし,息が上がってくると考えることは無理だ。途中の鞍部で,先ほどのお二人さんが休んでいる。今日は休まずに上まで行っちゃおう。鞍部を過ぎ,赤い九千部大明神の赤鳥居を過ぎると,急登となってくる。しかし,この道は,雲仙の山々や橘湾を眺めながら歩くことができ,疲れを感じる暇はない。やっぱ,九千部岳の眺めは格別。雲仙岳より,私はこの奥雲仙が好きだ。

 
頂上に着くと誰もいなかった。しばし,眺めを堪能する。しばらくすると,先ほどのお二人が来た。その後は佐世保からいらしたお三方。しばし,談笑し,頂上を後にする。下りは慎重に行った。速さはいらない。足の負担にならないようにていねいに降りた。降りながら,そう言えば,この九千部岳の下りで,大腿四頭筋を鍛えようと,少し腰を落として歩いていたっけ。鍛えるのもほどほどにしなきゃと感じる。自分では気づいていなかったが,やっぱり下りのていねいさに欠けていた。「下りこそ,ていねいに」肝に銘じておこう。

 田代原トレイルセンターに着いて,しばし休み,吾妻岳に向かう。吾妻岳には,田代原キャンプ場の中に入り,登山道を目指す。地形図で見ると距離は短いがなかなかの急登だ。
「うん,そうでもないかな? んっ? あれぇ,こりゃ急登だわ。下りが大変」
 地元のお二人さんは,40分くらいで着くよと言っていた。休まずこつこつ登り,30分くらいで頂上に着いた。頂上への道は,本道から右側の木々の間に踏み込んでいく。
頂上は眺めは・・・・ない。まったくなかった。回りを木がおおっていた。

 
せっかくなので,馬頭観音まで足を伸ばすことに。頂上からの道を2,3分行くと,眺めのよい岩場に出た。右側と左側に岩場がある。せっかくなので,慎重に右側の岩場に登ってみた。足がかりは木である。木に登るようにして岩に登るのがコツだ。この岩場からの眺めは格別。恐怖感も格別。ちょっとへっぴり腰になる自分がおかしい。

 
岩場を後にすると,馬頭観音があった。
 「へぇ,こんな山の上に・・・」
 となかなか趣がある観音だ。中まで入っていくと,どうも人が直立したような形の岩を祀ってある感じだ。

 
しばし,休んで,頂上近くのベンチが設置してある場所に戻る。ここで,昼食にした。

 ここ数ヶ月。足を冷やすと痛みが来るので,昼食らしい休憩はとっていなかった。今日は久しぶりにカップヌードルとあったかいコーヒーにしよう。やっぱ,うまい。しばらくすると,佐世保からのお三方も吾妻岳に登ってこられた。吾妻岳は誰も登っていないだろうと思っていたが,いやいや,数人とすれ違った。地元の方に愛されているんだなあとつくづく感じる。

 
吾妻岳から,下りは,慎重に,ゆっくりを心がけた。どうやら,膝も痛まずに済んだ。ほっと一息。しかし,この膝の痛みはどうもトラウマになってしまったようだ。下りがこわくてしょうがない。でも,そのおかげで,慎重に降りることの大切さも学んだからいいか。

 田代原に降りて,九千部岳と吾妻岳を眺める。どっちも美しいなあ。

 
いろいろ考えたくて,選んだこの山だったが,ふと思い出した。
 浮き世のことを考えなくて済む時間が,山だったと。
 だから,浮き世を忘れたこのひとときが持てたことで十分。


 田代原,悩んだ頃にまた来るね。


 
 
 
田代原トレイルセンターから,九千部岳に出発。
 
 
 
20分ほど,気持ちのよい自然歩道が続く。
 背後には,後で登る吾妻岳。
 
 
 
牧柵から右に曲がり,しばらく林道を歩くと途中から山道となる。
 
 
 
 石の階段状の道をこつこつと登ると鞍部に着く。そして,九千部大明神の鳥居から岩あり,
 道狭しの楽しい変化のある道になる。

 
 
こ急登に入るとこんな道やこんな道。
でも,大丈夫
  
  

 
だって,とっても眺めがいいんだもの。
  
  
 
見とれては立ち止まりながら,頂上に到着。
  
  
 
間近に迫る雲仙の山並み 遠くには,熊本方面の山が雲海の上に
橘湾 多良山系
 
 
九千部岳頂上を振り返りながら,田代原に下山する。
 
 
 
長くなったので,吾妻岳は違うページで ----->  吾妻岳
 
 
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