猟師のおっちゃんの話 |
下りで,休憩していると,猟師のおっちゃんがやってきた。 「銃声が聞こえんやったね? 今,イノシシ猟の講習会がありよるから,気をつけな,あかんよ。 」 えっ,さっきの銃声は,イノシシ猟の音か・・・ 「あの猟の犬は,人間もイノシシも吠えるけん,バァンと人間もうたれるとさ。俺のごと,オレンジや黄色の服を着とかんといけん。」 確かに,おっちゃんははでな服を着ている。靴は白い長靴だ。山のプロは違う。こんな長靴で,雪の残る山もすいすいなのだろう。 「ちょうど,あんたが座っとる場所が,猟師の待つ位置やけ。」 ぎょぎょ,ここはイノシシを追い込むところか。 「上からや下から,犬にイノシシを追い込まして,この辺で打ちよる。犬の声が聞こえたら,イノシシが走ってとびでてくるけん,そう,こんな木の上に登ってにげとかんと・・・」 ひょえ〜。木になんかそう簡単に登れんぞ。杉の木ばっかりやないか。 「それから,道をそれると,イノシシの罠が仕掛けてあるけん,道をそれんようにせんと。なあんも山を知らんもんが,すぐどこでも歩きよる。わしも年をとって,そう遠くには仕掛けんようになった。」 げげっ,その辺にイノシシの罠があるとは・・・・ その後もいろいろと話を聞いた。要約すると,
などなど。 つまり,冬の郡岳は,手負いのイノシシに会う危険性を孕んでいるようだ。 登る途中に見つけて大きな足跡について聞くと, 「それはなあ。わしが15年追い求めている幻のイノシシに違いない。」 大造じいさんみたいな答えが返ってきた。 山のことを全然知らない自分に愕然とするとともに,山に生きる人への畏怖を感じた。動物たちの領域に自分達が入り込んでいる危機感をつねに持たないといけないと感じた。 ちなみに年間猟での事故は全国で100件を越える。民間人(猟に関係ない人)のけが人も5〜6人ほど出ているようだ。イノシシおそるべし。 参考→狩猟により発生した事故概要(平成12年度) http://homepage3.nifty.com/hungryhunter/stat/jiko_h12.html |
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