牧の戸〜星生山(ほっしょうさん)〜久住山(くじゅうさん)〜牧の戸
ヒロ坊と二人で登る 2006.8.13
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星生山から星生崎に向かう岩尾根にて,来た道を振り返り見る。
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場所 |
大分県九重町
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標高 |
星生山 1762m
久住山 1787m
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歩く標高差 |
.累積786m |
歩行距離 |
約10Km |
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所要時間 |
大人
約5時間半 |
牧の戸登山口〜沓掛山〜扇ヶ鼻分岐〜星生山〜久住分かれ〜久住山〜〜久住分かれ〜牧ノ戸登山口 |
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データ |
福岡市に友人がいる。幼稚園の頃から知っている竹馬の友「ヒロ坊」である。今年になって自宅に泊まりに来たときから,一緒に登ろうと半分冗談で話していたが,結構その気で,今回実現することとなった。実は「ヒロ坊」大学時代,ワンダーフォーゲル部である。ただ,半年しか在籍していなかったという事実はあるが・・・ 雲仙や宝満山に登っていたらしい。「腐っても鯛」という言葉があるが,「腐ってもワンゲル」。その心意気を見せてもらおう。久住は登ったことがないらしいので,夏の青々とした美しい久住を見せてあげたく久住山を選んだ。
前日に我が家に来て1泊し,夜中に出発である。服やら靴やらザックやら,一通り私のものを貸すことにする。ヒロ坊は,久しぶりの山なので,水など重たいものは私のザックに入れようとすると,
「俺のは軽すぎる。もっと荷物を入れてくれ。」
と言う。ワンゲル時代どのくらいの荷物を担いでいたか聞くと,キスリングで20〜30kgを担いでいたらしい。当然,景色を眺めたり,花を見つけたり,楽しんで登る余裕はなく,それはそれは過酷な山歩きだったらしい。これは,なかなか頼もしいぞ!と期待をしながら眠りについた。
夜中3時に出発。今回は高速を運転するが眠い。途中,ヒロ坊に運転を代わってもらい熟睡。非常に助かった。
朝5時半に牧の戸に着くと,車はまばらで,車中泊の人達が起き出していた。うっすらと明るくなってきた空に目をやると,天気はいいようだ。ヒロ坊ついてるぞ。
牧の戸を6時に出発。最初の舗装してある登り坂にかかる。案の定,はりきっているヒロ坊のペースは速い。
「ヒロ坊,あとでばてるぞ。20分経つと体にエンジンがかかるから,とにかく最初はゆっくり行こう。」
と声をかける。ついつい速くなるヒロ坊を諫めながら,とつとつと歩いて行った。沓掛山に着くと,気温17度。風が涼しい。夏であることを忘れそうになる。久住の早朝ならではの快適さである。沓掛山からは阿蘇の山並みがきれいに見える。今朝は夏だというのに,素晴らしい秋晴れのような視界である。わが長崎の雲仙や多良山系も確認することができた。
「俺なんか初めて久住に来たときは,霧の中で何も見えなかったぞ」 その時の久住はここ→霧の久住山
と言うと,
「やっぱ日頃の「行い」やろう」
と言葉が返る。
「こんな天気がいつもの久住だと思うなよ。」と脅すような言葉をかけながら,歩いていく。
「これが久住かとなめて来ると,怪我するということやね。」
さすが,腐ってもワンゲル。わかっとるやないか。
扇が鼻の分岐点まで来て,しばし休憩である。振り返る緑が陽を浴びてきらきらと輝く。ヒロ坊の疲れ具合を聞くと,全然大丈夫だいう。ならば,せっかくなので星生山を歩いて行こう。朝露でびしょびしょになるので,下だけレインスーツを履いて,星生山に取り付く。星生山までの尾根にかかると,北側から雲がせまってきた。あっという間にガスに包まれる。快晴の見晴らしから,ガスの中へと様相が一変する。高い山にいることを実感させられる自然の粋な演出である。ヒロ坊ほんとについとるなあお前。星生山までの道では,南側は快晴の見晴らしがある地上の楽園,北側がガスが渦巻く幻想的な世界である。現実と幻覚の狭間を歩いているような不思議な光景だった。
星生山でガスに見え隠れする三俣山の眺めを楽しみ,岩尾根を巡っていく。手を使いながら落ちないように気をつけて進む岩場は,山を巡っている実感を感じさせてくれる。星生崎からは,久住別れを懐に抱えてそびえるように眼前に立ち誇る迫力満点の久住山が見える。
久住別れから久住山まで登りはヒロ坊に無理させないように様子を見ながら歩く。ヒロ坊の息が切れてくると立ち止まったり,ちょっと写真を撮ったりして,ゆっくりゆっくりリードしていく。
「俺,結構いいペースで,付いてこれてると思わない?」
「うっ・・・うん・・・」
息も絶え絶えのヒロ坊にすぐに返す言葉が思いつかなかった・・・
やがて,久住山山頂に着く。残念ながら南側の眺めはガスで望めないが,今歩いてきた北側の眺めは最高だ。今日は,この後下りるだけ。ゆっくり食事をして,いろいろな話をしながら,山頂のゆっくりとした時間を楽しんだ。結構元気に歩いたヒロ坊。しかし,やはり前半のおちゃめが過ぎて,最後はちょっと膝にきていたようだ。でも,笑いながら進む彼にワンゲル魂を垣間見た。
気心しれた同級生との山歩き。山の素晴らしさも厳しさも同時に学んだ今日の山。ヒロ坊との次回があるかどうか・・・たぶん明日に訪れる彼の筋肉痛の程度次第かなあと思いつつ帰路についた。
翌日,メールが届く。思ったより足は痛くないとのこと。そうか,ヒロ坊,君の筋肉痛は2日後だ。明日にははっきりする。でも,やる気十分。
ヒロ坊,次回は涼しくなって由布岳だ!
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朝焼けの牧の戸峠。さあ,ヒロ坊,がんばるぞ。
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おきまりのピースサインで余裕の初め。
帰りもこの余裕があればいいが・・・・
「おい,速いってば。ばてるぞ。」
しかし,アドレナリンが出始めた彼の足はどんどん前に進む。
「頼むから,そのアドレナリン。あと,3時間とっとけ・・・」と心の中でつぶやく。
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三俣山から,朝日が昇る。
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ヒロ坊,順調に進む。
頼みもしないのに,いろいろとポーズを撮る。
その無駄な動き,後で後悔のもとになるぞ。
朝の光が美しい。
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遠くに由布岳が頭を出していた。
風がなく,雲が静かにたなびいている。
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今来た道を振り返る。
どれくらい歩いたのか距離感がよくわかる久住山への道だ。
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眼前に阿蘇の雄大な山々が広がる。
雲仙や多良岳まで見えた。
澄み切った空気がずっと遠くまで続いている。
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しばらく休憩して,目指すは星生山。
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緑に輝く星生山が待ってるぞ。
岩場に取り付く。
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こんなに天気がいいと,お前の1年分の運を使い果たしてしまうぞ。
そう,思って,まもなく,ガスがかかってきた。
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あっという間にガスの中。
高い山に来た雰囲気がいい。
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星生山山頂からは,見え隠れする三俣山や硫黄山がまた違った雰囲気で迫力がある。
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星生山からの岩場は,最初びびっていたが,
その眺めのよさには,何度も振り返りながら歩いていた。
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久住分かれで休憩して,いざ久住山へ。
もう少しだ。気合いが入る。
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もうちょいだ。ファイト。
ワンゲル魂ここにあ・・・・る・・・かな
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そして,めでたく山頂へ。
よくやった。思わず
「やった〜」
と声が出た。
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ヒロ坊よくがんばった。
天気に恵まれ,山の素晴らしさとちょっとした大変さと,さまざまなことが凝縮した半日だった。
これしきの山たいしたことないと思っていたが,
帰りの車を運転しながら,私の方が眠くてしょうがない。
ヒロ坊が運転を代わってくれ,またまた爆睡。
気がつくと福岡だった。
「あれっ,なんで俺,福岡にいるの?」
うちの子ども達はいつも親に連れ回され,目が覚めると
「なんでここにいるの?」
こんな感じなのかなあ。
ねぼけまなこの私に
ヒロ坊こそ疲れているはずなのだが,笑顔で,
「まだ,寝とっていいよ。」
と声をかけてくれる。
お前,いい奴やなあ。
いやいやヒロ坊の運転にはひたすら感謝である。
考えてみれば,連れて行ってるつもりが,しっかり運転してもらって,
その間ぐっすり寝れて,実は持ちつ持たれつのいい山旅だった。
ヒロ坊,また楽しもうな。
感謝,感謝。
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