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分科会・分散会
第1分科会 「障害の実態と施設実践」 第1分散会 〜共通のことば、コミュニケーション保障を基盤とした集団づくり、生活づくり〜 共同研究者 調整中 第2分散会 〜障害実態に応じた労働と発達保障〜 共同研究者 濱田 豊彦氏 (東京学芸大学特別支援科学講座助教授) 仲間(利用者)が生活の主人公、人生の主人公となる実践をすすめるためには、まず障害や生活、発達のていねいな理解が必要です。ろう重複障害者への理解不足、社会資源の絶対的不足、厳しい環境と生い立ちの中で、コミュニケーション障害や二次障害をひきおこしている場合も少なくないなかで、生活の歴史も含めて、一人ひとりの障害実態にせまる認識が求められます。 あわせて、彼ら一人ひとりがもっている要求やねがいを深くつかむことが、実践をつくりだす前提となります。「契約」や「自己決定」がキーワードとなる支援費制度がすでにはじまっていますが、充分な情報提供やコミュニケーション保障をぬきにして「自己決定」や「自主選択」を語ることはできません。支援費制度の課題、問題点がますます明らかになってくるなか、とても厳しい条件のもとでありながら、全国各地の施設、作業所では、仲間(利用者)のねがいを深くとらえ、あるいは新たな要求をつくりだしていく実践が構築され、あらたな取り組みも模索され続けています。本分散会では、レポートをもとに、こうした全国各地の実践から互いに学びあっていきます。 コミュニケーションが保障されないなかで、社会や集団から疎外されてきた仲間たちも、共通の「ことば」がつくられていくなかで、生活の質を高めていきます。しかし、共通の「ことば」は、狭い意味でのスキルの追求だけでできていくものではありません。日々のくらしのありよう、多様な集団保障と集団づくり、労働などを「まるごと」とらえる実践的視点が不可欠です。それは、まさに職員、そして職員集団の専門性が問われるところだと思います。 もちろん、実践も集団づくりも、失敗や試行錯誤を重ねながら発展していくものです。「いい実践」に学ぶことも大切ですが、日々の実践での悩みや失敗もお互いに出し合いながら、知恵を出し合い、参加者みんなが元気になれる分散会にしたいと思います。 第2分科会 「障害実態と福祉制度のあり方」 共同研究者 白沢 仁氏 (障害者の生活と権利を守る全国連絡協議会事務局長) この分科会では、昨年に続き、ろう重複者や高齢の聴覚障害者の実態や願いを実践的に明らかにした上で、現在の福祉制度の問題点や矛盾点を明らかにし、さらに現在の諸制度をどう活用していくのかという方策や新しい制度を構築していく取り組みについて検討をしていきます。 昨年4月にスタートした支援費制度は、発足1年目で130億円の国の財源不足が発生しました。そして今年度はその額が250億円以上にふくれあがることが予想されています。厚生労働省はこうした財源不足を理由に、「障害者施策が生き残る道は介護保険との統合しかない」と述べ、社会保障審議会などで介護保険と支援費の統合にむけた地ならしを進めています。 私たちが見ておかなければならないことは、こうした支援費と介護保険との統合は、団塊の世代が高齢期を迎える2007年をゴールとして社会保障関係総費用を大幅に圧縮していく総合的な戦略のもとに進められていることです。 今年度の年金法大改悪に続く介護保険改革もその一つです。来年1月にも国会に提出される介護保険法の改定案には、要介護度1や要支援などの軽度障害の高齢者を保険から除外するとともに、施設・病院の食費・居室代などへの自己負担導入、利用料の2割〜3割負担への引き上げなどが準備されています。また、生活保護法や健康保険法の改悪とともに消費税増税計画も進行しています。 一方で世界に目を向ければ、国連の特別委員会では「障害者権利条約」の策定作業が大詰めを迎えるなど、ノーマライゼーション理念の浸透と障害者の権利保障への気運が高まっています。 障害者やその家族のくらしの姿をリアルにつかみ、世界的な権利保障の流れに沿いながら、日本で進行している福祉破壊の攻撃にどのように有効に対処していくのかを深めあっていきたいと思います。 1.支援費制度や介護保険制度は、ろう重複障害者やろう高齢者とその家族、そして福祉現場にどのような問題点や矛盾をおこしているのでしょうか。問題点や矛盾を各施設から、各地域から持ち寄りましょう。 2.支援費制度と介護保険制度の統合が強行されようとしている中、ろうあ者、ろう重複障害者、ろうあ高齢者の豊かな生活を保障するための施策のあり方について考えあい、国の動きに対して私たちがとるべき立場について深めていきましょう。 3.ろう重複障害者と高齢の聴覚障害者が安心して利用できる施設や在宅事業はほとんどありません。社会的資源の創出、拡充が急がれています。聴覚障害者が安心して利月できる施設、作業所や在宅福祉サービスの拡充、そして、自己選択・自己決定を支える相談・支援システムの構築にむけた全国各地の取り組みを報告しあい学び合いましょう。 4.豊かな発達と暮らしを支える説得力のある福祉実践や調査活動、そして運動が聴覚障害者福祉を一歩一歩前進させてきました。豊かな発達と暮らしを保障する福祉実践を持ち寄り、論議しあい"権利としての福祉"の拡充に向け、福祉実践の前進、福祉事業の充実・拡大、そしてそれをささえる運動の発展の方向と課題を明らかにしましょう。 第3分科会 「生命と健康を考える」 共同研究者 片倉 和彦氏 (双葉会診療所医師) 基調報告クイズ 片倉和彦 クイズを出します。 A、血圧が高かった人が、高齢になると下の血圧が下がる事がある。(たとえば180−130だったのが180−70ほどになる)これは @ 身体の細動脈(さいどうみゃく)から血液を戻そうとする力が弱くなったため。 A 高血圧が徐々に良くなってきていて、とてもめでたいことである。 B、糖尿病が人類の歴史に初めて出現したのはエジプト時代と言われている。糖尿病になりやすい人が得意としているのはどれか。 @ 食物が少ない時代に、少ない食べ物をゆっくり食べて、ゆっくり代謝(たいしゃ・・身体に必要な成分を消化吸収した物から作り出すこと)していくこと。 A 飽食(ほうしょく)の時代に大量の食品を速く食べて、すばやく代謝していくこと。 C、総コレステロールと心筋梗塞(しんきんこうそく)との関係で正しいのは。 @ 男女とも総コレステロールが200を超えると心筋梗塞になりやすい。 A 女性の場合、総コレステロールが200から239までの人は、心筋梗塞に最もなりにくいという調査結果が出ている。 D、首相は、混合診療の解禁、株式会社が病院経営、民間の医療保険や生命保険の活用などの方策で、日本の医療をアメリカの医療に近づけたいようです。ところでアメリカの医療はどんな医療でしょう。 @ 保険証さえあれば誰でも診てもらえる高度で理想的な医療。 A お金がなければ、さまざまな制限と待機日数がかかり、症状の重症度よりも保険会社の意見が尊重される変な医療。 E、阪神大震災の3週間後、救援所がある神戸ろうあハウスでは、震災直後のケガなどはおさまっていたが、風邪や不眠症が被災者やボランティアの間で蔓延していた。滋賀医科大学の、たおだ先生が大阪の救援本部に注文したものは。 @絵本 A精神安定剤 Bくだもの というわけで、答えは分科会の中で。みかんでも食べながら討論していきましょう。 第三分科会は以下の4つの討論の柱によってなりたっています。 1、 ろう重複者、ろう高齢者が医療を受けるときの留意点 2、 生命の基本である食を通じての生活支援を考えていく 3、 病気を伝える時の工夫と、その後の生活を守るためのサポートの仕方について考える 4、 さまざまな職の人々の連携を考える 今までの継続は大切なので、今までの分科会参加者は集まってください。 輪の広がりも大切なので、初めての人も集まってください。 第4分科会 「心の健康を考える」 共同研究者 村瀬嘉代子氏 (大正大学人間学部教授) 本分科会では、ろう重複障害者の精神保健をめぐって、事例検討をとおして議論を積み重ねてきました。従来は、授産施設、更生訓練施設、共同作業所、病院など、施設での実践の報告が中心でしたが、近年は、地域支援にかかわる立場からの報告もみられるようになりました。今後は、学校現場からの報告も加わるのではないかと期待しています。 今回は、授産施設と更生訓練施設から3つの事例報告が予定されています。 福祉、医療、教育、心理などの領域で聴覚障害者の心理的サポートに携わっている人々に、家族の参加をも含めて、正直な意見交換ができる場を作っていきたいと思っています。問題行動や症状の背景に潜む意味を問い、対象者の心の奥底にある思いを理解し、改善へ向けての具体的な手立てを考える機会としたい所存です。 一昨年、昨年の本分科会の共同研究者、村瀬嘉代子氏(大正大学)のご提案を引き継ぎ、以下の5点を心に留めて検討します。 1) 重い障害をもつ聴こえない人々のこころの動きや内面を理解するために、どのような留意・工夫があり得るか。 2) 公共的なコミュニケーション手段を十分に会得してない聴覚障害者との交流の糸口をどのようにして見出し、それを確かなものへと拡げていくか。 3) さまざまな障害を併せもつ聴覚障害者にとっての「精神的健康」をどのように個別化して考えるか。 4) ろう重複障害者がより豊かな関係性(人とのかかわり合い)を体験し、心理的・社会的な「居場所」を実感できるためには、どのような工夫が必要か。 5) ろう重複障害者の精神保健に携わる者として、私たちはいかにして、自らの資源を向上させるための努力をしていくか。 第5分科会 「豊かな暮らしを築くために」 第1分散会 〜高齢聴覚障害者の地域生活を支える〜 共同研究者 調整中 いま、支援費デイサービスや介護保険の生きがい対応型デイサービス、自主的なミニデイサービスや、あるいは小規模作業所等、高齢聴覚障害者の地域生活を支えるあらたな社会資源の創出に向け、全国各地で厚い取り組みが展開されています。岩手県北上地域での『NPO法人ひびきの会』の実践に象徴して見られるように、この集会および関連集会での実践報告や実践交流が大きな力にとなっています。 今回の分散会でも4本の実践が報告されますので、その報告からも、地域生活を支える資源作り、豊かな地域生活の内容などを、特に利用者・対象者の意識や意見を注意深く、丁寧に拾って、そこから深く学びたいものです。 また、事前に実践報告を提出するにはいたってないけれども実践にかかわっておられる参加者で皆さんからの報告も大事にしたいものです。 今年の特徴のひとつとして、支援費制度を介護保険制度に統合されようとしている動向を背景として、その是非を問うレポートが提出されました。大切な問題提起です。是非論議を深めましょう。その中で介護保険制度の見直しや支援費の制度統合が何をもたらすかについても学びあい、高齢聴覚障害者の豊かで人間の暮らしに値する地域生活と、それを支えていくさらなる資源創出につながる分散会にしていきましょう。 第2分散会 〜重複聴覚障害者の地域生活を支える〜 共同研究者 高橋 秀志氏 (東京都聴覚障害者支援センター) 第5分科会・第2分散会は、地域に暮らす重複聴覚障害者の生活支援・自立支援の構築に向けた実践交流・研究交流を第1回研究交流集会から積み上げてきました。そのなかで、重複聴覚障害者の豊かな地域生活を実現していくための課題を整理し、新たに取り組んだ実践、そして必要とされる実践とはなにか、を検討してきました。 これらの経験や研究の蓄積に立って、昨年度は、以下のような課題の整理を行いました。 重複聴覚障害者の総合的な地域生活支援のための諸課題 1.支援費制度の活用 ・制度利用の現状と課題 ・事業実施者の現状と課題 ・制度活用促進・制度改善の取り組み 2.地域生活支援のためのボランティア、住民の組織化と協力 ・ボランティアの育成・組織化・協力 ・幅広い地域住民の理解・協力 3.地域生活支援のためのサポートシステムづくり(拠点施設づくり含む) ・保健・医療・労働・福祉分野の専門機関・専門職との連携 ・生活基盤・経済基盤づくり ・家族支援 ・人材育成・職員研修 4.地域生活支援のネットワーク形成 ・サポートシステムの構想 ・サポートネットワークの形成 5.情報の収集と発信 第8回の当分科会・分散会には、上記の課題をふまえてまとめられた4本のレポートが提出されています。その中では重複聴覚障害者の発達支援、生活経験や社会参加の拡大支援の実践とあわせて、個別援助と小集団活動の意義、社会資源の開発とネットワーク、家族支援、地域住民との良好な関係づくり等のありかたや課題がレポートされています。 特に各レポートからは、重複聴覚障害者のコミュニケーション支援のあり方とあわせて、日常的・継続的・総合的な支援の重要性とあり方、支援体制づくりについての具体的な検討課題が提起されています。参加者の積極的な討論を期待します。 第6分科会 「ホームヘルパーの実践」 共同研究者 調整中 第7回の分科会では、参加者60名のほとんどがホームヘルパー資格取得者になりました。そして、ろうあヘルパーの全国連絡協議会も設立されました。全国で300名を下らないろうあヘルパーが居ます。 7年間でよくここまで進んで来たものだと思います。これにともない問題・課題も具体化されています。 一番の課題はヘルパー資格取得しても働く場がないという事です。昨年の全国連絡協議会の旗揚げ時に2/3が仕事が無いという結果が示されました。資格取得の講習の場の持ち方は討論の中で示され、どう取り組むべきかという事は、ほぼ理解されています。これからは、仕事の場の保障とろうあ高齢者やろう重複障害者への援助のあり方や、問題・課題をどの様に把握するのか、問題・課題の解決のためにろうあ団体等が取り組むためにどうすればいいのかを考えていかなければなりません。それと同時にヘルパー自身の身分保障を考える必要もあります。「訪問介護労働者の法定労働条件の確保について」という厚生労働省の通達があります。登録ヘルパーは、労働者という位置づけがなされています。 自らの資質の向上と共に、自らの身分保障にも目をむけた取り組みも必要になってくるでしょう。 今回は3つのレポートが提出されています。ここではっきりしている事は、ホームヘルパーさんの援助だけではろうあ高齢者の生きる権利や生活の保障は無理ということです。いろいろな専門機関と結びつけた援助が絶対必要になります。介護保険ではこれらの保障はありません。この様な問題提起できるのも、事業実施主体が、ろうあ関係者だからです。民間事業者ではできません。それ由に、ろうあヘルパーの働く場の保障と共に、ろうあ高齢者やろう重複障害者に「人と生きる」ための援助ができるろうあ関係団体が介護保険事業を立ち上げる重要さを示されていると思います。 今はまだ援助技術や、問題・課題把握のための研修をもっともっと積み上げていかなければならない状況ですが、いずれこの分科会を分割して事業を立ち上げるための関係者が集う集会も開く時が来るでしょう。 現在は全国でろうあ関係団体が介護保険での在宅支援事業を実施しているところは、京都、埼玉、大阪の3つしかありません。この現実も視野に入れて、今回は働く場の保障についても討論し、全国のろうあ団体にアピールして欲しいと思います。 第7分科会 「家族の実践」 共同研究者 細野 浩一氏 (社会福祉法人埼玉聴覚障害者福祉会理事) 1 障害者福祉、障害児教育の制度改革のなかで ○ 支援費制度、そして、施設体系の見直し、介護保険との統合問題 ・ 2003年度、措置制度から支援費制度に変わりました。各地で、ろう重複児・者の専門施設・作業所づくりも進んでいますが、依然として2/3の県には1か所もありません。また、居宅支援サービスにおいても、ろう重複障害に対応できるものはさらに限られているのが実情です。ろう重複児・者の利用できる施設、居宅サービスをさらに広げていくことがひきつづき、大きな課題となっています。 ・ 支援費制度では、障害の程度区分からサービスの支給決定までを、市町村が行うことになったため、都道府県による格差とあわせて、市町村の姿勢や対応の格差が一段と大きくなっています。制度を利用する立場から、関係団体と力をあわせて、国や都道府県への働きかけとあわせて、市町村段階でのろう重複障害への理解と対応を改善させる働きかけをしていくことが重要になってきています。 ・ "自己選択、自己責任"の名のもとに、行政のかかわり、責任が後退し、当事者、家族が申請手続きから利用先との相談、契約まで行う制度になったため、必要性はあるにもかかわらず、制度を知らず、利用できないケースもさらに増えてきているものと思われます。 ○ どうなる、障害者施設体系の見直し、介護保険との統合問題 ・ 国は、障害者施設を日中活動の場、暮らしの場をそれぞれのもつ機能を重視して、体系そのものを抜本的に見直す作業を進めています。また、主として、財源問題から、2005年の介護保険制度の見直し時に、障害者福祉を統合していく動きも進んでいます。こうした動きを対して、ろう重複児・者の福祉の前進をさせるため、利用者、家族の立場から、学習と行動を起していくことが求められています。 ○ 特別支援教育への移行と、ろう重複児教育 ・ 文部科学省は、これまでの障害児教育を、軽度障害児を視野に入れて、障害別対応から全障害対応の特別支援学校、教育に転換して方向性を出しています。ろう学校、ろう教育が今後どうなるのか、そのなかで、ろう重複児の就学、教育の体制、内容がどのようになっていくのかも重大な関心事になってきています。 2 進む、親、家族の組織化ととりくみ ○ 昨年の第7回集会で、ひとりぼっちで悩んでいる親をなくし、親の組織化をさらにひろげていくためにも、親、家族の全国組織をたちあげていくことが参加した30余の団体、個人により確認されました。その後、関東地区ろう重複者家族連絡会では、連絡会に関わる団体に対して、全国組織への移行の確認を行い、9月19日、20日にかけて、ブロック代表者会議をもって、各地のとりくみや状況の交流もされました。また、埼玉、奈良で新たに作業所をオープンするなどのひろがりもみられますが、困難をかかえた会もありました。 3 今集会の課題 この分科会は、ろう重複児・者と家族をとりまく情勢や動向をふまえて、以下のことを交流し、話し合っていきましょう。 ・ 全国のろう重複児・者の親、家族の抱える悩みや活動を交流するとともに、全国組織の会則、体制を確立し、必要なとりくみをひろげていく ・ 支援費制度等の利用上の問題点をだしあい、改善にむけての課題を明らかにしていく ・ 教育改革のなかで、ろう重複教育の改善につなげるための問題や課題をだしあっていく
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