会津駒ケ岳(下ノ沢)(未踏)6月19日ー20日

参加者:リーダーI井さん、S尾さん、自分

初の「沢での焚き火」、初の「沢に行くのに高速」

6月18日
21:40 東京駅出発(I井さんの車)→23:30 佐野SA

6月19日
天気:晴れ時々曇り

1:20 道の駅田島着(福島県田島町) 仮眠
 自分はあまり、「道の駅」という文化をよく理解していないのですが、ふつうの道路にあるSAといった感じでしょうか? 駐車場も大きく、トイレも大きく、ちょっとした飲み物くらいの販売機があります。


7:00 道の駅田島 出発
8:00 駒ケ岳登山口(竜門ノ滝駐車場)着
 駐車場、といっても行き止まりになっているところに、車が置けるだけです(道幅は車がすれ違える程度)。他の車はありませんでした。沢に車で来ると、帰りの着替えを車に置けるので結構便利です。今回共同装備として、タープ(簡易テント)とそのポール、そして食材を持ちました。
8:30 駒ケ岳登山口着出発
 竜門ノ滝が20mと30mの2段であり、今回持って行ったザイルがそれほど長くないため、登山口からちょっと行った所にある竜門ノ滝は直接登らずに、巻きます。そのため、最初は沢道でなく、竜門ノ滝展望台に向かう登山道でした。いきなり直登です。そして、展望台から先は、きちんとした登山道でなく、藪漕ぎです。I井さんが高巻きを嫌い、「ここら辺でトラバースしよう」ということで、途中から徐々に下り始めました。確かに、高巻きをしすぎると、後で面倒なことになります。高巻きの下りの斜面にはギンリョウソウが咲いていたりと、このときは「明るい希望」(というほどでもないか)を抱いていました。結構な斜面でしたが、なんとか沢に無事たどり着きました。そこには2体の白骨化した、カモシカの死体がありました。


         竜門ノ滝

 高巻きが終わったから、ここから、しばらくは穏やかな沢道になるはず、と思っていたら、どうも様子が変です。先に信じられないような高さの滝があります。事実を知って絶句してしまいました。実は、滝は巻いておらず、ちょうど滝の手前に下りてしまったのです。「今までの苦労は、今までの苦労は」と、うなだれる隙も与えず、I井さんは再度高巻きを決定しました。自分も「仕方がない」と覚悟して、I井さんについて行きました。そして、それは今までの丹沢などのレベルでは考えられない、高巻きでした。ついていくだけで精一杯でした。ベテラン2人は結構すいすい登りそして下りていくのですが、自分などはもがきながら必死についていくという感じでした。それでも、なんとか高巻きできました。
11:00 竜門ノ滝通過
 竜門ノ滝を越えたから、テン場である二俣まで、あとは、10mの大滝くらいと思っていましたが、例年より水量が多いらしく、「こんなはずじゃないのに」と一つ一つ進むのに苦労。真夏なら、シャワークライミングとシャレこむのですが、膝くらいまでならなんともないですが、全身浴びるのは寒すぎます。まあ、S尾さんが、しっかりと待ってくれたから、なんとかついていけたようなものです。I井さんペース速い(悪いのは自分かもしれませんが)。


 途中でまた、何度か滝を巻きました。今までの自分の感覚からすると、「巻く」→楽、少なくとも、つらいのは4回のうち、1回位という感じでしたが、今回は4回中4回が巻くといったって、とてつもない急斜面を木につかまりながら必死に登って、木に、ネマガリタケにつかまりながら必死に下りるというとんでもないものでした。「巻く」という言葉の意味が自分の中で、確実に変わりました。
 途中、つかまる木もネマガリタケも生えてない土壁(とS尾さんはよんでいました)が1箇所あり、これが延々と続けば自分のレベルではどうにもならないですが、その壁の長さが3mくらいだったので、滑り降りることでなんとかのりきりました。I井さんからはもっとつま先だけで登らずに、足の裏全体に体重をかけるようにと言われました。事実他の二人は特に問題なく下りていきました。
 他に、あれは2.5mくらいの小滝だったか、ホールドが微妙で自分でも最初は登れると思ったが案外難しく、どうしようかと迷っていると、I井さんがザイルを出してくれました。「天の助け」と思ったのもつかの間、あっと気づく。カラビナがザックの外のポケットに入ったままだ。急いで出そうとするが、立っている場所が不安定なため、ザックを下ろせず、手探りで探す破目になってしまった。(これは簡易ハーネスを使っていたため、起こったもので、これ以降簡易ハーネスは使うのをやめにしました)


13:40? 二俣手前に大きな雪渓 通過不能、来た道を引き返す
 「もうすぐ、テン場である二俣だ、厳しかった沢登りもようやく一息つける」と思った頃、大きな雪渓が現れました。巻くことは到底無理でした。登れそうなので、雪渓を登ってみましたが、少し行った所で、どうやら、雪渓の下にかなりの水が流れているようで、危険だから引き返そうとなりました。自分は「ちょっと待ってくれ、引き返すのは引き返すでいいけど、突然言われても頭の中を整理させてくれ」と思いましたが、I井さんらは即断即決のようで、もうどんどん下っていきます。「引き返すということは、さっきの土壁をもう一回繰り返す、高巻きをもう一回繰り返す」との考えが頭の中をぐるぐる回りましたが、結局戻るしかありませんでした。

              雪渓
15:40 ビバーク地点(下のトラックログの図で、赤の線の一番上の場所)決定
 引き返すことが決定してから、2度ほど、高巻きをした後、右側にちょっと平らなところが見えました。もう精神的にピークだったのもあり、I井さんに、「そのあたりどうですか」と聞くと、I井さんはそこにビバークすることを決めていたそうで、自分は「なんとかなった、助かった」と一息。
 いよいよ今日の寝床設営です。場所は沢から10mくらい離れたところです。ポールも持ってきたのですが、それは使わずに、ロープを木に結ぶという形で、タープ(簡易用テント)をはりました。テントのようにしっかりとしたものではありませんが、それでも、自分の頭上に遮蔽物があるとなんとなく落ち着きます。

             タープ                            薪を集める
 それから、乾いた流木などを集めて、焚き火をします。乾いた流木をのこぎりで切って、適当な大きさにしてから火をつけます。
 虫も、最初はたくさん集まってきましたが、蚊取り線香を炊いて、数分後にはほとんどいなくなっていました。作業が一段落したところで、I井さんはイワナを釣りにいきました。I井さんにしては結構てこずったようですが、20cmくらいのイワナ(きちんと写真に収めたはずでしたが、なんといっても「写るんです」だったので)を見事釣ってくれました。食事はそのイワナと、近くにあったウド、それからネマガリタケ、味噌汁にご飯でした。
 タープはテントよりも寒いです。

          焚き火の様子

6月20日
天気:曇りのち晴れ

6:10 起床

8:25 出発
 沢を下る(登るのでなく)といえば、必須の技術が懸垂下降です。今回の行動で懸垂下降は3回、前日に2回、この日に1回しました。岩で懸垂下降を一通り理解したはずなのですが、まだ自分のレベルは「じっくりと考えて落ち着いてやればできる」程度のもので、ちょっと不具合があったりすると、とたんに理解していないことが明らかになってしまう、と行った所でしょう。岩の場合ですと、登って、セルフビレイして、ロープを落として、そのロープにエイト管をセットして、となるのですが、今回はいきなり、ロープにエイト管をセットでした。この程度で動揺してしまう自分。後は用具の問題、今回は沢ということで、沢用の簡易ハーネスを持っていったのですが、沢用の簡易ハーネスで懸垂下降をすると、ハーネスが股にくい込んでとても痛いです。沢用の簡易ハーネスというのは、日帰りの沢なら使えるかもしれませんが、懸垂下降をするような泊りの沢には向かないと思います。「懸垂下降のときにはもっと、自分の体と壁面が垂直になるように」−課題です。
 竜門ノ滝は高巻きせず、滝の1段目が終わったあたりに懸垂下降で下りて、もう一段目は滝の脇を通るような形で通過しました。これはこうしたほうが本当に楽だったと思います。竜門ノ滝を越えてから、20分程度歩いた後、ついに登山道である小さな板の橋にぶつかりました。
11:30 登山道
 「なんとかなった、なんとかなった」、感無量でした。
11:35 駒ケ岳登山口着

 今回の山行のトラックログ(緑1日目、赤2日目)

12:00 駒ケ岳登山口出発
 車のステレオから流れてくる音楽を聴いていると、「ああ、無事帰ってきたのだな」と、帰ってきたということを実感する。文明を浴びる。これもまたよし。
12:05 駒ノ湯(500円)
12:45 駒ノ湯出発
13:35 ふるさと(会津高原駅近くのそば屋)着・昼食
14:10 出発

車で来ると、アルコールは飲めないので打ち上げはなし、しかし、今回だけはどうしても(一人でも)打ち上げをしたくなり、回転寿司屋に行って、生ビール1杯と、すしを13皿くらい食べました。


以下、S尾さんから頂いた写真(ありがとうございます)です。





     ギンリョウソウ(白いのがそうです)






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