雪山救助訓練 2023(白毛門駐車場)

2023年2月4-5日
L:M谷さん、F浦さん、メンバー:M井さん、I井さん、F川さん、I永さん 、G藤さん、Y岸さん、Y本さん、自分
5日のみ:Y田さん、N方さん

 今回、都岳連の雪山講習と日程が重なり、例年通りの「土合山の家の裏手の台地」は、都岳連が使用する可能性が高いので、白毛門駐車場に移動して訓練を行ったら、こちらでも全く問題がなく、むしろ他の訓練パーティーのビーコン電波を拾う可能性が低い気がしました。

 ケガ後、初の本格的な会活動、自分の中に「ケガ後」」という弱みがあり、不完全燃焼な部分もあったが、参加できて良かった。

今回の訓練の大まかな位置図(赤丸) 今回の訓練のさらに大まかな位置図

2月4日
天気:晴れ

8:00


9:00 雪崩ビーコンの性能確認の準備

 全員が集まるまで時間があるので、雪崩ビーコンの性能確認の準備をしました(5mおきに旗を立てる)。紐が絡まって、セットに時間がかかりましたが、根気よく、ほどいて、無事、セット完了。
 準備するのに時間がかかりますし、(概略ですが)ビーコンに値が表示されるので、この方法(5mおきに旗)は2年に1回くらいで良いのではないかと思う。

1.雪崩ビーコンのグループチエック
 ビーコンにグループチエック機能があるが、ただ単に、受信感度を低くして、近くのビーコンを受信しなくするだけのようなので、知ってても良いが、知らなくても良いのでは

 2.弱葬テスト(コンプレッションテスト)

9:45 積雪断面をまず作成 9:55 断面にスノーソーで切り込みを入れます

 コンプレッションテストも、きれいな切断面を作成するのに、細かいこと言ったらきりがないが、まずはテストを行い、経験を積むことかもしれない。
 

9:57

 破断面の確認は、叩く人よりも、周りにいる人の方が気づけるかもしれない。叩く人は、どうしても叩くスコップの方に目が行ってしまう。
 今回、比較的、安定していて、明瞭なズレはありませんでした。

3.雪崩ビーコンの性能確認
 スマホ等ビーコンの性能を落とすと言われるものが近くにある場合について調査:引き算のように明確にビーコンの性能が悪くなるということはなかったが、突然変な値がビーコンに出るというような形で、ビーコンの動きが不安定になるようでした。
 自分のビーコン(arva Neo) 縦に置いた場合:46m、横に置いた場合:60m、
                   直立に置いた場合:45m(send側にスマホを置いた場合45m、search側にスマホ54m)
                   

埋没人形(昼休み休憩で、休憩時間を使って埋没人形のセット)


4.雪崩ビーコンの捜索方法
 参加者のほとんどが、ビーコンの使い方に習熟していて、いわゆるビーコン訓練は必要なかった。でもそうなると、総合訓練になってしまい、途中から、プロービングが内容の主になってしまった。
 渡されたチエックリストに、要もなくこだわってしまい、自分が自滅。特にこだわる必要もなかった。
 斜面で50cm程度の深さで埋めた場合、ビーコンによるクロス十字は、実際の場所より、30cmほど奥だった。


5.プロービング
 スパイラル・プロービングを各自確認。 

プローブの目盛りがずいぶん消えていた。新品を購入せねば。

 本人希望により、埋没体験

埋没体験 プローブの感触確認

6.掘り出し法

14:35 V字による掘り出し 14:42

 掘り出し法をやってみて、4分でローテーションは、長かった。訓練の際には、目安として必要だけど、実際は、疲れたら即、交代しないと、とても埋没者を救助できない。
 他の方法でもそうですが、もっとわかりやすく人に説明できるようにならなくては、人が間違っているのを指摘できるが、自分で説明するとなると、わかりやすく説明できないというのは、自分の傾向にあり、それは情けないことだと思う。

14:55 ヒューマンチェインによる持ち上げ、移動

 掘り出し法について、これまで何度も講師役を勤めた記憶はあったが、いつもV字でいっぱいいっぱいで、掘り出した後は、ほとんど教え役になっていなかったことを思い出した。
 埋没人形は深く埋めず、40cmくらいの深さに埋めて、掘り出すということをする。埋没人形をヒューマンチェインで持ち上げるとなると、広い空間が必要で、その空間を作るには「V字のように掘り広げることが必要」ということを再確認しました。
 そういえば、ヒューマンチェインで動かす際に片側の下を掘っておくと、動かす際に横にスライドするだけで良いというのを説明するのを忘れていた。自分が教わったときは「なるほど」、と思ったが、それ以降、そのスライド作業を行っていることを聞かない。意味のない操作なのか、それとも(人が雪から埋まっている状態から上げる際に必要な行為なので)軽い埋没人形では使われない動作なので、訓練として組み込みずらいのか。

15:00 埋没人形の掘り出し


15:10 ツエルトでくるみ、ヒューマンチェインで持ち上げる


7.緊急避難雪洞作成とビバーク体験
 設定:仲間とはぐれるなどして自力下山できない場合、救助が来るまでシェルター(雪洞)を作り、ビバーク体験を行い持参装備の確認と点検を行う。日帰りの個人装備で訓練を行う。ツエルト、ガスコンロ、スノーソーは使用しない。

雪洞内より、ようやく横穴が掘れた 17:30 スコップにエスビットを乗せ、燃焼し、暖を取る

 これまで、自分の「緊急避難雪洞作成とビバーク体験」といえば、馬鹿の一つ覚えみたいに縦穴を掘って、どんづまって、うまく行きませんでしたが、今回、ようやく、横穴を掘ることができました。でも、掘れただけで、入り口は覆えなかったし、気がついたら、掘る時間もオーバーしていた。それでも横穴という、次のシーン(?)に来れた気はするし、ケガ後でしたが、逃げずに挑戦できて良かったです。(レベルが低すぎるか、😢)。この雪洞を掘るのに、何に時間がかかってしまったかというと、①ケガ後で掘るスピードも遅かった、②木が出てきてその処理に手こずった、③もうちょっと計画的に掘らないと、迷走するということです(それでも縦穴のときよりは迷走しなかった)。時と場合にもよりますが、緊急避難雪洞でも、横穴を掘ったほうが、応用が利きます。
 F川さんがよくおっしゃることですが、いわゆる目の粗いスノーソーは雪を切るのには便利ですが、雪洞の際に出てくる木は切れない。目の細かい、ノコギリでないと、木は切れない。
 最近、足が冷えてどうしようもないのが、心配でしたが、ファイントラックのスキンメッシュソックスをスキー用の靴下の下に履いたら、ほとんど足が冷えませんでした。でも、気温は暖かいくらいだった、とのことです。

2月4日
天気:朝雪、曇りのち晴れ

8:10 F川さんの雪洞


8.雪崩事故想定シミュレーション

9:05 捜索開始 9:15

 設定:雪崩捜索の準備はせずに、通常のような形で雪崩装備をザックの中に入れておいて、取り出すところから捜索を始める。スキー板を装着して、捜索するか、外して捜索するかは個人の自由。
 行ったこと自体は、今後も踏まえて有意義だったと思いますが、いろいろなことがありすぎて頭の中は大混乱。だから、ビーコンを発信モードにせずに、埋めてしまったのだと思う。ということは、実際の(雪崩)現場は、さらに大混乱だろう。初めての試みなので、時間をかけて一つ一つやれば良いのに、時間短縮の方法が提案され(それはそれで事実なのですが)、それが採用されてしまったので、次に何をすれば良いのか、大混乱。
 ビーコンを持ちながら滑ろうとしたが、うまく滑れなかった。次回の課題です。
 ビーコンを入れる袋はもっと大きくても良いのでは、小さい場合のプロービングにいくら熟達しても、現場では役に立たない。

10:45 ビーコンを発信にせずに、埋めてしまった


9.赤沢山スキー登山実地訓練
 リーダーから赤沢山スキー登山実地訓練の依頼を受けたとき、勘違いして、変な使命感を持ってしまった。
 全ての点において、わきが甘く、もうひとひねり足らなかった。ケガをして、山に行けず、考え自体は間違っていないものの、頭の中で考えて、現場感覚が狂うと、こうなりますよという典型かもしれません。あとは、必要条件と十分条件を間違えていたというか、沢地形はあったものの、「雪崩に合わないような行動の確認」のために赤沢山を選んだのでなく、赤沢山で訓練があって、その中で「雪崩に合わないような行動の確認」について、何かできないか、考えてしまったのも良くなかった。

12:00 12:05

 出発前に「雪崩情報」を確認しましょう、今から考えると、クイズ形式みたいな形で上手に対話すれば良かったのですが、自分は単なる棒読みをしてしまい。やっちまった。

12:15 沢地形の通過

 この地形に着目できたのは、良かったと、自分でも思っているが、実際に、行う段階になって思ったのは、今回の参加者は、皆、「間隔を開けて行動」くらいはわかっていて、わざわざ確認するほどのこともないのでは、ということ。間違っていたとは思わないが、もうひとひねりないと、人は動いてくれないかもしれない。強いて言うと、間隔を開けるだけでなく、事前にどこでリグループするか、決めてから、進むべきだった。

12:45 CP1でout 

 救助訓練の1週間前に行ったゲレンデスキーで簡単な操作はできたが、CP1までは、急斜面。斜度が緩ければできたキックターンが、ケガの影響により、脚が上がらない。板を外して、板を方向転換させて再度、履こうとしても、これもうまく行かない。ケガ後初山行だし、ここで無理しても仕方ない。CP1で、待機することにしました。
 待っている間、皆さんが戻ってきたらどこを滑るかシュミレーション。斜度があり、来た道を滑るのは厳しそうだ、前回は隣の尾根を滑った記憶がある、少し上がった所が難しくなさそうだ、それとも50m尾根を下ったところが小ピークになっている、そこまで横滑りまたは、カニ歩きで下りればと思い、少し尾根をカニ歩きで下りてみる、悪くない。いざという時は、カニ歩き・横滑りで下りようか、など考えているうちに、他の皆さん到着、こっち、こっちと言われ、来た道を滑るルートを案内されました。ここ行くの? でしたが、滑れそうな個所を斜滑降+キックターン、横滑りで滑っていったら、大ブレーキにはならず、無事、スタート地点に戻りました。

今回の山行のトラックログ(自分のみ)

 ケガのせいで、みんなが準備できているなか、「一人だけ靴が履けない、スキーの板をセットできなかったら、どうしよう」と思ったが、早めの準備が功を奏し、大きな遅れはなかった。

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