雪山救助訓練 2022

1月22-23日(前夜発)
L:F川さん、メンバー:I井さん、F浦さん、S野さん、Y原さん、M谷さん、K村さん、K堂さん、自分
22日のみ:S木さん、T村夫妻、I澤さん
22日昼から:N田さん、22日夕から:I永さん

 おかげさまで、無事、救助訓練に参加できました。

今回の訓練の大まかな位置図(赤線) 今回の訓練のさらに大まかな位置図(赤丸)

1月22日(土)
天気:曇り
【コースタイム】8:20 土合山の家近くの平地、9:00〜18:00 雪山救助訓練 

8:00 土合山の家 駐車場

8:15


9:00 テント設営


●出発前のビーコンのグループチェック(講師:I井さん)

9:35

 話していたことは、間違っていないのですが、「間違って理解している人、何のためにやっているかわかっていない人」が多い気がする。とはいえ、自分が指摘すると、火に油を注ぎ、カオスが増すと思うので、自分もわかっていないかもしれない。現場で実行して、実感していくしかない。救助訓練でしかしないと、どうしても理解がおかしくなる。
 「ビーコンにグループチェックモードがある」ことが示され、実演がされましたが、自分はぴんと来なかった。ビーコンを本格的に使うのは久しぶりで、自分の感覚が狂っているかもしれない。きちんと講習に出て、最新の機能を理解して、それからかもしれない。
 雪崩ネットワークに出ていた方法、これですよ!(動画)

●弱層テスト(講師:Y原さん)

10:00 10:05 ショベルシアーテスト

・ハンドテスト:こぶし等で積雪断面を押して強度を確認する。以前、ハンドテストと言えば、「円柱を作ってそれを手で引く」弱葬テストでした。この方法は確かに、良い点はあるものの、なんかガサツ。気がついたら、ハンドテストが別の意味になっていた。ファッションでいうところのパンツか(ちょっと違うか)。

・ショベルシアーテスト:積雪内のどこで積雪が剪断破壊するか、またその弱層の強度の質的評価に関する情報を提供
 コンプレッションテスト用の四角柱を作成、その左側にもう一つ四角柱ができるよう、スノーソーを背側と左側に入れる。次に、背側にスコップを突き刺し(上写真10:05)、手前に引いてみる。
 引いた後、四角柱がどんな崩れ方をするかにより、弱層の質を確認する

10:10 スコップを四角柱の上に置き 手で叩くことで、弱層を探す

 ショベルシアーテストが終わった後、残った四角柱の上にスコップを置き、コンプレッションテストです。
 今回は、目立った弱層は見られませんでした。

●雪崩ビーコンの性能確認(講師:F川さん)

11:10 雪崩ビーコンの性能確認

 5mごとに旗を立て、発信ビーコンから50mのところから、各自、所有のビーコンでどれくらいの位置で反応するか確認する。自分は58mで反応し、向きを変えてもほぼ同じ位置で反応し、最近のビーコンは発信ビーコンの向きに関係なく、受信するのかと思っていたら、駐車場付近で訓練していた別団体のを拾ってしまっていたようで、置く位置、置く場所等変えてみたものの、結局拾ってしまって、今回、携帯電話等の影響を調べる予定でしたが、この時期、多くのメンバーを集めて、ビーコン性能をチエックするのは、方法でも変えないと難しいかもしれません。
 「各員が受信モードにして、一人の方が発信モードにして、各員からどんどん離れていく。各自、自身のビーコンが、離れていく発信をどこまで、受信するか、目測、およびビーコンに表示される値を把握」雪崩ネットワークの講習で行った方法です。今回の方法より、アバウトですが、この場合はアバウトで良いのではないでしょうか。旗を5mごとに立てると、時間もかかります。今更の指摘で、申し訳ございません。

 次回のために、雪崩ネットワークのHPに出ていたビーコントレーニングの全般(PDF):入門者のための雪崩ビーコン練習ドリル

発信ビーコンはこの向きで


●雪崩ビーコンでの捜索方法(クロスサーチ)(講師:F浦さん)

12:10 クロスサーチ

 クロスサーチの際は、向きを変えない、高さを変えない。知識としてはあるのに、ビーコンが動いてしまうのは、姿勢が悪いからか。

12:40 休憩


スキー靴をスキーを履かない際には
 登山靴用のスパッツでないと
 雪が靴の中に入ってくる

 気がつくと、スパッツが上の方まで上がっていて、雪が靴の中まで入っている。スキーを履いていれば、それほど沈まないので、「靴の下を通すバンド?」は必要ないが、救助訓練はスキー靴で板を外して行われるので、救助訓練の際は「靴の下を通すバンド?」が必要でした。

●プロービング(講師:S野さん)

13:20

 スパイラルプロービングが行われたのですが、ゾンデを組み立ててから、行う訓練ですと、どうしてもゾンデー連になってしまう。各自が組み立てる時間をも含めると、スパイラルプロービングだと思います。F川さんが都岳連で教わったころは、ビーコン訓練はゾンデが組み立てられた状態から、始まったというが、最近は、どうなんだろう。
 ゾンデは斜面に平行に刺す。
 雪崩ネットワークのプロービングについての動画

●埋没者のビーコン探索

13:40
13:45 14:10

 班を二つに分けて、片方はビーコンを埋め、片方は埋められたビーコンを探す。1回目は探すビーコンが1個、2回目探すビーコンは2個。
 2回目、自分らが探す際、2個のビーコンが近接して埋められていて、自分のビーコンが最初、離れた場所を指示して、これは違うと思ったものの、近接して埋められているビーコンにうまく対応できず、ちょっと混乱してしまった。

親指は側面に添えればよい。
矢印のボタンが複数埋没モード
このように持ってしまうとダメ

 探索中、自分のビーコンの複数埋没モードに、途中で親指が触れてしまい、「複数埋没モードボタンを押す前に受信していた」信号を受信しなくなり、ビーコンの電源を入れなおす羽目になる。

14:55 埋没人形作成

 埋没人形は、作成すべきなんですけど、どうしても準備に時間がかかり、時間をかけた割には、うまく機能していない。でも、取り組むべきだと思う。ビーコンを探すのが目的ではないので。

●掘り出し法(講師:自分)

15:25 V字ベルトコンベアメソッド

 V字の講師担当を自分がし、ぎこちないところはあったかもしれないですが、最後まで、頭が真っ白になることなく、講師ができたと思う。I澤さんの「トップは真上から掘るべきでは?」ごもっともな話。V字は、雪を組織的に大量に掻き出す方法としては問題ないが、雪崩の際、雪に埋まった人を救助する方法としては、様々に修正点が必要な方法かもしれない。十分条件であって、必要十分条件ではない。
 大勢いるときは、トップで掘ったら、ローテ―ションせずに、休んでも良いのでは。
 雪崩ネットワークの掘り出しの動画(ポジション・プロ―ビング):救助訓練後、この動画を知りましたが、埋没人形とポジション・プロービングに使えば、有用な訓練ができると思う。

15:45

 全部の雪をとると、外気をもろにくらうので、少しだけ残しておく。

ヒューマンチェインで持ち上げる 15:52


●雪洞の作り方(講師:F川さん)

17:35 自分の雪洞(立ち木の周りを掘り、シュラフカバーの端をストックで巻き、もう片方もストックで巻き、ストックをスキー板で固定)

 自分のスパッツが、スキー板を履いた時のスパッツだったため、スキー靴の中に、だいぶ雪が入り、その結果、靴の中に水が溜まっていた。これが終われば、テントの中に入れる、もう少しの辛抱だ。靴を脱いで、水を出しても、なんか根本的な解決にはならない気がした。意識として、「約束だけは守ろうと」、その結果、これまで何度も作ってきた「立木の周りを掘る」という、ビバーク方法。ツリーホールを利用して、10分で掘れた。上の空間が開いているので、「シュラフカバーで覆えば良い」と思って、上から押さえたが、これは実に中途半端だった。人として、最低限のことはしたが、過去の成功体験にとりつかれて、未だに、リーダーのような長時間のビバークに耐えれるものが作れない。行動中、30分ほど、ビバークするのなら立木を利用するのもあり、ですが、一晩越すのは、向いていない。
 かなり気落ちしていたが、これでも外気がかなり遮断でき、それなりに暖かかった。17時半ころには、暗くなり、ヘッデンを取りに一度、雪洞外に出たが、外は寒かった。濡れた靴も、思ったよりは悪化しなかった。途中、I永さんが挨拶に来た。こんな簡易雪洞であるが、I永さんは面白がってくれたようだった。雪洞の中で、1時間待機ということで、時間が経つのを待つ。本来なら、皆が見に来るまで中で待機だったかもしれないが、18時まで1時間待機して、これなら良いだろうと、テントに戻り「1時間待機しました」声をかけ、了承を得た。
 テントの中に入り、足を確認すると、思ったよりも問題なかった。靴下を履き替え、新聞紙をスキー靴のインナーの中に詰める。大丈夫だ。
 久しぶりの冬季山中泊、水も作った。

1月23日(日)
天気:晴れ
 スキー靴のインナーは、シュラフの脇だったが、後から考えれば、インナーシュラフの中に入れるくらいはしておけば良かった。
 久しぶりのテント泊で、トイレ(大)を近くでしてしまった(スコップで処理しました)。微妙なところで、忘れている。ビブ(ウエア下)もなかなか下ろせず、時間がかかってしまった。
 スキー靴のインナーはだいぶ硬かった。なんとか靴に足を入れることができたが、なかなか入らず、時間がかかってしまった。

【コースタイム】8:00〜10:00 平地にて救助訓練、11:00〜14:20 赤沢山スキー登山実地訓練

●作成した雪洞の見学

8:15 雪洞の見学

 お手本を見学。立木を利用する方法だと、どうしても縦穴になってしまうのですが、上写真のような横穴ですね。V字は埋没者救助よりも、雪洞掘りの方法かもしれない。

●雪崩事故想定シミュレーション

 土合山の家からのわずかな登りでワイヤーが外れてしまって、実地訓練が近づいてきたので、シミュレーションの埋める側、キャンセル

 雪崩事故想定シミュレーションで、ビーコンを埋める側の班でしたが、訓練地に来る際に外れたワイヤー(右足・右側)(名前を知らず、すみません)が治っておらず、埋める側は人も足りているので、リーダーに断って、故障対応をしました。様々な角度から外れたワイヤーを差し込もうとしましたが、入らず、「ワイヤー長さ調節のねじを緩めれば」治るのではということで、緩めましたがはまらず、左右両方のねじを緩めて外して、はめることに成功しました。(後日談)購入したカラファテ(SHOP)に相談に行ったら、「構造上外れやすいので、ツアーモードにした時は気をつけるしかない、特に極端に曲がっている等はない。ねじを緩めるよりは、両方のワイヤーを外してしまった方が楽にはまる」とのこと。言われてみれば、そうですが、知識としてないと、両方のワイヤーを外すのは勇気がいる。
 雪崩ネットワークの動画(捜索救助の流れ)

  【雪崩ビーコン練習ドリルに出ていた、対策】
距離にして10mくらい前のところで、
ことごとく今回、回り道をしてしまった。
 操作ビーコンの表示数値が10-12付近となったら
・操作ビーコンを膝の高さに下げ、水平に保持
・その数値をコール(大きな声で仲間に伝える)する
・移動速度をしっかりと落とし、ゆっくり進む


●赤沢山スキー登山実地訓練
 こんな近くに、こんな場所があったのか。前日は曇りで、訓練日和でしたが、この日は晴れで、「山頂まで行きましょう」という声が出るのも、当然。今後、こういった天気の良い日に、どのように地味に訓練するか、課題です。実地訓練は、すべきだと思います。平地での訓練もすべきですが、実地訓練でしか確認できないこともあります。せっかくの実地訓練なのですから、もう少し、雪崩の判断のトレーニングをしても良かったです(と後から言うのは簡単ですが…)。
 班を3つに分けて、標高758mまではB班がラッセル、標高834mまではA班がラッセル、標高913mまでは@班がラッセル。各自、数メートルでも良いので、全員がラッセルをする。最初のほとんどをM谷さんがラッセルしてしまったのは(距離からすると交代するところは急斜面だったので、N田さんには酷)、仕方ない。

11:33 11:37

 自分の登り:引き抜き?キックターンが、なんかぎこちなく、もう少しエレガントにできれば良かった。

12:47 13:07

 目的地の913mに着いたところ、そこにはテントが張られていて、ここでピットチエックはやばいだろうというのもあり、急遽、ピットチエックは少し下で行うことになる。そんなこんなでシールを外していたら、K村さんから、「ビーコンがない」とのことで、出発前にビーコンチエックをしたので、落としてしまったということですね。ピットチエックどころではないということで、ピットチエックはいつのまにか中止。訓練の成果を確認するために、全員がサーチモードにして、ビーコン探しに。滑り降りる際に、何度も、自動復帰してしまうビーコンがあり、各自のビーコンが何分で自動復帰するか要確認です。
 雪質は少なくとも悪くはなかったと思います。この斜面をテレマークターンできれば良かったのですが、前回西山でツリーランに苦手意識を持ってから、解決できておらず、安全策に自分は走ってしまいました。ケガで山にしばらく行っていなかったY原さんは、華麗なテレマークターンで下りていく。すごいですね。
 K村さんのビーコンは、標高750mあたりで、無事見つかりました。ビーコンの持ち方、装着の仕方についても、再確認かもしれません。

トラックログ
 登り:赤
 下り:黄

 訓練終了。土合山の家の駐車場に戻ったら、山の家の管理人さんが出てきて、コロナもあり、これまでのように、「邪魔にならないよう土合の家の駐車場の脇に停めるのみ」の利用は難しいとのことで、駐車料金、テント泊料金を支払いました。仕方がありません。それでは、土合駅に停めさせてもらえばということで、土合駅に向かったら、最近、グランピングで盛り上がっているとのことで、これまでの土合駅なら見たこともない人たちがたくさんいました。

今回の実地訓練の「時刻/速度」の図、
 シールで行動:区間1 スキーで行動:区間2


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