1803 笠ヶ岳&西山

2018年3月10−11日(前夜発)
L:F川さん、メンバー:S野さん、F浦さん、自分

今回の山行の大まかな位置図
1日目:赤、2日目:黄
今回の山行のさらに大まかな位置図:赤丸

3月10日
天気:朝のうち曇り、のち晴れ
【コースタイム】6:20 道の駅白沢−7:20 尾瀬岩鞍スキー場着−8:50 ゴンドラ山頂発−9:05 ゲレンデトップ−10:45/10:55 西山−12:20 1779m小ピーク−12:50 坤六峠−13:45 1776m小ピーク−14:30 1870m下部(1805m)にて雪洞の設置場所とするC1

 山行1週間前の天気予報では、この日は見事な雨、それがどんどん前日にずれていき、実際には、前夜に少量の雪、前日、前々日は雨という結果になりました。前日、前々日の雨を受け、雪質はアイスバーンの上にちょっと雪が積もっているという状態でした。

 
 8:45 ゴンドラを下りた地点からの
 上州武尊
   日光白根(左奥)

 リーダーより「スキーやシールに雪がくっついて下駄になる季節です。各自、スキーとシールの手当てを忘れずに」でしたが、スキー板のワックスがけは問題なくしておいたものの、シールのワックスのねじが空回りして、ワックスが出てこないことを、前日思い出す。会社帰りに山の店に、立ち寄って購入、と思っていたら、電車遅延で山の店に寄っていたら、集合時刻に間に合わない。山の店に寄るのをあきらめ、シールのワックスがうまく使えないことをリーダーに連絡。電車遅延は、山の店に寄れない程度で解消し、集合時刻には間に合う。シールワックスは、出てこないだけなので、ワックスの周囲プラスチックを、ナイフでカットして使用。
 シールで出発して、すぐに、リーダーより、「もっと歩幅(横)を縮めないと、深雪の時大変」、そうですね。忘れていました。

 
 9:20 シールをあきらめ、板をかついでアイゼンで スキーバックルの上でなく下で閉めたほうが良かった 

 最後まで、「雪がくっついて下駄」にはなりませんでしたが、アイスバーンのせいか、非常にシールの効きが悪い。アイスバーンで靴がもぐることもないので、スキー板をかついで、アイゼンでの行動に変更しました。アイゼンで50mぐらい歩いた所で(アイゼンの締めが悪かったようで)、自分の右のアイゼンが外れてしまい、西山付近で左のアイゼンが外れる、危険な場所でなかったので問題なくリカバーですが、傾斜の急な場所でしたら、紛失してしまったかもしれません。ゲレンデも確かに必要ですが、山に入らないとこうなるのです。その後は、きちんと締め、アイゼントラブルはありませんでした。
 西山山頂周辺で一番、雪の踏み抜きが多く、その他は板をかついでも(かついだ個所では)ほとんど踏み抜きはありませんでした。

10:45 西山山頂付近

 山頂付近というのは、西山は登山道のある山ではなく、山頂の標識が見当たらなかったためです(標識は雪の下かもしれないし、探し方が悪かったかもしれません)。ゲレンデからすぐの山なので、山頂にそれほどこだわらかったというのもあります。

11:35

 F浦さんとF川さんは、板を横にする背負い方式で、自分とS野さんは、板を立てる方式でザックに背負いました。普段なら持っている、スキー板のバンドを車の中に置いてきてしまい、しまったでしたが、長めのスリングを持ってきていたので、板先端の固定は、スリングぐるぐる巻きで対処しました。立て型は、一度雨ブタを外すと戻すのが面倒というのはありました。

11:40


11:42

それにしても、板をかつぐというのは雪のない時や、急斜面かと思っていたら、アイスバーンの時(靴が沈まない)にもありなのでした。

11:55 左写真拡大


12:00 樹氷というより

 樹氷というより、かなり氷が融けていたのですが、融けた氷も空の青さと組み合わさって、美しく、来たかいがあったというものです。

12:00 1779はもうすぐ


         12:00 合成パノラマ・燧は左側の雲に隠れて見えない


12:50 坤六(こんろく)峠

 「こ」の字だけが見えてました

14:35 雪洞掘り開始

 雪洞ビバークは最近しましたが、ちゃんとした雪洞泊まりは久しぶり、途中までは、一人が掘る(切り出す)役、一人が掘ったのをかき出す役、さらにかき出す役(半分休憩)、休憩の役、のローテーションで掘りました。最後の一時間は、二人が雪洞内に入り、雪洞を広げました。下には掘らずに、水平方向と、(上を崩さない範囲で)上部を掘りました。

雪洞を掘った場所からの、笠ヶ岳、至仏


14:55 16:10

 スノーソーで切り出すのですが、大きなブロックで切り出せる人と、小さなブロックしか切り出せない人の差がありました。細かくスノーソーを入れすぎると、小さなブロックしか切り出せないようです。

17:40 二人が雪洞内に入り

 終了間際、S野さんより、上から光が差していると指摘がありましたが、自分はわかりませんでした。いずれにせよ、最後まで雪洞に穴が空くことはなく、自分にとっては「ちょっと寒いかな」程度で、一晩を過ごすのに、問題のない空間でした。生まれて初めて雪洞を掘った学生の時は、朝起きると、「上の雪面」が目の上まで落ちてましたが、今回、上の雪面は、朝になっても前夜とほとんど変わりなしでした。

雪洞内で夕食づくり ろうそくをつけて、酸欠のcheck

 雪洞内は、水を作るのに、雪をとりに外に出る必要はなく、周囲の少し融けた雪を使えば良いのでした。雪洞内では、酸欠のcheckのため、ろうそくがあると便利です。

入り口は、ツエルトを洗濯ばさみで中から固定でした。
 ちょっとわかりずらい写真です。

 ツエルトは、変に軽量化された複雑な構造になっているのより、ツエルトというよりタープのように、単純な1枚布の方がいろいろと応用が効く、と思いました。これまで自分の持っていたツエルトは、中途半端なサイズで、(雪洞入り口を広く覆いたいのに)広げるに広げられなく、(スキーの靴を履いたままでは)かぶるにかぶれなく、確かにある意味幕営道具として形にはなっているのですが、どちらかというと無雪期用で、積雪期に使おうとするととにかく中途半端でした。そういうのを無自覚に持っていっていたのが、自分だったというだけかもしれませんが…

今回の山行のトラックログ(10日)
A:ゴンドラ山頂→B:ゲレンデトップ→C:1780mにてアイゼン板かつぎ→D:西山(1898m)→E:1779mにてアイゼンを外しスキー滑降→
F:坤六峠よりシールで行動→G:1870m下部(1805m)にて雪洞の設置場所とするC1

今回の山行の「時刻/速度」の図(10日)、
区間1:シールで行動、区間2:板を担いでアイゼン、区間3:スキー行動、区間4:シールで行動


3月11日
天気:晴れ、夕方曇り
【コースタイム】7:40 C1−8:00 1870m−8:30 1962m−9:30 笠ヶ岳−10:20 1962m−10:30 1870m−10:45/11:35 C1−11:55 1776m−12:45 左の俣沢の二俣1400m−13:50 1455m 右の俣沢と林道の合流地点−16:05 ゲレンデトップ−16:30 ゴンドラ乗り場

7:40 必要ない荷物を雪洞内にデポして
 出発です

この日は全員、縦型で板を背負いました。

8:10


8:13 曲がりくねった木


8:17


 8:27 目指す笠ヶ岳山頂  8:42

 笠ヶ岳山頂が見えてきました。

8:55 南尾根をまっすぐ向かう予定でしたが、傾斜もあり、岩稜をいくので、雪もある緩やかな東北東の尾根を行くことに変更。


 9:17 もう少しで山頂 至仏山

 標高1995mで、スキー板をデポして山頂に向かう。緩やかな東北東の尾根を選びましたが、自分らの会は、アイゼン歩行をそれほどしない山スキーの会なので、これでもちょっと難しいレベルでした。

9:30 笠ヶ岳山頂

 山頂付近は風が強く、(歩行には問題ありませんでしたが)、のんびりしていられるような状態ではなく、ピーク写真および風景写真をざっと撮って、早々に下山。標高1995mに戻ると、風はほとんどおさまっていて、それ以降、強く吹くことはありませんでした。

 
上州武尊 日光白根山  至仏と燧

10:30 さようなら笠ヶ岳

 ビンディング(ボレー スイッチバックテレマークツーリング)は、テレマークなのに(ツアーモードにすると)山スキーのようにビンディングが上がって便利ですが、シールをはがす際、ツアーモードのまま板を裏返しにしたりすると、ビンディングが外れてしまうことが、今回2度ほどありました。落ち着いて対処したら、すぐに元に戻せましたが、対策としては、ツアーモードをSKIモードに直してから板を裏返しにすれば外れないと思います。

 1776mから南南東の尾根を100mほど進んだ所で、南西尾根を下りるのですが、1776m地点においてなぜか自分のコンパスが真反対の方向を示し、S野さんは真逆の方向(北東)に進もうとしていました。F川さんとF浦さんには、起きなかった現象でしょうか(それともS野さんは別の理由で真逆の方向に進んで、自分のみに起きた現象でしょうか)冷静にS野さんを呼び止めていました。電子機器の影響を受けてコンパスが狂った? コンパスの置き方・見方が悪かった? そのような場所? それにしても、それまで地図を読んでいれば、真逆の方向に進むのはおかしいし、(コンパスの向きがおかしいことを)F川さんとF浦さんときちんと話し合うべきでした。それ以降(以前も)、コンパスがおかしな動きをすることはありませんでした。1550m近くでは互いに話し合い、南南西尾根ではなく、目的の南南東尾根を進めました。

12:43 1400m二俣手前

 読図ができる人からすれば「なんだそれ」だと思いますが、1400m二俣の手前の風景はこのような風景です。地形図と照らし合わせて再確認しましょう。

12:46 渡渉点

 1400m二俣では、無事、渡渉できましたが、渡渉点上が急で、シールでは上がれそうになくエッジを立てて階段登高で上がり、上がった地点でシールをつけることとなりました。ところが、上がった地点は4人がシールを貼るには狭い空間で、雪も頼りなく、皆シールを貼ることにいっぱいでひしめきあっていることなど(特に自分は)気がつかず、シールを貼り、きちんと貼れるよう上からストックでシールを伸ばしていたら、手が滑ってしまいストックがS野さんの顔にHit。ストックを持つ方が当たったので外傷はありませんでしたが、力を込めて伸ばしていたのが滑ったので、かなり強く当たってしまいました。温厚なS野さんが本気で怒っていて、「すみませんでした」です。ゲレンデに戻った後、お詫びの気持ちで、S野さんにジュースをおごりました。何でもない行為が、人との距離感を間違えると人を傷つけてしまいます。山に入るといろいろありますが、人との距離感も忘れずに行動、です。あとは、どうにもならなかったら声をかけあい、お互い注意して行動しましょう。

13:50 1455m 右の俣沢と林道の合流地点

1455m 右の俣沢と林道の合流地点、ちょっとわかりずらいですが、写真中央、雪の下に橋がかかっています。

 登りが続きだいぶバテてくる。1645mで休憩、ここでバテるわけにはいかないので、パワージェルに活路を求める、プラシーボかもしれませんが飲むと疲れが吹っ飛び、標高100mほど問題なく登れましたが、その先はパワージェルの効果が薄れてきて、再び疲れが出てくるが、もう登りのきつい部分は越えたし、登りのゴールは見えてきたので、気力で皆についていく。

 滑りは、ひょっとして以前も使っていたら申し訳ないですが、ようやくテレマーク開眼といった感じで、山中でテレマークターンが多くの場面ででき(7割)、ゲレンデ(今回アイスバーンの表層に新雪5cm程度)では、前回の西山では大きく後れをとりましたが、今回はゴールこそ3番目でしたが、最後まで二人と一緒に滑り、S野さんには最後に抜かれたものの途中までは、ほぼF川さんについていけました。足指上げは、荷物を背負っていてもできる行為です。逆に、テレマーク姿勢は荷物が重くなればなるほど難しくなっていきますが、足指上げは荷物の影響をほとんど受けないテレマークの技術だと思います。
 自分の行動につきまして、登りと、生活技術は、ちょっと頼りない感じでしたが、滑りは、今回についていえば大きな問題はなかったと思います。

今回の山行のトラックログ(11日)
G→H:スキー板をデポした標高1995m→I:笠ヶ岳山頂→H→G→J:1775m→K:1400m左の俣沢の二俣→L:1455m 右の俣沢と林道の合流地点→C→B→M:ゴンドラ乗り場


今回の山行の「時刻/速度」の図(11日)、
区間1:空身でアイゼン板かつぎ、区間2:空身でシール、区間3:空身でスキー板で滑る、区間4:シール、区間5:スキー板で滑る
区間6:シール、区間7:ゲレンデスキー


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